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シナリオ詳細

<秘密結社NF>怪人マッスルベアコング怒りのギガトンパンチ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●咆哮轟くルキシオン
 幻想は王都にほど近い南部の大都市ルキシオン。
 新生・砂蠍の侵攻に晒され、貴族軍や警備部隊及び特異運命座標の活躍によって見事に防衛を果たし、平和を勝ち取ったその都市は、シャイネン・ナハトに向けて俄に活気だっていた。
 都市中央の大時計台の周囲には、色鮮やかな冬の花が咲き誇り、隣接された大木にはシャイネン・ナハトに向け飾り付けが行われていた。
 少なからず犠牲もあった戦いを乗り越え、大都市ルキシオンは平和な未来へと進もうとしていた。
 
 しかし――そんな平和な大都市に悪意の風が吹き荒れる。

 轟音。
 そして一瞬にして恐怖を覚える衝撃が街を襲う。
「な、なんだ――!?」
「そんな、都市壁が――ッ!」
 破砕された外壁。
 土煙舞うその場所から巨大な影が躍り出る。
「う、うわー!」「きゃー!!」
 都市内の家々を盛大に壊しながら走る巨大な影。
 道すがらの建物をすべて壊しながら中央広場まで突入すると、聳え立つ時計塔へと取り付いた。
 器用に時計塔を昇る其の姿、筋骨隆々の身体はびっしりと毛皮に覆われ、何の冗談か、頭部はまるでそう、熊の着ぐるみの頭を被っている。
 時計塔最上部へと上り詰めた”それ”が、ルキシオン全域に響き渡る、恐るべき咆哮を上げた。
「ウォォ――ホゥホゥッッ!!!」
 時計塔下部に、いつからいたのか、全身タイツな戦闘員五名が並び立つ。
 そう、大都市ルキシオンへと現れたこの異形の怪物は、秘密結社ネオフォボス、その戦闘怪人――マッスルベアコングに他ならない!
 今再び、大都市ルキシオンに戦時の風が吹き荒れる!


「来てくれたみたいね。緊急の事態よ」
 集まったイレギュラーズを前に、『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)がまとめた情報を知らせてくる。
「知っている人は知っているかもしれないわね。
 『秘密結社ネオフォボス』――元は練達の地下組織だったのだけれど、これまでにも幾度か幻想支配を目論み、悪の怪人を送り込んで来ていたの。それらはローレットと地元の戦隊によって倒されてきたのだけれど、ついに本格的に幻想侵攻を始めたようなの」
 幻想支配をもくろむというネオフォボスは、練達のアンダーグラウンドから現れた魔種による組織である。
 幻想の貴族達もこれに対応してはいるが、ネオフォボスの電撃的な勢いに押され気味であるとのことだ。
「砂蠍との戦いで防衛に成功したルキシオンにも、ネオフォボスの戦闘怪人が現れたと報告を受けたわ。
 これを放置すれば、いずれ王都へと攻め込んでくるでしょう。
 シャイネン・ナハトを前にもう一騒動と大変だけれど、どうかこの事態を解決するために力を貸して頂戴」
 ルキシオンに現れた巨大な怪人。もはや怪獣とも呼べそうなマッスルベアコングはその名、その体躯からわかるようにパワータイプの怪人だ。
 放置すれば、街一つ潰すのも時間の問題だろう。ルキシオンを潰されれば其の先は王都への直通路だ。
 スクランブル。それを理解したイレギュラーズは、早速ルキシオンへと赴くのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 秘密結社ネオフォボスの本格侵攻が始まりました。
 暴れ回るマッスルベアコングを倒して下さい。

●依頼達成条件
 怪人マッスルベアコングの撃破

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●敵勢力
 ・怪人マッスルベアコング
 熊とキングコングの要素を元に改造された怪人。なぜか熊要素は着ぐるみだった。
 恐るべき破壊力を宿す四肢を振り乱し、とにかく暴れ回る乱暴者。
 【必殺】【防無】の大技『怒りのギガトンパンチ』を喰らえば一溜まりも無いだろう。
 耐久力は高いが、しかし防御技術に不安を持つ。
 パワータイプ故一撃はやはり重い。

