シナリオ詳細
シスターママさんとキノコ狩り!
オープニング
●ショウジョウの縄張りの中へ
ある日、ふらりと幻想のローレットに現れた1人のシスター。
「久々だね。また依頼をお願いしてもいいかい?」
そう告げた彼女は、ベールの中から突き出る猫耳を思わせる2つの突起がある女性だ。
幼さも残す可愛らしい容姿をしているが、『見習い剣士』ヨハン=レーム(p3p001117)の母親である。
唐突にやってきたスズのこと。残念ながら、ヨハンは母親が来ることを知らされておらず不在だったようだが、どこかで彼女の来訪を聞けば駆け付けるかもしれない。
ちなみに旅人であるスズは豪快な女性らしく、年齢とベールの中の耳らしきモノには触れないことがお約束らしい。それを破る者には歯型の報復が待っているとのこと。
珍獣ハントを生きがいとしているスズからの依頼は、今回で2度目。
前回は、海洋の海岸に住み着くボクサーエビの討伐。
撃破した上で、海岸で食べるエビ料理は実に格別だった。
「今回も、海洋での狩りを頼みたいんだよ」
今晩のおかずとなる珍獣には容赦ないハンターの一面を見せる一方、必要以上には討伐はしないのが彼女のモットー。
さて、今回のターゲットは、とある島の森の中にいるのだそうだ。
「今回はキノコ狩りだそうですよ」
そんな横から声を掛けてきた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)の声に、珍獣ちゃうんかーいというツッコミが。
「いや、珍獣は倒ねばならないよ。そいつらの縄張りの中にそのキノコはあるからね」
ただ、その珍獣自体はグルメとしては問題外ということで、基本的に倒して追い払うことができれば問題ない。
とはいえ、珍獣ハンターのスズがローレットの力を借りる相手。侮れぬ強さを持つのは間違いない。
「相手は2体。どうやら、この島を縄張りとする2グループのボスをそれぞれ相手にしなければなりません」
アクアベルがすでに、そのショウジョウ達について調べてくれている。
ショウジョウどもは木々の枝を使い、素早く相手に襲い掛かってくるという。
ボス格2体は敵対し合っているが、他の脅威がやってくれば、しっかりとタッグを組んで連携をとってくるから注意が必要だ。
「咆哮を上げて相手を痺れさせ、素早く相手に近寄って自慢の怪力で殴り、締め殺すのが彼らのスタイルだよ」
また、近寄ってこない相手には、落ちている石を投げつけて牽制しつつ素早く近寄ってくるようだ。遠距離にいるからと言って油断してはならない。
戦いの間、他のショウジョウ達はただその戦いを見守るだけ。
ボスを倒せば、群れごと恐れをなしてその場から去っていくだろう。
そうして、ショウジョウどもを倒すか、追い払って採取できるのがメロウマッシュだ。分かりやすい言葉で言うなら、芳醇キノコといったところだろうか。
このキノコ、胞子を放出する際にほのかに光る性質がある。
その際に発する香りが非常に芳しく、調理しても残る為珍重されている。
珍しいキノコなのだが、キンイロショウジョウのボスがこの島に外敵を近づけさせぬこともあり、かなりの数が群生しているという状況だ。
「珍獣退治と美味しい食材。一石二鳥だね」
笑顔を見せるスズはもちろん、そのキノコを皆と食べたいと話す。
船に調理道具やイレギュラーズ達の臨む食材を積んでいくそうなので、浜辺で食べるとよいだろう。
火で炙って食べるもよし、炊き込みご飯にするもよし、また、様々な一品料理に使えるので、料理の腕に自信があれば、皆に振る舞うとよいだろう。
