シナリオ詳細
QR学兵戦記 ローレット・インストラクターズ
オープニング
●
鉄帝北東部に広がる山岳地帯コーサイド。
この地方では人類を自動的に攻撃する古代兵器軍デミウェポンとの戦いが深刻化していた。
古代に作られた自動兵隊生産システムが暴走し次々と生まれる兵隊が人類をただ無意味に駆除し続けるという悪夢だ。
コーサイド部隊の守りをじわじわと食い破られ、デミウェポンの支配地域は広がっている。
そんな中、軍上層部よりある決定が下された。
「『学兵の戦線投入』……ですか?」
会議室の一席についたコーサイド部隊の大隊長『初富』は、上官の言葉に表情を険しくした。
「お言葉ですが学兵たちの練度は十分と言えません。指導員をつけるにも戦線は人員不足。焼け石に水かと……」
「ああ、分かっている。それでもやって貰わなければならない。兵士の人命を優先していれば確実に戦線は崩壊する。後方の民は残らずデミウェポンの餌食となるだろう」
「…………」
デミウェポンの残忍さは身にしみている。
奴らが市街地へ入り込めばどれだけの被害が出るか……。
初富は深く深く呼吸を整え、上官に一歩踏み込んだ。
「わかりました。ただし……少しばかり時間を頂きます」
「その時間にできることが?」
「あるのです。世界のピンチヒッター。絶望と破滅への切り札。あなたもご存じでしょう?」
その名も――。
●ローレット・インストラクターズ
情報屋から依頼の説明を受け、馬車に揺られてやってきたイレギュラーズ。彼らがはじめに見たのは、積み重ねられたコンテナハウスの群れだった。
「5121学兵隊宿舎だ。学兵制度について聞いたことはあるか?」
案内人を務めた初富という女は、イレギュラーズへと振り返る。
コーサイドでは定期的に学兵を募っている。学兵となった者は学問と訓練が受けられるかわり学費や生活費が免除され少なからず給料も出る。
訓練過程を終了し卒業すれば前線に送られ、そこで功績をあげれれば鉄帝正規軍への入隊も夢では無い。軍入隊の手段は多々あれど、堅実な道のひとつだ。
「だがコーサイドの戦争は深刻化していてな。近く学兵の投入が決定している。
だが人手不足の前線から指導員をよこす余裕は無く、放っておけば未熟な学生たちは犬死にするだろう。
君たちには……それを防ぐために指導員業務を依頼した」
指導員としての手順は二つに分かれる。
強力な敵と戦う際の指導や、学生たちとの交流によってこの環境に慣れる段階。
次に、実際にデミウェポンとの戦闘を行ない経験値を獲得させる段階だ。
「業務期間は少し長くなるが、それだけ得られるものはあるはずだ。兵士が、その後ろにいる民が生き残るための業務だ。……よろしく頼む」
初富は深く頭を下げた。
- QR学兵戦記 ローレット・インストラクターズ名声:鉄帝5以上完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年01月06日 21時40分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●学び生きるは兵士のつとめ
積み重ねられたコンテナハウス。
あたりには土と煙のにおいがたちこめ、お世辞にも快適とは言えない生活環境。
だがそれも、前線基地のありさまに比べれば天国だ。
「お前等に先に言っとくが……まずオレは指導だとかそう言うのは苦手だ!」
そんな中、アサルトライフルの連続した射撃音が空へと吠えた。
『火砲少女』メル・ラーテ(p3p004228)のものである。
言うより動け、習うより慣れよ。そも少年兵(性別を問わずこう表記される)の頃から傭兵であったメルにとって、学兵という身分はえらくイージーだ。
生き延びることこそが学びであったし、戦うこと事態が訓練だった。ゆえに。
「今からオレが全力でオマエらの構築陣地を破壊する。全員残らず殺すつもりでいく。生き延びろ! いいな!」
