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シナリオ詳細

子育て応援ローレット!!
子育て応援ローレット!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●やんちゃな天使達
 神父は困り顔で首を傾げていた。
「いま、なんと?」
「だからー! お菓子くれなきゃゆーわくしちゃうぞぉー!」
「やめてくださいね?」

「シンプさま、シンプさま、エーテルおよぎたいです……」
「エーテルタンク。貴女はまだ泳げないでしょう」

「あ、コバ様あそこ……ヒールちゃんが屋根から飛ぼうとしてる」
「止めなさい!!」

 足元に集まる幼い少年少女達。
 文字通り困り果てた様子で手元の長い袖を引っ張られている神父は、背後で荷積みに精を出している男達を見た。
「……彼等に子守は無理、でしょうね」
 はて、さて。
 数日だけ世話になった船を降りる前の一時を楽しむつもりだったが、神父は子供達の親たちが不在である事の大変さを思い知らされていた。
 海洋首都リッツパークでこれから更に数日滞在する上、彼自身最低二日は留守にする用事が出て来る予定となっていたのだ。
 そんな大人の事情など知る筈も無く。子供とは無邪気に日々を過ごすもの。
 そうであるべきだと『微笑』フリーザー・コバヤカワ神父は思う。
(とはいえこのままだといけませんか。海洋も物騒な話を聞かないとは言え、それでも一抹の不安要素は残る……
 資金は少ない、期間も今からでは些か……あの国から来ている我々に関わりたいという施設も無いでしょう、さて)
「うきゃー!」
 どうしたものか。そう思考に没する彼は屋根上から飛び降りて来た幼い少女を片腕で抱き止め、子供達の方へ行かせる。
 と、そこで彼は天啓の様にある案が浮かび上がる。
「……彼等に任せてみましょう」
 風で捲れそうになる長い袖を引っ張り戻して、壮年の神父は静かに微笑んだ。

●子供は自由過ぎる
 ……という話を、未だ独り身でBARに通っては実家に叱られている『完璧なオペレーター』ミリタリア・シュトラーセ(p3n000037)は暗い瞳で聞いて来たらしい。
 私にはこの子がいればいい。ロリババアなるロバを抱きながら彼女は不貞腐れ気味に言う。
「それはそれ、これはこれ。私は悪くない、イイですね?」
 エッ、ウン。
「依頼主はコバヤカワ神父と名乗る男性、彼は行商仲間の一団と共に点々と各国を巡りながら浮浪児を引き取っている方の様です。
 情報によれば先月は幻想でも目撃されてるとか。聖職者の鑑ですね。
 依頼内容は海洋にて二日間、彼の保護している子供達の面倒を見て欲しいとの事です。皆様なら問題無いでしょう」
 ミリタリアは卓上へ数枚の写真を並べ、集まったイレギュラーズへ資料を差し出していく。
「今回、彼等は海洋の首都の一画にあるビーチにてキャンプをするようですね。
 皆様に依頼する二日間は保護者であるコバヤカワ神父が不在なのと、人手が不足する時期になるらしく。生活全般が一任されます」

「というと炊事洗濯か……」
 ふむん、とイレギュラーズの誰かが首を傾げる。
「その辺りは問題無いとは思います、子供達はよく手伝いをしてくれるそうですから。主に監督役と遊び相手が必要なのでしょう。たぶん」
「……本当に?」
「詳しい事はそちらの資料と現場で判断して下さい」
「えっ」
 気が付けば、ミリタリアの方がワナワナと微かに震えていた。
「大体……私に子供の事は分かりませんよ……!」
 おいなんでこの人この依頼を斡旋してんだ。
 イレギュラーズは(しかたないなぁ)と資料を手に取るのだった。

