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シナリオ詳細

忍者クッコロちゃん~悪辣死天衆・大門を倒せ!の巻

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●忍者クッコロちゃん登場! 即ぴんちっ!

 無辜なる混沌。
 数多の召喚を経て、無数の命が煌めく大地。
 その広大な大地を闇から支配せんと現れたのは、邪忍幻老会を名乗る悪しき力を持った忍び達。
 人々を籠絡し、堕落させ、時にその怪しげな忍術を持って人々の平和を奪い去る。
 今日もまた、混沌の大地に、人々の悲鳴が木霊する――

「いやぁ――ッ! 誰かぁ――ッ!」
 蠍、そして北部戦線での戦いを終え、一時の平時を取り戻したと思われた幻想中央。
 月明かり陰る闇夜に、劈くような悲鳴が響き渡った。
「ぐわははは、無駄だ小娘。
 今、この周囲は我が忍術『アーアーキコエナーイ』によって音を殺しているのだ。
 貴様の助けを呼ぶ声など、はっはっはっ、誰の耳にも、あ、届くまーい!」
 編み笠を被る巨漢の僧。そう捕らえるしかない大男が地面に倒れ込む女性を睨めつけた。
「どうして……どうしてこんなことを!」
 女性が泣き叫びながら問いただす。そう女性は奪われたのだ。人生の全て。生きる意味を。
「んん? どうしてというのはコレのことかぁ?」
 僧が手にした者を見せ付ける。女性はその姿を見定め、もう一度泣き崩れた。
「ぐわははは!
 ネコなどという軟弱無頼、愛嬌全振りの躾も出来ぬ生物などに愛着を持つからそうなるのだ!!
 儂、邪忍幻老会は一級忍道、悪辣死天衆・大門(おおかど)さまがそれを許すと、あ、思うかぁ~!?」
「ひ、ひどい。いくらなんでもあんまりだわ!!」
「それはこの犬になったこいつのことかぁ!?
 ぐわははは! 世の中のネコなど、全て犬に変えてくれるわぁ!!
 見せしめだ! 雑魚忍共、この女の持つ猫グッズを全て燃やしてしまえぇ!!」
「キーッ!」
「いやっ! やだぁ! やめてぇぇ!!」
 その行い、まさに悪鬼羅刹なり。
 邪忍幻老会、悪辣死天衆・大門の行いを止める者はいないのか――!
 愛用の猫グッズを奪われる女性が、翳りを見せる空の下弦の月へと祈りを捧げた。

 果たして――祈りは聞き届けられた!!

「――そこまでよ!!」
「ぬぅぅ!? 何奴ッ!?」
 見上げれば、街一番の建物の上に忍び立つ、若き少女が一人。
「――下弦の月が陽炎て、悪しき邪忍の影一つ。
 浮かび上がりし其の影を、討って誅すが我が運命(さだめ)」
 後腰に携えた一振りの小刀を抜き放ち、月の輝き照り返す。
「同仁衆、忍者クッコロ! 只今、参上!!」
「同仁衆だとぉ?
 愚かしい、儂等邪忍幻老会に逆らう田舎忍者がまだいたか!」
 手にした犬(ネコ)を放り捨て、大門がクッコロちゃんに武器を突きつける。クッコロちゃんが研ぎ澄ました冷たい視線で大門を睨めつけた。
「悪辣死天衆・大門!
 罪のないネコちゃん達をワンちゃんに変えるその暴挙! 決して許しは致しません!!」
「ぐわははは! ならば如何とする! 田舎忍者が!」
「お命頂戴致すまで! 覚悟ーっ!!」
 上空に舞い上がり一直線に大門へと飛び込むクッコロちゃん。
 今、熾烈な忍術バトルが幕を開ける――!!

「くっ、殺せー! 辱めは受けないっ!」
 五秒で捕まった。
 その一部始終物陰から見ていたイレギュラーズはなるほど、情報屋リリィ=クロハネの依頼書通りだと頭を抱えた。
 為す術無く一瞬で捕まり、エロ同人的展開が待ち受ける(はず)のクッコロちゃんの未来は如何に!
 救い出すのは、貴方達だ!

