PandoraPartyProject

シナリオ詳細

聲だけを見つめて

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●聲の在処
「……へっくしゅ!」
 季節は春に向けて着々と進み始めているはずなのに、今日に限って吹きすさぶ風は妙に冷たい。
 そんなことを思う少年【セルジュ・スヴェート】は外套の襟で口元を隠す。
 彼はとある理由から、混沌各地の墓地を巡り、そこに眠る死者の魂――死霊と会話することを生業としていた。
『なんだ術師、この程度の寒さでへこたれたのか?』
「うるせぇな。そんなんじゃねぇって」
『あら、風邪じゃないならそうねぇ……噂されてるのかも知れないわ。 術師ちゃんはツンデレちゃんだからすぐその場から居なくなっちゃったけど、この前魔物から助けてあげた子供達、貴方に御礼を言いたくて暫く探してたみたいだったもの』
「それも違うっての!」
『これこれお主ら、墓守殿はあまり気が長い方ではない。そうおもちゃにしていては魂を燃やされてしまいますぞ』
『あらやだわぁ。折角村の外を見て回れているんだもの、もっと長生きしたいのに』
 セルジュの周りには、彼よりもずっと年を経た大人達が寄り添い談笑を堪能している。
 当然その中にはセルジュも含まれていて。
 一見すればそれは相応の時間を共に過ごした冒険者パーティーか。
 はたまた年の離れた兄姉と可愛い弟といったところか。
 定義はともかく、誰しもが仲睦まじいと称するであろう関係性がそこにあった。
「こんなところで一人ぼっちだなんて……何をしているんですか?」
 そう、それは『一見できたならば』の話である。
「……お前には関係ないだろ」
 見えないならば、それでいい。
 いつのまにかそこに佇んでいた垂れ目の子供の質問を受け流すと、セルジュはその横を通り過ぎようとした。
「君は、本当にひとりぼっちじゃないって自信を持っていえますか?」
 しつこい。そう思った。
 にげたい。とも思った。
 子供は嫌いだ。
 自分が子供ではないと他人から認められるかは横に置くとしても、子供を見ていると嫌な思い出が甦るから。
 心に渦巻く感情を何とか抑え、セルジュは振り返る。
「……いい加減にしろ。言ったよな? お前には関係ない」
「確かに関係はないとも言えるし、関係はあるとも言えるんですよ」
 子供が手を伸ばす。
 するとセルジュの周りにいた『隣人達』の姿が見えなくなった。
 当然、彼らの声も聞こえない。
「……えっ?」
「死霊術師。死んだ人の魂の声が聞こえる、でしたっけ?」
「お前、何しやがった!?」
 怒りのまま、セルジュは持っていたロウソクの炎に魔力を込めた息を吹きかけると、それは火炎となって子供を襲う。
 しかし子供の眼前に生じた魔力障壁は炎にびくともしなかった。
「ボクは彼らには何もしていません。ただ、あなたに声が聞こないようにしただけです」
「ふざけんな! あいつらは俺の……!」
 喉まで出かかった言葉が引っかかっている。
 口煩い駒? 平時ならそう言ってやっても良かった。
 だが『あれ』から約3年。
 今の俺と共にあり、俺に生きる術を与えてくれた死霊達は、俺の……。
「大切な存在ですか?」
「――つっ!」
 見透かしたような言動がいちいち癪に障る。
 だから出来うる限りの怒りをぶつけるしかなかった。
 たとえそれが何度阻まれ、無意味に終わると分かっていても。
「はぁ、はぁ……もう、魔力が……」
「気が済んだところで、質問の続きです」
 子供はさも何事も無かったかのように平然としている。
 俺はこんな齢一桁にも思える奴に殺されてしまうのだろうか。
 そう思い目を瞑るセルジュであったが、彼に送られたものは痛みではなく更なる問いかけであった。
「願いますか?」
「……え?」
「もう一度死者の声を聞きたいと願いますか?」
「……」
 訳も分からないこの状況。
 およそこれが普通の問いかけに止まらないことは頭では分かっているつもりだ。
 でも。
「……せよ」
「?」
「俺の、もう一つの家族を……返せよ!」
 その言葉に、たれ目の少年は笑みを浮かべる。
「分かりました、では願いを叶えます。貴方が進んで耳を貸す聲も、貴方が敢えて耳を塞いでいた聲も全部……聞こえるように」
 子供が指を鳴らすと、セルジュの足元に魔法陣が開く。
 落ちるようにして通り抜けた先には、幻想内のとある墓地が広がっていた。
(転移、させられたのか? あれ、この墓地って確か……)
 セルジュの古い記憶が呼び起こされる。

~~~

 あれは彼がもっと子供で、丁度『声』が聞こえ始めた頃だったか。
 父親に墓守という『スヴェート家』の生業について、興味本位で色々聞いていた時の事だ。
「僕達の守るお墓が一杯になっちゃったらどうなるの?」
「そうだな……。多分この村の墓場じゃなくて、山の向こうの墓地に埋葬するんだろうな。この辺りには他に墓地もないはずだし」
「へー。じゃあ僕が墓守になったら、そっちにもご挨拶に行かなきゃね」
「挨拶?」
「そ! 僕が皆を守るからねって」
「そうか。セルジュは他人思いの優しい子だね。よし、じゃあ今度父さんが連れて行ってやる」
「いいの? やったー!」

