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シナリオ詳細

白き都の迷惑探偵

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 聖教国ネメシス――その本拠は聖都フォン・ルーベルグ。
 魔種を不倶戴天の敵と看做し、信心深き民が集う『正義』の都である。
 そんな都にも大衆向けの娯楽は存在している。小奇麗に調えられたレストランの地下へと通じる扉の向こうには幻想やラサなどでもよく見られる酒場が存在していた。
 酒場の客は様々だ。日中は『お勤め』をしていたであろう騎士や、神に祈りを捧げし乙女等、彼らは情報交換の場としてこの場所を利用している。
 それは、ローレットの情報屋である『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)とて変わりない。特異運命座標としての力がない彼女は嘗ては『父』がそうした様に足を武器にして情報を集めているのだ。
「君、ローレットの情報屋だよね」
 酒場でオレンジジュースを飲みながら耳を欹て天義の情報を得ていたユリーカは顔を上げる。
 そうして、声をかけてくる人間には三種類存在していて。
 一つは『ローレット』への興味本位。
 一つは『ローレット』への依頼。
 そしてもうひとつは、ナンパだ。
「はいなのです」
 最後のひとつかもしれないという気持ちをユリーカは何時だって持っている。女の子だから。
 しかし、声をかけて来た相手を見てユリーカはあからさまに厭な顔をした。
「……いえ、違うのです」
「そう言わずに。ローレットの『美少女』情報屋のユリーカちゃんでしょ」
 そこまで言われては違うのですなんて言えない。女の子だから。
「はいです」
「相変わらずだね、ユリーカちゃん。天義の『探偵』やってますサントノーレさ」
 草臥れた帽子とコートの青年――サントノーレをユリーカはよく知っている。
 迷惑なことに探偵と名乗る彼からは中途半端な情報をよく渡されるのだとユリーカは『信頼できない依頼人』として彼を認識していた。
「それで、何か用事なのです?」
「可愛いユリーカちゃんにさ、一つ情報があって――えーと、ほらほら」

 ――断罪リスト。

 不吉な名前が付いた手帳を手にした青年がにんまりと笑っている。
「これは何なのです……」
「どっかの『腐れ聖職者』からスった趣味の悪い手帳。
 こいつが私利私欲で騎士に依頼した内容とかがさ、事細かに記載してるわけで。これを利用したら無意味な断罪とか、聖職者の罪とかががっぽがっぽという訳ですよ」
 成程、とユリーカは頷く。ローレットに齎される依頼の情報にプラスアルファすれば『情報精度』が高まるのでは――そうユリーカは瞳を輝かしたが、ふと彼の言葉を振り返る。
「スッった?」
「勿論。お祈りの最中に。ちょちょっと」
 ユリーカの表情は暗くなる。手帳を『ちゃんとした場所』に提出さえしてしまえば神への冒涜して聖職者が罪に問われる可能性はある。
 いや、しかし。今の状況では分が悪い。
 盗んできたのだという――その手帳を。
「そ、それをどうしろと……?」
「あーー、これスッたのバレててさ、ユリーカちゃん。
 とりあえず俺を護って、この手帳を騎士団に提出して欲しいんだわ」
 ちゃんとした証拠として出せば、無意味な断罪を防げるはず。
 正義としては当たり前だが、手順が悪い。
 いや、そういう奴は沢山いるが、ここは天義。正義の都――
「ここに、サントノーレという名の男は居るか!?」
 響く言葉に「やべェ」と呟く青年。と、同時に手を掴まれたユリーカは「ぴい」と情けない声を発したのだった。

GMコメント

夏あかねです。

●達成条件
 ・サントノーレの安全
 ・サントノーレの手にした手帳を『騎士団』のリンツァトルテ・コンフィズリーに届ける

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●サントノーレ
 迷惑極まりない探偵です。20代後半くらいの外見。
 草臥れた帽子とコート。天義出身で元は騎士を志していましたが色々あってドロップアウトしたようです。様々な事に詳しいです。
 騎士とは違った方法で『神への忠誠』を近い、疑いある者を罰し、罪なき者を救うのだと豪語しています。天義の調査に訪れるユリーカは彼と迷惑な依頼人だと認識しています。