GMコメント

 今回は冬のビーチでキャンプ! わッブですよろしくお願いします。

 以下情報。

●依頼成功条件
 二日間無事に乗り切る。

●~主な子供達
 『エーテル・タンク』
 人間種の幼い女の子。青い髪とまんまるな瞳がキュート、推定年齢9歳であるが泳げない。でも泳ごうとする甘えん坊タイプ

 『ロース・ワン』
 鴉の飛行種。活発な女の子で他の子を遊びに誘う事も多いが、直ぐにスカートペラペラしてゆーわくして来るのでちゃんと叱りましょう。めっ
 割と背は高いが幼いイメージが強い。推定年齢10歳。

 『フッド・フォウ』
 とても幼い獣種の女の子。恐らく5歳といった所です。
 よくお手伝いしてくれようとしたりしますが、周りの子供達に流されて危ない事にも手を出しやすいので要注意。
 猫らしく、夜は人と添い寝して寝ないと落ち着かないそう。

 『スカート・ヒール』
 すぐ高い所から飛び降りようとする問題児。オールドワンらしいが、過去に重傷を負っている事もあるので目を離さないで下さい。
 赤い髪と碧い瞳が母親譲りで自慢なのだという彼女は推定年齢6歳の女の子。大抵の遊びは好きですが、ギャンブル事は嫌い。

 ~『その他8人の子供達』~
 彼等はいずれも人間種で、両親はどこかで働いているようです。
 基本的に大人のいう事をよく聞きますが、かといって自由にさせると何処へ行くか分かった物ではないのでしっかりと皆様が一日の過ごし方を決めてあげましょう。

●ロケーション
 首都リッツパークにあるキャンプ用ビーチの一画に、商隊とテントが並んでいます。
 日中は付近にあるコテージ(海の家的)を自由に使って良いと言われており、食事等はそちらで。
 入浴や洗濯炊事、一日の行動に関しては制限が無いため、参加者皆様の自由にしていいでしょう。

 最低限、プレイングで決めるべきは【1日目~2日目の主な過ごし方】【子供達の監督方法】【安全面の対策】の三点です。
 なので、シナリオ中特に指定や行動の無かった炊事洗濯等は自動的に処理されます(デメリット無)

●情報精度B
 不測の事態は起きません。が……既に示唆されているアクシデントは起きる可能性があります。

 以上。
 つまり、ほのぼのと過ごして思い出を作ってあげるもあげないも皆様の自由でございます!
 ご参加をお待ちしております。

  • 子育て応援ローレット!!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年04月17日 21時45分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
ムスティおじーちゃん
エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)
特異運命座標
レスト・リゾート(p3p003959)
遠足ガイドさん
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
お節介焼き
ユー・アレクシオ(p3p006118)
不倒の盾
鴉羽・九鬼(p3p006158)
Life is fragile
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
ヨシト・エイツ(p3p006813)
救い手

