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シナリオ詳細

<Je te veux>大切な大切な収集器

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ローレットでは現状、ギルドマスター『レオン・ドナーツ・バルトロメイ』が失踪してしまっている。
「ボクたちはやれることをしましょう!」
 その分、代理として各国の情報収集や依頼遂行の可否を決定していたのは、ユリーカ・ユリカだ。
 亡き父の栄光、そして、父代わり兄代わりだったギルドオーナー。
 ユリーカは彼らの為にも頑張らなければと考えたのだろう。
「この間、初めて会ったけれども」
「ユリーカさんってかわいいよね」
 ラサ南部までやってきていた『シェインの相方』カレル・タルヴィティエ(p3n000306)、『カレルの相方』シェイン・ラーティカイネン(p3n000307)は揃って微笑んでいた。
 2人よりもユリーカは年上のはずだが、それだけの愛嬌を感じさせる辺り、ギルドマスター代理を務めるだけの度量があるのだろうと、亜竜種少女ペアは感じていたようだ。
 そんなユリーカが伝達していたラサ南部砂漠コンシレラの変化。
 まさに、一行の位置からも終焉の獣『ベヒーモス』が鎮座しているのがわかる。
 その背より崩れ落ちた小型の終焉獣が転移陣を使って混沌各地に現れているという。
「パンドラ収集器の収集……」
「そうしてまで、パンドラを得たいのかしらね」
 なお、2人はお揃いのイヤリングらしい。
 2つ合わせると一つの花のようになるデザインをしており、2人で1つだという意味をこめて作ってもらったらしい。
 それがパンドラ収集器となったのは、2人にとって喜ばしいことだったのだとか。
「でも、覇竜でもその収集器が奪われる事件が起こっているよ」
 カレルの言葉にシェインが頷いて。
「交旅の路にあるリ・ペアって集落の人々が狙われたの」
 そこは、ラサ南部とフリアノンを結ぶ交易路上にある中継地点。
 今では商人らが出入りし、集落は少しずつ大きくなっている。
 それに伴い、イレギュラーズとなった亜竜種の姿もあったのだが、今回は彼らが終焉獣らに狙われてしまった。
「奪われた収集器は、持ち主にとって大切な物であることが多いんだよね?」
 カレルの問いに、イレギュラーズの答えは様々であったが、いずれにせよとられたままというわけにもいかない。
「奪い返せたなら、空中庭園のざんげさんの元に届けてから、収集器の役割と解いて持ち主に返すって聞いているよ」
 ユリーカらしい配慮だとメンバーは目を細めつつ、さらなる事件の状況について2人に問う。
「小型ベヒーモスの位置は特定しているよ」
 ただ、危険なこともあってイレギュラーズが複数人駆けつけるまで待とうと2人で決めたと、カレルは言う。
「交旅の路から高台へと向かったところの岩場にいたの」
 シェインの話によれば、まず、小型ベヒーモス……通称ちっさ君が2体。大きな人の手のような終焉獣2体。そして、亜竜ドラゴゲイターを模した姿となった変容する獣3体だ。
 それらは岩場に囲まれる奥まった場所へと潜み、近場の集落の襲撃を繰り返していたと見られる。
 ある程度集まったら、持ち帰るつもりなのだろう。
 どこかまでは、亜竜種少女ペアもわからないそうだが。
「ともあれ、行こう」
「準備ができているなら、すぐにでもいけるよ」
 準備万全という2人に、イレギュラーズも銘々が応じるのである。


 その後、交旅の路を進むイレギュラーズ一行。
 細い川が流れる道の脇を進み、以前架けた橋を渡っていき、第一中継地点リ・ペアへと至る。
 メンバーは到着してすぐ、情報収集へと当たる。
 時折現れる黒い獣が素早く街中に現れ、ピンポイントに物品を奪っていくのだという。
「ポーチ、コイン、翼飾り……」
「食器に、仕事道具……一見共通性はないけれど」
 カレル、シェインはそれらがいずれもパンドラ収集器であることを指摘する。
 いずれの持ち主もできるなら早く返してほしい、発見してほしいとメンバーに願う。
 その願いを叶えるべく、メンバーは早速動き出す。
 高台には登る為の道もあり、それを使ったり、直接飛行したりして、皆崖上へと移動する。
 そして、メンバーは亜竜種少女ペアの案内を受け、問題の岩場へ。
 岩に囲まれた奥まった場所に、それらは潜んでいた。
 ワニの姿をした青白い変容する獣に、巨大な手の姿をした終焉獣。
 そして、小さなサイズになったベヒーモス……何かを抱えているようにもみえるが……。
「合図は皆に任せるよ」
「それでは、よろしくね」
 カレル、シェインが合図を待つ中、メンバー達は示し合わせるようにして突撃のタイミングをはかるのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <Je te veux>のシナリオをお届けします。
 覇竜に現れたちっさ君に終焉獣の群れ。
 それらの狙いはパンドラ収集器のようです。