●酒場から騎士団詰め所
 距離はそれなり。同じ白き都の中なので普通に直進で行けば尽きますが、サントノーレを捕まえんとする『クズ聖職者の雇った騎士さん』がわらわらしています。無事は保証できません。
 歩きづらいですが裏道を使用したり、非戦闘スキルを使用した方がいいでしょう。
 もしも戦闘になってしまっても大通りで事を起こすと今後の天義での活動が中々に難しいかもしれませんので裏道を推奨します。

●腐れクズ聖職者
 どこかの聖職者ですが、私利私欲で女をとっかえひっかえ、文句を言った男に『罪をふっかけ』て騎士による断罪をお願いしています。天義イズム。
 その尻尾を掴み、絶対に断罪してやるぞというのがサントノーレ。
 ある程度ローレットに好意的かつ評価的で話が通じそうなコンフィズリー卿(リンツァトルテ)を窓口にするべきだとサントノーレは進言してます。
 手口が手口なのでサントノーレを追ってくる『案外強い騎士様』が沢山います。逃げましょう。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

  • 白き都の迷惑探偵 完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月28日 23時35分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シグ・ローデッド(p3p000483)
タクティシャン
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
サイネリア
マルク・シリング(p3p001309)
豹藤 空牙(p3p001368)
忍豹
アリスター=F=ナーサシス(p3p002118)
モノクローム・ウィスパー
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
アマリリス(p3p004731)
銀凛の騎士
水瀬 冬佳(p3p006383)

リプレイ


 荘厳なる聖都フォン・ルーベルグ。そんな正義の名を冠する場所にさえ『迷惑探偵』は存在していて――「……探偵は追う方の役割だと思っていたが……追われる事に成っているとはな」
 くつくつと喉慣らし笑った 『天理の魔剣』シグ・ローデッド(p3p000483)へと「笑い事じゃあないぜ」とサントノーレががっくりと肩落とす。
 ユリーカからのSOSを受け、こうして天義で活動することになったわけなのだが……。
「一年前の、まだローレットに来ていなかった自分だったら、こんなことを思わなかったでしょうね」
 大仰に息を付くは『白のヒロイン』アマリリス(p3p004731)。天義出身にして、聖女として一つの村を救った彼女にとっても探偵『サントノーレ』は噂に聞く人物だ。
「まさか……」
 ちら、と見遣ればこの白き都には不似合いな草臥れた帽子とコートの彼は「『ジャンヌちゃん』?」と何ぞか物知り顔で笑っている。
「まさかサントレーノ氏を助けたいだなんて」
「そうですね……た、確かに、助けたくないかも」
 探偵という職業柄色々と『事情通』なのは分かるのだが、こうなっても悪びれる事無く接してくる様子には『サイネリア』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)もどうしたものかと考えてしまう。
「コンフィズリー卿の許へ送り届けろ――……ですか」
 その様子と彼自身の経歴より天義の聖騎士団に所属するリンツァトルテ・コンフィズリーとは旧知の仲であるようだが。水瀬 冬佳(p3p006383)はサントノーレをリンツァトルテの許に連れていくのに騎士を追手として追従させるわけにはいかないだろうと肩を竦める。
「さて、今回の話でござるが、自業自得案件を拙者たちに押し付けてくれるのはどうかと思うでござるが」
「そりゃ、手痛い反応だわ」
 溜息を交らせた『忍豹』豹藤 空牙(p3p001368)にサントノーレは肩を竦める。
「まあ、手段は褒められたものではないけど、手帳の情報は有用だ。ちゃんと守らないとね」
 草臥れた帽子とコート、そしてサントノーレに近しい体形を肩パッドなどで調整しながらマルク・シリング(p3p001309) は緩く笑う。囮役として自身は表通りを往くとサントノーレに告げるマルクに探偵は「いやぁ、特異運命座標ってのは面白いね。ローレットには色々お世話になりたくなるなあ」と冗談めかして笑っている。
「もうっ……」
 む、と唇を尖らせるアマリリスに「まあまあ」と諫めながらも『びしょうじょ』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)はふわりと白いスカートを揺らした。
「サントノーレさんは僕のスーツと帽子を着て、『僕とデート』を」
「手順は承知してるぜ、『びしょうじょ』さん」
 けらけらと笑ったサントノーレにルチアーノは柔らかに頷く。如何にも天義らしからぬ青年であるが、正義を遂行している事には違いないのだろう。
「逃亡の囮を買おうじゃないか。今日のわたしの足はちょっと軽いぞ」
 ウィッグを被り、何所と鳴く楽し気に笑った『モノクローム・ウィスパー』アリスター=F=ナーサシス(p3p002118)はひらひらと手を振った。さてはて――白き都で逃走劇が今、幕を開ける。


