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シナリオ詳細

電光鉄人ガリウムマン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●雷光の大王道
 煙る夜の町並みに、高く響くサイレンの声。
 鉄帝の町を覆い尽くす霧のごとき煙の中を、今日も誰かが走っていた。
 コンクリート舗装された建設会社の作業ヤードを、場違いなハイヒールが走る音だ。
 後を追いかける無数の足音。下卑た笑い声の混じる悪しき者たちの足音だ。
 恐怖から後ろを振り返る髪の長い女性の影が、足下に絡みつく鎖につまづき転倒した。
 ナイフを抜き近づく悪しき者たち。
「鉄帝てのはいい国だよな。力で王が決まる。力がある奴こそが偉い。だから――」
 震える女を取り囲む男たち。
「力の弱い奴は、従うしかないよなあ」
 恐怖に歪み、瞑られる目。
 しかし。
 しかしだ。
 力が全てを決めるなら。
「『そこまでだ』!」
 作業ヤードのトタン屋根を突き破り、現われるもう一人の影。
 背部のエネルギー噴射パーツを用いて急降下した男は、追って飛来してきた特殊合金アーマーを空中で瞬間装着。
 回転と共に拳を地面に打ち付けて、『彼』は全員の前に着地した。
 振り返った男たちの目には恐怖が、顔をあげた女の目には安堵が、それぞれ浮かぶ。
「実力行使も大いに結構だ。であれば、私も混ぜて貰おう!」
 全身を素早く覆った白銀のアーマーが、表面に赤と青の電光ラインを走らせる。
 顔を覆った特殊な仮面のごときフルフェイスヘルメットのアイパーツに光が集まり、まばゆく発光した。
「私の名はガリウムマン! 諸君! 武器をしまって家へ帰りたまえ! 従わぬのであれば、実力行使をするまでだ!」
「しゃらくせえ、やってみな……!」
 男たちが飛びかかる。
 ナイフが、斧が、剣が同時に振り込まれる。
「遅い――!」
 ガリウムマンは超高速で男たちの間をジグザグに駆け抜けた。赤と青のラインをあとに引き、手刀を二つ、キックを一つ。全てが直撃した男たちは膝から崩れ落ちる。
 振り切ったキック姿勢を戻しながら、ゆっくりと振り返る。
「さあ、君たちはどうする」
「く、くそ……!」
 鉄帝は最新古代兵器を利用する軍事国家。悪党でさえ高水準の武装をもっているものだ。
 スキンヘッドの巨漢が取り出したのは真っ赤なビームライフルだ。
 トリガーをひくと同時に解き放たれる巨大なビーム。これで殺せぬ相手ではないはずだと口元を緩めた巨漢はしかし、次なる光景に目を見開いた。
 左手を翳し、手首から広がる七色の電光シールドがビームを拡散防御していく光景である。
 盾が爆発し、腕が大きく傷つき火花を散らす。
「いい武器だ。だが、覚悟が悪い!」
 ビームが途切れると同時に、ガリウムマンは胸の三角形オブジェクトに両手を翳してエネルギーを集中。光のラインが大きく発光して胸へと集まっていく。
「ダイオード・レーザー!」
 胸から解き放たれた七色のビームが混じり合い、男の武器だけに集中する。
 ふくらみ、発熱し、爆発するレーザーガン。
 慌てて飛び退いた男に、ガリウムマンは鋭く指をさした。
「命はとらない。もう一度言う。武器をしまって家へ帰りたまえ!」
 残る男たちも武器をしまい、おびえたように逃げ去っていく。
 女が立ち上がってすがりつこうとするのを、ガリウムマンは手を翳してとめた。
 腰の後ろにしまっていたらしいナプキンを取り出し、頬についたかすり傷へそっと当てると、『君も家へ帰るんだ』と囁いて背を向けた。
 エネルギー噴射パーツをつかって飛び去っていく。ひかれる赤と青の電光ライン。
 彼は有名な男。
 鉄帝自警団のひとり。
 名を、電光鉄人ガリウムマン。

