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シナリオ詳細

<刻印のシャウラ>指揮官を殺れ!

完了

参加者 : 10 人

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オープニング

●概要
 ラサ傭兵商会連合で起きた大討伐から逃げ延びた『砂蠍』のキング・スコルピオは幻想の盗賊達を束ね、一大勢力と化していた。
 正体不明の資金力と人脈を発揮し続けている彼等は、勢力を拡大しながら幻想の辺境を中心に荒らし周り、更に力をつけている。自分達の利益を最優先にする貴族への対策として中央に牽制を入れつつ動く彼等はさながら盗賊団のレベルを超え、軍隊の如しであった。
 これまで『新生・砂蠍』は収奪等を中心に動いていたが、この程、別の動きが見えてきた。
 彼等はこれまでに溜めた力で強烈な部隊を編成し、幻想南部の貴族領、街、村へ本格的な侵攻を開始したのだ。
 既に失陥した拠点もあるし、まだ耐久している拠点もある。幻想貴族達はこの暴挙に怒り、すぐさまに本気の部隊を派遣せんとしたが、『サリューの王』クリスチアン・バダンデールの諜報によれば、『間が悪いこと』に幻想北部、鉄帝国との国境線で鉄帝国が侵攻の兆しを見せているという。
 北部を抜かれれば国防上に最悪の問題が発生する。故に貴族は国境線に戦力を集中しなければならない。『不運にも』挟撃、二面作戦を余儀なくされた貴族達が頼るのは、当然イレギュラーズである!

●防壁の街『ダガール』
「中央からの援軍は……期待できぬのか」
 幻想南部の街『ダガール』の領主ダガルムント卿が、執務室で溜息を零す。
 卿の領地が『新生・砂蠍』の侵攻にさらされること数日。防壁に囲まれたダガールは『新生・砂蠍』の攻勢にも防戦に徹することで耐えていたが、攻め手に欠けるまま防衛戦を強いられているとも云えた。
 ダガールを取り囲むのは『新生・砂蠍』の旗を掲げた新生砂蠍・ドルフ部隊。その数およそ100人強。
 不運だったのは、ダガールは幻想でも南部に位置し、これまで長い間戦火にさらされることなく必要最低限の衛兵しか配属されていなかったことである。
 元より街の治安を担うのが主力の警備兵である。少数の盗賊、魔物程度なら対処もできるが、組織だって街を攻められることなど想定外で練度も人員も不足していた。
 それでも防壁といった地の利を活かし、急造された有志たち自警団の身を粉にした協力もあり、今まで良く耐えていると云えただろう。
「聞くところによりますと、近隣友邦も砂蠍の襲来に手を焼いているとか。彼等からの援軍も期待できぬでしょう」
「……であろうな」
 執事の弁が、ダガルムント卿に追い打ちをかける。
 敵は荒事に慣れた集団だ。よく耐え善戦しているといえど、このままだと先は見えている。閉ざされた壁門も、やがては破られるだろう。そうなれば、街の占領は免れまい。
「こんなことなら……」
 新生砂蠍跋扈の噂を期に、兵力を増強すべきだったと思うものの後の祭りである。
「一つ、案があります」
 苦悩する領主に、執事が進言する。
「間違いなく強敵と云えど、それは統制がとれているだけかと存じますに。軍隊の如く強力とはいえ兵は所詮盗賊、ゴロツキどもの集まりでありますれば、頭――指揮官さえ潰せば統率は乱れ、後に残るはまとまりのない盗賊どもに成り下がるかと」
「ふむ」
 一理ある。
 指揮系統が乱れれば、何より貴重な時間が稼げる。時間さえ稼げば――耐えしのげれば、いずれ反攻の目もあるだろう。
「しかし、誰が討ってでるのだ?」
「それは勿論……」