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 えっちな忍者ではありません。服部さんでもありません。
 忍者クッコロちゃんを助け出しましょう。

●依頼達成条件
 クッコロちゃんが悪辣死天衆・大門に止めを刺した(と勘違いするでも可)

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●敵勢力
 ・悪辣死天衆・大門
 変化の術を得意とする悪辣死天衆きっての巨漢。
 どのような物、相手であってもこの変化の術を喰らうと三十秒は元に戻れない。
 最近のマイブームは犬らしいので、きっと犬にされることでしょう。
 但し変化しても戦闘能力は変わりません。
 自分を変化させることはできません。
 クッコロちゃんを犬にして可愛がりをしようと企てています。
 普通に戦うと普通に強いです。

 ・雑魚忍 十体
 「キーッ!」しかしゃべれない全身タイツの雑魚忍者。
 色々アクロバティックな動きを見せながらダメージ表現をしてくれる表現者です。
 普通に雑魚ですが、放っておくと邪魔と感じるくらいには攻撃してきます。
 クッコロちゃんに対して二人がかりで戦うと丁度良い強さです。

●忍者クッコロちゃん
 同仁衆に名を連ねる忍者。
 厳しい修行を経て、様々な忍術と忍具を操り、どんなに追い詰められても屈しない精神を兼ね備えたスーパー忍者。
 のはずだが、強い相手に遭遇すると途端にその力を発揮できなくなってしまう残念忍者。
 この依頼は邪忍幻老会の動きを感知した同仁衆が、クッコロちゃんの様子が心配なので、と護衛とあわよくば自信を付けさせてやって欲しいと頼み込んできたものなのだ。
 なおクッコロちゃんはその事実を知らされていないので、駆けつけるイレギュラーズをお助けキャラかなんかだと思っています。
 捕まると直ぐに「くっ殺せーっ!」と喚く。
 負けても、えっちなのはないです(ないです)

●戦闘地域
 幻想中央のとある街。
 時刻は夜十時。
 町中での戦闘になります。建物は多いですが視界良好、戦闘がやりやすいことでしょう。
 悪辣死天衆大門の使う忍術によって、騒いでも人は出てこないです。

  • 忍者クッコロちゃん~悪辣死天衆・大門を倒せ!の巻完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
レッド(p3p000395)
赤々靴
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
佐山・勇司(p3p001514)
赤の憧憬
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
酒々井 千歳(p3p006382)
行く先知らず