「さあ、行こう。そのうち、あの子も来るよ」
スズは息子の来訪も待ちつつ、参加を決めたイレギュラーズ達を連れ、海洋へと向かう準備を整えるのだった。
- シスターママさんとキノコ狩り!完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年02月14日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●キノコと珍獣
ローレットのイレギュラーズ達を乗せた小舟は、海洋のとある島へと上陸する。
「さて、また興味深い仕事だな」
未知の事物と遭遇できる依頼。
長い金髪を棚引かせる『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は、研究家としての本能を刺激されていた。
「とはいえ、時間が足りないか」
本気で調査するなら、最低数日は欲しいところ。
今回は珍獣退治とキノコで満足しようと、ゼフィラは割り切っていたようだ。
「ふむ、珍味探しの旅というのも中々良いものでござるな」
黒髪ポニーテールを揺らし、忍び装束を纏う『黒耀の鴉』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)は島の地図を広げる。
船の中には、調理に使う七輪や米も積んでいる。後はこれから採りに向かうメインディッシュだ。
「今回の獲物は香り高きキノコ、どんな香りがするのでござろうか……」
「美味しいキノコが食べられると聞いて、釣られて来たっす」
想像して小腹を空かせてしまう咲耶。『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)もキノコがどんなものかと楽しみにしていたようだ。
「まずは森に入るよ」
さて、頭巾……ウィンプルの中で突き出る猫耳らしき何かをピコピコ動かし、シスター姿の依頼人、スズ=レームが一行を誘導する。
「お母さん、また変な生き物を……」
前回、彼女の依頼であるボクサーエビ討伐でぼこぼこにされたこともあり、『見習い剣士』ヨハン=レーム(p3p001117)はぷんすこして前線で戦うよう母親に頼んでいたようだ。
「珍獣ハント、興味深いわね」
『いいんちょ』藤野 蛍(p3p003861)は、黒眼鏡を吊り上げる。
この無辜なる混沌という世界は日本人である彼女にとって、珍しいモノでいっぱいだ。
「この世界での『珍獣』……ワクワクするわね!」
蛍は前を行くスズへと駆け寄り、他の珍獣のハントについて話を聞きに行く。
「猩々なぁ」
異世界においては、普通の人間であった『茜色の恐怖』天之空・ミーナ(p3p005003)は、猩々が伝説の生き物だと聞いていた。
その姿は様々のようだが、この場にいるのは金色の体毛を持つ猿のような姿をしているという。
「……いるもんなんだな。ま、基本は猿と一緒だろ。多分」
「倒して追い払えばいい、ね」
小柄な妖精種の旅人である『トキシック・スパイクス』アクア・サンシャイン(p3p000041) はそんな仲間の意見を思い出す。
別に生態系をどうこうする気など、アクアにはないが。
「運悪く命を落としたら、仕方ないわよね」
その時はその時。襲った相手が悪かったと、珍獣には不運を呪ってもらうしかなさそうだ。
「楽しみで胸はいっぱいだけど、戦闘は戦闘。気を引き締めていきましょう」
委員長気質な蛍がそう仲間へと促す中、イレギュラーズ一行は島の森へと踏み入っていくのである。
●ショウジョウどもの縄張りは……?