~~~

(やっぱりそうだ、間違いない)
 セルジュが場所に気づいた様子を見た垂れ目の子供は、新たに展開した魔法陣から小さな人のような、精霊のような、形容し難い『何か』を召喚。
 何かは墓石の周辺を飛び周り、何やら気味の悪い魔力をばらまき始めた。
「たくさん願いが叶うといいね」
 子供もそれだけ言い残すと魔法陣の中へ姿を消し。
 それと同時に死霊達の聲がまた聞こえるようになった。
『おい術師、大丈夫か!?』
『まだ聞こえてないのかしら? 術師ちゃん!』
『墓守殿!』
「落ち着けお前ら、もう聞こえてるよ!」
 少しだけ表情に笑顔が戻り。
 セルジュはロウソクの炎を左右にふって望みの顔を探すが、その姿はどこにも『視えない』。
「いや、やっぱりまだ何かおかしい。お前らの姿が見えねぇんだ」
 必死に周囲を探すセルジュ。
 そんな彼の耳に、ふとある『聲』が聞こえた。
『ナンデ、コロシタ……』
「っ、その声!?」
 振り返る。
 ロウソクが僅か照らす視線の先には、12歳前後の子供を彷彿とさせる骸骨達が、ゆったりと近づいてくる。
『コロサナクテモ、イイジャナイ』
『ボクタチハタダ、コワカッタンダ。ゴメンネ』
「あ、あぁ……」
 聞こえるはずなのに、聞こうとしなかったもの。
 恐れていたから、各地の霊を癒すことで忘れようとしていたもの。
『コンドハオマエモナカマニイレテヤル』
 あの時まで『隣人』だった、大嫌いな子供達の声が。
『ダカラ……コッチニコイヨ』

●思いの在処
「依頼。人捜しする……してほしい?」
 『赤翡翠』チック・シュテル(p3p000932)の言葉に、新米情報屋は頷く。
「『先輩』に相談したらチックさんにお話を通す様に、って言われまして」
「先輩……」
 チックの耳に輝く『幸祝』のピアスが揺れる。
 新米情報屋によれば、件の人物はセルジュといい、彼が消えた3年前から家族はずっと彼の事を探してくれとローレットに依頼していたというのだ。
「彼が消えた日、村の墓地には多数の子供の死体がありましたから、村では彼も殺されたんでは、という話になったらしいんですけど」
 それでも彼の家族である父親に母親、二人の兄姉に妹までもが彼が生きていると強く信じ、何時までもその時を待つとして、依頼を取り下げなかったのだ。
「正直、これもいわゆる未解決の依頼になるかな~とか思ってたんですけど。なんとさっき、垂れ目の子供がこの少年を幻想の墓地で見たって情報提供してくれて!」
 仮にセルジュだったとすれば齢は15歳。
 情報提供した子供も『それくらいの人だった』と証言したこともあり、様々な縁ある子供達を迎え入れて一緒に暮らしているチックであれば、そんな子供の面倒も上手く見れるだろうと、ローレットも判断したらしい。
「イレギュラーズの皆さんに言ってることですけど、最近世の中も色々騒がしいですし、無理だけはしないで下さいね」
「うん、大丈夫。俺、大事な約束、あるから。条件は……絶対守る、する」
「分かりました。他にも協力してくれそうな方々に声をかけておきますから、先に墓地へ向かっていって下さい。あ、今からだと到着は夜になるでしょうから、夜道には気を付けて下さいね」
 こうして新米情報屋に見送られる形で、チックは目的地へと向かうのであった。


●慟哭
 ――やめろ、もうやめてくれよ!
 確かに俺は『こいつら全員を酷い目に遭わせてくれ』と願った!
 その結果、ああなるなんて思わなかったんだ!

 少年は嘆く。
 かつて犯した罪に触れられて。

 ――だから俺は家族を傷つけたくなくて村を離れた!
 ……ああ、本当だ!
 逃げただけ? 違う!

 聲は問う。
 『力を貸してやる。隣人であるお前には私達を統べる力がある』。
 その言葉に従ったのは真であるかと。
 真ならば再び問う。
 お前が信じる隣人達は本当に家族に見合う存在なのかと。
 お前を油断させ、お前を取り殺そうとしていないと言えるのかと。

 そ、そんなことあるもんかよ! そうだよなぁ!!?

 懇願。
 けれどそれに応える聲はない。
 それは答えが伏せられたのか。
 それとも届かなかっただけなのか。

 ――なぁおい、違うって言ってくれよ……!
 なぁ!!!