リプレイ

●下弦の月に誘われて、狼烈徒、異例義勇等衆参上(長い)
「くっ、殺せー! 辱めは受けない!」
 悪辣死天衆・大門に捕まったクッコロちゃんが、お約束のセリフを涙ながらに叫ぶ。
「ぐわははは! 同仁衆とはなんと脆弱なものよ!
 くくく、辱めがお望みと見える! 我が変化の術で犬に変えて可愛がってやろう!!」
 嗚呼なんたる卑劣か。大門の魔の手を前にクッコロちゃんは覚悟を決めて眼を瞑った。
 その時、下弦の月に誘われて、彼等がやってきた!
『待てぇい!』
「むぅ!? またしても! 何奴!?」
 大門が声のした方を向けば、そこには建物の屋上によじ登った八人の姿。
「我ら狼烈徒 異例義勇等衆、義によって助太刀いたす!
 ――何てな、邪魔させてもらうぜ?」
 長いマフラー靡かせて名乗りを上げるは『赤の憧憬』佐山・勇司(p3p001514)。
 五秒で捕まったクッコロちゃんを流石に早すぎじゃないか? と内心思いながら救援に駆けつけた。
 勇司に続いて続々と異例義勇等衆が名乗りを上げる。
「犬派だけれど、ネコを変えるのはよくありません! 狼烈徒 異例義勇等衆 シフォリィ! 参ります!」
 大門の周りにいる雑魚忍を対象に名乗りを上げた『くっころして!』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)。その称号は実にクッコロちゃんと仲良くなれそうだが、シフォリィ本人にそのつもりはきっとない。たぶん。
「狼烈徒 異例義勇等衆参上っす、そしてその一人、烈怒(レッド)!」
 名前も漢字に変えてノリノリに名乗りを上げるは『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)だ。屋上に上るのは彼(彼女?)の発案だが、見事に注意を引けたと言って良いだろう。
「ええと、なんだ。狼烈徒 異例義勇等衆、亘理だ。」
 この任侠者わりとノリが良い。『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)もまた仲間達に揃って大門を鋭く睨み付ける。
「夜の闇を正道の月光で照らさんとする心意気や良し!
 忍者クッコロちゃん、義によって助太刀するよ!
 狼烈徒 異例義勇等衆ヒィロ参上!」
 一番ノリが良いのは間違いなく『夢見る狐子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)だろう。ビシッと指さしからの武器を構えたポーズを決めて、まさに助太刀にきたお助けキャラという様相だ。
「そこまでだ、よ……!」
 『孤兎』コゼット(p3p002755)が屋上からぴょんと飛び降り武器を振るう。
「どちらかといえば、猫派。ときどき犬派。うちのペットはミニウサギ。
 狼烈徒、異例義勇等衆コゼット! 義によって、助太刀するよ……!」
 ジャーンと効果音でも付きそうな、両手を広げた即席のカッコイイポーズを決めてみせるコゼット。若干楽しくなってきてるのが傍目に見ても分かる。
「狼烈徒 異例義勇等衆、黄昏の踊り手、津久見弥恵の参上です!」
 見るからにお色気ハプニングを起こしそうな風貌の『月影の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)が敵の注目を浴びながら颯爽と現れる。彼女が強くハプニングを拒否しようが、きっとそれは起こるのだ。そうきっと。
「狼烈徒 異例義勇等衆――酒々井 千歳」
 クールに最後に名乗り出た千歳が月光反射する業物を優雅に振るって睨めつける――見ているのは縛り上げられたクッコロちゃんだ。
(ふむ……戦闘力はほどほどとして……実にナイスバディ)
「な、なんですか! なんでそんなにジッと見ているのですか!? いや、全部見られちゃうっ」
 千歳のクールな眼差しがクッコロちゃんを居抜き、その”スリーサイズ”を白日の下にさらし上げる……! 設定なんて考えてなかったけどきっとB89cm、W62cm、H89cmくらいだ!
「同仁衆に続いて、狼烈徒は異例義勇等衆だとぉ!?
 ふん! 同仁衆共々田舎者共が、わらわらと出てきおって!
 お前らもこの田舎忍者共々犬にしてくれるわっ!!」
「そうは行くものですか! クッコロちゃんすぐに助けますよ!」
「どこのどなたか存じませぬが、かたじけないっ!」
 シフォリィの言葉に勇気づけられたクッコロちゃんが、縄に縛られたまま健気に言葉を返す。
「者共! やぁってしまえ!」
「キーッ!」
 大門のかけ声一つ、雑魚忍達が一斉に走り出す。
 迎え撃つは異例義勇等衆。全員が武器を構え颯爽と屋上から飛び降り走り出す。
 下弦の月が微睡む夜に、忍術(?)バトルが開始された!

