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シナリオ詳細

継承聖義ジャストライジング

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●受け継がれる聖義
 白馬の蹄を聞け。
 舗装された石畳を駆ける銀の蹄の音を聞け。
 悪を討ち魔を払うというその足音は、白銀の騎士によって打ち鳴らされる。
「急げ、ジャスタリオン!」
 馬上で身体を乗り出す騎士は、白い法衣と銀の軽鎧。そしてフルフェイス式の兜によって覆われていた。
 向かうは天義ファング教会。建物が近づく中、騎士は鞍の上に立ち乗りすると豪快に跳躍。
 美しいステンドガラスをクロスアームで破壊すると、教会屋内へと突入した。
 ヘルメットの内側から見えたものは三つである。
 悪魔めいた強化外骨格で武装したスケイウェザーの悪鬼兵たち。
 聖剣を手にして膝をつく血まみれの神父。
 その後ろに庇われた教会孤児院の子供たち。
 その三つだけで、『彼』の心はまばゆい聖義の光に満たされた。
 神父が、子供たちが、そして悪鬼兵たちもが振り返り、『彼』の名を呼んだ。
「ジャストライジング!」
 割れ降るガラスを背に、赤い絨毯の上を転がる法衣の騎士ジャストライジング。
 悪鬼兵と神父たちの間に割り込むと、腰から抜いた聖銃ジャストレイガンを構えた。
「神父、遅くなりました! 子供たちを早く……!」
 ここはまかせろ。そう背中で語るジャストライジングに、神父は強く頷いて子供たちを逃がしにかかった。
 悪鬼兵はその悪魔めいた鎧をガチガチと鳴らした。
 触れただけで鉄をも切り裂く魔術爪。
 恐ろしい眼光を放つ悪魔の仮面。
 全身を覆う骨めいたフレーム。
 胸に怪しく光る宝石は呪いの力を秘めていた。
 そんな強力な兵隊が実に10人。ジャストライジングを取り囲むようにゆっくりと飛行しながら広がっていく。
「聖鎧を再利用した程度で我ら悪鬼兵に勝てるとでも思っているのか? ジャストライジングよ」
「受け継いだのは鎧だけではありません!」
 ジャストレイガンを折りたたんで持ち変えると、銃身から赤い刀身を展開する聖剣モードへと変形させた。
「私が受け継いだのは、力と魂、そして正義の志です!」
 くるりと剣を回し、応戦の構えをとるジャストライジング。
「さあ――悪鬼兵たち。その命、神へ回帰せよ!」

●正義を受け継ぐ者たち
 血まみれで走る神父。
 彼は道ばたに倒れ、孤児たちに支えられるようにして起き上がった。
「いかん。このままではデッドバタリオンに教会が……町が……」
 聖剣を握りしめ、自らも加勢に戻ろうとする神父。だが既に、満足に立ち上がれすらしなかった。
 自分を、子供たちを庇うように逃がした教会騎士ジャストライジング。
 彼を犠牲にしてしまうのか。
 また、犠牲を生んでしまうのか。
 無力への悔しさに歯を食いしばった、その時。
「――」
 八つの影が、神父の前に立った。
 振り返る神父。
「あなた方は……ローレットの……」
 神父は意を決したように、自らのロザリオや手持ちの金貨全てを突きだして言った。
 血にまみれた金貨が、『あなた』の手に握らされる。
「あなた方に依頼します。彼を……ジャストライジングを助けてください!」

GMコメント

【オーダー】
 成功条件:ジャストライジングの生存
 オプションA:悪鬼兵10人の撃破
 オプションB:?????

 ファング教会内で戦闘中の騎士ジャストライジング。
 彼に加勢し、デッドバタリオンの悪鬼兵たちと戦います。
 現地までの到着時間はほぼノータイムとして扱いますが、偵察や根回しなどを行なう場合は到着が遅れるものとします。

【デッドバタリオンの悪鬼兵】
 スカイウェザーで構成される兵隊たち。
 ひとりひとりが高い戦闘力をもっており、PCと互角に戦うだけのパフォーマンスを発揮する。
 装備は強化外骨格。悪しき魔力を纏った悪鬼のごときフォルムから、彼らは悪鬼兵と呼ばれている。
(※以前目撃されたものより武装が強化されている模様)

