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シナリオ詳細

大空にバンジー!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 聖都フォン・ルーベルグから遙かに遠く北の連峰。
 高山で日々厳しい自然を相手に生きる人々に根差した天義山岳教会は、信仰深い天義の中で特に厳格な礼拝を行うことで知られている。
「――父よ」
 高地から迎える神々しい日の出を前に、神父が身を引き締める。
 新しき一日の始まり、朝の祈りの時間である。
「我らを今日一日、お導き下さい――」
 断崖絶壁の上から突出する礼拝台に進み出て、足元を見る。
 ゴクリ――。喉が渇く。
 約1㎞ほどの崖上から眺める圧倒的な光景、何と命のか細いことか。命綱があるとはいえ、人としての本能がこの高度に慣れると云うことはない。
「我が身は全て、御身のものなり――」
 祈りの言葉を唱えると、神父は足を虚空に踏み出す。
 山岳教会における日常的な祈り――バンジー礼拝だ。神の御前に自身全てを投げうつ祈りの儀式。100mの命綱を付けてるとはいえ、なまなかな覚悟で出来ることではない。

『バサバサバサッ――!』
 落下中、生命と精神がリセットされつつあるなかで、神父は剣呑な羽音を耳にした。
「う!? うわぁぁぁぁぁぁぁ」
 敬虔な神の信徒として、これまで決してバンジー中に声を漏らしたことなどなかった神父の初の絶叫が山間に木霊した。


「祝勝会ムードの中、悪いんだが……天義からの依頼だぞ」
 勝利に余韻に酔うイレギュラーズたちに、『酔っ払い』ジュリエット・ノックス(p3n000036)が依頼書を読み上げる。
「お前ら、五体投地って知ってるか?」
 五体投地、それは両手、両足、頭を地面に投げ伏して行うある種高級な礼拝として一般には知られている。
「で、昔何処かの偉い人が考えたわけだ。我らの信仰心は決して地面などに制限されるものではないと。そこで生まれたのがバンジー礼拝なわけなんだが」
 地面など超えた究極の五体投地。やれやれ、とばかりにジュリエットがペンで頭をかく。
「どんなに酔っぱらっても、俺ならそんな礼拝御免だがなー」
 いや、お前なら普通に酔って、そのくらいやらかしそうじゃね? 話を聞いていたイレギュラーズの一人が言葉を飲み込んだ。
「そのバンジーを狙った大鷲が出現したらしくてな。何しろ、中空にぶら下がり状態だ。葱しょった鴨ってやつ。おまけに一般人なら、ろくすっぽ手も足もでずに抵抗なんて出来るものじゃねえ」
 勿論、天義にも騎士団はある。しかし事は宗教的な礼拝儀式であり、極めてデリケートな案件とも云える。曰く、神に身を捧げた処に大鷲が出現したのなら、それ即ち神の試練であり、礼拝者が自身で反撃するならともかく組織だって討伐する訳にはいかない。要は体面の問題であろう。全て神のなすがままに――である。
「お前らには一般参拝者を装って、偶々襲撃してきた大鷲を撃退してもらう。高所恐怖症でもなけりゃ、簡単だろ?」

GMコメント

 こんにちは。茜空秋人です。
 以下情報。

●依頼成功条件
 大鷲の討伐。5体います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 標高2000mを超える高山。
 約1㎞の断崖絶壁上に幅20m、長さ10mの礼拝台(飛び込み台)が備えてあります。
 神父は100mの命綱をつけていましたが、イレギュラーズは一般礼拝者として30mの命綱を支給されます。命綱は練達製で強度を誇り、戦闘中には決して切れないものとします。
 イレギュラーズは、礼拝台の右、左、中ほどの三箇所から選んで命綱をセットします。
 礼拝台上あるいは中空に吊られてと、二箇所に分断されての戦闘となります。
 命綱で中空に吊られている間は移動が大きく制限され、礼拝台への復帰はほぼ不可能とします。また、命中回避が大きく下がります。飛行種などが飛行系のスキルを用いれば礼拝台への復帰は可能かもしれませんが、その場合でも命綱は必須です。
 命綱なしでの戦闘は、限りなく戦闘不能、重症に近いと云えます。(普通に1000m落下したら死にます)
 命綱の慣性を利用し大きく左右に揺れるなど行えば、多少は回避が増すかもしれません。