●乾坤一擲
「お前らも今回一連の『新生・砂蠍』騒動に関しちゃ知ってると思うが……」
 各所から続々届く『新生・砂蠍』侵攻の報を受け、汲汲忙忙としたローレット。『酔っ払い』ジュリエット・ノックス(p3n000036)も多分に漏れず、依頼書を睨む。
「これもその依頼の一つなんだが。まあ簡単に言うと、街を襲っている砂蠍の指揮官を暗殺――討伐してくれって依頼だ」
 簡単に言い過ぎだろと、イレギュラーズたちからブーイングが飛ぶ。
「頭を潰せば、なんとかなるって目論見なんだろうな。まあ狙い目としちゃ悪くないと思うよ。
 で、今回の作戦なんだが……まずは夜間に陽動として衛兵の一部や自警団が砂蠍に奇襲をかける。その囮に釣られて手薄になった隙に、イレギュラーズに本営を襲撃して指揮官の抹殺を頼むってことだ」
 これ、囮役もタダじゃあ済まないだろうな、なんて悲壮感も漂わせる。
「今回、作戦の要はいかに迅速に動けるかにかかっている。もたもたして敵本隊が戻ってきたら、どうにもならねえ。そこんとこしっかりな。
 レオンの旦那も言ってたが、連中はもうただの盗賊っていうレベルを超えつつあるそうだ。蠍の駆逐に手加減はいらねえが、くれぐれも油断するなよ」
 逆に言えば、まだただの盗賊のうちに叩き潰せということでもある。遠慮は無用だ。
「しっかしキナ臭いなあ。鉄帝国と砂蠍とかタイミング良すぎだろ……。鉄帝はそういうの嫌いだと思ったんだがなあ……」

GMコメント

 こんにちは。茜空秋人です。
 以下情報。

●依頼成功条件
 敵指揮官ドルフの抹殺。
 可能ならば副指揮討伐も望ましい。

●情報確度
 Aです。想定外の事態は起きません。

●ロケーション
 戦場は平原です。地形による影響はありません。
 イレギュラーズは夜間に紛れ後方から忍びよることになります。
 『新生・砂蠍』は総勢100人程。街の防壁から500mの地点に布陣しています。
 『新生・砂蠍』は陽動が始まると本営に20人程を残して迎撃に向かいます。
 迎撃に向かった砂嵐はある程度の時間経過でまず10人、その後も10T毎に10人ずつ帰還してきます。

●敵本営
 指揮官ドルフ、副指揮官含む20人。
 ドルフ直属の生え抜き部隊。

・指揮官ドルフ
 この部隊の屋台骨。魅力に富み、部隊になくてはならない存在。
 戦闘になれば、2~3人の部隊員がドルフを庇うように護りにつく。
 曲刀を装備したパワー型。強い。
 至近型で出血や崩れを伴う攻撃を行う。

・副指揮官
 支援型。

・部隊員×18
 イレギュラーズと同程度の強さ。基本的に本営の警備担当。
 近接型、中遠距離型とそれぞれおり、たまに毒を伴った攻撃をしてくる。

・帰還してくる部隊員
 通常の部隊員より若干弱い。

●アドリブ
 アドリブ描写が用いられる場合があります。
 プレイングやステータスシートにアドリブ度合、『アドリブNG』等記入くだされば対応いたします。

 有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつくことがあります。
 ご縁ありましたら、どうぞよろしくお願いします。

  • <刻印のシャウラ>指揮官を殺れ!完了
  • GM名茜空秋人
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月15日 21時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (10人)

レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)
赤々靴
亘理 義弘(p3p000398)
仁義桜紋
シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
サングィス・スペルヴィア(p3p001291)
宿主
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
紅獣
エスラ・イリエ(p3p002722)
牙付きの魔女
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
最上・C・狐耶(p3p004837)
狐狸霧中

