シナリオ詳細
<漆黒のAspire>最狂最低の音楽会
オープニング
●混沌解放楽団、開演まで……
「ふむ、ルクレツィア殿が退けられたと聞いたときには次なる公演は難しいかと思っていたが……」
『混沌解放楽団』を率いる色欲の魔種、ケイオステラー。首をもたぬリビングアーマーと化した彼は、指揮棒をスッと小さく掲げて周囲を見回してみせた。
そこには無数の終焉獣。幻想王国を囲むようにこれが広がり、続々と数を増やしているという話である。
一方で幻想王国内はいとも簡単に踏破できるダンジョンが出現し、腕自慢の者たちはこぞってそこで宝を求めているという。
市街では持ち帰った財宝で宴会や賭博三昧となり、まるで誰かに与えられたような幸せな時が広がっているらしい。
「これはヴェラムデリクト殿の仕業だろうか? だとしたらなんとも愛の深いことだ」
うむうむと頷くケイオステラー。首のない姿でよくそんな動きができるものである。
「それで? ワタシたちは一体何をすればよろしいのでしょうか?」
そう声をかけてきたのはチューバ頭の魔種だ。
「街にでて解放の音色を奏でればよろしいのでしょうか……?」
どこか不穏な雰囲気を発し始めるチューバだが、それを遮ったのは仲間のバイオリンだった。
「そんな指示は出ておりませんよチューバ様。ワタシたちの役目はこの場で終焉獣たちを守ること。解放の音色を人々に届けるのは……」
と言いかけて、ふと動きを止めた。
「そういえば、以前戦ったマドモワゼルにはワタシの音色を届けそびれていましたね。愛と解放がモットーのワタシたちとしては誠に遺憾な戦いでした」
「心配無いって。ここで待ってりゃ、またあの子たちが挑みにくるっしょ」
軽快な調子で言うのはトランペットだ。
色男めいた雰囲気の彼は、髪を整えるかのように頭の楽器を手でキュッとやると振り返った。
「そう思わない? だって……例の『マネージャー』が俺たちのことを嗅ぎ回ってたみたいだし」
「ふむ、かもしれんな」
言葉に応えたのはバスクラリネット。こちらは年配の老人めいた調子で話を受けると、顎(楽器下部)をそっと撫でた。手の甲に刻まれた金色の髑髏マークがきらりと光る。
「あれはなかなかのツワモノであったが、はてさて今回も現れるのやら」
「わ、私はあまり戦いたくないですよ。だって暴力は……」
そう弱気な調子を見せるフルート。
しかし弱気な雰囲気を見せている割には体にみなぎっている力は強い。いつでも迎撃できると言わんばかりだ。
「ハハッ、そう弱気になるなよフルート。今度連中が出てきたらボコボコにしてやろうぜ! 俺たちならできるさ、なあ!」
気さくに肩に腕を回してみせるティンパニ。フルートはあははと笑って同意したように頷いた。
「よし、決まりだ! 連中が出てきたら俺たちの力を見せ付けてやる!」
●マネージャーからの依頼
『第六天マネージャー』是空・信長。彼は以前に『混沌解放楽団』が幻想国内で暴動を引き起こした際から楽団に目を付け、その動きを探っていた。
その成果として今回、幻想王国で起きている『異変』に噛んでいることを突き止めたのだった。
「皆も知っとる通り――幻想王国は今おかしなことになっとる」
謎のダンジョンが見つかり、そこから手に入る財宝で皆が浮かれきっているという状態のことを指しているのだろう……と、現場に集まったイレギュラーズたちは皆察した。
なにせ幻想王国に入って少しでも様子を探ってみれば誰でもわかるほど、その空気は広がっているのだ。
「一方で国の外側を覆うように終焉獣が集まっておる。しかし村や町に襲いかかるかと言えばそうではない。貴族連中もその動きに脅威を感じて、こうして討伐依頼をいくつも出してきてるんじゃが……」
うーむと信長は顎をさすって唸った。
「国の冒険者連中はダンジョンの財宝に夢中でまるでこれらの依頼を受けようとせん。どころか、こういう難事はイレギュラーズに任せればいいとすら思っとるようじゃ。このままでは国がどうなるか分からん。と、そこでじゃ……」
地図を広げ、ドンとある一点をマーキングする信長。
「この地点に『混沌解放楽団』が展開しとることが分かった。終焉獣を補佐するような位置取りでな」
『混沌解放楽団』とは、以前幻想を二度にわたって荒らした恐るべき魔種集団である。
こんな連中が国内に入ればまた恐ろしい事態が引き起こされることは間違いない。
「奴らの狙いはわからんが、放置するのは危険じゃろう? 今からこの場所へと向かって、連中を追い払ってほしいんじゃ」
勿論報酬は出す! とコイン袋をドンとテーブルにおいて信長は頷いた。
「連中に加えて終焉獣まで相手にせねばならんというのはなかなかキツイが……なあに、これまで二度にわたって『混沌解放楽団』を追い払った実績があるんじゃ。力を合わせれば負けはせんじゃろう!」
- <漆黒のAspire>最狂最低の音楽会完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2024年03月03日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談5日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●三度目の音楽会