 格好良く着こなしてね――そう笑ったルチアーノの声に頷くサントノーレ。普段の彼を知っている物ならば先入観からサントノーレとは気付かないであろう程に小奇麗な格好をしている。
「楽しそうだね?」
 わざとらしく少女の様にこてりと首を傾げたルチアーノ――ルチ子にサントノーレはにいと唇を釣り上げる。
「ローレットと関わるのが楽しみだったのさ」
「へえ……?」
 実の所、ローレットは『寄せ集め』と言われても致し方がない。アマリリスやスティアの様に天義の生まれであるだとか、信心深い神の使徒であるだとか、彼女らとは対照的にこの世界で生れ落ちて居ない旅人であるアリスターやシグは天義の人々が信じる神には縁も所縁もない。毛嫌いする宗教者が居るのは理解できるが、好意的であるのは中々に珍しいのかもしれない。
(人の数だけ正義はあるというけれど……天義は歪んだ人が多いよね)
 ルチアーノでさえ、天義と言えば『歪んだ性質』の人々の在り方が目につくのだが、どうにもこのあっけらかんと笑う男の正義はルチアーノにとっても不快なものではなかった。
 二人の前を歩むシグは周囲を警戒するようにきょろりと見回している。その程近い位置で質のいいワンピースに眼鏡をかけて貴族然とした雰囲気を醸すスティアがシグの仕草に気付いた様に小さく頷いた。
 この先、表通りに繋がる場所はあるが裏路地を進むにはどうしてもそこを通らねばならない。す、と息を潜めるシグは塀をすり抜け「あら。探偵さん。こんな所まで珍しい!」と大仰に告げた。
「探偵……?」
 騎士は呟き、一人、背を向けシグの許へと向かう、そしてもう一人は周辺を警戒するようにきょろりと見回しているではないか。
「どうしたのですか?」
 冷静に。貴族としての高貴さを身に纏ったスティアは凛と騎士へと声をかける。
「失礼、この辺りに『怪しい人物』を見ませんでしたか?」
「怪しい――というと……?」
 首を傾げるスティアの隣をするりとすり抜けるのはルチアーノとサントノーレ。
 大捜索が始まっている事を理解して冬佳は肩を竦める。天義の街を息潜めて歩くことになるとは中々に想像していなかった事態だ。
(成程、騒ぎは向こうからやってくる。こういう形で巻き込まれる事もある訳ですか……ユリーカさんも大変ですね……)
 警戒心を緩めることなく進んだ冬佳は往く手でばらけ始めた仲間と『騎士』の様子を確かめる様に関係のない善良なる市民として進む。さて、囮はどうなった事か――

「いたぞ!」
 その姿はサントノーレと同じ。待て、と声をかける騎士は「サントノーレ!」とアマリリスを追い掛ける。出来る限り距離を稼ぎ『本物』を詰め所に近づける様に動くアマリリスの腕を騎士が掴む。
「サントノー……レ?」
「ッ――ローレットのアマリリスと申します」
 振り仰ぎ、咄嗟に帽子を脱ぎ捨てたアマリリスは聖騎士花勲章を騎士へと差し出した。
「それは――……」
「貴方達は『司教様』に雇われサントノーレ様を探しているのでしょう? それは、ローレットとして聞き及んでいます」
 腕を離してくれとアマリリスに騎士は「敬虔なる神の使徒からの願いを聞き届けるのが聖騎士だろう」とさも当然の様に言った。
「そう、ですか……それでは謝礼の――レオパル様、の、ぱんつ……」
 それについては詳しく聞こうかと手を掴む騎士にアマリリスの懐から転がり落ちたのは焚書『TENGI』。心理の追及の書であるそれを手にして居ることで『別の意味で』追われる事となったアマリリスは仲間たちの無事を願い、別ルートよりリンツァトルテの許へと走り出したのだった。

