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シナリオ詳細

クソザコ返済チャレンジ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●朝起きたら急に借金地獄になってることってありませんか
「ひいいいいいいい!? 嫌嫌嫌嫌嫌イヤですわーっ! わたくしお魚さんの餌になんてなりたくなーいっ!」
 船上クレーンに吊るされてぐるぐる巻きになった『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)が首とドリル髪をぶんぶん振り回して泣きわめいていた。
 こいついつもギリギリだな。
 そんな気持ちで見上げるイレギュラーズたちをよそに、クレーンを操作していた金貸屋ミノザウワーが煙草をくわえた。
「お前が返せねえくらいの借金をこしらえたんだろうが」
「そんなーっ! なにかの間違いですわー!」
 うわーんといいながらじたばたするクソザコ美少女。
 こうなるまでには、話せばながーいワケがあるのだ。
 そう、忘れもしない昨日のこと……。

「ビューティーちゃん! このチョメッケモンゲ像を買うッス! 神の言葉が聞けるッス!」
「本当ですの!? 買いますわ買いますわーっ☆」
「じゃあこことこことここにサインを」

 三行だった。
 話せば短かった。
 あの狂信者、またクソザコ美少女に神の試練(ノーマルレア)を与えたらしい。
「きょうび内蔵もさして売れないからな。膨らんだ借金を返させるために商売にぶち込んでみたんだがまるで使い物にならねえ。むしろ損害が出てこっちの評判に傷が付くレベルだ。
 これ以上は面倒見切れねえから鬼鰹の餌にでもしようかと思ったんだが……よし、こうしよう」
 いくら外道のヤミ金業者といえど得にならないことはしない。
 今更クソザコ美少女ひとりいぢめたところで一円も儲からないのは分かっているので、『損失回収業』としてイレギュラーズに依頼を出すことにしたらしい。
「今更全額回収しようとは思ってねえ。一人一分野ずつ斡旋すればそれなりの額にはなるだろ」
 でなきゃこのまま魚の餌だ。
 そう言って、クレーンの巻き下ろしボタンを押した。
 悲鳴が海にこだまする。

GMコメント

 なんかしらんけど多額の借金を作ったクソザコ美少女に仕事を斡旋してお金を稼がせましょう。
 一人につき長くても一週間程度。ファミレスでも酒場でも肉体労働でも構いませんが……なんだろう、その、一応これ全年齢向けゲームだから……わかってくれるかい? 言いたいこと。

【借金返済プラン】
 PC1人ずつ、クソザコ美少女に仕事を斡旋しましょう。
 自分が普段やってる仕事に付き合わせたり、見つけてきた日雇いバイトに放り込んだりしてください。
 ただしクソザコ美少女は本当にクソザコ美少女なのでちゃんと見ていてあげないとかえって大損害を出してしまいます。
 うまく監督したり、やる気を出させたり、時にはケアをしたりしてバイトさせましょう。
 コツはうまく乗せること。
 コツはうまく乗せることです!(プレイングの肝です)
 
 なお、プレイングに三つも四つも稼ぎ口を書いていくとただのシフト表みたくなってPCの描写がかすみのごとく消えていくので、くれぐれもお気をつけください。ひとつ紹介してつきっきりに面倒を見る、くらいのプレイングが丁度いいのです。たぶん。

【ちゅういじこう】
 大人なプレイヤーの皆様には言う必要もなさそうですが、一応ちょっとだけ注意事項を書き加えます。

・手持ちのものを売らない
 服や家具や家などを売るように命じないでください。パンツや内蔵もです。理由は色々あるんですがやらないお願いします。
・代わりに払ってあげない
 実家が金持ち設定の方やパトロンをもってる方も、クソザコ美少女による自立支援だと思って金銭的な部分に関しては見守ってあげてください。
・殺さない
 ヤバい仕事はさせてもOKですが、殺すと(当たり前だけど)死ぬのでやめてあげてください。

 なお、クソザコ美少女はギフト能力によって大抵の嫌なことやトラウマをサッと忘れて今を生きることができる子なので、その辺は遠慮せずぶっ込んでOKです。そのためのギフトだよ。

【アドリブ度(やや高)】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。今回は内容的にもやや高めのアドリブ度がはじめから設定されています。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • クソザコ返済チャレンジ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年11月24日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Suvia=Westbury(p3p000114)
子連れ紅茶マイスター
サイズ(p3p000319)
妖精の守り手
シュリエ(p3p004298)
【\私は花の騎士さんに怒られました二号/】
悪鬼・鈴鹿(p3p004538)
ぱんつコレクター
ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)
極夜
サイモン レクター(p3p006329)
吸血鬼を狩る吸血鬼
エレオノーラ・クーリッジ(p3p006337)
ぱんつくばり
河鳲 響子(p3p006543)
天狗