・現在の個体数
 10人
 長時間戦っていると増援がやってくる可能性あり。そうならないためには短期決戦を要する。

・スペック
 神秘攻撃力、HP、回避にすぐれる。
 個体戦闘力はイレギュラーズたちと競えるレベル。
 武装が統一され訓練もしている様子なので戦術レベルが高い。

・主な攻撃方法
 魔法爪(神近単【弱点】):魔法で生み出した悪魔めいた爪が相手の装甲を貫いて切り裂く。
 悪鬼砲(神超貫【万能】・威力大):悪鬼兵版の魔砲
 自己再生(補填100再生100・パッシブ)

【ジャストライジング】
 ファング教会に所属する天義教会騎士。
 先代騎士ジャストレイサーから受け継いだ聖鎧を改造した『ジャストライジング』を纏って戦う。本名は分からないためそのまま聖鎧の名前で呼ばれている。
 武器を聖銃モードと聖剣モードに切り替えて戦うオールレンジファイター。
 能力は平均的でレンジ0~4までまんべんなくダメージを稼げるのが強み。

参考:『聖義戦士ジャストレイサー』
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1017

【ファング教会】
 今回の戦闘の舞台。
 一般的な結婚式場のチャペルを想像すればOK。
 木製のベンチが並んでおり中央に赤い絨毯がひかれている。
 余談だがガラスはさっきかち割られた。
 どこからどう侵入してもいいが、表、裏口、割れたステンドガラス面の三箇所がある。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 継承聖義ジャストライジング完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月22日 21時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ナーガ(p3p000225)
『アイ』する決別
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ウォリア(p3p001789)
生命に焦がれて
神埼 衣(p3p004263)
狼少女
ケイド・ルーガル(p3p006483)
コロナ(p3p006487)
ホワイトウィドウ
時裏 結美(p3p006677)
妹『たち』の献身
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者

リプレイ

●聖義は受け継がれる
 タクティカルグローブをはめ、ゆっくりと拳を握り込むケイド・ルーガル(p3p006483)。
「特撮だなんだって言ってる場合じゃねえ。このままじゃ、『先代』に合わす顔がねえんだ……」
 ケイドの拳の中には血まみれのコインがあった。
 助けを請う神父の顔と、かつて見た騎士の後ろ姿が記憶の中でラップする。
『なるほど……』
 『終焉の騎士』ウォリア(p3p001789)はがしがしと走りながら頷いた。
 ウォリアの本来持っている凶暴性やその本質と天義もとい教会騎士ジャストライジングの思想が根本的に遠いところにあることからの頷きだったが、こういうときにはローレットの条約が役に立った。
『オーダーは受理された。人の信仰と、護るべき意思を継ぐ戦士へ懸けられた想いを汲み取ってな。悪鬼を焔で焼き払ってくれよう……』
 炎があがるかのように現われた剛剣が鞘に収まった状態で握り込まれる。
「ジャストレイサーの遺志、か。立派なヒーローじゃねえか」
 ケイドから話を聞いた『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)がばしんと拳を鳴らした。
 腰にさげたリボルバー拳銃と銃剣ががちりと音を鳴らす。
「今ヒーローを救えるのは俺たちしか居ない。今度は守り切ってみせるぜ」

 教会までの道のりはそう長くは無い。
 大斧をかついで走る『はーれむ・ますたー』ナーガ(p3p000225)がギザギザの歯をむき出しにした。
「ジャストライジングさんが、ヒンセイのないヒトたちにアイされちゃうー! アイっていうのはココロをこめなくちゃならないんだよ? だからジャストライジングさんはここでアイされちゃダメなの! もったいないよ!」
 ナーガのきわめて独特な感性に頷くのを躊躇しつつも、『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)は現状を自分なりに理解していた。
(私は、ここには初めて来たから先代の人とか、国の事情とか、わからない。でも目の前に、子供を助けて死のうとしてる人と、彼を殺そうとしてる、人がいるなら)
「助けない理由は、ないよ」
 銀色の目を細め、走る速度を上げるアイリス。
 そんな様子を横目に、『狼少女』神埼 衣(p3p004263)はくわえていた煙草に走りながら器用に火をつけた。
(ん。とりあえず助けて欲しいって事は分かった。守るだけは苦手。だから敵を倒して守る……と)
「まずは有利を取るために奇襲する。三つに分かれよう」
「賛成です」
 『ホワイトウィドウ』コロナ(p3p006487)が聖なる儀礼剣を強く握りしめる。
「デッドバタリオン……許せません、天義の民の名のもとに、断罪します」
「そうだね、許せないね!」
 時裏 結美(p3p006677)が目を大きく見開いて言った。目の中央にいびつな五芒星が浮かんだが、そんなのは些細なことだ。
「お兄ちゃんのピンチに駆け付けるのは妹の嗜み! 待っててね、『お兄ちゃん』!」

