シナリオ詳細
<秘密結社NF>幼き友を救え!
オープニング
●恐怖! ツルギキャットのリクルート大作戦!
さぁ、今回の話は、幻想国のとある小都市を舞台に始めよう!
この都市には、我々の世界で言う所の『幼稚園』がある。
旅人の知識から再現されたそれは、幼児教育の為に一時的に子供を預かる施設だ。幼児の送迎は、専用の乗合馬車によって行われる! 乗合馬車には専属の御者さんと、保母さんも乗っているぞ!
さて、今日も今日とて、送迎馬車は子供達を乗せ、園への道を進んでいた。その時である! 馬が甲高い声をあげ、突如動きを止めた! 送迎馬車の速度は早くはない。この急ブレーキによる被害はなかったが、子供達は何事かとざわめきだし、保母さんの放漫な胸は衝撃により揺れた!
「ニャッハハハ、止まれ、止まるのニャ!」
馬車の前方、馬の動きを止めた謎の人物が声を張り上げた! それは、猫頭の怪人である! 右手には巨大な剣を持ち、威嚇する様に高く掲げる!
「ニャハハハハ! 送迎後苦労、御者殿、保母殿よ! しかしその仕事は今日ここまでニャス。これよりその子供らは、我が『秘密結社NF』が預からせてもらうニャ! 今日から我が『秘密結社NF』の誇る英才教育機関『ねこのあな』にて、将来の幹部候補生になるための教育を受けさせてやるのニャ!」
「そ、そんな……!」
保母さんが嘆きの声をあげる! その胸は豊満である!
ニャハハハ! と猫頭の怪人が笑う! ああ、何と言う事だろう! この怪人は秘密結社NFの生み出した怪人『ツルギキャット』であった! 未来ある子供たちを誘拐し、洗脳教育を施して戦闘員、怪人候補生に仕立て上げるつもりであるのだ! おお、神よ! この世に正義はないのか!
「ニャハハハ! 喜べ、喜べ子供たちよ! エスカレーター式の教育を施し、将来の就職率も100%ニャぞ! 『秘密結社NF』に就職した暁には、有給消費率も業界ナンバーワン! 独身寮に各種社会保険に手当も完備の労働環境で働くがいいニャッハッハッハッハ!!」
おお、なんとおぞましく邪悪な労働環境か! 子供たちは恐怖におののき涙を流し始めた!
「さぁ、やれ、やるのニャ、戦闘員の皆さん!」
「ニャー!」
「ニャー!」
ツルギキャットの号令一下、戦闘員の皆さんがくねくねしながら送迎馬車を包囲し始めた! 御者は頭を抱え、子供たちは泣き叫び、保母さんはその豊満な胸を揺らし、絶望に慄いた!
おお、このような暴挙を許していいのか! 正義は死んだのか! 誰か、ああ誰か、この悪を止めてくれ――!
●戦え! イレギュラーズ!
「えーと、何やら『秘密結社NF』なる連中が暴れはじめたようです。現在『ツルギキャット』と名乗る怪人は、配下と思わしき全身黒タイツの人達と共に、『幼稚園』送迎用の馬車を襲撃。現在は駆け付けた自警団たちが妨害しているおかげで逃走には至ってないみたいですが、このままではそれも時間の問題、という事のようです」
と、『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)が一息で状況を説明した。
もう少し詳しく説明しよう。
『秘密結社NF』――秘密結社ネオフォボスは、元々練達のアンダーグラウンドで活動していた組織であったそうだ。その目的は、幻想国家の転覆と、その支配。結社首領である魔種の指揮の下、何度か事件を起こしていたようだが、今回、ついに本格的な幻想への攻撃を開始したのだという。
大規模な攻勢には騎士団が対処を開始したものの、敵の勢いは強く、対処しきれない相手も出てきてしまっているようで、その相手をイレギュラーズにお願いしたい……という事のようだ。
「ツルギキャットは猫の獣種(ブルーブラッド)をベースに、色々いじくりまわされた怪人のようですね」
いじくりまわされた――すなわち、何らかの強化改造を受けている、という事のようだ。加えて原罪の呼び声の影響を受けて狂気に晒されてもいる。愉快な存在のように見えるが、決して油断はできない相手である、という事だ。
「今から向かえば、敵が逃走を始める前に現場に到着できるでしょう。あまり時間はありませんが、準備は怠らず。ではでは、お気をつけてくださいですよ!」
そう言って、ファーリナはイレギュラーズ達を送り出したのであった。
- <秘密結社NF>幼き友を救え!完了
- GM名洗井落雲
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年01月06日 21時40分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●駆けろ! ヒーロー!