「もうそんなに……か」
『涙を知る泥人形』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)は初めてケイオステラーと対峙した時を思い返し、拳を強く握りしめた。
あれから数えて三度。強力な魔種であることはわかっている。だが、それでも……。
「ダ・カーポもダル・セーニョも終いにしよう。
これをもってフィーネとさせてもらう、今日が貴様らの終幕の時だケイオステラー。
温もりを感じられぬ哀れな存在よ、貴様らにだけは愛を語らせん」
強烈な敵意をみなぎらせるマッダラーそれに呼応するように『晶竜封殺』火野・彩陽(p3p010663)も足を踏み出した。
それは幻想の郊外。終焉獣たちが待ち構えるその軍勢を遠くに見つつ。
「いい加減にせえよお前ら。音楽ってのは楽しむためのものやで。
人を怖がらせるのはあかんやつやで。とっととお帰り願いましょか」
歩き出す彩陽に合わせるように、刀をさげた『殿』一条 夢心地(p3p008344)もまた歩き始める。
「ケイオステラーはまだ性懲りもなく悪さをしておるのか。
聴くに堪えぬ演奏会は、今回限りで仕舞いとせねばならんの」
とは言いつつ、今回の『計画』にケイオステラーがどこまで必死になっているかという疑問はあった。
つまるところ、死ぬまで戦う義理を彼らがみせるかどうか、だ。
一定の損傷を負ったら撤退するという、一つ前の戦いと同じ状況になる可能性は充分にあるのだ。というより、今回の『作戦』においてはそうなってくれないと勝ち目が危うい。
いずれにせよ、彼らをこの場から追い払うことは必要になるだろう。
「『混沌解放楽団』……か」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)は呟き、自らの胸に手を当てる。
「ああ、彼ら『観客に心が向いていない』んだわ
世界と自分達しか見ていない。
音楽はね、人に深く深く根付いているの。
その根が切られているのなら、もう流さなきゃ」
一度目を閉じ、祈るように呟く。
「『神がそれを望まれる』」
歩む彼女の掲げる戦旗、見果てぬ先【紅依】が幻想の危機に呼応して薄く魔法の光を放った。
「奴らのそれは『音楽』とは言えない」
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は強い敵意を剥き出しにして言い放った。
「混沌解放楽団と相見えるのはもう三回目か。
同じ音楽家なのに相容れない、致命的な愛の違いが見過ごせない。
どちらが真に世界を救う音楽なのか、今度こそ示そう」
彼らの音楽会は混沌を燃やし、人々を狂乱させ、そして今は静かな危険をもたらしている。
どれも人々を楽しませる……『音楽』とは言いがたいものだった。
それを、ましてや愛などと。解放などと。
はあ……と『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)は小さくため息をついた。
「目的は分からんが、中々愉快な連中らしい。
もし俺がアッチ側なら仲良くやれたかもしれねーが」
ちらりと見れば、彩陽とイズマが敵意をみなぎらせている。
「彩陽とイズマがお怒りだ。残念だがとっとと死んでくれ」
歩き出す仲間達に続くようにして、『泳げベーク君』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)もまた同じように進む。
「ふぅむ……よくわかりませんが、つまりこいつらを黙らせればいいんですよね。
シンプルで良いですね。
まぁ、僕自身は別にそんな強くはないので困りものですが。いや努力はしますけどね」
「まあ、そういうこったな」
『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)が小さく肩をすくめる。
「ダンジョンといい終焉獣の動きといい、妙っつうか不気味っつうか。
放っとけばろくなことにならねえのは確実だよな。憂いを断たせて貰おうぜ」
「そうですね……」
相手はこちらより明らかに格上の魔種集団。簡単に勝利することの難しい相手だ。
だが、それでも挑まねばならない。
『終音』冬越 弾正(p3p007105)はふうと息をついて平蜘蛛を腕にセットした。
「社長には頭が上がらないな。おかげでまた対峙する事が出来た」
どこから情報を嗅ぎつけたのかはわからないが、あの情報が無ければ終焉獣の群れに紛れて彼らの動きを察知できないところだった。
察知したからには、対処に動くほかないのだが。
「音から生まれた同胞達。その反転した哀しき姿を、今度こそ砕ききる!」
「だが、そのためには個々の力が必要不可欠だ」
『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は指折り数えて楽団のメンバーを思い出す。