徒歩半日で一周できそうなこの島は、無人島らしい。
それだけに、様々な動物が住み着いているようだが、その中で島のボスとなっているのが珍獣キンイロショウジョウ……(以下、金色猩々)らしい。
森は雑草が生い茂り、進むのも一苦労するような場所。
仲間と共に草根を分けて歩くレッドは敵の出現にも警戒し、引き抜いた『リミットブルーレプリカ』から『蒼剣』の決め台詞を再生させていた。
『剣の錆になりたいヤツはかかってきな!』
聞き覚えのあるギルド長の声。しかもその種類は思った以上に多く、無断で撮られた本人が知ったら大変なことになりそうである。
それはそれとして、キノコの群生地を目指す一行。
「金色猩々のボスを探るっす」
「どうやら、2体が縄張り争いしているようでね」
レッドの一言をきっかけに、スズがここの猩々達について話すとヨハンが唸って。
「うーん、できれば縄張りの範囲を測定して、1匹ずつ相手したいとこです」
もう1匹に気づかれる前に、少しでも交戦してダメージを与えたいところ。
ただ、ヨハンは残念ながら専門的な技能を持ち合わせてはいないこともあり、仲間達に頼ることになる。
「とはいえ、さすがに習性までは把握できていないからね」
珍獣と言われる存在であるが故に、生物学では研究が進んでいない猩々。スズもこればかりは時間がかけないと難しいと首を振る。
「縄張りが把握できれば、それに越したことはないわ」
アクアも同意はするものの、直接生物に理解があるわけではない為か、うまくいけば儲けもの程度に考えていたようだ。
そばのゼフィラもまた、今回は仲間達の方針に従うとのことで、特に何か行動に出る素振りはない。
「それじゃ、先にいいかしら」
そこでまず、赤髪ポニーテールのルチア・アフラニア(p3p006865)が近場の植物へと意思疎通をはかり、金色猩々の群れの位置、移動ルートについて得られないかと試みる。
「この辺りはすでに、片方の縄張りのようだけれど……」
とはいえ、さすがに植物にグループの判別はできず、さらにここから離れた場所の情報はどうしても疎くなってしまう。
ルチアはとりあえず移動しながら、得た情報を仲間達に共有するよう努めていたようだ。
アクアも自然知識を活かし、周辺の植物を調べる。
まだ、目的のキノコは発見できないが、この辺りに生っている木の実や果実は、ショウジョウ達の餌となっているはず。
「食い荒らされた跡はあるのよね」
調べながらも、アクアはショウジョウの縄張り内であるなら警戒は強める。
『襲ってくるかも』よりは、『絶対襲ってくる』ラインを把握したいところ。そうすれば、皆対応もしやすくなるだろう。
「森がざわついているね」
すでに、ファミリア―である鳥を頭上へと飛ばしていた蛍は、資格共有して猩々達の動きを見る。
踏み込みすぎるとショウジョウ達が襲ってくる為、メンバー達は一度そこから身を引くことになる。
『できるだけ長時間、ボス格1体だけを相手にできそうな場所・侵攻ルート』を見定められれば良いのだが……。
「ふむふむ……」
咲耶はそれらの情報を纏めつつ縄張り情報を纏めていくが、決定的な情報が欲しいところ。
「このままだと、陣形をとって警戒しながら進むしかないでござるなあ」
すると、ミーナが動物知識を活かし、地面に落ちた糞の有無に注目する。
それだけでなく、彼女は意図的に折られた木々や草花をチェックする。地上の草花がほとんど傷んでいないことから、猩々達が枝から枝を伝って移動しているのは間違いない。
にもかかわらず、荒れた地面をミーナは発見する。
そこは、2グループの縄張り争いが起こった場所。
蛍が飛ばす鳥もかなり広範囲にそれが広がっていることを、上空から確認していた。
「間違いなく、2匹の頭領が勢力争いをしている境目だな」
「これは有利な状況から始められるそうですね!」
ミーナの一言に、ヨハンも満面の笑みを浮かべる。
確実な証拠を発見し、メンバー達は少し引き返した場所から奥地へと踏み込み、片方の猩々グループの身をおびき寄せに当たり始める。
●森の珍獣、金色猩々
島の奥地へと進むイレギュラーズ一行。