「ニャッハッハッハ! 自警団の皆さんも限界のようだニャ!」
ぶんぶんとツルギを振り回し、ツルギキャットは高笑いをあげる。戦闘員の皆さんをけん制しつつ、その逃亡を阻止していた自警団たちであったが、度重なる戦闘員の皆さんから発せられる圧により、じりじりとその包囲を広めていった。
このままでは包囲網が崩壊するのも時間の問題。ツルギキャットたちは悠々と、子供たちを連れ離脱してしまうだろう……現場に残る人々の胸に、暗い絶望が、水面に落ちた墨のように広がっていく!
「ああ、そんな……この子たちを守れないなんて……!」
保母さんはその美しい顔を絶望に歪め、現実から目を背けるように手で覆った! その胸は豊満である!
「そんな……僕達、英才教育を受けされられた上で秘密結社に就職させられちゃうの……!?」
「やだよ……私ケーキ屋さんになりたいのに……! 秘密結社の食堂でお菓子を作るのなんて嫌だよ……!」
子供たちの悲痛な声が響き渡る! おお、もはやこの世に希望はないのか!
「待ちなさい!!!」
その時である! 絶望渦巻く戦場に、凛とした声が響いた! 同時に、8つの影が現れる!
「ニャニャ、何者ニャ!」
ツルギキャットが誰何の声をあげる!
「いたいけな子供に対する悪行! 許せないわ!」
声の主――『カモミールの猫』エメ(p3p006486)は、『茨の槍』を構え、声をあげた!
「そこまでだ、秘密結社NF。お前らの非道は俺達が許さない」
『天翔る彗星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が続ける。静かに、クールに。例えるなら、ポジション的には青である!
「正義の味方、ローレットよ。悪事もここまでね、観念しなさい」
『カースドデストラクション』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)が、辺りに響く澄んだ声をあげた。その言葉に、辺りから感激の声が上がり始める。助けが来たぞ、正義は死んでいなかった! しかし、人々の声は、アンナにとって複雑に聞こえたかもしれない。正義の味方などと、自分には名乗る資格はないのだ――アンナはそう考える。
「ええい、忌々しいローレットかニャ!」
ツルギキャットは地団駄を踏んだ!
「もう少しで未来の幹部候補生たちのスカウトが完了した所ニャ!」
「普通の企業だったら引く手数多の条件だと思うけど、自分達がどういう存在なのか考えるんだ。どう考えてもブラック一直線じゃないか」
『鉄の守護者』ユー・アレクシオ(p3p006118)がド正論を告げる。待遇が良くとも、行くつく先は地獄である事は目に見えているのだ!
「ニャんだと! 我々が幻想を征服した暁には、我々がスタンダードとニャるのだからして、必然的に我々の職場はホワイトにニャるのニャぞ!?」
「勝手な都合で同輩を改造するような連中が、スタンダードになってたまるかよ」
『竜爪黒狼』葛城 リゲル(p3p005729)が返した。その眼には、些かの同情の色が見えた。ツルギキャットもまた、狂気に犯され、その身を捻じ曲げられた存在であることは事実なのだ。
「羨ましいニャらお前も仲間にしてやるニャ! カンフーウルフとかどうニャ!?」
「悪いが、そういうノリは今回だけだ」
リゲルは静かに答え、構えをとる。爆発的に膨れ上がる殺気! しかしツルギキャットは余裕の表情を見せる!
