PandoraPartyProject

シナリオ詳細

竜と人と、人と竜と

完了

参加者 : 5 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

「結婚してください」
 と、その女の子は言いました。
「結婚しよう」
 と、その竜は言いました。

 これは、ただそれだけの物語。
 可能性たちの紡いだ物語の最後のから、少しだけ後の話。
 平和になった世界で、
 世界を守るためでもなく、
 世界を救うためでもなく。
 冒険でもない、戦いでもない。
 ただ、誰かが誰かを好きになって。
 誰かが誰かを愛するようになって。
 この世界で、当たり前のように行われている。
 当たり前の。ありふれた。
 ただの、恋人同士が、結婚式を挙げる。
 ただそれだけの、物語。

 参列する資格があるならば、きっと花嫁や花婿、その家族の親しいものでしょう。
 これは、人と竜の絆の場なのですから、きっと後の世に、語られるかもしれません。

 だとしても。
 何度も言うように、これはただの、ありふれた結婚式のものがたり。
 勇敢な女の子が、ちょっと生意気な男の子が。
 ただ、好きな人と、愛することを誓うための。

 ただ、ただ、それだけの、物語なのですから。

GMコメント

 洗井落雲です。
 おめでとうございます。

 多くを語ることは致しません。野暮というものでしょう。
 描写としては、
 1.結婚式準備
  会場の準備に、花嫁と花婿が大慌てでしょう。手伝ってあげてください。
  その後は、お互いの控室で、おめかしの手伝いをしてあげるのがいいでしょう。
  何かお話があるならば、ここでするとよいでしょう。

 2.結婚式
  結婚式です。ヘスペリデスに作られた、屋外の式場です。
  洋風の、教会での結婚式を思い浮かべてください。おおむね同じ流れとなります。
  花嫁は、誓いの言葉を。
  参列者たちは、かけるべき言葉や、その心の内を。
  記してあげるのがよいでしょう。

 サポート参加は、基本的には『参列者』となります。
 かけるべき言葉を、記してあげるのがいいでしょう。
 花嫁や花婿の家族にお話がある場合は、特例ですが、お話しするのもいいでしょう。
 とはいえ。
 主役は花嫁と花婿。
 それだけはお忘れなく。

 以上となります。
 それでは、素敵な式となりますように。

  • 竜と人と、人と竜と完了
  • あなたとあゆむ、これからのみち
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2025年03月05日 22時45分
  • 参加人数5/5人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 5 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

(サポートPC47人)参加者一覧(5人)

ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
※参加確定済み※
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
そんな予感
※参加確定済み※
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵
※参加確定済み※
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
※参加確定済み※
水天宮 妙見子(p3p010644)
僕だけの青空
※参加確定済み※

サポートNPC一覧(11人)

シュペル・M・ウィリー(p3n000158)
天香・遮那(p3n000179)
琥珀薫風
建葉・晴明(p3n000180)
中務卿
澄原 龍成(p3n000215)
刃魔
珱・琉珂(p3n000246)
里長
シェーム(p3n000259)
焔の嘆き
井(p3n000292)
絶対紳士
ティナリス・ド・グランヴィル(p3n000302)
青の尖晶
ザビーネ=ザビアボロス(p3n000333)
バシレウス
ムラデン(p3n000334)
君だけの赤き星
ストイシャ(p3n000335)
レグルス