●概要
 事件は覇竜の集落、リ・ペア近辺で起こります。
 集落でイレギュラーズとして目覚めた大人や子供がパンドラ収集器を終焉獣らに奪われてしまっている為、その奪取に向かいます。

 ラサとフリアノンを結ぶ交旅の路の第一中継点であり、梨のパイが振る舞われる場所。
 昨今のローレットの活躍後、ちらほらとイレギュラーズに覚醒する者もいるようですが、平穏な暮らしを求める亜竜種がほとんどです。

〇変容する獣×3体
 全長3mあまり。竜の頭、四肢と尻尾、鰐の口と体を持つ亜竜の姿をしています。
 どうやら、周辺のドラゴゲイターを元に変容したようです。
 非常に獰猛で、獲物と見定めた相手にはしつこく食らいついてきます。
 竜の四肢もあって跳躍も可能で、大きく開いた口で生物を食らうようです。

〇『終焉の獣』小型ベヒーモス(通称:ちっさ君)×2体
 全身2~2.5mほど。R.O.Oで登場した「でっか君」から零れ落ちた欠片から変形した存在です。
 四本足の獣で、どす黒い霧でこちらに封印を含む状態異常、咆哮と共に飛行対象への状態異常、狂化による自己強化、終焉をもたらす浸食と小さくなってもその攻撃は油断なりません。

〇混迷の手×2体
 全長2m弱。左右一対の手です。
 掌を叩きつけて上から押し潰したり、指で弾いたり、ビンタを叩きつけてきます。
 両手が揃っていると、力技で相手を引き裂こうとするので要注意です。
 指で空間を裂き、浸食を行うことも。

●NPC
○亜竜種少女ペア
 フリアノン出身、互いを友情以上の感情を抱くペア。
 息の合った連携を見せますが、イレギュラーズに合わせた作戦もとってくれます。

・カレル・タルヴィティエ(p3n000306)
 赤いショートヘアの長剣使い女性。
 軽装鎧を纏い、剣舞で周りを魅了しながら相手を殲滅します。

・シェイン・ラーティカイネン(p3n000307)
 緑のロングヘアを揺らす術士の少女。
 樹でできた長い杖の先端にはめ込んだ魔力晶から炎や雷、治癒術を使います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いします。

  • <Je te veux>大切な大切な収集器完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年02月22日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
シラス(p3p004421)
超える者
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

サポートNPC一覧(2人)

カレル・タルヴィティエ(p3n000306)
シェインの相方
シェイン・ラーティカイネン(p3n000307)
カレルの相方

リプレイ


 覇竜交易路、交旅の路。
 整備に貢献した『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)とパサジール・ルメスにちなんで名づけられたこの道程の第一中継点となるのはリ・ペアと名付けられた集落。
 行商人の立ち入りも増えたこの地で、人々の物品が奪われる事件が頻発しており、イレギュラーズはその犯人がいる高台を目指す。