●エマージェンシー、ガリウムマン!
「鉄帝で横流しされた古代兵器が問題になっているのは知っているだろうか」
 両手を腰の後ろで組んだ髭と眉の深い男。ボアボードラン司令と名乗る彼は鉄帝のある町に結成された自警団の中心的人物である。
 軍隊のみならず民間が広く兵器が行き渡り軍隊くずれや訓練経験をもつ者が多く暮らすこの町では、国よりもフットワークの軽い自警団の存在が人々の平和を守っていた。
「我が団員ガリウムマンはこの横流しを行なっている犯罪グループのアジトを突き止めた。
 勿論それだけではない。拉致された民間人の女性数名も同じアジトにとらわれているという話だ。
 彼はとらわれた女性たちを救うべく、自警団のパトロールが終わるより早く単独でアジトへ向かってしまった。
 それに、こんな情報も入ってきたのだ」
 ボアボードラン司令が差し出した資料はある画質の粗い写真だった。
「鉄帝で発掘された超高出力レーザーガン、同じくレーザーブレードだ。
 これを装備した傭兵たちがアジトに配備されていると分かった。
 このままではガリウムマンの戦力では返り討ちにあってしまうだろう。
 至急、彼の元へ向かい、彼と協力し犯罪組織を倒してほしい!」

GMコメント

【オーダー】
 鉄帝のある町プアメタルの自警団リーダーより、団員である『ガリウムマン』の協力と犯罪者アジトの殲滅を依頼されました。
 成功条件は一つ。それとは別にオプションが三つあります。

・成功条件:ガリウムマンの生存
・オプションA:拉致された女性たちの生存
・オプションB:犯罪者組織の傭兵全員を倒すこと
・オプションC:犯罪者組織および傭兵の多くが生存していること

【エネミーデータ・シチュエーションデータ】
 現在わかっているのは犯罪者組織の雇った傭兵たちの情報です。
 金さえ貰えば誰でも殺せるというダーティな傭兵チーム『ビスマス』。
 多くが鉄騎種(オールドワン)で構成され、頑丈さや体力の高さが特徴です。
 要するに防御技術とHPに優れ、これに加えて武装による物理攻撃力と命中の高さが予想されます。
 攻撃能力は近接格闘と遠距離射撃の二つのパターンに分かれ、数は9人。

 傭兵たちとは別に犯罪者組織たちと拉致女性たちが存在しています(彼らはおおむね非戦闘員扱いとなります)。
 アジトは廃工場のガレージ。大きな機材は撤去されていますが、コンテナが沢山積まれており、戦闘中高低差がついたり遮蔽物があったりということがおこるでしょう。

【ガリウムマン】
 今回の味方NPC
 大体イレギュラーズと同じくらいの戦闘能力がある。
 クラス・エスプリ能力として全ての攻撃に『不殺』をつけることができます。
 攻撃手段は主に『物至単【ブレイク】』『物超貫【凍結】【万能】』
 スペックは全体的に高いですが、特に反応値が高く結構な割合で先手をとります。

【オマケ解説】
・プアメタル
 鉄帝にある町のひとつ。首都からは結構離れており、色々な産業から取り残されたいわゆる貧困街。
 犯罪者が多く、兵器の横流しなどが横行している。
 警察的組織はあるが犯罪者がフットワークで大きく勝るため、それに対抗して自警団が組まれている。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 電光鉄人ガリウムマン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月04日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
Lumilia=Sherwood(p3p000381)
優響の音色
郷田 貴道(p3p000401)
大地に刻む拳
ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
エリシア(p3p006057)
鳳凰
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫

リプレイ

●正義はどこにだってある
 犯罪者組織のアジトへ向かう馬車。シャープなフォルムと黒光りするメタルパーツ。火花を散らすように爆走する鎧馬。自警団から借り受けた八人乗り特殊装甲馬車アーマータングステンである。
 馬車の座席に腰掛けて腕組みをする『魔法騎士』セララ(p3p000273)。
「女性を浚うなんて許せないよ。悪党はこらしめなきゃ!」
 力がものをいう国、鉄帝。闘技場を中心としたスター性から粋な国民性が窺える国ではあるが、軍事国家としての側面やそのはざまにある闇も見逃すことができない。
 この貧困外プアメタルは、そんな闇の中に生きていた。
 両手を膝の上に揃えて目を瞑る『特異運命座標』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)。
「鉄帝国のお国柄は、個人的には嫌いではないのですがー……悪い輩に言い訳を与えてしまうのは、残念ですわねー」
(今回の討伐対象について、特別語る言葉はありません。法を犯し、罪なき人に害を為す。討伐の理由には十分過ぎるでしょう)
 悪即斬ではないが、『白き渡鳥』Lumilia=Sherwood(p3p000381)のいうことももっともである。二十一世紀初頭の日本のように常識で暴力や差別が弾かれ法が厳密に執行される世の中は、きわめて恐ろしいバランスの上に成り立っている。少しでも壊れれば悪がはびこり魔が蔓延する。鉄帝もまたその例のひとつと言えるかも知れない。
「さらわれた人たち、そして平和を守るガリウムマンさん。共に生きて帰れるよう、務めましょう」
 そんな世界で生きるには、自分もまた強くあらねばならない。
 『特異運命座標』オリーブ・ローレル(p3p004352)も頭を覆ったかぶとの下で、ゆっくりと深く頷いていた。

「ガリウムマン、とな……奇抜な名だが、心意気は見事と言おう」
 馬車の後部座席で、『解華を継ぐ者』エリシア(p3p006057)は車窓を流れる煙と闇の風景に目を細めていた。
「此度は、我も手を貸すとしよう。貴道、貴様どう思う」
「HAHAHA!」
 『ボクサー崩れ』郷田 貴道(p3p000401)は豪快に笑って拳を打ち付けて見せた。
 まるで鋼のように鍛えられた拳がガキンという恐ろしい音をたてる。
「ヒロイックなのは好みだぜ。なんせ、オーディエンスはヒーローが大好きだからな!」
 貴道の気風は鉄帝に似合っていたが、能力や素質はむしろ鉄帝の闇にこそ似合っているように見えた。
「ですよねっ、いいなあメタルヒーロー! あとでサイン頂けないですかねっ」
 『お気楽未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)がいつもにまして上機嫌だった。
「はっ、それよりお仕事でしたっ。もたもたしてるとレディーの命が、その次はガリウムマンさんが、みなさんの皆さんが危ないんですっ」
 気合いを入れ直すヨハナ。
「うむ――」
 『不知火』御堂・D・豪斗(p3p001181)が謎の輝きをともなって両手両足を伸ばした。車内で。
「ジャスティスの為にヒーローの意気や善し! されど人の子をレスキューするには己自信を知らねばならぬ! 倒れれば誰がホステージ達を救うというのか! ……いや、小言は後にして、まずはこの場を収めよう!」
 馬車は火花をあげてアジトへとたどり着く。

