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シナリオ詳細

<永縁の森>銀化粧のフォーリスト

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――きらいよ。みんな、みんなきらい。


「聞いて! ねえ、ローレットのイレギュラーズ!」
「ニンゲンでもいい人なんでしょう? 聞いてくれるかしら」
「落ち着いて。まずはご挨拶を」
 ふわりと宙を舞い踊った精霊たち。『夜鷹』 エーリカ・マルトリッツ (p3p000117)は彼女たちを「大切な友人」と呼んだ。
 炎、水、風、土、其れから――エーリカを見守っていた精霊たちの内、『自由なる風乙女』シルフィード、『優しき水乙女』ウンディーネ、『星の落とし子』ベガが特異運命座標達の前へと姿を現した。
「偶にはニンゲンにお願いするのもいいかと思ったの。面白そうじゃない?」
「そうね。けど、これは本当に大事なお願いなの」
 明るいシルフィードに頷いたウンディーネはイレギュラーズ達に精霊たちの間での噂を伝えた。

 ――『銀の森』に入るなかれ。

「銀の森……っていうと、あのラサと鉄帝の間の?」
 世界を旅するパサジール・ルメスにとっても精霊は縁深き存在だ。その一員たる『パサジールルメスの少女』リヴィエール・ルメス(p3n000038)は三精霊たちの言葉に首を傾げた。
「ある意味、観光地って称されるほどに平和で、何事もない場所じゃないっすっけ」
「ええ。けれど、星が廻る様、時も駆ける。その姿は、変わりゆく――」
 穏やかに目を伏せたベガ。リヴィエールが知っている銀の森は万年雪が降り積もる穏やかな場所だ。その地は雪景色が肌寒さを感じさせるが砂漠地帯より流れ込む温和な空気で気温は決して高くはない。モンスターの数も少なく、小動物が多いために『観光地』として幻想ではガイドブックに載る場所だ。
「その『銀の森』が最近可笑しいの。森に入った冒険者も、あたし達の『仲間』でさえ、出てこれなくなっちゃって――」
 シルフィードは怯えた様にわざとらしく身を縮め首をふるふると振った。
「精霊まで……?」
「そうなの。精霊(わたし)達は皆、ニンゲンとは違う存在。なのに……」
 リヴィエールにウンディーネは困った様に肩を竦める。
 精霊たちでさえも囚われた様に森の中に封じ込まれている。精霊たちが言うニンゲン達は無力な冒険者達のことも含むのだろう、だが――『観光地』と呼ばれたその場所に踏み入れた人々が返らないというのは可笑しな話ではないか。
「精霊たちさえも出てこれない。このままだと被害が増える、っすか……?」
「そう。だからニンゲンにお願いしたいのです」
 ベガの言葉を聞きながらリヴィエールは特異運命座標に向き直る。
「実は、銀の森に向かったという冒険者が行方不明になっているということ、それを探索してきて欲しいという依頼が方々より出て来たっす」
 それは、幻想貴族が観光に行っただとか、冒険者を派遣したら返ってこなかっただとか、そういうものだが、数が多くなってきたことからローレットも状況の確認に乗り出そうという話になったのだ。
「行方不明になっている10名程度――多分、10名だと思うっす――の救出をあたしからはお願いしたいっす」
 リヴィエールの言葉に精霊たちは「それから森の様子についても教えて欲しいの」と不安げに告げる。
 安心して過ごせないと云う彼らを救うのもまた『特異運命座標』の仕事だろう。
「森の中には黒いワルモノがいるらしいって言ってたわ!」
「ワルモノ……?」
「ワルモノを生み出す魔種がいるという噂です」
「魔種……」
「その魔種が『雪泪』を中心に道を変化させてる見たいって聞いたわ」
 一度入れば、その道は徐々に変化していく。
 リヴィエールは別動隊に『迷宮』の消滅を依頼しながら、特異運命座標たちへと「要救助者の救出を」と願った。
「森の中に火の気配。でも精霊(あたし)達とは違うわ!
 なんだか、何かが『結びついた』みたいな感じなの。……分からないけれど」
 入る事が出来ないから、と申し訳なさそうに告げたシルフィードにリヴィエールは成程と頷いた。

GMコメント

 夏あかねです。

●成功条件
 ・銀の森よりの帰還
 ・行方不明者(10名)の救出

●<永縁の森>
<永縁の森>の冠を持つ依頼は『調査』『探索』が重要となります。
本冠を持つ依頼の達成により、世界に何らかの変化が訪れます。幸運を祈ります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