ゴム弾を仕込んだ銃を抱え、メルは走り出す。
「いくッスよ――!」
『自称みんなのコウハイ』明野 愛紗(p3p000143)の振りかざしたむき出しの右腕。否、魔術兵装義手レプリカタイプ。手首から肩にかけて複雑に通ったラインが灰色に光り、腕表面が見えないエネルギーに包まれた。
「インパクト!」
一般的なパンチ。しかしはき出された衝撃は大砲のそれである。全身をごてごてと覆う衝撃吸収タクティカルアーマーを纏った学兵が軽く吹き飛び、背中から倒れた。
「デミウェポンの火力はこのくらい……いやもっと上ッス。更に――」
義手を活性化させ、砲撃を放つ愛紗。
抱え起こそうと駆けつけた学兵ももろとも巻き込まれ、一緒になって吹き飛んだ。
「ボクみたいな射撃に一番厄介なのは、めちゃくちゃに近づいてこられる事っス。だから、他の誰かがいるときは誰かを頼るべきっす」
「「ハイ、センパイ!」」
素直に頷き、さらなる砲撃をビームシールド発生グローブで防御する学兵たち。
二人がかりかつ両腕フル活用。そのままじりじりと近づいて、同じくグローブを装着した学兵たちが味方の頭を飛び越えて殴りかかった。
が、しかし。
「素直なのはスキよ。けど――」
学兵たちの腕が絡め取られ、空中で回転し、味方同士で衝突し重なるように地面に組み伏せられた。
「敵に対しても素直すぎるのはダメ」
『宵歩』リノ・ガルシア(p3p000675)は学兵の腕関節を後ろ向きに固め、靴底を肩に押し当てるようにして二人まとめて固定していた。
学兵たちは素直で、連帯感が強く、そして直向きだった。
リノが知る砂漠の傭兵やアサシンキャンプの子供たちとは大きく異なる、軍人の卵たちである。
それゆえ味方同士協力することにかけては強いが、『群』を信じすぎて動きが直線的になりすぎるきらいがあった。『軍』にするには、更に技術がいる。
技術とは経験の蓄積であり、学習の継承だ。
「あら、何を見てるの? 座学の時間じゃないわよ」
垂れた髪の間から別の学兵を見やって、リノは片眉を上げて見せた。
ハッとして、両サイドに回り込む攻撃をしかける学兵たち。
リノはうっすらと笑った。
大鎧を纏った学兵たちを前に、『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)は祈りを捧げていた。
「『主よ、天の王よ。この炎をもて彼らの罪を許し、その魂に安息を。どうか我らを憐れみ給え』」
カッと開いた目には祈りの光が満ち、まばゆく輝く炎の力がメイスを通して発射される。
対し、大鎧を着込んだ学兵たちは左右接続式の壁のごとき盾を構え、短く祈りの言葉を唱えた。
鎧の各所に刻まれた祈りの言葉。そして盾に刻まれたシンボル。それらはヴァレーリヤと同じものである。
かくしてヴァレーリヤの砲撃は鎧と盾にとめられ、その後ろでホーリーシンボルを握り込むヒーラー担当を守り切った。
「その調子ですわ。盾がギリギリまで堪え忍ぶことで味方の攻撃効率は大幅に上がる。そして生きて帰ることで経験は蓄積され、より強靱な軍隊になる。あなたたちの役割は守ることと生きること。その二つを両立させなさい!」
「で、その二つを両立させるのが『気合い』だ!」
『緋色の鉄槌』マグナ=レッドシザーズ(p3p000240)は左のロブスターハンドを燃えるように赤く輝かせ、まっすぐに突撃した。
真っ赤なライトアーマーを装備した学兵たちが声をあげて対抗。
赤い斧や剣を用いてマグナのハンマーアタックを弾いていく。
弾ききれないと察した学兵が下がろうとした所に、マグナはすかさずヘルファイアを叩き込んだ。
「下がるな! 敵はひよった所を即座に突くぞ! 一人で下がればなおさらだ。身を守りたい時は前に出てかばい合え! そしてどうしてもヤバかったら、やられる前にやれ!」
