シナリオ詳細
<PantsPantyProject>ぱんつでええじゃないか
オープニング
●ぱんつでええじゃないか
「ぱんつでええじゃないか!」
「ぱんつでええじゃないか!」
幻想の表通り。普段はただ人々が行き交うだけのその道は、タイトル小見出し鍵カッコに至るまで続く「ぱんつでええじゃないか」の民で溢れかえっていた。
「ぱんつでええじゃないか!」
集った住民は皆、口々にそう叫ぶと熱狂的に踊り出す。
意味もなくくるくるとターンッ!!
決めポーズは荒ぶる鷹……いや、その両手にはぱんつ!
ベランダに干してあるのは無数のぱんつ!
あちらのパン屋で売っているパンもぱんつ型!!
こちらのケーキもぱんつ型!!
この屋台の綿あめもぱんつ!!!
子供の舐めるキャンディもぱんつ!!!!
あっちもぱんつ! こっちもぱんつ!!
ぱんつ、ぱんつ、ぱんつ!!!!!
「ぱんつでええじゃないか!!」
ここで通りの中央に用意された特設ステージにあがったのは筋骨隆々の男たち! 彼らは爽やかな笑顔と「ぱんつでええじゃないか!」の掛け声と共に、その身を覆い隠すべく纏った聖衣を一斉にはぎ取った!
「「「おおおお!!!」」」
そこに現れたのは、ぱんつ一丁の筋肉集団! へい、ポージング! 筋肉×ぱんつの夢のコントラスト。ミラクル☆ぱんつフュージョンッ!! その雄姿に民衆からも思わず感嘆の声が漏れる。ぱんつの民の少年は、憧れの視線を彼等へ向けた。ボク、大きくなったら、ああなるんだ……!
「ぱんつでええじゃないか! ぱんつでええじゃないか!!」
奇怪な踊りとぱんつで溢れかえる幻想表通りの一角は、もはや幻想ぱんつ通りと化していた。冬のぱんつ祭りである。何処から聞きつけたのか、ぱんつの卸売業者が出張って新たなぱんつをばら撒き。しまいには、騒ぎを止めるべき人間たちまでその輪に参加する始末。ぱんつを見つめる民衆の視線は、どこかぱんつ的狂気のようなもので満ちている――。
●
「ど、どうしちまったんだ……」
ぱんつ的喧噪から一つ、道を外れた路地。そこからぱんつに熱狂する人々をひっそりと覗いているのは、一人の少年だ。
「あんなにパンツで盛り上がるなんて……おかしい。絶対におかしいぞ」
ぶつぶつと呟く彼が覚えているのは、ついさっきまで自分もあの輪の中にいたということ。そして、あることに気づいた瞬間、急速にぱんつ熱が冷めていったところまで。
ぱんつ熱が冷めたと同時に周囲の異常さに気づき、とりあえず避難してきたというわけだ。
(まさか、あんなことで正気に戻るなんて……)
少年が正気に戻った理由はただひとつ。”どうしてぱんつになんか夢中になっていたんだろう?”。それに気づいてしまったから。そして、彼がそれに気づけたのはなぜか。その理由は、かなりワイルドなものなのだが……彼ならではといえるだろう。
(俺、ノーパンだったわ)
「俺、ノーパンだったんだよな……」
ぽつり、口をついて出た言葉に、彼ははっと前を向く。未だに表通りでは、奇怪な祭りが繰り広げられていた。少年は考える。彼らを正気に戻すには、どうすればいいか……自分ひとりでは、人手不足だ。
暫く思案に暮れた少年がローレットの扉を叩くまでに、そう時間はかからなかった。
- <PantsPantyProject>ぱんつでええじゃないか完了
- GM名鉈
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年12月26日 22時25分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●パンティ・ストリップネーター
ででんでんででん。ででんでんででん。
時は幻想歴? 混沌歴? のどこか。寒くない時。
その日、幻想大通りは、ぱんつで埋め尽くされていた。
このぱんつ的狂気と、広がるパンティ・パンデミックへと対応するため。
ローレットから8人の勇敢な戦士(?)たちが現地へと送られる。
彼らは幻想の、パンティの未来を変えることはできるのか!?