 奥まった岩場。
 ファミリアーなどで偵察をするメンバーらがすでに確認していたが、『竜剣』シラス(p3p004421)も直にそれらを視認して。
「見つけたぜ」
 そこには、真っ黒な巨大な1対の手、亜竜ドラゴゲイターの姿をとる3体の蒼白い変容する獣。
 そして。
「ちっさ君でも結構大きく見えるが」
 ラサの砂漠に居座る巨大なベヒーモスの小型版ともいうべき、通称ちっさ君の大きさを『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が指摘する。
「もと対象と比較して小さいからといって、このネーミングはどうかと」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)はマスコットならともかく、報告書へと書くにはちっさ君の名称は少々愛らしすぎると指摘する。
「それよりも……、パンドラ収集器を奪うと来たか」
「ああ、まさか、それを狙って動くとはな」
 それはそれとして、出間は可能性を潰す為だけに存在するその小型ベヒーモスがあまりにも異質すぎると語れば、『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)が自身や皆の収集器を指す。
「思い出の品……」
「一つ一つに色々な思いがあるはず」
 亜竜種少女ペア、カレル、シェインの言葉の後、ニルは絆の揺石に視線を落とす。
 それは、ずっとそばにいたいと思っているテオドールにもらったお揃いのネックレス。
 ニルにとって、とってもとってもたいせつなもの……なくしたくないもの。
「パンドラ収集器を奪う……それも可能性の手繰り寄せ方……潰し方の一つなんでしょう……だけど」
 ドラネコさんのリーちゃんを空へと飛ばすユーフォニーは、何かを言おうとして口をつぐむ。
 傍では、『おいしいを一緒に』ニル(p3p009185)が俯いて。
「パンドラ収集器……だれかのたいせつなものが、奪われてしまうのはかなしくて、くるしいことです」
「その人の大事な物を奪うのは人間への冒涜に等しい」
 断言するイズマは終焉獣へと明確な敵意を示す。
「やけに知恵の働く獣だなと思ってはいたが、よもや、押し込み強盗のような真似をするようになるとは」
 全く以って、迷惑千万極まりないと『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は憤怒する。
「終焉獣にも慣れてきたけど、相手もどんどん進化する。油断はできない」
 『無尽虎爪』ソア(p3p007025)はその脅威に、皆にも気を引き締めるよう促すと、ファミリアーで上空から岩場内部を探るニルやユーフォニーが集められた収集器に気づく。
「間違いないようですね」
「欲かいて溜めこみやがって」
 呆れるシラスは少々ずつ運び出されたらどうしようもなかったと、現状はまだ運が良いと話す。
 彼の言うように、この機を逃すわけにはいかない。
 タイミングを合わせ、メンバーは一気に内部へと突入して。
「それはあなた達なんかが触れていいものじゃないの。返してもらうよ」
 ソアの呼びかけに、獣どもはゆっくりと振り返る。
「許すものか、必ず取り返してやる」
 敵を睨みつけるイズマはニルと共に、岩場が崩れぬよう保護結界やオルド・クロニクルを展開する。
 これで、崩れた岩に収集器が押し潰されるようなことはないはずだ。
「さておき『パンドラ収集器は持ち主にとって大切なものであることが多い』……この一点だけでも奪還は必須」
 敵を注視する瑠璃が忍者刀を抜いて。
「ユリーカさんの配慮の通りにできるよう努めましょうか」
「ぜったいぜったい、取り戻すのですよ!」
 グルルルル……、ガオオオオオ!!
 ニルの声で、獣どもも咆哮を上げ、抵抗すべくこちらへと襲い掛かってきたのだった。


