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シナリオ詳細

ラブアンドピースの歌を聞け

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●古代華唱兵器ユニット『ECLIPSE』
 烏芥の声を聞け。我は看取る者無き古代の遺物。
 備えた武装はマイクスタンドを一本と、エレキギターを一本だけ。
 烏芥の声を聞け。俺の声を聞け。
 我は歌うためだけに生まれた兵器。
 戦争を殺すために生まれた対兵力兵器(アンチウェポンズウェポン)。
 遠い古代に任務と戦争を置いてきた、我が戦争を今に聞け。
 我は戦争の停止を要求するもの。
 我は平和を華唱するもの。
 ――古代華唱兵器ユニット『ECLIPSE』。

 かのロックンローラーは異様であった。
 頑丈な合金で作られたヒューマンボーン型フレームに、単眼カメラのような頭部。
 近くで見れば人目で人外とわかるその身体に、彼は革のジャケットとダメージジーンズを着用していた。
 背中には大きなギターケース。
 楽器から伸びたコードは彼の首筋のジャックに接続されていた。
 だが何よりも異常だったのは、彼が現われたのが今まさに戦争が始まろうとする荒野であったことである。
 小規模部族同士による土地をかけた殺し合い。
 剣に槍にアサルトライフル、魔術に呪術に召喚術が互いを殺すために交差するその戦場のど真ん中に――人外のロックンローラーは立ちはだかった。
「我は古代華唱兵器ユニット『ECLIPSE』。戦争の即時停止を要求する」
 パチンとギターケースのロックを解けば、はじけるように黒いエレキギターが飛び出し、スタンドマイクが展開した。
 自らをアンプスピーカーにして、『ECLIPSE』はギター演奏と歌唱を始めた。
「テメェは邪魔だ。今度出てきたらぶっ殺すと伝えたはずだぞ!」
「構わん、奴ごと皆殺しにしてやれ!」
 両部族が武器をとり、『ECLIPSE』へと迫った。
 だが彼は動かない。
 歌も演奏も、やめることはない。
『我は古代華唱兵器ユニット。戦争を殺すもの。こたび、拡張戦力を行使する』
 ザッ――と現われる八人の部外者たち。
 否、彼らは部外者などではない。
 戦争への乱入者であり。
 戦争を殺しに来た破壊者である。
 その名もギルド・ローレット――イレギュラーズ。
 ハイテレパスと同じ原理でメッセージが伝わってくる。
『依頼内容を確認する。我が演奏終了までの保護、および戦争の強制停止。今この時をもって、諸君らは『ECLIPSE』の一部となった』
 向かい来る両陣営。
 今このときだけ『ECLIPSE』の一部となったあなたは――。

GMコメント

 古代華唱兵器ユニット『ECLIPSE』より、ギルド・ローレットへの依頼。
 内容は演奏終了までの保護、および部族間戦争の強制停止である。

【状況解説】
 幻想と天義の間には小規模な部族コミュニティが無数に存在し、そのうちの2部族がたがいの土地とその権利をめぐって戦争を開始した。
 生きる上で増える民と、消耗していく土地資源。部族が未来に生き残るには他部族を抹殺して土地を奪うほかないと、この2部族は考えた。
 両者の『利害』が一致したことで交渉は戦争のフェイズへと移行し、いまこのとき両部族は戦士を揃え荒野での決闘をはじめた。

・クモンズ族
 弱肉強食をうたうハーモニアの部族。弱者を切り捨て強さを求める。
 スピア、ハンマー、弓などを武器とする。前衛後衛はバランス良く配置されており、攻撃力の高い魔術系のスキルメイン。
 5人の戦士を選出し、この戦争に投入した。

・カズラバ族
 共栄共存をうたってきたハーモニアの部族。土地の枯渇による侵略の必要性にかられ戦争を決断した。
 刀、鎖鉄球、投げナイフなどを武器とする。前衛と中衛に絞られ物理系の攻撃がメイン。スピードが速く手数が多いのが特徴。

【古代華唱兵器ユニット『ECLIPSE』】
 彼自身が古代から発掘された遺物。自律した思考と行動ができ、ひとりの人間のように振る舞う。
 生まれた当初は同タイプのユニットが大量に存在し戦争を破壊することを目的に動作していたと語るが、古代の記憶(メモリー)や機能はほぼ喪われ、自らの出生理由と平和への祈りだけを掲げ小規模な戦争に介入し続けている。
 介入方法は歌うこと。
 『約5分間(30ターン)』のライブ演奏を戦争のど真ん中で完遂することで小規模な戦争までなら解消できる力をもっている。(誰にでも適用できるわけじゃないが、本件は適用可能対象らしい)