リプレイ

●新郎
「……ヴィルメイズ、さ」
 『レグルス』ムラデン(p3n000334)は、されるがままに、そうつぶやいた。
 『指切りげんまん』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)は、ムラデンの手を取って、その爪をきれいに磨いている。ゆっくり。ひとつ、ひとつ。
 しゅ、と。やすりを滑らせれば、想いを一つ、乗せるように。
 しゅ、と。やすりを滑らせれば、願いを一つ、乗せるように。
「ええ。わかっておりますよ。ここまでしないとけないのか? と言いたげなお顔でございますねぇ?
 それは勿論! 人生ならぬ竜生の晴れ舞台! 爪の先まで美しくないといけません。
 何せこの手で参列者と握手をしたり、妙見子様と手を取り合ったり、指輪を交換したりするのですから。妥協は許されませんよ〜。
 人の第一印象の8割が爪で決まる! と! 私も【ヴィルメイズ・サズ・ブロート著 覇竜出版】で申し上げておりました。
 ああ、この日のために新調した私のスカルプマシマシエレガントネイルも見てくださいね〜」
「それはいいんだけど。
 いや、茶化すなよ。
 なんかさ。いつもより真面目に見える」
「私はいつも真面目でございますが。ええ、まあ。こういう時は、特に」
 ふ、と。それは慈しみを持つかのような表情であった。
「……愛でございますよ。愛。
 それは、私が本当の父上に向けるもの。あるいは、私があなたに向けるもの。そして、あなたが妙見子様へと向けるもの。
 形はありません。時に見失うかもしれません。しかし、こうして、爪を磨いてやれば」
 ふ、と、ヴィルメイズは息を吹いて、爪の汚れを飛ばした。
「その輝きが、何等かの道標になるやもしれません。
 何かを忘れ、真っ暗闇に取り残され、それでも輝くものがあるならば――。
 おぼろげでも、明かりくらいにはなりましょう」
「……そうだね」
 ムラデンが、少しだけ嬉しそうに笑った。
「おや、自分は妙見子様を絶対に見失わないぞ~、とか宣言はなされないのですか?」
「勿論、自信がないとは言わない。でも、必ず、って言えない。
 ……相応に不安なんだよ。僕だって。
 ああ、たみこにはいうなよ。僕はあいつの前じゃ、かっこいい僕でいたいからね」
「別に、弱音を吐いても、妙見子様はあなたを厭うたりはしませんよ」
「しってるよ。だから。これは僕の意地だ」
 ふふ、と笑うムラデンは――なるほど。少しだけ、大人の顔をしていたのかもしれない。
 今日は結婚式だ。ムラデンと、妙見子の。
「逆に言えば。君らだから見せるんだぜ? 友達だからな」
「そりゃそうだ。別に、友達付き合いが無くなるわけじゃない」
 はは、と『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)が笑った。
「そうか。友達。友達か。
 うれしいよ。でもなんか、変な感覚だな。
 ムラデン、最初に会ったとき、割と本気で――俺を殺そうとしたよな?」
「そりゃもちろん。敵だったからね。ああ、いや、厳密にはそうじゃないんだけど。
 死んでもいいか、くらいには思ってた」
 少しだけ申し訳なさそうに言うムラデンに、ムサシは笑った。
「いや、責めたりしてるわけじゃないんだ。あの時は当然だし、むしろそうでないなら、あの時の俺がみじめじゃないか。
 いや、言いたいのはそうじゃなくてさ。あれから二年くらいか。なんか……懐かしいな、というか。
 感慨深いな、って」
 ムサシが遠い目をした。ファーストインプレッションは相応に最悪だった。なにせ、ムラデンは侵入してきた敵の迎撃に出たのであり。
 ムサシたちイレギュラーズは、竜の住処に足を踏み入れた侵入者に間違いなかったのだ。
 ……あの時は。手を取り合えるかなんて、わからなかった。もしかしたら、思いもしなかったかもしれない。
 竜と。人と。あるいは、人と。竜と。あの場所で生まれた絆は、あの時はとても脆いものだったけど……いつしか。ともに友達と呼べる程度には、繋ぎ続けることができた。
「あのあと、先代と戦ったりさ。普通に遊んだり。最終決戦の時にも助けに来てくれたり。
 ……嬉しいんだ、俺。
 2人の関係ずっと見てきたけど、こうして2人幸せになって、幸せにゴールしてくれたこと。
 色んなこと、ずっと大切な『希憶』にして、これからも作り続けて欲しい、って」
 そういう。そう言って、笑う。穏やかに。その瞳に、万華鏡(カレイドスコープ)にも似た優しさを湛えながら。
「……それはそれとして、これからもお前に挑戦し続ける!
 人間の身のまま、お前というライバルにはいつか勝ってみせるからな! 楽しみにしとけよ!」
 そう言って、今度は勇敢に笑って見せた。とん、と、『焔の嘆き』シェーム(p3n000259)がムサシの頭に手を乗せてやる。
「おう。儂からも、そう願うぞ、小僧っこ」
「いや、おひいさまが世話になったのはわかるけどさ。相変わらず暑苦しいなぁ、おっさんは」
 ムラデンが冗談めかして言うのへ、シェームは豪快に笑った。
「まぁ、性分じゃからな! 貴様らがこの後も仲良くしておるのならば、儂も安泰じゃ。
 安心して、しばし観光に出られるからの!」
「おや、シェーム様、まだ起きていらしてもお体に障りは……?」
「ない。あるいはこれも、娘っ子の奇跡の余波か……いや、そうではないな。
 これは、娘っ子の純粋な願いを、儂が叶えてやりたいと思った故じゃ。 
 あの娘っ子の暖かさは、可能性の力だけではない……あの娘っ子だけものじゃ。
 なら、儂はあの娘のために、しばし世界を見て回ろう。あの娘っ子の願いの結果を、あの娘っ子の代わりに見て……それを肴に眠るもよかろう」
「付き合いましょうか?」
 ムサシが言うのへ、シェームは笑った。
「やめよ。男の傷心旅行、一人で行かせい。
 それに、儂とて泣くこともあるじゃろう。貴様に儂が泣いとるところなぞ見せられたら、幻滅されてしまうからの!」
 わはは、と。豪快に笑う。
「まぁ、儂のことはええ。小僧っこ。そこのヴィルメイズも、ムサシも……そして、この場に集まったすべてのもがそうじゃ……ああ、いや。無粋じゃな。ムサシ。ヴィルメイズ。引き継げ」
「おやおや。では、僭越ながら。
 そう。いま、この場に集まったすべての人が、あなた様方の幸せを、願っております」
「それは素晴らしい事なんだ。きっと。世界が救われるのと同じくらいに。
 誰かの幸せを願う行為は、あまりにも、尊い」
 ヴィルメイズが。ムサシが。わらう。
「もうすぐ時間だ。行ってこい。
 俺達は、参列者席で待ってるよ」
 そういって、大切な友へと、笑いかけた。