リプレイ

●序
 防壁に囲まれた街ダガールを侵攻せんと陣取るのは『新生・砂蠍』。
 夜闇に紛れ、後方からその背後を狙うのは我らがイレギュラーズたちだ。
「んー……確かにタイミングは良すぎるな。
 色々重なってそう見えるだけならいいんだが……」
 組織化された砂蠍の幻想南部侵攻に呼応するような鉄帝の動向を、偶然と切り捨てるのは早計すぎる。10人前後の盗賊団に毛が生えた程度ならまだしも、もはや小規模ながら軍と呼んでも差し障りのない敵の数を目の当たりにして、思わず零れた『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562)の言はキナ臭い状況に駆り出されたイレギュラーズたちの胸中を端的に表していた。
「もっとも俺は旅人だからな、この世界の幻想にも鉄帝にも執着は無い。
 仕事なら相手は何処の国の何処の誰でも構わんさ。仕事だからな」
「俺も幻想に恩義を感じているわけじゃねぇが、それでも暮らしていりゃ愛着も湧く。ヤクザが言う事じゃねぇがよ、一方的に奪う蠍どもも気に食わねぇ」
 超聴力を使い周囲の警戒を緩めることなく『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)が応える。
「俺達も人様に迷惑かけて飯を食ってる家業だ。盗賊と然程変わらないと言われるかもしれねぇがそれでも漢張る場面てのは分かっている。
 何せ、街の住民が陽動するってんだからよ。……全力でやらせてもらうぜ」
 任侠道とは漢を売るのが商売なのだ。カタギを護ってナンボなとこもある。
「鬼の居ぬ間になんとやら。そんな幻想をめちゃくちゃにしようとする集団、ボクも放ってはおけないっす!
 まだ旅を、堪能してない世界を滅茶苦茶にされたら困るっす!」
「巷はすっかり戦時なのですね。お仕事とはいえ、こういう世の中には良い印象を受けません。
 勿論、故郷でも戦はありましたが、やはり歓迎はできませんね」
 同じく旅人の『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)と桜咲 珠緒(p3p004426)も、砂蠍と戦うことに異論などない。かって寝たきり、身体を自由に動かすことすら叶わなかった少年と少女は、自分で立って歩ける召喚されたこの世界が大好きなのだから。
「起死回生の首狩り戦術……ねぇ」
『逆説的に言えば砂蠍は貴族の戦力を凌駕していることになるな?』
「指揮官を潰せなんて簡単に言うが……まぁ良いさ。
 お偉い方々の事情は知ったこっちゃねぇが、街の住人に罪はねぇ」
「あれですね。統率されてさえいれば、野盗でも暴徒でも厄介なものです――まあ知れてはいるのですけどね? ですが、馬鹿にできたものではないでしょうね、はい。
 ならばさっくりと頭を始末していきましょう。蛇だって群れだってムカデだって、大体頭が急所ですから」
 闇に紛れる黒い衣装を纏った『宿主』サングィス・スペルヴィア(p3p001291)と少女の呪具の洩らした呟きに『黒キ幻影』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)、『狐狸霧中』最上・C・狐耶(p3p004837)が応じる。
 指揮官を潰す。言うほど簡単ではない。囮となる陽動部隊があって初めて成立する作戦だった。
「始まったみたいよ」
 ファミリアーを用いた蝙蝠で、上空から偵察していた『牙付きの魔女』エスラ・イリエ(p3p002722)が、いちはやく反応した。
 見れば、砂蠍の夜営に慌ただしい動きが生じている。ダガール側の陽動部隊に反応したのだ。
 敵部隊の大半がダガール側に攻めこむのをしばし待ってから、イレギュラーズは状況を開始する。
「狐らしく、ずるくこっそりいきましょう」
 狐耶が『狐の嫁入り』を発動させ周辺に雨を降らせる。少しでも気配を断って接近するのが狙いだ。
「今、囮として盗賊を引き付けてくれてる人達がいるんだよね……。
 その人達の想いに応えるためにも、早く相手の指揮官を倒しに行こう!」
「彼らの頑張りに負けねえように、いっちょ盗賊退治と行こうじゃねぇか!」
「隠れるのはなんだかドキドキするっす……。それでも街の人達の決死の作戦、決して無駄にはしないっす!」
 剣形態となった『KnowlEdge』シグ・ローデッド(p3p000483)を背中に担いだ『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)に、意気軒昂にシュバルツとレッドが応じた。