●大鷲×5
 全長5mの大きな鷲。
 まず、誰か一人がバンジーするとそれを狙って出現します。
 武器は鋭い爪と嘴で、【出血】を伴った攻撃をしてきます。
 また、特殊攻撃として、礼拝台上のイレギューズを鋭い爪で掴みあげようとします。抵抗に失敗すると、イレギュラーズは持ち上げられ、礼拝台からそのまま崖下に強制バンジーとなります。

●その他
 不思議な力が働いて基本的に全員がバンジーしてしまう、くらいの覚悟を決めてからバンジー時の叫び声、リアクションなどをプレイングにお願いします。

●アドリブ
 アドリブ描写が用いられる場合があります。
 プレイングやステータスシートにアドリブ度合、『アドリブNG』等記入くだされば対応いたします。

 有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつくことがあります。
 ご縁ありましたら、どうぞよろしくお願いします。

  • 大空にバンジー! 完了
  • GM名茜空秋人
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月05日 21時00分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
風巻・威降(p3p004719)
瞬風駘蕩
アマリリス(p3p004731)
天義の守護騎士
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
暗鬼夜行
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
リナリナ(p3p006258)
原始力

リプレイ

●標高2000m
「いやはや、絶景かな! ここまでの高さから見る景色は街とは一味違うでござるな!」
 結構な行程を経て依頼先の天義山岳教会に到着するや、『黒耀の鴉』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)は礼拝台からの雄大な眺めを前に言葉を零す。山々の緑と氷雪の白が織り成すコントラストは、下界では望めない景観で、高山でのみ目にすることができる特権だ。
「この気持ちの良い風景を眺めながら飲む茶は格別でござろう、バンジーなど忘れ、まずは焦らず一服……」
 荘厳な景観に気も引き締まって厳粛になるでござる。ここが神聖な場であるのも納得でござるよ。それはともかく一服でござると、お茶を淹れる咲耶。忍びには緑茶がよく似合う。
「おーっ、ニンジャだ。ニンニンって言わないのか?」
「……拙者は言わないでござるよ」
 忍びが珍しいのか、練達特製の忍装束姿の咲耶に『輝く太陽の伊吹』リナリナ(p3p006258)が声をかける。
「おーっ、チョー高い! ドハクリョク!!」
 足下を見下ろし、御満悦だ。
「バンジー! バンジー! バンジージャンプ!! セイジンシキ! セイジンシキ! 成人式! リナリナ跳ぶ! 跳ぶ!」
 バンジー大好きのリナリナは道中の疲れを感じさせることなくハイテンションで、早速命綱を装着して今すぐにでも跳ぶ気満々である。
「まだ跳んじゃ駄目だよ。作戦があるからね」
 そんなリナリナを『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)が諌める。
「……むー? まだ跳ばない? 即全員跳ぶ! 大きいトリ倒す!
 違うのか? おーっ、いきなりは跳ばない? わかったゾッ!!」
「判っていただけましたか。危険な任務ですが、皆で力を合わせ依頼を達成しましょう」
 出自が天義の騎士であるリゲルは、天義教会からの依頼に思うところがあるのだろう。並々ならぬ意欲を燃やしている。
「バンジー……万が一、命綱が切れても安心してください。騎士の誓いにかけても仲間は死なせません! 絶壁を走って跳躍してでも助けに行きます!」
 同じく天義守護騎士の『白のヒロイン』アマリリス(p3p004731)が、そう言って足元の断崖を覗き込むと。
「うー……そうだった、高所恐怖症だった! あわわわ無理無理無無理高い高い!」
 ヤベエヨヤベエヨとその場にしゃがみこんでしまう。
「目がくらみそうな高さだけど、ちゃんと命綱はあるし、いざとなればギフトもあるから大丈夫そうかな」
 飄々とするのは『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)。自重を羽毛の如き軽さに変える『軽身功』を持つ余裕の表れか。そんな威降をアマリリスが羨ましそうにジト目で睨む。
「大丈夫、捕まらなければ落とされることはない! そして捕まらない自信ならある!」
 自身に言い聞かせるアマリリスだったが、果たしてそううまくいくだろうか?(フラグです)
「しかし、また随分と変わった信仰の表現方法だけど、この山の上では何となく似合っている気もするから不思議だね……大鷲も含めて。まぁ何とかして、大鷲を蹴散らすよう頑張ろうね」
「崖から飛べない方が命綱をつけて飛び降りる……。飛べない人が落ちて、飛べる方の気持ちに添おうという趣旨に違いありません。種族も超えて祈るだなんて、実に素晴らしい!」
 特殊な信仰について、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が所感を述べる。
「それを邪魔するなんて、大鷲様のことも想っての祈りだというのに、なんて罪深い! 大鷲様にはお肉になってもらうしかありませんね」
 最後はギャグで〆なければと。
「オーッホッホッホッ! 天から地に降り注ぐ御天道の光……それを思えば! たったの30m程度! このわたくし!」
 ギフト発動の機会を窺っていた『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)様が指をパチンッと鳴らす。
『  \きらめけ!/
   \ぼくらの!/
 \\\タント様!!///』
「全然へっちゃらなのですわわわわ!」
 無理してる。全然へっちゃらでなかった。
 半ベソをかきながら腕を振り上げタント様のピカピカキラキラプルプルガクガクポーズが決まる。合わせて響く拍手喝采大歓声にも、今日は覇気が感じられないぞ。