民衆の心に芽生えたぱんつ的狂気の芽を摘むことができるのか!
結論は……そう。イレギュラーズなら、可能であるッ!!
ででんでんででん。ででんでんででん――
●男性陣のぱんつは何処へ?
「ちゅうもぉぉぉおおおく!!」
「「「ぱんつでええじゃないか! ぱんつで……ん?」」」
幻想大通り。もとい、ぱんつ通り。
皆が口を揃えて「ぱんつでええじゃないか!!」を叫ぶ中心地で、勇敢にもたった独り声を張り上げたのは『駆け出し』コラバポス 夏子(p3p000808)だ。
「特に男性陣! 寄って見た、寄って見た!! 今からパンツのナウい楽しみ方を伝授するよー!!」
ぱんつ通りの一角で「パンツのナウい楽しみ方!」などと叫んでしまえば、できてしまうのは当然のような人だかりである。あっちからもこっちからもわらわらと湧いてくるパンツ姿の民衆たち。ここはいったい何時代を再現した混沌なのだろうか。
夏子は、ぱんつの民――それも男性陣がきちんと集まっているかを注意深く見渡す。まずオッサンや汚い男性のぱんつを唯一のオトコである自分が全て引き受けようという、自己犠牲的な精神だったのだが――
(あああ無理! 無理だ! あんなレースのぱんつや……く、黒!? 黒!?)
嫌でも視界に入る女性陣のぱんつを頭の中から追いやる夏子。しかし、彼の脳内ではすでにレディースパンティがくるくるとダンスを繰り広げている。あっこれむり嬉しい。
「か、考えるな感じろ! さあ今のパンツのナウな楽しみ方は――」
すっと懐から取り出したぱんつに小石を投げ入れ、指先でくるくると勢いをつけて回し始める。ぱんつに夢中なパンツの民は、その光景を固唾をのんで見守っている。
「――こう!」
イレギュラーズの力に物を言わせ、彼はぱんつを思い切り空中へと放った。
青空に綺麗な放物線を描きすっ飛んでいく雄々しいぱんつ――嗚呼、これが追い求めていたものなのだろうか。
「これがフライング・パンツ!」
もはや畏敬の念さえ湛えた民衆の視線が、夏子へと突き刺さる。
「今イレギュラーズや都会でも大、大、だぁぁあい流行中の最先端パンツィングゲームッ! えっ知らない?? おっくれってる~っ!!!」
「「「おぉぉぉおおお!!」」」
彼の言に触発され、次々とぱんつを脱ぎ捨て空中へと放り投げる民衆たち。宙を飛び交うぱんつの群れは、さながら戦勝記念の様相を呈していた。
(か、回収! オッサンぱんつ! 男性ぱんつ! レース! オッサン! オッサン! レース!)