 苦悩は、続く。

GMコメント

リクエスト、ありがとうございます!
大変長らくお待たせ致しました。
本作は「方針:シリアス」でのご希望を頂いております。
イレギュラーズらしく希望を諦めず参加いただければと思いますが、プレイング次第では絶望エンドもあり得ますし、仮にビターエンドでも充分健闘したと言える結果です。そちらをご了承の上ご参加下さい。


●目標(成否判定&ハイルール適用)
 セルジュ・スヴェートの救出

●副目標(一例。個人的な目標があれば下記以外にも設定可)
 セルジュ・スヴェートの無事な帰還

●優先
※本シナリオは、リクエストに基づき制作されておりますので、リクエスト者様(敬称略)は参加確定済となります。
・『赤翡翠』チック・シュテル(p3p000932)

●冒険エリア
【幻想内某地】
 鬱蒼とした森を抜けた先にある墓地とその周辺500m(以後「墓地」表記)

●冒険開始時のPC状況
 チックさんと共に墓地へ辿りついた所からスタートです。

《依頼遂行に当たり物語内で提供されたPC情報(提供者:子供達 情報確度B)》

●概要
 ローレットを経由した捜索依頼を受けセルジュ・スヴェートを探しに
幻想のとある墓地へ辿りついた一行。
 そこには死霊の聲に悩まされるセルジュの姿が。
 声を封じられた環境において、一行はセルジュの救出に向け死者の残滓に立ち向かう。


●人物(NPC)詳細
【『枯骨の隣人』セルジュ・スヴェート】
設定:https://rev1.reversion.jp/guild/1/thread/4058?id=1747161

 チックさんの関係者(シナリオ背景のキャラクター)。
 15歳の人間種。
 本シナリオとは別の、幻想内村落の墓地を管理するスヴェート家の次男。
 7歳より死霊の声が聞こえるようになり始め、気味悪がった村の他の子供達から虐めを受けるようになる。
 12歳の時、彼が死霊に願った事がきっかけで虐めをしていた子供達は全員死亡。
 家族への危害に対する心配と罪の意識から死霊達と共に村を逃げ出していた。

【子供達】
 たれ目の少年。
 意味深な事をいいつつ終焉獣を操ります。
 とはいえ、現状は良く分からない存在で、リプレイ内では姿を見せません。
 つまり無視して良いということです。

●敵詳細
【セルジュ】
 本人にそのつもりはないのですが、恐ろしい聲から心を守るため重圧と特殊呪殺を付与する『慟哭』をエリア全域に放ちます。
 ※この特殊呪殺は無効化不可の「BS1つに付き666ダメージ」です。
  重圧はBS無効で無効化できます。

【終焉獣クルエラ】
 終焉獣や寄生終焉獣を率いることができる、いわゆる指揮官級個体の終焉獣。
 今回は特殊な小人のような個体で、基本的にあらゆるスキルや五感での感知をかいくぐり、素早い動きで墓地内を逃げ回ります(識別も無効。エリア内にいることだけは分かります)。
 確定3回行動、1行動ごとにランダムデバフ1つをPC全員に付与します。
 (選ばれるBSは全てが対象ですが、皆様の無効化所持>軽減所持>耐性なしの順で選択率が高いです)
 早く倒したいところですが、特殊な魔力で生者のイレギュラーズは触れることができません(必中も外れます)。
 具体的な位置把握は『エコロケーション』でのみ可能。
場所を把握した上で『霊魂/精霊操作』を用い周囲を揺蕩う不可思議な存在の協力を得られれば、彼らがクルエラの魔力を押さえつけることにより攻撃できるようになります(この状態になれば必中でなくとも攻撃が当たります)。
 このクルエラは墓地からは出てこないので、いざとなれば戦闘エリアからセルジュを連れだし強制離脱させても構いません。

【終焉獣】
 土に還った骨をクルエラが滅びアークの力で再生し出現させた骸骨達。
 基本40体、PC参加数により多少増減します。
 識別不可(仮に識別を試みれば、「まさしく人間」と識別されます)。
 大小種族様々ですが、戦闘能力自体は強くありません。(所詮骨なので)
 『テレパス』系列を所持していた場合、死者の声を聞く力が無い方でも、死んだ理由を問うたり悔いを嘆いたりと、様々な聲が聞こえます。

●特殊判定
 今回のみ、エリア全域に『慟哭』が発動しています。
 慟哭下では呪殺ダメージが生じる他、以下の特殊判定があります。
・声が出せない
 →チックさんのみ、プレイングがあればギフトの力で話す事ができます。
  (チックさんと同様のギフトをお持ちのPC様がいた場合、その方も指定があれば話せます)

●エリアギミック詳細
<1:墓地>
 PC達はエリア南側からスタート。
 エリア北側にセルジュがいます。
 エリア全域にお墓が点在しており、お墓の大小は様々です。
 時間帯は夜ですが月明かりが差し込んでいるので視覚には影響ありません。
 (とはいえ死霊の魂などで溢れているため視える人には靄がかかったような印象を受けます)