 ・戦闘員 十名
 怪人に付き従う雑魚要因。
 雑魚なので当然強くはないが、放置は厳禁。
 今回は怪人のお世話役として付いて来た。

●戦闘地域
 幻想南部の大都市ルキシオン。その中央広場。
 時刻は昼間、十一時頃。
 広場での戦闘になります。周辺に建物は多いですが視界良好、戦闘がやりやすいことでしょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • <秘密結社NF>怪人マッスルベアコング怒りのギガトンパンチ! 完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月31日 21時45分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
アラン・アークライト(p3p000365)
勇者の使命
ニーニア・リーカー(p3p002058)
平原の穴掘り人
レスト・リゾート(p3p003959)
長耳メイド
桜咲 珠緒(p3p004426)
要救護者
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
煌きのハイドランジア
酒々井 千歳(p3p006382)
行く先知らず

リプレイ

●時計塔に現れた厄災、そして救済のヒーロー
 大都市ルキシオンに悲鳴が木霊する。
 突如都市内に侵入した怪人マッスルベアコングと秘密結社ネオフォボスの戦闘員十名。
 時計塔に取り付いた冗談のような姿――熊の着ぐるみの頭部を持った――のマッスルベアコングが雄叫びを上げる。
「ウォォ――ホゥホゥッッ!!!」
 それはまるで、自らの身体の痛みをごまかすために、周りに当たり散らすかのようで――
 時計塔の壁が殴られ破砕する。落下した瓦礫に当たらないように祈りながら、中央広場にいた人々が、逃げ惑う。
 嗚呼、誰かいないのか。
 この怪人達を止める救世主は――
 その時、悲鳴木霊する中央広場に轟く一喝が、逃げ惑う人々の視線を奪う。