「……うんうん、うまくいってる」
 そんな気がするという様にマルクは肩を竦める。こちらもこちらでサントノーレとして追いかけられている最中だ。
「囮なんて誰もが思い付く手段だ。でも万一本物という可能性もあるから、相手はこれを捨て置けない。だから、僕に対してある程度の数を割かざるを得ないはずだ」
 アマリリス、マルク、アリスター。三人にそれぞれ追手を裂いている内に、シグとスティアが警戒し背後より冬佳と空牙が支援する。この体制であれば本物のサントノーレが詰め所へ着くのも直ぐだろう。
「止まれ!」
 走り寄る騎士がマルクの腕を掴む。わざと拿捕された彼はきょとんとした調子で騎士を見上げ、首を傾げた。
「あの、すみません……僕、何かしましたか?」
「惚けるな。貴様、サントノーレの差し金だろう?」
 あの男ならやりかねないと叱りつける様な口調にマルクはむ、としたように唇を尖らせる。
「人を犯罪者みたいに拘束しておいて、その言い草は何ですか? それでも貴方達は天義の騎士か!」
 攻撃することはなく、それでも言葉でしっかりと不満を伝えるマルクに対し騎士たちは正義の許に攻撃をすべきだと声上げる。
(――此処で攻撃されても甘んじて受けよう。時間稼ぎにはなるはずだ……!)

 草臥れたコートをひらひらと揺らし幻影の壁で騎士を翻弄していたアリスターは「待て! 止まれ!」と追い掛ける騎士たちにひょいひょいと軽やかに躱す様に進み続ける。
「待てと言われておとなしく待つやつはいないのだ」
 その言の通り『捕まるか捕まらないか』のギリギリの範囲で進むアリスターはある程度の距離が空けば気配を消し、息を潜める。騎士たちとてその気配を感知する為の何らかの手筈を打ってくるはずだが、この聖都で『そんな大それた捜索をする事が出来ない』と言った雰囲気だ。
(裏があるみたいな動きなのだ。雇われているけれど、大仰に捜索すると事が大きくなるから避けている……?)
 きょろきょろと見回すアリスターがひょこりと顔を出しちょいちょいと手招いた。騎士を翻弄するならばこれが一番だという様に進み続ける彼は別ルートでルチアーノ達と合流すべくひらひらと歩み続ける。
「まあ追われたら誰であれ逃げるものだろう? 追う者が牧羊犬でも狼でもそうさ」
 だって、追い掛けてくるのだから。

「この程度で倒せるとは思っていない……お前さんを倒すのは、他の者が担ってくれるさ」
 フェイクの様に。ルチアーノとサントノーレを詰め所に向かわせるべく騎士を翻弄するシグはその脚を止める様に一打放つ。裏道であれば、天義での『騒ぎ』として認識されにくいというのが彼の狙いだ。
「なっ――」
 騎士が噛み付く様に顔を上げたところで、拿捕せんとマジックロープが伸びる。
「……ふむ。騎士が悪に与するとは、また異な事を。『本物の』司祭が知ったらどうなるだろうな?」
「悪だと!?」
 騎士の表情に赤が滲み、あからさまな程に怒りを感じさせる。スティアはその様子に目を細め、免罪符を手に「あら」と首を傾げた。
「これはなんだと思います? 人目に付く所に出てしまって大丈夫でしょうか? 立場が悪くなる前に引く事を提案しますが、どうでしょうか?」
 畳み掛ける様に告げるその言葉。影よりその動向を見据えた冬佳は『練達上位式』にて式神を作り上げる。サントノーレを模してはいるが人間の身代わりとしては不格好なそれは出来は兎も角と冬佳がもしもの時の為にサントノーレに付けた護衛だ。
(さて……強硬策としては『騎士を翻弄する』事が一番でしょうが――果たして)
 目を細める冬佳。奔るルチアーノはサントノーレの手をぎゅ、と握り『びしょうじょ』らしく振舞った。
「さて、此方に夢中のようですが」
 冬佳の呟きにルチアーノを追い掛ける騎士の頭上へと空牙が飛び降りる。す、と目隠しの様に忍び足で近づく空牙。
「危ない危ない。何とか巻いたでござる……表通りも、囮が活躍してそうでござるな」
 騎士の目隠しをし、時間を稼ぐ。空牙に冬佳は頷き周囲を取り囲む騎士たちを連れて表通りへと走りだした。
「あと少しで騎士団詰め所――」
「そこまで行けば此方の勝ちでござる」
 大通りで活動するとどちらが勝つか。それは騎士団が近づきリンツァトルテ・コンフィズリーの許へと辿り着いた時点でローレット側が『暴徒』でないと証明できるはずだ。
「行きましょう」
 一方で、シグを狙う騎士たちは、彼によって『挑発を受けていた』。
「……いつから我らが本当の帳簿を持っていると考えていたのかね?
 寧ろこうやってお前さんたちを足止めしていれば……帳簿は目的地に届きやすくなる訳だが」
 シグの言葉に顔を上げて走り出した騎士団。追い掛けながら彼はくつくつと笑う。
「やましい事が無ければ毅然とした態度でいればいいですしね」
 スティアがくすくすと小悪魔めいて笑えばシグは「無論だ」と緩く頷いた。
 依頼主たる司教の罪を此処で叫んでいいのかとルチアーノが叫ぶ声が聞こえる。冬佳はこれでこのレースは此方の勝利だという様に裏路地から顔を出し詰め所へと視線をやる。
「僕達は正義を執行したまでのこと。これが証明だよ。
 貴方達は仕事だからといって自分の信じる正義を無視してない?」
 美少女の差し出す免罪符。詰まる騎士たちの許へと顔を出したのはリンツァトルテ・コンフィズリーその人だった。