「ニャッハッハ! 生意気な奴は好きニャ故。お前ら全員、ボコボコニした上で我の片腕と言わず両手足としてやろう!」
「私の依頼人はお前じゃない」
『ShadowRecon』エイヴ・ベル・エレミア(p3p003451)が呟くように答える。
「そして私は依頼人を裏切る事はない。待遇は魅力的だが、その申し出は断らせてもらう」
手にしたライフル、『AM96』のレバーを引き、銃弾をチャンバーへと装填させる。機械的な音が当たりに響き、場の緊張感がピークへと到達する!
「子供たちを犠牲にする様な人達に、私達が屈する事はありません」
『まほろばを求めて』マナ・ニール(p3p000350)が拒絶の意を示し、普段はどこか眠たげなその瞳は、こと今回に限って言えば、強い正義への意思に彩られている!
「がるる! ねこ、悪い奴ら、やっつける!」
四足歩行のようなポーズをとり、威嚇する様にうなる『幼き機獣』オールド(p3p006823)!
「よかろう、目にもの見せてやるニャ! 戦闘員の皆さん!」
『ニャー!』
黒タイツの戦闘員の皆さんが、一斉に声をあげる! 何やらくねくねとした動きと構えを取り、じりじりとイレギュラーズ達へと迫りくる!
「無辜なる混沌の救世主――!」
エメが茨の槍を振るうと、槍は赤く輝いた! 光に包まれたエメの体の一部が獣化して行く! 黒い髪には獣の耳が生え、その瞳は金色に輝く! どこからともなくシャープでいい感じのBGMが流れてくるような気がした! いや、多分流れている、皆の心の中には!
「――『特異運命座標(イレギュラーズ)』がおしおきよ!」
そう、今ここに、希望は舞い降りたのだ!
●戦え! ヒーロー!
「引き続き妨害をお願い。連中の相手は私達に任せて」
アンナは自警団のメンバーにそう声をかけると、一気に戦場を駆け抜けた! 狙うはリーダー、ツルギキャットだ!
「ニャニャ! 来るかニャ!」
ツルギキャットはその名の由来である巨大な剣を手に、アンナを迎撃する!
「ええ、ぶしつけな猫さん。シャル・ウィ・ダンス?」
アンナの手に輝くのは、『儚煌の水晶剣』――儚く、淡い輝きを宿す水晶の剣だ! アンナの踊る様なステップから繰り出される、激しくも華麗な斬撃!
「ニャニャニャ!」
応じるツルギキャットの斬撃は、暴風と例えるに相応しい! 2人の攻撃は見事に対照的である!
「無粋ね。立派な大剣だけど、猫じゃらしのように振り回すしかできないのかしら?」
「情熱的なステップと言ってほしい物だニャ!」
振り下ろされた大剣の一撃を、アンナは『ディークロース』を用いて受け流す! ツルギキャットの大剣が地面を抉るのを尻目に、アンナは軽やかに跳躍し、距離をとる!
「ミルフィール様、援護いたします……!」
マナはそのタイミングで、アンナへと治療魔術を施す! 優しい光がアンナを包み、その傷を癒すが、
「ニャニャ、お前も一緒に踊るかニャ!?」
振り下ろされた大剣より放たれた衝撃波が、マナを襲う!
「……きゃっ……!」
鋭い風圧に晒されたマナが、反射的に手で顔を庇いながら悲鳴をあげる! 文字通りに「身を切る風」が、マナの腕を裂き、出血させた!
「……っ、マナさん!」
アンナが声をあげるのへ、
「大丈夫です、これ位……!」
マナは気丈に声をあげ、無事を告げる! そんなマナの様子を見、アンナは静かに頷くと、手にした水晶剣を手に、再びツルギキャットへと踏み込んだ!
「これ以上、よそ見はさせないわよ」
華麗なる斬撃と、暴力的な斬撃が、再び交差する!
一方、無数の戦闘員の皆さんとイレギュラーズ達の戦いも、今まさに繰り広げられている!
「イジメる、ダメ! ガウゥ!!」
オールドは吠えつつ、戦闘員の皆さんに飛び掛かる! 鋭い拳が突き刺さり、
「ニャー!」
と悲鳴をあげた戦闘員が地に倒れ伏し、泡のように消えてなくなる!
「ガゥ、消えた! 変な奴!」
オールドが声をあげる! これはあんまり血なまぐさくならないようにするための、今回の配慮である!