●痛快、雑魚バトル
 雑魚忍達がバク転、側転、宙返りをしながらイレギュラーズに迫る。なんとも無駄なアクションだが、視聴者(?)の心を掴むには大事なアクションなのだ。
「雑魚は任せたぜ。
 悪辣死天衆・大門! お前の相手は俺だ!」
 誰よりも早い反応を見せた勇司が、体当たりするように大門を押し込み、クッコロちゃんとの間に割り込んだ。
「小僧! 一人で我の相手が出来ると思うなよ!」
 轟く威勢が空気を震撼させて、手にした錫杖を振るえば、其の力に気圧され地滑る。だが抑えられない力ではない。
 徹底的なブロックで大門を抑えつけながら、勇司がクッコロちゃんへと語りかける。
「おい、アンタ。
 殺せ、何て直ぐに口にするようなモンじゃねーだろ?
 アンタにはまだ戦う為の力がちゃんとある筈だ」
「うっ……それはそうなのです。そうなのですが」
 いまいち自信の持てないクッコロちゃんが、シュンと頭を垂れる。そんなクッコロちゃんの背を押すように勇司は力強く言葉を続ける。
「一人でやれとは言わねー。
 俺の仲間と一緒に先ずは為すべき事を為せ。
 コイツの相手はソレまで俺が引き受ける」
「ゆ、勇司殿……くっ、私、頑張ります!」
 大門の錫杖を力強く押し戻して言う勇司の背中に、クッコロちゃんが感動したように瞳を潤ませた。
 勇司が大門を抑えてる間も、他の面々は雑魚忍達と大立ち回りを見せる。
「さぁこっちですよ! 雑魚忍さん!」
 天爛乙女たる弥恵の”魅せる”ダンスは、戦闘であっても――否、戦闘であるからこそますますのキレを魅せる。
 緩急つけるスイッチマニューバで雑魚忍を翻弄し、得意の狂熱的なダンスの応酬が雑魚忍達を魅了すると同時傷つけていく。
「さて、斬り捨てられたいのは誰からだい? 相手になるよ」
 鞘へと収めた刀を構え、不敵に笑うは千歳。
 アクロバティックに迫る雑魚忍を誘うように間合いを取れば、並び立つその瞬間に、紫電を走らせる。剣気一閃の横薙ぎに、雑魚忍達が後方宙返りを加えながら吹き飛び倒れた。
「雑魚忍はこっちの相手をしてもらうよ!」
 全員の行動を見てから動き出したヒィロが、迸る闘志を雑魚忍へとぶつける。熱気を伴うかのような闘気に当てられて、雑魚忍達の敵視がヒィロへと向かう。
 引きつけクッコロちゃんから引き離すと、その隙を見てシフォリィが駆け抜けていく。
「さぁ、クッコロちゃん、一緒に戦いましょう」
「かたじけない……!」
 シフォリィがクッコロちゃんを縛り上げていた縄を切り落とし、救出する。するとすぐに雑魚忍達がシフォリィとクッコロちゃん達を囲むように動いた。
「いきますよ! クッコロちゃん!」
「参ります――!」
 小刀を抜いたクッコロちゃんが駆ける。呆気なく捕まったとは思えぬ身のこなしで雑魚忍へと襲いかかり、旋風のように小刀を振るう。
(雑魚相手だと全然強いのですね……)
 弱い者には全力を出せるクッコロちゃんにクスりと笑いながら、フォローするようにシフォリィが流麗に舞い、雑魚忍を傷つけていく。
「やるじゃないっすか!
 こんな邪忍幻老会なんて大したことないっす!
 クッコロさん、その勢いで大門を倒してやるっす!」
 オーバーアクションで倒れていく雑魚忍達に、内心で謎の拍手を送りながら、レッドがクッコロちゃんを応援する。
「え、えへ。そうですかね? えへへ……」
 褒められるのに弱いクッコロちゃんが若干気持ち悪い笑みを浮かべて笑うが、そこは見なかった事にする。こんなんで自信をつけてくれるのならば安いものだ。
「ほら、次、来たよ」
「あ、は、はい-!」
 戦場をぴょんぴょんと駆けるコゼットにせっつかれて、クッコロちゃんもまたぴょんぴょん跳ねる。
 コゼットの放つ拳の一撃は衝撃波となって雑魚忍を錐揉みさせながら吹き飛ばす。その一撃に「すごい……」と感心するクッコロちゃんも、負けてはいられないと、小刀を振るい続けた。
「おォォ――ッ! ラァッ!!」
 鋭い眼光で雑魚忍を睨み倒し、気合いとともに暴風を生み出すのは義弘だ。まとまった雑魚忍達が一斉に飛び上がり回転しながら地面に倒れ伏す。
「こっちもすごい!?」
 驚きながら、しっかりと止めを刺しているクッコロちゃん。ほとんど義弘がやったものだが、自分が止めを刺したと言うところが重要なので、これで良いのです。
「ぐわははは! 雑魚忍共を倒したか!
 だが、貴様等の仲間もまた、我が手中に落ちたわ!」
「きゃんきゃん!(離せこの!)」
「ああっ!? 勇司殿!?」
 雑魚忍を倒したものの、大門を抑えていた勇司がチワワの姿へと変えられて大門に捕まっていた。
 しかし、必死に足蹴りして大門にダメージを与えている勇司。たしかに姿は変わっても力は変わっていないようで、大門が鬱陶しそうに、投げ捨てた。
「暴れる犬は鬱陶しいのう。まあいい、他の奴等も同じように犬に変えて可愛がってくれるわ」
「そうはいきません! 犬に変えられるのは私一人で十分!」
「いや、そこは倒す宣言じゃないっすか?」
「う、そ、そうですね。――大門、お前は私が倒す!」
 レッドに突っ込まれて言い直すクッコロちゃん。自信を取り戻せてはいるはずだが、強敵相手にはいまいち自信がなさそうに見える。
「ぐわははは! ならば掛かってこい田舎忍者!
 存分に可愛がってくれるわっ!」
 動き出す大門が、錫杖を大きく振るって見得を切った。

