PandoraPartyProject

シナリオ詳細

たこパしよう

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●たこ焼きに飽きたんだ
 ふう、と竹串を置く。旦那様、と声をかける執事に貴族は視線を向けた。
「すまないな、下げてくれ」
 テーブルからそれが下げられる間、貴族は窓の外を見て頤へ手を当てる。その視線の先にあるのは海だった。
 海洋は幾つもの島々があり、当然ながら海が近い。海産物を使う料理の中で、貴族が最も好んだのは『たこ焼き』であった。濃厚なソースの香り、割れば立ち上る湯気、ぷりぷりの──しかし、そこまで考えた貴族は思わずため息を吐き出した。
 たこ焼きは美味しい。美味しいのだが、飽きてしまったのだ。最初の頃は1日中でも食べられたものだが、今では朝昼夕と間食にとどまってしまっている。
「……そうだ、イレギュラーズだ。彼らを呼ぼう」
 思わず立ち上がった貴族へたこ焼きを下げた執事が視線を向ける。しかしそちらを向くことなく、貴族は窓へ近づいた。広がる海、その遥か先にあるのは幻想──イレギュラーズの拠点、ローレットである。


●たこパしよう
「美味しいのです」
 むしゃむしゃハフハフとそれを食べる『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。ローレットにソースの美味しそうな匂いが充満し、皆の視線を浴びている。
「今回の依頼はですね……モグ、とある海洋貴族からの依頼なのですが……ムシャムシャ……皆さんを呼んでたこパをしたいそうなのです」
 たこパ──たこ焼きパーティ。崩れないバベルによって、それに馴染みの無い者も何となくどんな物かわかることだろう。けれども、海洋貴族が所望しているのはただのたこ焼きパーティではない。
「……ふう、美味しかったのです。皆さんは1品ずつ持ち寄って……多くなければもう少しあっても良いと言ってましたが、たこ焼きにそれを入れて食べるのです。誰の食材が当たるかは食べてみてのお楽しみ! ってやつなのですよ」
 たこ焼きが美味しくなるか不味くなるかはイレギュラーズ次第。依頼人も同じように1品出すと言う。
「美味しい食べ方あったら教えてくださいね! ボク、また食べたくなっちゃったので買ってくるのです!」
 目をキラキラと輝かせたユリーカはイレギュラーズを置き去りに、たこ焼きを買うためローレットを飛び出していったのだった。

GMコメント

●やること
 たこ焼きパーティに参加する

●入れるもの
 条件は以下です。

・(一般的に)食べられるものであること。
・たこ焼きに収まるものであること。ほんの少し出てしまうくらいはセーフ。
・混沌で、かつキャラクターが入手できると思われる物。海洋貴族も楽しみにしているので、持ってくる食品に関して貴族の手を借りることは不可。

 上記が守れていれば何でも構いません。
 混沌由来の食品を持ち込む場合、食感や見た目、味などをご記入ください。

●場所
 海洋貴族邸宅です。依頼人はおおらかな性格で、多少の無礼は気にしません。
 材料はコックが1度回収し、たこ焼きにして皆さんにお出しします。どれに何が入っているのかは不明です。
 食べるのはイレギュラーズ8人+依頼人です。

●ご挨拶
 愁と申します。たこ焼き美味しいですよね。
 どのたこ焼きに当たるかはランダムのため、基本的にヤバイ感じのたこ焼きに当たってもパンドラは減りません。ただし「減ってもいいよ」という方はその旨をお書きください。
 プレイングにたこ焼きに入れる1品(多くても3品)は必須。あとはたこパに関する意気込みやたこ焼きを食べた時のリアクション、たこ焼き談義などを書きこむと良い感じかと思います。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • たこパしよう完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年02月21日 22時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

前田 いろは(p3p001094)
夢見がち乙女
Q.U.U.A.(p3p001425)
ちょう人きゅーあちゃん
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
メイメイ・ルー(p3p004460)
祈りと誓いと
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)
水葬の誘い手
ヨシト・エイツ(p3p006813)
救い手