「まったく、ふざけた連中だけど……!」
ウィリアムが『星界の魔杖』をかざせば、蒼く煌く巨大な剣が召喚された! それは空の彼方にあるとされる、星界より呼び出した剣だ!
ウィリアムが杖を振り下ろすと、応じるようにその大剣が空を駆けた! 蒼き流星のごとく駆ける剣が、戦闘員に突き刺さり、消滅させる!
「魔種の影響って言うんじゃ、結構シャレにならない事態なんだよな」
その通りである。相手が些かトリッキーな言動を行うために薄れているが、危険度はかなりの物と言えるだろう。
「戦闘員の人達は、思ったより弱いみたいだけど」
エメが手にした槍を突き刺すと、ニャーと悲鳴をあげた戦闘員がまた消滅する。
「ツルギキャットの方は、そうはいかないみたいだし……それに、人を無理矢理改造するなんて、本当に性質が悪い……!」
「そう……だな!」
エメとウィリアムが同時に放つ一撃が、さらに戦闘員を消滅させた。或いはこの戦闘員たちも、無理矢理改造され手駒にされた一般人かもしれないのだ。コミカルな印象を受けるが、やっていることは外道の極みともいえるだろう。
「……そう言うの、許せない! 絶対に……!」
エメの瞳が深紅に輝く。明確な怒りの感情が、その目を血の涙のように赤く輝かせていた。
「ああ。ここでコイツらを止めて……この馬鹿げた組織も、ぶっ潰してやろう」
ウィリアムはその言葉に頷き、戦闘員たちを迎え撃つ。
イレギュラーズ達と戦闘員の皆さんとの戦いは続いていく! 戦闘員の皆さんは、はっきり言うと、雑魚である! そのため危なげない調子で、イレギュラーズ達は戦闘員の皆さんたちを撃破していった!
「よ、立派な保母さん。もう少しの辛抱だぜ?」
戦闘員を殴り飛ばしながら、リゲルが保母さんへと声をかけた。その姿はまさに救世主に映ったに違いない! 保母さんは美しい顔に安堵の笑みを浮かべ、リゲルに頭を下げた! 豊満な胸が揺れた!
「『立派』って言うのは、そういう意味?」
ユーが半眼で、リゲルへと告げる!
「いや、そうじゃねぇよ! この状況でも子供たちの側にいてあげてる所とか、そういう精神的な所が立派だ、ってんだ!」
大慌てで否定するリゲル、そしてユーへと戦闘員が迫る! しかし二人は戦闘員の攻撃を油断なく受け止め、拳を/電撃を打ち込む! 戦闘員が吹き飛ばされ、消滅するのを確認し、
「慌てて否定すると、図星をつかれたみたいになる」
肩をすくめ、ユーが苦笑する。リゲルはバツが悪そうに頭を振ってから、
「そういや、ギルドやらなんやらで話したこたぁあったが、こうやって肩並べて戦うのは初めてだな。よろしく頼むぜ、ユー」
「こちらこそ」
2人は拳を突き合わせると、戦闘員たちを次々となぎ倒していく! 友情の力であった!
さて、最後の戦闘員の頭を、エイヴの放つ銃弾が貫いた! 戦闘員がぐらり、と倒れながらその身体を消滅させるのを確認し、
「クリア」
静かにエイヴが呟く! 果たして、全ての戦闘員はイレギュラーズの手によって撃退された!
「ニャニャ! だらしない奴らめ!」
ツルギキャットが忌々し気に声をあげる!
「ガゥ! 変なねこ! 後はお前だけ!」
オールドが威嚇するように声をあげる!
「チェックメイトだぜ、ツルギキャット」
「俺達全員を相手にして、無事ですむと思うなよ」
リゲルとユーが構え、そう告げた!
「大丈夫か、アンナ、マナ。治療を行うから、一旦こっちへ来てくれ」
ウィリアムの言葉に、アンナとマナが一旦、距離をとる。ツルギキャットを抑えた二人は相応の傷を負っていたのだ!
