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シナリオ詳細

<ジーニアス・ゲイム>Invasion of iron

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鉄帝の侵攻
「皆さん、お疲れさまなのです。お疲れさまなのですけれど、こっちの依頼も聞いてほしいのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がイレギュラーズに声をかける。既にいくつかの依頼内容を耳にしたイレギュラーズも多いことだろう。
 仕方ないのだ。今、幻想国内は極めて危うく、状況は混沌としている。
「今、大きく分けて3つの依頼が舞い込んできているのです。その内2つは幻想からですが……今から説明するのは残りの1つ、鉄帝からなのです」
 鉄帝の助力を請う依頼をローレットは受諾した。依頼の中には幻想からの助力依頼も混じっているが、それはそれ。
 ローレットはあくまで『中立』なのである。
「皆さんには国境へ向かってもらって、幻想貴族の私兵を蹴散らしてもらいたいそうなのです。先駆けですね」
 今、国境には幻想貴族の兵が集まっている。しかし幻想国へ攻め入るためにそこで力を削がれるわけにはいかない。
 ──そんな時のイレギュラーズ、というわけだ。
「たぶん、戦うのはこの辺りなのです。皆さんが良い感じに幻想兵を蹴散らしたタイミングで、鉄帝兵がわーってその辺りを占拠するらしいのです。その後のことはよく考えてないみたいですが……まあなんとかなるだろう、って雰囲気だったのです」
 実に脳筋……いや、シンプルな戦い方を好む鉄帝らしい。
 地図で示されたその場所は国境を跨ぐ1本道。幻想兵たちは国境に限りなく近い場所におり、誰であろうと通さない構えだそうだ。
「皆さん、きっと色んな依頼を見聞きしてると思うのです。けれど、どの依頼で誰と戦うとしても……どうか、皆さんの全力で依頼に応えてほしいのです! よろしくお願いします!」


●国境にて
 来るのか。来ないのか。
 幻想私兵達は交代で休憩を取りながらも、国境の方角の観察を怠らない。。
 鉄帝の怪しい動きを察知してから、暫し。まだ来る様子はないが、油断してここを突破されたとあっては彼らの雇い主──幻想貴族の名に傷がつきかねない。
「──来たぞ!」
 見張りの言葉によって、辺りに緊張が走り抜ける。
 まだ小さく見える影。しかし確実に彼らはこちらへ向かっていている。私兵達は武器を持って臨戦態勢を取り──次の瞬間、ざわりと空気を揺らした。
 向かってくるその姿は、鉄帝兵のものではない。幻想内ではサーカスの1件で活躍し、つい先日も幻想南部で砂蠍と迎え撃っていたはずの──。
「皆、気をしっかりもて! 我らがここにいる意味を忘れるな!」
 司令官の言葉が場を走り、私兵たちははっと瞠目した。
 彼らのいる意味。何人たりともここを通さないことである。
 私兵達は武器を握り直し、司令官の号令と共に地を強く蹴った!

GMコメント

●成功条件
 国境付近で待ち構える幻想兵を撃退する

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●敵
・幻想兵(剣)×30人
 普通の幻想貴族兵です。個々の能力はイレギュラーズにやや及びませんが、束でかかってくれば十分脅威です。
 割と力任せな攻撃なので物理攻撃力は高いですが、EXAは低いです。

・幻想兵(弓)×10人
 普通の幻想貴族兵です。個々の能力はイレギュラーズにやや及びませんが、前衛を担う幻想兵(剣)と標的を合わせて狙ってくるようです。
 命中特化、中~遠距離攻撃を仕掛けてきます。防御技術はそこまででもないようです。

・幻想兵(司令官)×1人
 この一帯にいる幻想兵を統率しています。彼の声があると【混乱】【魅了】【恍惚】【怒り】のBSが掛かりづらくなります。
 帯剣しており、そこそこの手練れです。
 最初に前線へ出てくることはまずないでしょう。

●ロケーション
 馬車2台が並べるくらいに広い1本道です。視界良好。
 両脇は森となっており、こちらはやや見通しが悪いです。足元もそれほど良い状態ではない為、こちらで戦う場合は全体的なステータスに-10程度の補整がかかることがあります。
 幻想兵は幻想の地を背に、道を埋め尽くす形で並んでいます。

●戦果につきまして
 このシナリオは成功失敗の他に『戦果』を数字判定します。
 これは幻想側と鉄帝側の有利にイレギュラーズがどれだけ貢献したかを示す数値であり、各GMが判定を行います。
 全ての対応シナリオで積み上げられた数字によって北部戦線の最終戦闘結果に影響が出る場合があります。

