シナリオ詳細
<グレート・カタストロフ>では一通り遊んだところで
オープニング
●帰宅
鬼灯の腕の中にいたやわらな人形、章姫が、ぴょんと飛び降りてスカートのすそを翻しながらこちらを向く。そしてにっこりと笑った。
「おかえりなさいなのだわ、みんな!」
「ああ、ただいまだな章殿。皆、長旅で疲れただろう。ゆっくり休むといい」
練達から帰ってきた孤児院の子どもたちは、歓声をあげて屋敷の中へ飛び込んだ。もうすっかり、ここを自宅のように思っているのだ。留守番組の暦たちへ挨拶をし、孤児院最年少のチナナは、自室で占術をしていた神無月の腕の中へ、ぼふんと収まった。ちっこくて、元気良くて、おしゃまなこの少女を、すこし奥方に似ていると、神無月はまあまあ気に入っているようだった。
「どうでございましたか? ベネラー殿について、なにかおわかりになられましたか?」
チナナはみるみるうちに顔を曇らせた。
「ベネラーは、もう人間じゃなかったでち、呪いに食われて、魔物になったでち」
「そうでございましたか」
さもありなんと神無月は首肯した。ベネラーがいつ理性を失うかわからない魔物であることなど、霊能力を持つ神無月はとうに看破していた。わかっていて聞いたのだ。
「あなたたちは、あの魔物をどうするつもりなのでございますか?」
小さなチナナには難しい質問だろうかと思いながらも問うてみる。
「ベネラーは、騒動が片付いたら練達のエリア777へ行くつもりでち。孤児院は卒業でち。しかたないでち」
「エリア777、ああ、人外ばかりが集まっている区域ですね? 聞いたことはあります」
どこであれ、奥方を害する距離でないならそれでよいと、神無月は心の中でつぶやいた。
「チナナ殿たちも、騒動の元凶である名無しの魔種を倒したら、幻想へ帰るのでございますか?」
「うん、そうするでち」
バイバイでちね。ちょっとさみしそうな笑顔のチナナに、笑ってお別れしとうございますねと神無月は返した。
●幕間・静けさ
練達から豊穣へ戻ったその日の夜、鬼灯はそれを取り出した。
「これが、ベネラー殿を殺害する方法、か」
茶色いアンプルを手に取り、鬼灯は「R」と書かれたラベルを見やる。
「練達にて精製された毒薬。摂取すれば、スライムの集合体であるベネラー殿の肉体を、分解することができる……あの名無しの魔種においても有効と考えられる。そして……」
静かにまぶたをとじ、やがて鬼灯は隣の部下へ視線を向けた。
「この事実は、名無しの魔種には知られていない」
神妙な顔をしている睦月へ、鬼灯はまなざしをやわらげる。
「ケチるところじゃないな、そうだろう、睦月」
美しい赤の瞳の部下は、わかっていると言いたげに笑ってみせた。鬼灯は記憶を呼び起こす。ベネラーたちと過ごした練達の夜を。
●幕間・練達の夜
エリア777。人外ばかりが集う練達の区画だ。
窓ガラスに映るのは、血のように赤い髪と目の少年。そして、新鮮な血の入った血液バッグ。少年は輸血口へストローを差し込み、ためらいながらストローをくわえる。
無言のまま血をすする少年へ、アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は心配そうに声をかけた。
「どうだ?」
少年は苦く笑った。
「……おいしいです」
「べネラー殿、無理はしなくていい」
少年の異変を聞いて駆け付けた冬越 弾正(p3p007105)も沈鬱なおももちだ。【孤児院最年長】ベネラー (p3n000140)と呼ばれた少年は軽く首を振った。