リプレイ

●冬のビーチに連れてって
 うみねこにゃーにゃー、さざなみさぶざぶ。
 赤い扇子をひるがえし、『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)は振り返る。
「オーッホッホッホッ! さあ、よい子の皆様!」
 セルフスポットライトを浴び、十字に両腕を広げるポーズをとった。
『『きらめけ!』』
 扇子を畳んで前へ突き出すポーズをとった。
『『ぼくらの!』』
 そして扇子を天空に突き上げると、『特異運命座標』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)と『お節介焼き』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)でナラ○ィブ体操のポーズをとった。
『『タント様』』
「――と仲間たちが遊びにきましたわよー!」
「お子様……『赤さん』に続く、人間の成長における第二段階。赤さんに負けず劣らずの傍若無人っぷりを発揮する大魔王だそうですわね。
 人間に仕える身として、これは情報を集めておかねば」
 ナラティ○体操の下のとこを担当していたエリザベスがキリッとした表情で振り返る。
「その通りなのだわっ。楽しくて素晴らしいお仕事だけど……子供たちの相手をするっていうのは、想像以上にハードなお仕事なのよ。
 世界によってはその専門士や資格があるくらいのハードさ。ある意味戦闘するより大変な可能性もあるのだわっ!」
 ナ○ティブ体操の横んとこを担当していた華蓮が決意のまなざしを光らせた。
「それでも」
「子供たちのため」
「そして子供たちを引き取って回る聖人のため」
「なにより依頼を引き受けたギルドメンバーとして」
「「この仕事は完遂させ」」「ますわー!」「るのでございます!」「るのだわっ!」
「死ぬほど騒がしいなこの組体操……」
 今日は武器はいらないなとラフなナノテクジャージ姿でやってきた『小さき盾』ユー・アレクシオ(p3p006118)。
「ま、いつも戦いばかりしてるからな。たまにはこういうほっこりするのも良いもんだ」
「はい。よろしく頼みます」
 足下に子供たちをわんさか引き連れて、神父コバヤカワは困った顔をした。
「この通り活発な子たちですから、いい加減な委託はできないもので。お金をもっと払えればよかったのですが……」
「気にするな。そういうときのローレットだ」
 日々を過ごしてると忘れがちだが、なんかしらの活動をしていれば必然的に≪可能性(パンドラ)≫が蒐集されていくという≪特異運命座標(イレギュラーズ)≫を管理しているのがギルド・ローレット。ギルド的にはお金は必要最低限にしかいらないという都合から、かなり安価に依頼を投げることが可能なのだ。
 依頼担当者が巡り合わせ式であるため誰が来るのか分からないが、今回はだいぶ適正の高いメンバーがそろったようである。
「レストおばさんって呼んでね~。皆が無事に楽しく過ごせるように、おばさん頑張るわね~」
 なにやら色々入った鞄を抱え、子供の目線にかがみ込む『ビューティーのおともだち』レスト・リゾート(p3p003959)。
「「レストおばさーん!」」
 好奇心強めの子たちがレストのほうへとたかたか走って行った。
「ふふ。折角一緒に過ごすのですし、楽しい思い出にしましょうね。
 私のことは九鬼お姉さんと呼ぶんですよ!」
 えっへんと胸を張ってみせる『Life is fragile』鴉羽・九鬼(p3p006158)。
「「クッキー!」」
「くっきー!?」
 呼び捨てを通り越してあだながついたクッキーであった。
「カカカッ、ガキんちょにンなことわかんねーっての」
 ワイルドに袖の破れたジャケットを羽織り、サングラスをかける『張り子のヒャッハー』ヨシト・エイツ(p3p006813)。
「ヨシトだ。ヨロシク頼むぜガキんちょども!」
「「ヨシトおにーさーん!」」
「理不尽!」
 人見知りしがちな子までもヨシトに近づいて興味深そうにしている。どうやらこの手の仕事が向いているらしい。
 うんうんと頷く『髭の人』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)。
 口には出さないが、目には優しさが籠もっている。
(子供達を見てると息子や孫のことを思い出すんだ。
 高いとこから飛びかかられて腰の骨折ったりしたなぁ。
 大変なこともあったけどもう戻って来ない大切な思い出だよ。
 目の前にいるこの子達もきっと大変な事をしてくれるんだろうなぁ。
 けどちょっとそれが楽しみでもあるんだ)
 ムスティスラーフは『おじいちゃんと一緒に遊ぼうね』といって手を広げ、子供番組に出てくるサンタクロースよろしく駆け寄ってくる子供を抱きかかえた。
「さあ皆、今日から楽しいキャンプだよ。砂遊びにバーベキューに花火! 特別なことがいっぱいあるから、お腹いっぱい楽しもうね!」

