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シナリオ詳細

それぞれの”理由(ワケ)”

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――思ったことはないだろうか?
 私はいま此処で、いったい何をしているのか、と。
 依頼の最中かもしれない。買い物をしているかもしれない。学んでいるかもしれない。友と笑い合い、他愛ない会話をしているかもしれない。
 
 ――しかし、それは何のために?

 時間とは、有限なものだ。
 一人でなにかをする。他人となにかをする。生きている限り、そこには絶対的なものとして消費される「時間」が存在する。
 永久の時を生きる長命種には関係のない? 否。終わり(死)が確かに存在するのならば、消費する時間は限りなく等価だ。短命種の1時間も長命種の1時間も、内包する生の長さに違いはあれど、そこに時間的価値の差異は存在しない。時計の針は同じ時間で同じだけ、誰にでも等しくその針を進める。共に過ごす時間があるのなら猶更だ。相手の時間をも消費しているのだから。

 ――それでも、その等価な時間をここで使うのならば。そこには”理由(ワケ)”があるのだろう。
 
 自分のためか。
 家族のためか。
 仲間のためか。
 他人のためか。

 この世界に生きるものは皆、自分を含む誰かのために、その時間を消費する。
 それは絶対であり、確定的であり、不変だ。

「……あなた達はどうして、ローレットにいる? その時間を何故、この場所で使っているの?」

 『研究者』アイシャ・ナーヴァ(p3n000078)は小さく首を傾げ、あなたたちに問いかけた。なぜ、どうして、と。

 秘めたものもあるのだろう。思うところも、思わないところも。
 そうでなくても構わない。『何もない』こと。それさえも正しい回答。ひとつの答えであり、きっと確かな胸の内だ。

 もし、時間が許すのなら――
「――聴かせて欲しい。あなたたちが此処にいる、その”理由(ワケ)”を」

GMコメント

 こんにちは、鉈です。
 めっきり寒くなってきましたね。四季の最後、1年の終わりを感じます。
 手は年中暖かいのに足先が冷え性でして、足元ゆたんぽが手放せません。今も置いてます。あったけえ……。
 それはともかく。今回は皆様に、こんなシナリオをご用意させていただきました。

●成功条件
 何故ローレットで、混沌世界で時間を過ごしているのか。それぞれの思いを語り、彼女の研究欲(興味)を満たすこと。

●補足
 この依頼には、基本的に失敗はありません。
 目標は至ってシンプルです。

『どうして今、この場所に立っているのか?』
 混沌世界のこの場所で日々を過ごし、今ここに存在する理由。
 
 ただ皆様のPCに、時間と心と字数の許す限りの範囲で、その胸の内を語っていただきたいのです。
 気になるなら仕方ないな、で構いません。彼女に話せないこともあるでしょう。その裁量はもちろん、皆様にお任せ致します。
 また、台詞は「」、言葉にしたくない心情は()で括っていただければ、言葉には出さないのになあ等の不具合が減り、皆様のPCをより魅力的に描写できると思われます。頑張ります。字数的にも安上りですので、是非ご利用ください。

●描写とNPC
 基本的にアイシャの描写はなく、彼女に自身のことを語る皆様のPCをメインに描写致します。
 しかし、何か彼女から問いかけて欲しいことがあれば、その旨をプレイングにお書き下さい。
 自分からは話さないけど、興味を持って聞かれたら話すかも。そんな時に重宝していただければ幸いです。便利枠としてどうぞ。


 概要は以上になります。
 1年の振り返りに、〆に。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  • それぞれの”理由(ワケ)” 完了
  • GM名日下部あやめ
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年01月05日 21時11分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
死を呼ぶドクター
サンディ・カルタ(p3p000438)
アニキ!
リュグナー(p3p000614)
ぱんつコレクター
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
リノ・ガルシア(p3p000675)
宵歩
狩金・玖累(p3p001743)
PSIcho
クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
繊麗たるホワイト・レド