 少し離れた谷底には交旅の路が伸び、途中にリ・ペアの集落がある。
「集落の人々も心配だし、被害が大きくならないうちに早めに片付けてしまいたいところだ」
 昴の言葉を聞くやいなや、シラスが終焉獣らへと仕掛ける。
 不択手段こそ、昴のファイトスタイル。
 敵の先手を取り、シラスは戦場に不可視の糸を張り巡らせ、敵陣を切り裂いていく。
 さらに、シラスは手数を活かし、敵全体を魔力糸で絡めとることで戦局を優位に傾けようと動く。
「ハハァ、無様だなァオイ!」
 糸によって運気を大きく下げ、思うような行動がとれぬ敵に他メンバーが迫る。
「……行きましょう!」
 カレル、シェインにも合図を出すユーフォニーは、世界を万華鏡の如く知覚することで能力を高めて。
「ちっさ君達と合わせて――果ての先まで、照らしましょう!」
 敵陣を捉えたユーフォニーはちっさ君2体を中心にカレイド・フォーチュン……万華の光で照らす。
 覇竜に領地を持つユーフォニーにとって、この地でこそ一番真価を発揮する技。
 強い光が満遍なく獣どもを照らしていく。
「封印はいやなのです……」
 ニルはちっさ君が発するというどす黒い霧を警戒する。
 そのちっさ君だけでなく、ニルは多数を巻き込むようにケイオスタイドを展開する。
 根源の力は泥となり、一度は高波のように立ち上った後敵陣へと浴びせかかった後霧散していく。
 イレギュラーズによる攻撃を立て続けに浴びる獣どもも、もがきながらも攻撃に出ようとする。
 その中で、対になって動く混迷の手を汰磨羈は警戒する。
「見た目の時点で、対になって行動する気満々なヤツだが。……させると思うか?」
 己の限界を断ち切るほどの出力を発する汰磨羈は一時的に長髪化し、身構える。
 今は指で弾いたり、ビンタを放ったりと個々で攻撃してくるが、2体連動で攻撃を仕掛けてくるのは確実だ。
 汰磨羈は重力を無視した妖刀の一閃で左手を仲間の攻撃が集まる敵陣へ、もう片方、右手は大きく壁際へと吹き飛ばす。
(事前情報にない生態がなければいいのですが)
 瑠璃もちっさ君優先で掌握魔術を発動し、気糸の斬撃でちっさ君を中心に切り裂き、傷口からどす黒い血を流させる。
 さほど大きなダメージとは言い難いが、流れ出す血は徐々に敵の体力を奪っていくはずだ。
 ブオオオオオオォォ!!
 ガアアアァァ……。
 吠えるちっさ君らの脅威は先程の霧と合わせ、狂化してからの強力な物理攻撃。
 そして、にじりよって大きな口でかぶりつこうとしてくる変容する獣も侮れず、鋭い牙でこちらも多量に出血しかねない。
「はい、ありがたい精霊の加護だよ!」
 仲間の付け入られる隙を塞ぐべく、ソアは皆の背中を叩いて、強く鼓舞する。
 そうして、ソアは聖骸闘衣を仲間達へと個別を纏わせる。
 状態異常を防ぐことができれば、それだけで攻撃に集中できるはずだと、ソアは手数でほとんどの仲間へと付与を目指す。
 その付与から外れているのは、自前で聖骸闘衣を纏うイズマだ。
「奪えるものなら、来い」
 吠える獣へと自身のパンドラ収集器……首元の飾りを見せつけ、イズマが誘うと、わらわらと獣どもは彼の思惑通りに近寄っていく。
 そこで、カレルとシェインもユーフォニーの指示で動き出す。
 仲間に気を取られる獣へと両サイドから強襲し、カレルの剣戟の合間にシェインが術を撃ち込み、開戦から息の合った連携を見せつける。
 2人が飛びのいたところへ、昴が全身して密集する敵に闘氣を纏わせた拳や蹴りで乱撃を浴びせかけていく。
 邪魔な敵にも攻撃するのはついでで、昴が近づいていたのは、メンバーの攻撃で煩わしそうに腕を振り払うちっさ君だ。
 それらへと近づいた昴は本格的な攻撃を開始し、メンバーの攻撃の合間を縫うように竜撃の一撃をその腹へと見舞うのである。


 岩場内で激しい剣戟音がこだまする。
 メンバーの攻撃がちっさ君へと集まる中、汰磨羈は混迷の手を結界で捉える。
 敵の位置は頭上から逐一把握し、両手の間へと入らないよう位置取っていた。
「見た目通りに指が重要そうだが。それなら、重要な親指から順に切断してやろうか!」
 内部に編み上げられた六刑地獄で混迷の手の片割れである左手を痛めつける。
 その彼女へと迫る右手の動きを察し、ニルが堕天の輝きで照らして足止めする。
 ニルは汰磨羈をサポートしながら、他の敵の抑えにも当たっていた。
 攻防続く中、一通り仲間へと聖骸闘衣を付与したソアが一息ついて。
「ふう、これでボクもお楽しみの時間だ」
 仲間へのサポートをしながら、敵の戦法をチェックしていたソアは、ちょくちょく仲間の邪魔をしてくる亜竜の見た目をした変容する獣を見据えて。
「こちらから頂こうかな」
 相手は3体いるが、1,2体は引き付けたいとソアは近づき、咆哮を発する。
 蒼白い獣はイラつきながらも、ソアを威嚇し始めていた。
 