「奴らは連携されれば厄介な相手だ。個々人を抑えて孤立させる作戦だが……上手くいけばいいんだがな」
「大丈夫。うまくいくさ。もし破綻しても、その時はその時だろう?」
「ああ、うたとたいそうのおにいさんとして耐えて待っていてくれ」
「そんな心構えで待つことになるのか?」
アーマデルのいつもの、本気か冗談か分からないような言い方に弾正は安堵する。
「さあ、いこうか」
「ああ……目には目を、音には音だ」
●終焉の獣たち
『混沌解放楽団』の展開する陣地まで攻め込むには、まずはそれ以前に展開している終焉獣たちを倒さなければならない。
ここでどれほど消耗を抑えることが出来るか。そしてどれだけ迅速に戦えるかが後の戦いに響くこととなるだろう。
「聞け、俺の旋律を――!」
弾正は平蜘蛛に焔の力を接続させると、終焉獣の集団めがけて音波を放った。
波となって飛んで行く目に見えぬ衝撃は終焉獣たちにわずかなダメージを与えると同時に、その意識を弾正へと強制的に集中させる。つまりは【怒り】付与状態へと陥らせた。
この戦いにおいて【怒り】付与は非常に有効な戦術だ。仲間の範囲攻撃と組み合わせればなおのこと。そして、弾正のそういった行動を的確にサポートできるのは阿吽の呼吸で動けるアーマデルをおいて他にいない。
「纏めて叩く――!」
『蛇銃剣アルファルド』『蛇鞭剣ダナブトゥバン』をそれぞれの手に構えたアーマデルは弾正へと殺到した終焉獣たちへ散弾を浴びせ、更に蛇腹状態にした剣でなぎ払う。
終焉獣の足が見事に切断され、動きの鈍った所に更なる散弾が浴びせられる。
「無理に全員を相手にする必要はないが、楽団との戦いに紛れ込まれたら厄介だ。適度に倒して進むぞ」
「ああ、分かってる……!」
蛇銃剣アルファルドを終焉獣の身体に突き立て、零距離で散弾を放つアーマデル。
そこからは流れるようなコンボを繋いでいった。
『英霊残響:逡巡』で抵抗力と機動力を削ぎ、『蛇巫女の後悔』で不調とダメージ系BSを流し込み、『ルーラーゾーン』でトドメを刺す。得意のコンボの改良版だ。
(終焉獣相手には簡単にBSをたたき込めるが……楽団相手にはこうはいかないだろう。味方との連携次第、だな)
「皆さん! 付与スキルを使います。効果範囲から離れないで!」
一方でベークは仲間達に次々に付与スキルを施していった。
『嘆かわしきラメント』『魔神黙示録』を全員に付与して回り、『ソリッド・シナジー』を自身とアタッカーに付与する。
それが一通り済んだ段階で『G・L・B(ギガント・ライフ・ブラスター)』の攻撃に入った。体内の再生能力と高いHPをそのまま破壊力に変えるスキルだ。
それだけ消費APも大きいが、ソリッド・シナジーの能率効果のおかげでかなりの軽減ができていた。
スウッと息を吸い込むと、たい焼きにしか見えないボディの口から紫色の光線を発射する。
直撃した終焉獣が派手に吹き飛び、別の終焉獣へと激突していく。
ベークを攻撃しようと終焉獣が食らいつくが、終焉獣単体が与えるダメージなどベークの再生能力に劣る。彼が集中攻撃を受けるのでもない限りは、この再生力を突破することは叶わないだろう。
「じゃあ、こっちの連中を引き寄せるのは俺の仕事だな」
猫耳フードを深く被り直し、にやりと笑うクウハ。
するとベークに襲いかかろうとしていた集団めがけ『幻罪の呼び声』を発動させた。
『主人』を思わせるその仕草、眼差し、そして笑顔。ヒヒっと笑ってみせれば終焉獣たちはクウハへと意識を向けた。
なんといっても【疫病】つきの【怒り】付与スキルである。相手が回避することも難しく、当たれば抵抗も出来ずに破滅へと引きずり込まれていく。
怒り狂った終焉獣たちは牙をむいてクウハへと襲いかかった。
「ま、そう来るよな」
対してクウハは『仰ぎ見よ、金の冠』を発動。
食らいついてくる終焉獣の攻撃を完全に無効化し、更に『礼賛せよ、 銀の冠』も発動させ終焉獣が放つ魔法の攻撃を無効化した。
怒りに我を忘れた者には解くことの出来ない無敵の結界である。
そんな風に終焉獣を密集させていたクウハの側面を、イーリンは『月読狩』で狙った。
剣に纏う紫の光。大きく見開いた瞳は炎のように燃え、振り抜いた剣から放たれる光と同時に彼女の背負う光が武具の形となって射出される。
次々と飛んで行く光の剣が終焉獣へと突き刺さり、一匹倒し二匹倒し、更にその後方に続く連中を貫くように倒して行く。
「それにしても、終焉獣の強度もなかなかのものね。これだけの威力の攻撃なら、その辺の野盗を一撃で屠れるっていうのに」
イーリンの言うとおり、終焉獣の耐久力はその辺の野盗をずっと上回るものだった。高威力の『月読狩』を撃ち込んでも倒れない個体がそこそこいるほどだ。
簡単にここを通すつもりはないということなのだろうが……。
「心配ねえよ、それだけこっちも強くなってる!」
牡丹は『輝くもの天より堕ち』を発動。必中効果を持った【怒り】付与は多くの終焉獣を巻き込んで怒りを付与させていく。
そして密集した終焉獣の攻撃をどう捌くのかと言えば、勿論回避だ。