●『大鉄は肉で掘るべし』――多くの鉄を掘り出すには多くの人命が生き埋めになる覚悟をすべきという鉄帝のことわざ
 町に歴史あり。
 灰とホコリとゴミの臭いに満ちた廃工場は、この町がずっと昔に発掘と加工でさかえた歴史を物語る。であると同時に、もうこの町にその仕事は必要ないことを示していた。
 身構えるガリウムマン。それを取り囲むように展開する傭兵たち。彼らの手には真っ赤なビームライフルとビームサーベルが握られ、その握り方からは軍隊式の戦闘訓練をうけた様子が見られた。雑魚と侮れば命を落とす。そういうたぐいの相手である。
 単身乗り込んだガリウムマンも、そのことを少なくとも認識しているようだった。
 今この時点で敵を倒し浚われた女性たちを助けられるとは思えない。だがここで犠牲になることで犯罪者組織に強い警戒心を与え、女性たちへの手出しを躊躇させることはできる。弱い駒をくさびにするのだ。
 だがその計画は。
 今このときをもって覆される。
「ゴッド絢爛! 刮目せよ――!」
 高らかなフルートの演奏と共に輝く光。
 豪斗とLumiliaは工場の入り口から堂々と入り込み、自らの姿をアピールした。
 Lumiliaの奏でる『神の剣の英雄のバラッド』にあわせて華麗に舞い踊る豪斗。
 振り返りと同時に両手を顔の前にかざしてまばゆく発光した。
「ゴッドフラーッシュ!」
「うおっ、まぶしいっ!」
「馬鹿が舞い込んだらしい。遊んでやろうぜ」
 たかが二人増えただけ。傭兵たちの戦力をもってすれば敵ではない。余裕の様子で豪斗たちへと襲いかかる。
 名乗り口上とかそういう問題じゃない。きわめてインパクトの強いヘイトコントロールであった。
 そして始まる集中攻撃。豪斗は『ぐおおまずい』と言いながら滑るようなゴッドエスケープ(後ろ走り)で逃げ出した。
 逃がすまいと追いかける傭兵たちの薄ら笑いはしかし、工場外側の壁に背を持たれさせていた貴道たちの存在によって消え去った。
 ギラリと笑った貴道が、ビームライフルを持った傭兵めがけて急速に接近。凄まじい握力でライフルを掴むと、相手の顎に拳を入れた。
「HAHAHA、どいつから先に潰れたトマト面になりたいか言ってみな、迅速に叶えてやるぜ!」
「君たちは……」
 慌てる傭兵にキックを叩き込んでから、ガリウムマンは孤立をさけるべく大ジャンプで工場の外へと移動してきた。
 クレイモアを担いで追撃の傭兵たちに斬りかかるオリーブ。
 剣とビームサーベルがぶつかり合い、激しい火花を散らす。
「我々はイレギュラーズです。貴方への協力を要請され派遣されました」
「ボアボードラン司令か。助かった」
「まだ倒れる時ではないだろう、戦士よ。さあ、我が癒やしを受け立ち上がるが良い」
 あとからやってきたエリシアがメガヒールの術をかけていく。
 ガイウスマンの傷ついた腕を治癒しはじめた。
 あいつは邪魔だ。さっさと片付けちまおう。
 傭兵たちがそう述べてエリシアに狙いをつけようとしたところで、メリルナートが割り込んでいった。
 静かにつむぐ歌がディスペアー・ブルーの魔術をなし、傭兵たちへと叩き込まれていく。
 きわめて消費が激しくそう何度も撃てるものではないが、絶大な威力に傭兵たちは混乱し、ビームライフルを持った傭兵が味方めがけて乱射しはじめてた。
「くそっ、自警団の奴ら助っ人を呼びやった」
「けど全員まとめても7人程度だ。負けやしねえ。たたきつぶせ!」
 駆け寄ってきた傭兵からビームサーベルが叩き込まれる。
 メリルナートはそれを、翳した盾で打ち払った。
 間延びした口調をきりりと引き締め、メリルナートは目を見開く。
「いいえ、追いつめられたのは、貴方たちですわよ。今までの咎、万分の一とて受けてみなさい」
「一体そりゃ……」

 どういう意味か。
 勘の鋭い読者諸兄ならばもうお気づきであろう。
『セララさん、ジャミングは働いてないようです。聞こえますね?』
『ばっちりだよ! ナビするから慎重に歩いてね!』
 工場には大体裏口やほころびというものがあり、古く粗末な工場を使っている手前天井付近のなんかびみょーにはがれかけたトタンをひっぺがすと案外中に入れたりするものである。少なくとも今回はそうだった。
 セララはなんやかんやで工場内に侵入し、透視の眼鏡(赤縁の可愛い眼鏡)をかけて知的なかんじにヨハナをサポートしていた。
 一方のヨハナは視線が通るギリギリのところまで足音を殺して先行。誘拐された女性たちの場所まで向かっていた。
 洞窟等の分厚い壁や魔術対策の取られた要塞ではなくここは粗末な廃工場。壁はといえば乱雑に置かれたコンテナくらいなものなので、セララの透視能力の前にはないも同然だった。
 そのうえオモテではガイウスマンやゴッドたちが激しく戦闘を行なっているので(中には大声で歌ったり笛をふいたりする者もいるので)こちらの足音に気づくものはなかった。
 女性たちに見張りはついていたが、それはあくまで犯罪者グループの非戦闘員のみ。傭兵たちは『フルメンバーで行けば勝てる』と踏んで総力を表に結集させていた。
 つまり。
「隙だらけですっ!」
 ヨハナは物陰から飛び出し、非殺傷魔術を発動。
 見えない衝撃によって突き飛ばされた見張りは壁に頭を激突させてのびてしまった。
「何事だ!」
 物音に気づいた犯罪者グループの連中がどかどかと集まってくる。
 そこへ、セララが振り返りざまの可愛いポーズ(眼鏡バージョン)を見せつけた。
 うっかり見とれた連中に再びの非殺傷魔術。
 セララは剣のあの横っていうか腹っていうかあのやや平たい所でガッてやって相手を気絶させていった。
「お待たせ! 今助けるから、裏から逃げてね!」
 セララの剣によってロープの拘束をとかれた女性たちは、ヨハナの誘導によって裏口から逃げていった。