【依頼遂行まで】
 『ECLIPSE』の演奏開始から終了までの30ターン、クモンズ族とカズラバ族による衝突を強制的に阻みます。
 具体的には両陣営側に立ちはだかって戦闘を仕掛け、衝突できないようにします。
 勿論敗北すれば戦争の停止は失敗。PCの総合戦力のうち5割を喪失した時点で作戦続行不可能と判断して『ECLIPSE』は依頼を解消。即時撤退します。
 よって失敗条件は『総合戦力の5割(≠PC人数)の喪失』とします。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ラブアンドピースの歌を聞け 完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月17日 22時20分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

コラバポス 夏子(p3p000808)
駆け出し
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
ニーニア・リーカー(p3p002058)
雪だるま交渉人
ルナール・グルナディエ(p3p002562)
紅獣
藤野 蛍(p3p003861)
学級委員の方
ノースポール(p3p004381)
白金のひとつ星
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫

リプレイ

●戦争を殺すもの
 マイクスタンドとギターのみで戦場の中心に立った古代華唱兵器ユニット『ECLIPSE』。
 彼を排除すべく襲いかかる少数部族カズラバ族とクモンズ族の両戦士。
 だがそこに、新たなる力が舞い込んだ。
「歌で争いを止める、ですかー。わたくしとしては、夢のような出来事ですわねー」
 『特異運命座標』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)は歌う呼吸を整えながらカズラバ族へと向き直る。
 歌うことと戦うことは、元来同じものだったと『ECLIPSE』は語っていた。
 ユゥリアリアの歌は味方をいやしたり敵を打ち倒したりするために用いられることもあるが、きっともっと根本的な、大きな違いが『ECLIPSE』にはあるのかもしれない。
「演奏で戦争停止なんて本当にできるの? でも、もし本当なら……ボクは全力で手助けしたい」
 蛍は教科書の中で見たことがある。
 戦争なんてくだらないと平和を歌ったロックシンガーの歴史を。
 彼らはヒッピーという時代を生み、ラブアンドピースを合い言葉に世界を少しだけ変えた。
 彼らはもしかしたら、今の蛍と同じ気持ちだったのかもしれない。
「なれというなら喜んでなるわ。戦争を殺す破壊者――殺意を歌で覆い尽くす兵器、『ECLIPSE』の一部に」
「んー……」
 『駆け出し』コラバポス 夏子(p3p000808)は深く深く呼吸をして、持っていた槍をくるりと回す。
(凄い力だ。憧れまである。戦争はこの世界じゃ日常だ。戦争を殺すなんて思わなかった。世界平和が目的なのに、戦争根絶なんて不可能だと……)
「僕は、考えもしなかった! 『戦争を殺す』なんてこと!」
 クモンズ族に身構える夏子。
 その姿に『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)はこっくりと頷いた。
「歌で戦争を止める……ああ、懐かしい思い出がありますね」
 寛治がかつて見たテレビジョン受信機の中には、戦争をとめるために歌いながら戦火へ飛び込むアニメーション映像が流れていた。
 古来より脈々と受け継がれるロックシーンのひとつを、ロボットアニメというテーマに落とし込んだ画期的な作品であったと記憶している。
 『世界の広さを識る者』イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)はフッと小さく笑い、煙草をくわえた。
 ポケットから百円ライターを取り出した寛治が、彼の煙草に火をつける。
「彼の祈りを信じるよ。確かに言葉と音階は世界を変える力としては頼りないかもしれないが、少なくとも口ずさむ歌もない者には本当に世界を変えることなどできないからね」
「たしかに……どのような状況であれ、歌う誰かがいるならば、ここはライブ会場と言っても過言ではないでしょう。ならば、誠心誠意プロデュースさせていただきます」
 二人はネクタイを締め直し、クモンズ族へと振り返る。
 ならばこっちはとカズラバ族へ向き直る『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562)。
(請け負った以上は俺も最善を尽くすしかないんでね。戦争を止めるなんて大それた事を手伝うことになるなんてなぁ。ま、何処までやれるかは分からないが……俺もやれるだけやるか)
 タン、と地面を蹴って空中に浮かぶ『絆の手紙』ニーニア・リーカー(p3p002058)。
 丈夫な革の衣服をきゅっとしめると、カズラバ族に指を突きつける。
(どちらかの部族が生き残るんじゃなくて、両方が生き残れる道を探してほしい。だから今は――)
「僕たちが相手になるよ!」
 キッと視線を鋭くする『白金のひとつ星』ノースポール(p3p004381)。
「ECLIPSEさんの歌の力を信じて、頑張って耐え抜きましょう! 皆さん、ECLIPSEさん、よろしくお願いします!」
 身構えるノースポールたちへ、戦士たちが襲いかかる。
「邪魔をする連中は全て打ち倒す。それがクモンズ族の生き方だ」
「彼らを生かしておけば沢山の仲間が殺される。戦わなければ生き残れないんだ!」
「「だから」」
「「それでも」」
 戦士たち、そしてECLIPSEたちは、決意を燃やしてぶつかり合う。
 その中心でECLIPSEは――古代華唱兵器ユニットは。
 ギターピックを掴んで顔を上げた。
『我の目的はただ一つ。戦争の即時停止を要求する。聞け、戦争を殺す歌を』
 ロックミュージックが、戦場に巻き起こる。