片翼を翻し相手の攻撃を弾くと軽やかに跳躍。
ガチンとそれまで足のあった場所で終焉獣の牙が閉じる音がした。
宙返りをかけて着地すると、そこへ左右から同時に爪を繰り出してくる終焉獣たち。
牡丹は更に転がることで攻撃を回避し、その後ろで終焉獣たちは正面衝突した。
(終焉獣程度の攻撃ならいくらでも回避できる。けど、この先の楽団は話が違うんだろうな。なんせこっちより格上の魔種どもだ。オレにすら攻撃を当ててきかねない。気をつけねえとな)
そうやって牡丹が集めた終焉獣を処理するのは夢心地の役目になっていた。
「なーーーーっはっはっは! 秘剣・大炎上!」
抜いた刀に炎が纏い、振り抜くことでそれは巨大な炎の剣の如く終焉獣たちを焼き尽くしていく。
かなりの高威力に加えて【炎獄】効果を受けた終焉獣。生き残った者も【炎獄】の炎に焼かれてがくりとその場に崩れ落ちる。
夢心地は剣を翻し、炎の中で生き残った終焉獣へと急接近をかける。
そして繰り出すは『三光梅舟』。
強力な斬撃の連打が終焉獣を切り刻み、その場にバラバラの死体として転がしてしまう。
(さて、終焉獣はこのように簡単に処理することができるが……楽団の連中はどうなるかの。流石に麿より耐久力が低いということはあるまいて)
作戦は各個撃破。しかしそれが綺麗に嵌まるかどうかはこちらの努力次第なのだ。若干の不安は抱えつつも、夢心地は終焉獣を斬るのであった。
「む……」
協奏馬の奏でる音楽が周囲を反響している。マッダラーはその音を『エコーロケーション』で聞き取り大量にいる終焉獣たちの位置を把握していた。
「かなりの数だが……殲滅できない数でもないな。行こうか――奴らへのレクイエム代わりだ」
マッダラーは音楽に合わせて歌をうたいはじめた。その歌は終焉獣たちの魂に語りかけ、強制的に敵意をマッダラーへと向け始める。
狼型の終焉獣が駆け寄り、マッダラーの足へと食らいついた。
それを炎の欠片で払いのけると、ふわりと空中へと浮かび上がる。
かと思えば、大鷲型の終焉獣が飛びかかり彼の腕に鋭いタックルを繰り出してきた。
転落しそうになるのを素早くこらえ、そのまま距離をとろうとした終焉獣に『ブレイズハート・ヒートソウル』を浴びせて引き寄せにかかる。
敵の数は多く、それだけにマッダラーの受けるダメージは凄まじいものになる……かと思いきや。
「――そこや」
彩陽の放つ矢が空を飛ぶ終焉獣の一体に命中。墜落した途端その一点を中心として『ケイオスタイド』の魔術が展開した。
それだけではない。湧き上がる泥が硬化し、終焉獣たちの動きを封殺し始めたのである。
大量の敵、それも格下の敵を相手に足止めを図るという作戦において彩陽ほど優れた者もそういないだろう。マッダラーが集めてくれた敵をこうして封殺(及び不吉系BS付与)してくれているおかげでマッダラーの受けるダメージはかなり軽減されていた。
「ここは本番やないんよ。さっさとたおそ」
更に『アンジュ・デシュ』の魔力を矢に込めると速射で放つ彩陽。
予備動作すらない完璧な一射が、充分に彩陽を警戒していたはずの終焉獣の頭部に突き刺さりどさりとその場に転倒させる。そして『アンジュ・デシュ』の魔法が爆発するように広がった。
その中へと、『響奏術・羅』の魔術を発動させパフォーマンス向上をはかりつつ駆け込むイズマ。
決定打となる攻撃を放つべく、マッダラーに呼びかけた。
「範囲攻撃を放つ。大きく移動して終焉獣を引き離してくれ!」
「分かった」
マッダラーは三体の協奏馬たちに呼びかけると一気に走り出した。
封殺や不吉系BSによって移動を阻害されていた終焉獣たちは取り残され、そこへイズマは細剣メロディア・コンダクターを振り抜いた。
風を切るその音がメロディへと変わり、無数の仮想軍勢が召喚する。
それらは一斉に終焉獣たちへと押し寄せ、その肉体を斬り割き、貫き、叩き潰していく。
よく見ればそれはただの軍勢ではない。それに続く仮想楽団の姿もあった。
楽団員はそれぞれが手にした楽器で魔術を発動させると無数の光の弾幕に変え、合奏魔術を完成させる。それらは残っていた終焉獣たちを纏めてなぎ払うに充分な威力の弾幕を叩き込んだのだった。
●『混沌解放楽団』
「おやおや……どうやら、観客が来てくれたようだ」
名も無き岩に腰掛けていた首なしのリビングデッド。その名はケイオステラー。
彼はゆっくりと立ち上がると、ぱちぱちと手を鳴らしてみせる。
「あれだけの終焉獣の軍勢を退けたのは、さすがローレット・イレギュラーズと言わざるを得ない。だが……やはり貴公らには愛が足りない」
「何が愛だ。貴様等の音楽に愛などない」
「見解の相違だな」
パッと手を広げてみせるケイオステラー。
「感じたまえ。この世界の悲痛を。この世界の抑圧を。この世界の混沌を。
特にこの幻想王国では顕著ではないかね。
貴族の圧政に苦しむ人々はその声すら上げられずに苦痛にあえいでいる。
その貴族たちですらより上位の貴族からの抑圧によって自由を奪われ歯噛みする日々。
最上位の王ですら混沌にゆれる世界の中で放蕩王などと呼ばれる始末ではないか!