「「押忍……!」」
赤い装備の学兵たちが、一斉に殴りかかる。
その圧力こそが、軍隊の強さになるだろう。
マグナは獰猛に笑い、目を見開いた。
その一方で、『特異運命座標』オリーブ・ローレル(p3p004352)もまた自分同様に全身鎧を纏った剣士たち相手に模擬戦を行なっていた。
「質よりも数。つまり特出した個が撃破数を稼ぐのではなく、連携と集団の戦術によって撃破を求めます。そして間違ってもコンディションの良いときを基準にしないこと。悪い状態との付き合い方……『転び方』を覚えてください」
オリーブが隊のメンバーに鎧・剣・盾というオーソドックスな装備に統一させたのもそのためだ。集団としての力を、高めるためだ。
オリーブの剣が学兵の盾にぶつかり、勢い余って学兵を吹き飛ばす。
しかし鎧の性能によってダメージは吸収し拡散され、身体には残らない。
「陣形は崩れるもの。戦闘不能者は出るものと考えて挑みましょう。たやすく勝てるような敵なら、我々はもとから必要ないのです」
「HAHAHA!」
『リローテッド・マグナム』郷田 貴道(p3p000401)は小刻みにステップを踏みながら、相手に打ってこいとジェスチャーした。
思い切り殴りかかる学兵のパンチが、しかし空をきる。
確実に貴道の顔面を破壊したと考えていた学兵は力のかけすぎによりつんのめる。
「拳だけで振ったな? ボクシングは全身のスポーツだ。髪からつま先まで全てをつかう。すると――」
急速な斜め後ろステップと腰から肩を使ったのけぞり姿勢に円運動を加え、貴道は一瞬のうちに学兵のパンチの外側。つまり殴った肩を押さえる位置へと回り込んでいた。
こうなると人体の構造上なにもできない。つまりは死角である。
からの、左ストレートで体勢をさらに固定。回避も防御もできぬねじれた姿勢をとらされた所に、テンポよく右を叩き込む。
拳で全てを破壊するという貴道の印象からは普段見えない、ボクシングの真の恐ろしさである。
更に、ストリートボクシングともなれば地形と光源、風速や温度など様々な要因をフットワークやパンチにのせることができる。
「拳は最短距離の兵器だ。使いこなせば大砲にだって勝てる! 避けて、近づき、殴る。この三つを鍛えろ。HAHA!」
貴道が本当に強くなるのは、回避・機動・反応・EXAを引き上げたフットワークフォームだ。つまり今の足を止めて攻撃にふったスタイルは、彼が手加減をしているにすぎない。
その一方、『白き渡鳥』Lumilia=Sherwood(p3p000381)は紅茶のカップとテーブルをはさんで、学兵たちに向き合っていた。
「私がここにいるのは、今まで無事に『生き残ってこれたから』だと思います。失敗も、仲間に迷惑をかけることもありました。依頼は多く請けましたが、いいところは記憶にも数えるばかりです。それでも生き延びたら、次にその経験を活かすことができます……」
技術とは学習の継承。場数を多く踏んできたLumiliaにはそれだけの学習があり、それを継承することで軍隊は技術を持つ。
初富たちがLumiliaのような『たびびと』を教官に据えた理由も、そこにあると言っていいだろう。
Lumiliaは確かに軍人のようないかめしさや、傭兵のような腕への覚えや、ボクサーのようなフィジカルは持ち合わせていない。
しかしただ屈強なだけの集団なら、それこそデミウェポンのような兵器を量産すればいいだけだ。
考え、行動し、生き延び、交わる。人間だからこそ、軍隊は軍隊として機能できるのだ。
Lumiliaの経験とその語りは、非常に貴重な力となって学兵たちにしみこんだ。
●『ひとりじゃない』の本当の意味を
荒野を進む、四つのシルエット。
互いに10メートル間隔をあけ、全く同じテンポで歩行する首無し人間。デミウェポン・タイプ・アトランタ。
その様子を確認して、Lumiliaは周囲に展開する『Lumilia隊』の学兵たちに声をかけた。
