シナリオ詳細
突如現れるぬめった長い生物!?
オープニング
●忍び寄るぬめぬめども
海洋といえば、その名の通り目の前に広がる海が印象深い地。
日々の仕事、食事など、この地に住む人々の生活にも海は深く密接している。
例えば、海に面したとある倉庫街。
この近辺で働く人々は、常日頃から潮風にさらされている。
内陸部に住む人からすれば、べとべとになりそうだと感じるかもしれないが、海洋に住む飛行種や海種は慣れっこで別段気にも掛けない。毎日お風呂に入る楽しみが増えるだけ、むしろプラスとすら考える者だって少なくない。
「お仕事終わった~♪」
夕方となり、この近辺で事務を行う若い海種の女性はにこにこしながら仕事場を後にし、海沿いの道を歩いて帰宅の途につく。
鼻息交じりに、今日のお風呂に入れるものを考える彼女。
あれこれ入浴剤を取り揃える女性は、その日の気分でお風呂に入れるものを変えている。
今日は、炭酸風呂などいいだろうか。いや、牛乳風呂にしてお肌をすべすべに……。
そんなことを考えている女性の後ろから近寄る、長い物体。
夕闇の中でそれは素早く近寄り、彼女に襲い掛かる……!!
「きゃっ、何っ……!?」
身体を這いずるぬめぬねとした感触に、女性は抗おうとする。
その長い何かは次々に襲ってきていた。ぬめぬめした長いものは複数いるらしく、女性の体へとしつこく纏わりついてきた。
そして、遠くからその様子を見つめるさらに巨大な生物。赤く目を光らせ、大きな口を開いて喰らい付こうとしてくる。
「きゃあああああっ!!」
女性は悲鳴を上げ、なんとかぬめぬめを振り払ってその場から逃げ出したのだった……。
●それはぬめって長いらしい
昼間に、海洋を訪れたイレギュラーズ一行。
幻想のローレットで、先に現場へと向かって欲しいという依頼があり、こちらへとやってきたのだが……。
「み、皆さん、こんにちは」
そこに現れたのは、水色のウェーブヘアを潮風で揺らす『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)だった。
海洋はアクアベルの故郷でもある。情報屋として活動する上で、この地は彼女にとって最も情報収集しやすいのだろう。
さて、そんな彼女はメンバーを直接現場に案内するとのこと。
「実は、港周辺に現われたある生物が魔物となって、悪さしているそうでして……」
なんでも、海の近くにいる人々を、ぬめぬめした長いものが襲ってくるのだという。
ある者が言うには、それは5、60センチくらいのぬめったなまこのようなもの。海辺の道を歩く若い女性へと集団で襲い掛かり、全身をぬめらせて体力を奪ってしまうのだとか。
また、別の者が言うには、全長4mくらいの巨大ウツボで、素早く距離を詰めて喰らい付いてくるという。強靭な牙とアゴを持つ為、一度食いつかれると肉ごともって行かれる恐れのある危険な相手なのだとか。
「どちらの目撃情報もありますので、おそらく両方現れるのだと思います」
一度に現れるのか、それとも同時に……。いずれにせよ、気をつけて対処したい。
集中して証言があるのは、海に面した倉庫街。
海から現れる可能性が高いが、倉庫近辺に潜伏する可能性もあるので、注意しながら歩くといいだろう。
現場周辺の倉庫街にほとんど人が寄り付かなくなっている状況もあり、アクアベルが現場まで案内することにしたらしい。
「至らぬ点もありますが、どうぞよろしくお願いいたします」
彼女は丁寧に頭を下げ、イレギュラーズ達を連れて歩き始めたのだった。
- 突如現れるぬめった長い生物!?完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年11月16日 21時30分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●女の子を襲う魔物?