「ほんとうに、おいしいんです。何を食べても、何も感じなかった僕が。血だけは、おいしいと思える」
自分が人間じゃないんだってことが、よくわかりますね。ベネラーは微笑むとアーマデルと弾正へ顔を向けた。
「ありがとうございます。おふたりがいてくれるから、僕は自分が魔物だってことを受け入れることができる。僕が変わってしまっても、おふたりならきっと変わらず接してくれるって」
深くこうべを垂れたベネラーに、アーマデルと弾正は顔を見合わせた。
「ベネラー殿」
黒影 鬼灯(p3p007949)が病院の廊下を歩いてきた。
「諸悪の根源、名無しの魔種を討とう。そのためなら俺たちも暦も助力は惜しまない」
「でもあのコ、臆病だからねェ」
ヒヒ、と武器商人(p3p001107)が細い声を立てた。
「なんとかして引きずり出さなきゃいけないね。足止めもしっかりしなきゃ、逃げられておしまいだ」
思うんだけれどね、と、武器商人は絹すら恥じる銀糸の髪を指先で遊ばせた。
「ベネラーは、あの魔種の『極上の研究成果』なんだろう? そしてその研究は、不老不死、が目的だ」
そのようですねと首肯するベネラーへ、たたみかける。
「定命の存在を、長命に変える。おそらくこれまで多くの実験を、あの名無しのコはやらかしてきたんだろう。そんなコが、長命で不老で、無限の力を持つ存在を、研究対象に含めないとは、思えないんだよね」
「それは、つまり?」
鬼灯の問いかけに、武器商人はゆぅるり微笑した。
「自分自身さ。魔種となった、自分自身だよ」
はっと息をのんだ鬼灯は、ベネラーを見た。
「己で己にビースチャン・ムースの呪いをかけている、ということか?」
「九分九厘やってるとおもうよ。そして、どうもその実験は、ベネラーほど成功してはいない」
あの名無しのコが魔種のくせに、おそろしく弱いのも、自分にかけたビースチャン・ムースの呪いのせいだろうね。
武器商人はそう結論づけた。
「ならば」
アーマデルが口を開く。
「ベネラー殿を弑する方法を探せば、あの魔種への対処ができる?」
「アーマデル、しかし……」
「僕はかまわないですよ」
弾正を制し、ベネラーはうなずいた。彼の眼は、今まで見た事がないほど冷たい輝きを帯びていた。
「あいつを倒せるのだったら、なんだってやってやります」
故郷の村を滅ぼし、父を殺し、不幸をばらまき、なお傲岸不遜な態度を崩さぬ、あの名すら告げない魔種を。弾正は、くれぐれも無茶はしてくれるなよとだけ言った。それしか言えなかった。
●凶報
大広間でそろって朝餉をとるのは、暦たちにとっても子どもたちにとっても慣れたものだ。最初はあんなに危なっかしかった箸も、子どもたちはいまでは自在に操っている。豊穣の食事の味にも、文句を言う子はいない。今朝はちょっとだけ豪華に、くずもちがついている。見目良くまぶされたきな粉が、白い肌を彩っていて食欲をそそる。最初に食事を平らげ、くずもちへ箸をつけたのは、やはりというかなんというか、水無月だった。隠してるつもりで、じつは甘党なのだ。彼は相棒の鷹、ナナシへも分けてやろうと、意識をつなげ……箸置きへ食器を置いた。
「頭領、お耳へ入れたいことが」
「なんだ」
隣へ膝をついた水無月は、厳しい顔をしている。
「裏山に、バグホールが出現しました」
「ふむ」
鬼灯は手を止める。
「今何が見えている? 水無月」