リプレイ

●訪問
(どうせ初めてのお仕事に選ぶなら楽しいのを! って思ってたの)
 ───思っていたけれど、元の世界じゃ貴族なんて会うことなかったよ。
「貴族さん、お招きくださいましてありがとうございますです……?」
 自らの口調に不安しか覚えない『夢見がち乙女』前田 いろは(p3p001094)に応対した貴族は呵々と笑い、普段通りで構わないと告げる。他のイレギュラーズたちへも視線を滑らせた貴族は『ちょう人きゅーあちゃん』Q.U.U.A.(p3p001425)におや、と視線を留めた。
「その姿は……たこ焼きかね?」
「そう! たこやきガールきゅーあちゃんだよ!」
 たこ焼き柄の服にたこ焼きベレー帽。たこ焼きに身をやつしたQ.U.U.A.は食べる準備も万端。
「貴族おじさんの飽きをふっとばすような、たのしいパーティにしよう!」
「そうだね! 僕たちの持ってきた食材でたこ焼き革命だー!」
 『雪だるま交渉人』ニーニア・リーカー(p3p002058)もQ.U.U.A.と一緒にえいえいおー! と拳を突き上げる。その前にすっとお茶のカップを出したのは『チア衣装でジャンプし以下略』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)だ。
「はい、どうぞ!」
「ありがとー!」
 貴族邸にも勿論メイドはいるが、ミルキィがやりたいと貸してもらったのである。傅かれるのはむずがゆい心地もあるし、何より趣味でティータイムを開くほどだ。お茶を淹れるのには自信がある。
 そうしてミルキィがお茶を淹れる中、『さまようこひつじ』メイメイ・ルー(p3p004460)は貴族へぺこりと一礼した。
「……ほ、本日は、宜しくお願い、します……!」
 メイメイの脳裏にはずっと一縷の不安がよぎっている。たこ焼きに飽きてしまった貴族の、その期待に応えられるだろうか──と。
(……依頼人さまのお気持ちの添うべく、この日までたこ焼きを食べまくってきましたが……)
 少なくとも『同じものばかりは飽きる』の気持ちは、多少の差はあれど理解できた気がする。けれども解決の糸口を掴めるかまではわからない。
 そんなメイメイの不安を消してしまうかのように頼もしい声が2つ。
「まっかせーてネ、このイーフォ・ローデヴェイク、依頼人のご期待に添えるよう誠心誠意努めさせていただくヨ!」
「おお、しっかり食ってレポってやんよ!」
 『水葬の誘い手』イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)と『張り子のヒャッハー』ヨシト・エイツ(p3p006813)は2人ともやる気満々、といった様子だ。イレギュラーズは主に依頼を通して報酬を受け取りパンドラを集めるわけだが、今回は『たこ焼きパーティに誘われる』という依頼内容。さらにイーフォは海洋生まれ海洋育ち、願ってもない依頼だったわけである。
「あ、そうだ。1つお願いが──」
 ニーニアは調理を食べる前でしてもらえないか、と貴族に問うた。屋台で売っているようなたこ焼きも目の前でコロコロ焼いてるわけで、あれを見るのは大変楽しい。それにイレギュラーズの雑談から今後のヒントが見つかれば、それをすぐに実践することも可能だろう。
 ニーニアの言葉に貴族は2つ返事で了承した。すぐに部屋へ練達製たこ焼き器が持ち込まれ、次いで材料なども運び込まれる。
(ただのたこパかと思ったらロシアンたこパでした……)
 『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)はたこ焼き器の鉄板をちらりと見た。作ることができるのは一般的に知られるサイズだろう。あの大きさならば、何が入っていたとしても大惨事にはならないはずだ。元が小さければ入れられる材料にも限度があるのだから。