「オラァァ聞けぇぇ!!! 俺の名前はアラン・アークライト、太陽の勇者だ!
 住民共!! 助かりたかったら俺の指示に従え!!」
 住民共とはなんとも尊大な言い方だが、この響き渡る声と、幻想ではそこそこ知れた『勇者の使命』アラン・アークライト(p3p000365)という名に、住民達の動きが変わる。
 そこに『トルバドール』ライハ・ネーゼス(p3p004933)と『行く先知らず』酒々井 千歳(p3p006382)もやってくる。
「あのようにがなり立てることはないが……まああれもアランの良いところか。
 さあ、こちらへ! 皆避難してくれ!」
 カリスマ性を発揮しながら住民達の避難を急がせるライハ。その横で、千歳が超聴力を用いて逃げ遅れた人々を探す。
「時計塔のすぐ下に瓦礫に阻まれ動けない者がいるようだね。
 アラン君! 時計塔の下だ!」
「ちっ、めんどくせぇが、放置するわけにもいかねぇか!」
 駆けるアランが時計塔の真下へと行くとそこには親子が小さな瓦礫に足を取られ動けないでいた。
「ドン臭ぇ奴等だぜ。ほら、立てるか?」
 瓦礫を退かし住民達を立たせると、そこに戦闘員達がやってくる。無慈悲に容赦なく住民達を襲おうと動き出した。
「さっさと逃げろクソ住民! ……ええい、そんなに無抵抗の人間を襲って楽しいか……!」
 住民達を庇うように動くアラン。
「くっ、こちらにも――」
「これでは動きようがありませんね」
 ライハと千歳もまた戦闘員達に囲まれる。
 だが、心配することはない。心強い仲間達が彼等にはいるのだから。
「其処までだよ、秘密結社ネオフォボス!」
 響き渡る可憐な声に、ネオフォボス戦闘員、そして時計塔に取り付いているマッスルベアコングが振り返る。
 ビシッと魔法少女の杖を構えて名乗りを上げるは 『煌きのハイドランジア』アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)。ライハが奏でるファンファーレのような音色が名乗りに色をつける。
「輝く想いはこの胸にっ!
 煌めきのハイドランジア、イレギュラーパープルッ!」
 見事に決まった名乗りだが、本人は結構恥ずかしそうだ。「……え、えへへ」と照れ笑いを浮かべる姿が可愛い。
 アリスに続いて仲間達が次々に名乗りを上げる。同時にライハの奏でる音色は徐々に熱を籠もったものになっていく!
「そこまでだよ、ネオフォボス!
 これ以上の蛮行は僕達イレギュラーズが許さない!」
 バサっと翼を広げ、眼鏡をクイっと上げれば、残る手の人差し指で戦闘員達に突きつける。眼鏡を用いたカッコイイポーズでドヤッと不敵に笑うは『混沌の名所マップ作成人』ニーニア・リーカー(p3p002058)だ。
「そこまでよ~! ネオフォボス~!
 小さな蝶の羽ばたきが、竜巻となって悪を討つ。ミス・ブルーバタフライ参上★ミ」
 同じくドヤ顔を披露しつつ日傘を回しながら横ピースを決める 『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959)……ではなく、ミス・ブルーバタフライだ。凄そうなヒーローの威厳を纏い戦闘員を威嚇する。
「ごほっ……ごほっ……。
 暴れるならば、街の外でやるのです」
 その脆弱な身体で急いで走ってきたものだから到着するなり喀血し、すでに瀕死の様相を見せている桜咲 珠緒(p3p004426)だが、容易くやられはしませんよと、気合いをいれる。
 喀血した際の血を用いて印を描けば、保護結界が張り巡らされた。
 そして彼女達の前に一歩踏み出た小柄な少女。最上級まで高まったファンファーレを浴びて少女が口を開く。
「ウホウホ、ウホホホ、ウホホウホホウホッホー!(怪人マッスルベアコング、街の破壊はこのボク、聖剣ウサミミナイトが許さないぞ!)
 ウホホウホウホ、ウホホホウホウホホウッホホホウ!(キミを倒して、頭にウサミミをくっつけてやる!)」
 突然ゴリラ語をしゃべり出し、荒ぶる鷹のポーズを決めるのは『魔法騎士』セララ(p3p000273)だ。わざわざ動物疎通を取ってきたということだが、これはマッスルベアコングとの意思疎通に成功したと言ってもよいだろう。だが、面倒なので以降は普通のセリフになります。
 こうして揃い踏みしたイレギュラーズ。
 戦闘員達の注意を引く事に成功し、住民達も逃す事ができた。
 さあ、戦えイレギュラーズ! 悪い怪人マッスルベアコングをやっつけろ!