●ご挨拶
 愁と申します。
 幻想貴族軍と戦う依頼です。昨日の敵は今日の友、少なくともこの依頼を受けている間は鉄帝が皆様の味方です。
 ご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

  • <ジーニアス・ゲイム>Invasion of iron完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月12日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)
強襲型メイド
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)
特異運命座標
ジーク・N・ナヴラス(p3p000582)
屍の死霊魔術師
マリア(p3p001199)
悪辣なる癒し手
アニーヤ・マルコフスカヤ(p3p006056)
鋼鉄の村娘
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
ベン=ジャミン(p3p006779)
空の翁

リプレイ

●利のある戦い
 ウオオオオ、と声をあげて向かってくる幻想兵たち。その声を聞きながら『悪辣なる癒し手』マリア(p3p001199)は小さく眉根を寄せた。
(もしかしたら、共に戦った事のある方もいらっしゃるかもしれませんわねー……)
 だが、今は敵。せめて死なぬようにと祈ることしかできない。
 『屍の死霊魔術師』ジーク・N・ナヴラス(p3p000582)は森へと式神を放ちながらも、どこか高揚感を覚えていた。
(戦争という日を……私は何処かで心待ちにしていたよ)
 ようやく。そう、ようやくだ。抗う者の魂の輝きを見ることができるかもしれない。
「ナヴラス様、今のはー……?」
 マリアの問いにジークは『司令官へ石を投げるよう命令した』と告げる。
「少しでも気を逸らせたらいいけど気休めだろうね」
 だが、気休めでも構わないとジークは考えていた。戦場において、その一瞬が生死と勝敗に結びつく事も少なくない。
 双方は着実にその距離を詰め、超遠距離の攻撃手段を持つ『空の翁』ベン=ジャミン(p3p006779)は大型火器を前方へ向けた。研ぎ澄まされた集中力で放たれた魔弾は冷気を纏い、まるで槍のように幻想兵の元へ飛んでいく。
 それを見ながらベンは「ふん」と鼻をならした。
「正規兵じゃろうと私兵じゃろうと、賊にとってはもともと戦わざるをえない相手じゃよ。このベン、容赦も躊躇もせんぞ」
「幻想に悪気はないっすけど、ギルド存続の為の仕事っすからね」
 ちょっと覚悟してもらうっす、と『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)はナイフを構える。
「ローレットとしての立場を考えると、こうせざるを得ない、というのは……理解はしているつもり、ですわー」
 『特異運命座標』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)はレッドの言葉に頷いた。
 拠点は幻想にあるが、中立を保つのがローレットだ。イレギュラーズ達が例えそこに複雑な感情を抱こうとも、ローレットは鉄帝の依頼を受け、イレギュラーズもまたその依頼を受けた。ハイ・ルールに則ってそれは遂行されねばならない。
 裏切ったわけではない。だけれども。
(戦争に加担するというのは……苦々しい思いですわねー)
 戦は命を奪うもの。望まずとも奪われてしまうもの。だが──せめて、少しでもマシな結果にできるようにしたい。
 敵と30m程の距離をあけ、イレギュラーズ達は立ち止まる。
(昨日の友は今日の敵とは良く言ったものです)
 『強襲型メイド』ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167)が向かってくる兵士にそう考える横で、『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)もまた同じようなことを感じていた。
(昨日の敵が味方で、その逆もあって。まぁ中立ってそんなもんっスよね……)
 葵は「さて」と呟いてこれからの戦闘へ思考回路を切り替える。
 人数はおおよそ5倍。まともにぶつかり合えば数の利があるのは当然あちらだ。
「皆、作戦通りにいくっスよ!」
 葵がエネルギー弾を飛ばすとそれはコウモリの姿へと変わり、一直線に敵へと向かっていく。
 『鋼鉄の村娘』アニーヤ・マルコフスカヤ(p3p006056) もそれに続くべく重装火器を構えた。普段伏せがちな機械の瞳で敵を見据え──そこに迷いは一切ない。
(私は鉄帝の人間です。選ぶならば、祖国を選ぶ……)
 後方から戦場を観察していたマリアが声を上げる。
「皆様、弓兵が下がってますわー……!」
「剣兵たちが近づいて来たっすよ!」
 レッドは仲間へ声をかけながら剣兵たちに迎え撃つ。攻撃のビートは加速していき、兵たちへの混乱を促すよう。だが──。
「うろたえるな! 後衛を狙え!」
 敵陣からの声に幾人かが表情を変える。
「うーん、やっぱり効きづらいっすね」
 小さく呟き、攻撃から牽制へと切り替えるレッド。
 前衛をぬけて後衛へ斬りかかろうとする剣兵の攻撃に、ユゥリアリアは打撃を加えて軌道を逸らした。
「そう簡単に抜けさせませんわー」
 タクトから放たれる攻撃が兵を襲う。それを援護するようにベンの射撃が回りの兵を撃ち抜いた。
(油断している様子は……なさそうじゃの)
 ベンは向かってくる剣兵の数に目を細めた。
 道を塞ぐほどの人数。恐らくほとんどの剣兵が一斉にこちらへ向かっているはずだ。それだけイレギュラーズたちを『脅威』として考えているのだろう。
 頭を先に叩ければそれに越したことはないが、無理はできまい。
 ベンは真っすぐこちらを標的としてくる兵たちへ武器を向けた。
「隠れるには不向きな場所じゃな。そう、