 ──ちなみに、人はこれをフラグと言う。


●巻き起こせ、たこ焼き革命
 コロン、コロンとたこ焼きが転がされる。メイメイはわぁ、と感嘆の声を上げた。
「楽しみ、です……!」
 羊の耳がぴこぴこと動き、彼女の表情と様子から『早くできないかな』と心待ちにしていることが良く分かる。
 けれども、あっという間にできるわけでもなく。茶を淹れ終わったミルキィは座ると「あのね」と切り出した。
「今はこっちの世界基準で馴染んだから違和感ないんだけど、ボクの国でたこ焼きってデザートポジションだったんだよ」
「お菓子的な?」
「たこも甘くなっちゃうのかナ」
 いろはを始め、デザートのたこ焼きに食いつく一同。ミルキィはイーフォの言葉に頷いた。
 粉もタコも材料からして異なるたこ焼き。ホットケーキの粉に似たそれを使い、タコはシュガーオクトパスなる甘いタコを使うのだそうだ。もしかしなくても上にかけるのはソースではないだろう。推察するにカラメルか何かだろうか。
「だから、こっちの世界のたこ焼きには結構カルチャーショックを受けたもんだよ☆」
「食べ物の違いってすごいね……」
 いろはの口から思わず言葉が零れ落ち、目の前で作られているたこ焼きへ視線が移る。これが自分の知るたこ焼きで良かった。
(罰ゲームみたいに危ないのも混じってそうだけど……わたしが当たるなんて事はまずないだろうし。だいじょぶだいじょぶっ!)
 ──ちなみに、人はこれを(以下略)。
「それにしても、たこパなんて部活の打ち上げ以来! ドキドキするけど楽しみー」
 郷愁を心の片隅に明るい声を出すと、いろはに釣られて皆の顔が綻んだ。
「たこやきっておいしいのに、飽きちゃうなんてもったいないよね!」
「全く持ってそうなんだ。今日は色々な味が食べられそうでわくわくしてしまうよ」
 Q.U.U.A.の言葉に貴族が頷き、そういえばとマリナが祖父の言葉を思い出して。
「単純そうに見えて意外と奥が深い、面白い料理だ……ってじっちゃんが言ってた気がします」
「中身がたこじゃなくなっちゃうけど、細かいことは気にしちゃだめだよね!」
 ニーニアがぐ、と拳を握る。これはたこ焼きを元にした創作料理。如何に美味しく面白いそれを作るかが依頼の趣旨と差し支えないのかもしれない。
 できましたよ、というコックの声と共に大皿へたこ焼きが乗せられた。幾つかおかしな色をしているものもあるが、概ね通常と変わらぬ外観である。
「これ、中が分からないから……やっぱり不意打ち感半端ないですよね……」
 その内の1つを爪楊枝で差し、マリナがまじまじと見た。普通のたこ焼きとイレギュラーズが持ってきた材料のたこ焼き、貴族邸で用意した材料のたこ焼きがあるらしいが──どれなのか皆目見当もつかない。はむ、とひと口で食らいついたマリナは常に眠たげな瞳を真ん丸にした。だが、すぐに咀嚼を始めた口元にはほんのり笑みが浮かぶ。
「これは……チョコバナナでごぜーますね……」
「あ、それボクが持ってきたやつだ♪」
 ミルキィが嬉しそうに笑みを浮かべる。マリナの反応に皆がそれぞれたこ焼きを食べ始めた。
「ほぉっ! こいつぁ美味ぇ! 噛みしめるたびにドライフルーツの旨味が出て、たこ焼きとも上手い事マッチしてるぜ!」
「焼き菓子、に入れても美味しいので……」
 ヨシトの食レポにメイメイが頷く。彼の見てくれはそこらにいるごろつきに近い物を感じさせるが、それ以上に漂う善人臭はギフト故か──いや、それ抜きにして彼の性格もあるかもしれない。
「これは……」
 たこ焼きを味わっていた貴族ははっと顔を上げ、驚きの表情を露わにする。
「サーモンじゃないか!」
「そう、まずは海洋ならではの材料をご紹介だヨ!」
 たこやきの曲線に齧り付けばじわりと広がる慣れ親しんだ味わい──そしてタコとは異なる、うまみたっぷりのエキス。さらには香り高いネギが生地と素晴らしいハーモニーを奏でるのだ。
「これぞ海洋出身としてのお馴染みな素材、かつびっくりアレンジじゃナイ?」
「うむ……これは……うまい……」
 人は時として言葉を失くす。
 ゆっくりと味わいながらサーモン入りたこ焼きを食べた貴族は次のたこ焼きへ爪楊枝を──手を伸ばした。そうしてたこ焼きを口に含み、「おや?」と首を傾げる。
「これはまた……随分とさっぱりした味付けだ」
「あ、梅干しかも!」
 ニーニアがぱっと顔を貴族の方へ向けた。中に入れる具材──ということで、おにぎり感覚で種抜きの梅干しを持ってきたのである。
 ──不意にゴスッという音が響き、全員がそちらを見た。
「……マ、マリナ……さま……?」
 机に突っ伏したマリナは、メイメイが呼びかけても顔を覗き込もうとしても反応一切ナシ。──いや、応えるどころではない。打ち付けた額の痛みよりも口の中の刺激がマリナを苦しめるものだから、喋る余裕などなかったのだ。1口で食べたのは果たして幸か不幸か。
 沈黙、暫し。ふるふると震えているマリナからようやく発せられた言葉は。
「水、水です……からくて、しんでしまいます……誰ですか、こんなのいれたのは……!」
「あ」
 声を上げたいろはに一同の視線が集中する。マリナの潤んだジト目も受け止めたいろはは「ごめんねっ!」と両手を合わせて謝罪するも──思わず苦笑を浮かべた。
 わかりやすいネタに走らないといけない気がして選んだわけだが、こうやって反応があれば嬉しくもなるもので。その表情をどう捉えたか、マリナのジト目に鋭さが増した。
「味覚はまだ子供でわるぅごぜーましたね……!」
 イレギュラーズとしての活動は多くあれど、齢14の少女。れっきとした甘党である。差し出されたグラスの中身を見ることなく口をつけて、
(あれ、透明じゃな──)
「──っ!?!?!?」
 マリナ、硬直。隣に座っていたヨシトがグラスを覗き込んで「なんだこりゃあ」と困惑した──どこか引きつった──表情を浮かべる。海洋の工芸品と思しき綺麗なグラスの中には水ではなく、なんか茶色いドロッとした液体が入っていた。
「それはね、きゅーあちゃんとくせい! たこやき風味ドリンクだよー!」
 テンションハイで叫んだQ.U.U.A.はつまようじでたこ焼きを上へと放り、器用にぱくり。にっこにこな笑顔を浮かべながら自分もたこ焼きドリンクを飲んだ。さあ飲んで! と勧められるたこ焼き(のドリンク)に一同は顔を見合わせ、それぞれグラスを取る。
 大丈夫だってたこ焼きって言ってたし液体だけどあれなんか浮いて──。