ジェットパックや飛行能力、媒体飛行などを通して一丸となった彼らは、超視力やハイテレパスといったサポートスキルを駆使して味方に情報を伝達していく。
情報を受け取ったマグナ隊、貴道隊、オリーブ隊、リノ隊それぞれが隊員に号令をかけ、前進を開始。
Lumiliaも高高度飛行をやめ、オリーブ隊へと合流した。
デミウェポンの陣形は正確に間隔をあけた菱形。どこから敵が襲いかかっても対応できるように、だろう。
対してローレット&コーサイド5121学兵大隊は各二個小隊を一グループとして平たく密集した陣形で接近。防御と回復に重きを置いた装備とスキル構成で強引に距離をつめ、一機に対し一グループの割合で平たく攻撃を仕掛けるという作戦だ。
デミウェポンの長所は沢山いるところだが、短所は能力が統一されていること。逆にチームごとの性質に差があるR&C大隊。相手が優先順位を迷う間に、すりつぶすのだ。
「リノセンパイ、お願いするッス!」
「了解。皆、分かってるわね」
愛紗隊およびリノ隊が先頭のデミウェポンに接近を開始。あえて先手をとらずに密集したリノ隊は、砲撃を予測してグローブから防御フィールドを展開した。
魔術弾が爆発。それを耐えしのいだリノ隊はそのままガード担当を交代しながら一斉に接近。取り囲む。
「浅草、田原――今ッス!」
「「はいっ、愛紗センパイ!」」
鉄の杭を発射するボウガンを構えた愛紗隊の二人は移動を阻害されたデミウェポンに一斉射撃。
反抗するように光の砲撃が弧を描いて飛んできたが――。
「稲荷、上野――」
「「承知ッ!」」
アーマーを防御モードに変形させた二人が弓兵を庇ってガード。
その間から義手をすっと突きだした愛紗は魔力弾を連射した。
デミウェポンの胸部に着弾。
小爆発を起こしてのけぞった所へ、リノが素早い跳び蹴りを繰り出した。
やや崩れた体勢が本格的に崩壊し、仰向けに転倒。
危険を察したデミウェポンが腕をソードモードにして振り回すも、それを――。
「ピカデリー、レスター。今」
「「うっす姐さん!!」」
グローブに防御フィールドを出したまま相手の剣を掴み取り、体重をかけて拘束する。
残る二人が、勢いよく跳躍した。
「グリーン、コヴェント。一緒にね」
「わかって」
「ます!」
拳を覆ったエネルギーを、二人同時に、無防備になったデミウェポンの腹へと叩き込んだ。
その一方で。
「撃て! 撃って走れ!」
「「イエスマム!!」」
ラーテは愛用のスナイパーライフルF3-Nightmareを発射後即走り、隣の塹壕へと転がり込む。
三角形の点になるように、それが常に動き続けられるように、ラーテは自らの隊員に徹底した陣地構築と利用術を仕込んでいた。
狂ったように穴を掘り、身体で穴の間隔を計り、全く同一の穴を無数に作れ。機械でも難しいそんな動作を、全員はしっかりとマスターした。
「グロースター、ケンジントン、スローン、ヴィクトリア。一秒たりと乱れるなよ。それまで居た場所は砲撃の的だ」
ラーテの陣地利用術はあくまで『念のため』にすぎない。片っ端から破壊されれば使えなくなるし、当たるときは当たる。
だが、それを絶対のものにできる方法がある。
「避けて、近づいて、殴る。ユーに伝授したボクシングは全てに通じる。貫け!」
「「押忍、コーチ!!」」
貴道隊の装備はきわめてシンプル。
シャツとパンツとナックルである。
デミウェポンは彼らの猛烈な接近を警戒してグレネード弾を撃ち込むが、爆発する光の粒を貴道たちはジグザグのフットワークで回避。命中しそうな弾はパンチによって破壊した。
『殴りながら走る』のは常人には難しい。なぜなら二つの動作は本来別のものであり、上半身と下半身がバラバラに動き中途半端になるからだ。だがそれをフットワークと重心移動で可能にする訓練を、貴道は隊員たちに課した。