 言葉は少ない。いや、ほとんどない。
「少し顔を上げて」
 とか。
「くちをきゅっ、ってして」
 とか。
「そう それから目を、少し閉じて……ん、きれいよぉ」
 そんな言葉。
 『おめかし』する。大切な友達を。大切な人を。大切な、あなたを。
 『そんな予感』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)にとって――『ともに最期まで』水天宮 妙見子(p3p010644)は友であった。
 間違いなく。最愛の。
 結婚というものが、旅立ちの儀式なのだとしたら。
 自分という籠の中から、鳥を放つ行為なのだとしたら。
 自分はきっと、その鳥に、今最後の愛を与えているのだろう。
 ……なんて。それじゃあ、この子のお母さんみたい。
 ふと笑う。言葉にはしない。「それもいいですねぇ」なんて、彼女は笑うだろうから。
「ほら できたわぁ わたしの傑作
 もうどこからみても たみちゃんは世界で一番幸せな花嫁さんだわあ
 一番最初に、一番キレイな花嫁さんをみたのは、一番幸福な花嫁さんを仕立て上げたのはわたしだわぁ」
 だから、そう言って笑う。
 最後の最後。大切なあなたへ、精一杯のおめかしを。
 あなたが、どこででも愛されてくれますように。
 あなたが、あの子に愛されてくれますように。
 ……そう考えると、かなり。うん。すごく、はらがたつけれど!
「ありがとうございます」
 と、妙見子は言った。
「やっぱり、私を一番きれいにしてくれるのは貴女。
 信頼がないわけではないんですが、信用はないですからね」
 ふふ、と笑う。
「まあ なまいき」
「ええ。もう私、人の妻ですから?」
 笑う。幸せそうに。ほっぺたをつねってやりたくなる。ああ、だめ。お化粧が崩れちゃうから。
「なんて。冗談ですよ。ええ。貴方だから、ここにいることをお願いした。貴方だから……。
 ベールダウン、してください。
 今まで散々貴女の盾になったんですから。
 最後くらい私のこと守ってくださってもいいんじゃありません?」
「あら やだわあ 最後だなんて。ずっと守ってあげるわよお?
 ……具体的には、なにかムカついたりしたことがあったり、喧嘩したらいつでも戻ってきて良いのよ
 わたしがいる限り、坊やのことはぶん殴りにいってあげる
 しゅぺるちゃんのおうちに遊びに来たらいいわぁ」
 当人が聞いたらこの世で最も苦い虫をかみつぶしたような表情をするだろう。
「ふふ、遊びに行きますね。彼と一緒に」
「ふーんだ あのぼうやは連れてこなくていいわよぉ
 どうせね、あとでムサシちゃんたちと遊び歩くんだわあ
 たみちゃんは、一人でお家でおいていかれるの
 なんてかわいそうに」
「やめてくださいよ、なんで結婚前から旦那が遊び歩く想像しないといけないんですか」
 くすくすと笑う。
 ああ、まったく。
 あなたはあのぼうやのことを、まったく、うたがっていないのね。
「ほーんと! はらがたつ!」
 化粧を崩さないように。だいすきな友達を抱きしめた。
 どうか、腕の中からいなくならないで、というのは簡単だ。
 でも、それを実行することのどれだけ難しい事か。
 それになにより。この腕の中で、彼女がとどまってしまうことを、きっと自分自身が納得しない。
 あなたは空で。
 その空を飛ぶのは、あのなまいきな赤で。
 わたしは、それを、理解してしまっているのだから。
「いってらっしゃい」
 そういって、ゆっくりと、メリーノはその体を離した。
「行ってきます」
 と、妙見子は言った。


「なんであのへんなアライグマが祭祀役なんです?」
 と、『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)が首を傾げた。なんでだろう。わからん。なんで……なんか急に呼ばれたんで……。
 まぁ、さておき。ブランシュはフォーマルなおめかしをして、参列席の椅子にチョコンと座っていた。
 ……こんな経験をするなんて思ってもみなかった。
 誰かを、母と仰いで。誰かを、父と仰いで。その二人が、こうして愛を語らう。そんな場面に、遭遇する、なんて。
 ……まぁ、父からは認知されていないのだけれど。いや、なんかこう書くと、父の方に酷い誤解が生まれそうであるが……でも、認知されていないのは事実なので。
 ふふ、と笑う。なんだろう、とても楽しい。とても、わくわくとした。
 それは、闘争の夢でもなく。諦観の夢でもなく。管理の夢でもなく。絶望の夢でもなく。進化の夢でもなく。混沌の夢でもなく。
 ただの、人として当たり前の夢。
 閃光のあなたが手に入れた、『当たり前』という夢。
 ――あたし、あんたのことが嫌いなんで。
 ルベライトが言ったことを、ふと思い出した。
 ――死んでも、次でも、ハブにするから。
 そういったことを。
 だから。
 多分、自分は生きてここにいるのだろう。
 機能停止することもなく。
 ああ、有難う、と、ブランシュは思う。胸の首がざりのルベライトが、揶揄うように光った気がした。
「博士。ブランシュは、人間として生きています」
 そうつぶやいた。
「大好きなママが、大好きな人と幸せになるのを、傍で見ています。
 ああ。ブランシュは、誰かを導く星にはなれなかったけれど。
 誰かとともに、隣で光る星にはなれました。
 ……きっと、それはたまらないほどの幸せなことで。
 それはきっと――」
 たまらなく、尊い、ことなのだろう。
「ええと、こういう時ってどうするんですかね? 全新郎新婦入場! とかやればいいのかな?」
 と、井が回転するのは、ザビーネ=ザビアボロスは小首をかしげた。
「……バトル、でしょうか……?」
「いやいや、バトルではなくて……」
 『ネクロフィリア』物部・ねねこ(p3p007217)が苦笑した。
「でも、ザビーネさん。これから、大変ですよ。新郎の親類としては!」
「そうなのですね……?
 ねねこ、引き続き、いろいろと教えてくださると……」
 ふふ、とザビーネが笑う。
「勿論です! ……あ! 言っておくけど毒姑になっちゃ駄目ですからね~。
 後でやったら駄目な行動とか教えてあげます♪」
 そう言って笑うものがあり。つつがなく。指揮の準備は続き。やがて。
「よし、カンペも確認しました!
 では、新郎新婦! ご入場ください!」
 そう、井が言ったときに。ゆっくりと。空が荘厳な、青き星の海へと変わった。
「過程がどんなに悲惨でも神前式という事になるのだろう。
 神がここに居るのだから。
 ……故に。この程度の演出、賜ってやるとも」
 自分が参列するならば、それこそふさわしいものに。シュペル・M・ウィリー(p3n000158)の傲慢さは、この時は新郎新婦への利となっただろう。
「ありがと、しゅぺるちゃん」
 そう、メリーノが笑った。シュペルの表情はうかがえないが――神前式だというのならば、それに恥じぬ盛り上がりを見せてやるのが、彼の神が気まぐれにも降臨したことへの報いになるだろうか。
 ゆっくりと、新郎と新婦が、バージンロードを進む。赤の道は二人の進むまっすぐな幸せな道を感じさせるようだった。
 ……その様子を、ことさらに語る必要があるだろうか?
 二人は当たり前のように、二人の道を歩み。
 当たり前のように、神に愛を誓う。
 病めるときも、健やかなるときも。
 そうだ。いついかなるどんな時でも――支え合い、愛し合い、慈しみ合おうと。
「……ムラデン。
 どうですか? 似合ってますか?
 私の今の姿はちゃんと貴方の瞳に映っていますか?」
「もちろん」
 と、ムラデンは言った。まっすぐに。逸らすことなく。ああ、そうだ。この竜が、愛する者から目をそらすことなんて、きっと無い。ムラデン本人が不安を抱いていたとしても。ムラデンは、絶対に、妙見子から目を離すことはないだろう。
「これまでで一番綺麗だ」
 当然のように。ムラデンはそういう。
「誓いの言葉は――」
「僕から。
 病めるときも、健やかなるときも。
 あの空が曇り、太陽が顔を隠したとしても。
 月が涙を流し、その曇天が世界を包む時も。
 星々が輝き、その光が大地を照らすときも。
 太陽が世界を包み、暖かなるその時も。
 何が起ころうとも。
 僕は、この世界に生きるものとして。
 君を愛し、支えることを誓う。
 君は?」
「私も。
 誓います。
 愛しています」
 言葉は、唇に乗せて。
 唇は愛を乗せて。
 触れ合う。
 ほんの一瞬。
 長くて短い沈黙――。
 鐘がなった。空が開いて、青い空に見えた。どこまでも遠くに見える青い空が、二人を祝福している。