リプレイ


 ――聴かせて欲しい。あなたたちが此処にいる、その”理由(ワケ)”を。

●case:『傷だらけのコンダクター』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
「……期待する様な武勇伝はありません、無論、心踊る様な英雄譚もありませんとも……。それでも……それでも聞くと言うんッスか……?」
 常の通り、臆病に金の瞳をつい、と上げてクローネは静かに声を震わせた。冷たい指先はテーブルの上に置かれた暖かなマグカップに添えられる。
「旅人ッすからね……気づけば、ここに居た……という他ありませんよ」
 旅人はその名の通りこの世界に訪れた客人だ。クローネの言は尤もで、世界の強制力は彼女をこの場所へと引き込んだ。
「行く宛無し、加えて混沌肯定のせいで孤児も同然……こんな状況で手を差し伸べてくれるんですもの……」
 ぼやく様に吐き出したクローネの指先が自身の髪を擽った。
「一応、感謝はして無くも無いですが……結局、生きるのに最適だった気もしますし……」
 どうして、生きているのか――そう問われたならば臆病で死のかおりに敏感なるクローネは唇を震わせる。
「……怖い、から」
 死という漠然とした闇に魅入られる者も居れば虞れる者もいる。その胸中に渦巻く泥の様な生への貪欲さを吐き出すように当たり前でしょう、と紡いだ。
「……平々凡々な私は兎に角死ぬのが怖いのです……命を張って他人や世界を救うのはそれこそ英雄様のお役目。
 私は脇役……いや、一般人らしく隠れて怯えてるんッスよ……」
 前までは悪役だった。マグの中で珈琲が波紋を作る。戯れに流し込んだミルクがぐるぐると渦を巻き乍ら混ざりゆく様子を見下ろして彼女は、その問い掛けにぱちり、と瞬いた。
 何故、死を恐れる?
 ――病に……? …死んだ……で……思われて……?
 ……暗い中……生きて……必死に………屍衣を、泥水を、肉を――
 その意識はまるで珈琲に混ざり込むミルクのようにぐるぐると渦を巻く。
「……………ぁ……の………分かりません……いえ、単に恐れているだけなのでしょうけど」
 唇を震わせる。只の、問答だというのに。ローレットの酒場にいる以上、ここが旅人の彼女にとって一番安全であると知っているのに。
 その色のなき表情からは更に温度が下がっていく感覚をクローネは感じていた。
「……兎に角、私からは以上です。……私はただ死にたく無いだけの一般人なのです。……その為なら、自分の生の為なら……この身を削っても……何者に成り果てても……」
 ――なら、今、何を虞れているのだろう?

●case:『PSIcho』狩金・玖累(p3p001743)
「やだなぁそんなの、この世界を魔種共の魔手に侵される前に、救いの手を差し伸べる為に決まってるじゃあないか!
 ローレットは困ってる人を助けれる、やりがいのある仕事を斡旋してくれるじゃん。
 小さい頃から夢だったんだよね。人を助けれる仕事に付くってのはさ」
 やけに饒舌に。やけに笑みを浮かべて。飄々とした様子で玖累はそう告げた。聞かれても聞かれまいと彼は関係なく、白々しいほどに『ローレットに居るのは人助けのため』だと理想論のように語り続ける。
「まあ、嘘なんだけどね」
 はた、と、問い掛ける指先が止まる。玖累は戯れるようにマグの中にスプーンを差し入れくるくると掻きまわした。
「本当は、この世界がどうなろうと、如何でも良いんだよねー、ざんげちゃんやレオン君には悪いけど」
 もしもこの世界が破滅しました、となったとして。それが噺の終わりだというならば玖累は納得するだろう。
 では何故、ローレットに? 深き闇を湛えた様に瞳の奥に何らかの思いを差し込ませる玖累は「ああ」とからりと笑う。
「そっちの方が都合がいいから。ほら、ある程度立場を保証されているってのは便利だし」
 ――都合がいい。便利。
 利己的な理由だと、人は語るだろうか。しかして、狩金玖累が『ローレット』に所属する理由はいとも簡単だ。
 ハイ・ルール。ローレットの絶対的ルールとて玖累にとってはテレビゲームの縛りプレイに他ならない。
 人を殺してはいけないという倫理観でなく、人を助けろという善良さとも違う――好奇と呼ぶに相応しい子供染みた遊びの延長戦。
「僕にとって、この世界はゲームなんだよ。その中で、特に面白そうな事件や事故(イベント)が集まるから、ローレットに居るんだ」
 にこり、といつも通りに張り付けた笑みを崩すことはない。ゲームにはルールがあるからこそ、ゲームとして成り立つ性質がある。
 疑わしいかと、彼を見遣れば「やだな」と肩を竦めて見せる。
「嘘偽り? 最初のアレしかついて無いとも。ほんとほんと、信じてよ」