「早稲田、神楽坂、右へ行け。ミーと飯田橋、九段下は左。かき回すぞ!」
貴道と貴道隊のメンバーはデミウェポンを囲み、周囲を回り続けた。
完全なブロック状態であり、行動の阻害だ。
そして決め手となるのは――。
「今(ナウ)!」
貴道のパンチとラーテの狙撃。
その二つが絶好のタイミングでクリティカルヒットする、その瞬間であった。
「伯方、生口、岩城、弓削――作戦は忘れてねえよな」
「勿論っす、リーダー」
「よっしゃあ、行くぞ野郎ども!」
マグナを中心に一個の生命体となったマグナ隊は、腕をソードモードにして斬りかかるデミウェポンに対しワッと横に広がった。
まるで網で魚を捕らえるかのように、全方位から取り囲む。
「囲んで足を止めろ。格闘の利点を潰せ!」
戦いの基本は自分を押しつけること。相手の利点を潰すこと。
マグナのロブスターハンドがデミウェポンの腕を掴み、そこに食い込んだ赤いダガーや長剣、斧やハンマーがそれぞれデミウェポンの動きを阻害した。
「今だ、突っ込め!」
「ヴァレーリヤ隊、突撃ですわ!」
祈りをこめて走り出したヴァレーリヤと大鎧を纏った四人の学兵。
それぞれの胸には名前が彫られている。オルテ、オルヴィエート、コルトーネ、アレッツォの四人である。アレッツォのみ鎧が白く。各所に『最小限の教会(キエーザ)』が施されていた。
マグナ隊の突撃を振り払おうとデミウェポンが動き出したその瞬間を狙い、素早く囲いを交代。
マグナ隊のうち3名を庇うように三角形に配置し、ヒーラーに集中回復を任せる。
その間、真っ赤に燃えたマグナの腕とヴァレーリヤのメイスが、デミウェポンのなき頭部へと豪快に振り下ろされる。
「スティンガー!」
「どっせえーーい!!」
司令塔をもたず統一した個の連携のみに頼っていたデミウェポンは、分断し各個に戦闘を行なわれればその強みを喪う。
オリーブは同種の鎧を纏ったオリーブ隊の四名『ハワード、ジャーヴィス、モース、ロヨラ』の四人を従え、自ら先頭をきってデミウェポンへと突撃した。
「敵一体を囲み、他との合流を阻止します。一対一なら危険な接近も、仲間のフォローを信じていれば――」
オリーブは自分のこれまでを思い出し、勢いよく突撃した。
デミウェポンの射撃がハワードに直撃。吹き飛ばされそうになるが、即座にカウンターヒールが集中。体勢をたてなおして突撃状態を維持した。
「いい調子です。ダメージには回復を。目測で6割をめやすに、残るエネルギーを敵の足止めに使ってください」
Lumiliaは低空飛行状態のまま各隊員に指示を飛ばしていた。
「Ashlandさん、Cliftonさんは束縛状態を維持。Culpeperさん、Danvilleさんはヒールに集中――合図で一斉に攻撃にシフトしてください」
Lumiliaの合図と共に四本のフロストチェインがデミウェポンを拘束。更にLumiliaのルーン・アルメリアが無数の光となってまとわりついていく。
「今です!」
防御を攻撃にシフトしたオリーブ隊の集中攻撃が、デミウェポンを襲った。
●英雄は帰ってこそ
「諸君、この度はデミウェポン討伐――おめでとう! 初の戦果だ!」
コーサイド部隊の前線隊長をつとめる初富。彼女の掲げるグラスを、無数のグラスが追った。
「これもローレットの皆が隊長についたからだ。この功績を上層部は認め、この隊を仮に『R&C大隊』として運用することが決定した。学兵諸君。君たちは確かに捨て駒として戦線に投入される。しかしこれを生き延び、戦い抜いたなら、栄光の未来が約束されるだろう。生きて帰ろう! そして英雄になれ!」
R&C大隊。その一ページ目に刻まれた八つの隊と隊員たち。
その中に、ローレットの八人の名が、しっかりと刻まれていた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete!