「おめでとう、馬鹿弟子」
 そう、『夢の女王』リカ・サキュバス(p3p001254)は。
「竜種との婚姻なんて長生きしても見れるかわからないものね。
 それに、アンタも数十年ぽっちで早死にするってツラじゃないでしょ?
 それだけよ。

 今は晴れの舞台でしょう? 素直に祝福してあげるわ。
 結婚、おめでとう。末長く幸せにね。
「ザビアボロスの眷属として何度か戦場で見ましたが……。
 ふふ。何ですかあの幸せそうな顔。
 こう見ると竜もヒトと変わらないんですね」
 『綺羅星の守護者』綾辻・愛奈(p3p010320)もまた、どこか楽しそうに。
「お相手のたみこさんも。何ですかアレ。デレデレじゃないですか。
 ……ふふ。どうかお幸せに」
 そんな風に。
「此度は祝儀の席に名を連ねることを許していただき感謝する。
 我が身の立場は豊穣郷カムイグラの主たる帝の名代――ではあるのだが。
 妙見子の友人としてこの場所に立たせて貰う事を許して欲しい」
 フォーマルに。『中務卿』建葉・晴明(p3n000180)は二人に一礼をする。
「硬い挨拶過ぎた、だろうか?
 俺は何時もそうなのだ、何分これが性であると許して欲しい」
 そう、苦笑する。『繋いだ意志』メイメイ・ルー(p3p004460)もまた、くすりと笑った。
「ええ……でも、それも晴さま、なのですから」
 幸せ。愛。そういうもの……わたしにも、分かるようになりまし、た。
 妙見子さま、ムラデンさま、末永くお幸せに……」
「はは。メイメイがほがらかで幸せそうで何よりだ。
 ――何、これは普段叱られる「しかえし」だ。
 今世界で一番美しいのは妙見子だろうがメイメイも負けては居らぬだろう?」
 そういうのへ、きっとメイメイは、花嫁よりも顔を赤くしていたはずだ。
「はは、いいな、めっちゃいい。
 妙見子もムラデンもキラキラしてやがる!」
 ハンディカメラを構えながら、『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)は笑った。
「妙見子、結婚おめでとだ!
 この言葉を言える日をずうっと楽しみにしてたぜ!
 ムラデン、妙見子のことを幸せにしろ、なんざ言わねえ。
 てめえらが滅茶苦茶幸せなのは見て分かるからよ!
 あ、でもブランシュのことは認知してやれよ?
 ダチなんでな!
 ……家族の名をもらえるのはとっても嬉しいことだしよ」
 そんな、祝福の言葉を。
「やれやれ、手伝った甲斐があったかな」
 『運命砕き』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)が、ふ、と微笑を浮かべた。会場の飾りつけの多くは、ルカが手伝ったものだ。
「こんな愛されてる妙見子を嫁に貰うんだ。幸せもんだなムラデン!」
 そう笑って、ムラデンの背中を叩いてやる。
「いってぇな、竜殺し! まったく、僕なんかじゃ君は満足しないだろ。世界救いの英雄は」
「ああ、ああ。そうだな」
 砂漠のオアシスのように。ルカは笑った。
「よし! 結婚おめでとう……で済むと思ったかムラデン!」
 『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)が、わはは、と愉快気に笑って、一冊の本を取り出した。
「俺はこの日の為に練達製のペンタブを握り……印刷所へと駆け込んだ――。