すると、メンバー達は前方に頭上からこちらを見つめる多数の金色猩々の群れに気づく。
じっと威嚇してくる多数の光る目。
その中から、4mほどもあるボスが頭上から飛び降りてくる。
「ウウウウ……!」
「硬い肉はお呼びじゃないの。帰ってくれないかしら?」
ルチアは事も無げに言い放つと、そいつは大声で吠え始めた。
「ウオオオオオオオオオォォォ……!」
「今回こそ、地面とキスせずに終わらせます!」
その前へとヨハンが進み出て、莫大な雷エネルギーを放電する。
「見習い剣士のヨハンです!」
そして、彼は大剣を手に名乗りを上げ、猩々ボスとの殴り合いに臨む。
そこで、ミーナがそっと近づき、凍えるような殺意を宿した指先で触り、相手の体を硬直させようとする。
きいきい、きいきい……。
周囲の手下どもは木の上から騒いで、ボスを応援するのみだ。
「上手くいきそっすね」
2体出たなら片方の抑えをと考えていたレッドも、その1体目掛けて華麗な剣捌きで別れの文字を刻み込む。
咲耶はもう1体の引き付け担当だったが、相手が1体なら破壊力を持って忍刀で斬りかかっていく。
そこで、スズが耳を動かし、少し表情を陰らせて。
「急ぐよ。もう1つのグループが気づいたらしい」
息子の要望もあり、スズは跳躍して相手の首から胸元目掛けて両手剣を薙ぎ払い、斬りかかっていく。
見事な急所斬り。それでも、まったく倒れぬタフさを持つ相手を、アクアは冷静に観察して。
「食べるに適さない肉質に、あの巨躯。相当タフなはずよ」
とにかく集中砲火をと、接敵したアクアは異能の炎を発して猩々ボスへと浴びせかけていく。
そうした攻撃の間も、相手に斬りかかるヨハンを猩々ボスが猛然と殴り掛かる。
空に飛ばした鳥との視覚共有、さらに仲間達の行動を統制しようと動く蛍は、ヨハンへと練達の治癒魔術を施して傷を塞いでいく。
さらに、中距離に位置取るルチアも回復を重ね、自身の神秘の力を込めて癒しへと当たっていった。
「獣相手は得意なんでね」
ゼフィラは『デザート・イーグル』を発砲し、猩々ボスの体を撃ち抜いていく。
このままなら、攻め落とせるとミーナが確信したとき、この場の猩々達と逆側に多数の猩々達が現れて。
「ウオオオオオオオオオオォォォ……!」
突入してくる2体目。倒されかけている宿敵のザマを目にして、マウントを取りに来たのだろう。
「やっぱり、来ましたか!」
ヨハンは、間違いなくこの場に2体目は現れると踏んでいた。
ただ、優勢な状況からスタートしていることもあり、イレギュラーズ達はこのまま押し切ろうと戦い続けるのである。
増援として、1体猩々ボスが追加された状況。
ミーナはそれらを補足しようとするが、さすがに両方を至近距離内に捉えるのは難しく、引き付け役の咲耶の相手する増援の猩々から死神の指先で触れていく。
問題は、その咲耶だが……。
「……ぬかったでござる」
抑えの要である名乗り口上の用意が漏れていたことを悔やみ、咲耶はやむなく、増援のボスのブロックへと当たろうと動く。
しかし、木々の枝を伝って動く新手は素早い。
「ウオオオオオオオォォォ!!」
大声で吠えたそいつはゼフィラへと近づき、その体を締めあげてくる。
「くっ……!」
咆哮によって体を痺れさせていたゼフィラはなすすべなく、接近された敵の締め付けに耐えられず、意識を失ってしまう。
「食らうっすー!」
対処が遅れたが、レッドがそこで防御集中してから全体重を預けた体当たりを繰り出していく。
もう1体は全身を傷め苦しそうにしているが、力任せにヨハンの体をつかみ、締めあげようとしてくる。
なんとかその豪腕から逃れるヨハン。
「まだ、大丈夫です!」
すかさず、蛍が聖なる光を発すると、それに包まれた彼は意気揚々と敵へと飛び込む。
次の瞬間、光の斬撃が目の前の猩々へと十字に浴びせかけた。
「ウウウウゥゥ……」
全身から血を流し、苦しむ猩々。
決して弱い相手ではないのだが、今回ばかりはイレギュラーズ達の作戦勝ちといったところだろう。
一方で、咲耶が苦慮しながらも、ボスを抑えようと動き回ることになる。
「ウオオオウ!!」
いつの間にか、手にしていた石を投げつけてくる敵。