●戦いを止める戦い
「戦争なんて下らねえぜ! 奪い合う前にやる事があるだろ!」
 夏子は槍を地面に打ち付けると派手な火花をはじけさせた。
 飛来する弓矢の攻撃を、槍の回転によって打ち払う。
 そこへ突撃してくるクモンズ族の長。
 頑丈な突撃槍が夏子へと迫る。
「コラバポス君」
「任せます」
「任されたァ!」
 イシュトカたちから保護を受けた夏子は槍をしっかり両手に握り、繰り出された相手の槍を絡め取る。
 懐に潜り込んで槍を押さえ込みつつ、相手の肩に自分の肩をぶつけた。
「俺は平和的に諍いを止めに来た だから攻撃しない!」
「そんな力でなにができる」
「いまやってみせる所だ!」
 叫びに、イシュトカは小さく頷いた。
「その通りだとも。語らぬ者より語る者。語る者より動く者。そして、動く者より示す者だ。今我々は示している」
 懐に手を入れ、小さなリボルバー拳銃を取り出した、迫り来るクモンズ族の戦士に向けたまま語りかけた。
「武器を捨て、歌を歌え」
「断わると言ったら?」
「要求し続けるまでさ」
 クモンズ族のアーチャーが矢を連射。
 イシュトカはやれやれと首を振りながら、飛来する矢に目を閉じた。
 サッと横から割り込んだのは寛治である。
 彼は手にしていた傘を広げると、恐ろしく頑丈な布地で矢を弾いた。
 裏から透過した相手の姿を確認し、持ち手に隠されたトリガーを握り込む。
 傘の先端から放たれた無数の弾が迫り来るクモンズ族のハンマーに命中、はじき飛ばす。
「さあ、舞台は整いました。歌いましょう」

 戦場で歌うことは、なにも不思議なことじゃあない。
 戦争と歌は、古来よりいつも同じ場所にあったからだ。
 蛍は『ECLIPSE』の隣で、歌詞カードを広げたまま大きく息を吸い込んだ。
 歌はいつもそばにあった。
 たとえば学校のクラスで合唱の時間があったとき、共に歌うことをいつも要求する側だった。
 一緒に歌え。
 その要求が、今は戦争を終わらせようとしている。
 蛍は高らかに歌い上げた。
 歌詞カードに書かれている詩は戦争の愚かさを歌うものでも平和の尊さを歌うものでもない。日常の気持ちや、恋した高鳴りや、ちょっとずさんな毎日や、どこにでもいる誰かを歌ったものだった。
 だからこそ共感するのだ。
 それが壊れる瞬間の悲しみを。
 メリルナートのハイソプラノが重なる。
 歌に駆り立てられるように地面から大量に飛び出した氷の鎖が、カズラバ族の戦士たちへと襲いかかる。
 腕や足に巻き付いた鎖を引きちぎりながら、カズラバ族の長は唸った。
「なぜ止めようとするんだ。奴らは僕らの仲間を殺した。土地を奪おうとした。放っておけば僕らは滅ぼされてしまうんだぞ!」
 メリルナートは歌うのをやめない。
 それが答えだといわんばかりに、美しく高らかに歌い続けて見せた。
「歌うのを辞めろ! 僕らは殺し合いをしてるんだぞ!」
「殺し合いをやめてください! 私たちは一緒に歌えるはずです!」
 襲いかかろうとした戦士の前に、ノースポールが立ちはだかる。
 カズラバ族の刀を盾によって受け止めた。
「お互いが手を取り合えば。争う必要なんてないじゃないですか! 武器を下ろしてください……!」
「奴らは手を取り合ったりしない!」
「いいえ、出来るはず。相手を打ち倒すのと同じくらいに困難なだけ。違いは、どちらを選んだかに過ぎないんです!」
 そこへ飛んでくる無数のナイフ。
 はっと視線をやるノースポールにかわって、ニーニアが水平飛行で割り込んだ。
 交差した腕に刺さるナイフに血が滲み、痛みをもって広がっていく。
 しかしきらりと光る眼鏡の奥には、ゆらがぬ決意が燃えていた。
「手を取り合うべきだよ。どちらも生き残ることが出来るはず」
「俺たちの部族はそれでいい。けど奴らは別の部族だ。共存なんてできない!」
「別なんかじゃ無い。同じ人類だよ! 今こうして争えるなら、話し合うことだってできるんだよ!」
 戦場は複雑にぶつかり合っている。
 いや、もしかしたら単純なのかもしれない。
「蹴戦なんて滅多に使わない技だが、多分大丈夫だろう」
 ルナールはカズラバ族の放つ鎖鉄球を蹴り技ではらいながら、戦場の様子を確認した。
 カズラバ族を阻むルナール、ニーニア、ノースポール、メルナリート。
 その一方でクモンズ族を阻む夏子、イシュトカ、寛治、そして蛍。
 皆の中央で、命の危険にさらされながらも歌い続ける古代華唱兵器ユニット『ECLIPSE』。
 だが戦場の本質はごくシンプルだ。
 戦うものと、それを止めるもの。
「さー此処は通さない、ってね」