海洋に訪れたイレギュラーズ達はアクアベルの案内の元、現場となる海沿いの倉庫街へと向かう。
「やれやれ、巨大ななまこにウツボだなんて、面倒な魔物も居たものですわねー」
途中で、赤い十字架を教派とする司祭、『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が毒づく。
「ナマコみたいなのとウツボね。被害も出てるし、ほっておくのもあれよね……」
人型の氷精霊である旅人、『浄謐たるセルリアン・ブルー』如月 ユウ(p3p000205)は海洋の海を見渡して言葉を続ける。
「場所も場所だし、これ以上被害が増える前に何とかした方がいいわね」
「被害が広がらんうちに、敵さん倒すのが間違いないんやろうけど……」
海賊帽を被り、肩にぬいぐるみをのせた少女、『【魔法艦長】クベリア』クレメンティーナ=ニキートヴナ=スィビーリヴァ(p3p001800)は何か思うことがあるのか、唸りこむ。
「しかし、ナマコの方、粘液だか何だか知らないけどぬめってるのよね……」
そう考えるユウは小さく溜息をついてしまう。
巻きつかれるのが嫌だと言っても、討伐に当たってはある程度覚悟せねばならない。
「なまこの弾丸は何から出来ているのかしら」
背に黒い羽を持つ少女といった外見の、『灰譚の魔女』エト・ケトラ(p3p000814)が疑問を抱く。
情報によれば、なまこが何かぬめった弾を発射することがあるという。エトのいた世界であれば、それは何らかの分泌物や排泄物で出来て……。
「……嫌でも分かるわね、ええ」
そんな想像は難くなく、エトは事前にタオル、石鹸、香水などを用意していたようだ。
ウツボはともかく、襲い来るぬめぬめのなまこ。
クレメンティーナはふと、なまこはしばらく活躍してもらう展開の方が視聴率は取れる気がすると考えかけて。
「……はて、ウチは一体何を?」
視聴率が何なのかツッコミどころ満載だが、当の本人はそんな自らの思考に疑問を抱いていた様子。
「海沿いを歩く女性を襲う魔物だって?」
チームに、男性は2人。半身を魔物と化した『影刃赫灼』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)は、女性にとって難儀な相手だと感じていたようだ。
「女の子を狙う魔物か……昔からいるよね」
誰もが目を引く美少年といった容姿の『特異運命座標』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)はそんな主観を交えつつ話す。
本能的に弱い相手と察して狙うのか、はたまた単に女の子が好きなのか。ウィリアムは相手の行動原理を考えていたが、途中で思考を止めた。
「……いや、どっちでもいいか。迷惑な事には違いない」
「まぁ、一つ退治と行くか?」
「女の子達がこの辺りを安心して歩けるように掃除を頑張るとしようかな」
クロバ、ウィリアムが討伐に意欲を見せると、なにやら笑い声が聞こえる。
「イッヒヒヒ。女ばかり狙うなんてイイ趣味してんじゃねーか」
「女性ばかり襲ってるなんて、厭らしい敵ね」
それは、ポニーテールとした銀髪を揺らす『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)から響く声。
正確には、結が担ぐ魔剣ズィーガーが喋っているらしく、彼女と会話すらしていた。
「これ以上の犠牲者が出ないよう、徹底的に退治してやるわ!」
意気込む結の後で、ヴァレーリヤがげんなりしながら一言。
「どうせなら、吟遊詩人の冒険譚にでもなりそうな、もっと格好いい魔物が出てくれないものかしら」
だが、この無辜なる混沌に、ヴァレーリヤが思い描くような魔物はそういないのかもしれない。
●ぬめぬめ出現!
イレギュラーズ一行は、現場となる倉庫街へと差し掛かる。
事件が頻発している影響か、ほとんど近辺の住民が立ち寄ることもなく、人気もない。
片側が倉庫が立ち並び、もう片側から海風が吹きつけてくる道。
女性メンバーが囮となり、敵の出現に備えて固まって歩く。
彼女達を追い、クロバは光翼型飛翔器『ディザイア・フリューゲル』を使い、倉庫の屋根へと飛び乗って移動する。
ウィリアムもまた女性メンバーの邪魔をせぬよう倉庫の間を進みつつ、ファミリアーとして呼び出した海鳥を使って空から女性陣を見守っていた。
「まあ、何処から来るか分からない以上、いいんじゃない?」
これなら不意打ちを受けてもある程度対応できそうだと、ユウは考える。