●case:『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)
「何でここにいるのか、っスか……たまには思い返すのもいいっスよね」
 頬を掻いた日向は考え込む様に口元に指先やった。細い指先は惑う事無く唇を僅かになぞる。
 思い返せば困った事ばかりだった。訳の分からぬ場所に転移させられ、知り合いも常識さえ知り得ない場所に訪れた。
「早く帰りてぇと思ったっス、オレには面倒見なきゃいけねぇヤツがいるし。
 でも、どうしようもねぇってのはすぐ分かったっス。あん時は頭抱えたっスよ」
 へらり、と小さく笑って、葵は「でも」と小さく呟く。
 ローレットへ。神殿ではそう言われていた。同郷の知り合いの一人でもいたら――期待して訪れたがアテは外れ、何もしないなら何かした方がいいという気の向く儘にローレットの仕事を受け入れた事も葵にとっては記憶にも新しい。
「暇潰しで依頼とギルドと参加してたはずが、いつの間にか楽しくなってたんスよ。
 色んな人達と会って話して戦って、たまに大怪我もしたスけど、悪くねぇなって」
 そうしているうちに陽――妹までこちらに来た。ローレットの報告書を読み漁る、そんな毎日が楽しいのかと問い掛ければ、彼女はいつも通り、目の下を真っ黒に染めながら笑うのだろう。『あおにぃ』と。
「見るもの全てが新鮮だった。そん時まで何でこんなに楽しいか分かんねぇままだったスけど、陽の言葉でやっと気付いたっつーか」
 ――『あおにぃ、どこ行ってきたの? 教えて?』
 ほら、妹がこの世界を楽しむ様に、自分も飽き飽きした日常が変わるのを楽しんでいるのだ。
「あぁ、つまりどういう事か?
 そうっスね、元の世界に帰るまでこの混沌(せかい)を思いっきり楽しむため、っス。ローレットには感謝しねぇとな」

●case:『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
「……アイシャだっけか。話を聞きたいとは、変わった奴だなァ。良いぜ、暇だから付き合ってやるよ」
 ソファーに向かい合うように腰掛けて、レイチェルは煙管を吹かす。登る紫煙を目で追いかけた練達の研究者に「さて」とレイチェルは色違いの瞳を細めた。
「俺がローレット、混沌世界で時を過ごすのは――召喚されたから……だな。元の世界から。
 元の世界で『望み』は叶えちまったし。やる事も無ければやりたい事もねぇ。
 だから……混沌に来てからは、必要とされれば手ぇ貸してただけだ」
 妖眸が僅かに細められる。望み。アイシャは興味深そうに望みと繰り返す。
「――復讐だ」
 悍ましい声色を湛えて。怨嗟の焔を燃やす様に、レイチェルの唇から牙が零れ落ちる。
「妹の仇を八つ裂きにして殺すのが俺の望みだった。法で裁けない悪だ。
 俺の妹は殺されたのに、奴はのうのうと生きている。赦せるか?」
 非力であったヨハンナ。己に絶望し、命を対価に右半身に刻み込んだ金術。寿命を使い果たしては復讐は果たせぬと不老不死の吸血鬼に身を堕としたそれは『ヨハンナ』としての生を捨てたと言っても過言ではないのだろう。
 落とした首。血潮に濡れて、灰になって燃え尽きる筈だったその身に待ち受けたのは召喚だった。『双子の妹』との距離は、どうして遠いのか。
「……やりたい事ねぇってのは訂正する。
 何処の世界でも糞ったれが蔓延るなら――俺は悪を葬る悪で在ろう。悪人殺しの悪人、其が俺だ」
 く、と喉を鳴らす様に汗を掻き始めたアイスティを流し込む。レイチェルは悪人を思わせる笑みを僅かに緩め、一人のおんなとして、笑みを溢した。
「此れが、アイシャの問いへの答えだなァ。
 ……ま、大切な奴らも出来た。なら、彼らの為に生きるのも悪くない。そう思えるようになったンだ。」