 騎士団詰め所、表情を硬くしたリンツァトルテ・コンフィズリーの背後でイル・フロッタが「またお前か、サントノーレ・パンデピス」と警戒心を露わにした犬の様に牙を剥いている。
「特異運命座標のカワイコちゃんに送って貰ったんだわ。リンツァトルテ、女誑しの腐れクズ聖職者が神の名を騙って断罪しまくってるクズ手帳の提出に来たぜ?」
 にたにたと笑ったサントノーレの言葉にアマリリスが「口が悪い」と叱る様にぴしゃりと云う。
「サントレーノ氏! 自分は貴方の正義感を信じる。
 天義の聖職者の怠慢や裏での顔は問題だ。一緒に正せるなら自分や天義にも明るいもの。しかし! もう盗みは、いけません、よ!」
 その在り方は否定しないと叱るアマリリスにサントノーレは「嬉しいこと言うじゃん?」と草臥れた紙をアマリリスへと差し出した。
「誤魔化されません……ん?」
 首を傾ぐアマリリスから逃れる様にサントノーレがスティアや冬佳に「ご迷惑おかけして」とけらけらと笑い続ける。
「無事にこれたから良いものの……一時はどうなるかとおもったんですから」
 拗ねた様に言ったスティアに冬佳は「この方は、こういう人なのですね」と静かに目を伏せた。
「呆れられているぞ」
「カワイイ女の子に呆れられて叱られんのも悪かない」
 くい、とサントノーレの裾引いた『ルチ子』ちゃんは「僕も叱ろうか?」と笑みを浮かべている。
「……」
「……手帳は聖騎士団がしかと受け取ろう。断罪すべきとお前も判断したんだろう。パンデピス」
 リンツァトルテの呆れた様な言葉にサントノーレは何度も頷いた。アリスターはその様子を見ながら「牧羊犬に追われる気分を味わえたのだ」とぱちくりと瞬いている。
「で、サントノーレ殿、しっかし、盗賊や忍者の能力を持ってないのに、潜入したらバレるに決まっているでござるよ」
「はは、肝に銘じるさ」
 空牙の言葉の後、サントノーレは草臥れた帽子を被り直し、ここに長居するのはあまり良くはないと雑踏に姿を消した。
「まるで嵐みたいな人だね?」
「それでいて『正しい』男だ。ただ――『聖騎士団』の在り方には遠いが」
 リンツァトルテの呟きにマルクはふむ、と呟いた。シグは彼の後ろに立っていたイルへと視線を向ける。
「騎士を志し、正義を掲げながら、それでも尚、騎士にならなかった」
「――嫌いか?」
「『嫌い』だ」
 拗ねた様に言ったイルは自分は彼に似ているから、と呟いて特異運命座標に礼を言った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 天義にもいろいろな正義があるのです。
 聖銀花勲章を使用されたことで本報酬より使用者はマイナスが発生していますが、その代わりと言っては何ですが、サントノーレからプレゼントです。
 これは、そんな一幕――まだまだ彼とは付き合いが長そうです。

 また、ご縁がありましたら。

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