●お日様の下の特別な時間
 覚えているだろうか。
 世界を殆ど知らなかった幼い日のことを。
 地球が丸いことも、雲が浮かぶ理由も知らなかった頃のことを。
「うみー!」
 無限に思えるほど広い水たまりに駆け寄る子供たち。
 ひいては返す波の動きに驚き、遊び、水が塩っ辛いことに驚く子供たち。
 そんな彼らの目に映るキラキラは、非定型の理屈が通用しない。
「そういうものだよね。ダメだよって言っても興味が引かれるとフラフラ行っちゃうものなんだ。
 だからこういうときは、別の役目を与えるんだよ」
 ムスティスラーフはぽふんと砂地に座り込むと、泣き真似をして背中をさすった。
「おきあがれないよー。助けてー」
 だいじょーぶ? と言って駆け寄ってきた子供たちがムスティスラーフの手を取り、手を繋いで波打ち際へ引いていく。
「ここ楽しいよ」
「そうだね。けど奥へ行くとすぐに深くなって恐いから、この場所で遊ぼうね」
「えー、でもー……」
 刺激が足りない。子供はただそれだけの理由で悲しくなったり、時には両手両足をばたつかせて言葉にならない意思表示をすることもある。
 が、子守は一人ではない。
「お困りのようですわね!」
 ジョジョ立ち(トリッ○ュ・ウナの立ち方)で現われるエリザベス。
「こんなこともあろうかと、習得しておりました……秘技、他界他界!」
 昇天! とか言いながら子供を抱えては高く振り上げるエリザベス。
 そのそばでは召喚されたマスコット犬型アンドロイド『イヌザベス』がアルミ骨を投げては取り投げては取りを繰り返していた。
「この分なら子供たちがはぐれることもなさそうですね……」
 腰に手を当て、空を見上げる九鬼。
 空にはエリザベスの使役した海鳥『トリザベス』とレストの召喚した白鴉さんが対になって8の字軌道で飛んでいる。子供がどこかへ言ってしまわないように常にモニタリングしているのだろう。市販カメラドローンの本来想定されていた使い方ってコレらしいよ?(いろんなアレでできてないけど)
「皆! 折角二日もここに居るんだから、思い出になるものを一緒に作りましょう。お姉さんがお手本を見せるから、よく見ているんですよ」
 九鬼は水を吸った固めの砂を集めると、なかなか器用に小さなキャッスルを作り上げた。
「いいですか。これを何倍にも……こーんなに大きくしたものを皆で作りましょう!」
 こーんな、といって両腕を広げてみせる九鬼。
 そして押し寄せる波。
 そして崩れる城。
 そしてうずくまって震える九鬼。
「クッキー元気出して」
「波の来ないところなら壊れないよ」
「クッキーお姫様やっていいよ」
 十歳児たちになぐさめられるクッキーであった。