 ──お主等にとっても、な?」

 凍らせるような魔弾の槍は再び、纏まって立ち向かってきた兵たちを貫いていった。
 怒号と血が飛ぶ戦場へ、唐突に説得の言葉が落とされる。
「戦いたくはありませんがー……貴方達が引かないのであれば、こちらも応じなければなりませんのー……! どうか、どうか、引いてはくださいませんかー……!」
 マリアの声に一瞬たじろぐも、再び後ろからかかった司令官の声に兵たちは武器をしかと構えた。
(たとえ伝わらなくても、止めはしませんのー……!)
 戦いは好きになれない。これからも好きになることは恐らくないだろう。けれどその最中でもマリア自身にできる事はある。こうして情に訴えることもその1つ。
 ジークは敵の攻撃に骨を軋ませた。入れ違うように放たれた蛇は剣兵の手元へ喰らい付き、その毒を兵の血管へ送り込む。
 続いて飛んできた矢を躱し、マリアの治癒を受けながらジークは戦場を観察した。
(まだ敵は突撃を繰り返しているようだね)
 そこには初手と大した変化も見られない。若干人数が減った、と言う程度か。
 ジークは自らを標的とする兵を目視し、再び毒蛇を放つべく式符を手にした。
「こんだけいると、ガス欠とジリ貧には気をつけたいっスね」
 サッカーボールを渾身の力で蹴りだした葵。ただのサッカーボールと侮ることなかれ、これは立派な彼の武器である。
 虚を突かれた兵へ打撃を加えて葵の元へ戻ってくるボール。それを足で受けとめながら葵もまた戦場を一瞥した。
 敵が先程よりも近く──そう、敵の戦線が上がってきている。
「皆、ちょっと引くっスよ!」
 その言葉と同時に溜めていたアニーヤの攻撃が放たれ、兵の1人を撃ち抜く。それは平素よりも優れた命中率に加え、得意とする人型への射撃に殺傷力を上乗せした1撃だ。
「あそこだ!」
 その軌道から矢が向けられ、アニーヤは咄嗟に幻影を作り出して後方の木へ逃げ込もうとする。弓兵たちはその背を見逃さず、アニーヤ本人に矢を放った。
 肩を掠めながらも木の影へ飛び込んだアニーヤ。足元をざり、と踏みしめれば土の感触がする。
(戦闘に支障のない足場を探すことを念頭に置かないと……それに、下がった方がいいと言っていましたね)
 後退すべく木の影から飛び出したアニーヤに、待ち受けていたかのような矢が飛んでくる。
 そこへ立ちはだかる赤い靴の少女。彼女はアニーヤを庇うと肩越しに彼女を見た。
「大丈夫っすか?」
「ええ、助かりました。……引きましょうか」
 近づいて来た剣兵を見て後退を促すアニーヤ。ある程度の距離を維持するレッドに対し、誰もの射程圏内から全力で離れたアニーヤは短い瞑想をした。
(近ければ離れ、離れていれば攻撃する……シンプルですが、森の方も警戒致しましょう)
 瞑想を終えたアニーヤは敵が射程に入るのを待ちながら火器を向ける。
 纏まって向かってきた兵たちを暴風域に巻き込みながら、ヘルモルトは相手の後衛へ視線を向けた。
(敵も馬鹿ではないでしょう)
 愚直なまでの突撃を何度も繰り返すとは思えない。イレギュラーズは敵から逃げているようにも見えるが、その戦力を着実に削ごうとしている。それを敵の統率者も理解しているはずだ。
 彼らが引き、守りの姿勢に入ろうとした瞬間──そこが攻め時だ。