また、ユウの依頼もあり、戦いやすそうな場所をアクアベルがいくつか提案するが、倉庫街を往復して巡回する間にうまくその場所におびき寄せられるかは状況次第といったところ。
そんなアクアベルの無事も気がけたいとこのことで、メンバー達は彼女を守れるような位置取りも心がけていたようだ。
敵の出現を警戒し、ヴァレーリヤは周囲を見回す。
エトもまた海鳥を召喚し、時折感覚共有して敵の位置を割り出せないかと周囲を確認する。
クレメンティーナは本体であるぬいぐるみが不自然にならぬように、男性2人の無事もチェックする。
「しかし、こんなに他に女が多いと、お前を狙ってくる奴なんていないかもな?」
笑う魔剣ズィーガーを結があしらう様子に、ユウがふとこんなことを口にする。
「しかし、何で女性を狙うのかしらね」
「ナマコの癖にどう判断しているのかも気になるのよね。匂い? 体温?」
結もまた気になる疑問を投げかけると、白い髪をツインテールにした白猫の獣種、『しまっちゃう猫ちゃん』ミア・レイフィールド(p3p001321)がこれまでの事件についてこう語る。
「今の所……被害者は女の子しか確認されてない……の」
そして、お風呂好きな女性を狙った1件から、匂いに反応したのではと分析する。
「すぐ汚れちゃうだろうけど……、綺麗綺麗しておいたの」
石鹸の匂いを漂わせるミア。可愛いオーラを放つ彼女はさらに、エネミーサーチで敵を探査も行う。
突然、海から現れるいくつもの物体。それらが女性陣を襲おうとしたが、ミアの察知が早い。
「ミアに不意打ちは無効……にゃ。ぬめぬめにされ切る前に……殲滅……なの!」
皆、一斉に敵の出現を察して身構える。
ウィリアムはクロバの姿が見えないことを気にかけながらも、女性メンバーを助けるべく倉庫から海沿いの道へと出て、スキルが届く位置まで接敵していくのである。
●ぬめぬめの後ろから……
残念ながら、相手は戦いやすそうな場所では狙ってこない。
比較的、幅のない道。メンバー達は海側を見る形で、7体のなまこを迎撃する。
唯一、クロバは身構えてはいるが、自身の狙う本命がまだ現れぬこともあり、屋根の上で警戒を強めていたようだ。
それを気にかけるウィリアムも、魔導書『ノーワイズ・ノーライフ』を広げて目の前の長い物体へと仕掛けようと動いていく。
最初になまこを迎撃するのは、女性メンバー達。
奇襲に警戒していたこともあり、イレギュラーズ達の動きは速い。
「ほらほら、纏めて掛かってきなさい」
前面に出た結は魔剣を叩いて音を出し、相手を挑発する。
「油断すんじゃねーぞ」
魔剣ズィーガーが注意を促すと結は小さく頷き、地面を跳ねるように近づく敵を引き付ける。
持ち前の反射神経で相手の襲撃に気付いたミアはアクアベルを背に隠れさせ……ミアの方が小さく、隠れきれていないのはさておき。
ミアは自由なる攻勢に備えてから、殺意を込めた弾幕のプレゼントをなまこどもへと浴びせかけていく。
同じく、クレメンティーナもアクアベルを守るようにして立つ。
「おっと、まずはうちの相手してもらうんよ。アクアベルさんに手は出させんのやよ!」
「元から、手はない相手やけどね」
と、本体のぬいぐるみがツッコミを入れる中、クレメンティーナは拳に魔力を纏わせて直接なまこをぶっ飛ばしにかかっていく。
「いっきますわよー!」
結に近づくなまこどもへと、ヴァレーリヤも魔術戦用メイス『天の王に捧ぐ凱歌』を向けて聖歌を歌う。
『主よ、天の王よ。この炎をもて彼らの罪を許し、その魂に安息を。どうか我らを憐れみ給え』
すると、メイスの尖端から炎が噴き出して。
「これでも喰らえーーー!!」
ヴァレーリヤの声と共に濁流のごとき炎は一直線に放たれ、なまこ数体を焼き払う。
しかしながら、思った以上になまこはしぶとく、煙を上げつつもなおイレギュラーズ達へと近づいてくる。
「氷結であの粘液を凍らせないかしらね」
敵のぬめりを警戒して、僅かに浮遊していたユウ。
彼女はブレスレット型の魔導具『雪華』と、氷精霊としての権能を開放し氷のスキルを行使する。
ユウの前方に無数の氷の結晶が生み出され、それらが一斉になまこ達へと襲い掛かる。
「遠慮せず、凍り付くといいわ」
鋭く尖った刃のような氷はなまこの身体を切り裂き、だらりと中から体液が漏れ出す。
それでも、なまこどもは徐々にメンバーへと近づき、前線の結をメインに体へと飛び乗って這いずり始めていく。
「くっ……このっ……!」
「んにゃっ!? ミアの自慢のふあふあ毛並が……」
抵抗する結と共に、彼女の挑発の対象から漏れた敵にミアも飛び掛られていて。
「気持ち悪い……離れる……の!」
嫌悪感もあり、全力で抵抗するミア。