「バグホールの周辺に、獣と称するには、あまりに不定形な青白い透明な魔物が、二十はいましょうか。噂に聞く終焉獣と思われます」
「如月」
「はっ」
「水無月、霜月、皐月、卯月、神無月。以上を率いて裏山へ向かえ。終焉獣の討伐。何が起こるかわからん。慎重にな。形勢不利ならすぐに退却」
「了解」
緊張が走った。名指しされた暦たちが裏手の山へ向かって走り去る。固い顔のままの子どもたちを見て、場を落ち着かせるために、鬼灯はゆうゆうと食事を再開した。
「長月はローレット支部へいき、イレギュラーズの手配」
「……私がやる」
小さな声に耳を傾け、鬼灯はそちらをへ顔を向けた。【魔法使いの弟子】リリコ (p3n000096)が、立ち上がっていた。
「リリコ殿、危険だ。魔物は発見したものだけとは限らない」
「……だって、鬼灯さんたちは、あれを、どうにかしないといけないでしょう?」
リリコがつと手を伸ばした。ほっそりとした指先が指し示すものに、鬼灯は戦慄した。
庭の隅に、魔種がいた。
ずんぐりむっくりとした巨体に、ぼろぼろの服、割れ砕けた宝石を身にまとい、亡霊のように突っ立っているあれは、傲慢の魔種『狂王』ラミリオン。全身にひび割れのような傷があるその魔種は、鬼灯の視線を受けてにいと笑った。
「深緑で行方不明になった魔種か。そうか、豊穣へ転移していたのか」
げんそうしゅぅ……。奴隷商人だった魔種は、子どもたちの中でガタガタ震えているザスを見て、正気を失った目をにちゃりとゆがめた。背筋を冷たいものが走り、鬼灯は愛妻を腕に抱き、後ろへ飛んだ。不可視の衝撃波が発せられ、すさまじい勢いで縁側が破壊されていく。
「ぶるぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁ
ねっとりしたうめきが魔種の口から漏れた。間一髪で残った暦たちからかばわれた子どもたち。かすり傷をおったのかロロフォイとチナナが泣いている。伏せろと、弥生に畳へ押し付けられていたベネラーがむりやり顔をあげる。
「リリコ、僕がイレギュラーズさんを呼んでくる。庭の魔種、なんの手はずもなくここへ来れるはずがない。きっとあの名無しの魔種が手引したんだ。だから僕が!」
「……ダメよベネラー、あなたは狙われてる。私はノーマークのはず。戦う力もない。それに私、足は早い。だからローレットへ行くのは私のほうが、適任」
鬼灯はリリコを止めようとした。そのときだった。きなくさいにおいが鼻を突いた。物が焦げる音、火が伝っていく音、そして濁った灰色の煙を鬼灯は捉えた。
「火、だと?」
鬼灯は止まった。そのすきに、するりとリリコは背を向けた。
「「頭領!」」
まっさきに庭へ飛び出た文月葉月が振り返って同時に叫んだ。
「火事!」「火事です!」
「屋敷が燃えてる! 誰かが付け火したんだ!」「子どもたちを避難させなくては!」
「おっさん」
隣に控えていた長月が、細い目をさらに細めた。
「リリコちゃん、行ってしもうたで」
「そうか」
「増援は来る。けど、屋敷はあかんかもしれん。とりあえず子どもたちを花畑まで逃がそうや」
もちろん俺らでやることはやる。子に犠牲を出すとか、暦の名折れやからな。
「頼んだぞ」
短くそう告げた鬼灯は、姿を見せない卑怯な名無しの魔種へ毒づいた。
「やってくれたな、下衆め」
- <グレート・カタストロフ>では一通り遊んだところで完了
- やることが、やることが多い!