「ごめんなさい、手間をかけてしまって……」
治療を施されることに謝罪の言葉を告げるマナであったが、
「気にしないで。ここからは、みんな一緒だよ」
エメが声をかけた。
「ふ……ふふふ……ニャハハハ……ニャーッハッハッハッハ!」
多勢に無勢、追い詰められたはずのツルギキャットは、しかし大きな笑い声をあげた!
「……何がおかしいの?」
不審気にアンナが声をあげるのへ、ツルギキャットは嘲笑の色を隠さず、イレギュラーズ達へ視線を移す!
「愚かニャヒーローどもにゃ。まさか我ら秘密結社NFが、こういった状況を想定していないとでも思ったかニャ!?」
と、懐をごそごそと探り出すツルギキャット! ややあって取り出したものは――。
「――だいふく?」
マナが思わず、声をあげた。そう、それは真っ白な大福であった!
「ニャッハッハ! 聞いて驚け見て慄け。これは幻想の有名店(個人の意見です)、『だいふく一丁目』の名物『イチゴ大福!』」
ツルギキャットはイチゴ大福を片手に、それを高く掲げた!
「ニャッハハハハ! 我はこのイチゴ大福を摂取する事により、巨大化・パワーアップが出来るように改造されているのニャ!」
「なっ……!?」
ウィリアムが思わず声をあげた! なんと、起死回生の手は残されていたのだ! もちろん、これは情報確度Aの依頼であり、OPにて提示されていない情報であるため、実際に巨大化したりはしない!
「ニャッハハハ! 恐れよ恐れよ愚か者どもめ! このイチゴ大福を摂取して我、過激なる成長――」
パン。
乾いた音が響くと、ツルギキャットが掲げていたイチゴ大福が爆発四散した。
一同が音のした方を見やれば、硝煙揺蕩う銃を構えるエイヴの姿があった。
「本当かどうかは知らないが――」
エイヴは心底、心底冷たい目を向けると、
「君がパワーアップするまで、見守ってやるわけがないだろう。それ以前に、君、私に食べ物を――イチゴ大福を撃たせたな。許さん。死ね。一度と言わず二度三度死ね。私の気がすむまで撃たれて死ね」
エイヴが言いながら、手にした銃を乱射する! 連発であったが、狙いは正確に、ツルギキャットをとらえていた!
「ギニャニャー! ニャンでニャ!?」
ビスビスと撃たれながら、ツルギキャットが悲鳴をあげる!
「……まぁ、普通はそうよね」
アンナは肩をすくめつつ、再度水晶剣を構えた。
「一気に畳みかけるわ」
その言葉に、イレギュラーズ達は頷き、動いた!
アンナが華麗なるステップと共に、ツルギキャットへと肉薄する! 踊るように繰り出される無数の斬撃は、見事にツルギキャットの体をとらえた!
「ギャニャッ!?」
ツルギキャットの悲鳴! 間髪入れず、飛び込んできたのはリゲルだ!
「お前のふざけた口も、ここまでだ!」
腹部へと打ち込まれる掌底! ツルギキャットの体が宙へと浮かぶほどの威力だ! だが、ここで終わりではない! 追撃の拳が上方から叩きつけられ、ツルギキャットは地へと叩きつけられる! 『震雷』と名付けられた、リゲルの連撃技だ!
激しく体勢を崩したツルギキャットへ、オールドの打撃が決まる! そしてこれで終わりではない!
「私の槍はとっても痛いよ!」
エメが茨の槍を振るうと、衝撃波がツルギキャットへと目がけて飛んでいく! 衝撃波は刃と化し、ツルギキャットの腕を切り裂いた!
「ニャ、ニャンと……!」
声をあげて飛びずさろうとするツルギキャットの足を、エイヴの放つ銃弾が貫き、妨害する!
「コイツで……!」
ユーが放つ不可視の『蒼のワイヤー』がツルギキャットへと迫る! 見えぬ鋼糸にがんじがらめにされたツルギキャットは、もはや身動きも取れまい!
「終わりだ!」
ウィリアムが召喚した『星の大剣』が空をかけ、ツルギキャットを貫いた!