●ゴリラなのか熊なのか
 誰よりも高い反応で動き出したセララ。
 時計塔の壁を蹴昇りマッスルベアコングの元へと一直線に向かう。
「まずはそこから降りてもらわないとね」
 振り翳す聖剣ウサミミスペシャルがマッスルベアコングの身体を十字に切り裂く。切り裂かれた痛みに咆哮を上げながら、マッスルベアコングが時計塔から離れ地上へと落ちていく。セララは後を追うように地上へと帰還しマッスルベアコングを油断なく睨めつけた。
「怪人さんはセララさんが抑えてくれている……なら戦闘員さん達を倒していかないとね」
 戦場を低空飛行で俯瞰しているアリスが、人助けセンサーに注視しながら戦闘員達へとフォーカスする。
 纏まっている戦闘員達を見つければ、杖の先に溜めた魔力を雷に変えて、放つ。放射される電撃の雨に打たれた戦闘員達が爆発と共に空中回転した。
「さあ、お相手してもらおうかな」
 不敵に笑う千歳が二本の業物を手に戦闘員達へと襲いかかる。一合、二合と斬り合うて、立ち位置を自在に変化させれば、自ずと戦闘員達が纏まり並ぶ。
「もらった――!」
 刹那の呼吸にて、放つ紫電の一閃は、立ち並ぶ戦闘員達を纏めて薙ぎ払う。錐揉みしながら吹き飛ぶ様はまさに痛快だ。
「ウォォー!! ウッホゥ!!」
 筋骨隆々の豪腕がセララへと振り下ろされる。
「うわー!」
 その一撃を受けて大きく吹き飛ばされ、家屋の外壁へと叩きつけられるセララ。駆け寄るはセララとともにマッスルベアコングの抑えを担当する珠緒だ。
「すぐに手当するのです」
 騎士であるところのセララには二人で抑えに回るというのは些か不本意かもしれないが、今回ばかりはそれが正解といえよう。
 マッスルベアコングの強力な攻撃を一人で凌ぎきるのは至難だ。珠緒という防御型のヒーラーがいることで、なんとか抑える事ができるのだ。
「ウホッホウホッホ!」
「まったく、頭が熊なのにウホウホと。
 こんな、要素が半端でかっこよくもかわいくもないアレですよ?」
 珠緒の言葉はもっともだが、怪人なんてそんなものだろう。改造した奴のセンスのなさが良く窺える。
「二人とも気をつけて~。熊ゴリラちゃんが向かってるわよ~」
 レストもといミス・ブルーバタフライの警告に耳を貸せば、視線の先に飛び込んでくるマッスルベアコングの影。
 地上に叩きつけられる一撃に、直撃は避けたものの大きくダメージを受ける。
「援護するわ~」
 二人を援護するミス・ブルーバタフライ。戦闘空間の中にあってよく周りを見ている。抑え役の二人をサポートする要員を用意して、磐石の構えと言えた。
「ルーン・H!! それから、ポイゾニックメール!!」
 ニーニアが不可避の雹をマッスルベアコングの周囲に降らせ氷結させると、駆けつけようとする戦闘員達に向けてヴェノムクラウドを仕込んだ手紙を送り届ける。不幸の手紙としか言い様のないこれを受け取った戦闘員が慌てふためき倒れて行くのが見えた。
 これに怒った戦闘員がニーニアへと迫るも、
「はい、受付完了ね」
 と、ポポポンと消印をスタンプされて、倒されてしまうのだった。
「オラァ! 邪魔だァ――!」
 戦神の模造剣を手に、憎悪を燃やしながら斬りつけるアラン。襲い来る戦闘員の懐に潜り込めば横薙ぎに剣を振るい、アクロバティックに回避する動きをみれば、容赦なく追い詰めて大上段から叩きつけた。
「纏めて燃えちまいな!」
 とっておきの一撃とばかりに、全身の力を右手に集中し、爆裂する一撃を戦闘員に向け放つ。爆発に吹き飛ばされるように多くの戦闘員達が空中錐揉み回転し、地上に倒れ伏した。
「おっと、避難誘導しているうちに雑魚は片づいたようだな。
 ならば、あとはあのゴリラを倒すのみ――!」
 静寂のバラードを奏でるライハが、仲間達の抵抗を引き上げる。そうしてからゴリラへの間合いを掴めば、己の精神力を弾丸へと変えて放つ。
 高い威力を誇る弾丸が、マッスルベアコングの肌を抉る。痛みにマッスルベアコングが咆哮をあげ、飛び退いた。
 雑魚戦闘員を倒したイレギュラーズ。
 対して、お世話役をやられた怪人マッスルベアコングは怒りの咆哮をあげる。
「ウォォ――ウッホゥォゥ――!!」
 今、怪人マッスルベアコングとの真の戦いが始まろうとしていた!