 戦闘に備えて各々が足、あるいは腰にと命綱を装着する。
「今回は空中戦ですね。広く飛び回れそうだけどバンジーの紐、邪魔かも」
『我儘を言うな。不利になるよりかはマシだろう』
 イレギュラーズ中、唯一飛行能力を持つ『穢翼の黒騎士』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)の文句に、彼女の胸元に目立つ十字架に宿った神様が冷静に返す。
「むぅ……っと、アマリリス大丈夫かな? 何か無理って連呼してるけど」
「はわわ……ティアさまのような羽があれば、良かったのですが。って、そろそろ作戦開始ですか?」
 ティアが様子を窺うと、強靭な精神力を発動させてアマリリスは平常心を取り戻し、
「天義騎士アマリリス! 任務開始します」
 シャキッと綺麗な姿勢で立ち上がり、一瞬で騎士モードに入る。
『自己暗示できている様だから恐らく大丈夫だろう』
「それならいいんだけど」
「……アマリリス様だって高所恐怖症でも頑張っているのですもの! 気合入れますわ! わたくしも準備万端ですわよー!」
 アマリリスに続けとばかりにタントも奮い立つ。
「おーっ、みんな頭良いなっ。リナリナ、作戦むずかしくてよくわからない。ちょっとオイテケボリ!」
 お預けを喰らったリナリナが、跳び降りたそうにうずうずしている。
「ん! 大きくて不味そうなトリ、近く来たら殴る! 戦闘ごちゃごちゃしたらレッツバンジー!! コレOK? リナリナ跳ぶゾッ! 跳ぶゾッ!」
 テンションきわまったのか、テンテケテンテケと戦いの舞を踊り始めた。