肉肉魚肉肉魚。いや、この場合は逆だろうか? そして――
(――こ、これは……)
わなわなと震える彼の手に握られていたのは、綺麗な黒レース……令嬢のぱんつ。
「この日のために生まれてきたんだぁぁああ!!」
思わず声をあげてしまったオッサンぱんつ塗れの夏子の声は、ぱんつ通りに小さく響き渡ったという。
●魔女とぱんつ司祭
「これあれじゃろ。ぱんつの皮を被ったぞんびものぱんでみっくじゃろ?」
『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー (p3p006508)は、媒体飛行によって空から通りを見下ろしていた。
彼女は魔女の名の通り箒に跨り、空中から民衆を睥睨する。
「……見た目はふざけておるのじゃがなぁ」
眼下で「ぱんつでええじゃないか!」と踊り狂う民衆を見つつ、彼女は独り言ちた。
(しかし、やらねばならんじゃろうなあ)
はぁ、とため息を吐けば、身長に似合わずたわわに実った胸がたゆんと揺れる。
――暫くの間。
やがて、意を決したように赤い瞳を見開くと、彼女はスキルによって拡大された声量で民衆へと問いかけた。
「のう、皆の衆。どうしてお主らは、そこまでぱんつに熱狂しておるのじゃ」
ぱんつ、という単語に彼らは思わず足を止めた。なぜぱんつに熱狂しているのか? そんなもの、そこにぱんつがあるからで――。
思考へと耽る民衆へ、クラウジアは「何故じゃ?!」と再度問う。
「微かに疑問を持つものもいるじゃろう。持たないものもいるじゃろうが……足を止めるのじゃ。そして話を聞け」
見た目こそ小さいものの、彼女は元の世界では永くを生きた大魔女であったという。無意識に言葉に乗る威厳のような重たいものに、少なくないぱんつの民が思わず足を止めた。
「聞きなさい、愛すべきパンツの民よ!」
クラウジアによってもたらされた一時の静寂の中。民衆の視線は、引き継ぐように声をあげた『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)へと集中する。
その横には、依頼人である少年も厳し気な表情で控えていた。
「私はイレギュラーズの1人、パンツを創造せし全知全能の神に仕える司祭ヴァレーリヤ!
先程、恐ろしい信託が下りました。この世に死の病が蔓延り、全てのパンツが滅亡すると」
――ぱんつが滅亡する。
そのワードを口にした瞬間、民衆たちはカッと目を見開いた。ぱんつだけが生きる糧である彼らにとって、それは自らの生死にさえ直結する出来事なのだ。
「これは、冗談でも何でもありませんの」
ヴァレーリヤは悲壮な表情で俯くと、悲し気に首を振る。
司祭のその姿に民衆はみな、絶望的な表情を浮かべた。だが「しかし、まだ手はありますわ」と、司祭は言葉を紡ぐ。
「その対策は唯一つ。真にパンツを、この世界を愛するならば――パンツを脱いで母なる太陽に翳しなさい!」
ぱんつを脱ぎ、母へと示す。ぱんつの民たちに漂っていた重く苦しい空気が、ほんの少しだけ軽くなる。
「さもなくば、この世から全てのパンツが消え失せ、貴方もその家族も生涯ノーパンで過ごす事になるでしょう。これは信託です」
必死な表情を作り力説するヴァレーリヤの言葉に、彼らは焦りの表情をありありと張り付けた。
生涯ノーパン――その言葉の重みが、ぱんつの民の背中へとのしかかる。
「最早、一刻の猶予もありませんわ。神にパンツへの愛を示すのです――!」
それを待っていたといわんばかりに、少年は、この時のためだけに履いていたぱんつをおもむろに脱ぎ捨て、恭しく太陽へと翳して見せた。その神々しい姿に民衆から思わず感嘆の声が漏れる。
ゆっくりと少年へと続く民衆たち。ヴァレーリヤは作戦の成功を確信していた。
「さあ、愛を――皆の愛を示すのですわ」
●特設ステージにて
同じ頃の特設ステージ会場。筋肉ぱんつマンたちがボディビルを繰り広げるその壇上へと上がる、一つの影がある。
「失礼するっすよー」
フードとコートで体を覆い隠し、如何にも怪しい恰好ではあるのだが。彼らにそれを止めることはできなかった。
なぜなら、その人間(?)がチラリチラリと見せつけてくるコートの中に、微かにパンツの輝きがあったから。彼らはぱんつへは逆らう術を持たない。ぱんつがより強者の証なのだから。ぱんつ絶対。
「誰だ!」
唐突にステージへとあがった不審者に、ぱんつボディを楽しんでいた民衆からブーイングの声が上がる。しかし――
「これを見るっす!」
バッ! とフード付きコートを脱ぎ捨てたその下から現れたのは『ぱんつコレクター』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)その人である。
ごくり、と。唾を飲む音が聞こえた気がした。それほどまでに、ブーイングが一瞬で静まり返ったのだ。
その理由はただ一つ――脱ぎ捨てたそのコートの内側に、神々しいまでの輝きを放つ、レアぱんつの数々が煌めいていたから。
「ぱんつでええじゃないっすかー」
レッドがぽつんと口にした言葉の重みに、会場全体が凍り付いた。私たちはいままで、いったいどれだけ小さい規模のぱんつで盛り上がっていたのか。そうか、これが、ぱんつの重み――。
刹那。バッ、と壇上のレッドその人が、その身に纏ったぱんつを脱ぎ捨てるッ!