リプレイ

●世間はお金で回っているらしい
「流石ね……」
「見事に騙されてんな」
「つまり借金返済のために何でもするの?」
 『百合烏賊キラー』エレオノーラ・クーリッジ(p3p006337)、『吸血鬼を狩る吸血鬼』サイモン レクター(p3p006329)、『ぱんつコレクター』悪鬼・鈴鹿(p3p004538)がそれぞれ腕組み姿勢のままこっくりと頷いた。
 壁際に立って首から『わたしはたくさん借金をしました』というプレートを下げた『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)を見ての感想である。
 借金の回収補助を依頼された身としてはあの手この手で面倒をみてやらねばならないわけだが……。
「チョメッケモンゲ像を買って借金を拵えたんだから、チョメッケモンゲ像を作って売って借金を返せばいいと思うの」
「売れるかねえ……ま、そっちはそっちでやってくれ。内蔵売るよかマシだろうしな。俺は……そうだな、山狩りで売れそうなもんを調達させてみるかねぇ」
「パンツハンター……は向いてないから、鈴鹿が夜のお店に連れて行くの」
「なるほどー……じゃあわたしはお掃除メイドの仕事を斡旋してみますね」
 紅茶をゆったりやっていた『年中ティータイム』Suvia=Westbury(p3p000114)がいつもの何考えてるのかわからない笑顔で言った。
「ビューティフルかつビューティーなお名前なので、きっと向いてると思いますの」
「向き不向きはわからないけど……」
 『隠名の妖精鎌』サイズ(p3p000319)がうーんとくびをひねりながら金槌をまわした。
「鍛冶仕事をいくらか回せるから、そっちで稼がせてみるか。てかビューティーさん、なんか呪われてる? 見かけるごとに酷い目にあってる気がするんだけど」
 サイズが前に見たときはブリッジ姿勢で『僕雑草ムシャムシャ君!』とか言ってた。その後自分も言った。
 よっぽど運が悪くないとこうも面倒ごとに巻き込まれまくりはせんだろう。
「神様は信じるだけ無駄だぜ?」
「うう……お友達が進めるもので、つい……」
 どういう友達なんだろう。
 とは聞かなかった。
 良くも悪くも素直な子なのである。
「あっ、じゃあわらわはドールショップにつれていくにゃ!」
 『リグレットドール』シュリエ(p3p004298)が両手をハイハイって上げて飛び跳ねた。
「客あんまこないけど、人形の手入れをさせてサボ……じゃなくてお仕事させるにゃ」
「みんな決まった? じゃあ俺サカバね」
 『極夜』ペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)が本を開いたままちらりとそちらを見る。
「ふうん? 似たような所になりますけど、飲食店のウェイトレスとかどうでしょうか」
 『特異運命座標』河鳲 響子(p3p006543)がタウ○ワーク広げてとんとんと指でつついてみせた。
「頑張って働いて、お金を貰えるように頑張りましょう!」
「は、はい! お世話になりますわ!」
 借金プレートをぺいっと投げ捨て、クソザコ美少女は諸手を挙げた。

●Suviaメイド道
「この前も言いましたけれど――」
 ザ・優雅な椅子に腰掛け、オシャレなお皿からティーカップをつまみあげるSuvia。
 膝から下がどこでも素足なのは彼女のポリシーなのか、それとも何かの縛りなのか、実は多くの人が知らない。
 Suviaはその不思議と綺麗な素足を組んで振り返った。
「ビューティーさんにはお掃除が似合うと思いますの」
 振り返ってみると、メイド姿(Suvia式メイド服。ゆえに素足)のクソザコ美少女がいた。
「そ、そうなんですの?」
「返事は『イエスマム』!」
「い、いえすまむですわ!」
「そして私のことはお姉様と呼んでくださいね」
「マムなのかお姉様なのかどっちに――」
「くださいね?」
「イエスマムですわお姉様!」
 クソザコ美少女がびしっと敬礼をすると、Suviaは頷いて紅茶に口をつけた。
「お仕事が終わったら美味しいスイーツを差し上げますの。その代わり失敗したらこの箒でお尻をぺんぺんしちゃいます」
 茶葉代のために貴族の顔面を殴れる女Suvia。彼女の握る箒がただの『ぺんぺん』で済まないことは、百も承知である。
「それでは早速。廊下を端から端まで雑巾がけダッシュです。端では軽やかにターンするのですよ」
「イエスマムですわお姉様!」
 クソザコ美少女は濡らしたぞうきんを床につけると、勢いよく走り……そして案の定壁に頭から激突した。
「みゃーん!?」
「…………」
 Suviaは、箒をそっと手に取った。