●窮地
 悪魔めいた強化外骨格から放たれる魔術の爪撃が、ジャストライジングの聖鎧に炸裂した。
 鎧に込められた防御術式と爪の破壊魔術が拮抗し、激しいエネルギースパークとなって吹き上がる。
 それでも殺しきれなかった衝撃に吹き飛ばされたジャストライジングは教会のベンチにぶつかって転がった。
「くっ……75号さんのように戦えれば……やはり、僕には……」
 立ち上がろうとするも継続するスパークによって膝を突く。
 悪鬼兵たちはベンチの上を浮くように飛行すると、膝を突くジャストライジングを円形に取り囲んだ。
「一人で残った勇気は褒めてやろう」
「褒美として貴様の死体を教会のシンボルに打ち付け掲げてやる」
「魔に感謝し、死に耐えるがよい!」
 悪鬼兵たちの胸にはめ込まれた闇色のオーブがエネルギーを集中させる。
 ジャストライジングのヘルメットアイシールドに光が反射する。
 と、その時。
「アイは――」
 ぎらりと光る真っ赤な目。
 破壊され開放された教会の正面扉に、斧を引きずる巨躯があった。
「アイは――!」
 本能で危険を察した悪鬼兵は咄嗟に振り返り魔術爪を防御姿勢に翳す。
「アイはァ――!」
 獣の如く飛びかかったナーガの斧が、防御の上からきわめて強引に叩き込まれる。
 浮遊状態にあった悪鬼兵が強制的にたたき落とされ、木製のベンチを粉砕する。
「貴様、何者だ!」
「妹だよ!」
 両腕を大きく広げた結美が両目を大きく見開く。
「助けに来たよお兄ちゃん!」
「なっ……僕に妹は居ないはず。この感覚は一体……」
 思わず振り返ったジャストライジング。結美は剣を片手に悪鬼兵へ飛びかかると、妹力で無理矢理殴りつけた。
 悪鬼兵がろくな抵抗をできないのは、コロナがマリオネットダンスによって悪鬼兵を拘束しているからだ。
「天義の神の名のもとに助太刀に参りました。悪鬼の兵よ、断罪の刃を受けなさい」
 魔力銃のセーフティを解除し、なんとか浮き上がろうとする悪鬼兵に狙いをつけるアイリス。
 カースドシューターでの射撃が悪鬼兵へと命中していく。
 集中攻撃は集中してこそ意味がある。
 この段階において、攻撃の利はこちらにあった。
「しかし所詮四人加わった程度。この悪鬼兵装を打ち破るほどではなかったな!」
「それはどうかな」
 ケイドの声。それも背後。割れたステンドガラスの縁にあしをかけ、機関銃を構えたケイドである。
「確かに先代の遺志は継いだかもしれねぇけど、自分はそれだけでよ……その鎧を継いだのはジャストライジング、アンタだけだろうが! ただの練達市民に聖義だの何だの、ンな重っ苦しいモン二度も継承させんなァ!」
「あなたはまさか……!」
 咄嗟にその場から飛び退くジャストライジング。ケイドはそうして開いたラインを正確に見極め、円形に囲んでいた悪鬼兵たちを一度に打ち抜いた。
「囮に陣形が集中してる間に背後からまとめて撃つ。こいつはいい手だな」
 強さとは力ではない。技と心がそろってこその強さである。武器や技術はその実現手段にすぎないのだ。これは、その強さが実現された形の一つである。
「――!」
 窓を飛び越えて協会内へと着地するウォリア。
 剣の柄に手をかけると、慌ててこちらへと振り向く悪鬼兵たちをすり抜けて損傷状態にある一体へと炎の斬撃を繰り出した。
 ウォリアの鎧から吹き出す熱気がそのまま炎となり、剣を伝って悪鬼兵の強化装甲を破壊する。
「ぐおお……!?」
 吹き上がる火花。このときやっと、ないしはついに、悪鬼兵に焦りの表情が生まれた。
「まずい、この場は――」
「逃がさねえよ」
 正面入り口からみて奥側面。裏口にあたる扉がいつの間にか開かれていた。
「おめえはここで終わりだ」
 扉に足をかけて開いていたジェイク。
 銃口は既に向いていた。狼のレリーフがきらりと光、大口径の銃口より弾が発射される。
 それとほぼ同じタイミングで突っ込んだ衣が刀を繰り出しながら悪鬼兵の横を駆け抜けていった。
「しまった、供給装置が……っ」
 激しく吹き出すエネルギーの火花。
 振り抜いた刀をゆらりと返し、衣はその姿を振り返った。
「うまくいった」
 断末魔とともに爆発を起こす悪鬼兵。
 すべてを灰に変えたその死に様に、衣は無感情に煙を吐いた。