- GM名赤白みどり
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2024年02月05日 22時15分
- 参加人数10/10人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
リプレイ
●リリコ・1
リリコは駆けていく、まっすぐに駆けていく。忍の里へ通じる道はけして平坦ではない。ときに岩肌を縫い、細い道をつたい、ひみつの通りを使って、リリコは豊穣のローレット支部へたどりついた。重い扉を開き、中へ入り込む。受付員がおやという顔をしてリリコを見た。だが少女には荒い呼吸を整える暇もない。胸がバクバクして脇腹が痛くて、汗を滝のようにかきながら、リリコはふらつく足取りでカウンターを目指す。
「……ローレット、識別番号、p3n……」
ぐらりと視界が揺れた。しっかりしなくてはと思う間もなく、リリコは倒れそうになった。冷たい床を覚悟したリリコは、けれどもやさしくやわらかな感触に包まれた。
「……ああ、私の銀の月」
リリコは『闇之雲』武器商人(p3p001107)の腕の中にいた。見上げた先には、見慣れた雨露の糸。うっすらと透けて見える紫紺の瞳がゆるく弧を描いている。
「……待っていて、くれたのね。よかった、あなたがいれば、何も怖くない」
「そうともリリコ。なにかある気がしてやってきたのさァ。もう何も怖いことはないから、いい子で待っておいで」
すべてわかっていると言いたげに、武器商人は真っ白のハンカチでリリコの汗を拭ってやる。そして併設された甘味処で椅子に座らせた。
「……銀の月がいるから、安心したわ。でも、気をつけて。何が起きるかわからない」
「そうとも、何が起きるかわからない。それが戦場というもので、それが非日常というものだ。我(アタシ)はよぉく知っているんだよ」
チャーミングにウインクをして、武器商人はぜんざいとお茶をリリコのために頼んでやった。少しばかりじれったそうなリリコのリボンがふわふわ揺れているから、それを制するように両肩へ手を置く。
「あとは我(アタシ)たちに任せて、リリコはここで待機。いいね?」
「……はい、わかったわ」
「我(アタシ)が迎えにくるまで、ギルドから出てはいけないよ。いいかい、おまえ、わかっているかい? 何が起きるかわからないのは、リリコもなのだから」
「……はい、お師匠様」
深い信頼を込めたまなざしを受け取り、武器商人は微笑んだ。
「ここで待っておいで。我(アタシ)は必ず帰ってくる。倒れずの名は伊達じゃないんだよ。よく知ってるだろう?」
「……もちろんよ」
信じているわと、リリコはまばたきをした。深い愛情をかけてくれるそのモノへ、リリコは絶大な信頼を抱いている。ゆえに、武器商人の言葉には素直に従う。リリコの頬を撫でると、武器商人は優雅に魔術礼装の裾を揺らしながら背を向けた。
●終焉獣・1
力強く鎖を掴んだ如月が鉄球を振り回す。眼前に迫りくるは終焉獣。巨大な鉄塊が終焉獣との戦いの火蓋を切った。鉄球で殴打された終焉獣がぐしゃりと潰れ、ついで元の形を取り戻す。
「手強い、そのうえこの数」
冷静に分析した如月は水無月へ指示を飛ばした。
「こいつらに知能はあるように見えるか?」
「いや、ない。特に戦列を作るわけでもないければ、陣を構える様子もない、ただひたすら襲ってくるのみだ」
「それは重畳。この数で連携されたら、いかな暦といえど危険だ。幸運だったな」
軽口を叩くと同時に利き手へ力を込める如月。投げつけられた鉄球が終焉獣へと迫る。直撃したスライムの見た目が崩れて、ぶるんと震えてまた盛り上がる。効いているのか、そうではないのか、わからない。如月はもうひとつの懸念事項を水無月へ問いただした。