●case:『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)
「理由、ねぇ……うーん、出来れば言いふらさない感じで頼むぜ」
 し、と唇に指先宛ててサンディがアイシャに約束と囁けば研究者はこくり、と頷く事だろう。
「まず最初に。なろうと思ってなったわけじゃねえ。あくまでなった理由は『召喚されたから』だ」
 大体がそうだろうと告げるサンディ。召喚とはその生き方全てを変えてしまうものだ。
「俺は元々、幻想の片田舎にいてな。普通に暮らせたらよかったんだが、もうスタートから親なしのスラムだった」
 生きる為ならば、その手を悪事に汚せるか。そう聞かれたらサンディは頷いただろう。
 ある時には金持ちから盗みを、ある時はゴロツキを拾い、碌でもない奴とも手を組んだ。
 どうにかスラムを纏め上げ、治安担当の騎士と交渉し――暫く生き延びる手を差し伸べた。しみったれた街のしみったれた男の話。
 しかし――それで終わらないのが彼の人生だった。
「それが突然、召喚されてな。もちろんはじめはとまどったさ。だって周りの召喚されてたやつらがバケモンなんだもん。
『俺はバケモノじゃねーんだ! 期待にはそえねぇぜ!』ってな」
 ぱ、と手を開いてひらひらと振ったサンディは面白くなってきた、と静かに言った。
「俺も『バケモノ』になれるのかな、って。どうせ元から、なにやったって顧みられることのなかった俺だ。
 せっかくなら、やるだけやってみたかったのさ。イレギュラーズなら多分、色々な世界も、様々な人も見れるしな」
 そうして、彼は一つ、ぼやく様に言う。
「折角ならイレギュラーズのうちに運命の人とか見つけたいところだが……思ったよりそういう方向でモテなかったのは誤算だったな」
 冗談めかした彼に、アイシャは僅かに笑みを浮かべて。

●case:『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
「何故我(わたし)が何故ここに居続けるのか。
 帰れないから? 行く場所がないから? 戦うことしか、我には能が出来ないから?」
 どれも正解でどれも不正解だ。レジーナは指先で手繰る様にカードを引き寄せて「貴女」と読んだ。
「カードゲームは知っているかしら? トランプ……ではないけれども、この世界ではそれの方が馴染み深いかしら。
 トレーディングカードゲームと言うのだけれども。
 カードにはそれぞれ独自の役目が書かれていて、それを個人個人が集めて山札(デッキ)とするの。
 ゲームで使うカードは自分の山札から引いたカードと言う点が独特かしらね。
 我は、そのカードの一つだった。正確にはカードに描かれたキャラクターの一つだった」
 それはキャラクターだった。レジーナはその常識がない世界に住んでいた。彼女がキャラクターであったのはあくまでカードゲームをして居た世界の住民で彼女の世界は『彼女の築き上げた全て』が真っ当なものだったのだ。
「けれどね、現実世界に放りだされてみて?
 自身の力が築き上げたてきたこれまでが遊興のひとつで、ちっぽけなカード一枚の世界だった。
 衝撃的じゃない? 自暴自棄にもなりたくなるわ。けどね、そうはならなかったの。世界を救ってって言われちゃあね」
 ――大罪女王ってカードは、元々は自分の国を救うために立ち上がった女性だったらしいから。
 レジーナは自身の事を『別人のよう』に語った。
「自分の証明を、我には、他の人と違って過去と言える過去がない。自分が自分だと胸を張れる根拠がない。
 我は、我が『ここ』にいることを証明するためにここにいるのだわ。
 不確かを確かに――偽りだけだった記憶を経験に変えるために。我は我を証明し続ける」
 カードゲームの世界と侮らないで。生きるには理由があるのならば、自身が自身足り得るまで。