●鍛冶屋サイズ
 魔剣に分類されるサイズは、人間の冒険者が自らの治療方法を習得しておくのと同じように自らの修復方法を理解していた。
 最悪自分でやらねばならないことから人間ないし妖精の肉体を用いた物理的修復方法も習得しており、その延長上に鍛冶職を能としていた。
「ま、一応専門職だからな。説明する通りにやれば助手程度の賃金は出せるはず……だと思うよ?」
 サイズは歯のかけたナイフや切れ味の鈍った刀などが並べられた部屋へとクソザコ美少女を案内した。
 鍛冶職人っぽい衣服というのは特に無かったので、赤いジャージである。
「やることは色々あるが……とりあえず製造からやってみるか」
 金属を加熱し変形させる。
 古来より剣の作り方は熱と変形である。
 餅をつけば必ず指を折るクソザコ美少女ではあるが、言って聞かせれば以外と普通にこなす子でもあった。
 サイズが小さなハンマーで鉄を叩くたび、相づちをうつように大きなハンマーで叩いていく。
「血とか入れるなよ。何が起こるかわからん」
「は、はいですわ……それにしても熱いですわね」
「そうか?」
 長い間、工房には金槌の音ばかりが続いた。
 リズミカルに続く金槌と炎の音が耳になじんで、溶け込むように消えて、不思議と静かな、静かな、赤くて長い時間だった。

●シュリエのドールショップ
(ふっふっふ、手伝いを雇うとみせかけてわらわだけサボる口実ができたにゃ。監督と言い張っておやつたべていよーにゃー)
「と」
 シュリエは目から光を消した。
「思ってた時期がわらわにもあったにゃ」
「たーすーけーてー」
 ハンディモップをもったクソザコ美少女が大量の糸に絡まって吊るされていた。
 くーるくーるまわるクソザコ美少女を見て、シュリエは黙って腕まくりをした。

「人形のお掃除ひとつできんのかにゃ!」
「頑張ってやってみたんですけれど……」
 しょんぼりするクソザコ美少女。言われたことはやってみるが絶望的に下手、らしかった。
「しょーがねーにゃ。今からやるから、同じようにやるにゃ」
「は、はい。頑張りますわ!」
 一緒にハンディモップをぱたぱたとやるシュリエとクソザコ美少女。
 しばらく沈黙のぱたぱたタイムが続いたが、シュリエがぽつりと話し始めた。
「これはわらわの仲間だからにゃ。つまり意思がある。雑にやると夜中にカタカタ動いてお前の鼻を摘まみに行くにゃ」
「鼻を!? 寝苦しくなってしまいますわ!?」
 慌てて鼻を押さえるクソザコ美少女。
 こいつなんでも信じるな、と思う一方、それなら正しい感性を植えてみるのもいいかもしれない……とも。
 人形の繊細なところ。
 愛情をもって撫でるとよろこぶ場所。
 敏感で性格がドMな人形はくすぐってやるといいという豆知識。
「まー、あれにゃ。ちゃんと愛情持ってやればへたっぴでも逆に応援するのにゃ。わらわもこいつらも楽しい奴は好きだからにゃ」
「そ、そうなんですの……?」
「そういうもんにゃ。好感度あげてくにゃ!」

 これから暫く、お店で寝泊まりしてる間に人形で鼻をつまんだり横で添い寝してたりする悪戯がつづいたという。

●夜の鈴鹿
「パンツハンター鈴鹿のもうひとつの仕事を教えるの」
 きらりと目を光らせる鈴鹿。
「もう一つの……仕事……」
 ごくりといきをのむクソザコ美少女に、鈴鹿は大胆に露出した和服姿で振り返った。
「椿姫として!」
「椿姫として!?」
 同じく大胆な和服を着せられたクソザコ美少女が前のめりになった。
 椿姫。ここでいうとキャバ嬢的存在である。
「それとも春売っちゃう? クソザコ特製パンツ売っちゃう? そっちのほうがパンツハンター的には――」
「椿姫の方でお願いしますわ!」