 飲んだ瞬間、空気が凍りついた。

 笑顔で固まる者数名。白目向きそうなのはヨシト。1人楽しくがぶ飲みしているのは言わずもがなQ.U.U.A.である。
 想像通りの味である。圧倒的に、圧倒的過ぎるまでに想像通りのソースと魚介と生地の味である。たこ焼きが強い。
「く、口直しにたこ焼きを……」
「お茶も飲んで!」
 ミルキィの注ぐお茶を一気飲みし、敢えて普通でないたこ焼きを食べに走る一同。そんな中でメイメイがぽつりと呟いた。
「……これも、これで……アリ、でしょうか……?」
「は、」
 再び固まる面々の前でメイメイがさらにひと口、たこ焼きドリンクを飲む。
 最初はたこ焼き味のインパクトが強すぎて驚くものの、慣れてしまえばただの飲み物だ。まあ、些か濃い味付けではあるが。タコも浮いているが。
「たこ焼きを飲むと言うのは新しいな。面白い」
「貴族さん!?」
 無言で飲んでいた貴族も頷き、驚きの声が上がる。しかし早速と貴族は執事を呼び寄せ──どうやらたこ焼きドリンクを常備するらしかった。

 気を取り直して。
「あれっ、チョコが入ってるー!」
 目を丸くしたミルキィの手元には齧られたたこ焼きが。中から焦げ茶色のそれが覗いている。はい、と挙手したのはマリナだ。
「ほら、今月はグラオ・クローネがありましたから……」
 誰に当たってほしかったんだろうか、なんて集まる視線に「義理です、義理ですからね……」と首を振るマリナ。決して誰かにあげるつもりだったわけではなく、誰に当たってもいい物である。
「む……むむ?」
 ニーニアはたこ焼きを咀嚼しながら目を瞬かせる。おかしい。噛んでるのにずっと残ってる。
「きゅーあちゃんのあたった? それ、ふうせんガムだよ!」
 たこ焼きを曲芸の如く爪楊枝の先でくるくると回すQ.U.U.A.。ニーニアがぷぅ、と膨らませるとたこ焼き色の風船が現れて。
(これは……ベーコンとチーズ……自分の、ですね……)
 メイメイが齧りついたたこ焼きは自身が持ってきた材料だった。3つまで、と言われていたからどうだろうかと逡巡していたが、そこまで厳密に決めているわけではなかったそうで。
(やっぱり、予感通り……最の高、です……)
 幸せ溢れるメイメイの表情とぴこぴこ動く羊耳。イーフォがそれを見て大皿へ視線を向ける。
「みんなのたこ焼き? も美味しそうだネ……ちょっとお腹がすいてきたなァ」
 適当に選び、ひょいとたこ焼きを口に入れたイーフォは目を丸くした。たこ焼きに歯を立てた瞬間、その切れた膜から熱々の何かが口の中を満たしていったのだ。火傷するほどではないが慌てて飲み込んでしまい、味わう間もなくたこ焼きはイーフォの胃の中へ。
「──出汁? でもどうやっテ……」
「カカカッ、ゼラチンで固めて軽く凍らせたのさ」
 たこ焼きの熱で封じ込められた出汁が溶け出し、食べるとともにそれが口の中を蹂躙していくのだとしたり顔のヨシト。トラップ的ではあるが、そうと分かっていれば美味しい一品だ。
「緑色のたこ焼きだ! 抹茶とかのデザート系かな?」
 いろはは濃い緑色をしたたこ焼きに臆する事なく、ひょいと口の中へ。どんな味であろうと全力で楽しむ気は満々──だが。
 スンッ、と静まる女子高生。ただし脳内は全然静まってない。
(え? なにこれやばくない?? チョーやばくない???)
 口の中に広がるこの味は。鼻を刺激するこの感覚は。これは日本人と呼ばれる者なら1度は食べたことのある──。
「い、いろはちゃんが首ふってる! これダメなやつなんじゃ!」
「ミルキィさん、お茶を淹れてやってくだせー」
「たこやき風味ドリンクもあるよ! おいしいよ!」
 かくして──。