 どんな場所にもやんちゃな子はいるもので、どんなに目を光らせていても危険のある場所に突入してしまう。
 その無謀っぷりは何かのデバッグでもしているのかって思うほどで、車に正面から突入したり川に飛び込んだり屋根から飛んだりする。当然放置すれば死ぬが、当人たちは人間がどうすれば死ぬかということを理屈で理解できていないのだ。
 ゆえに子供用リードが普及するし、ユーがやんちゃくれセンサーになるのである。
「こら、また脱走しようとして。こっそり逃げても分かるんだからな」
 海岸から出て路上に飛び出していこうとした子供を捕まえ、抱え上げるユー。
「お城作りに飽きちゃったのか?」
「そうじゃない」
「なら、一緒にお城を作りに行こうな」
 ユーは子供を抱きかかえると、今まさに巨大な山になろうとしている砂地へと歩いて行った。
「ウッドちゃんウッドちゃん~、おばさんと遊んでくれる~?」
「レストおばさんと?」
「そ。おばさんと~」
「うん……」
 あちこち遊びに行こうとするやんちゃくれな子供たちに触発されそうになったウッド・フォウを、レストが抱きかかえるようにして呼びかけていた。
「大きいお城を作って、一緒に遊びましょうね~」
 プラスチックのスプーンを持たせてやると、ウッドはそれをぶんぶんと上下に振った。
「お城に貝殻をくっつけて、綺麗にしてあげたいわ~。ウッドちゃんはどう思うかしら~」
 手を握り、近くの砂地へ貝殻を探しに行くレスト。
 一方で華蓮は高所に登ろうとダッシュするスカート・ヒールをがしりと掴んでブレーキをかけていた。
「やーだー! あの屋根から飛ぶー!」
 腕をばたつかせるスカート。強引にでも前に進もうとする彼女の肩を掴み、両足でブレーキをかける華蓮。
 六歳といえどなかなかのパワーがあるらしく、ずりずりと引きずられ始めていた。
「どう考えても落ちるのだわ! 飛ぶならちゃんと技術を覚えてからにするのだわ!」
「だからとーぶー!」
 『飛びたい→飛ぶ』というように段階的な思考ができないのも子供の特徴である。なまじオトナになって思考が整ってくるとこの純粋な気持ちを理解しづらくなってくるもので、華蓮は盲目的にならないようにぷるぷると首を振った。
「わかったのだわ。飛びましょう!」
「ほんと!?」
「けどまだスカートは飛べないのだわ。代わりに私が飛んであげる」
 華蓮はスカートを抱きかかえ、ロープで身体が離れないように固定すると、砂浜を走って助走をつけ――勢いよく飛翔した。
「わーっ!」
 顔を見なくてもわかる。スカートは目をキラキラ見開いて、身体にあたる強い風や太陽が乱反射する広い広い海を感じた。
「翼が無くても人は飛べるのだわ。スカートもきっと飛行術を覚えて、一緒に飛びましょうね」
 スカートの赤い髪を撫でてやると、彼女はきゃっきゃと笑った。

 頭上を飛んでいく鳥とスカートたち。
 タントとエーテル・タンクはその様子をぼんやりと見上げていた。
 砂浜に足を伸ばして座るタントと、そのお腹に抱えられるようにして座るエーテル。
「いーなー……」
「エーテル様も飛びたいんですの?」
「んー…………泳ぎたい。海」
「冬の海を泳ぐのは、なかなか厳しいですわねー……」
「およぎたいです!」
 両腕をぶんぶんとやるエーテルに、タントは困ったように唸った。
「そーですわねー……」
 まわりをきょろきょろと見てから、タントはそっと耳打ちする。
「わたくしと一緒なら、ちょっとだけ入れるかもしれませんわよ」
「ほんとに!?」
 タントは靴や上着を脱いで波打ち際に立つと、冷たい水面に足の親指をつけた。
 あまりの冷たさにぴゃっと言いながら引っ込めるも、我慢してくるぶしまで浸かる。
 すると、おでこを両手で晒すようにして足下の海水にぺかーっと光を当て続けた。
 するとどうだろうか、なんとなーく海水が温かくなってくる。
 わりと頑張れば入れなくも無い程度まで水温を上げると、自分から離れないようにしながらエーテルを海水に導いた。
 くるぶしより深く入ろうとすると流石に冷たいが、ぱちゃぱちゃやるぶんには大丈夫そうだ。エーテルはきゃきゃーと言いながら海水を蹴った。
「ありがとタント様ねーちゃん!」
「たんとさまねーちゃん!?」

 子供は大人をまねするもの。
 特に大人の特権をまねたがるものである。
 それは成長しようとする意志の現われであり、知識を深めようとする探究心の発露なのだが、その全てを無条件で許していくわけにはいかない。
「こらこらロース。あんまりスカートをひらひらしちゃあいけねえぜ」
 ヨシトはスカートの裾を掴んで上下に降るロース・ワンを、手で押さえるようにして止めた。
「なんで? ロースおとなだもん」
「かも知れねえな。魅力的なレディを知ってるんだろ?」
「おとなのれでーだもん」
「そうだな」
 ヨシトはロースの頭をぽんぽんとやると、隣に座って目線を合わせた。
「けどそのままだと、イイ女にはなれねえぜ」
「いーおん?」
「色気は女の武器だが、武器はひっこめとくもんだ。いざって時に出すんだよ」
 首を傾げるロース。
「アンタはあと10年もすりゃ誰もがほっとかねぇ美人になる。イイ女……上品なレディを目指せ」
「めざす!」
「カカカッ、わかってんのかねホントに」
 ヨシトが笑っていると、ユーたちがバーベキューセットを設置し終えた知らせが来た。知らせというかエリザベスのホラ貝吹きなのだが。
 顔を上げるヨシト。
「そら、お嬢様。お食事の時間だぜ」
 エスコートするように手を出すと、ロースはどこか自慢げに、よくってよと言ってヨシトの手を取った。