 こうして、クソザコ嬢が夜の町へと爆誕した。
 伝説のパンツハンター鈴鹿の推薦によってやってきたクソザコ嬢は、早くも伝説となった。
 初日でグラスを割りまくる。酒を客に浴びせかける。シャンパンタワーに頭からいく。
 利益クラッシャー的存在として伝説になり、夜の町から一日で消えた……。
 かに、思われた。
「あらー、そうですの。で、コンセンサスってなんですの?」
 昨日の痛みを朝には忘れているというクソザコ嬢のタフネスは無限だった。
 そのくせ鈴鹿が独自の接客術やコネや魅了のテクニック(これは身につかなかった)を教え込むことで意外とじわじわ学習し、なんだかいつの間にかいっぱしのキャバ嬢となっていた。
 クソザコ嬢のつつくと死にそうな危なっかしさはかえってセクハラを遠ざけ、良くも悪くも素直な性格は客の会話を弾ませた。
「あなたの強みはその馬鹿さとポジティブさ……そこに笑顔が加われば、魅力的な武器になるの。鈴鹿はそれを、分かってたの」
 後に鈴鹿はクソザコをいっぱしに仕立て上げたとして名プロデューサーとして知られることになる。
「椿姫。決していやらし卑しい職業ではないの。お客様に幸せな時間を過ごしてもらう、大切なお仕事なの」

●ペッカートと墓場の番人
「サカバっていったのはなんだったんですの!」
「聞き間違いじゃないのか。『ハカバ』だ」
 ゆらめくランタンを手に墓地へとやってきたペッカートとクソザコ美少女。
「最近でるらしいんで見て回って報告してほしいんだと。出来れば対処も頼まれてる」
「出る……」
「ん? 出るっていったら色々だ」
 きわめてマイペースなペッカートに引っ張られるように、クソザコ美少女は夜の墓場を何日も見回りすることになった。

 ケース1!
「ひい! おばけですわ!」
「今のは風だ。それは顔に見えるだけの木。そんな気にする必要ないって。気楽にいこうぜ?」

 ケース2!
「ひい! たぬきですわ!」
「可愛いのがでたな。キミもモフらせてもらったら?」

 ケース3!
「ひい! 火の玉! うぃるおーうぃすぷですわ!」
「平気だよ。全然熱くないって」

 ケース4!
「ひい! 墓荒らしですわ! スコップもってますわ!」
「キミ囮になってきて。か弱い美少女が追い掛け回されるのは定番だろ? 人気ジャンルだ」

 そんな具合でマイペースの限りを尽くしていたペッカートだが、『本命』が出るとややテンションをあげた。
「あんまり悪意を感じねぇな。そうだ、美少女さんは夜の酒場で働きたかったんだろ? 一杯やろうぜ」
 悪意のなさそうな幽霊が出れば酒でもてなし……。
「まぁ、よろしく。だってキミって伝説のクソザコ太郎・蘇る金髪キュアビューティーだろ? あんな悪霊朝飯前だろ?」
 悪霊がモンスター化して出てくればクソザコ美少女をけしかけた。
 そんなこんなで仕事を終え、見回り賃金を貰ってクソザコ美少女へとパスしたのだった。
「お疲れ様。次の仕事も頑張れよ。……もう借金なんてやめとけよ」
 無理だろうなと、思いつつ。

●山とサイモンとわたくし
「さて、それじゃ行くとするか」
 サイモンは巨大なリュックサックを背負って振り向いた。
 サバイバルキット満載の鞄と丈夫な革でできた登山ルック。
「これ、全部持って行きますの……?」
「帰りは増えるぜ。なんせ山から調達してくるんだからな」
 クソザコ美少女もすっかりクソザコサバイバリスト衣装となり、深い山へと入っていった。

 サイモンがその専門家かといえばそうではないが。
「サバイバル技能くらいはあるんでな。アンタの小遣い稼ぎにはなるはずだぜ。
 特に、ミスっても損害額にならないってのがいい」
 ナイフで木を削りごくごく簡単な罠をつくるサイモン。
 サイモンのスマート(賢い)ところは、激しい戦闘や大きな作戦では使えない程度の簡単な罠をサバイバル知識の延長ないしは工夫によって作り出すところであり、『できないことはやらない』とキッパリ割り切ったところだった。
 たとえば。
「しらねぇ草やキノコは下手に手を出すと死ぬから間違っても食うなよ? 絶対にだぞ?」
「……たべてひまいまひた……」
 顔面蒼白で振り返るクソザコサバイバリストに手刀をくれてキノコを吐かせたりもする。
 狩猟に関しても、専門知識があるわけではない。
 ゆえにサイモンはできる範囲のことをできるだけやるというスマートな教え方をした。
「飛び道具はあるか? 近接に自信があるならともかく、基本は逃げられないように離れたとこから攻撃して仕留めるのがベターだからな?」
 全力で逃げる獣を森で追跡するのはほぼ不可能だ。
 ゆえにこちら側はひたすら待って、そして致命傷を一撃で与えねばならない。
 元々狩猟技術もサバイバル知識もないクソザコサバイバリストにとって、サイモンのスタイルはとてもよい勉強となった。

