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シナリオ詳細

<XEOIX>10011000

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ぼくにだれもふれるな だれもはなしかけるな だれもちかづくな
 巨大な繭が浮いている。
 巨大な繭だけが浮いている。
 不審に思った傭兵が近づいてみると、何かガラス板のようなものにぶつかった。
 透明な壁がある。
 そのことに気づいた傭兵は、壁を壊そうと剣を打ち付けた。
 自慢の剣はしかし、壁にわずかなヒビをいれるのみ。
「おい、何をやってんだ。そんなモンさっさと片づけろ」
 仲間の傭兵が杖をついて呼びかける。
「そうは言ってもな。壁があるんだよ」
「壊しちまえないのか?」
「不可能じゃないだろうが、手間だな」
「仕方ねえ。手伝ってやるよ」
 仲間の傭兵が魔砲を放つが、しかし透明な壁に阻まれる。
 だが徐々にではあるが、壁にはダメージが入っているようだ。
「もうすぐ壊れるぞ。破片が散るかも知れない。すこし離れて――」
 瞬間。
 壁は崩壊し、そばにいた男は消えた。
 剣と、それを持っていた腕と、両足だけを残して、巨大な繭に一瞬で引きずり込まれたのだ。
 人間をそのままミンチマシーンに放り込んだようなとてつもない音が響き、繭から激しく血が漏れ出す。
 そうして……壊れたはずの壁は再生した。
 ゆっくりと首を振り、距離を取る仲間の傭兵。
 杖を構えて警戒するが、そんな彼の背後に回り込むものがいる。
 医者のような白衣を纏った細身の人間もどきだ。
 もどきと言ったのは、首から上が芋虫のそれだったからである。
「こいつは……知ってる。レギオ――」
 そこから先は、なにも言わなかった。
 頭ごと、食い散らかされたからだ。

●閉ざされた心と飢餓
「人を拒絶して生きていても、結局は誰かを必要とする。どうにもインディアレッドな話よね」
 所変わって幻想のとあるバー。薄暗い店内にはサックスジャズが流れている。
 カクテルグラスをカウンターの奥へ押すと、『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)は椅子を回して振り返った。
「ゼオニーターとレギオニーターっていう怪物を知ってる? 巨大な芋虫で、土でも人でもなんでも食べてしまうんだけれど……これがいつしか進化して人に似た形状をとるようになったの。
 けど、それはまだ進化の過程でしかなかったのね」
 ス、とスケッチ画を胸元から取り出す。
 巨大な繭が浮遊しているように見えるが、よく目をこらすと6枚の壁が立方体をつくるように覆っているのがわかった。
「貴族級の怪物。アリストクリエイター……『自閉壁』イディオ」

 ある日、9体のアリストクリエイターがとある幻想領主の城を占拠したという事件が起きた。
 貴族級(アリストクリエイター)とは、兵隊であるレギオニーターを指揮する存在だ。
 むろんレギオニーターより強力。兵隊の特徴に加え、それぞれ特殊な能力をもっている。
「イディオの能力は『透明な壁を作る』というものよ。
 普段は自分を覆うように展開しているけど、状況に応じて位置を移動できるようね」
 壁は頑丈だが、攻撃によって破壊できないことはない。
 しかしイディオの回復に連動して壁も再生するという性質をもっており、壊し尽くすのは至難の業だ。
 一点突破を狙うか、どうにかして壁に隙を作らせるか。どちらかの作戦が必要になるだろう。
 戦闘に際しては、部下にあたるレギオニーター2体も現われるはずだ。これらも計算に入れなければならないだろう。
「イディオはゆっくりとだけど町に向かっているわ。
 今は野原の上を移動しているだけだから被害はないけれど、これが人の多い地域に入ったら地獄絵図よ。そうなる前に、イディオを討伐するように……という依頼よ。
 けれど、あなたまで食べられないように気をつけてね。くれぐれも」