●転換
 不意に石ころが投げられ、司令官の足元へ転がった。彼は一瞬だけそちらへ視線を向け、すぐに戻す。
 自然と石が飛んでくるわけがない。そして味方が、部下が投げてくることもありえない。
 ──だが。
(はったりか)
 彼はそう断じた。今の脅威は目の前の8人──鉄帝の手先となったイレギュラーズたちのみ。彼らは幻想兵たちを近づけさせず、遠くからの攻撃に徹している。
 彼はただただ正面を見据えながら声を張り上げた。
「──深追いせずに引け! 無駄に命を散らすな! 弓兵は応戦しろ!」


●変化
「皆様、お気をつけをー……! 相手方に動きがー……!」
 剣兵たちが引いていく様子、そして弓兵がそれを援護するように弦を引く姿にマリアは声を上げた。
 次の瞬間飛んでくる矢から腕で急所を庇い、イレギュラーズたちは再び遠距離攻撃で応戦する。
「ぬぅっ」
「皆様、回復致しますわー……!」
 重なる攻撃にベンが膝をつきかけるも、寸前で踏み止まる。ユゥリアリアのメガヒールがベンを癒し、さらにマリアもまたブレイクフィアーを展開して近くにいる仲間の治癒を行った。
「ちっ、やっぱり厄介っス」
「そうだね。射程圏内にいるし、先に倒した方が良さそうだ」
 葵とジークの攻撃の矛先が射程圏内に残る剣兵から弓兵へ移る。アニーヤもまた、深呼吸と血意変換を挟みながら精密なる1発を撃ち放った。
(いくらか敵を減らせば、指揮官が出てくるはず)
 彼を狙えばあっという間だろうが、油断はできない。着実に彼を前衛へおびき出さなければ。
 アニーヤはちらりと右側を──森の方を見た。今の所怪しい気配や動きは感じられない。だが、いざという時のため警戒しておくべきだろう。
「どうかー……もう、どうかやめてくださいませんかー……!」
 次々と回復へ手を回しながら声を上げるマリアへ矢が集中する。息を呑んだマリアは次の瞬間、視界に赤の軌跡を認めた。その軌跡は──レッドは矢を受け、ぐらりとその体を傾がせる。
 小さく悲鳴を上げかけたマリアの前で、レッドはぐっとその足を踏ん張った。
「へへ……まだ頑張れるっすよ」
 ね? と向けられた瞳にマリアは頷き、傷だらけのレッドへ治癒を施す。
 ユゥリアリアは魔力を練りながら小さく呟きを落とした。
「どうか、」
 ──命を落としませんように。
 彼女から放たれた術式は真っすぐ敵の元へ飛んでいき、傷つけていく様子が遠目から見えた。
 自分が受けなければ他のイレギュラーズが受けたであろうこの依頼。たとえ偽善と言われようと、オーダーを守った上でなるべく命を散らしたくないという思いがユゥリアリアのここでの戦い方を作る。
 直接武器を交えぬ攻防に、少しずつ敵の数が減っていく。しかし、周りに先駆けて敵陣へ突っ込んでいった姿が1つ。
「待ちの姿勢に入ったのなら、攻めに転じましょう」
 ヘルモルトの行動に動揺を走らせた兵たちは、それでも突破されぬよう武器を構えた。
「与えられた仕事は完遂するのがメイドの務め。存分にもてなさせていただきましょう」
 その内の1人を風が──いや、ヘルモルトがさらいあげるように投げ飛ばす。
 追撃を警戒して後衛のイレギュラーズたちを見遣った弓兵は、こちらへその眼窩を向ける骸骨と視線が合う。
 誰かを庇う様子もなく、さりとて先ほどまでの攻撃は近づいた者へのみ。攻撃を仕掛けてくるなら肉薄してくるかと思われたが──不意に、骸骨が笑った気がした。
「私を舐めないほうがいいよ? アナタ達と違って遠近対応出来るからね」
 突如として巻き起こる死の瘴気。苦しむ兵たちの肌に髑髏の斑模様が浮かび上がる。その死に抗う姿ははたして、極限まで老いた肉体を持つジークにどう見えているのか。
 兵の数が半数にまで減った現状では、指揮官の前へ立つだけなら比較的楽だ。ヘルモルトは周囲から集ってくる兵たちをいなしながら口を開く。
「降伏を考えては頂けませんか」
 これまで幾度となく身を削って助けようとした国、その国の兵士たちだ。今は鉄帝についているが、このくらいは許されるだろう。
 しかし、指揮官の瞳は敵意以外のものに揺らがない。
「我らは鉄帝に与する者を、誰1人として通す訳にいかん!」
「……そうですか」
(乗ってくれれば良かったのですが)