●『銀の森』
 ゼシュテル鉄帝国とラサ傭兵商会連合の国境を跨ぐ様に存在する森です。
 溶けない万年雪に覆われた雪化粧の美しい森です。その姿とは掛け離れ砂漠地帯から流れ込んだ温暖な空気が優しく、観光地としてもよくガイドブックに掲載される場所です。
 森は中心部に『雪泪』と呼ばれる深い湖が存在し、その湖には鉄帝特有の『失われた古代兵器』の残骸が沈んでいます。もはや起動することのなくなった兵器は深い眠りについたまま一種のオブジェとして親しまれています。

●精霊たち
 雪と氷、そして、星と雨の精霊たちが住まっています。彼らは皆、特異運命座標には好意的ではありますが『何かに怯えている』ようです。言葉は通じますが対話には何らかの工夫があった方がよいでしょう。
 また、魔種が存在しているという事からその魔種の許より飛び出した『黒き獣たち』の対処を彼女立は望んでいるようです。

●要救助者*10
 それはローレットに寄せられた依頼です。
 例えば、貴族の嫡男による観光。例えば、冒険者。其々どこにいるかは解りませんが、放置しておけば獣にころされてしまう可能性もあります。至急、捜索が求められます。
 ……けれど、その近くには『なんらかの他の存在』があるようです。

●黒き獣たち
 それは魔種の生みだした黒き獣です。――と――。そして――の気配を感じさせます。
 ただ、――であるため、その力は弱く、何かを喰らわんと森をうろついているようです。

 情報精度はE。
 よろしくお願いいたします。

  • <永縁の森>銀化粧のフォーリスト 完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月24日 22時10分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)
夜鷹
ヴェノム・カーネイジ(p3p000285)
双色の血玉髄
オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)
腸々と蠢き続ける思考の鍵られt
ヨハン=レーム(p3p001117)
寂滅の剣
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
朱鬼
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
煌きのハイドランジア
モルセラ・スペアミント(p3p006690)
特異運命座標
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
黒鴉の花姫

リプレイ


「うん、うん、わかってる」
 動植物、元素に宿りし精霊――対話をしながら『夜鷹』エーリカ・マルトリッツ(p3p000117)が訪れたのは友人たちが齎した情報。鉄帝とラサの国境にある観光地『銀の森』。
 ガイドブックに掲載されるその場所は常であれば穏やかな気候と幻想的な風景が非常に魅力的なのだろう。
「……他者を遠ざけようとする一方で、招き入れるようなやり方。嫉妬と羨望。愛憎。
『海の底』を思い出す。『嫉妬』か。いや、違う? 複数の魔種が絡む気もする。
 火の気配。残された古代兵器。『憤怒』か。――確かに『憤怒』はこの国の担当っぽいっすけど」
 からからと笑った『爆弾』ヴェノム・カーネイジ(p3p000285)。しかし、その表情に浮かぶは常の明るさではなく好機が強いといった方がいいだろうか。
「憤怒の魔種さんじゃない別物が居そうな気もしますよねー!
 なんていうか、憤怒も嫉妬も羨望も愛憎もすべてごった煮になってて……」
 うーんと悩まし気に声を漏らした『キャットリーダー』ヨハン=レーム(p3p001117)に『Storyteller』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)は「酷く『強欲』な感情だ」と冗談めかす様にそう言った。
「『強欲』……成程、それはそれで有っすね」
 美味しそうだという様に舌をぺろりと覗かせたヴェノム。樹の幹にリボンを縛り付け、傍らのパカダクラを撫でた『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)。
「人探し、と……お話、聞きたいな。
 精霊とは、お話しできない、けど……死んじゃった人とは、お話できる、から……できることを、確実に。ここに来てるのは……私だけじゃない、から」
「ええ。死者は『見てきたこと』を教えてくれるはずだものね」
 トロンベが頭をぶんぶんと振り、冷ややかな雪の感触がエモいと『煌きのハイドランジア』アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)に伝えてくる。
「トロンベ、パカダクラなのに寒さ苦手なの……? そんな事ないでしょ?」
「ふふ……動物も表情で雄弁ですね」
 小さく笑みを漏らした『守護天鬼』鬼桜 雪之丞(p3p002312)。幾ら空気が温暖であろうとも、雪自体は冷たい感覚を与えてくる。
 動物――黑き獣。精霊たちが言っていたそれを思い浮かべて『特異運命座標』モルセラ・スペアミント(p3p006690)は納得いかないという様に唇を尖らせた。
「黒い獣はワルモノ? 具体的被害があがっていないのに何故?」
「それはきっと、この迷宮を『迷家』のように仕立てた魔種の情報からでしょう」
 雪之丞は云う。ローレットの資料庫――関係者や自身の知り得た情報を蓄積する場所だ――アト・サインが寄せた情報に乗っていた迷家作成の魔種『メルカート・メイズ』。彼女は黑き獣を堕とし動かしている。
「獣自体がトロンベの様な生き物ではなくて、魔種が生み出したものなら」
「ワルモノ……なのね」
 モルセラはカンテラを揺らし、只、静かに息を付いた。