●歌え、本能が呼んでいる。
 歌詞カードを広げ、直立不動。
 蛍は矢が頬を掠めても、脇腹に矢が突き刺さっても、歌うことをやめなかった。
 蛍のどこか素朴な歌が、まっすぐに通る声が、戦う仲間たちの傷を恐ろしい速度で癒やしていく。
 ひとはいつも武器をとる。
 しかし誰かを殺したいから、排除したいから武器をとるとは限らない。
 誰かを守るため。戦争をとめるため。そして時には、ただただ歌い続けるためだけに武器をとることがある。
 それを、蛍たちは知っている。
 力のなんたるかを、知っている。
(平和の歌声は、これくらい荒々しくなきゃいけないのかも、ね)
 ハンマーを振りかざした戦士が蛍へ迫り、歌声を頭蓋骨もろとも破壊線と繰り出していくる。
 ぴたり、とハンマーが止まった。
「アイドルにお手を触れませんよう」
 寛治の傘が相手の肘をひっかけ、無理矢理にハンマーの軌道を停止させたのだ。
「どけ。貴様らは部外者だ。これは俺たちだけの問題だ」
「ご意見を重く受け止め、誠意をもって返答させていただきましょう」
 相手を蹴り飛ばし、寛治はみだれたネクタイを手早く直した。
 ちらりと『ECLIPSE』を見やる。歌い続けるその様は、まるで他人の事情など構わないという様子だ。戦争があるからそれを止める。そのためだけに歌う彼は、兵器であった。
「当シンガーは『知ったことでは無い』と申しております」
「敵対するつもりか? このクモンズ族に」
「敢えて皆様を『敵』とは呼びません。それはおそらく、依頼人のお気持ちに反する振る舞いですから」
「ならどう呼ぶというのだ!」
「決まっています」
 寛治は眼鏡を中指で押し上げ、クールに言い放った。
「『お客様(カスタマー)』です」