 指揮官へ拳を向けるヘルモルト。
 その後方では葵が敵兵前衛へ飛び込んでいた。
「オレもこれくらいは覚悟しねぇとっス!」
 敵の攻撃をグローブで受け流しつつ、ボールを巧みに操って応戦する葵。彼をアニーヤの射撃が援護する。彼女の姿もまた、木の影へ身を寄せながらも先ほどより近い場所だ。
「近づかないでもらいますわー」
 後衛が手薄になったと再び接近してくる剣兵を衝撃波で吹き飛ばし、肉薄して拳闘で昏倒させるユゥリアリア。ジークも毒蛇に剣兵を襲わせ、さらに間髪入れないイーヴィルクローが相手を屠る。
 彼女の後方からベンの射撃が確実に敵の数を減らしていく中、レッドは蹴り技で兵を気絶させた。
(幻想とはまだ仲良くしたいっすからね、あまり死なれても困るっす)
 不意に耳へ入って来た小さな悲鳴に、レッドは首を巡らせると同時地を蹴った。近くまで迫っていた司令官とその前に膝をつくヘルモルトの間に入り、そのスピードを落とさないどころか加速をかけて攻撃を繰り出す。
 一瞬交錯した視線に含まれるのは動揺、混乱。
「自分が足並み乱されるとは思ってなかった、って顔っすね?」
「っ、くそ!」
 レッドの言葉に指揮官が武器を振り回す。それをひらりと避け、レッドは再び口を開いた。
「ほら、いい加減武器を捨てたらどうっすか? その状態じゃわからないかもしれないっすけど……負けそうっすよ?」
「断る!」
 間髪入れない返答に肩を竦めるレッド。その脇を一陣の風が吹き、司令官の体が投げ飛ばされる。受け身を取った司令官の前に立ちはだかるのはヘルモルトだ。
「大丈夫っすか?」
「はい、問題ありません」
 一瞬視線が交錯した後、2人は司令官へ向かって駆けだす。
 背後からマリアのメガヒールがヘルモルトを癒し、アニーヤの射撃が司令官の肩を打ち抜く。
「くそ、くそぉっ!!」
 未だ混乱のさなかにある彼は、しかしまだ戦意を喪失することなく剣を振り回していた。その間合いへ入り、傷を負いながらも拳とナイフが翻る。
 イレギュラーズたちとの乱闘を繰り広げていた兵士たちは、誰かの「司令官が!」という言葉にはっとそちらを見遣った。
 そこにあるのは傷だらけのイレギュラーズ2人と、地に倒れ伏した彼らの上官。
 指揮官を失ってうろたえる兵たちにレッドの言葉が突き刺さる。
「──もう1回言うっすけど、武器を捨てたらどうっすか? これ以上戦っても無駄っすよ」
 人数の不利がありながら誰1人として欠けていないイレギュラーズ。その姿は決して無傷とは言えないが、残った兵を一掃するには十分だ。
 からん、がしゃん、と弓や剣を取り落とす音が相次ぐ。
 戦意を喪失した兵士たち、そして気絶させた者や不幸にも命を落としてしまった者を道の脇へ寄せ、マリアは順に治療を施し始めた。その行為に治療されている兵が怪訝な視線を向ける。
「お前は、何故……」
 何故助けるのか、だろうか。それとも──何故そちらについたのか、だろうか。
 続かぬ言葉に、しかしマリアは頭を振った。
「遺恨はありましょう、言いたい事もー……ですが、今は、どうか、抑えてくださいませー……」
 マリアは目を伏せ、兵士は黙り込む。その時間はほんの僅かなことで、すぐにマリアは治療を再開した。

 幻想兵たちが苦悶の声を上げる中、鉄帝の兵たちがこの場を突き進むために向かってくる音が響く。彼らは道端に座り込み、倒れ込んだ幻想兵を一瞥することなく前へと進んだのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ヘルモルト・ミーヌス(p3p000167) [重傷]
強襲型メイド
レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395) [重傷]
特異運命座標

あとがき

 お疲れさまでした。
 幻想と鉄帝の全体的な北部戦線状況については特設ページで公開されるものと思いますので、そちらをご覧ください。

 またご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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