 怖い怖い『黒い獣』には会いたくない、から、なるべく素早く動くよ――
 足元を気を付けながら雪の中を歩み続ける。別動隊が雪泪の迷宮へと踏み入れると同時、森の中を一斉に捜索することとなった特異運命座標達。
 戦闘時になれば後方で待機して欲しいと保存食と水を積んだサラマの当た名を撫でたエーリカはゆっくりと目を伏せる。
 感じ取る、確かに『精霊たち』の存在を。
「こんにちは。わたしたち、外からきたの。
 精霊(あなた)たちに導かれて――精霊(みんな)を、森を、助けてほしいんだって」
 エーリカは柔らかに、怖がらせぬようにと言葉を選ぶ。
 彼女が精霊との対話をすると同じく、周囲の霊魂を探す様に見回していたアイリスに雪之丞はお手伝いしましょうと己が世界より齎された贈物により霊魂を集める。
「喰らう訳ではございません。……しかし、狂気に振れる物が居ないとも限りません。念には念を入れましょう」
 霊魂は白黒付けて判別つくが動物や精霊たちにもと気を配る雪之丞。ゼシュテルパンを背負ったパカダクラは他のパカダクラ達と同じ様にトロンベ曰く『ヤバいエモい雪』の感触を楽しんでいる。
 上空からファミリアーと共に探査を行うアリスが地上に降り立ち精霊と霊魂から情報収集を行う仲間の許へ「東に一人、救助者がいるみたい」と告げる。
「天気の崩れも心配なさそう。このまま前進して救助に回りましょう」
 淡々と告げるモルセラにヨハンがこくこくと頷いた。精霊たちと協力すれば救助もより効率がいいはずだ。
「できる限り黒き獣の対処も約束して……。
 今回が解決までいかずとも、必ずローレットが森の平穏を取り戻す事を誓いますっ!
 精霊さんはこう、僕のメイド服のポケットとかに隠れてて良いですから! ふかふかですよ!」
「……精霊が、笑ってるみたい」
 必死なるヨハンの説得(?)にエーリカがぱちりと瞬いた。精霊たちも皆、『面白い』説得だと思ったのだろうか。メイド服のポケットはふかふかで、隠れるに適してるのかしらとざわめく様に囁き合っている感覚がエーリカには感じ取れる。
「『精霊も救う』――成程。
 情報少なく殆ど不明で救出活動。此れは英雄の出番以外に何なのだ。物語を始めよう」
 英雄らしからぬとは言わせぬと『感情封印』し、精霊に怯えられぬようにと気を配ったオラボナは「壁役は我等『物語』だ。肉の味を晒そう」と獣の気配を探す様に周囲を見回した。
「精霊や霊魂は『ここから出られない理由』については想像ついてるっすか?」
 方向感覚が狂うのはモルセラやエーリカが木々に括りつけた標を辿ってみて分かっていた。方向の感覚も、空の色さえも『おかしな環境』に見える。アリスを探すように見上げたヴェノムは「太陽の向きが可笑しいっすね」と静かに呟いた。
「まるで、人為的に『そうされてるみたい』だ」
「魔種の迷宮の影響が出てるんでしょうね。きっと、その能力で森も迷宮に変わりつつある――雪泪の迷宮から滲む影響が外部にも出てる……そう言う事だと思うわ」
 空から見れば湖の付近は黒い靄がかかっていたとアリスはそう告げた。
 霊魂たちは皆、怯えるように『出れない』と告げ、そして
「――炎?」
 アイリスがぱちりと瞬く。それは雪之丞とて同じだ。
「炎、ですか」
「霊魂が……精霊たちが言っていたように『炎の気配』を感じてるらしい……」