「バグホールはどうなっている」
「ゆっくりとだが拡大している。バグホールを中心に、空間のねじれも酷くなっているようだ」
ナナシの目を借りて戦場を俯瞰している水無月が忠告する。
「もし飲まれたら、命はないものと思った方がいい」
「くっ!」
如月と共に前へでた皐月が剛腕で終焉獣を殴り抜けた。ぶよぶよした手応えにもかかわらず、何度も拳を叩きつける。
「この地を捨てるしか無いのか? どこもかしこも、思い出が詰まっているというのに」
「そうだねェ」
後ろから射線を通した霜月が発砲した。弾丸が貫通し、びちりとスライムの肉が飛び散る。
「まーそうなったらそうなったでェ、霜月さんらはどこでも生きていけるけどさァ。奥方が悲しむのは……やだよねェ」
長銃から放たれる弾丸の雨。スライムがひるみ、ついで伸び上がるように如月と皐月へ攻撃を仕掛ける。だが彼らの攻撃は、卯月によって遮られた。
「壊れていく世界が奥方を悲しませるのならば、道化に徹してでも奥方の心をお守りしましょう」
終焉獣からの打撃は、大きく重い。だが卯月は盾をかざして仲間をかばいつづける。
「あの優しいお方を悲しませる訳にはいかない。だから、皆、ここをしのいで生きて帰りましょう!」
「ええ」
神秘の力を行使する神無月が、たしかにうなずいた。彼もまた章姫を心から敬愛しているのだ。
「あの方を泣かすことだけは許されざる悪行。すべての忠義を頭領へ、すべての敬慕を奥方へ。我ら暦はそのようにしてこんにちまで生きながらえたのでございますから、無駄に命を落とすことだけはしてはなりません」
とはいえ、と神無月は渋面をつくる。
(今のままではジリ貧、数が多すぎる。私の気力が切れたらおしまいでございます)
戦場は膠着しており、一進一退をくりかえしている。そこへ、ナナシが鋭い叫びを上げた。水無月が声を出す。
「増援だ! 増援がきた! 卯月を盾に、固まっていったん引け!」
暦たちが下がれば、津波のように終焉獣が押し寄せてくる。卯月は端正な顔立ちを歪めて苦痛を耐え凌ぐ。神無月が傷を癒やすが、それだけでは足りない。卯月の体へ殴打痕が刻まれていく。
(まずい……!)
だが仲間を守るためだ。卯月は大盾を大地へ叩きつけ、敵の攻撃を遮断する。
「犠牲になろうと、持ちこたえてみせます! 暦の名を拝した者として!」
「だーめだよぉ。そんなの。章さんも鬼灯さんも悲しんじゃうよ?」
背後から茶目っ気たっぷりの声が聞こえ、卯月の体が心地よいぬくもりに包まれた。花びらが舞い散り、痛みが消えていく。
『花でいっぱいの』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)がその美しい瞳を煌めかせながら利き手を前へ突き出す。すると銀の蔦が腕へ絡まり、手の甲で爛漫と花が咲く。その花はみるみるうちにほどけて花びらとなって卯月へ吹き付ける。
「たおのまと、まほのおと、至高の恩寵よ。三弦はそれぞれに妙なる音色を紡ぐ。けしてとどめようのない時間を、いますこし巻き戻す。無問題、無問題。春はすぐそこ」
リコリスが魔術の句をつむぐと、花びらの嵐は花吹雪となった。紅を孕んだ銀の花びらで、リコリスは癒やしを届け、それから水無月へ目を留めて手を振った。
「あっ! 水無月さんだ! えへへ、いつもお世話になってるね!」
「おお、リコリス殿か。増援が貴殿とはありがたい」
「まあね、まかせておいてよ。今日はボク達が鬼灯さんや水無月さん達のために一肌脱ぐからね! そうだ、ひとつ言っておきたいことがあったんだ。ボクね、この戦いが終わったらね……デートするの! お師匠と!」
「リコリス殿、それは、フラグというものだ。口にしないほうがいい……」
「そんなー! 確定事項且つ景気付けなのにーっ!」