GMコメント

 ごきげんよう。こちらはとある連動シナリオのひとつ。『イディオ編』です。

 オーダーはアリストクリエイター・イディオと配下のレギオニーターの討伐。

【エネミーデータ】
●イディオ
 自愛面で羽化した、浮遊する巨大な繭。
 糸を伸ばして対象を掴み、引きちぎり、繭の内側に引きずり込んで捕食します。
・自閉壁
 透明な壁を6枚。レンジ0~4までの自由な位置に展開できます。
 壁の位置は毎ターン手番時に変更でき、自身の捕食時にHP回復割合と連動して再生します。

●レギオニーター×2
 首から上が芋虫になった人間型の怪物。
 白衣のようなものを纏っている。
 主に素手で戦闘するが、その辺に落ちているものを使うこともある。

★飢餓感
・レギオニーター及びアリストクリエイターが戦闘開始からある程度のターン経過、ないしダメージを負うことで陥る特殊ステータス。
・主行動に追加で【捕食】を行います。
・一定回数の【捕食】を行うことでのみ解除されます。

★捕食
・周辺の木々、石、肉、その他口に入れば何でも食べようとします。
・HPが回復します。
・アリストクリエイターがこれを行った場合、追加でHP最大値、物理攻撃力、防御技術、命中が上昇します。
・肉を食べた場合、この上昇値が増加します。

【フィールドデータ】
 町中の墓地。
 開けた場所で大きな障害物はなし。

  • <XEOIX>10011000 完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月16日 21時30分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

グドルフ・ボイデル(p3p000694)
山賊
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
愛の吸血鬼
マルク・シリング(p3p001309)
ニル=エルサリス(p3p002400)
桜咲 珠緒(p3p004426)
要救護者
白薊 小夜(p3p006668)
盲の剣鬼
フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ(p3p006734)

リプレイ

●ゼノイーター、レギオニーター、アリストクリエイター
 マルク・シリング(p3p001309)は羊皮紙メモの束をぱらぱらとめくっていた。
「過去に出現報告があって、ローレットとの交戦記録もあるけれど……正体は未だ謎の怪物たちは何処から来たのだろう」
 墓地へ向かう馬車の中。
 外をのぞき見れば、寂しい平野が広がるばかりだ。
 墓地周辺に住んでいる人間は(そもそも墓地であるがゆえに)ほとんどおらず、墓守をはじめとする近隣の住民は逃げたか死んだかのどちらかで間違いないだろう。
 戸口ひとつひとつを回って避難を求めるべく説得する必要が無くなったとほっとする一方、その分リソースを空振りしてしまったのではとも思った。
 静かに座席に腰掛けている白薊 小夜(p3p006668)。
「なんでも食べる、ね。以前、依頼で食べられかけたのを思い出すわね……」
「前に相手をしたものと同じ種族か? まあ、前回は取り逃したがゆえ、な。必ず殺す」
 『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)はもはや執念ともいうべき覚悟をもって、意識を集中させている。
「というか、ですよ」
 『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)は小瓶のようなものをひもでくびからさげつつ、ランドウェラたちへと振り向いた。
「レギオニーターとアリストクリエイター、ですか? なんであんなに気持ち悪いんですかね。頑張って退治してしまわないと」
「ん~……」
 座席から足を投げ出し、軽くぶらぶらさせるニル=エルサリス(p3p002400)。
「芋虫の化け物退治か~。虫ってあんまり好きじゃないけど頑張るんだお」
「半端に人型だと、より嫌悪感がありますものね……」
 桜咲 珠緒(p3p004426)は全く同時期に出現したというアリストクリエイターたちの資料をちらちらと見ていた。
 今から彼女たちが担当する『イディオ』という個体は巨大な繭にくるまった何かであるらしいが、他の個体はきわめて人間に近かったりごく一部だけ芋虫や蝶の特徴を残していたりとかなり不気味な外見をしているらしい。
「これ以上人に近づいてほしくはないものです」
「そう、ですね」
 フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウ(p3p006734)は座ったまま膝に手を当てた。
「近寄りたくはならない造形をしていますね。強敵だとも聞いています……が」
「なんでもいい。気色悪ィ芋虫野郎が、このおれさまがブチのめしてやるぜ!」
 『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)はばしんと拳を斧の柄に打ち付けると、獰猛に歯を見せた。
 馬車がとまる。
 下りたグドルフたちは宙に浮かぶ巨大な繭を見上げ、それぞれの武器を構えるのだった。