 これがその用意した渾身の一筆――。
 花嫁と花婿の同人誌だ!!! 原作は例のムラデンの黒歴史だとも!!
 ……練達の印刷所に「知人に渡したいんで気合入れた装丁にしたいです」って言った甲斐があったぜ。
 みろ、この派手な装丁――」
「おまえ、最後の最後にふざけんなよマジで!!」
 ムラデンが走り出すのを、カイトが笑いながら追いかける。
「え、なになに? おいかけっこ!?」
 『愛しき雷陣』ソア(p3p007025)が、楽しそうに笑った。
「あ、でもまって! ライスシャワーとか、花のシャワーとか! 用意してるから!
 ボク、こう見えても精霊種なんだからね!」
「お、いいなぁ! おめでとう! にぎやかしに追っかけるかぁ!」
 『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)も、楽しげに笑いながら、ムラデンを追っかけ始めた
「当艦 高速v 島風 最速也 義父 追跡
 後 補給 後 認知 汝 父 島風 汝 娘」
 『島風の伝令』島風型駆逐艦 一番艦 島風(p3p010746)が、正装のそれを気にもせずに走り出す。
「いや、捕まえるのは僕じゃないんだよ! てか、なに、また僕子供増えんの!?」
「あ、そうです! パパ! 認知しろ!!」
 ブランシュも楽し気に走り出した。
「おっと、私も認知してもらいましょうかね~?」
 ヴィルメイズがくすくすと笑った。
「え、なに? アナタたちって何か爛れた関係なの……?」
 『里長』珱・琉珂(p3n000246)が一瞬、困惑してから、コホン、と咳払い。
「えーっと! 新郎走り回ってるけど!
 結婚おめでとう!
 とっても嬉しいわ。だって、だって、人と竜……。
 私は覇竜領域の、亜竜種の里の長として生まれ、それから生きてきた。
 だからこそ、人一番にうれしいことがあるの。
 ――だって、オジサマがそう願っていたのだから!」
 ああ、そうだ。もしこの場を、彼が見ていたのならば――あの時のように、優しい笑顔を見せてくれるだろう。
「わーわー……素敵だなあ……!
 新郎さんも新婦さんもとーっても綺麗……
 こんな風な結婚式を挙げたいってワタシも思っちゃうよ……」
 『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)が、ぱたぱたと尻尾をふって、妙見子に笑いかけた。
「ええ、素敵ですね……いや、ちょっと新郎追いかけっこしてますけど」
「でも、なんだか。それも、らしい、よね……」
 フラーゴラが笑った。ああ、そうだ。ずっとずっと騒がしい日々だった。世界を救うまでも、世界を救ってからも。
 混沌世界の、混沌とした素敵な日常。ならもしかしたら、こんな混沌とした式があっても、それらしいのかもしれない。
「あはは、そうかもね!
 俺も、今後のことを占った結果をプレゼントしようと思ったけど……」
 『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)は、楽しげに笑った。
「当然みたいに吉兆だったよ。でも、もし悪い結果が出ても、二人は……当然みたいに、乗り越えていくんだろうね。
 だって! 俺達は、世界の危機すら乗り越えられたんだから!」
「はい……きっと、そうですね……」
 『遠い約束』星影 向日葵(p3p008750)も、穏やかに笑う。見ているだろうか、あの、弱くも優しかった仮面のあなた。正しくあろうとした、正しくなかったあなた。あなたが見たかったのは、きっとこんな世界なのかもしれないから。
「えっと……こちらでは、花婿に米を? なげる? のですか? どうして?」
「どうしてっていわれたら、わたしがむかつくから かしらあ」
 メリーノが笑う。
「いえ、そういう儀式自体はあるのだけれど。ちょっとお米を固めのやつを厳選したのは わたし」
「米の硬さに違いなんかそうそうないだろ!?」
 ムラデンが叫ぶ。
「へーーえーーええーー、じゃあ、その硬さ、あじわってみたらあ?」
 べしっ、とメリーノが米を投げつける。
「いってぇ! やめろやめろ! これじゃ節分って奴みたいだろう!?」
「ええと、投げるんだよね? そしてぶつける!」
 『暗殺流儀』チェレンチィ(p3p008318)が、バシバシと米を投げつけるのへ、ムラデンが頭を抱えた。
「やめろって! お前あれだろ、絶対そう言うキャラじゃないだろ!」
「いやいや、ふふふ。ボクもこういうのは久しぶりでしてね~! ご無礼があったら申し訳ないのですけれど!」
「無礼だよ! 竜化するぞお前!!」
「ふふ、丁度いいわね!
 レイリー、思いっきり! なげてやりましょ!
 おめでとう、って気持ちをいっぱいに含めてね!」
 『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が楽しそうに笑いながら、ライスシャワーを投げつける。『ヴァイス☆ドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)が、
「え、ええ!? いや、普通に投げたほうが……!
 わ、私は普通に投げるけど! ええと、おめでとう、二人とも!」
「あはは、そうそう!
 ねぇ、妙見子、結婚してからは毎日毎日、何回でも好きって言ってあげなさいね。
 悠久の時を生きる貴方達にとって、その積み重ねがいつか大きな財産になる。
 竜は宝物とともに過ごすって伝承でよく言うでしょう?
 結婚してから一緒に積み上げられる宝物は、何よりも価値があるわ。
 ……と、しんみりしたところで一拍おいて、おめでとうライスシャワー!!」
「うんうん、おめでとう! 2人とも永遠に愛し合って幸せになるのよー!」
「……と、騒がしいですが。
 ほら、人様の結婚式で祝いの舞なんて突然踊り出したら豊穣で死ぬまで馬鹿にされますよ」
「……分かっとるってば! もうこの魔女ってば本当に!
 ……でも、これ、普通に踊ってても大丈夫なくらい、皆騒いでて」
 『瀉血する灼血の魔女』ルトヴィリア・シュルフツ(p3p010843)の言葉に、『鳴動する幼大山』弥多々良 つづら(p3p010846)はそう言った。
「……わんちゃん、踊ってもいいのでは?」
「いや、ダメですって。ほら、お祝いの挨拶に行きますよ」
 そう、首根っこをつかんでずり刷りと引っ張っていく。ぐえー、とつづらが笑った。そんな新婦の前では、『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)がパシャパシャと写真を撮りつつ、