彼女は愛用のバッグから取り出した白猫型の特製爆弾を起爆させ、強引にその場から逃れていた。
ウィリアムもまた一条の雷撃を発してなまこを攻め立てていたが、絡まれる女性メンバーを気がけ、青い衝撃波を放ってなまこだけを吹き飛ばそうとする。
「精神は先に崩壊しかねないけど……気持ち悪いわね、このぬめり!」
エトが多少苛立ちも見せつつ、絡まれる仲間の為に柔らかな癒しの光を放ち、なまこのぬめぬめを振り払わせる。
なまこがメンバーの体力を吸っていることもあり、スペルブック『ハイ・グリモアール』を手にしたエトは、体力回復にも当たっていたようだ。
心配そうにメンバーを気遣うアクアベルが怪我をしないようにと、ウィリアムが注意を払っていたその時だ。
さらに、海から現れる巨大な影。全長4mはあろうかというウツボだ。
ここぞとそいつの真上から現れ、異形と化した左腕で相手の胴体へと魔爪を浴びせかける人影が。
「――真打登場ってやつだ。まぁ、確かに華があるやつには巻き付きたくもなるんだろうがね……」
颯爽と現れ、着地したクロバ。胴体を傷つけられたウツボは痛みにのた打ち回り、目を爛々と光らせて彼を睨みつける。
「悪いがそれもここまでだ。死神クロバ=ザ=ホロウメア、参る!」
『黒刀・夜煌竜一文字』に手をかけた彼のカッコいい登場シーンを見守りつつ、ウィリアムも敵の殲滅へとさらに力を強めていくのである。
●一気に殲滅を!
近づいてくるなまこは主に結が引き付けてくれはするが、それでもある程度はバラけてしまい、各メンバーの体へと這いずっていく。
なまこに気を取られる女性陣らが無防備と感じたのか、大きく口を開いてにじり寄ろうとするウツボをクロバが盾役となって食い止める。
その噛みつきで腕を食われる彼は流血しながらも、さらに攻撃を浴びせかけていく。
「ヌメってようが、刃が当たれば、三枚に下ろしてみせるさ!! ――斬ッ!!!」
闇を待とうクロバは居合いで黒刀を一閃させ、ウツボの身体を切り裂いた。
一歩身を引き、仲間の手当てに当たるヴァレーリヤ。
「ほらほら、膝を付かない! まだ行ける、まだ行ける! アクアベルだって、まだ踏ん張っていますのよ!」
クロバを鼓舞するヴァレーリヤは小さな幸運をもたらす霊的因子で彼を包み、癒しに当たっていたようだ。
そんな中、なまこを相手にするメンバーも少しずつ、敵を攻め落とす。
クレメンティーナは情報にない敵の襲撃にも警戒しながら、魔力を纏う拳でなまこを殴り倒していた。
戦いが進むと敵を纏めて狙いづらくなり、ユウは氷の鎖を伸ばして1体ずつ相手を射抜く。
「横からくるわよ」
仲間に注意を呼びかけながらもユウはさらにフロストチェインを放ち、相手に止めを刺してしまう。
ユウは広範囲の敵を凍りつかせていたが、そこを狙い、ミアは巨大火砲『NMフリークス』より連続弾幕を張り巡らす。
「……どがががが……かき氷にしてやるの♪」
そうして、彼女は敵を纏めて倒していく。
ウィリアムは敵との距離を詰め、こちらも纏めて無数の魔力弾でなまこに風穴を開けて沈黙させてしまう。
体力を奪われた仲間の為にとエトが練達の治癒魔術を使って回復に尽力する手前で、ちょこちょことやってきたなまこへヴァレーリヤがすかさず。
「どっせえーーい!!!」
炎を纏ったメイスで1体を殴り倒し、地面へと転がしていた。
敵が減ってきたことで結も余裕が出てきたのか、華麗に舞い踊りながらも最後のなまこの身体を魔剣ズィーガーで切り裂いていく。
仲間達がなまこを抑えて倒していく間、クロバは1人で巨大ウツボと交戦するが、思った以上に手強い。
一瞬の隙を突かれた彼はウツボに胴体を食らいつかれ、意識を失いかけてしまう。
クロバは運命の力の一部を使って気力を振り絞り、全力でウツボの口の中を黒刀で突き刺す。
痛みで苦しむ敵へ、なまこを全滅させたメンバーが駆けつけてくる。
ミアが光柱を放ってウツボの体を撃ち貫くと、クレメンティーナもクロバの不利を察して遠距離術式を発動させ、魔力を破壊力として敵へと叩き込む。
(ただの野良かな。それならそれでええんやけどね)
今回の敵は何かの陰謀で差し向けられた相手ではなさそうだと、彼女は判断していたようだ。
ウツボも思った以上に暴れはしたが、イレギュラーズ達が総出で当たれば、すぐに消耗して動きを鈍らせる。
一度雷撃で相手に痺れを与えたウィリアムが魔力弾を叩き込み続けると、ウツボがぐったりとうな垂れて。
エトの治癒魔術で持ち直したクロバが躍りかかり、神速の居合で相手の首を跳ね飛ばす。
さすがのウツボも動けなくなり、その図体を海沿いの道へと倒していったのだった。
●意外にいける……?