●作戦
「分かってるな? 狙いはレギオニーターをイディオから引き離して各個撃破することだ」
「そのために【怒り】を付与する……だったな?」
 ランドウェラはそう述べて、グドルフのボウガンを見た。挑発のためだけに用意されたというそのボウガンは、よく見ればなかなかの威力ももっていそうだった。
「他に【怒り】状態を付与する方法は……」
 と、ユーリエは小夜の方を見る。
 その気配がわかったのか、小夜は仕込み白杖をかちりと鳴らして刃を抜いて見せた。
「イディオとレギオニーターが大きく離れてくれていれば、区別して『誘い』にかけることができるわね」
「もしそうならなかったら、どうしましょうか」
 マルクの言葉に、フィーネが小首を傾げた。
「繭(イディオ)はそんなに早く動くのですか?」
「さあ……なにせ新手の怪物ですからね。情報がなさ過ぎます」
「ぶっちゃけイディオの足が遅いこと自体うちらの想像でしかないんだぬ。もし同じ速度で向かってくるようなら……」
「私が向かっていってブロック、だね!」
 ユーリエが刀の柄をとんと拳で叩いて見せた。
 イディオの攻撃をひとりきりで引き受けられるのかという問題は残りはするものの、仲間の中では特に安定して頑丈なのですぐにやられたりはしないだろう。
「最悪俺が抑えに回ってもいいが……」
 グドルフが斧に手をかけたが、小夜が小さく首を振った。
「レギオニーターに【怒り】を付与する意味が消失するから、お勧めはできないわね」
「あとは出たとこ勝負、だな」
 ランドウェラは呪印を刻み込んだ腕を細かく動かし、顔の高さで拳を握り込んだ。
「さあ、行くぞ。今回は逃がさない」

 全員に先んじて、グドルフは慎重にレギオニーターへの射撃可能ラインまで近づいた。
 レギオニーターは特に理由が無ければイディオの近くに居続けるようで、2体ともじっとしている。こちらが見えていないわけではないはずだが……。
「まずは一発。誘い出す」
 グドルフの挑発射撃。
 打ち込まれたボウガンの矢を、しかしレギオニーターは自らに刺さる前にキャッチ。グドルフのほうへ顔(というより口)を向けると、勢いよく走り始めた。
「来やがった!」
「一体だけ?」
「いや――」
 グドルフは仲間たちのもとへきびすを返す。振り返ればレギオニーターは2体まとめて走ってきていた。
 更に言えば、イディオもほぼ同速で浮遊移動していた。
「足が遅くないパターンだ! ユーリエ、急――ぐお!?」
 走り始めたグドルフが唐突に転倒した。
 見えない壁に激突したかのような様子だが、よく見ればグドルフの前方を塞ぐようにして透明な壁が置かれていた。
「狙いはおれか!?」
「壁を迂回できない!?」
「でき……ねえ! くそ!」
 グドルフが前後左右に斧を振り回したが、それぞれで透明な壁にぶつかった。囲まれている。
 ユーリエがイディオめがけて突撃。
 刀をダブルで抜き放つと、跳躍と同時に勢いよく斬りかかった。
 繭の堅さに刀が阻まれる。
 そんなユーリエの足を掴み、振り回すレギオニーター。
 投げ飛ばされたユーリエをキャッチして、フィーネは神子饗宴をはじめた。
 捕食されたくはない、が。この距離感だとレギオニーターの移動一回で首根っこを掴まれてしまう。仲間がどれだけ壁になってくれるか。
 そして、イディオの壁をいかにして制御ないしは破壊、ないしは目測するかにかかっている。
 小夜が走り出した。
 弱いところから叩かれるとキツイ。まずは敵の狙いを少しでも自分に集中させるところから始めなければ。どうやらイディオは『獲物がいたのでつかまえた』程度の感覚で動いているらしい。戦術的判断ができるとはあまり思えない。(もしそれができるならもっと効率的な追い詰め方がある)
「グドルフさんを囲った壁は『上』だけが空いてるわ。珠緒さん、なんとか支援してあげて」
「はい、どうにか……」
 珠緒は自らの血液を指につけ、ふくらはぎに印を刻む。ホップステップで空を蹴り、透明な壁を乗り越えてグドルフのそばへと着地。
 グドルフを抱えると、大きく力を込めた。
「大丈夫なのかそれ」
「たぶんだめです!」
「だめなのか!?」
 ふんぬと言って飛び上がる珠緒。ジェットパック相当の簡易飛行能力ではすんごく頑張って壁を飛び越えるのが精一杯であったらしい。珠緒は血を吐いて顔から落ちた。
「珠緒おおおおおおおおおお!」
「だいじょうぶですむきずです」
「血まみれじゃねえか!」
「だいじょうぶですのーだめです」
「先に行きますよ」
 マルクはイディオにできるだけ近づかないようにしながら、回復の優先順位をはかっていた。
 メガ・ヒールの有効射程はレンジ2。イディオからレンジ4の距離をはなした場合近接戦闘を行なう小夜に回復が届かないことになる。これらの二択が迫られた時、マルクは回復を優先することに決めていた。
 であると同時に、マルクのもつ軍師効果とフィーネによる神子饗宴の効果が小夜の『誘い』に上乗せされ、なかなかに信頼性の高い誘いを仕掛けられるようになった。
 わざと無防備をさらす小夜に、レギオニーターが飛びかかる。
 誘いにのった分けでは無いが、『味方が攻撃したから』程度の理由で同時に攻撃をしかけにいく二匹目のレギオニーター。
 イディオもそれに加わり、糸を伸ばして小夜の腕を引きちぎり始めた。
 こちらの最大回復総量に比べて敵側のダメージ総量が多すぎる。
 小夜一人に任せるべきか、それともダメージの分散をはかって耐久時間を延ばすか。
 ランドウェラは呪装化した右腕で二本指を立てると、火の玉を無数に生み出した。
「レギオニーターだけを釣り上げる作戦はうまくいかなかったようだが……この場合はどうする」
 キッと眉尻をつりあげるニル。
「プランBだぬ!」
「プランBとは?」
「ないお! そんなもん!」
 ニルはレギオニーターめがけてダッシュすると、跳躍、宙返り、顔面めがけてのしっぽアタック(蹴り)を繰り出した。
「うおらー!」
 更にランドウェラの火の玉が次々に叩き込まれていく。
 咄嗟に防御姿勢をとったレギオニーターにそれらは直撃し、身体を派手に吹き飛ばした。