 その間、そしてその後も他メンバーはちっさ君に攻撃を集中させて。
 敵を抑えるイズマは戦う合間に、ちっさ君が抱えていた小物……収集器をいくつか奪い返す。
(それぞれの希望の形を、あるべき場所に運ぶんだ)
 強い想いを抱き、剛腕の叩きつけに耐えるイズマは獄門より呼び寄せた禍の凶き爪で敵を引き裂いて狂化を強制的に解く。
 幾分和らいだ威力の打撃に耐え、イズマは暁光が如き魔術を撃ち込んでいた。
 もう1体、狂化したちっさ君と合わせ、近場の手と獣も捉えたシラスは無数の光球を生み出す。
 敵の周囲へとそれらを展開したシラスはタイミングを見てそれらを次々に爆破させる。
 ちっさ君の力を霧散させつつも、シラスはさらなる光球を生み出していた。
 相手が怯めばこちらのもの。
 瑠璃は纏めてケイオスタイドを巻き起こして押し流し、堅実に体力を削る。
 亜竜種にとっても敵でしかない終焉獣。
 同族の所有物を奪う敵へ、カレルシェインも渾身の連撃で敵を自由に立ち回らせない。
 そんな亜竜種達の姿を見ながら、ユーフォニーは思う。
(リ・ペアのみんなは交旅の路を作った時にたくさんお世話になった)
 奪われた物品の持ち主が多く住まう集落リ・ペアはユーフォニーの姉妹の得意料理である梨のパイが名物となった。
 覇竜の地は彼女にとってどこも同じくらい大切だが、リ・ペアは特に思い入れのある場所の一つ。
(こんな可能性の手繰り寄せ方はさせません、奪わせません)
 再度、戦場を照らす光は千の彩り。
「そのひとの可能性は、そのひとのものだから!」
 ユーフォニーはそれらでちっさ君の体を強く、強く照らす。
 その眩さに耐えきれなかったのか、ちっさ君1体が目から光を失い、崩れ落ちていく。
 消え去るその体から零れ落ちる収集器をイズマが回収する傍ら、メンバーは攻撃を激化する。
 昴などは暴れるちっさ君の傍で強撃を叩き込み、無防備になったその体へと闘氣を見舞っていく。
 先に倒れた1体も収集器をいくつか抱えていたが、こいつもしかり。
 パンドラ収集器の存在をしっかりと把握し、誤って破壊せぬようちっさ君本体のみへと渾身の一打を繰り出す。
 相手は仲間の攻撃で多少なりとも態勢を乱すも、破壊力を考えれば気を抜くことは許されない。
 昴も下手な防御は捨て、攻撃あるのみと、対城技で攻め崩そうとする。
 揺らぐちっさ君の巨体。
 すかさずシラスが攻め入って。
「テメーらは欠片も残さねえよ」
 極限の集中と脱力。
 最速の繰り出された魔力は敵の胸部へと穿つ。
 アオオォォ……。
 弱々しく吠えたそいつはどうと倒れ、小物を地面へと落として消え失せてしまった。