「ナイスキャット! ナイスキャット! ナイスキャット!
 しゃしんはまかせろー! ねこねこ!
 うむ、良い顔だ。まさに一世一代のナイスな式だよ。
 おっと、贈り物は家電一式をキャット! しておいたので! 新生活は大丈夫! だぞ!」
「え、ほんとですか!? 助かります! ナイスキャット!」
 ぐっ、と妙見子が親指を立てた。キャット、満足げに笑っています。
「まったく。騒がしくて。
 悩んでたのが、なんだか馬鹿みたいですね」
 『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)が、妙見子へと笑いかける。
「ええ。なんというか、自分がこの場にふさわしくない気もして……。
 でも。それでも、良いのかもしれませんね。
 いつも通りの、変わらない日々。それはきっと、世界を救ったくらいじゃ変わらない、日常……とするならば」
「マリエッタ。素直にお祝いをいっておけ」
 『焔王祈』ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)が、微笑を浮かべた。
「……この場所には、思うところはある。ユーフォニーが特に心を置いた場所だ。
 あの子を呼びたかった、という想いはある。それでも……」
「って渋る二人を無理やり引っ張ってきたのだからね!」
 『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)が、ふふん、と笑った。
「だって、わたしたちだって、この場に来なきゃ嘘だわ。
 なので、多少強引な手を使って引っ張ってきました!
 おめでとう、って言いにね!」
「……セレナ、なんだかエーレインの強引さがうつってませんか……?」
 マリエッタが笑う。
「まぁ、とにかく。
 おめでとうございます。二人とも。
 私達、四葉の祝福を貴方達へ。
 当然なりますよ、幸せに」
 それは、間違いなく。四葉の祝福であったから。妙見子も、ムラデンも、四人分の暖かさを受け取った。
「ところで、ライスシャワーは良いのだけど、ブーケトスとかもするのかな?」
 『天翔鉱龍』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)が、ふむ、と声を上げた。
「実は……少し気になっているの。いや、私は既婚者だからとらないけれど。
 そういうイベントがあるという事は知っていてね」
「ふふ、なるほど。
 では、鹿ノ子。ブーケを取る準備をしないといけないな?」
 『琥珀薫風』天香・遮那(p3n000179)が笑って言うのへ、『琥珀のとなり』鹿ノ子(p3p007279)がわたわたと慌てた様子を見せた。
「え、あ、はい、えっ!?」
「……ふふ。すまぬな。すこし、揶揄いたくなった。
 だが……私も二人のように祝福される祝言を上げたい。それは本当のことだ。
 夜に咲いた、花火に、私は恋焦がれた。
 その大輪の花のような、鮮やかな色彩に、ふさわしい祝言を。夢見るよ。
 ……でも、その前に。
 のう、鹿ノ子。帰ったら梅でも見に行くか、春になれば桜もの。そうしたら……」
 そうしたら、言うべき言葉を伝えようと。
「はい。梅も、桜も、花火だって紅葉だって、一緒に見ましょうね。
 ……え、ええと! 妙見子さん、ご結婚、おめでとうございます! どうか末永くお幸せに!」
 照れ隠しのように、鹿ノ子は笑った。
「ボディ。ボディも、ブーケは受け取らなくていいのか?」
 『刃魔』澄原 龍成(p3n000215)は、当たり前のようにそう言った。
「俺はさ。ボディにウェディングドレスを着せてやりたいと思ってるんだよ。
 まあ、二人でタキシードでも構わねぇけどさ。
 隣で笑ってくれるなら、どんな姿だっていいんだ。
 男だとか女だとか、そういう姿形で好きになったわけじゃない。
 ……今日の式を見ていて、改めて思ったんだ。
 いろいろなものを、越えていける。愛って奴は、だ。
 だから……俺も、ボディと一緒に、色々なものを越えていきたい」
 そう言って、手を差し出した。『一緒に帰ろう』ボディ・ダクレ(p3p008384)が、その手を取った。ぎこちなく。
 ……自覚してから、触れることは、恥ずかしくなった。けれど。一緒に。ともに、歩いていけるのならば。
「いつか、私たちもこうなれるのかな。なれたら、いいな」
 そう、言葉に。言葉に、想いに。願いに。そう、唇を震わせた。
「ルチアは、ブーケトスには参加するの?」
 そう、『鏡花の矛』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は笑う。『鏡花の癒し』ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)は、いつものように小首をかしげた。
「ブーケは遠慮しておくわ。だって、もう相手ならいるもの」
 そういて、ふ、と笑う。
「ああ、二人に……というか、妙見子にアドバイスしておかなくちゃ。
 人ならざる者と契った先達として言わせて貰えるなら、体力は付けておいた方がいいわよ。ねえ、鏡禍?」
「ごっほっ!?」
 慌てた様子で、『鏡花の盾』鏡禍・A・水月(p3p008354)がむせ返った。
「きゅ、急になってこと言うんですか?! いや、ちょ、ええっ!?」
「わー、すごい。光の魔法を空に~って思ったけど、ピンクにした方がいい?」
「お、オデットさんも、揶揄わないでくださいよ!」
 あはは、とみんなで笑う。愛の形は様々あれど。どこにもここに、穏やかにある。
「はじめまして、ストイシャさん。零のおよめさんです」
 そういって、『零のお嫁さん』アニー・K・メルヴィル(p3p002602)がほほ笑む。ストイシャが、ふひひ、と、緊張したように笑った。
「よ、よろしく……えっと、レイの、おねえちゃん、です……」
「まぁ、知らないうちに、零ったら。
 ふふ、よろしくおねがいしますね、おねえちゃん?」
 アニーがほほ笑んだ。
「ねぇ、二人、これからスピーチですよね? 頑張ってきてくださいね」
「う、うん。れ、レイ? いこ?」
 そう言って、ストイシャが『つばさ』零・K・メルヴィル(p3p000277)の手を取った。そのまま、マイクの前に立つ。
「あー……。
 友人として、義理の弟として、スピーチする事になりました、零です。