 ボクシングのパンチに無数の種類と技術があるように、集中攻撃にも種類と技術が無数にある。
 今回の方式は三つ以上に分けた別々の方向から一斉攻撃を仕掛けるというもので、まず正面から攻め込むことで敵チームに損害を一旦許容させ、しのぎきったと思わせて背後から奇襲。緊急対応を迫る一方で側面からトドメをさし数的有利を奪うというものだ。
 初手での集中攻撃は定石だし当然のように思えるが、全弾確実にヒットさせなければただこちらの手を晒し敵に対応の自由を与えるだけになってしまう。それゆえ、奇襲に奇襲を重ねる工夫や陣形の裏をかく必要があるのだ。
 特に屋内戦闘かつ侵入口が複数ある今回は、その作戦に向いていた。
 また、決定的な統率者をもたない悪鬼兵たちの迷いを誘うことにも適している。
 三方向から攻め込んだイレギュラーズはそれぞれで遠近二人組が作られており、悪鬼兵としては悪鬼砲による貫通攻撃を狙いやすい並びになっていた。
 ナーガやウォリアは味方の射線に被らないようにすることで立ちどころでの悪鬼砲を防いでいたが、それは逆に移動後に悪鬼砲を打ち込むことを誘っているとも言える。
 また悪鬼兵は能力的に敵に接近してもデメリットがないので悪鬼砲をここぞとばかりに打ち込みに行くが、狙い目が複数同時に存在したためにうっかり狙いが三つに分散してしまったのだ。
 といっても悪鬼兵への集中攻撃にリソースをさくためブロックやマークをしておらず、いつでもどこかのラインを攻められる状態なわけだが、よほど愚かに整列でもしないかぎりは(敵も味方も)そう簡単に何人もいっぺんに攻撃範囲に巻き込めないものなのでそこは安心できた。
 むしろ、遠距離攻撃チームをあえて三箇所に大きく分散したことで貫通攻撃のラインを極端に減らすことに成功していた。
「ジャスト……なんとかさん」
「ありがとうございます。助かりました!」
 ジャストライジングは武器を聖剣モードに持ち帰ると、光の剣を構えて衣と並んだ。
「悪鬼兵たち。いまいちど――その命、神へ回帰せよ!」
 狙いが一度は分散した悪鬼兵へ、ジャストライジングと衣が同時に斬りかかる。
 魔法爪でそれぞれを受ける悪鬼兵に、ナーガが背後から組み付いた。
 否、悪鬼兵の後頭部を左手で掴んだだけだ。
 だけだが、みしみしと音をたてついには悪鬼兵の頭を破裂させてしまった。
「アイは、ココロをこめなくちゃあ」
 くうるりと振り返るナーガに、悪鬼兵は恐怖の表情を浮かべた。
 悪鬼砲を乱射し、ナーガたちを追い払おうとする悪鬼兵。
 こうした攻撃の前には味方を庇うのは逆効果になる。ナーガはあえて集中攻撃に晒されることで間接的にジャストライジングたちを庇った。
 攻撃の威力とナーガの防御力ではむしろ回復は邪魔になる。
 コロナは別の仲間へのヒールオーダーに集中しつつ、キッと悪鬼兵たちをにらみ付けた。
 天義の教会や騎士を襲うデッドバタリオン。
 それが天義に生きるものでなくとも、排除すべき敵である。
 教会の重要性を知るコロナにとってはなおのことだ。
「魂さん。魂さん。ジャストライジングさんを、助けたいんです。だから……」
 アイリスが周囲の目に見えぬ魂たちに呼びかける。
 本来ならさしたる効果を示さないこの行為だが、こと今回においては実際的な効果を示した。
 精神性を重視する天義の、それも最も霊的かつ思念的なものが集まりやすく、そのうえジャストライジングたちにきわめて好意的であり、かつデッドバタリオンに敵対的な思想が最も強く集まる場所だ。それはコロナの反応を見ても明らかで、教会の中に生まれた目に見えぬ何かがデッドバタリオンの足を強く引いた。