――コーサイド戦線にて『R&C大隊』が仮設されました。
GMコメント
鉄帝に存在するがちめの軍隊、コーサイド。
その学兵ルートであります。
説明がありましたが、シナリオは2つのパートにわかれます。
・学生たちと交流、指導するパート
・実際に敵と戦い経験値を獲得させるパート
それぞれ解説していきましょう
【交流・指導パート】
いわゆる日常パート。
ローレットイレギュラーズは鉄帝国内でも評判の高い戦士です。
皆さんの経験や信念、戦い方やトレーニング法などは実戦を知らない学生たちにとって非常に価値あるものです。
それを伝えて学習させたり、交流をはかって後の実戦訓練における精度を高めたりしましょう。
5121学兵隊は40人前後で集団生活をしています。
コンテナハウスにごっそり詰まって毎日勉強と訓練に明け暮れており、大体みんな子供ですが年齢は小学生程度から高校生程度まで幅広くいます。
また鉄帝民らしく軍人に憧れており、前線の隊長格の人たちにも強い憧れがあります。
【実戦パート】
特殊なバトルパート。PCがそれぞれ指揮官となり、学兵を率いて敵の部隊と戦闘をします。
依頼参加PCにはそれぞれ4人程度の学兵が割り当てられ、指揮官となったPCはこれを指揮します。以下のうちから兵隊種別とスタイルを選択し、細かい方針を固めてください。
・兵隊種別
プレイングには学兵にどんな装備をさせるかを書いてみてください。細かく指示を書きすぎると戦術その他がおろそかになるので、100~200字くらいを目安にしてみましょう。
(例:『剣弓癒のバランス型』『全員ヒーラー縛り』『防御に特化したタンクチーム』『木場兵だけもってこい』『全員カレーを食え』『全員暴徒装備で火を放て』『機関銃のヒャッハー集団』)
特に極端すぎるオーダーでなければ大体応えられるはずです。
また、兵士から指揮官が大きく離れたりすると兵の能力が激減しますのでご注意ください。
・指揮官スタイル
兵たちは個人ごとに戦闘AIが設定されておりスキルその他の行動を細かく指示する必要はありません。以下のコマンドから選択し、指揮官のスタイルとしてください。
『統率集中』:指示を送ることに集中します。PCの各種ダイス目が大きく低下しますが、その分兵のダイス目に大きなボーナスがかかります。兵への指示を沢山書きたい人向け。
『率先戦闘』:PCが率先して戦い、兵たちはそのフォローに徹します。PCのダイス目にボーナスがかかります。自力で戦うの好きな人向け。
『臨機応変』:兵に指示を出しつつ要所要所で率先する、統率と率先の中間にあたるコマンド。ダイス目はそのまま。指示を沢山出したいが自分でも沢山動きたい人向け。
●エネミーデータ
比較的影響の少ないエリアに発生しているデミウェポンと戦闘を行ないます。
・アトランタ×4
デミウェポン・アトランタ型。通称首無し。パワフルな格闘能力と腕を砲台化させて放つ搭載兵器スターキャノンが特徴。
1体につき2~3部隊(約10人前後)を投入するのが基本とされている。
統率能力は低く、知能の低いモンスターと同程度とみていい。訓練にはうってつけ。
・パワフルな格闘(近列):相手を掴んで投げたり殴り飛ばしたり振り回したりといった力の使い方が可能。
・スターキャノン青(遠単):砲台化した腕で放つ射撃。光の弾を撃つ。
・スターキャノン赤(遠範):同じく砲台化した腕での射撃。空中で炸裂する弾を撃つ。
【オマケ解説】
このシナリオは以下のシナリオから派生した隠しシナリオラインにあたります。
『全軍銃帯、コーサイドマーチ』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1170
【アドリブ度(高)】
兵隊のデザインや戦術行動などアドリブを要する箇所が多数存在するため、このシナリオのアドリブ度は高く設定されています。
それでもアドリブされると困るなという方はプレイングに『アドリブなし』や『アドリブNG』とお書きくだされば直接的な描写をカットできます。
逆に『アドリブ歓迎』と書いていただけたなら色々腕をふるいます。
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