我々は解放したいのだよ。すべての人々の悲痛を、抑圧を、混沌を!
それは貴公らとて例外ではない。そう――愛ゆえに」
気付けばケイオステラーは指揮棒を振り上げていた。
楽団員たちはそれぞれが戦闘態勢をとり、こちらに向かってきている。
「さあ始めよう。解放の音楽を!」
そして一斉に、楽団員たちは自らの音を奏で始めた。
「この前は悪かったわね、中途半端なセッションで。今度は途中でやめたりしない、最後までよ」
剣を手に斬りかかるイーリン。
その剣をバイオリンの弓で受け止めたのは楽団員のひとり『バイオリン』であった。
「麗しきマドモアゼル。実に光栄です。では是非お聴かせいたしましょう。このワタシのソロパートを!」
そこからは嵐の如くであった。
弓に音の魔法を纏わせたバイオリンは舞うような剣技でイーリンへ連撃を繰り出してくる。
高度な回避能力を持つイーリンであってもまるで避けきれないだけの激しい連撃だ。
が、これは前に一度見た技の連続にすぎない。
(ソロパートを邪魔するつもりはないわ。
お互い全力のソロ!音が絡まり高まり、自分の知らない音楽の領域へ!)
『月読狩』を発動。背後に出現した光が巨大な槍を形作り、バイオリンへと放たれる。
それをバイオリンは弓でスパンと切断してしまった。
この流れは――前にも見た。
「まだよ!」
更に『後弾機』を発動。大量の光の半実体化した武器の数々を連射すると、そのいくつかがバイオリンへと命中する。
「美しい……これでこそ我がソロパート。ではセッションと参りましょうか!」
イーリンはハーフ・アムリタを握って微笑んだ。
「私の心を見て。私の波濤は、私の魂は燃え尽きる寸前なの。
それに相応しい音を奏でてよ、貴方のG線が切れるまで!」
「馬鹿者! 全く、また調子に乗りおって。バイオリンの若造め」
仕方あるまいと呟き動き出す『バスクラリネット』。
が、その歩き出す足の先にザクンと一本の矢が突き刺さった。
ぴたりと足を止めたバスクラリネットの頭部めがけもう一本の矢が飛んでくる。
それをあろうことか素手でぱしりと受け止めたバスクラリネットは、振り返る。
「この矢、ただの矢ではない……若造、またそなたか」
振り返ればそこにいたのは彩陽であった。
既に次の矢を構えていた彩陽は、矢を放ちながら言い放つ。
「アンタはここで相手してもらうで。封殺を込めたこの矢なら――」
「お、っと!」
凄まじい命中精度を誇る矢を、しかしバスクラリネットは腕で払いのけた。
そして大きく溜めを作る。
「させるかいな!」
連射を放つ彩陽。矢は数発が払いのけられたが、一発がバスクラリネットの腕に命中。流し込まれた封殺の力によって放とうとしたはずの力が霧散する。
「ぬう、厄介な! こいつはワシと相性が悪い!」
バスクラリネットは古くからケイオステラーと共に楽団を支えてきた古株であった。
それゆえに仲間達が増えていくさまを、そんな仲間達の楽しそうに過ごす様を知っている。
そしてそれを壊そうとするものの存在も。
「じゃが、ワシを完全に止めようとてそうはいかんぞ!」
再び溜めに入ったバスクラリネット。
連続で矢を放つ彩陽。
しかし封殺を入れるより、バスクラリネットが低周波攻撃を放つほうが早かった。
(やっぱり格上には封殺が入りづらいか……! けど、凌いでみせる!)