<全般>
光源:1問題なし
足場:1問題なし
飛行:1可
騎乗:1可(あまり利点は無さそうです)
遮蔽:1有
特記:特になし

《PL情報(提供者:GM プレイングに際しての参考にどうぞ)》
【主目標のために何すればよい?】
 極端な事を言えば、骸骨達をなぎ倒しセルジュの手を引けば救出できます。
 但しその場合、彼の中の聲がどうなるかは不明です。

【慟哭】
 基本的に声を発せないので、イレギュラーズ同士で連携を取るにはテレパスが有効です。
 ただしそれを使えば様々な声が聞こえます。
 死者は死を嘆き、生きたいと願います。
 自分達の声をイレギュラーズが聞いている事を理解しています。
 それに対して皆様は行動を用いて答えを示す事となるでしょう。
(テレパスで聞こえる死者の声は一方通行ですが、霊体と交信できる方は、テレパスとの併用で思念を通じて思いを伝えることは出来ます。
 ですが相手は人間的コミュニケーションで応えてくれる状態ではありません)
 最終決戦も間近に控えた今なら、生きる覚悟が示せる方も多いのではないでしょうか。

【戦闘】
BSの無効化を個々人で充実させるか、BS回復ができるヒーラーの方がある程度いれば戦闘自体にそこまで頭を悩ませることはないでしょう。
心情とそれに伴った行動がどう精霊や霊魂に届くかで、シナリオの結末が分かれるかと思います。

【セルジュ】
慟哭状態のため、死霊の声とテレパスの声の区別がつかず、死霊の声は内容の如何を問わず、聞かず恐れます。
上手く立ち回れば多少の音には反応し得る環境ですので、何かを伝えるとしてもそこからになります。
確実に届けられるのは「生者の声」だけです。
但しチックさんに頼りすぎれば彼の翼はより澱みに沈むことでしょう。
『ゼノポルタの彼』が悲しまないよう、仲間の皆様は是非協力してあげて下さい。

【死霊】
セルジュにとって自分を虐めという苦難から救い、ついてきてくれていた死霊達は、幼い自分に生きる術を与えてくれたもう一つの家族です。
少なくとも彼はそう信じています。
真実がどうかは現状分かりませんが、裏切られないよう予防線を張るのも、信じたいと願い裏切られるのも、信じ抜いた末に希望を掴むのも、どれも自由に選ばれるべき生き方です。
その上で、皆様はセルジュという『誰かの助けとなる為に』ここにいます。


・その他
目標達成の最低難易度はN相当ですが、行動や状況次第では難易度の上昇、パンドラ復活や重傷も充分あり得ます。

  • 聲だけを見つめて完了
  • GM名pnkjynp
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2024年03月30日 22時30分
  • 参加人数7/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠
※参加確定済み※
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
月夜の魔法使い
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
レイン・レイン(p3p010586)
玉響