 プランB(ふつうの真っ向勝負)が始まった。
 ただの勝負と違うのは、イディオの壁対策が用意できなかったこと。
 たとえばグドルフのように四方を囲まれたときの対策や、イディオが自閉モードになった時の対策を『殴って壊す』以外に用意していなかったことである。
 いっそのこと色でもつけて目印にするという手がなくもないが(珠緒が偶発的に血を吹きかけて2~3枚の壁が識別可能になった)、破壊してから再生した際に綺麗に元通りになりそうなのと、色をつけるのに一行動つかうデメリットはその後の作戦におけるメリットに対し釣り合うかの問題を特に考えていなかったので、結果として力とパワーでぶん殴る作戦へと行き着いた。

 例外として。
 小夜はイディオの発生する壁の位置が『見えて』いた。
 視力がきわめて弱いかわりに、空気や魔力、振動や臭い、そして音など微細な変化で周囲を把握している小夜にとって、『よく見えない壁』という特徴は無に等しい。
 それゆえ壁が自らに迫るのを、囲い込もうとするのを、ギリギリで飛び交わすことができた。
 イディオはあまり複雑な思考をしていないらしく、そんな小夜をどうにか捕まえようと必死に壁を移動させている。
 その一方で攻撃に対する防御として壁を残さざるを得ないようで、中途半端な数の壁が小夜を狙うことになった。
 しかし。
「逃げ続けるのもここまで、みたいね」
 がくりと膝を突く小夜。
 腕を失い。肩口からはおびただしい血が流れている。
 イディオ以上にものを考えられるらしいレギオニーターたちは、そんな小夜を狙って飛びかかった。
 味方の回復で取り返せる分量では、もはやなくなっている。敵の攻撃はそれだけ酷いダメージをたたき出していた。マルクとフィーネはギリギリ生き残らせるのを狙うか、自分たちが安全圏へ逃げるかの二択を迫られていた。
「できることをしましょう」
「はい……」
 二人は力を合わせ、最後まで味方の回復に集中することにした。