 要約するに、珍しく『場と状況に合った』のである。
 アイリスの話す死霊弓が悪鬼兵へと突き刺さる。
 反撃に必死になる悪鬼兵を更にかき乱すように、窓側から機関銃での射撃を加え続けるケイド。
「今度は死なせねえ!」
 特殊弾を残らず撃ち込み、通常弾に切り替えていくケイド。
 こういう時反応速度があれば集中攻撃補正を助ける意味を付与できて有利なのにと思うが、人はいつも手持ちのカードでしか戦えない。ゆえに手持ちのカードの中で最も強いコンボを、味方とつなげて生み出すまでだ。
 ケイドの銃弾を魔法爪で防御していく悪鬼兵。
 自己修復能力で傷口を治そうとする所へ、結美が背後から蹴りつけた。
「お兄ちゃん、今だよ!」
「はい――!」
 その場から動かずに武器を聖銃モードへ持ち替えたジャストライジングが悪鬼兵へと全力攻撃。
 速度をあげた衣が急接近をかけて刀を突き立てた。
 再生能力を上回るダメージに膝を突く悪鬼兵。
 ジェイクは裏口の扉と壁をうまいこと射線を遮る壁に使いながら銃撃を加えていたが、チャンスとみて即座に突撃。
 銃に装剣しガンナイフモードへと変えると、反撃に衣たちを切り裂こうと腕を振り上げた悪鬼兵の背中にそれを深く突き刺した。
「ぐっ……!?」
「悪いな。いただきだ」
 突き刺した状態のまま銃を連射。
 零距離から鉛玉を大量にうちこまれた悪鬼兵は大爆発を起こし、ジェイクと衣は大きく飛び退いた。
「い、一体なんだというのだ。天義の民でも騎士でもない貴様らが、なぜこの戦いに首を突っ込む!」
「建前としては依頼を受けたから、だが」
 ジェイクはにやりと笑って振り返る。
「ジャストレイサーの遺志を継ぎ共に聖義を貫く者! 俺達はイレギュラーズ。否、ジャストライジングだ!」
「……」
 ウォリアが剣を垂直に構えた。
『それは、俺も入っているのか』
「ええ、きっとそうでしょう」
 真横に立ち、同じように剣を構えるジャストライジング。
「この名は聖なる鎧の名前であり、力の名前です。目的を一つにして戦う今――あなたもまた、ジャストライジングです!」
『……いいだろう。今だけだ』
 ウォリアの内側から吹き上がる熱気が炎と化し、剣を渦巻くように膨らんでいく。
 それはやがて炎の竜となり、剣を振ると同時に悪鬼兵へと放たれた。
 ジャストライジングの振り込む剣の光と合わさったそれは、巨大な竜となり悪鬼兵を飲み込んでいく。

 やがてデッドバタリオンの援軍がやってくる。
 教会を一旦引き払い、手早く撤退する準備を進めていく。
「いいのか? この教会を守っていたのでは」
「構いません。生きている限り、もう一度戦える。デッドバタリオンは必ず倒して見せます。ですが、それだけじゃない」
 ジャストライジングは深く頷き、そして美しい色のメダルをイレギュラーズたちに手渡した。
「あなたがたが窮地に立ったとき、きっと私は駆けつけるでしょう。一度聖義を交わした、仲間として!」
 鎧を纏った白馬ジャスタリオンへとまたがり、ジャストライジングは手を翳した。
「では、またいずれ!」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

 ――ジャストライジングの生存フラグを確認しました
 ――ジャストライジングとの交友フラグを確認しました

 ――デッドバタリオン編が解放されました

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