●犬も良いけどやっぱり猫がいい
 編み笠の下から覗く邪悪な視線。巨大な錫杖振るいし破戒僧。
 邪忍幻老会は悪辣死天衆・大門。イレギュラーズを前に一歩も引く事無し。
「くっ……なんて圧力ですか」
「怖じ気づく必要はありませんよ! 一斉に攻撃です!」
 強者を前にいつもの弱気が見え隠れするクッコロちゃんの背を押し、弥恵がリズムに乗ってステップを踏む。
「見惚れると怪我をなさいますよ!」
 流れるように頭から地面へ倒れ遠心力で身体を回す。ブレイクダンスのウィンドミルの動きから、両足を広げて、連続攻撃を叩き込む。
「あ、いや見事な攻撃なり!
 だがしかーし、ここで身を引く我ではなぁーい!」
 しなやかな弥恵の足を両手で掴み上げると、大きく引き上げる。思いっきり魅惑のレースパンツが見えてしまうハプニングだがそれどころではない。
「お前も犬になぁーれ!!」
 ボン、と煙が舞って弥恵がヨークシャテリアに姿を変えられる。
「よーしよしよしよし!」
 そのままの勢いで大門が弥恵を可愛がる。犬の姿だから健全映像のように見えるが、元の姿からすればなんと悪辣卑劣な光景か。弥恵が泣き叫ぶように吠えた。
「なんとうらやま……いや、けしからんことを。
 許してはおけないね。クッコロちゃん、彼女を助けるよ」
「ええ!」
 千歳とクッコロちゃんが大門へと迫ると、然しもの大門も可愛がりを止めて向き直る。千歳の急所を良く理解した太刀筋が、大門を押し込んでいく。
(緊張してはだめ……いつもの練習通りに――!)
 心臓の鼓動が大きくなるのを感じながら、しかしクッコロちゃんは自制し小太刀を振るう。
「むっ……! くぬぅ……!」
 千歳と共に行う鋭い連続攻撃に大門が押し込まれる。
「いいよ! クッコロちゃん!
 そのまま正義の心を燃やし続けるんだよ!」
 千歳と入れ替わるように前出たヒィロが、更にクッコロちゃんを後押しする。
 勇司がチワワに変えられた今、大門を抑えるのは予備要員のヒィロの役目だ。闘志を燃やし、大門の敵視を稼ぎ、行動を防ぐように圧力を掛ける。
「ええーい、邪魔をするな小娘が! キツネに用はなぁい!」
 忍術怒号雷撃が迸るも、決してあきらめない不屈の意志をもったヒィロが強烈にカウンターを放つ。「絶対に負けない……! 絶対にあきらめないよ!!」ヒィロの言葉に強くクッコロちゃんは感銘を受ける。
「クッコロちゃんやるじゃないっすか! 押してるっすよ!」
 レッドは攻撃をクッコロちゃんの動きに合わせて行い、クッコロちゃんの攻撃によって優勢を取っていると錯覚させるように動く。
 ビートを刻むように加速しながら攻撃しつつ、すべてはクッコロちゃんの手柄であるように褒めていく。
 同じように褒めるのが上手なコゼットが、力強い拳から衝撃波を放ち、勢いままにくるりと身体を回転させ蹴りを見舞う。クッコロちゃんと動きを合わせた連続攻撃に大門が苦悶の声を上げる。
「さすが、同仁衆クッコロ……みごとな腕前、だね」
「い、いえ、それほどでも……えへへ」
「ぬぅううん、調子に乗るなぁ!」
「あ……」
 ボン、とコゼットの身体が煙に包まれると、ポメラニアンにされたコゼットがぼそーっとクッコロちゃんを見上げた。
「コゼット殿ー!?」
「きゃん、きゃん(まあまあ、慌てず、いこ)」
 犬に変えられても余裕を見せる辺りさすがと言わざるを得ない。実際、力は変わらないのだから、どのような姿になっても慌てる必要などないのだ。
「くっ、私では歯が立ちません……!」
 大門と相対するシフォリィが歯噛みする。
「ぐわははは! お前も犬にしてやろう。なんだかお前は可愛がりやすそうだ!」
「――! くっ、犬にするくらいなら殺しなさい!!」
「な、なんだかどこかで見た覚えのある光景です……!」
 一連の流れはお約束という奴だが、くっころ属性が揃えばこうなる事は明白である。「望み通り犬にしてやろう!」と望んでいない方の選択肢をとる大門はやり手の敵役だ。
 プードルへと姿を変えられたシフォリィを助けるためにクッコロちゃんが義弘と共に大門へと襲いかかる。
(クッコロの気勢も落ちちゃいねぇ。ならしっかり削らなけりゃよ)