●奇襲成功――まずは副官から
 狐耶の降らす雨に紛れ、背を屈めつつも足早に敵の本営、天幕を目指すイレギュラーズたち。
 黒いマントを頭から被った焔が先頭を走る。
「動いていない人間。護衛や副官等を考えると6人前後の集団が指揮官かしら?」
『2人程度の少人数は巡回の警備だろうな』
 スペルヴィアと珠緒の探査能力が敵の警備を避け、配置の薄い穴を見つけだし、シグのテレパスで情報を共有すると一丸となって敵天幕に直走る。
 狙うのは迅速なる奇襲。
 天幕まで50mを切り、テントの下の指揮官らしき集団も確認できる迄に接近した。これ以上の隠れての接近は、不可能かつ無意味に思えた。
「さて、準備も終わったところで……戦闘開始と行きますかね……」
 ルナールの台詞で、イレギュラーズの奇襲は口火を切った。

「炎神の子、炎の巫女、炎堂焔ここに推参! だよ!」
 一番槍は炎風巫女。素早い身のこなしを身上とする戦士に与えられる称号に恥じることなくテント下まで一気に距離を詰めた焔が槍『カグツチ』を振るうと、音速の刺突がこの場で一番偉そうな砂蠍を襲う。
「敵か! 小癪にも奇襲か!?」
 不意を突かれ不覚を取った指揮官ドルフが逞しい腕で双刀を構えた処で、ただの剣を装い怪しまれることなく焔にくっついてきたシグが、再び砂蠍の隙を突く。
「……ただの剣だと思ったかね? 魔剣ではなく?」
 二人の友情が育んだ連携が冴える。巧みに焔を避けつつ、最多の砂蠍を巻き込める位置から放たれたのは『偽・烈陽剣』。魔剣と化したシグは、燃え上がる刀身に蓄えられた破壊のエネルギーを余すことなく砂蠍に叩きつけた。
「くっ……」「敵襲ー!」「ボスをお守りしろ!」「大丈夫です!」
 イレギュラーズの急襲に騒然とするも、ドルフを護るように前に出る3人の砂蠍。そして、彼等に支援魔法をかける砂蠍。
「副官発見っす!」
 ドルフを狙うと見せかけたレッドのナイフが軌跡を変えると副官の不意をつく。持ち主に大きな幸運をもたらすとされる黄金のナイフは、敵には多大な不幸を与えるのだ。
「まずは副官、テメーからだ!」
 怯んだ副官を相手に突風の如くシュバルツが肉薄すると、自慢の武闘術を連続で繰り出した。手数の多さを活かして、副官の防御と回避の低下を狙う。
 さらに副官の後ろに回った義弘が、強引に己の身体を武器にして暴れ狂う。猛り暴れる強面ヤクザの暴風陣が、副官と護衛を巻き込んだ。
「やれやれ……(絵的に)どちらが悪党なのか、微妙だな」
 奮闘する義弘に、ルナールが助勢する。
 左右の手で二刀の『偉大なるドレイク』――海賊団の曲刀を華麗に操り、副官を切り刻むと鮮血が舞った。
「厄介そうな敵……副官狙いからだったかしら?」
『状況に応じてやるしかないな』
 状況はどう見ても副官狙いと、さらにスペルヴィアが続く。
「契約の名の元に……」
『我は対価を支払おう』
 触れられた副官が苦悶の声をあげる。儀式呪具の『サングィス』が契約に従い、再生能力を逆転せしめ内部から破壊を促しているのだ。スペルヴィア、彼女は血液に関するスペシャリストだった。

