PandoraPartyProject

シナリオ詳細

あばれんぼうとりさま

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 11月の秋も深まる頃。
 とある地区で祭りが開催されていた。
 地元では有名な祭りで、商売繁盛を願う「くまさんおてて」なるものを買って、家に飾ると「くまさんのおててで福を掻き込む」と、可愛らしいくまさんおててを買う為に、商売人たち買ったり値切ったり、他にも客を見込んで軽食の屋台が出て賑やかなお祭りだった。
 お祭りの名前は「とりさま祭り」。
 くまさんおててを買うのに祀るのは何故かとりさま。ツッコんではいけないお約束だった。
 そんなお祭りは11月に数回行われ盛況を極めていた。
 だが、今年は少しだけ様子が違った。

「大変だ―! とりさまのお怒りだー!」
 巨大ニワトリが「コケコッコー!」と祭りに乱入して来た。
 もとい、恐らくコカトリスの亜種だと思われる。石化能力は無いらしいので余り甚大な被害は出ていないが、やたらでかい。見上げる大きさだ。
 次々と屋台が押し潰されて、逃げた人は多いが死人は出ていない。
「ど、どうする? とりさまを怒らせたか?」
「俺達じゃどうにもなるめぇ」
「とりさまを怪我させるわけにゃいかん。俺達は」
「そうだな。俺達は」
「よそもんにやらせよう」

「ペール・アプリコットとマホガニー・ブラウンの色合いから、ガードゥン・プールの色合いになる季節ね。もうじきスカイ・グライの空になるのね……」
『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)が遠い空を見て黄昏ていた。
「あら、ごめんなさい……スカーレットとはいかないまでも、コーラルレッド位の話よ。嗚呼、季節的にカメリアの話がないかしら……」
 よく分からないが分かった感じはする。
 彼女が憂鬱になる程度の話だと言う事は。
「カメリアかスウィートハートの恋の話があれば教えるわ。今はコーラルレッドで我慢してね」
 何をどう我慢していると言うのか。
 結局詳細は『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)から聞かせて貰う事になる。

GMコメント

 お祭り会場での戦闘です。
 お祭りをまた開催する為に、巨大ニワトリを退治しましょう。


●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●依頼達成条件
 巨大ニワトリの撃破

●敵
 敵は大きなニワトリ(コカトリスの亜種)1体です。
 石化能力は持っていませんが、大きいです。怪獣みたいです。のっしのっし歩きます。
 体力と攻撃力は高いかもしれませんが、のろいので当たらなければ大丈夫。当たらなければ。のろいので回避能力もほぼありません。

●シチュエーション
 場所はお祭りが開催されていた公園となります。潰された屋台が散乱していますが、かなり見通しは良さそうです。
 潰れた屋台や木や繁み等、巨大ニワトリからは身体を守れないものの、姿を隠す程度の遮蔽物はあるでしょう。


 お祭りが復活したらくまさんおててを買ったり、お祭りを楽しめます。
 なお、巨大ニワトリは食べられます。

  • あばれんぼうとりさま完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月11日 02時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
シグルーン・ジネヴィラ・エランティア(p3p000945)
混沌の娘
琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
ジェック・アーロン(p3p004755)
冠位狙撃者
ユリアン(p3p006639)
名馳 悠(p3p006735)
中二病お嬢様

リプレイ


 こけこっこーと何処からか聞こえてくる。
 商売繁盛を願う「くまさんおてて」を求める商売人たちがあちらこちらから詰めかける。軽食の香りが食欲誘う今日は「とりさま祭り」だ。
 楽しいだけが「とりさま祭り」ではない――何処からかお怒りの巨大ニワトリがお祭り会場に襲来している。
 コーラルレッドくらいの話であれど、何となく『とりさま』に申し訳ないと『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)は頬を掻いた。
「とりさんにも何か言いたいことがあるのかもしれないけど……うん、申し訳ないけど……
 お祭りとみんなの安全の為に、倒させてもらうよ!」