無事にぬるぬるのなまこ、ウツボを撃破したイレギュラーズ達はホッと息をついて。
「お疲れ様ね……」
エトはぬめぬめや生臭さを対策の為、予め用意していたタオルや匂い消しを手渡していく。守ってもらい、感謝の意を示すアクアベルも、女性メンバー達のフォローに動いていた。
海に面した場所ということで、ウィリアムもぬめぬめを海水で洗い流していると、傍ではクロバが倒したなまこやウツボの調理を始めていた。
「まぁ、初めて触る食材ではあるが、腕の見せ所ってな……」
彼は少し歩いた場所で営業を行う料亭から機材を借り、倒した敵の身体を捌いていく。
タオルで身体を拭いた女性陣の反応は様々だが、エトだけは体内構造が気になるからと解体される様子を見つめる。
「学術的興味であって辱しめる意図はないわ。ないったら。ちょっと分泌器官見るだけ!」
エトは興味深そうに、ある程度体が捌かれるまでまじまじと見つめていたようだ。
しばらくして、クロバが完成させたのは、ウツボのたたきとなまこの酢の物。
ちょっとしたおつまみといった感じもあるが、先ほど立ち寄った料亭が営業再開したこともあってか、メンバー達はそこで頂くことにする。
「ミア、お魚大好き……なの♪」
真っ先に飛びついたのは、白猫の獣種ミア。ウツボのたたきをつまみ、舌鼓を打つ。
「あ、いけるん? じゃあ、いただこうかな……!」
クレメンティーナもまた便乗して、それらの料理を食べる。
ちなみに、ウツボのたたきはとある世界の日本、高知県の名物。コラーゲンたっぷりで、女性にオススメの一品だったりする。
それを知らず、ユウは仲間に便乗する形でそれを口にしていた。
心なしか、美肌になったような気がするのは気のせいではないだろう。
そして、ナマコの酢の物。こちらもまたコラーゲン豊富な食材だ。
「……私、宗教上の理由でちょっぴり遠慮しておきますわ」
しかしながら、先ほど戦った相手な上、ほぼほぼスライスした見た目とあって、ヴァレーリヤなどはかなり距離をとってしまっていた。
そんな彼女を背に、クレメンティーナは一口。
こりこりとした食感は癖になる。アクアベルもまた、ご相伴に預かっていた様子。
結も恐る恐る口にしていたが、そんな態度を魔剣ズィーガーに茶化されていたようだ。
ぬめぬめで嫌悪感を抱いたメンバー達も、戦闘後は体の内側から美肌対策し、肌をすべすべにして帰宅の途に着いたのである。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは傷を負いながらも敵を討伐、調理と活躍していただいた貴方へ。
今回は参加していただき、本当にありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいです。
アクアベルのイラスト初登場回です。どうぞよしなに。
それはそれとして、ぬめぬめした長いものの相手を願います。
こちらでは、捕捉のみ行います。
●敵……8体
○なまこ×7体
魔物となり、60cm程度の長さとなっています。
強さはそれなりですが、ぬめぬめを楽しみたい方に。
・ぬめぬめ弾……神遠単・足止
・はいずり……物至単・HP吸収
○ウツボ×1体
魔物と化した4mほどあるウツボです。
毒はありませんが、非常に強力な歯を持つので危険です。
機動力も高い為、遠距離にいても油断はできません。
・噛みつき……物近単・流血
・締め付け……物中単・麻痺
・尻尾薙ぎ払い……物特レ(自身を中心に半径5m以内)
●NPC
現場までの案内をする為、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が同伴します。
放置すると、おそらく彼女もぬめぬめの被害に遭います。
基本的には戦えませんので、
彼女を守っていただければと思います。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
余談ですが、現実においても、
ウツボは噛み付かれると非常に危険ですので、
くれぐれもご注意を。
それでは、よろしくお願いいたします。
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