●case:『宵歩』リノ・ガルシア(p3p000675)
「あらあら、私なんかに質問だなんて貴方も物好きなヒトねぇ。
 そうね……一杯奢ってくださる? 美味しいお酒を頂けたら舌の滑りも良くなるかもしれないわ」
 くすくすと、ルージュの塗られた形の良い唇に笑みを浮かべてリノが蠱惑的に笑う。
 アイシャが目線でちら、とやればローレット内の酒場でもある程度の提供があるのだろう。リノが普段より口にする酒が運ばれてくる。
 ありがとう、と冗談めかして笑って、リノは「でもね」と肩を竦める。
「私がここで働く理由なんてそんなに面白くもないのよ。うちの一族により貢献するためっていうのが理由かしら」
 傭兵家業を営むガルシア家。黒豹のその一族は徹底的な実力主義の許、貢献度で優遇の度合いが変わる。
「逆に力が無ければ只管搾取される側よ、生殺与奪の権利すら頭目に委ねられて自由なんてなくなるわ」
 それでもいい、とリノは云う。呼吸のように吐き出す甘ったるい毒を孕んだ言葉は「生きるも死ぬも、実力よ」とせせら笑うように吐き出される。
「力があればね、なんでも許されるの。綺麗な布で何枚でも衣装は作れるし宝石だって貰えるし。
 夫や妻や愛人を何人囲ったって良いのよ、事実うちのお父様には3人妻が居るしね」
 ぱちり、と瞬くリノは宵色を指先掬い牙を見せて笑う。おんなの貌をして、甘ったるいかおりを纏いながら。
「私は第2夫人の娘、腹違いの7人兄妹の4番目。
 次期頭目は一番上のお兄様なの、金色の綺麗な毛並みのジャガーの獣種。
 ……実力は折り紙付きよ、だから人間種の女を一族に引き入れて妻にするのを許されているし」
 気に食わないとは云えなかった。否、言わなかった。彼女は『リノ・ガルシア』に誇りをもって生きている。
「一族の為、尊敬するお兄様の為だもの。だから私はここに居るの」
 何時の日か、あの愛しい人を自分の所へと引き摺り落とす。まるで餌を潜る蜘蛛の如く。
 私だけと言って。私だけを見て。甘えた言葉は毒にも薬にもならないと知っている――だから、全ては実力次第。
「ね」
 もう一杯いいかしら、と首を傾いで。

●case:『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)
 何故。疑問符をつけたその言葉にリュグナーは常と変わらぬ淡々とした調子で居住まいを正した。
「我はその質問に対する、明確な答えを持ち合わせていない。――"分からない"っと言った方が良いだろうか」
 好奇心と探求心の獣。練達に居るのは皆、そう言う性質だとリュグナーは何となくでも理解していた。
 彼自身が情報屋であるように。些末を知らねば、その心は満ち足りぬだろう。
「強いて言うなれば、知るため……であろうか。この摩訶不思議な世界に召喚され、様々な種族の生物を見た。
 特殊な力を感じた。そして、未知の知識と可能性を知った。
 ――故に、我は思ったのだ。ここでなら、我の知りたかった事……求めるモノが手に入るかもしれない、とな」
 それは探求心と知的好奇心。アイシャと何も変わらぬこころの動きだ。

 故に、我は情報屋となった。故に、我は依頼を遂行した。故に、我は探し求めた――

 それがこの世界に生きる、この場所に居る理由ではないのかと。研究者の言葉にリュグナーは口角をふ、と上げる。
 何が、分からないのか。
「なに、それは――我の求めているモノが何か、だ」
 虫食いになった記憶。何か、失われた記憶の片。この世界に召喚される前――死神と呼ばれるころには既に記憶には穴が開いていた。
 その欠に関する知識が、ここに在る、そうではないかとリュグナーは感じたのだとアイシャに告げて。
「さて、情報屋の話を聞いたならば、それ相応の対価を貰わねばならぬな。
 ……さぁ、次は貴様の理由(ワケ)を聞かせて貰おうか?」
 その言葉に、アイシャは僅かに、瞬いてゆっくりと、口を開いた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 代筆させていただきました、日下部です。
 この度は、シナリオにご参加いただきありがとうございました。
 また、ご縁がありましたらどうぞ、よろしくお願いいたします。


 この度は弊社クリエイター都合によりお客様には執筆担当変更のご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。

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