 一方、本陣を護る砂蠍たちも烏合の衆というわけではない。
「指揮官抹殺優先は当然ですが、流石に18人の放置は自殺行為なのです」
 周囲の部隊員を抑えるのが、珠緒のお仕事、役割だ。
 先ずは魔弾で周辺の光源を潰し終えた珠緒が夜闇に紛れ、天幕から離れ窺う――中遠距離型と思われる砂蠍の部隊に忍び寄る。
 灯りが無くとも熱源感知で、敵の所在は手に取るように判る。昼夜の違いなど、彼女には意味をなさない。
 阿形印と吽形印――両掌に刻まれた始まりと終わりを示す二つの呪印が周辺の魔力を吸収し奔流となって珠緒の体内を循環すると、赤朱紅――禍々しく赤い、大型の爪を備えた手甲が召喚される。
 毒に耐性をもつ珠緒は、砂蠍の反撃に怯むことはない。疑似神性を下した魔力を純粋な破壊力に変換する武具を、珠緒は遠慮容赦なく砂蠍たちの弱点めがけて薙ぎ払った。

「随分と部下に慕われてるのね。正直人間性には興味あるけれど……抹殺指令が出ているものね」
 遠距離からドルフを狙うのは『復讐の書』を携えたエスラ。
「まあ、いくら庇われたところで、全てを貫く私の魔法には関係ないわ」
(もっともこんな混戦だと、位置調節がとても難しいのよね……)
 前衛陣も、エスラの射線を意識して決して巻き込まれぬように立ち回ってくれているのだが、それでも刻一刻と変わる状況下で味方を巻き込むことなく、それでいて出来るだけ多くの敵に被害を与えるとなると、非常にタイミングはシビアで難しい。
 苦心の末に狙いを定めたエスラが放ったのは『ライトニング』。味方中で随一を誇る瞬間火力、二冊の魔道書が生み出す迸る雷撃が副官を巻き込みドルフを襲う。
 斃れたのは、副官だった。
「おのれ……よくもやってくれたなっ!」
 静かな怒りに身を震わせて、ドルフが曲刀を振り上げた。

●指揮官ドルフ
「カバーは、させないです」
 『スティグマ』――聖痕を刻んだグローブを装着した狐耶が、ドルフを庇うように立つ砂蠍の間に入りこみ、無理やり引き剥すように殴りつける。
 混乱を狙った焔の『アクセルビート』も護衛役の砂蠍を刻みつける。
「庇う盾役、存在するだけでなかなか厄介になるものだな」
 人の姿に戻ったシグが距離をとり、遠距離から『マジックローブ』で護衛役の麻痺を狙う。
「そのお命頂戴するっす!」
「邪魔すんなら容赦はしねぇぞ?」
 レッドどシュバルツのドルフを狙った『アクセルビート』の前に二人の護衛役が立ち塞がると、代わりにこれを受けとめる。
「……!?」
 そのまま辺り構わずに剣を振り回し始める護衛役の一人。矢継ぎ早に繰り出されたイレギュラーズの攻勢に混乱したのだ。
「いいね! 庇ってるはずの人が、守るどころか攻撃してきたらビックリするよね!」
 それを見た焔が、思わず軽口を飛ばした。

「俺が抑える。今のうちにドルフを!」
 天幕外から慌てて駆けつけてきた部隊員たちの真直中に、鬼の形相をした義弘が突っ込み、仲間たちに渡世人の心意気を見せつける。
「少し数が多いわね」
『それでもやるしかないな』
 スペルヴィアがマークとブロックを最大限に活用し、
「邪魔はさせないのです」
 狐耶の振るう神薙が、ドルフの元へと向かう部隊員の行く手を阻む。
「見逃してあげてもよかったのに……こちらの隊列を脅かすようなら、容赦できないわ」
 エスラが、心の深淵に渦巻く悪意を呼び起こす。魔女に相応しい殺傷の大魔術『ロベリアの花』――殺戮の霧に包み込まれた部隊員から苦しそうに断末魔の悲鳴が聞こえると、一人、また一人と斃れていった。