リプレイ

●囚われる者
 幻想のとある墓場入口へとやってきた一行。
 そこには微かに感じられる滅びのアークの気配。そして――。
「もう……もうやめてくれよぉぉ!!!」
 【セルジュ・スヴェート】から溢れ出す慟哭の聲があった。
「この帳、セルジュが持つ罪悪感……ってところかしら。己の心を圧し殺してしまいそうな嘆きね」
 聲は目に視えぬもの。
 だが『冥府への導き手』マリカ・ハウ(p3p009233)はそれが一種の魔力として作用し、墓場全体を包みこんでいると感じ取っていた。
 仮に長時間この聲を聞き続けたならば、心身に影響が出るのは間違いない。
 そしてそれはセルジュも同じであろうと彼女には推察できた。
「例えセルジュの過去に、大きな罪がある……だとしても」
 『赤翡翠』チック・シュテル(p3p000932)にもまた、墓場に満ちる『誰か』達の悲しみが聞こえている。
「苦しむ、してるのを……見捨てるなんて、できない」
 チックの言葉に『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)や『玉響』レイン・レイン(p3p010586)も頷いた。
「当然だ。人は未熟な心故に誰だって罪を犯し得る。だがそれは同時に、心を強くし罪を償えば過ちを乗り越えられるという証明でもあるはずだ。なら彼の心を救い、俺達で強くなれるよう支えてやろう」
「そうだね……。人の心には、きっと沢山の色があるから……。セルジュの心が、海の底みたいに黒く暗い色に沈んでいるなら……浮かんだ先にも明るい色があるって……伝えてあげないと」
 他の者達も同様の意見であった。
 こうして改めて救いの意志を固めた一行は、墓地の中へと侵入する。

~~~

(見たところ、終焉の気配以外は普通の墓地みたいですね)
 周囲を見渡す『追憶駆ける希望』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)。
 彼の見立て通り、墓地それ自体は何処にでもある様式の、こじんまりとした広さ。
 恐らく小さな村や町が幾つかで連携して、自分達だけで共同管理し利用するのだろう。
 裏を返せば、その地域である程度長く暮らす住人なら名前を見れば眠る全員の顔も浮かぶほど近しい関係性が構築されやすい環境とも言えようか。
 一行は警戒しつつ聲の元へと近づいていき、程なくして地に蹲るセルジュを見つける。
 遠くからでも分かるのは、彼が何体かの骸骨に囲まれていること。
 そしてこの叫びが続く限り、彼が苦しんでいるということだけである。
「! ……?」
 最初に異変に気づいたのは『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)であった。
(声が……出せない?)
 呼吸には一切影響がない。
 なのにどうしても、喋る事は出来ない。
 声帯が震える感覚はあるのにだ。
 話すという機能だけが取り除かれた不快感。
 それは仲違いした友人へかけようとした声を飲み込んだ時の、あの胸悪さにも似ていた。
『ねぇ咲良さん? 私とお話してみてくれる?』
 それならばとヴェルーリアは念話で隣にいた『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)へ話しかけた。
『え? 別にいいけど……ってあれ!?』
 だがやはり咲良も同様で。
 二人がハイテレパスで全員の状況を確認すれば、誰も声を出せないのは勿論、彼女らとチック以外は主体的な念話も難しい状況ということが分かった。
『声を出さずに連携なんて慣れてないけど、やるっきゃないよね』
 状況を理解した咲良は一行の先頭に立つ。
 危険があれば自慢の早さで先んじて敵をうち倒す心算なのだろう。
 それを察したヴェルーリアとチックもそれぞれ中央と後方に位置し、どこから何が来ても良いよう備えたその瞬間。
「ニヒヒヒ!」
 気味の悪い聲が反響する不協和音となって、四方八方から一行を嘲笑ってきた。
(数が多い? ……いや)  
 だが音楽家として耳を鍛えてきたイズマは音の反響を冷静かつ正確に分析する。
 そう、聲が反響しているのではない。
 聲そのものが素早い速度で動き回っているのだ。
(俺の耳から逃れられると思うなよ!)
 イズマは狙い済ました場所へ剣を抜き放つと、生じた音に魔力を込め弩のようにして打ち出す。
 それは確実に聲の主――終焉獣を捉えており、迫る魔力が敵は小人のような個体であることを明らかにした。
「ヒヒハハハ!」
 しかし、攻撃は終焉獣をすり抜け後ろの墓石に命中。
 ヴェルーリアの張る保護結界のおかげで墓地に被害はなかったものの、魔力が近くから消えたことで終焉獣は再び姿が見えなくなってしまう。
「キヒ!」
 お返しと言わんばかりに、終焉獣は逃げ回りながら黒い魔力を上下方向へ放出。
 上に飛んだ魔力はイレギュラーズ達の頭上で弾けると、大粒の雨となって肌に染み身体を穢す。
『皆気をつけて! この魔力、触れると色々良くないみたい!』
 自身に付着した黒い雫を咄嗟に振り払い、注意を促す咲良。
 敵が終焉獣である以上、滅びの魔力を宿すこの雨が自分達に不調を与えるのは間違いない。
 咲良がとりわけ深刻だと感じたのは、濡れた箇所がセルジュの声に合わせチリチリと痛むことに対してだ。
 もし自身に火炎耐性が無ければ、この痛みは無視できないものとなっていただろう。
『濡れるほどどんどん危険な呪いになっていくと思うよ!』
『でもこんな狭いところじゃ躱しきれないし……それなら!』
 咲良がパーティーの先頭へ立ち、己が身を賭して敵を見定め人々を導くならば。
 どんな厳しい環境においても冷静さを保ち、パーティーを希望の道へ導くことがヴェルーリアの持ち味だ。
  彼女は自身に祈りの術と遂行の術を付与すると、続けざま癒しの魔力で自分と仲間達から穢れを取り払う。