●たこパの行方は
「「「はー…………」」」
 全員から深い溜息が漏れた。
 概ね、全員の出した材料は食べつくしただろうか。美味しい物から不意打ちまで、王道のネタも食べた。
 そういえばさぁ、といろはが視線を向けたのは──イーフォだった。
「イーフォ君ってサーモンしか持ってきてないの? ホントに?」
「他にもあるんじゃないかっテ?」
 いろはの問いにイーフォが続け、ふっと小さく笑う。仕方ないなァ、と出された包みを一同は瞬きもせず凝視した。
 これは何なんだ。ネタか? 食べられるものか?
「フフフ、これはおれの奥の手中の奥の手だヨ」
 ごくり。
「その名も──砂肝!」
「な、なんだってぇ!?」
 ヨシトががたんと勢いよく立ち上がった。わなわなと震え、これまた勢いよく砂肝を指差す。
「あのコリコリな食感がたこ焼きの中に入るなんて……思いつかなかったが、考えてみれば美味しくねェわけがねェ! 早く作ってくれ!」
 ヨシトの言葉に新たなたこ焼きを作り始めようとするコック。そこへニーニアが待ったをかけた。
「中身だけじゃなくて、トッピングを増やしたり生地に手を加えるのもありなんじゃない? 大根おろしとポン酢とか、生地はカレーとか──あ、僕もだけど海産物持ってきてるでしょ? 合わせて食べて、シーフードカレー風たこ焼きとか!」
 ニーニアの言葉にメイメイが思わず視線を材料の方へ向け、マリナが「あれでごぜーますね」と頷く。たこ焼き器の隣、材料が並ぶそこで一際存在感を放つ巨大イカがニーニアの海産物だ。
(人の子どもほどもありましょーか……大きすぎて、隠すには無理がありましたね)
 勿論食べる時には切られて入っていたが、幻想国から運び込んだのである。共に来たイレギュラーズには食材がバレバレであった。
「天かすを混ぜるのもオススメだぜ! 味にコクが出るし、中のトロみ具合も安定する。さらには食感も良くなるし返しやすくもなるんだ!」
「あ! まだつくるなら、あまいたこやきも食べてみよう!」
「それっぽい材料があれば、ボクの国で作られてたたこ焼きもできると思うよー♪ 他にも、もっとすごいのにも挑戦してみたいね!」
 わいわいと盛り上がるたこ焼き談義にイーフォは小さく笑みを漏らす。
 日常的に手に入る食材から発見して、気に入ったものを見つけてもらえればと思っていたが──。
(一体、たこパが終わったら幾つの発見があるんだろうネ?)

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。お楽しみ頂けたでしょうか。
 あまりヤベーものが無かったので皆様のパンドラは減りませんでした。というか美味しそうなものが格段に多かったです。全部の食材が入りきらなくてすみません。たこパしたい。

 AIの貴女へ。まさかドリンクまでたこ焼きになるとは思いませんでした。まさしくたこやき100%な姿に称号をお贈りします。ご確認ください。

 またご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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