●囮役がレッツバンジー!
「僕、奇術師ですから、飛べるのですよ。さぁ、空中浮遊ショーの始まりで御座います」
 大鷲を召喚すべく囮役の幻が舞台――礼拝台の端に立ち前口上を高らかに述べると虚空に向かって一歩踏み出し、同じく囮役のティアが続く。
 ぅわぁあああああああ!
 胡蝶の翅も今は昔、鳩も飛ばない、トリックなんてなかった。
「……情けない、奇術師ともあろうものが空中浮遊もできないだなんて。……その上、醜い叫び声をあげるなど」
「んー、自由落下もいいんだけど足に巻き付いてると違和感大きい」
 落ち込んでいる暇などない。
 ――バサバサバサッ。
 囮のバンジーに反応し、大鷲の群れが即座に飛来する。
「お出ましだね……空中って死者呼べるのかな?」
 ティアは『死骸盾』を使ってアンデッドの盾を召喚すると、崖上に残る仲間の射程距離に合わせる為に大鷲を誘導するべく4枚の黒い翼を羽ばたかせ上昇を開始する。
「さて、いきますか」
「いくでござる」
 威降と咲耶が二刀を振るうと空気を震わせ、二人の飛ぶ斬撃が崖上から大鷲を強襲する。
『ピギャーッ』
 攻撃を受け大鷲も崖上の敵の存在にも気付いたようだが、まだ集団で囮役を攻めるのを止めないでいる。
「オーッホッホッホッ! リゲル様、アマリリス様、わたくしが居ればもう何もかもが大丈夫ですわー!」
 タント様がイカしたポーズをとるとシャララーン! と光が溢れだし、なんかもう超絶に煌めいて『タント様に続け!!』と仲間を鼓舞する。
「ここで殺し尽くせば飛び降りなくて済む!! よし!! 殺す!!」
 気合い充填、巨大剣『F・ブレイカー』を掲げたアマリリスの名乗り口上――絶対当ててやるという魂の叫びがティアに群がる敵を襲う。結果、二匹の大鷲がアマリリスに怒りを向けると崖上に飛ぶ。
「俺の剣を受けて見ろ!」
 リゲルが美しく輝く銀の剣を全力で振るう。銀閃が煌めき斬撃が走り、当たると痛い一撃が眼下の大鷲を切り裂いた。
「ティア様、今回復します」
 空中で囮を果たしたティアだが、大鷲に囲まれ少なくない傷を負っていた。幻は魔道書『ゲーティア・レプリカ』を開き魔法を唱える。メガ・ヒールが優しくティアを包み癒しを与えた。
「るらぁ~~!」
 大鷲の出現、そして戦闘に触発され感極まったリナリナが思わず礼拝台からジャンプした。してしまった!
 風圧でワイルドな布服がめくれ限界突破、落下する可愛い生ケツ――リナリナがいた。

「俺を狙え!」
 礼拝台ではリゲルも名乗り口上で、新たに一匹の大鷲を引きつけることに成功していた。
 これで礼拝台には三匹の大鷲。

 威降は、まずは一方から片付けようとアマリリスに駆け寄り、引きつけられた大鷲と相対していた。
 深く踏み込むと威降の構えた妖気を放つ妖刀が、眼前の敵を一刀両断に斬り伏せる。風巻流小太刀皆伝の腕前は異世界でも未だ錆びることなく、剣豪の放った一撃を受け大鷲が苦しそうに啼く。
「お命頂戴致す!」
 さらに忍び寄った咲耶が『柳風崩し』で追撃を加える。その投げ技、速きこと風の如し。素早く大鷲を掴むと流れるように地に打ちつける。轟音が響き、大鷲はそのまま地に崩れ落ちた。

●宙吊り戦
 礼拝台組と比べると制約がきつい宙吊り組であったが、それでも死力を尽くしていた。
「るらー!」(ぶら~ん)
「るらー!」(ぶら~ん)
「るらー!」(ぶら~ん)
 命綱を左右に揺らし、またブラし、さらに振って少しづつ揺れブレを大きくしながらジタバタするリナリナ。傍目にはただジタバタしてるだけで、役にやっているのかどうか微妙にも見えたのだが――。
「るらー!」(ぶら~ん)
 ずっとぶらぶらしていたリナリナが、突如、牙を剥く。
「おーっ、隙あり! るらー!!」
 ジェットパックを補助的に使用して揺れの向きを変えると、そのまま頭から大鷲に突っ込んでいく。

「やっぱりどうも勝手が違うなあ」
『辛抱するしかないな』
 不利にならない程度に補助的に飛行を使用しての空中戦だが、どうしてもやりづらさは否めない。それでも、やるしかないのだ。ティアは魔杖――失楽園を掲げると漆黒の閃光を纏わりつく大鷲に放つ。
「お、当たった」
『やるではないか』
 ティアへの回復の合間を縫って、幻も攻撃をくわえる。
「足場不在のペナルティなど、奇術師にとっては誤差の範囲で御座います――」
 中空から礼拝台にむけて放たれたアタックオーダーが大鷲を襲い、弱点を正確に攻めたてる。
「お客様、僕の奇術はご堪能頂けたでしょうか?」