「のーぱんでええじゃないっすかー?」
――は?
「お、お前何を……」
「のーぱんでええじゃないっすかー!!」
「お、おぉぉ!?」
更に別の意味で会場を氷河期に陥れた彼女は、真横にいた筋骨隆々のぱんつマンへと飛び掛かった!
抵抗空しく引き千切られるぱんつ、股間を抑えしゃがみ込むマッチョマン。
「のーぱんで――」
ふわりと空中へ投げられた瞬間、細切れにされるぱんつ。
「――ええじゃないっすか!!!!」
「ぱんつは、ただの道具にすぎませんわー」
いつの間にか壇上へと上がっていた『特異運命座標』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)が、更に民衆へと畳みかける。
「ぱんつが無くとも生きていくことはできますわー。でも、ぱんつを作り出したのはそもそも人ですわー」
ぱんつは人のために存在するのであり、ぱんつがなくとも生きていくことはできる。
メリルナートは本来、人魚型の海種である。普段ぱんつを履いていないからこそ、この状況でもその心理に気づくことができるのだろうか。通貨としての価値は申し分ないが。
「ぱんつのために生きているわけではありませんわー。道具は粗末にしないことこそ大切であり、崇めるのは間違っていますわー」
――そうかもしれない、と。誰かが小さく呟いた。
それに触発されたのか、数人がぱんつに手をかけ正気へと戻る。
「何を勝手なことを――!」
しかし、未だかなりの数の民衆はぱんつに染まったままである。その中の一人が壇上へと上がり、抗議の声を上げた。
彼のぱんつは白一色であった。
「……病気だよな、コレ」
誰にも聞かれないような小さな声で、メリルナートはその心の内を吐き出す。
「よくよく考えてみることですわー」
じりじりとにじり寄るぱんつマンたちの気配を察した彼女は、即座にその手の中の煙玉を地面へと投げ、煙幕に紛れて姿を眩ませる。
そして民衆は正気に戻ったものとそうでないもの、二つの集団に分かたれた。それはぱんつを巡りぱんつでぱんつを洗う、地獄の窯の蓋が開いた瞬間であった。
●ぱんつ・レジスタンスの抵抗をねじ伏せろ! 彼女はパンツストリッパー
「来たぞ! 奴だ!」
仲間の一人が声をあげた。既に目と鼻の先まで迫っているのは、綺麗な金髪の女性。
「うあぁぁあ!!」
「おい!! しっかりしろ!」
今も俺たちの目の前で、一人の仲間がぱんつを剥ぎ取られ昏倒した。何をされたのかまるで見えない。
「ぱ、ぱんつでええじゃないかぁぁああ!!」
「なーーにがぱんつでええじゃないか、よ!」
『トリコロール』ステラ(p3p005106)はうぎゃー! と髪の毛を猫のように逆立てると、壁を使った3点飛びの頂点で、向かい来る細マッチョなイケメンのぱんつを見事にストリップした。
悲鳴を上げて倒れるイケメン。
それを恐怖の目で見つめるほかのぱんつ信者たち。
「な、なによその目は! こっちは、ノ……の……」
うぐ、と唇を引き結ぶと、彼女は一瞬で一人の信者の死角へと移動する。
「の、ノーパンで男の人のぱんつ脱がせてるの! ノー・パ・ン・で!」
見えない場所からスニークストリップを慣行されノーパンになった男がまた一人、犠牲となった。
ついに逃げ出す信者たち。しかし、彼らを涙目で追いかけるステラの速度は、その倍以上は速い。
「何、してるんだろ……」
何故かノーパンで、パンツを履いた知らない他人を本気で追いかけ、ストリップをしている。そう、ノーパンで。
「……私、この戦いが終わったら、パンツ履くんだ……」
彼女の目の端から零れた涙は、誰ともしれないぱんつへと染み込み消えていく。