●善きことのためとは限らない
 乱雑に置かれたコンテナはそれぞれを分断する壁となり、あちこちに散らばっては回復と牽制を繰り返すLumiliaたちの戦法に傭兵たちはいらだちを感じていた。
「こちらです」
 低空飛行をかけるLumiliaがコンテナの裏にカーブを描いて滑り込み、同じく駆け込んでいったメリルナートを回復する。
 暖かな翼に包まれるかのような笛の音色が、メリルナートの腕や足にはしった切り傷を塞いでいく。
 それを追いかけたのは三人組の傭兵たちだった。
 金さえ積めば誰でも殺せるという傭兵チーム『ビスマス』。それに横流しされた古代兵器が合わさり彼らは調子づいていた。それに、乱雑に置かれているとはいえある意味ではホーム戦。
 Lumiliaとメリルナートが入り込んだのが袋小路だと気づいていた彼らは、余裕の笑みで退路を塞いだ。
「さあて追い詰めたぜ。大人しく投降するなら命は助けてやっても……」
 傭兵が言い終わる前に、メリルナートは手を強く突きだした。
「先程も言いましたが……追いつめられたのは、貴方たちですわよ」
 小首を傾げる傭兵。
 その頭上から、大きな鳥が翼を羽ばたかせるような風音が響いた。
 咄嗟に見上げると、光の翼をブーツから広げたセララが跳躍。
 傭兵たちの背後。つまり彼らの退路にあたる場所へと着地した。
「愛と正義の使者、魔法騎士セララ参上! つかまってた人たちは逃がしたよ!」
 可愛くポーズをとるセララの言葉に、傭兵たちは自らの窮地を悟った。
 捕まえた女性たちが逃げたということは、必然的に見張りに突いていた雇い主たちが倒れたということ。これ以上の仕事に金は入らないことがほぼ確定し、それどころか生き延びなければ自分たちまで死に行く運命にあることが決まったのだ。
「ま、まずいぞ!」
 セララに飛びかかる傭兵。
 その傭兵の腕に、Lumiliaの放った魔法の鎖が巻き付いた。
 二刀流による斬撃。されど峰打ち。
 セララの打撃に傭兵は膝を突き、残る二人が振り返るとメリルナートが拳を握り込んで迫っていた。
「命はとりませんわー。けれど……」
「痛い目には、あって貰います」
 傭兵たちの悲鳴が、コンテナに反響した。

 様子がおかしい。そう気づいたときには遅かった。
 一発殴っては物陰へと逃げ込むヒット&アウェイ戦法で戦う貴道を追いかけてあるコンテナ内へと攻め込んだ傭兵たち。
 エリシアが豊富なスタミナで貴道を延々と回復し続けては逃げ続けていたのに、気づけばこんな袋小路。
 だが倒してしまえばいいだろうと踏み込んだその時、コンテナの扉がばたんと閉じた。
 ヨハナがあとから入り込み、内側から扉を閉めたのだ。
「二名様ご案内ですっ!」
「飛んで火に入るなんとやら、だな」
 エリシアが炎の翼を広げ、コンテナ内をまばゆく照らす。
 貴道は首を左右にこきりこきりと鳴らしながら、傭兵たちに一歩だけ迫った。
 恐怖と反射からビームライフルを発射する傭兵。
 が、貴道はビームをフックパンチで『破壊』すると流れるようなフォームで相手の顔面に左ストレートを叩き込んだ。
「ミーの拳骨は世界一だ、光栄に思いな!」
「ヒッ――!」
 すかさずエリシアの炎が矢となってもう一人の傭兵に直撃。
 焼かれぬ炎が燃え上がったところで、ヨハナが魔術書の背表紙のところでガッと後頭部を殴りつけた。
「作戦通り」
「HAHAHA!」