 ――こけこっこー。

「ワーオ。でっかいトリさん。あ、とりさまダッケ? どっちでもイイや。
 コンだけデカいと弾トオりづらそうでヤだなー……肉厚スゴそう……」
 巨大なニワトリを見上げながら頬を掻く『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)。愛銃『コールド・ブラッド』が頑張ってくれることを切に、切に願っている。
(わぁ、おっきい鳥さん……!)
 このお祭りの『とりさま』なのだろうかとユリアン(p3p006639)は首を傾げる。クリーム色の髪がその動きでさらりと揺れた。
 もしお祀りされているとりさまなのであったら何か言いたいことやお怒りの理由があるのかもしれない。
 しかし、祭り会場を破壊するのは『悪い事』だ。頑張るぞ、と気持ちを落ち着けてユリアンはニワトリに向き直る。
「とりさま……様付けする程神格が高い……?」
 ゆっくりと、ゆっくりと、巨大なニワトリをその両眼へと映し込んだ『中二病お嬢様』名馳 悠(p3p006735)は何か痛みを堪えるようにくるりとその身を反転させる。
「くっ! 私の中の邪神の欠片が反応している……!? くくく、あの強大な力、ぜひ我が物としてくれよう」
 果たして、その邪神の欠片の反応が本当なのかは定かではないが、とりさまは物理的にでかいのはたしかであった。
「大変だけどー、お祭りと街のヒトの信心を守るためには一肌脱がないとね。うん」
 大きなニワトリを見遣りながら『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は首を傾げる。ニワトリに狙われては一溜りもないと『自称カオスシード』シグルーン(p3p000945)は息を潜める様に小さく息を付く。
(大きなとりさまのアタックをうけたらシグはぺちゃんこかもしれないよ……!)
 アクセルとシグルーンが見つめる巨大なとりさま。その様子を見ているだけならばよほどの脅威なのだろうと『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)は感じていた。
「祭事を邪魔し、特異運命座標を慄かせる……何とも無粋で苛烈な輩もいたものだね。一体どんな……」
 愛用のディナーフォークとナイフを模した槍を手にして見遣ったマルベート。そっと、眼前のモンスターをその両眼に映し込んだわけだが。
「……えっ?」
 彼女はぱちくりと瞬いた。
「巨大な鶏?」
「疑う事なき巨大鶏ね……」
 いくら『あばれんぼうとりさま』であろうと、お祀りしているとりさまを倒すのはどうなのかと『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)は困った様に肩を竦める。いや、お祀りしている神様だからこそ『鎮まり給え』ということか――どちらにせよ、放置しておけば被害が拡大するのは周知の事実だ。
「……さ、倒しちゃいましょうか」


 ――こけこっこー。

『オイオイ。祀ってる存在に襲われるとか本当に大丈夫か、この祭り? 実は祟られるんじゃねぇか?』
 魔剣ズィーガーの言葉に結はそうね、と小さく告げた。大きな音を立て、ニワトリの意識を向けんとする結――それだけでも挑発というものは何時だって緊張することで、心臓はばくばくと音を立てている。
 これ以上、祭り会場たる公園を荒らされるわけにはいかないとアレクシアが張り巡らせた保護結界の中、ジェックは大仰な程に翼をばっさばっさと動かす飛べない鳥を眺めていた。
「飛べナイ鳥は、タダの鳥ダ……」
「はい、ジェック様の仰る通りです」
 ジェックの言葉にユリアンはゆるゆると頷いた。飛べないけれど、翼をばさばさと揺れ動かす。
 その動きに惑わされぬように得物を手にとりさまを眺めていたマルベートの唇から涎が落ちてゆく。
「へぇ……成程成程……おっと失礼。涎が。
いや、実に許しがたい行為だよ! ローレットの名にかけて、しっかり討伐しないと!」
 ――確かにおいしそうかもしれない。
 そうは言わないままアクセルは後衛位置よりとりさまを狙った。放った弾丸、その勢いのまま巨大なニワトリはご自慢の翼にあたったそれに「こけぇ」と大声を上げる。

 こ、こけえええ――!