この日、彼女が真の意味でパンツストリッパーと呼ばれた瞬間だった。
●
「申し訳ないですが、力業ですっ!」
「うぼぁっ!?」
「ほれっ」
「うっ!? うあぁぁあ!!?」
手加減した拳の一撃で民衆を次々に気絶させているのは『円環の導手』巡理 リイン(p3p000831)。
彼女だけで対処しきれない民衆を、上空に待機したクラウジアが威嚇術を放ち怯ませる。
「出番じゃよ、リイン殿」
「任せてくださいっ」
そうしてうつ伏せに倒れた民衆たちの聖衣――ぱんつを、リインはその鎌で切り裂き外していく。
間違ってもぱんつ以外を斬らないように細心の注意を払って、だが。
「ど、どうしてこんなことするんだ!」
パンツの一人がそう叫びを上げる。
リインはそちらを振り向くと、真剣な眼差しを彼へと向けた。
「確かに、皆さん羽目を外してとっても楽しそうです。でも……」
彼女は、イレギュラーズの力を纏った華奢な拳をその手に握る。
見据える先の民衆たちを救わねば、と。その思いを込めて。
「それがパンツの狂気によるものなら、すぐに皆さんを正気に戻してあげないと…! 黒歴史が量産されてしまいます!」
後から振り返り、悶絶するような黒歴史を量産してしまうのなら。それは止めてあげたいと願う、少女の優しく淡い想い。
「だから――」
小さく燃える感情を胸に、リインはまた信者たちへと向かって駆けていく。
「――そのぱんつは、脱いでもらいますっ!!」
●パンツ信者の残党を狩り尽くせ
「ま、撒いたか……?」
「もう追ってきてないぞ! 俺たちは逃げ切ったんだ!」
「ぱんつ万歳!」
「ぱんつでええじゃないか!」
「ぱんつでええじゃないか!!」
路地裏の一角。次々とぱんつを脱がされていく大惨事から命からがら逃げだしてきた彼らは、この場所へと集まっていた。
「「「ぱんつでええじゃないか! ぱんつでええじゃないか!」」」
万歳三唱のように、その言葉を繰り返すパンツ信者たち。自分たちに危機が迫っているとも知らずに。
コツ、コツ、コツ。
「な、なあ。足音がしないか……?」
コツ、コツ、コツ、コツ。
「…………ここに居ましたか」
「だ、誰だお前は!」
彼らの居場所へと静かに現れたのは、『特異運命座標』リリアーヌ・リヴェラ(p3p006284)。
彼女はすっと姿勢を正し、白手袋をその手に嵌める。なかなか堂に入った仕草だ。
「名乗る必要はありません」
コツリコツリと靴音を響かせながら、金の髪を靡かせ、彼女はパンツでええじゃないかの残党たちへと歩いていく。
一人の男がパンツを握り締め、勇敢にも彼女へと立ち向かう。
「う、うぁああ!」
「遅い」
ゴッ、と鈍い音と共に顎を打たれ昏倒する男性。彼は即座にぱんつを剥ぎ取られ、その場に放置される。
「も、もうダメだ。逃げろ!」
「ぱんつでええじゃないかぁああ!!」
一斉に逃げ出すぱんつの民たち。しかし。
「逃がさない」
小さく口にした彼女が見せたのは、それはもう綺麗なフォームでの全力ダッシュであった。
風のような速さで一人に追い縋ると、慈悲も容赦もなく足を取り、顎を打ち抜き気絶させる。
もちろん、ぱんつを脱がすのも忘れずに。
その姿は、さながら戦闘機械のようだった。ででんでんででん。
「…………」
「ひ、ひぃっ」
無言で再度、ダッシュの姿勢を見せた彼女から逃げ切れるものは、もうこの場にはいなかった。
彼らの周囲には、正気に戻った民衆たちが、メリルナートの指示で既に包囲網を形成していたからだ。
「ぱんつで……ええじゃない、か……」
ばたり、と親指を立ててぱんつへと沈んだ最後の信者をリリアーヌの冷たい紫色の瞳が、無表情に見つめていた。