 ――焔の気配。でも精霊(あたし)達とは違うわ!
 なんだか、何かが『結びついた』みたいな感じなの。……分からないけれど――

 それはエーリカの友人たちが言っていたものだ。一人、また一人と探査や非戦スキルを使用しながら救出し、そしてパカダクラ達と共に保護を行う特異運命座標達は霊魂が『悪い物ではない』『黒い獣から助けてくれた』という炎を警戒するように周囲を見回した。
「あっち」
 指さしたヴェノムにオラボナが「『救いの聲』か」と黒の肢体を揺らした。
「……行きましょう」
 雪之丞は霊魂の気配が薄くなったその場所に向けてじいと目を凝らす。
「魔種の情報を元にすれば、霊魂や精霊が食料でしょうか?」
「精霊たちが、怯えてる……」
 エーリカの呟きにヨハンも大きく頷いた。心なしかメイド服のポケットが重たいのはきっと精霊たちからのSOSなのだろう。
「――……獣?」
 怯えるようにアイリスが言う。モルセラは「恐らくね」と静かに呟いた。
 この先に血潮の匂いがする。救助すべき人の息遣いもする、行かねばならないのだというヴェノムの言葉に従い進む面々の表情には緊張が浮かんでいた。
 先ずは、と玲瓏と響く声音を震わせたモルセラが「ローレットへの依頼で救助に来たわ、これで帰れるのよ」と救助者へと声をかける。
 周辺を警戒する様に見回したアリスはパカダクラに「下がっていて」と静かに声をかけた。
「ダカァ……」
「いいこ」
 アイリスの肩に止まった鴉は帰り道が分からないという様にその身を震わせ、パカダクラの上へと移動する。
「……魔種の特異な能力が……道をくねらせてる……」
 だから、分からないんだと囁いて救助者達を連れて出るための準備をするとパカダクラと救助者を確認してアイリスは怯えた様に獣の唸り声を聴いた。
「……『森の異変』はつい最近、砂蠍が幻想に来てから……。
『迷い込んだ人々の居場所』は、精霊(みんな)や霊魂と力を合わせれば大丈夫。
『皆が恐れているもの』――それは、彼……?」
 エーリカがじっと見つめたのは姿を現した黑き獣。ぐるると咽喉鳴らし飛び込まんとしたそれをオラボナとヴェノムが対処するように動く。
「観光ガイドブックに載ってる休憩所に救助者が来ていた、ジャストっす」
「物語にはありがちな『記録』のポイントか」
 獣を相手取りながら距離を離し出来る限り救助者を安全地帯へと向かわせる。
 その獣はよほどの強さではないが――どうやら『無数』存在していることがわかる。
「『皆が恐れているもの』は雪泪から出てきてる……?」
 妹力で愛らしく精霊たちと接していたオラボナはエーリカが怯える精霊たちを宥める様子に視線を配る。
 雪之丞が敵影を確認しながら転化した存在がワルモノと呼ばれた黑き獣だけである事を認識したと静かに告げる声にアリスは只、頷いた。
「獣を倒したら消えてしまった、これは?」
「魔種は敵対者が入ってくることなんて想像してないんすよ。
 だから、こんな紛い物みたいな獣で事足りていた。此処は彼女のテリトリーで、救助者は僕らが侵入者ってことすよ」
 ヴェノムが告げた事に「侵略ですね」とヨハンは困った様に首を傾いだ。
「元からいた精霊は魔種(あのひと)より弱いから、其処に乗り込んで場所を奪ってるんですね! 確かに、悪い奴!」
「さっきの獣を見ればワルモノなのは分かったわ。獣も……沢山いるようだしね」
 一刻も早くと探索し、探し求める特異運命座標たち。
 救助者達に食料を分け与えながら、時の流れをはかる様に空を見上げても太陽の位置は『変わっている』。この森に入った瞬間に全てを包み込む様に特異な空間となって居る其れは、魔種の特殊能力であり、雪泪の迷宮内では『この場の特異運命座標』達が感じる時間の何倍もの時間が過ぎている――時にさえも干渉するように、否、時を狂わせるように迷宮は存在しているのだろう。
 獣と相対しながら最後の10人目へとヨハンが安心したように手を伸ばす。
 精霊と霊魂に礼を言い、雪泪の迷宮が壊れれば外に出れるはずだと告げる精霊たちと共に「標」を辿りゆっくりと歩き出す。
「後ろだ――!」
 何者かの気配に惑わされぬように振り仰いだヴェノム。焔の爆ぜる音と共に、黑き獣がのけぞった。
 ヨハンのポケットの中の精霊たちは安心した様にその『炎』へと近づいていく。
「えっ」
 どうしてと顔を上げたヨハン。武器を構えた儘、黑き獣の出方を確かめていたアリスが一撃投じれば靄は霧散するように消えていく。
「獣はどうにかなった、けど……?」
 背後には一人の男。それが、精霊たちの云う何者か、なのだろうか。
 ヴェノムが武器を構えた儘じっとりと彼を見る。悪い物じゃないと告げる霊魂や精霊の聲にヴェノムは「どういう事っすか」と静かに呟いた。