 まるで敵を凍り付かせるかの如く、シグルーンは幻惑のステップを踏み締めて、ニワトリへと一撃を放つ。
(シグはこれ以上怪我をしないように気を付けなきゃ……!)
 息を潜めるシグルーン。彼女やアクセルの動きを確認しながら獣性を呼び覚ます様、マルベートが本能を剥き出しにする。ニワトリとの殺し合いと言えば中々シュールだが、此度はこれが一番なのだろう。
「……うん? 鶏も獣と言えるのだろうか。まあ、ともあれ野生動物なんだ。互いの命を賭けた闘争に興じる気持ちも、少しは分かって欲しいものだよ」
 くすくすと笑ったマルベートと擦れ違う様に前線へと飛び出して結の手元でズィーガーが『鶏野郎は手より足が出るぜ』と冗談めかす。
「飛べない翼に意味はないでしょ」
『違いねぇ!』
 けらけら笑ったズィーガー。その気質を見遣りながら得物のナイフを掌でくるりと回したマルベートがぺろ、と舌を出す。
「これだけ大きい獲物に刃を突き立てるのは中々どうして、楽しいものだね。巨大なホールケーキを切り分けるような高揚感があるよ」
『負けてらんねぇぜ?』
 ズィーガーの言葉に結はゆっくりと目を伏せる。煽る、煽る。
 ニワトリに届かずとも――獣の殺し合いの様に悪魔と魔剣は競い合う様に動きを極めていく。
 堅牢なる城の如くニワトリの攻撃を防ぐアレクシアは魔力を制御し手首飾ったトリテレイアを確かめるように指先で撫でる。
「とりさんにこれ以上好き勝手はさせないよ……!」
 紅色の花の如き魔力を拡散したアレクシアをぎょろりとみる鳥類の表情はなかなかどうして、厳しいものだ。
「……邪神たる我を崇め、我が前にひれ伏せ!」
 絶望の海を謳ったその一声。大暴れのとりさまはその動きを僅かに止める。ひれ伏さんとするとりさま。この時、悠は思っていた――我が邪神の力が勝った、と。
 聖なる光が満ち溢れる。眼が眩んだようにばさばさと翼を動かすとりさまへ向けて飛び込むはジェックの弾丸。
「ワーオ!」
 くすくす笑ったジェックの声を聴きながら地面を踏み締めて、ユリアンが一撃をニワトリの巨体へと放つ。
 ご自慢の翼と、目を狙われたと大騒ぎのニワトリの意識が後衛へと向かんとしたその動きに気付きユリアンははっと声を張り上げた。
「わざわざ行かなくとも、こちらにもあなたの敵はおりますよ!」
 後方へと走らんとするその動きを支える様にアレクシアの紅の花が咲き乱れる。
 ニワトリがアレクシアに向けて痛烈なる蹴りを放つと同時、魔剣がその巨体に突き刺さり、ニワトリが姿勢を崩す。
『ヒューッ』
「あと少しね」
 煽る様に笑ったズィーガーの声を聴き、結が再度その柄を握り込む。
 距離詰めて、その勢いのまま、飛び込むマルベートのナイフがニワトリの柔らかい部分を切り裂き、フォークが突き刺さる。
「まるで、ゴハンだネ!」
 くすくす笑ったジェックの弾丸がニワトリを貫き――弾丸を追い掛けるように走ったユリアンの拳がニワトリの動きを封じ込む。
 聖なる光を放つアレクシアのその輝きにニワトリがばさばさと翼を動かした刹那――
「恨みはないけれど……ゴメンね!」
 まるで獣の如く獲物を狙った悪魔の一撃は只、深く突き刺さった。

 ――こ、こけっ……!

 ずずん、と音立てて沈んでいくニワトリ。
「くくくっ……我が邪気が勝ったという訳か……!」
 悠はそっと、己の身の内に秘めた深淵の力を確かめる様な動作をした。実際の所は秘めていないがきっと、秘めている力だったのだろう。

「倒した後に『とりさま』って街の人も食べに来るのかな……? 縁起物とかいったりして……」
 ぴくぴくと動くとりさまを見詰めてアクセルはそう呟いた。
「うーん……どう、なんだろうね……?」
 首を傾げるシグルーン。確かに『とりさま』なのだが、ズィーガーが言っていた通り、どちらかと言えば呪われたりする方ではないだろうか。
「縁起物……」
 ぽそ、と呟いた結にズィーガーが『どうだろな』とさも詰まらなさそうに言葉を返す。
 成程、縁起物。あばれんぼうとりさまが自身の血肉を分けてまで福を下さったと、そう考えておけばいいような――そんな、気がした。