 ちっさ君が倒れてなお、終焉獣は抵抗を止めない。
 元より収集器を集めるという役割を果たせなければ同じと思っているのだろうか。
 一方のイレギュラーズは変わらず攻めるのみ。
 瑠璃が放つ幾度目かのケイオスタイドを堪える終焉獣どもだが、明らかにその動きは鈍ってきている。
 とりわけ、ちっさ君撃破後のメンバーの攻撃は混迷の手に集まり、汰磨羈が優先して抑える左手を追い込む。
「学習能力が高い獣であるならば。因果応報という言葉も学んでおくのだったな」
 ボロボロの指を満足に動かせなくなっていた左手だが、汰磨羈を圧し潰そうと飛び上がる。
 その瞬間、汰磨羈は陰の太刀を浴びせて大きく態勢を崩す。
「報いを受けて貰うぞ。その命にな」
 地べたでもがくそいつへ、彼女はさらに陽の太刀を食らわせ、一気に切り裂く。
 その残骸は残ることもなく、虚空へと消え去った。
 壁際へと度々追いやられていた右手にも、メンバーは一斉に躍りかかって。
 先程、ちっさ君を仕留めたシラス。
 瞬間充填すらできないと、十全に戦えぬとシラスは時折、息を継ぐように気力体力の回復を挟む。
 そうして、魔力撃を混迷の手へと打ち込む。
 刹那、へたり込むように掌を地面につけていた右手はふわりと浮かび上がるが、昴が高めた闘氣で凄まじい武技を見せつける。
 高い暴力性で知られる鉄帝国より伝わる鋼覇斬城閃。
 それを、身に着けた昴の連撃に耐えられず、混迷の右手は抵抗すらできず潰れていった。
(空間を裂く浸食……満足に観察できませんでしたね)
 幾度か、これまでの依頼で出現していたという混迷の手だが、その浸食がバグホールと類似しているのではないかと気にかけていた瑠璃だ。
 ただ、戦闘中に見せた動きは文字通り指先で空間を裂くというもの。
 バグホールはそのままとどまり続けるが、混迷の手のそれはすぐに空間は元に戻る点で異なる。
(下位互換なのか分かりませんが、バグホールの対処法に繋がるかは微妙ですね)
 生憎、亡骸も残らぬ終焉獣から情報を引き出すのは、瑠璃のギフトをもってしても難しい。
 ともあれ、今は残る変容する獣を相手すべく、瑠璃は精神力の弾丸を叩き込んでいく。
 変容する獣も亜竜の如く進化はしていたが、その力は本物のドラゴゲイターには及ばぬ印象。
 グガアアアアア!!
 四本足で地面を歩いて這い寄ってくるそれらを抑えていたソアは回し蹴りを食らわせて守りを崩す。
「ふふん、がら空きだよ」
 勝利を確信するソアは己の称号でもある虎の爪を薙ぎ払う。
 得意の致命撃を浴びせかけ、ソアは悠然と獣の体を引き裂いた。
 ソアが1体を屠った後、他メンバーが駆け付け、討伐は加速する。
「シェイン、お願い」
「ええ、……今よ、カレル」
 シェインの放った炎が敵の口内で炸裂したのに合わせ、カレルが顎下から一気に敵の口を切り裂く。
 彼女達の位置を気にしたユーフォニーは再度、千彩で敵を照らす。
 己の体よりも強い光を浴びた獣は口も満足に開けられず、じたばたと足をばたつかせる。
 そこへ、瑠璃が腕を伸ばしてワイヤーで操作した忍術刀より飛ばした精神の弾丸でそいつを撃ち抜く。
 抗う獣だったが、耐えきれなかったのか爆ぜ飛ぶようにその身をかき消してしまう。
 敵が落とす収集器を拾いつつ、イズマは一時的に軍勢を呼び寄せて残る変容する獣を蹂躙する。
 ここまで、メンバーの範囲攻撃を幾度も浴びせていた最後の敵だ。
 獰猛な気性も長引く戦いでかなり削がれており、序盤は跳躍して襲ってくることもあったが、ここまでくると動きに勢いが欠け、食らいつく口の動きもかなり弱まっている。
 とはいえ、放置すれば何するかもわからない。
 汰磨羈は迅速に処理すべく、蒼白い体に刃を埋め込む。
 ただ、進化しているのは間違いなく、獣は力を振り絞って喰らいかかってくる。
 近づいて来る相手の動きを見計らい、ニルはミラベル・ワンドに神秘の力を集めて。
(確実に……です)
 零距離から打ち付けた極撃に、敵はもはや何も為すこともできず、光と共に姿をなくしてしまったのだった。


 獣どもを討伐し、イレギュラーズ一行は収集器の回収を進める。
 戦闘中にイズマがちっさ君から奪取したものに加え、岩場奥へと集められた小物、アクセサリーを集めて。
「これで全部なのです」
 念の為と、ニルはファミリアーと手分けして探すが、今集まっている物で全てのようだ。
「……控えていたリストと照合もできたし、過不足はないようですね」
 瑠璃もまた一つずつチェックし、収集器を纏める。
「後は持ち主にお返ししないとね。ボクも手伝うよ」
「そうだね」
「わたくし達も力になるよ」
 明るい気持ちになれるよう励ましたいと語るソアに、亜竜種少女ペアも同意する。
 程なくして、リ・ペアへと向かったメンバーは、一つずつ持ち主へと返却していく。
 ――もう戻らないかと思ったと、涙を流す者。
 ――イレギュラーズの手を掴んで感謝を示す者。
 ――言葉なく、ただじっと収集器を見つめる者。
 想いは異なるが、大切な物が手元に戻った人々の表情は明るい。
 そんな人々を目にしつつ、ユーフォニーは川沿いに伸びる路を見渡して。
「交旅の路の見回りも強化していかなきゃですね」
 また、終焉獣がいつ現れるかもわからない状況もあり、ユーフォニーはそう思い立つのだった。

成否

成功

MVP

ソア(p3p007025)
愛しき雷陣

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは戦闘のサポートと敵の足止め、さらに事後と幅広く活躍を見せた貴方へ。
 亜竜種少女ペアも気がけていただいて感謝です。
 ご参加、ありがとうございました。

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