ででんでんででん。ででんでんででん。
●
幻想大通りのパンティパンデミックの危機は去った。
これからはもう、あの通りがぱんつ通りと呼ばれることもなく、決死の覚悟でこれに挑んだパンツ・ストリッパーやパンツ・ブレイカーたちが必要になることも、もうないだろう。
しかし、これはまだ、ぱんつのほんの始まりにすぎない。混沌世界にはまだ、こんなにもパンツが溢れているのだから。
――令嬢のぱんつを手に雄々しい叫びを上げた男。
――自らのコレクター信念を捨て、ぱんつを剥ぎ取った少女。
――民衆を想い、ぱんつを鎌で切り捨てた死ぱんつ神。
――今なんか隅っこで三角座りで自己嫌悪している、ぱんつ教司祭。
――ノーパンから解放されホッとした表情を浮かべている金髪のパンツストリッパー。
――あれは夢だと司祭を励ましている優しい海種の女性。
――ぱんつを被りそうになった瞬間に正気を取り戻した、古の魔女。
――最終的に自身のぱんつをも脱ぎ捨て、職務遂行を優先したスーツの女性。
彼、彼女らは永遠に、ぱんつ界の英雄として民衆に語り継がれていく。
また、世界が必要とするその時まで。パンティ・パンデミックの恐怖が拭われるその日まで。
ででんでんででん。ででんでんででん。
ぱんつでええじゃないか――完。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
皆さま、事件の解決、お疲れ様でした! パンティ・パンデミック「ぱんつでええじゃないか」の恐怖は、皆さまのおかげで消え去りました。お見事です。
ちなみに名称は今考えました。すげーそれっぽい。
パンツ的狂気は最大値67でした。惜しい! ダイス許すまじ。
また貴方たちが必要となったその時は、ぜひよろしくお願い致します。
1日遅れですが、メリークリスマス! よいお年を。
GMコメント
(※このシナリオはギャグ属性シナリオです※)
ぱんつでええじゃないか! 鉈です。
幻想冬のパン(つ)祭りということで、表通りは散々な有様のようですね。
しかしこのままではインフラは滞り、なにより幻想はぱんつで溢れかえってしまうでしょう。
ぱんつなら、止めねばならぬ、ホトトギス。
●成功条件
表通りにおける、この騒ぎを鎮静化させること
●失敗条件
自体の収拾の失敗、パンツ的狂気への敗北(後述)
●補足
・表通り
ぱんつを除けば、ただのお祭りのような様相を呈しています。数々の屋台に、中央には特設ステージ。変わったものはそのくらいです。
・鎮静化について
ぱんつの民は、全て一時的ぱんつの狂気に染まった一般人です。彼等を正気に戻すには「何でぱんつに夢中になっていたんだろう?」これに気づかせる必要があります。方法については腕の見せ所です。全員脱がしてノーパンにするなりなんなり好き勝手しましょう。
また、ぱんつ的思想に染まった彼等の中には、正気に戻ることに抵抗を示す者も少なくありません。ですが、彼らは一般人です。殺さずなんとかしてください。
・パンツ的狂気
相手は一般人なので、イレギュラーズがダメージを受けることはほぼないでしょう。
なので今回は、ぱんつを注視する度に「1d6」の数値分「パンツ的狂気」を加算! このパンツ的狂気の数値が「70」を超えるとパンツ的狂気に染まったと見なされ、戦闘不能と見なします。EXF判定は通常通り行い、パンドラ使用については希望に沿う形になります。
以上です。幻想冬のぱんつ祭り、楽しんで下さい。よい冒険を。
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