●怪人ベアコング怒りのギガトンパンチ!
「ウォォ――ウッホゥォゥ――!!」
 マッスルベアコングが常人ならざる速度を持って、セララへと襲いかかる。その理由は明白である。セララの腰にぶら下げた黄色の果実、バナナに眼を奪われているからだ。
 怪人マッスルベアコング。
 その素成分は人とゴリラと熊だ。配分量的にゴリラが多く熊は着ぐるみ要素しかないように見受けられるが、それでも人とゴリラと熊なのだ。
 そしてやはり人とゴリラはバナナが大好きだ。故に、この戦場のどこからでも香るバナナの香りにマッスルベアコングも興奮を隠せないでいた。
 『ゴリラだからバナナが好きだろう』というイレギュラーズの考えは間違いでなかったと言える。だが、弱体効果を見込んだバナナは同時に、相手を興奮させる興奮剤であったとも言えよう。バナナを求めてマッスルベアコングのマッスルパンチがイレギュラーズ達の誰彼構わず襲いかかる事となる。
「バナナとなると見境がなくなるね。ほら、こっちだよ!」
 アリスがバナナを投げ捨て、マッスルベアコングを誘導する。そうして飛んできたところを、側面に回り込んだ千歳が斬りつける。
「熊とゴリラか。さすがに硬い。刃が通らないね。
 だが、防御なしでいつまでも耐えられるとは思わない事だ」
 力がダメなら技で。千歳の防御の隙間を狙うテクニックが光る。
「バナナに釣られて強打がこないと思えば、誰彼構わず狙うとは恐ろしいものですね」
 珠緒がマッスルベアコングに殴られバナナを奪われている仲間を治癒し、体勢を整える。マークをしているが、反応的に早いマッスルベアコングに先に動かれてしまう。こればかりは仕方がないだろう。
「熊ゴリラちゃん~、受け取って~」
 ぽいっとミス・ブルーバタフライがバナナを投げれば、振り向いたマッスルベアコングが飛びついた。着ぐるみの一体どこから食べるのかと思えば、見事に着ぐるみの口が開いてバナナを食べていた。
「んふふ~、バナナ美味しいものね~、もぐもぐ」
 時刻はお昼時、イレギュラーズも腹が減るというものだ。ミス・ブルーバタフライのみならずセララなんかもバナナをぱくついていた。
「これだけバナナが有効なら、これだって!」
 ニーニアが事前に準備した秘密兵器を取り出し投げる!
 それはバナナの皮に包まれた鮭だ。熊とゴリラの怪人なら好物も合わせたほうが良いという安直な考えだが、果たして効果は如何に。
「ああ!? 投げ捨てたー!?」
 鮭バナナを拾ったマッスルベアコング。皮を剥いて出てきた鮭を見て、ぽいっと投げ捨てた。
 そう、このベアコング、熊と名前が付いていながらその要素は頭部の着ぐるみだけである。着ぐるみ熊さんはファンタジーだから鮭など食べないのだ。たぶん。
「ということは……やはりこれはだめか」
 鮭型の電子ペットを手にしていたライハ。ビチビチと跳ね回っていて実に活きが良さそうだが、やはりマッスルベアコングは見向きもしない。
 まあ余り期待していなかったものなので、良しとして、戦場に転がしておいた。視界の端でビチビチと動く様がなんとも言えない。
「おっと、バナナでマークが外れちまってるな。ならちと抑えるか。
 ――何処に行くんだい? お嬢さん。俺と一緒に、イケない遊びしないか?」
 帽子を取って髪をかき上げ、気取った感じにイケボを漏らすアラン。
 振り向いたマッスルベアコングが「あらまあ素敵な男」などという感想を漏らすわけはなく、ブチチィッ! と何かが切れたような音がした。
「お、おう。なんかやばそうだぞ!」
「きっとあの怪人はイケメンイケボが嫌いな陰キャの男が素体になったに違いないよ!」
 冗談めかしてセララが笑うが、笑っている場合ではない。
「ウォオォォ――!!! ウッホ――!!!」
 放たれる怪力金剛、怒りのギガトンパンチ。その餌食となったのはアランだ。
 全身の骨が軋みをあげて悲鳴に変える。内臓に直接響く重厚な衝撃に我慢も効かず吐血する。回転力を伴う一撃に身体は回り、そのまま壁へと叩きつけられる。
「ンのヤロウ……ッ!」
 意識を失わなかっただけ大した物か、パンドラの輝きと共に鋭い眼光でマッスルベアコングを睨めつけながら口の端に垂れる血を拭う。
「マッスルベアコング! キミは何でそんなに怒っているんだ! ……いやなんとなくわかるけど!」
「ウッホーウホウホウッホー!!(女扱いしやがって俺はイケメンが大嫌いなんだ! ボコボコにしてやる!!)」
「なるほど、キミの怒りはよく分かったよ。アランを差し出したい所だけど彼も一応仲間だ。渡す事はできない」
「ウホホウホウウホッホー!!(だったら全員ボコボコだー!!)」
 もはや交渉は決裂だ。仕方がないとセララは剣を構える。
「それなら、運動してストレス発散だよ。
 行くぞベアコング! 勝負だ!」
「ウォォホホホー!!!」
「なんだかわかんねぇが、交渉は決裂だな! やるぞ!」
 今、怪人マッスルベアコングとの戦いに決着の時を迎える!