 『ありがとうございますヴェルーリア様。鼬ごっこにはなってしまいますが、お陰様で雨は凌げそうです。ですが……』
 ジョシュアが見つめる先では、地へ放たれた魔力が土から骸骨の終焉獣を生成していく。
『ナンデ、ナンデ……』
『マダ……アノコノソバニ』
(この聲……)
  テレパスはなくとも、霊魂との意思疎通に心得があるレイン。
(墓地に眠る人達の、霊魂……)
 だから分かる。
 呻くような音を発する骸骨達――死者の仮初めというモノトーンの中にも、微かな色の違いがあることを。
(どの個体も、それぞれの未練を思って、嘆いてる……)
 骸骨達はセルジュと一行の間に並び立ち。
 生者たるイレギュラーズへ吸い寄せられるよう迫らんとする。
『モット、ヤリタイコトガアッタ……!』
『……眠りに着いていた、魂達が。凄く苦しい、してる。きっと、終焉獣の魔力が、骨で象った檻に……閉じ込める、したから』
 チックは一度だけ深呼吸をして。
 己が背負う翼を見やる。
 純白とは言えなくなってしまったけれど。
 それでも、まだ。
「だから皆……助けるために、終焉の骨を、壊す……してほしい」
 響く慟哭ですらかき消せない、チックの声が仲間達の耳へ届く。
 第一声はたどたどしく零す彼の言葉であったが。
 続く声は固い信念と覚悟が籠もった伸びやかで真白な旋律だった。
 声は白き灯火へと変わり骨を焼くが、中の魂まで燃やし尽くさないよう加減されている。
(そう、そういうことね)
 ほんの僅か、けれど確実に黒ずみ始めるチックの翼。
 そこに滲む覚悟を感じ取ったマリカは、骸の刃と死者の肉で出来たアンデットの鎌を構えると地面に魔法陣を刻み込み。
 マリカが『お友達』と呼んでいる、彼女と深い結びつきをもつ死霊達を召喚していく。
『怒れる魂(ハー)よ、『お友達』の軍門に下りなさい』
 マリカが鎌を掲げれば、それは本格的な開戦の合図となる。
 墓場という静寂たるべし空間に、数多の音が響き。
 生と死が交錯する。
「――!」
『……行くよ、ジョシュアくん!』
『……はい、咲良様!』
 呻く骸骨目がけ猛スピードで駆け出した咲良。
 テレパスを通じて、彼女にも聲は聞こえている。
『ボクハ、マダネムリタク、ナイ……!』
(ゴメンね。アタシには死んでしまった君達を成仏させてあげたりはできない。でも、終焉獣に利用させたままにはしないから!)
 正義は涙なしには語れない。
 だからこそ。涙を拭き、迷うことなく進まなければ正義は貫けない。
 勢いを乗せた拳は骨を完膚なきまでに砕ききる。
『アアァァァ!』
『死霊の皆様……心苦しくはありますが』
 ――どうか彷徨える道程に月の導きがありますように。
 祈りを込めたジョシュアの聖弓が、咲良を狙う骸骨の胸部を射抜けば。
 倒れ込む衝撃でバラバラとなった骨は滅びのアークへと回帰し霧散。
 飛び出た死霊が再び利用されることの無いよう、マリカが操る死霊達が回収していく。
『大丈夫よ、お友達は敵じゃない。あなた達を慰め、滾らせ、必要としてくれる。そして生まれ変わる準備が出来たなら、冥府(ドゥアド)へ……死の審判が下される場所まで、送ってあげる』
 『怖くないよ』とは言わない。
 私からは手を握らない。
 それはマリカが経験したafraid(恐怖)の出来事に起因する。
 けれど死者に心から信じてもらえなければ救いを与えるなど叶わない。
 ネクロマンサーの名にかけて、マリカは死霊達への語り掛けに集中する。
(マリカさん、今回は大丈夫そうだな)
 かつてマリカの苦しみに立ち会ったイズマ。
 今回の依頼の話を聞き、集まった中に彼女がいることを知り心配していたのだが、どうやら今は温かなスープも必要なさそうだ。
(ならば、セルジュさんの救出へ集中するのみ!)
 イズマもまたチックやマリカを信じ、折れぬ意志で骸骨達を倒しセルジュへの道を切り開いていく。
(あれは……)
 クラゲの海種であるレインは、黒い雨が滴る中でも顔を拭うことなく前を向き続けていられた。
 ようやくセルジュへ声や音を届けられるような距離まで近づけたところで、セルジュの近くで佇む骸骨達の内、3体だけ背中に死霊が取り憑いた個体がいることに気づいた。
『スッゴク、イタカッタ……』
『パパトママ……ゲンキカナ』
「なんだよそれ……なんでそんなこと言うんだよ?! そんなの、そんなの……俺だって同じなのに!」
(そうか、あれが情報屋の人が言っていた……)
 無理やり死者を呼び起こすなんて。
 人の心がない終焉獣だからこそ、こうまでむごいことをするのだと思っていた。
 けれどレインが思う以上に。
 終焉獣は――この出来事を仕組んだ者は、人の心を弄んでいる。
(あの骸骨に、本当にセルジュが過去大変な事をした子達の魂が入っているのなら……)
 望むものを見つめるためには、向き合わなければならないのだ。
 セルジュの本当の罪に。


●真実を抱いて
 大半の骸骨達を打ち倒した一行。
 残すはセルジュを囲む数体だけとなり。
 死霊も、骸骨が捕らえている3体を除けばマリカのお友達によって保護されている。
 後は彼らの悲しみに対してどうにか決着をつけるのみだ。
『聞こえるかい、骸骨の中にいる霊達』
 イズマが問う。
『君達は本当にセルジュさんを貶めたいのか? もし自分達の行いを罪だと感じているなら、今が謝れる最後のチャンスだよ』
 イズマの言葉に一部の骸骨達は頷く。
 だが、死霊を背負う3体の骸骨は首を縦に振らない。
『ヤダ。コイツガ、オレタチヲ、コロシタンダ』
「違う、違う! 俺じゃない、俺のせいじゃない!!」
『ジャア、ダァレ?』
「そ、それは……」
 ――俺の家族なのか?
「違う違う違う!!!」
 今のセルジュにはイズマの声も骸骨の聲も同じ死者のものに思えてしまうのだろう。
 強まる慟哭に顔を歪めつつも、マリカは言葉を紡ぐ。