きゃいんとわめいたリコリスは、犬じゃないよって前置きして真剣な顔をした。
「そう、伝えておかなきゃいけないことがあるんだ。鬼灯さんのお屋敷が燃えてる!」
そう、屋敷からここまでは距離がある。ゆえに、ここにいる暦たちはそのことを知らなかったのだ。暦たちの顔へ戦いとは別種の緊張が走る。
「奥方は、奥方はご無事なのか」
「だいじょうぶだよ、皐月さん。鬼灯さんが章さんをほうっておくはずないじゃない」
「ええ、あの方なら、章姫さんへ火傷ひとつ負わせません」
『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)が笑顔でそう述べる。暦たちはうなずき、視線で会話した。そんな彼らよりも先へ、『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)が飛び出す。
襲ってくる終焉獣。行人は両手を強く打ち合わせた。ねこだましの衝撃がひろがり、行人を狙った終焉獣がひるむ。
「作戦を伝える。俺のいる方に敵はいると思ってくれ」
敵も味方も、これだけの人数がいるなかで、一番怖いのは乱戦だ。行人はそう考えた。だからこそ。
「卯月は後方へ下がってくれないか。盾役は俺に任せろ」
「しかし、貴殿一人では」
「いいんだよ」
行人は笑った。獰猛に。獲物を食い殺すと決めた肉食獣の笑みだ。
「あの屋敷には、俺も思い入れがある。この領地にも、ここに住まう人々にも。な、暦さんがた?」
凛々しい顔立ちへ勇気と怒りを秘めて、行人は目を光らせた。
「だから、俺もおこだよ」
行人の手のひらから、アミュレットがこぼれ落ちた。それは割れ砕け、砂になって消えていく。――うふふ。なにものかの含み笑いが響いた気がした。行人が蔦纏う刀をかまえる。刀身が陽光を反射し、銀の輝きが行人を飾った。
「かかってこいよ、袋叩きにゃ慣れてる。俺は精霊と共に歩む者。北辰の道標たる者。おまえたちを冥府へ送る水先案内人。大音声で名乗ってやるよ。伏見行人だ、覚えとけ!」
行人を中心に見えない圧が戦場を薙ぎ払った。スライム状の終焉獣が行人へなだれるように襲いかかる。
「かかった! かかったよ行人さん! ナイス!」
もはや戦場中の終焉獣は行人ただひとりを狙っていた。リコリスが行人を癒やす。天へ祈り、天から力を引き出し、天から簒奪する。暴力的なまでの純真さで、リコリスは行人を支えている。
「おいで、リーちゃん!」
ユーフォニーが鋭い声を出した。はねのはえた漆黒の猫がナナシのいる上空へあがる。リーと視覚を共有し、ナナシとその主、水無月と共に二重の布陣を完成させる。
「いいえ、私は唄うもの。いいえ、私は跳ねるもの。万物は巡り巡り、私を彩れ。世界はさざめいて、いつだって私を微笑ませるから」
割れていく、砕けていく、ユーフォニーの心を覆う固定観念という殻が。みずみずしい生の心臓で世界と相対したユーフォニーは、その力を芽吹いた植物のように吸い上げていく。
「ここからは攻勢に転じましょう!」
「「応!」」
暦たちがいらえをかえす。反撃が始まった。
●避難・1
燃える、燃えていく。思い出の詰まった屋敷が。メラメラと炎に包まれて、瓦が落ちて砕ける。燃え上がる屋敷を瞳が捉え、イレギュラーズは目を見開いた。
「なんということだ……ここにあった命を、営みを、なんだとおもってるんだ!」
『終音』冬越 弾正(p3p007105)は怒りをあらわに拳を握った。できるものなら振り下ろして叩きつけたかった。憤怒は心に納めきれず、弾正の中で反響し、増幅していく。
「天井のほうが勢いが強うござる。おそらく、賊は屋根の上から付け火をしたものと考えられまする」
付き人の柳生達郎が無念さを感じさせつつも冷静にそう指摘する。
「つまり、犯人は空から来たということですの?」