そいつをもう1体と合流させぬよう立ち回るのが最優先と、咲耶は抑えに当たり続け、接近してから忍刀で刻み続ける。
彼女の傷はルチアが防御しながら、回復へと当たっていた。
もっとも、後で現れた猩々は、瀕死のライバルを嘲笑いすらしていたようだが……。
飛び回る猩々ボスを攻撃するのはなかなかに面倒なこともあり、残るメンバーはヨハンの抑え続ける1体へと攻撃を集中させることとなる。
「一気に行くわ!」
アクアが魔力の槍を投射して弱った相手を追い込むと、レッドも流麗に舞い、猩々の硬い体を切り裂いていく。
「ウウゥゥ、ウウウウウウゥゥ……!」
これだけ傷を与えても倒れないボスのタフネスには呆れすら覚えてしまうが、冥界の見えざる鎌を呼び出したミーナがそれを横薙ぎに振るい、ついに猩々ボスの命までも刈り取ってしまう。
「ウオオオオウ!!」
それを見届けたもう1体の猩々ボス。
喜び勇んでイレギュラーズに襲い掛かってくるものの。
「バカだねえ、そのままお山の大将やってればよかったのに」
少しして、スズがそんな呆れ顔で相手の首筋を切り裂く。
イレギュラーズ達の連続攻撃に成すすべなかったそいつは呆気なく恐れを無し、配下を引き連れて自分の縄張りへと逃げ帰ってしまう。
「無理に追うことはないっすね」
レッドは剣を収め、仲間達の同意を確認する。
あの猩々達の縄張りあってこそ、今から向かうキノコの群生地が手づかずで残されているのは間違いないのだから。
●香り立つキノコをご堪能あれ
2グループの金色生々が縄張り争いしていた島。
片方は命を失い、もう片方は逃亡。
この先、この縄張り争いがどうなるのか、研究者は気にするところかもしれない。
ただ、イレギュラーズ達もそれについてはさほど気にせず。
レッドはしっかりと金色猩々の毛皮を剥ぎ取る。売れば多少のお金にはなりそうだ。
「今回はこいつ……じゃなくて、キノコでしたね」
こいつも丸焼きにして食べそうなもんですけどと、ヨハンはスズに向けてえいやえいやとねこぱんちする。
しかし、母親はそんな息子の攻撃を軽くあしらっていたようだ。
少しして、メンバー達は猩々達の交戦地帯をたどる様に奥へと向かうと……。
程よく木の葉で日の光が遮られたその場所。あちらこちらの木々の根元に香り立つキノコが生えている。
芳醇な香りを漂わせる、メロウマッシュ。
その一帯に広がる香りをイレギュラーズ達は胸いっぱい吸い込む。
「それじゃ、キノコをいくつか採らせてもらいましょ」
アクアは早速、仲間と手分けしてその採取へと当たる。
ルチアも植物疎通を使用し、目に入りにくいところに生えているものを優先的に採っていった。
ある程度採取したところで、メンバー達は海岸へと移動していく。
「すまないけれど、後はよろしくね」
ルチアは運んできたキノコを調理できるメンバーへと預ける。
「幾つかはお土産として持ち帰りたいでござるが……」
咲耶は苦労して手に入れたメロウマッシュを一つ手に取って。
「バーベキューっすよね?」
「うむ、ここはまず実食して確かめてみなくては始まらぬでござるな
レッドの言葉に頷き、咲耶は用意した七輪の火を起こして普通に焼き始めた。
それがまた、香ばしさを帯びて周囲へと広がる。
ぐーー……。
そこで鳴ってしまったのは、蛍の腹の音だ。
「いくら戦闘の後だからって……」
皆の視線を集めた蛍は、恥ずかしさで顔を赤くしてしまっていた。
メンバー達はまず一通り炙ったキノコを口にし、素材の味を堪能する。
「うむ、良いな」
目を覚ましたゼフィラは、それをしばらく噛みしめて頷く。
やや焦げたことで香ばしさを感じさせる風味。
舌触りもよく、程よい歯応え。そして、何より、噛むごとに広がる香りに心地良さすら感じる。
アクアも、まだ熱いキノコを串に刺したまま口にして。
「……あ、これ美味しい」
薄切りにして、スパゲッティーに混ぜるといいかもと思い立っていた。
それらを口にしてなお、レッドは持ち込んだナイフとフォークを手に、ワクワクしながら料理ができるのを待つ。
先に並べられたのは、スズが作ったメロウマッシュのマリネに、バターソテー。
それらは別の風味と合わさり、さらなる旨味を増してくれる。