「ギニャー! 秘密結社NF、ばんざーい!」
ツルギキャットは末期の叫びをあげると、火薬でも隠し持っていたかのような大爆発を巻き起こし消滅した! なお、この爆発による被害は一切発生しない! イレギュラーズ達は見事、秘密結社NFの怪人を倒し、子供たちを救ったのだった!
●ありがとう! ヒーロー!
「じゃあ、みんな、イレギュラーズさん達にお礼を言いましょうね!」
『イレギュラーズさん達、ありがとー!』
保母さんが、子供たちが、イレギュラーズ達へと笑顔で頭を下げた!
「あんな変な人達みたいになったら駄目よ。良い子にしていたらまた助けてあげられるから」
アンナの言葉に、子供たちは元気よく返事をする。それから、子供たちはヒーローであるイレギュラーズ達を、もみくちゃにするようにまとわりつくのだ!
「ケガ、あるか? あるなら、治す。ガゥ」
子供たちのケガを心配するオールドであったが、幸いにも人々に怪我はない。
「怖い奴らは皆やっつけておいたからな、もう大丈夫だぞ」
ユーが子供たちへと告げる。子供たちは嬉しそうに頷くのだ。
「皆が無事で、よかったです……」
マナは『もふもふさん』を子供たちに触れさせていた。子供たちが楽しげな笑顔を浮かべる。
そう、この笑顔を守ったのは、紛れもなくイレギュラーズ達である。
「よかった……ちゃんと守れて。ほんとうに……」
エメは安心に、胸をなでおろす。
「……だが、秘密結社NF……直接ぶつかる事になりそうだな……」
ウィリアムが子供たちには聞こえぬよう、静かに呟く。そう、秘密結社NFの首魁はまだ存在する。イレギュラーズ達が対峙する時は、必ず訪れるだろう。
「ふざけちゃいるが、胸クソ悪ぃ奴なのは確かだ。このツケは払わせてやらねぇとな」
リゲルは敵意を隠そうともせず、言った。敵が邪悪な存在であり、討ち滅ぼさなければならない相手である事は確かだ。
「ならば……次の任務を待とう」
エイヴは静かに呟く。
かくして、街の平和は守られた!
しかし、邪悪なる秘密結社NFは、未だ滅んではいない!
イレギュラーズ達の戦いは、まだまだ続くのだ!
人々の笑顔を守るため、行け、イレギュラーズ! 戦え! イレギュラーズ!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
テレビのまえのおともだち! エンディングで、イレギュラーズといっしょにおどろう!
おやすみのひは、げんそうゆうえんちホールで、イレギュラーズとあくしゅ!
GMコメント
お世話になっております。洗井落雲です。
秘密結社NFの総攻撃が始まりました。
これを阻止しましょう!
●成功条件
ツルギキャットを倒す
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●シチュエーション
幻想はとある小都市が舞台です。
道のど真ん中で幼稚園送迎馬車を襲撃した秘密結社NFの構成員たち。これを撃退し、被害者を守る事が、皆さんの目的です。
時刻は昼。地形は石畳の道路になっています。シナリオは、皆さんが現場に到着した時点から始まります。この段階では、自警団の皆さんの力により、怪人たちは逃走せず、送迎馬車を背にして自警団の皆さんと対峙している状態です。
人質として御者の男性、保母さん、子供たち(たくさん)が捕まっていますが、戦闘中、特に指定しなくても、攻撃の余波が彼らに及ぶことはない物とします。
●エネミーデータ
戦闘員の皆さん ×15
特徴
秘密結社NFの戦闘員の皆さん。全身黒タイツで、「ニャー!」と声をあげる。
基本的に、至近~近距離範囲の物理格闘攻撃を行う。BSなどは持っていない。
一言で言えば、弱い。
ツルギキャット ×1
特徴
秘密結社NFの怪人。獣種をベースに、巨大な剣を扱うため筋力面を改造された。
身体能力は高く、とりわけ反応、EXAの高さが特徴。
攻撃方法は、至近~遠距離をカバーする、剣を用いた物理単体攻撃。
威力はどれも高いが、特に至近ほど高く、遠距離程低い。
中・遠距離攻撃では出血のBSが付与される。
以上となります。
それでは、皆様のご参加お待ちしております。
Tweet