 分断された仲間が援軍によって各個撃破されていることなどつゆ知らず。
 残る傭兵たちは豪斗とオリーブへの追撃に夢中になっていた。
「ハハッ、待ちやがれ!」
「吊るして遊んでやるからよ!」
 ビームを連射しながら追いかける傭兵。
 オリーブは飛来するビームをクレイモアで斜めに弾きながらも、確実に押されていた。
 工場の外まで逃げ出し、慌てた様子で振り返る。かぶとが顔まで覆っているせいで表情は見えないが、それがかえって傭兵たちを調子づかせた。
 オリーブの左右に並んで身構える豪斗とガリウムマン。
「ユーのパッションはヒーローをウィナーとするためのトラップ。ユーたちはゴッドのプランの上でダンスしたに過ぎない!」
「なんて?」
「彼らの実力と戦術が、諸君らより上回っていたということだ」
 拳を突き出すように構えるガリウムマン。
 ピッと指を立てて傭兵たちの背後を指さすと、セララやヨハナをはじめとする仲間たちが集結していた。
 残りわずかな傭兵を取り囲む形である。
「武器を捨て、投降したまえ。逃げ去れば死より恐ろしい未来が待つのだろう……?」
 胸のエネルギーシンボルに二本指をそえ、いつでも射撃できる姿勢をとるガリウムマン。
 一方で豪斗はゴッドポーズ(両腕を広げた十字の構え)でいつでもゴッドオーラを放てるように備えていた。
 むろん、オリーブを含む他の仲間たちもである。
 今からいつでも、秒で殺すことが出来る状況にありながら、命を取らぬ余裕まで見せる彼らに……。
「く、分かった……俺たちの負けだ」
 傭兵たちは武器を捨て、両手を挙げた。

 拘束した犯罪者と雇われた傭兵たちは軍へ引き渡された。
 彼らがどのような末路をたどるかは分からないが、闇社会の制裁よりはずっと安全なものだろう。
 浚われた女性たちもイレギュラーズたち(特にセララとヨハナ)に礼を言いにむらがり、彼女たちは若干モテていた。
「ありがとう可愛い眼鏡の人!」
「可愛い眼鏡!」
「可愛い!」
「人気ですねその眼鏡っ!」
 一方で、ガイウスマンはゴッドたちに握手を求め、ゴッドもまたゴッドシェイクハンドで応えた。
「協力、感謝する。女性たちを救出できただけでなく、犯罪組織や傭兵たちも殺さずにとらえることができた。私一人ではとうてい不可能だっただろう」
「あのー、ところでー、なぜ殺さないようにしているのですかー?」
 メリルナートがいつものテンポで問いかける。
 Lumiliaやエリシアやオリーブもその辺は若干気になるようで、ガリウムマンの仮面めいたヘルメットに注目している。
「人道的だから、だろうか?」
「いいや、私が人道を求めたことなどない」
 拳を掲げ、強く握りしめてみせる。
「悪人は悪を成さねばただの人。私は悪のみを打ち砕くことを目的としている。その目的を叶えるために、実力行使に出たまでだ」
「ほう……?」
 貴道が小さく顎をあげた。
「だが今回は、君たちの実力に助けられた。私の事情に付き合ってくれたことに、深く感謝したい。司令にもそれは伝えておこう!」
 と、その時。
 ガリウムマンの耳の通信パーツがアラームを鳴らした。
「む……そうか。君たち、すまない。別の事件が起こったようだ。礼はまた後日、あらためてしよう! さらばだ!」
 ガリウムマンは背部パーツから赤と青のエネルギーを噴射すると、鉄帝の夜空へと飛び立っていった。

成否

大成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 救出の順序、救出の方法、囮の配分、囮を継続するためのリソースとスペック、更に敵を殺さずに倒すためのスキルを(支援担当を覗いて)ほぼ全員が装備し徹底するまでの準備。全てが素晴らしくそろっておりました。
 成功条件の達成とオプション全ての達成。加えて見所を沢山作れたシナリオ的な『良さ』をくわえて、大成功判定とします。
 鉄帝のスラム街ことプアメタルには皆さんの名声が広がり、今後また自警団からの依頼が来ることもあるでしょう。

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