『そうして目を逸らしたくなる気持ち、私にも覚えがないわけじゃないわ』
 記憶を失い、ただ『ハロウィン』を繰り返していた日々が甦る。
 真実に蓋をし、ただ無邪気な子供として楽しい時間を過ごす。
 そうすれば心が壊れることはなく。
 彼女を愛した死霊達もその道を選ぶ事を止めなかった。
 だが真実という恐怖に向き合ったことで。
 今は本当の意味で死霊達と結び付いている。
『けれどね。あなたの視えているものがすべてなのよ。だから今ある事実をまず受け留めなさい。その上で、あなたはあなたの信じる死者の聲を信じなさい』
 咲良もセルジュに呼びかける。
『アタシもイジメがどれだけ酷い事かは知ってるよ。セルジュくんが死霊に願いたくなってしまうまで、長い間耐えてたことも聞いた。……辛かったよね』
 仕返しが怖くて、本当の家族にも相談出来なくて。
 頼れるのは死霊達だけだったのだろう。
 元の世界でイジメに悩んでいた同級生が咲良の脳裏にちらつく。
『すぐに前を向けなくてもいい。でもね、今ここにいるアタシ達はあなたを助けたいと思ってここにいる! それだけは信じてほしいな』
「うっ、ううっ……」
 慟哭の声が僅かに弱まった。
『セルジュさん頑張って! あなたは生きてる人からも死んでる人からも思われてる……一人じゃないんだよ!』
 これまで回復に専念していたヴェルーリアもまた、手から光を出し一歩一歩セルジュとの距離を縮めていく。
 声が出せないなりに、自分達の思いが届きやすいよう、他の感覚に訴えかける作戦だ。
 これは一種の賭けでもあった。
 もしセルジュが立ち上がる前にこちらが力尽きたなら。
 考えなかったわけではない。
 それでも、絶望の淵に居る彼へ希望を届けられるなら今しか無いのだと。
 ヴェルーリアの中で煌めく『ホープ』が背を押していた。
 イズマも彼女に倣い、持ち込んでいた小物打楽器で気持ちが明るくなるようなリズムを刻んでいく。
『ナンデソイツヲカバウノ?』
 水を差すのは、骸骨からの聲。
 それにはレインが向き合った。
『骨の外に出ている死霊……キミ達はセルジュの家族の人達なんだよね……?』
 腕を組み、祈りを捧げるように。
『今のセルジュには……キミ達の声が、キミ達との思い出が必要なんだ……今ここでキミ達が助けてあげないと、彼が本当に死んじゃうよ……』
 死。その言葉に、3体の骸骨は鈍る。
『セルジュとキミ達の間に……何か秘密があったのだとしても……一つ一つ解決すれば、きっとわかり合えるよ……。生者と死者、違いはあるけど、キミ達には……話し合って分かり合う力が、あるはずだよ……』
 言葉に合わせ、レインも自身の髪をゆっくりと七色に輝かせる。
 虹を想起させる光はヴェルーリアやイズマの演出と相まって、この絶望においても不思議と心を明るくさせてくれた。
『……分かった。真実を話すぜ』
 骸骨の1体が項垂れ、背の死霊が顔を上げる。
 それに続くように残る死霊も骸骨から主導権を奪った。
 死霊達は語る。
 謎の子供に真実を話す選択をしない限り、声を出せなくされていたこと。
 自分達が融合させられた骸骨達の魂は既に自我が消され、終焉獣が成り代わり話していたこと。
 そして――。
『あの日、術師ちゃんは確かに願った。でもその願いは正しく働かなかったの』
 当時多くの死霊はセルジュと友好を築いていた。
 しかし当然ながらそれは全ての魂からでは無く。
 聲で彼をそそのかし、初めての使役を行わせた死霊はセルジュの願いを利用して身体を奪い、子供達を殺したのだった。
『それでは、子供達を殺したのは本当にセルジュ様……』
 ジョシュアが零した真実に、死霊は暫し沈黙するも。
『うむ……墓守殿であったのだ』
 死霊達は彼の身体をかけて争い殺し合い。
 結果として彼らの魂だけが残った。
 3人はセルジュが罪の意識に苦み死んでしまわぬよう、記憶を封じ彼を見張っていたのだ。
『そう……だったんだね』
「お、俺がこの手であいつらを……そのせいで死霊の皆も……!? ああああああ!!!」
 これまでで最も激しい慟哭。
 最早音ではなく真空波にも近しいそれは骸骨達を引き裂き、イレギュラーズ達をも傷つける。
「キヒヒヒヒャハ!!」
 吹き飛ばされていく死霊達を見て、嘲笑う聲。
『何が……おかしいのよ』
 けれどマリカのお友達が何とか彼らを受けとめ。
「セルジュ……」
 チックは両手を広げ歩み、詩を歌う。
 身体中を切裂かれながらも、止まることはない。
 仲間達も、再び光と音でそれを支えた。
『……罪っていうのは、ね。ずっと無くなる、しないもの……なんだ。
 たとえ逃げる、続けても、ずっと……離れない。ついて来る。
 だから、今のまま、してたら……苦しみも、続くよ』
 詩(うた)は彼の耳を癒し。
 詩(ことば)は彼の心を包む。
 どうか思いが届きますように。
 チックの優しい願いが注がれていく。
『止める、するには……向き合う、しなくちゃ……いけない。
 死霊の家族が、したみたいに。
 それはきっと怖い、だけど。君は一人じゃない。
 おれ達も、死霊の家族も、君が残す……した家族も。
 皆で支える、するから……ね』
 チックの両手が、ついにセルジュを抱きしめた。
「お、俺……!」
 嗚咽で声は滲んでいた。
 けれどチックにはハッキリと聞こえた。
 『ごめんなさい』。
 それはまるで解呪の祝詞となって。
「キヒャ!?」
 墓場から魔力の帳が溶けていく。
「みんな、あそこを狙ってくれ!」
 声が帰ってきたイズマが場所を示せば。
「死霊さん……!」
「あれとはお友達になりたくないわ」
 レインとマリカに従って、墓場中の霊がどんどんと取り憑き終焉獣の速度を奪っていく。
「逃がしません!」
 そこに狙い済ましたジョシュアの放つ封殺の矢が突き刺さり。
「今です!」
「おりゃあああぁぁ!!!」
 連鎖した咲良の拳が、滅びの悪意を穿ったのであった。