直撃を喰らって吹き飛んだ彩陽は、しかし素早く起き上がって弓を構えたのだった。
「あれえ? もしかしてタイマン張っちゃうつもり? 流石に無茶じゃない?」
『トランペット』は状況を観察しながらそんな風に呟いた。
「無茶かどうかは、やってみないと分からないよな」
フードをちょいとつまんでトランペットの前に立ちはだかるクウハ。
「楽団一の色男だって?色男同士仲良くしようぜ。愛についてでも語り合おうや」
「ワオ、確かに色男だ。惚れちゃいそうだね。けど……」
じりっとクウハを回り込むような動きを見せるトランペット。
「『はいそうですか』とタイマンを受け入れるほど馬鹿に見える? バスクラリネットあたりを助けに行った方が俺としては得なんだよねえ」
「知ってる。けど、そうはさせない」
クウハはにやりと笑うと目を強く見開いた。
「何ッ――!?」
『幻罪の呼び声』。ただの【怒り】付与ではない。【疫病】つきの、更には【変幻】つきのスキルである。たとえ格上の魔種であっても耐えることは難しい一撃だ。
「やべっ!?」
咄嗟に腕を振り、クウハの魔術を回避するトランペット。
だがそれが何度も通じるとは思えない。なにせ当たれば術中に嵌まってしまうのだ。
「方針変更。付き合ってあげる。まずは君から倒さないとマズそうだからね」
「そりゃ助かる。ああそうそう、言いたいことがまだあった」
『幻罪の呼び声』を継続しながらクウハは囁く。
「俺が思う愛ってのは、相手の幸福を願うことだ。
だが、それも押し付ける様じゃあ意味がない。
相手をよく見て心ってモンにきちんと寄り添ってやんねェとな。
面倒くさがりにゃ務まらねェ。
要するにオマエらがやってんのはナルシズム極まった嫌がらせさ。
嫌がらせは俺も大好物だ。
精々邪魔をしてやるよ」
「――あまたの星、宝冠のごとく!」
状況を観察していた『チューバ』めがけ、牡丹が強襲をしかけた。
腕から放つ炎がチューバを巻き込み、避ける暇も与えずにその意識を染め上げる。
「これは……困りましたね。【疫病】つきの【怒り】付与とは」
首を振るが、チューバの意識は牡丹にぴったりと吸い寄せられている。攻撃したくてたまらない。
「さあタイマンと行こうじゃねえか! 避けるのも当たりどころを逸らすのも得意なんでな! オレは硬い。オレは無敵だ!」
吠える牡丹に、チューバはやれやれと首を振ってから牡丹に詰め寄った。
鋭い掌底を軽やかに回避する牡丹。続く蹴りをも回避。更に身体をスピンさせての裏拳すらも回避すると一旦距離をとる。
回避した――はずだが、最後の一発はどうやらかすったらしい。牡丹の頬に一筋の傷が走っていた。
「オレに当てるか。たいしたモンじゃねえか……」
「それほどでも」
チューバはその表情のない頭で牡丹を睨む。
このチューバ。元々戦いを嫌う性格であった。元々が弱く小さな音の精霊種であったが、ケイオステラーとの出会いでその力に目覚め、強く強くそれを膨らませていった。
「ですが、私を相手に一人だけで挑むというのは、いささか無謀ですね」
連続で放たれる通常攻撃。スキル効果がのっていないにもかかわらず、牡丹はその攻撃を避けきることができない。ついには派手な掌底を喰らって吹き飛ばされてしまった。
「チッ――!」
舌打ちをし、『聖骸闘衣』と『万雷ノ舞台』を発動。防御を固め動きを早める。
それでも――それでもチューバの打撃は牡丹へと追いついていた。
(流石に格上相手ってことか。けど相手するのがオレでよかったぜ。これなら耐えきれる!)
牡丹は懐にしまい込んだ『アクアヴィタエ』をそっと上から撫でて笑った。
「さあどんどんかかってきな! この下らねえ演奏会が終わるまで相手になってやるぜ!」
ばさり――と纏っていた衣がはためく。
マッダラーは空中に魔法で浮遊しながら、ケイオステラーをにらみ付けていた。
「敢えて言わせてもらおうか、大将首を獲りに来たぞケイオステラー」
「さて、そんなことができようものかな?」
「やって見せる!」
マッダラーは豪速で距離を詰めると至近距離で音の魔法を発動。常人ならば派手に吹き飛ぶような衝撃をケイオステラーに浴びせる。
対して、ケイオステラーはマッダラーめがけ指揮棒を振り込み、同じく音の魔法を発動させた。
激しい音と音がぶつかり合い衝撃に変わる。衝撃は暴風となって二人をまき、周囲の砂を吹き上げていく。
魔法で作り出した輝く指揮棒を握りこんで斬りかかるマッダラー。
それを指揮棒で受け止め、つばぜり合いの状態を作るケイオステラー。
「ああ、感じる。恐怖と抑圧が」
「なんだと」
「愛するものが嘆き苦しむのは胸が張り裂けそうなほど辛いものだ、だからその苦しみから解放してあげなくてはならない。全てを受け入れれば苦しみから解放される、さあ、吾輩の愛を受け入れておくれ」
愛? 愛だと?
マッダラーの胸に憤怒が沸き起こった。
「これが愛する相手にすることだというのか……!」
「ああ、そうだとも。敵対者――名を教えてはもらえないかな」
ケイオステラー。この怪物は、今まさに敵対している自分でさえも愛する対象なのだという。そんな極端な、そんな傲慢な話があるだろうか。そしてその愛の征く果ては、魔種となって暴れ回る世界だと?