●悪は滅びる
「アランさんは私が回復させるよ! 千歳さん!」
「心得ているさ――!」
 アリスがアランをフォローし、その隙を埋めるかの如く千歳が疾駆する。側面から背面へと回り込んで、一刀のもとに剣閃を叩き込む。頑丈な皮膚を持つマッスルベアコングであっても巧みな技を用いる千歳の一打に大きく傷つけられる。
 暴れるマッスルベアコングを珠緒が抑える。
「圧が強いのです。もっと可愛くいてほしいものですよ」
「ウッホーウホウホゥ!!」
 珠緒の言葉に反抗するようにそのギガトンパンチで珠緒を殴り飛ばす。華奢な身体には強すぎる衝撃に、珠緒の意識が飛びそうになる。パンドラが輝いた珠緒と入れ替わるようにアランが前に出る。
「オスゴリラならなおさら容赦しねぇ――くたばれっ!」
 憎悪に燃える爪牙を研ぎ澄まし、アランの戦神の模造剣が唸る。力と力のぶつけ合いによる圧倒的な蹂躙劇はどちらが倒れるか、それを決めるまで続けられるようにも思われた。
「アランちゃんと熊ゴリラちゃんが仲良く倒れるのも楽しそうだけれど~。
 んふふ、そうは言ってられないわよね」
 だがアランには仲間がいて、その背を支える力があった。ミス・ブルーバタフライの回復がアランの身体を癒やし、攻めを継続させる。
「一発くらいなら――!」
 ニーニアが果敢にもマッスルベアコングの攻撃をその身を盾に受け止める。自身の体力を犠牲にし、攻撃手を増やす形だ。こうしたニーニアの献身的な動きによって、マッスルベアコングを徐々に追い詰めていく。
「チャンスはあと二回といったところか。効いてくれよ――!」
 ライハの放つ精神力の弾丸は効果がでれば、相手を恍惚させ隙だらけにする力を持つ。すでに四発使用し、残弾は後二発といったところだ。ここで命中させ効果を期待したかった。
 果たして、セララを殴り倒したマッスルベアコングの頭部へと吸い込まれた弾丸は、その効果を発揮する。
 恍惚とした表情(?)を浮かべるマッスルベアコング。
 チャンスはいまだ。
「負けられない。ボクはこの街を、人々を守るんだ!」
 パンドラの輝きを宿しながらセララが勇猛果敢に立ち上がる。
 二本の聖剣を手に疾駆した先で、下段から大上段へと斬り上げる。大きく吹き飛ぶマッスルベアコングを追いかけて、高く飛び上がる。
「おわりだーっ!」
 叩きつけられる『聖剣ウサミミスペシャル』はそのままマッスルベアコングを地表に叩きつけてそして大爆発を迎えた。
 爆炎の中、イレギュラーズが互いに顔を見合わせ笑い、拳を付き合わせる。
 悪は滅びたのだ。
 大都市ルキシオンを襲った二度目の災厄はこうしてまたしてもイレギュラーズによって払われたのだった。
 ありがとう! イレギュラーズ!!

成否

成功

MVP

アラン・アークライト(p3p000365)
勇者の使命

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。

皆さんの活躍で怪人マッスルベアコングは倒されました。お見事です。
バナナを使った作戦はとても良かったですね。鮭はダイスロールに負けました。
性的魅力は……ノーコメントとしておきます。

MVPは総合的に頑張っていたアランさんに贈ります。性的魅力のおかげ……ではないと思います。
セララさんには称号が贈られます。

依頼お疲れ様でした!
怪人といえば蘇る復活怪人なんてのもありましたね。さてはてどうなることやら。

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