~~~

 帰りの馬車へ向かう途中。
 魔力を使い果たし、力の入らないセルジュはチックに背負われていた。
 少し黒ずんだチックの翼だが、セルジュを温かく包んでいる。
「大丈夫だからね、セルジュさん。痛いのは全部治してみせるから!」
 ヴェルーリアは自身の傷を無視して彼に癒しを注ぐ。
 それはかつて絵本でみた勇者の伝説のワンシーンをセルジュに思い起こさせていた。
 優しさを寄せるのは彼女だけではなく。
 マリカは墓場の霊達全員を適切に処理すると約束し。
 イズマは楽器をプレゼント。
 咲良は馬車に近くまで迎えに来るよう呼ぶため駆けている最中だ。
「セルジュ……キミは真実を知らなかったけど……向き合わなきゃいけないことには……ちゃんと向き合ってたと思うよ」
 この若さで3年も鎮魂の旅に費やしたのだ。誰も責めはしないとレインは思う。
「そうですね。これからは苦しいことや悲しいことを、家族の皆様と分け合って下さい。勿論、僕達ともです」
 ジョシュアも懐中時計を握りしめながら、大切な人から貰った言葉を分け与える。
 彼のこの勇気と優しさもまた、先日仲間達から与えてもらった大切な心の一つで。
 声と、思いが。
 セルジュを通じて繋がっていく。
「……ありがと」
 耳元で囁かれた声に、チックは笑みを浮かべるのであった。

成否

成功

MVP

チック・シュテル(p3p000932)
赤翡翠

状態異常

なし

あとがき

※今回発生するBS付与は特殊呪殺を除き対応するBS無効がある場合は「付与されること自体を無効化できる」という想定だったのですが、闘技場ルールと異なっているという点を明記し忘れたため混乱を招きましたこと、お詫び致します。
 リプレイ作成に当たっては上記を前提として判定しておりますので、ご了承下さい。


冒険お疲れ様でした!

結果として真実を知ったセルジュ君は「自分自身の罪をより深く自覚する」形とはなりましたが、死霊達との仲は良好を維持。
無事に親元にも帰ることが出来ましたので、これからは二つの家族と縁があった皆様に支えられながら少しずつ幸せな日々を重ねていくことができるでしょう!

今回のシナリオでは、皆様の死霊に対する考え方やセルジュに対する思いやりに迷いがあればこの結果には至らなかったと思います。
リプレイでは描写しておりませんが、誰もが前提として彼と死霊達の3年の旅路を大切に考え、信じていたことは非常に大きかったです。

MVPはその身を捧げて彼に寄り添った貴方へ。

現在は最終決戦ラリーが進行中です。
レベル指定は別として、ラリーは一人でも多くのイレギュラーズが未来を掴み取ろうとする=可能性が集うほど勝利に近づくと思いますので、是非セルジュ君達が生きるこの世界を救ってあげてくださいね!

それでは、またどこかでお会い出来る事を願いまして。
リクエスト&ご参加ありがとうございました!

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