「そのように考えられるでござる」
秋永円香の言葉に、達郎は深くうなずいた。
「とすれば、放火の犯人は名無しの魔種だな」
『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は少女のように整った顔立ちを義憤に染めた。
「子どもたちは? 子どもたちはどうしている?」
まさかすでに火に巻かれたか? 火事の現場で最も危険なのは煙だという。あの子達はもしや……。
「いや、必ず生きているはずだ。俺は信じる」
強くいいきったアーマデルに、『黒のステイルメイト』リースヒース(p3p009207)がうなずく。
「馬車に乗れ。急行する。多くの幼き命をこのようなところで散らせるわけには行かぬ。そもそも人の家を焼くなど……!」
険しい道をものともせず、漆黒の馬車は進んでいく。やがて馬車がたどり着いた先では、炎と戦う師走と、シスター、ベネラーがいた。
「あ、イレギュラーズさんでち!」
めざとくチナナがリースヒースに気づく。リースヒースは優しくほほえみ、馬車を横付けにして手招きをした。
「感謝します、神とあなたに」
シスターがチナナを小脇に抱えて馬車へ乗り込む。師走はいつもの弱音は何処へやら、無言のままロロフォイを抱き上げた。
「ぶるあああああああ!」
庭の方から叫びが聞こえてくる。ラミリオンだと気づいたアーマデルは馬車から飛び降りた。
「狂人の煮こごりというやつだな、これ」
馬車へ登るユリックの尻を押し上げながらも、アーマデルは警戒を解かない。ミョールとザスが飛び乗り、子どもたちが皆馬車へと入る。ただひとり、ベネラーをのぞいて。その手に握られた銃を複雑な思いで見つめながら、弾正が声をかける。
「ベネラー殿、しんがりを引き受けるのは貴殿ではない、俺たちだ」
「弾正さん、アーマデルさん、来てくれたんですね。それと……」
「リースヒースだ」
短く答えた彼女は、手を差し伸べる。ぽんと音がして、シルクハットをかぶったうさぎが現れる。目を丸くしているベネラーに、リースヒースは重ねて行った。
「私は怖い妖精さんではない。本当だ」
「はい、リースヒースさん。あなたが来てくださったこと、感謝します」
「礼はいい。貴殿らを心配してきただけだ。馬車に乗ってくれ。花畑まで一気にいく」
「はい!」
リースヒースとのやりとりを眺めていた弾正が、良い返事だと破顔した。ベネラー、弾正、アーマデル、そして達郎と円香が馬車へ乗り込む。全員が乗り込んだとき、めきめきと音がして梁が落ちてきた。火の粉が舞い散り、視界を焼く。
リースヒースは手綱を扱い、すぐに屋敷から離れた。
「アバンロラージュ、全速前進だ!」
●魔種・1
「えひっ」
ラミリオンが前進する。
「ひびひっ、ぐきゃあ、あばばばば、はひゃー!」
全身から不可視の衝撃波を発する狂王は、凶悪そのものだった。だが、見えぬ刃が叩き落される。
『無尽虎爪』ソア(p3p007025)だ。
(深緑から豊穣に転移した奴隷商人。まるでザントマン。それなら、最後だって同じに決まってる)
ソアは自然体のままラミリオンの前に立った。両足は肩幅程度に広げ、体からは力を抜いて。しかしてその眼光の鋭さまでは隠しきれない。
「ここで終わらせてあげる」
ソアの声はけして大きくはない。大きくはないが、雑音をねじふせてたしかにラミリオンへ届いた。武器商人はそんなラミリオンを見て、紫紺の瞳をうるわしくゆるめる。
「魔種の討伐に四人か。すこし心細いかもしれないねぇ。でも」
ゆるりと風が巻き起こり、礼装のすそが広がる。
「我(アタシ)がいるから大丈夫さ」
空気がきしんでいく。そのモノのもつ莫大な権能に呼応しているのだ。
油断なく細剣をかまえているのは、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)。