「マッダラー――マッダラー=マッド=マッダラー! 泥人形の名だ。覚えておけ!」
「ああ、覚えておこう!」
両者の衝撃が再びぶつかり合い、マッダラーは大きく吹き飛ばされる。
空中でくるくると回転しつつ、マッダラーは制動をかけた。
(しかしこの作戦、上手くいけばいいが……)
ギュイン、と平蜘蛛が激しい音を響かせる。
それに反応したのは『ティンパニ』だった。
「このビート……前にも戦ったな、お前か!」
くるりとバチを回し、格闘の構えをとるティンパニ。
対して弾正はそんなティンパニを指さして挑発した。
(中途半端な気持ちでは、きっと作戦に気付かれてしまう。貴様の相手は俺で十分! ぐらいの気持ちで……)
「ああ、タイマンを張ろう」
「いいねえ、タイマン!」
ティンパニが猛烈な速度で接近し、バチによる打撃を放ってくる。
一撃一撃に音の魔法が籠もったそれは凄まじい衝撃を伴い、弾正の展開した音の防護結界を容易く破壊してしまう。
だが耐える手段がないわけじゃない。
弾正は『アルクル・レトワール』での自己回復ができる他、奥の手の『ハーフ・アムリタ』まで用意している。更にはエランビタールによる【賦活200】効果も上乗せされ、かなりの耐久能力を持っていると言えるだろう。
そんな弾正に――。
「なあお前! どうして戦う? どうして俺らの『解放』を邪魔したい!?」
ティンパニは戦いながら問いかけてきた。
「なんだと?」
「俺はこのビートがふれあう感触が楽しくて戦ってる。心を動かす音楽こそが生き甲斐だ! この熱さを、喜びを教えてくれたケイオステラーさんには感謝しかねえ。お前はどうだ? そんな熱い生き様を教えてくれたヤツはいるか!?」
問われ、弾正はフッと笑った。
ああ、いるとも。熱く激しく生きることを、人生の楽しさを教えてくれたヤツが。
「お前とは、立場が違えばもっと語り合えたのかもな。だが今は敵同士。ここで潰させて貰う!」
「いい根性だぜ! せいぜい潰れずに耐えてくれよ!?」
ティンパニのバチが両手同時に叩きつけられる。凄まじい衝撃に吹き飛ばされ地面を転がるが、弾正は自らに治癒魔法をかけてこらえる。
(これは、HPの半分とか言ってる場合じゃないぞ。回復量よりダメージ量の方がずっと多い!)
頼みの綱は他の四人。彼らが各個撃破作戦を迅速に遂行してくれさえすれば……!
「それじゃあ、頑張りましょうか」
ベークはいつもの調子で呟くと『フルート』めがけて『甘い香り』を放った。
「うわっと! なんですかこれ、良い香りがする!?」
手で空気を払いながら攻撃を回避するフルート。
(やはり格上の相手には当たりづらいですか。当たったとしてもこれは高確率でレジストされそうですね。とすれば……)
ベークは効果時間の経過した『ソリッド・シナジー』をかけなおすと、フルートめがけて『G・L・B』を解き放った。
ぴょんと飛び跳ねてからの口から放つ紫色の光線。
それをフルートは両腕を交差させるようにして防御した。
常人であれば消し飛んでしまうような衝撃の筈なのに、フルートはそれをしっかりとガードすると腕で弾き飛ばす。
「い、痛い……やめましょうよ暴力は! 音楽で解決しませんか!?」
「そういうわけにはいかないんですよねえ」
再び『G・L・B』を放つベーク。
そこへアーマデルが『蛇鞭剣ダナブトゥバン』を展開。ベークの攻撃を防御していたフルートの腕に剣を巻き付け、引き戻すことで高速で距離を詰めにかかる。
「――『英霊残響:妄執』」
志半ばにして斃れた英霊が残した未練の結晶が奏でる音色。
それは諦念と絶望、愛憎の狭間にて身を焦がし、ひとり堕ちゆく暗殺者が最期に零した呪い(あい)。
近距離で英霊残響をぶつけられたフルートは軽くよろめき、【雷神】の効果が付与される。
「いたた、や、やめてください!」
そう言われて辞めるようなアーマデルでは勿論ない。
『蛇巫女の後悔』と『英霊残響:怨嗟』を打ち込み、抵抗力の弱ったフルートへ毒や呪縛の効果を浴びせていく。
「くっ……!」
フルートは楽団の中でも気弱な性格だ。しかしだからこそというべきか、彼には治癒や強化の力があった。
自分が弱いから。だからこそ、ケイオステラーの解放こそが混沌に生きる人々を救う唯一の手段だと……信じているのだ。
「人が争うのは恐怖からです。ケイオステラー様はその恐怖をこの世界から取り除こうとしているのですよ! なぜそれがわからないんですか!」
フルートは自らにかかったBSを回復すると、続けて自らに付与効果をかけ始めた。
アーマデルはコンボが崩れた形になったが、気にせず『英霊残響:妄執』をかけ直す。
が、そこへ更なる攻撃。
「ここで取り逃がせば、いたずらに被害が拡大するのみ。
シン・シャイニング・夢心地・アルティメット――!」
夢心地は眩いほどに輝きながら刀でフルートへと斬りかかった。
「金管楽器の輝きを超える光がこの世にはあるのだということを知れぃ!」
「うわっ、まぶしい!」
目くらましになったわけではないだろうが、夢心地の斬撃は綺麗に決まりフルートはその身体から血を吹き上げる。
「フルート!」