「――貴方は、『何』でございますか」
 目の前に現れた焔の気配の青年。魔種でない、とヴェノムが呟いたその言葉に雪之丞はじっとりと確かめるようにそう告げた。
 青年は首を振る。炎の気配を残し、ゆっくりと雪が被さった森から出るための路を示す様に。
「時期に雪泪の迷宮が消滅すれば出られる。
 だが、もう一度この森には迷宮が出来上がるだろな」
「どうして」
 そんなことがわかるのと聞く様にモルセラはぱちりと瞬いた。彼が何者であるか、信頼に足る存在であるかをモルセラは計り兼ねている。
 青年は「魔種はこの森に『逃げて来た』のだろう」と只、興味なさげにそう言った。
「『なんらかの他の存在』――そう呼ぶのも非常に異形(べつもの)らしい。
 物語には登場人物の名前が設定されているはずだ。一つ、聞こう。名は?」
 ゆっくりと確かめる様に聞いたオラボナに青年はゆっくりと顔を上げる。
 焔を纏う髪。噴く様に身体から漏れ得る炎の気配。純種として知っている姿ではない彼。
「『フレイムタン』」
 俺の名前だと告げられたそれを繰り返す様にアイリスは「フレイムタン」と告げた。
「……生者……なんだね、でも、その姿は……」
「獣と別物っすよね? 旅人で、行方不明者の一人っすか?」
 じろりと確かめるように見遣ったヴェノム。ヨハンは「魔種や強敵、予想外のハプニングで言えば『ハプニング』ですけど!」と冗談めかしてそう言った。
「まさか旅人じゃないなんて言いませんよね!?」
「――そのまさかだとすれば?」
 フレイムタンの言葉にぱちりとヨハンは瞬き「え?」と雪之丞を振り仰ぐ。
「……彼が言うのであればそうなのでございましょう。
 拙達とは違い、この世界で生れ落ちた、確かにそうだというのならば――」
「精霊が、言ってる……。貴方は『精霊』なの……?」
 ぱちり、と瞬くエーリカ。精霊達はフレイムタンに対して『何らかの好意』を抱いている。
 その様子は自然が幻想種を好む様なもので。彼が精霊であるならばその好かれ方も理解できる、しかし、しかしだ――精霊は世界の至る所に存在していることを理解せぞ『こうしてその姿を人と同じ様に顕現させる』事はない筈だ。
 エーリカの言葉には応えぬまま、「人間を救いに来たんだろ、消耗してるのなら」と出口へ向かうように促してくる。
「答えは、くれないんだ……?」
「今は」
 その時ではないのだという様にフレイムタンは背を向けた。アリスが言う――「どうして貴方はここに居るの」と。
「森(このばしょ)を壊されるのが我慢ならない、只、それだけだ」
 背を向けて、去っていく。その背を見送りながら、まずはと人命の救助に当たったのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――続く、続くのです。

 銀の森、お疲れさまでした。
 本件では『<永縁の森>の冠を持つ依頼は『調査』『探索』が重要となります』という情報の許、で皆さんがどのように動くかで世界情勢を大きく揺さぶる事となっておりました。
 無論、成功条件にプラスアルファされるものですので、それは必要なものではありません。
 先ずは皆さんが『無事に帰ってきた』事をお喜び申し上げます。
 依然として謎の多いこの銀の森――その謎は深まるばかりです。

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