 公園の景観維持と共に祭りの再開は中々に難しい。しかし、屋台の片づけ共に営業を再開できるようにと祭り会場の清掃を中心に行う特異運命座標達。
 お祭りを楽しむぞと意気込むアクセルは『くまさんおてて』を買いたいなあと笑みを浮かべる。
「くまさんおてて欲しいな!」
 縁起物だもんね、と笑みを浮かべたシグルーン。他にも縁起物があれば購入したいものだと周囲を見回す彼女に屋台の再開を目指す店主が「とりさまのお守りとかが売ってると思うよ」と彼女へと微笑んだ。
「『とりさま』倒しちゃったけど大丈夫かな……?」
「きっと、大丈夫ですよ! とりさまなら許してくれます」
 どんな根拠なのだろうか――そういう屋台の店主たちは皆、朗らかだ。
「私のセンスも、なかなかのものでしょう?」
 屋台へと器用さと持ち前の技巧を駆使して賢明なる中二病センスを発揮していた悠。胸を張る彼女に店主たちはぽかんと口を開いたままだ。
 邪気さえ感じる豪華絢爛な屋台は『とりさま祭り』のほんわかした雰囲気から離れている――が。
「いいじゃないですか!」
 どこにでも同士は居るもので。悠は胸を張って「そうでしょう」と笑みを深めた。
 その一方で倒された『とりさま』の血抜きや処理を行っていた結は在ろうことか相棒『魔剣ズィーガー』でニワトリを解体していた。
『オイオイオイ。ニワトリ解体する道具じゃねぇぞ?』
 スルー。文句を言い続けるズィーガーに構う事ない結を眺めながらマルベートはこてりと首を傾げる。
「ふうん……良いのかい?」
 獲物のフォークとナイフで解体してもいいけれど、というマルベートにズィーガーが『アイツに任せろ』と大声を上げている。
「大丈夫よ。ざっくりと解体してから、食事の用意にしましょう?」
「ああ、屋台の料理で使いやすいように肉を仕分けしよう。……おっと、少しばかりのつまみ食いくらいは役得として認めて欲しいな」
 切り分けられていくニワトリを眺めながらマルベートがぺろりと舌舐めずりをする。
「手羽とレバーとむね肉ともも肉と……ハラミも頂こうか。生肉を刃の上から直接口に運ぶのが最高の贅沢というものだ」
「美味しそうね。差し入れでとりあえず持って行って……余るなら唐揚げでもしましょうか?」
 眺める結の傍らでアレクシアが「私に任せて」と瞳を輝かせた。書物で読んだ料理は全ておいしそうの権化だ。
「こないだ何かの本で見たんだけど、醤油やお砂糖で照り焼きにした鶏肉を、小麦粉の生地でキャベツとかと一緒にクレープみたいに包んだ感じのものとかどうだろう! お祭りの屋台だから、持ち運びやすい料理がいいよねって事で!」
 アレクシアのレシピに屋台の店主たちが「それはいい」とざわめきだす。とりさま祭りに新名物が誕生と言う事だろうか。
 適当に購入した飲み物を手にしたジェックはユリアンを手招き『くまさんおてて』を眺める。
「……マア、あるなら買オウかな。ナニに使うんダロウ、これ?」
 首を傾げたジェックに食事の必要がないユリアンは彼女の傍らで祭りの喧騒を眺めて『くまさんおてて』を両手で抱える。
「ユリアン、楽シイ?」
「はい! ジェック様も楽しいですか?」
 祭りを楽しみ、満喫しようとジェックとユリアンは二人並んで祭り会場の様子を眺める。とりさまの残した傷跡はちらほらとみられるが、確りと舌片付けと支援でお祭りとして整えることができたというのが実感だ。
 賑わいを増した祭り会場で、周囲を見回す悠がはっと瞳を輝かす。あれほどのとりさまだ。きっと――きっと――
「とりさまのお料理もぜひいただきますわ!
 ………美味しいお肉から強大な力が流れ込んできて……ッ!」
 ――やはり、素晴らしい力を手にする事ができたようだ。気のせいかも……しれないが。

成否

成功

MVP

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。シナリオの代筆を担いました夏です。
 この度は弊社クリエイター都合によりお客様には執筆担当変更のご迷惑をおかけして誠に申し訳ございませんでした。

 MVPは酉様にしっかりと対応&おいしそうだったあなたに差し上げますね。
 皆さまの素敵な冒険がこれからも続きますように。
 楽しんで頂ければ幸いです。

PAGETOPPAGEBOTTOM