 結果。
「サイモンさんサイモンさん、ほら、ウサギが綺麗に向けましたわ!」
 こんなに立派なクソザコサバイバリストに。
「……正直やりすぎたな」

●エレオノーラとチョメッケモンゲ像
「はじめに言ったと思うけど、チョメッケモンゲ像にそれだけお金を払ったなら、逆にチョメッケモンゲを作って売ればいいのよ」
 チョメッケモンゲが何かは全然わからないけど……と像を観察するエレオノーラ。
 彼女の目からみて案外まともな美術品であるらしく、これ自体を売ればそれなりの値段は付きそうだった。
 とはいえ負った借金の一割にすら満たないだろう。
 よって、沢山作って売ることにした。
「私が作ってあげるんじゃ意味がないし、まずは上達するまで勉強してみましょうか」
「べ、べんきょうですの? ……わかりましたわ!」
 作務衣にはちまき。年度を前に意気込む女。
 やれと言われればやる女。
 クソザコアーティストの誕生である。

「こんな具合でどうでしょうか!」
「筋がいいわねー」
「これは!?」
「才能を感じるわー」
「こんなチャレンジをしてみましたの!」
「素敵ねー」
 エレオノーラのスタイルは『褒めて伸ばす』。
 調子に乗りやすいクソザコアーティストは褒めれば褒めるほど勢いを増し、気づいた頃には本当に何が何だか分からない粘土の像を作り上げていた。
 エレオノーラがうまいこと乗せた結果なのだが、無限の才能を感じるできばえであった。
「で、これをどうやって売るんですの?」
「そうねえ。ただ売ってもゴ……いらないものになるだろうし」
 元のチョメッケモンゲ像も基本的には信仰アイテム。
 設定をつけて売るのがよい、とエレオノーラは考えた。
「『ペンケナヨチョメッケモンゲを神格化した神の像。ポポポの豊作を祈願して一部地域で作られた。チョメッケモンゲ像から神の声が聞こえて幸福が訪れた、間一髪バイナーラを避けることが出来た、などの話がゴンマサマンナ手稿に残されている』といいましょう」
「なんですって?」
「『神の言葉が聞けます』と言えばいいわ!」
「わかりましたわ!」

 謎の像を頭上に掲げ、幻想の町へ飛び出していくクソザコアーティスト。
 彼女が町中で「神の声が聞こえますわ! この像で聞こえますわー!」と言って走り回った結果、哀れに思った貴族がお金を恵んでくれたという。
 アーティストも一朝一夕には成らず。
 されど努力は実らぬものでもないらしい。

●響子と一緒にウェイトレスを
「さ、残り一週間がんばりましょう!」
「はい! よろしくお願いします! わ!」
 響子と二人してウェイトレスの服装になったクソザコ美少女もといクソザコウェイトレス。
 体つきに恵まれた響子とちがってクソザコウェイトレスはひどくちんちくだったが、レストランにセクシーさは必要ない。
「似合ってますよ! 今日は一段と輝いてます!」
「ほ、ほんとですの!? ふふっ、っとーぜんですわね!」
 調子に乗りに乗ったクソザコウェイトレスは舞うように注文を取り舞うように料理を運ぶ……と思いきや、その全てのターンで必ず転倒するという謎の奇跡をおこしていた。
 が、ここで終わらないのがクソザコウェイトレスであり、諦めないのが響子であった。
 次の日には失敗の痛みをけろっと忘れたクソザコウェイトレスに料理の運び方をキッチリ教え込み、響子は裏方で料理を作ってサポートしてやった。
 響子の料理の腕やメイド力は素晴らしく、働く間に客はもりもり増えた。
 クソザコウェイトレスも失敗ばかりではあったがそれを補って只管に明るかったせいか客足が途絶えることはなく……。
 結果、二人はきっちり稼いで帰ることが出来たのだった。
「どうせなら仕事が終わったら、一緒に打ち上げとして何処か食べにいきたいですねー」
「ワリカンですわね?」
「ええ、ワリカンですよ!」

 ……と、こんな具合で。
 クソザコ美少女の借金はフルとはいかずとも返済することができ、お魚のご飯にならずに済んだという。
 めでたし、めでたし!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

 ――クソザコ美少女がいくつかの仕事を覚えました。
 ――職業適正が『素人』から『見習い』レベルにアップしました。
 ――クソザコ美少女は皆さんに深く感謝しているようです。

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