●夜は素敵な時間
 一日目はバーベキュー。二日目はカレーライス。
 華蓮のお料理テクニックと、ユーの真剣な調合術で、どちらもとっても美味しいご飯になった。
 一方の子供たちは孤児院暮らしが板に付いているのか、家事手伝いを割と早くから習得していた。
 5歳程度で包丁の使い方を覚えていて、10歳程度になると火の扱いも心得ていた。恐らく家庭内に存在する危険に対してはコバヤカワ神父がかなり強めに教育していたのだろう。
「「ごちそうさまでした!」」
 手を合わせる子供たちに、ユーはうんうんと頷いた。
「食べ終わったらお片付けをしような」
「「はーい!」」
 この二十時間あまりで、子供たちはユーたちに随分懐いたようだ。それぞれお皿を運び、手分けして井戸水を使って食器を洗い始める。
「いい子たちにはご褒美だ。ほら、花火!」
 ユーが取り出した花火セットに、子供たちは沸いた。

「持ち方に気をつけるんですよ。ここにこうして……」
 九鬼は設置式の吹き上げ花火を手に取ると、砂のお城にちょっとずつさしていった。
 子供たちと一緒に作り上げた大きなお城。
 その周囲を囲うようにして、マッチを擦った。
「ある意味初体験です……ワクワクしますね!」
 九鬼が導火線に火をつけると、花火が次々に点火していく。
 砂のお城は吹き上がるミニマジックフラワーの火花に囲まれ、七色に輝いた。
 歓声をあげる子供たち。
「まだまだ終わりませんわ! ド派手にライトアップしますわよ!」
 タントがぴょんと跳ねると、予め作った台の上からお城を照らし始めた。
 上がるテンションにあおられるように跳ねたり踊ったりしはじめる子供たちに、タントは大笑いした。

 やがて夜は更け、大はしゃぎした子供たちは眠りについた。
「あれだけ食べて騒げば当然だよな。皆ぐっすりだ」
 ヨシトは肩をすくめ、鉄のカップにはいったコーヒーを傾けた。
 テントの中では、ムスティスラーフやレストが子供たちを抱きかかえるようにして寝かしつけている。
 たまに目を覚ましてぐずる子もいたが、ゆっくりと叩いてあげることで次第に目をとろんとさせ、気づけば皆寝静まっていた。
「わたくしは生物学的に子を成すという事はできませんから……良い経験になりましたわ」
「明日にはお別れなのよね。ううっ……」
 寂しくなったのかしょんぼりと肩を落とすレスト。
 ムスティスラーフが、夜の星を見上げて遠い昔を懐かしむような目をした。
「この子たちは、元気に生きて欲しいね」
「ええ……」
 ビーチの星空はまぶしいほどに綺麗で、その下で飲むコーヒーは格別に美味しかった。
 子供たちがそれを知るのはきっともっと大きくなってからだろう。そうなる日が、なんだか待ち遠しく思えた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 おかえりなさいませ。
 代筆を担当した黒筆墨汁でございます。
 皆様が子供たちへ注いだ優しさと愛情を、形に出来ていれば幸いです。
 きっと子供たちは今日のことを大切な思い出にして、大きく育っていくことでしょう。
 五年後十年後、再会することがあったら、今日のことを話すかも知れませんね。

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