 二人とも、結婚おめでとう。
 最初は結婚するなんて予想してなかったけど、人生は分からないもんだ
 でも、紡いだ縁があったからこその今がある。
 愛し合える関係は、とても素晴らしい事を俺も良く知っている、身を持ってな。

 ……だから、その愛を、絶やす事なく育み続けてくれ。
 幸せに成れよ。妙見子、ムラデン」
「ふ、二人が結婚するの、とっても不思議で。
 こ、こんな風な日がくるって、おもってなくて。

 ……っていうか、とっくに結婚してるかと思ってたんだけど。まだしてなかったんだ。

 だ、だから。あんまり、変わることは、ないとおもうけど。
 い、今まで以上に、幸せに、なってほしい。
 お姉さまも、私も、そう、思ってるから。
 ふたりとも、だいすき。しあわせに、ね」
 二人のスピーチに、ぱちぱちと拍手が上がる。
「お二人とも……ご結婚、おめでとうございます。

 お二人の絆が永遠であることを、自分は強く祈っています。2人とも、末永く幸せになってください。

 俺の大切な人が守ってくれた、俺達の大好きな世界で、幸せになってください。

 それが、『俺達』の願いです」
 ムサシが。想いを告げる。
「妙見子君、ムラデン君。結婚おめでとう。
 ふたりとは、先代ザビアボロスを討つときからの縁だけど、その後も色々あったよね。
 なんだか懐かしいなぁ。ツンツンしてたムラデン君と、張り合ってた妙見子君と……ふふふ。