それに最初に気付いたのはティンパニだった。
加えてチューバ、トランペット、バスクラリネット、バイオリン、更にケイオステラーまでもがフルートの危機に気がついた。
「むむっ、作戦に気付かれたか」
夢心地は剣を構え、フルートを倒してしまおうと更なる斬撃を叩き込――もうとして、バイオリンの弓に止められた。
「おっと、これ以上はやらせませんよ」
「ぬう……!」
すぐに混戦状態となり、ケイオステラーたちがタイマン姿勢をやめこちらへの集中攻撃を開始する。
それでもタイマン状態を維持できていたのはクウハと牡丹だけであった。いや、トランペットとチューバが集中攻撃に加わらないというだけでもかなりの戦果なのだが。
「それでも――」
マッダラーが豪速で飛び回り、ケイオステラーとティンパニをブロックする。
その間にイーリンもまたバイオリンをブロック。
相手の攻勢が激しくなり耐えることも難しくなるが、それでも――。
「イズマ、今のうちに!」
「ああ……!」
イズマは『アイゼルネ・ブリガーデ』を発動。召喚した楽団が一斉に演奏を開始すると、その音楽は魔法となってフルートに叩きつけられる。
「う、うわあ!?」
音の弾幕を浴び、デスダンスを踊るフルート。
そして、フルートはその場にがくりを崩れ落ちた。
「テメェ……フルートをよくも!」
ティンパニが怒り狂ってイズマに襲いかかる。
その衝撃がイズマの身体を撃ち抜き、張っていた防御結界が崩壊。更なる衝撃が重なりイズマは派手に吹き飛ばされる。
が、そのことで『バアルの契約』が発動。周囲の仲間達のHPが回復していく。
「これはいけない。退こう」
ケイオステラーの判断は早かった。追撃をかけようとするマッダラーたちをはねのけ、再び集まってきた終焉獣たちを盾にするかたちで逃走を図ったのである。
「逃がした……か」
再び終焉獣たちを相手にする余裕はない。こちらも相手の集中攻撃でかなりの損耗を負ったのだ。退くべきだろう。
だが。とマッダラーは拳を握る。
「次はないぞ。『混沌解放楽団』。次こそは、その不快な音楽の終わる時だ……!」
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
――『混沌解放楽団』の撃退に成功しました!
GMコメント
●シチュエーション
幻想で異変が起きている中、国の近くに魔種集団『混沌解放楽団』が展開していることが分かりました。
これを撃退し、追い払いましょう!
●第一フェーズ:終焉獣の撃退
まずは群れを成している終焉獣を撃退し、『混沌解放楽団』の展開している陣地まで攻め込む必要があります。
多数の終焉獣を効率的に倒し、彼らのエリアを突破しましょう。
●第二フェーズ:『混沌解放楽団』との戦い
ケイオステラーを指揮者とした魔種集団です。
強さはまちまちとはいえ全員が魔種で構成されており非常に強敵です。
前回は非常に苦戦させられましたが、なんとか撤退させることに成功しました。
また、いくつもの『音』を重ね合わせることで大技を発することができるらしく、個体ごとを連携させるのは危険だと分かっています。手分けをしてバラバラに対応するのが得策となるでしょう。
・ケイオステラー
高い戦闘能力を秘めた魔種。『混沌解放楽団』を率いている。
楽団員たちのことを愛している。ケイオステラーの寵愛を受けて反転した音の精霊種である楽団員たちはいわば彼にとって子供のような存在であり、その子供たちが自分と一緒に音楽を演奏してくれるのを幸せと感じている。自らの愛と音楽が世界を救うと信じているからこそ。
・チューバ
戦いを嫌うが弱くはなく、むしろ元々が小さな精霊種であったことを考えれば異常な強さを持つ。音の波による肉体への直接攻撃は防御を無視し、長い手足を使った格闘技は生半可な実力では抑えられない。
・バイオリン
自信家で単独行動をすることが多い。弓を剣のように使って攻撃してくる。音の攻撃は物理防御を無視する。ソロパート演奏の邪魔をすると異常なほどに激昂する。
・トランペット
混沌解放楽団一の色男を称する。軟派で面倒くさがり。遠距離からの音攻撃と速度を生かした戦い方をしてくる。
・バスクラリネット
口は悪いが、自分よりも若い芽が育ってきているのを喜ばしくおもっており、他の団員のために命を投げ出すのを厭わない。
動きは遅いが、溜のあとに放つ強烈な低周波攻撃は脅威。
・フルート
戦いが嫌いで、団員たちの中で戦闘能力が最も低い。
しかし、その演奏技術は他の団員たちと比べても隔絶している。
その曲を聴くだけで味方には回復と強化を、相手には状態異常と弱体化を与える。
・ティンパニ
混沌解放楽団の中で最も熱い男を称する青春野郎。魂のビートが触れあえば誰とでも熱くなれる、心を動かすことが生きがい。
戦闘では近接戦闘をメインにガンガン戦ってくる。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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