 状況は変化し続ける。
 小夜から始まり味方の三人までが倒されたことで、味方に焦りの色が出始めた。
「芋虫やろう! ボッコボコにしてやるんだぬ!」
 ニルのパンチがレギオニーターを殴り飛ばし、見えない壁に激突。
 崩れ落ちたレギオニーターを勢いよく踏みつけ、トドメをさしにかかる。
 そんなニルを横からかっさらうように、二匹目のレギオニーターが首を掴んで振り上げた。見えない壁にニルを叩き付け、意識がぐわんとした所で肩口を食いちぎる。
 レギオニーターたちが飢餓状態になったらその辺の石や土を投げて喰わせようという作戦が一応ありはしたが、それに一行動使うのもどうかという点と、レギオニーターたちの思考力があれば普通に投げた土を無視して腕の方を喰うだろうという二点からその作戦はとらずにいた。
 そのこともあって、珠緒の役目は戦闘不能になった敵味方を戦場外に逃がすこととなっていた。
「すずきさん、こじまさん!」
 ダッシュでやってきた二体のロボットが倒れたレギオニーターとニルをそれぞれ担いで、遠いどこかへ逃げ去っていく。この要領で倒れた小夜たちも逃がしたわけである。お手柄である。(余談ではあるがこの作戦のために珠緒は仲間をギリギリまで回復させるより自分が生き残る方を優先した。これがないとかなり危なかったとも言える)
「お前もだ。一匹たりとも逃がさん……!」
 ランドウェラは呪装化した右手のひらを翳し濃縮された悪意の呪いを発射。
 レギオニーターの片腕に着弾し、方から先をまとめて吹き飛ばした。
 ガッとないてよろめくレギオニーター。
 ユーリエが飛びかかり、ふたふりの刀を高く振り上げた。
「これで最後です!」
 刀を覆う血色の妖気が、レギオニーターを三つに切り裂いていく。
 その直後、ユーリエを無数の糸がからめとった。
「あ、う……!?」
 抵抗する手足その全てに糸が絡みつき、ユーリエの肉体がまるごとイディオの中にすばやく引きずり込まれていく。
「ユーリエさ――」
「助けにいくな。奴の作戦通りだ」
 不本意だけどな、とグドルフは歯噛みし、珠緒とランドウェラに『投げろ』と怒鳴りつけた。
「ユーリエさん、無事でいてください!」
 珠緒は手にした小瓶を大きく振りかぶり、そしてランドウェラもまた宝石のようなものを振りかぶり、同時にイディオめがけて投げつけた。
 ユーリエと一緒に内部に引き釣り込まれたそれらが、内部でばきりと音をたてて砕ける。
 いや、ユーリエの足や腕が強引に噛み砕かれた音に混じって、それが聞こえた。
 悲鳴、だろうか。
 ギイという奇妙な声がしたかと思うと、半壊したユーリエがはき出される。
「やっぱり喰っていやがったか引きこもり野郎。心を込めた瞬間接着剤だ。うめえだろう?」
 グドルフは獰猛に笑うと、イディオめがけて飛びかかる。
 ゆがむイディオの繭。
 珠緒が、ランドウェラが、続いて飛びかかる。
 そして……。

●全ては墓の下
 ぐちゃぐちゃの、もとが何だったのかすら分からないような物体が、墓地の平地に散らばっている。
 それがアリストクリエイター・イディオの中身であったと言われても、誰もぴんとはこないだろう。
「芋虫のまま一生を終えたか。ま、似合いの末路じゃねえか……?」
 血まみれの身体で、グドルフは深く息をついた。
 墓周辺で起きたかもしれない僅かな被害を覗けば、イレギュラーズが駆けつけてから起きた人的被害はゼロ。
 イレギュラーズの数人が酷い怪我を負ったのみで、この事件は幕を閉じたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ユーリエ・シュトラール(p3p001160) [重傷]
愛の吸血鬼
白薊 小夜(p3p006668) [重傷]
盲の剣鬼

あとがき

 アリストクリエイター・イディオ――討伐完了

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