 弓を連射しながら迫るクモンズ族のアーチャー。
 対するイシュトカは拳銃を連射しながら迫り、弾切れと共に相手の懐へと飛び込んだ。
 ナイフを抜くアーチャー。その手首を掴み押し止めるイシュトカ。
「彼は言った。自らを『古代の遺物』であると。事実こうして争いが絶えぬ以上、彼の言は事実なのだろうね。だが……いや、だからこそ、私は彼の祈りと歌を見届けたいのだよ」
「歌ったからといって何になる。戦わぬ者はすりつぶされるのみだ」
「君も見届けたまえ。戦わぬ者の選択肢が、きっと増える」
 彼らの横から迫るクモンズ族の長。
 突撃槍の一撃がイシュトカたちをまとめて吹き飛ばした。
「何を悠長に話している。排除しろと言ったはずだ」
「うるせぇー! 今はとにかく歌を聞けぇっ!」
 背後から飛びかかる夏子。
 クモンズの長は振り返り、夏子の槍を受け止めた。
 交差しぶつかりあった槍を境に、夏子は長へと顔を近づける。
「今! 今我々は話し合いをしてる! できてる! 相互理解を深めてる! 解るか!?」
「解らん! これは紛れもない殺し合いだ。相手のことなど知ったことではない」
「あんたは相手を知らずに殴るような奴なのかよ!」
「っ……!」
 クモンズの長に、僅かながら反応が見えた。
 力ずくで押し込み、後退させる夏子。
「考えろ! この世界が全ての言語を疎通させたのは何のためだ! 戦いながらも俺たちに話しかけるお前らは、なんだ!」
 太古の昔から、生命は争い続けて生きてきた。
 弱肉強食。それは生命のルールだ。
 しかし同時に、生命は循環し、空となり大地となり、世界を常に巡っていた。
 生命が言語を用いそれを交わしたのはなんのためだ。
 ただ破壊だけをする物体なら、意思疎通などいらなかったはずだ。
「離れてください。振り回します!」
 ノースポールは拳銃をフルオートモードにすると、ぐるりと回転しながら周囲のカズラバ戦士たちを薙ぎ払った。
 空になったマガジンを放出。予備弾倉をはめ込みながら飛び退くと、追いかけたカズラバの鉄球使いをルナールが魔剣によって打ち払った。
「さて……」
 ルナールは傷ついたノースポールに代わって声をあげると、カズラバの戦士を自らに引きつける。
 その一方で、メリルナートはカズラバのナイフ使いへと迫っていた。
 放たれたナイフをかわすことなく肩で受けると、メリルナートは接近。握った拳を相手の顔面めがけて思い切り叩き付けた。
「気づきましたわー。これは、きっと、『対話』なのですわー……」
 殺すだけなら、喰うだけなら、こんな風に決闘をする必要などなかった。
 彼らの部族はただ対話の手段として、殺し合うことを選んだに過ぎない。
 それ以外の手段があるのだ。
 それを今、示しているのだ。
 『ECLIPSE』が……それと一体となったメリルナートたちが。
 刀を繰り出すカズラバの長。
 ニーニアは硬化魔術の込められたハガキでそれを受け止めると、相手の襟首を強く掴み取った。
「聞いて! 『ECLIPSE』さんの歌を! 共存共栄を目指したカズラバ族なら、こんなことしなくてもいいはずだよ!」
「けれど、戦いはもう始まってしまった。止められない」
「なら――今ここで止めてみせるよ!」
 強引に蹴りつけ、飛び退くカズラバの長。
 ニーニアは眼鏡を押さえると、強く強く彼の目を見た。
「戦いは終わるよ。もう一度話し合いをすればいいの。土地を奪う必要なんてない。今ある土地を、二つの部族の力でもっと豊かにすればいいだけ」
「けれど、利益だけを奪い取られるかもしれない」
「そうならないように話し合いがあるんだよ。もし二つの部族だけでそれができないなら、僕たちが力を貸してあげる」
 『ECLIPSE』はギターを激しく鳴らし、歌を終えた。
 気づけば、彼のゲリラライブは完了していた。
『そうだ。彼らならそれができる。彼らこそが世界の中立。万人の第三者。戦争を殺す可能性を秘めた特異点――イレギュラーズ。故に、当機は拡張を依頼した』
「君もそうすればいいんだよ」
 振り返れば、クモンズ族たちも戦意を失い武器を下ろしていた。
 ついさっきまで殺し合いをしていたクモンズ族とカズラバ族の両長が、武器を足下に落とし、ゆっくりと歩み寄る。
「俺は弱者を踏みつぶしていたと思っていた。だが違った。弱者を喰い強くなると言うことは……」
「うん。お互いがひとつになるってことなんだ。僕らは、新しい戦いの方法を見つけなくちゃいけない」
 手を差し出すカズラバの長。その手を、クモンズの長は強く握った。

 ふと、メリルナートは振り返る。
 『ECLIPSE』は楽器をしまい、その場を立ち去ろうとしていたからだ。
「もう、いってしまいますのー?」
『この戦争は殺した。当機は次の戦争を殺しにいく』
「これからも、ずっと?」
『肯定だ』
 単眼カメラのような頭で、一度だけ振り返る。
『我は古代の遺物。戦争を殺すために生まれた兵器。粉みじんになるその日まで、平和の祈りを歌うだろう』

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

 このシナリオは『簡単に終わらせる手段』と『普通に流す手段』と『困難だけれど本当は可能な手段』の三つが存在していました。
 皆さんはそのうちの三つ目を、どうやら選択されたようです。
 両部族に対し自衛力で立ち向かい、説得によって戦意を失わせるという手段はきわめて困難です。ですが能力と連携と、そして心のこもったプレイングでのアタックによってそれを完遂されました。
 よってここに、大成功判定をさしあげます。

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