 ――!
 空を斬る音を伴い、ドルフが曲刀が振り回す。
「お互い、邪魔っすよね?」
 護衛役の砂蠍を逆に盾にするかのように立ち回り、ドルフの攻撃を凌ぐレッド。元々が病弱で寝たきりだったと云うのが信じられない身のこなしだ。
「一刀より二刀のほうが強いのは自明の理だろう?」
 曲刀には曲刀、しかも此方は二刀流だとばかりにルナールが剣を振るうと、ドルフの身体に血文字の傷が刻まれる。
「ボクたちは、身体を張ってくれている町の人たちの為にも負けるわけにはいかないんだ!」
 焔がさらに『アクセルビート』の手を緩めずに追撃し、混乱の波状攻撃を維持している。
「お前さんは、もっと常識を知るべきではないかね?」
 ドルフの周囲に眼の紋様を模した魔法陣が展開される。混乱する護衛役――盾役を失うことにより、好機到来とシグが『常識圧殺』を放ったのだ。
「こんなものっ!!!」
 被弾はしたものの、かろうじて封印は免れ、吠えるドルフに対し――。
「テメーの癖はもう見切ったぞ?」
 ここぞとばかりに追い打ちをかけるシュバルツが、着実にドルフの防御と回避能力を削り取ってゆく。

●終
 シュバルツに防御を削られ、ルナールの攻勢に血塗れになりながら、それでも曲刀を振り回し続けるドルフに止めを刺したのはエスラだった。
「街は元々住民のものよ。返してもらうわ」
 可愛い外見からは想像つかない破壊力を秘める魔女が放った大魔術が、有無を言わさず無情にドルフの最後の命の灯を吹き飛ばす。
「そ、そんな……!?」「ドルフ様が……」
 目の前で指揮官を失い、正気に戻った途端に右往左往する砂蠍たちに、
「どうする!? まだやるかっ?」
 睨みを利かせた凶悪な人相で、義弘が大声をはりあげ一喝する。
 たちまち踵を返し、天幕外へと逃げ去る砂蠍たち。
「他の戦場も無事に終わっていればいいんだがな……」
 ほっと溜息を零すルナールが、レッドに肩を貸す。
「ありがとうっす。それで……長居は無用っすよ」
 立ち上がったレッドの提案に、異を唱えるイレギュラーズは居ない。
「そうね、本隊が戻ってくる前に撤収しないといけないわね」
『もう、すぐそこまで来てるがな』
「やれやれ……仕事後の一服が味わえないとはね……」
 呪具『サングィス』の言に、残念そうにルナールが取り出したばかりの月蒼翼――金属製の煙管を懐にしまい直す。
 何事もなかったかのような顔で合流した珠緒とともに、イレギュラーズは夜の闇の中へと帰還してゆくのだった。

 決死の覚悟で囮役を買って出たダガールの衛兵、自警団の被害は決して少ない物ではなかったが、その甲斐あってドルフは討伐された。
 指揮官を失った砂蠍の部隊が建て直されるとしても、しばしの時間がかかるだろう。ダガールは貴重な時間、或いは反攻の機会を得たことになる。
 だがしかし、そこに尊い犠牲があったことを決して忘れてはいけない。
「ボク、この戦いが終わったら亡くなられた衛兵さん達の供養をお手伝いしたいな」
 焔は勇敢に戦った戦士たちに想いを馳せるのだった。

 Congratulations!
 イレギュラーズの活躍により依頼は達成された!

成否

成功

MVP

シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃

状態異常

なし

あとがき

依頼、お疲れ様でした。
副官から削る作戦、さらに混乱でドルフを狙い防御役の庇うを無効にする作戦、とても素晴らしいものでした。
作戦立案も含めてMVPは貴方に。

よろしければ、また御縁がありますように。

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