 敵の状況をしっかりと確認する義弘が、得意の拳闘で大門と立ち回る。力強い拳が何度となく大門を身体に痣をつけて、身体の内側からダメージを与えて削っていく。
「やぁ――!!」
 クッコロちゃんも義弘の安心感のある攻めの波に乗る。修行で身につけた力を遺憾なく発揮すれば、それはイレギュラーズにも勝るとも劣らない確かな力を見せ付ける。
「相手の動きをちゃんと見ろ。
 お前にはちゃんと誰が相手だろうと戦えるだけの力をちゃんと持ってる筈だ」
 チワワから元の姿に戻った勇司が、戦線に戻って、クッコロちゃんを支える。どんな強敵にも立ち向かえる強さがあるのだと、教えてあげるのだ。
 イレギュラーズ、そしてクッコロちゃんの果敢な攻めが悪辣死天衆・大門を追い詰めていく。
 その攻勢に然しもの大門も遊んではいられぬと、本気の力を見せ、忍術怒号雷撃を放ち、イレギュラーズの幾人にパンドラの輝きを灯らせるが、時既に遅し。
 イレギュラーズ怒濤の連続攻撃が、大門の身体を大きく傷つけ、バランスを崩させた。
「クッコロさん、今っす!
 ボク達が取り押さえてる今の内に忍法の奥義でいくっす!」
「皆さん……! かたじけない!!」
 下弦の月に照らされて、鋭く冷たい視線で見下ろすは悪辣死天衆・大門。
 いつのまにか、建物の屋上に上ったクッコロちゃんが小刀を逆手に持ち、月夜を輝かせた。
「悪辣死天衆・大門。お覚悟――!」
 バッと飛んだクッコロちゃんが”空”を蹴り、大門へ向けて急降下する。
「同仁衆が奥義! 閃波月光斬――ッッ!!」
 月光の輝き秘めた小刀から輝きが溢れ、光の斬撃を放つ。逆袈裟を切り上げられた大門が、悲鳴を上げた。
「ぐわぁー!! 己ぇ……同仁衆、そして狼烈徒・異例義勇等衆!!
 決して、貴様等のことは忘れぬぞ! 地獄の果てでも忘れはせぬぞぉぉ――!」
「地獄へ行くのは貴方一人です……!」
 クッコロちゃんの言葉に大門がニヤリと笑う。
「ぐわはは! ならば、最後の置き土産だ!
 邪忍幻老会に栄光あれ――ッッ!!!」
 爆発四散する大門。その身体から煙が吹き出し、イレギュラーズを包み込んだ。
「くっ、自爆するとは……恐るべき相手でした。
 皆さん、ご無事ですか? 皆さんのおかげでなんとか倒す事ができまし……あれ?」
 クッコロちゃんが話をまとめて閉めようとするが、そこにいたイレギュラーズは――
「ワンワン!(ここ、ここだよ!)」
「あぁ!? 異例義勇等衆の皆さんが犬になってるぅ!?」
 大門の置き土産とはこのことか。変化の術をバラ撒き死んでいく恐るべき自爆を見せた悪辣死天衆・大門。いや、まて、これにどんな意味がある?
 プードルのシフォリィ、ブルドックの義弘、チワワの勇司、ゴールデンレトリバーのヒィロ、ポメラニアンのコゼット、ヨークシャテリアの弥恵、そしてシベリアンハスキーの千歳。
「いやぁ皆可愛いっすね。なでなでもふもふしてやるっす♪」
 一人難を逃れたレッドが仲間を可愛がる。
「うわーん、皆さんー! 早く元に戻って下さい-!!」
「きゅいーん(というか、これ元に戻るのか?)」
 クッコロちゃんの泣き叫びは、全員が元に戻る間、深夜の街に響き渡った。
 最初に犬されたネコが、あくびをするようにニャァと鳴いた。


成否

成功

MVP

佐山・勇司(p3p001514)
赤の憧憬

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。

皆さんの献身的な戦いでクッコロちゃんはなんとか自信を持てたようです。
でも実際のところ仲間がいないとまた捕まることでしょう。くっころ属性故の悲劇。その時はまた助力をお願い致します。

MVPはチワワにされながらも大門に立ち向かっていた勇司くんに。もっと中型犬とかあった気もしますが、なんとなくチワワでした。

依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!

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