料理を口にするミーナは前回に引き続いての参加。
また縁があるとは思わなかったと、料理を美味しそうに食べる彼女。
「前回のエビのときといい今回といい、美人と一緒にこんな美味い物食える依頼なら大歓迎だねぇ」
「お世辞がうまいねえ」
ミーナは割と本気で告げていたのだが、スズは軽く流す。
「メロウマッシュの味を覚えてやるっす♪」
レッドが片っ端からキノコ料理を食べていると、そこで、咲耶が作っていた炊き込みご飯が出来上がったようで。
「さあ、存分に自然の恵みを存分に味わうとしよう」
そうして、咲耶も自身の作ったご飯と合わせてスズのキノコ料理の香りを食べ、笑顔を浮かべる。
蛍も期待していた日本人らしい料理に喜び、美味しそうにほおばってお腹の虫を満足させていたようだ。
出された料理を全て平らげた面々。
キノコはまだまだ船内へと積まれてある。
「このキノコ、美味しいのだけど街まで持って帰れないかしらね……知り合いに分けられればいいのだけど」
「私も、2つ3つ持って帰ってもいいかしら?」
ルチア、アクアはそうスズへと交渉する。
「珍味も良いが、美味いものは広めたいタチでね。養殖できないか試したい」
同じく、ゼフィラもそう主張したので、スズは彼女達へとキノコを差し出すが。
「まあ、よっぽどの生育状況が整っていないと、養殖は難しいようだよ」
「ふうん……」
そう言われて引き下がるゼフィラではなく。
あれこれと最適な生育環境について、彼女は考えを巡らすのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは動物知識を活かし、縄張りの範囲をある程度特定したあなたへ。
キノコ料理を美味しくいただけたようで何よりです。
スズさんからの珍獣討伐依頼は、もう1件運営予定です。
そちらはもう少々お待ちくださいませ。
今回は参加していただき、本当にありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
関係者依頼ですが、どなたでもご参加いただけます。
珍獣ハント、2回目の依頼です。
芳醇キノコの群生地を縄張りとする珍獣、
キンイロショウジョウのボスを討伐してください!
●敵
○キンイロショウジョウ(=金色猩々)ボス格2体
ボス格は全長4mほど(他個体は2mほど)。
島のショウジョウ達のボス格です。
金色の長い毛と屈強な体を持ちます。
非常に素早く森の中を跳び回り、
怪力で攻めてくる為、油断ならない相手です。
近距離で締め付ける(物至単・弱点)、めった殴り(物近列・出血)、
遠距離で咆哮(神中特レ・自身を中心に20m以内の相手全て・麻痺)、石投げ(物遠単)を行います。
なお、この敵は非常に肉質が固く、臭みもありすぎて食べるにも食べられないとのことです。
●NPC
○スズ=レーム
猫耳らしき突起をシスターベールの下に持つ、某世界日本出身の元シスター。また、ヨハン=レーム(p3p001117)さんの実母です。
キノコを持ち帰る為、または調理の為、彼女は船を用意して器具を運んでくれます。
近距離でツーハンドソード、遠距離でロングボウを使用できます。
基本的には自分の考えで動きますが、要望があればそれに合わせて行動させていただきます。
●状況
スズの案内の元、海洋にあるとある無人島へと向かいます。
島の内陸部にある森のキノコ群生地を目指しますが、そこにいるキンイロショウジョウが縄張りを荒らされたと襲ってきます。
キノコの群生地は木々が生い茂る場所の為、見通しはあまりよくない場所です。
また、ショウジョウどもはその木々を利用して襲い掛かってくるので、注意が必要でしょう。
ボス格2体を倒せば、他のショウジョウどもも引き下がっていくので、問題なくキノコ……メロウマッシュを採取できます。
事後は、海辺でキノコを焼くなど調理するとよいでしょう。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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