●落とされる礼拝台組
 順調に礼拝台で大鷲の数を減らすイレギュラーズたち。しかし、大鷲もただ黙ってやられていただけではない。
 イレギュラーズを礼拝台から落とすことに狙いを絞ってくる。

 まずはリゲルだった。
 引きつけていた大鷲に掴まれると、そのまま中空に放りだされる。
「大いなる神よ! 我らを救いお導き下さい!」
 しかしリゲルもただでは転ばずに、眼下の大鷲に狙いを定める。
 ――流星の如く貫けっ!
 落下速度と自重の乗った『ディストラクション』の重たい刺突が決まった。

 宙吊り組を襲っていた大鷲が礼拝台に飛んできてイレギュラーズを襲いだす。
「ちょっ、待っストップですわ! 離しちゃダメですわよ! いきますから! 自分のタイミングでいきますから! 絶対離しちゃダメですわよー!!」
 押すなよ! 押すなよ! 絶対押すなよ! といった絶対的な法則がこの世にはある。
 大鷲に捕獲されたタント様の懇願も、当然そんなものが届くはずもなく、
「あっ」
 ポイされた。
「オーッホッホッあらやだ髪が乱れまわきゃきゃぎゃフギャーーーー!!」
 大丈夫。どんなに髪が乱れても、素敵なおデコは健在だから!
 きゅー。ばたん。
『・・・―――・・・』
 タント様のかがやき!! 落下したタントのおデコがピコピコ光りモールス信号でSOSを発していた。

 次に捕獲されたのは咲耶だった。
「拙者、忍び足る者ゆえ1000Mの断崖絶壁など恐るるにあらず!」
 掴まれても忍者の余裕。ポイッと投げ出されても逆に開き直り、忍者の七つ道具的な風呂敷を取り出すと四肢で広げ忍者らしく振舞う。なお、効果があるのかは謎だ。
「いやーーーーっほぉーーーーうっ! 風が気持ち良いでござるなぁ! って……ぐえっ!?」
 が、付け方が悪かったのか宙ぶらりん状態になると命綱が締まりすぎて地獄を見る咲耶だった。

 威降も捕まり放り出されたが、平静を保っていた。
 勿論、ギフトの安心感もあるのだが、それ以上に――。
(この世界に来たばかりの時に降下訓練経験したからね。あの頃に比べれば何するものぞ! ……まさか役に立つ日が来るなんて。人生ってよく分からない。メリポ神に感謝なのかな?)
 塔――傘――。
 あの日の事を思い出していた。

 さてこうなると、自分が掴まれることはないと安堵しきっていたアマリリスであるが。
 礼拝台に取り残され一人分断された形となっては、流石に他に取る術がない。
「うわあああああああん!!! やっぱりこうなるのねええええ!!」
 フラグ回収には逆らえない。諦めたようにシュバにゃんをぎゅっと抱きしめると、自ら足を踏み出しレッツバンジー!
「いやああああぁぁぁぁぁぁ!」
 勿論、シュバにゃんにも命綱はついてます。

●予定調和のように
 礼拝台のイレギュラーズも宙吊り戦に加わることになり、団子状になったイレギュラーズたちを大鷲が襲う。
 大鷲の出血を伴った範囲攻撃の対処に追われ、ヒーラー二人は間断なく癒しの技をかけ続ける。
「流石に苦しくなってきましたわね――」
 傷ついた仲間にメガ・ヒールをかける幻の限界も近い。
「……オーッホッホッ、まだまだいけます! ぐっ、ぐったりしている暇はありませんわ……!」
 物凄くぐったりしてるのを隠し、大鷲の攻撃を死にもの狂いに避けながら、タントもまた残る力の赦す限りメガ・ヒールを使うのだった。