 ……二人との思い出話は色々あるけど、ほら、こういうのは長いと嫌われるって言うだろ?
 だから、俺の分は手短に。
 ささやかながら、俺からふたりに祝福を。

 『きみたちにいいことがありますように!』」
 『背中は俺が』アルム・カンフローレル(p3p007874)が、その寿ぎを紡いで。
「おめでとうだ。
 終焉の可能性を覆した絆と愛を永遠のものとするための大切な儀式。
 ああ、いずれ必ずこうに至るとは確信していたさ。
 けれどな、やはり。あぁ……うん。
 語彙がなかなか出てこないが、そう、さな。
 外より 長く、長く、見続けていたモノとしては。
 焦ったくて、けれど微笑ましくて。
 たまには羨ましくも思ったものだ。
 そんな二人が真に結ばれるというのなら。
 手伝わぬ訳にはいかんだろう。
 ここには居ないが卮濘と芽衣子からも祝いの言葉を預かっている。
 ……神父役をやろうと思ったけど、変な井がいるのが、なんとも、だが。
 おめでとう。我ら三人からの、心から、世界への、皆への、祝福を」
 『敗れた幻想の担い手』夢野 幸潮(p3p010573)が、そう、言葉を紡ぐ。
さて、わたしもあいさつしなくっちゃね――」
 メリーノも、その想いを声に乗せて。伝える。
「……なんだ。これも、平和の象徴みたいなものか」
 『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)が、楽しげに笑う。多くのものが、二人を祝福していた。多くのものが、祝いの言葉を口にしていた。
「……なあ、シキ。やっぱ、こういう形の方が、いいのかな?
 いや、ムラデン達の事じゃなくて、なんというか……」
 もごもごと、『金庫破り』サンディ・カルタ(p3p000438)が言って、
「いや……なんでも、ない」
 そういうのへ、『明日を希う』シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)は笑った。
「私は君がそばにいてくれるだけでいいよ。サンディくん。
 でも、いつか私が死んだ時、君が楽しく思い出せる思い出は多い方がいいかな。
 ……そうだね。楽しい思い出に、為るような。そんなのが、いい」
 嬉しそうに。笑う。サンディは、少し恥ずかしそうに。微笑んだ。
「たみこママ、綺麗だね。
 ムラデンパパ、格好良いね」
 そう、『100点満点』Lily Aileen Lane(p3p002187)が、胸いっぱいの様子でそういうのへ、ストイシャは頷いてから、
「……でも、ムラデンがリリーのパパなの、なんだか納得いかない……」
 ふむ、とうなる。Lilyがくすくすと笑った。
「ストイシャさん、私、ブーケを取るの、頑張りたい、かな……」
 そう、ドキドキしながら言うのへ、ストイシャは、ん、とうなづいた。
「……ん。まだ、答えは出せないけど。
 ……がんばって、ね」
 そう、優しく。それでも、Lilyは、微笑んだ。
「ふふー、あったかくて優しい気持ちがたくさんニャ!」
 『(自称)ぬくもりの精霊種』芳(p3p010860)が、ころころと、ふわふわと、そう声を上げた。
「フフフ、ここはぬくもりの精霊種でサイコーの猫ちゃんな芳が、招き猫になってやるニャ!
 ハッピーであったかい結婚せーかつってやつを楽しむのニャ!」
「あ、ねこさん、かな……?」
 『優しい白子猫』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)がそういうのへ、『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は柔らかくうなづいた。
「ふふ、そうだね。猫さんも祝福してるね」
 そう言って、空を見上げた。真っ青な空が、世界を祝福しているようだった。
「結婚おめでとう! 末永くお幸せに、みゃ。
 僕も……光の白子猫も、沢山良い事ありますようにって願うよ! みゃー!」
「結婚おめでとう! 末永くお幸せにー!
 僕からも、星空の祝福……これから先にも良い事沢山ありますようにって願いを込めて!」
 祝福の言葉は、いくつも。いくつも。夜空の星のように、輝いて、いくつも――。
「まったく。知らねぇ奴の結婚式なんて、退屈で仕方ないってもんだ」
 ふん、と『特異運命座標』結樹 ねいな(p3p011471)は鼻を鳴らす。それから、妙見子をみつけて、
「ああ、あんたが、そうだな。
 これは伝言だ。
 『妙見子氏お幸せに。男なんてすべからず身勝手なんだから首輪付けとけよ』
 ……じゃ、参加した分、食事でもとって帰らせてもらうよ。
 ああ、一応。おめでとうございます。じゃあな」
 ひらり、と手を振った。
 赤い魂片の輝きが、妙見子の目に残るようだった。
「あ、そろそろブーケトスかな!?」
 『正義の味方』ルビー・アールオース(p3p009378)が、ぴょん、と声を上げた。
「おめでとう、って気持ちもあるけれど、もちろん縁起物!
 ボクも取りたい! 待たせてる子がいるんだから!」
「うむ! では、合図代わりではないが、祝砲を上げておくか!」
 わはは、と大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)が声を上げた。
「行くぞー! 祝砲、21発にて!」
「え、ええと。では、私も、お手伝いします」
 そう、『幸運艦』雪風(p3p010891)がほほ笑む。
「この世界にきて、迷っていた……そして、もう一度の絶望の中にいた私を、優しく導いてくれた、海のような、空のようなあなた。
 本当におめでとうございます妙見子さん。これからも末永くお幸せに。
 貴方達の船出に幸多からんことをこの幸運艦が祈らせて頂きます」
 たん。たん。たん。と。
 撃ち放たれる。
 合図のように。
 祝砲が。祝福を告げるように。
「妙見子さん。おめでとうございます」
 その、音を背に。『青の尖晶』ティナリス・ド・グランヴィル(p3n000302)は、妙見子へと笑いかけた。
「最後にもう一度だけ、ぎゅってしてもいいですか?
 ……あたたかい」
 寂しくないと言ったらうそになるけれど。
 祝福したいという気持ちも、心からのそれで。
 寂しくて。うれしくて。あたたかくて。それも消えてしまいそうで。
「ありがとう」
 大好きな、お母さん。
 と。
 ティナリスは、そう、笑いかける。
「ティナリス様――」
 妙見子がそういうのへ、ティナリスは、笑った。
「さ、ブーケトスまであと少し――大役ですよ、妙見子さん」
 そういうので、妙見子は頷いた。
 ここまでつないだ絆を。
 また、どこかへ。
 飛ばすのならば。
「……覚えていますか? いや、覚えているか――と言ったほうが、想起しやすいかな?」
 そう、『怪盗乱麻』結月 沙耶(p3p009126)が言うのへ、シェームは笑った。
「馬鹿め。儂は一度見た英雄は忘れん」
「……相対してからいったいどれほどの月日が経ったか。
 ふ、私も、貴方も……月日が経てば変わるものだな。人も、精霊も、竜種も……」
「ははは! だからこそ、守りがいがあったんじゃ……この世界は!」
「ちがい、ない」
 そう、沙耶もまた、笑う。
 たん、たん。また、祝砲がなる。
「シェームさん、果物を持ってきたの」
 『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)が、そう言った。
「覇竜柿、覇竜栗、覇竜ブルーベリー、覇竜ライチ。
 ユーフォニーさんはこれないけれど。きっと。きっと――」
「ああ、喜んでくれちょるじゃろう」
 シェームが、頷いた。
「シェームさん。俺」
 少しだけ、涙ぐむように、ムサシが言った。
「ああ。あの娘っ子もみちょる。一つ恨み節をいうならば――貴様らの式に、呼んでくれんかったことじゃ」
 父親のように、シェームはムサシの頭を撫でてやった。ムサシが、うつむいた。
 たん、と。最後の祝砲が鳴り響いて。
 ふわりと。ブーケが跳んだ。
「素敵な結婚式だね。お裾分けしてもらった幸せを僕達も繋げようか」
 そう、『つれないシンデレラ』トール=アシェンプテル(p3p010816)が笑った。
「うん。わたしの大好きな、王子様」
 すこしだけ、顔を隠して、優しく、うなづく。『Lumière Stellaire』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は、その口元に、優しい笑顔を浮かべている。
 その想いを、優しさを、誰よりも一番、知っているから。

 ブーケが跳んだ。想いが跳んだ。
 それを、誰が取ったかなんて――。
 記す必要はないだろう。

 これは、一人の女の子が、一人の男の子とであって。
 触れ合って、離れて、また触れ合って。
 そして、お互いを愛し合う。
 ただそれだけの、当たり前の、どこにでもある、結婚式の物語。










 ねぇ、ムラデン。
 結婚した後の生活はどうしましょうか。
 零様が作ったパンを毎朝食べて。
 午後はストイシャ様とlily様と……ザビーネ様を呼んでお茶会なんかも。
 ――ふふ。あんまり変わらないのはわかってますよ。

 ――そう言って、揶揄うように笑う、君の声も。

 貴方は?
 これから私とどうありたいのか。
 どうか貴方の想いを聞きたいんです。

 ――そうやって、少しだけ不安げな、臆病な所も。

 家族になっても日常はきっと変わらない。
 けれどその一日一日を大事に。
 貴方と歩んでいければ。
 私はそれだけで幸せなんです。

 ――そうやって、女の子みたいに笑うところも。

 だからこれからもずっと。
 お傍に置いてくださいね。

 ――そうやって、誰よりも可愛らしく笑うところも。
   全部全部。

「愛してるよ、妙見子。
 僕だけの、僕だけが飛ぶための、空」

成否

成功

MVP

水天宮 妙見子(p3p010644)
僕だけの青空

状態異常

なし

あとがき

 おめでとうございます――!


(万が一登場漏れがあった場合はご連絡ください!)

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