「そんな軟な嘴で、俺を貫けると思うなよ!」
 リゲルが名乗り口上をあげる。
 ――カウンターならば確実に当てられる。俺だ、俺を狙え!
「背後がお留守でござるよ?」
 器用に命綱を揺らして咲耶が大鷲の後ろに回り込み妖刀『妙法烏哭』で斬りつける。青白い妖気をたなびかせ妖しく昏く輝くの斬撃が、大鷲の臓物に傷をつけた。
(ここは地上ここは地上ここは地上ったら地上!!!)
 極力目線を下から逸らしながら、アマリリスは攻撃を名乗り口上からレジストクラッシュに切り替える。
 団子状態では、近接範囲攻撃にどのみち巻き込まれる可能性が高いからとの判断だ。ならば、盾役は二人も要らない。
 両手で『F・ブレイカー』を構えるとスイッチが入る。今のアマリリスに先程までの高所恐怖症の気はない。鉄のような強い意志、これがパラディンの本質だ。アマリリスはその意志の全てを大剣に載せて大鷲に叩きつける。
『ピギィー……』
 甲高い哭き声をあげ、大鷲はまた一匹、眼下の崖下に墜ちていった。

 被害を出しながらも、ついに残り一匹まで追いつめたイレギュラーズたち。
 後は囲んでボコるだけだ。
 ティアの漆黒が、咲耶の柳風崩しが、アマリリスのレジストクラッシュが、そして幻とタントの攻撃が重なり大鷲を削る。大鷲はもう攻撃を避けるのも苦しそうだ。
「これも神が与えた試練なり!」
 最後はリゲルが大鷲にしがみつき、強烈な一撃『ディストラクション』で決めた。大鷲はその命ごと砕かれると、そのまま遠く地面に消えていった。
「ふぅ……終わったね」

 戦闘も終わり礼拝台上まで引き上げられるイレギュラーズたち。
「おーっ、これでみんな大人! 大人! めでたいゾッ! 肉食うか? 肉! 肉!」
 最後までバンジーイコール成人の儀式と勘違いしていたリナリナが、何処からとりだしたのやら不思議な謎の骨付き肉を喰う。
「拙者、こう見えて成人なのでござるが――」
 咲耶が見た目の若さを嘆く。若作りだが、ちゃんとお酒も飲める歳なのだ。
「まあ、俺もとっくに大人だけどな」
 年齢的にもバンジー的にも成人な威降がボヤいた。
「女性の歳を詮索するのは無粋で御座いますわ」
 うふふと笑う幻だが、その目は笑っていなかった。

 リゲルは免罪符を空へと掲げると、殺生を詫び改めて礼拝を始める。
「今日を感謝し祈りを捧げよう。天義の騎士リゲル=アークライト! 我が身は全て、御身のものなりー!」
 二度目ともなると、先より恐怖は感じない。高らかに宣言するとリゲルは地を蹴り、バンジー礼拝を行った。天義魂マジ怖い。

「お父様、今日もあまりりすはがんばりました!」
 アマリリスの見上げた大空に、遠い記憶――大好きだった父の笑顔が浮かぶ。
 ガッツポーズを決めたアマリリスだったが――。
「無理無理、もう無理いいいいい!」
 石に躓き、そのままバンジー!
「アマリリス、大丈夫? 怪我とかないかな?」
『気絶しておるな』
 ティアに回収されたアマリリスは、そのままお姫様だっこで礼拝台まで運ばれるのだった。

「オーッホッホッホッ! Congratulationsですわ!」
 最後にオチ要因のタントが指を鳴らす。
『  \きらめけ!/
   \ぼくらの!/
 \\\タント様!!///』
「――とイレギュラーズの活躍により依頼は達成されましたわ!
 今度こそはとびしっと決まったドヤ顔ドヤデコドヤポーズに、拍手喝采大歓声が鳴り響いた。

成否

成功

MVP

アマリリス(p3p004731)
天義の守護騎士

状態異常

アマリリス(p3p004731) [重傷]
天義の守護騎士

あとがき

依頼お疲れ様でした。
高所恐怖症にも構わず頑張った貴方に、精神的重症とMVPを送ります。

よろしければ、またご縁がありますように。

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