「鬼灯さんの屋敷、大変なことになったな。消火活動をしたいから、そこの魔種にはご退場いただこう」
なあラミリオン? イズマは視線で威圧する。
「正気ではないな。力ずくで倒すしかなさそうだ」
よだれをたらし、にちゃにちゃと笑いを浮かべるだけの魔種。こやつに屋敷へ火をつけるだけの知能があるとは思えない。この惨劇は、名無しの魔種とやらが噛んでいるのだろうと、イズマは考える。その推測は、当たっているだろう。
『やさしき愛妻家』黒影 鬼灯(p3p007949)は、腕の中の妻を慮っていた。
「章殿、できれば目を閉じていてくれないか。優しい貴殿にこの光景を見せたくない」
「ううん、鬼灯くん。だいじょうぶよ」
「しかし」
「目をそらしたくないのだわ。何が起きても」
ああ、そうだった。鬼灯は嘆息する。この小さな妻は、誰よりも優しくて、誰よりも向き合うことの強さを知っているのだ。それは悲しくも、つらくも、いとおしい、人間の心だ。人形が抱く、人としての魂だ。
「睦月」
「はっ」
「長月」
「おう」
「弥生」
「なんだ?」
「文月、葉月」
「「はい」」
「頭領として命ずる。空繰舞台の幕を上げろ。舞台を汚す愚者を地獄という名の奈落へと叩き落とせ。
承知。その一言だけで充分だった。鬼灯の元、統率された殺意は、ラミリオンへと向けられる。鬼灯もまた、切れ長の目に殺気をこめてラミリオンを睨んだ。
「この屋敷には、俺の大切なものが幾つもあった。それをお前は壊した。お前を縊り殺すのに、それ以上の理由は要らないだろう?」
●終焉獣・2
「なんだこいつら、進化してるのか?」
行人はいぶかしげに自分へ迫りくる終焉獣を見つめた。スライム状であったその身は、青白い炎のように揺れて燃え上がっている。その炎の中から、四足獣の足が突き出ていた。スライムであったときよりも数段激しく、素早い動きに、行人は手のひらと拳を打ち合わせた。
「なんであれ、俺を越えられると思うな! ここが地獄の一丁目だ!」
怒りくるった獣たちの攻撃にもひるむことなく行人は挑発を続ける。すべての敵を引き付けたがゆえに、傷は重くのしかかる。だがこの痛みは勝利への布石だ。行人はそれを理解していた。
「卯月!」
「はい」
「リコリスちゃんとユーフォニーさんの近くを離れるな、俺のことはいい、後衛ふたりが落ちたら俺たちに勝ちの目はないと思ってくれ!」
「わかりました!」
前は行人が、後ろは卯月が、ふたりがかりで敵襲を操る。幸い、出だしの広範囲名乗り口上が効いたせいで、行人にのみ敵が集中している。暦たちが次々と連撃を叩き込み、敵の数を減らしていく。
ユーフォニーも負けてはいない。
「動けるすべてを、無駄にしない、してたまるものですか!」
複数回行動に秀でた彼女は、水無月とドラネコリーから受けた情報を元に、もっとも敵へダメージを与えられる箇所を指定して魔術を起動する。
「見える見える、奏でる。運命の音さえ千彩へ! 運命のキャンバスに心赴くまま筆を踊らせよ、鳥は歌い、はばたけ、虹は光り、きらめけ、私は私の望む未来を描く! 千の色彩で、万の色彩で!」
果ての先まで照らし出された獣に残っているのは死のみ。スライムが吹き飛び、四足が叩きつけられる。立ち上がろうとする終焉獣に、その機会は与えられない。万華鏡のようなきらめきが、何度も何度も死を匂わせ、獣の形を崩していくのだ。ユーフォニーは強い光を愛くるしい瞳へ浮かべたまま行人を見つめる。傷だらけのその背を見つめる。後ろでさえそうなのだ。前はもっとひどいことになっているだろう。それがわかる。だからこそ急がせねばならない。自分の全力を、ぶつけなければならない。
ユーフォニーの細い肢体が強く吹き飛ばされた。
「く、バグホール……どんどん力を増していく……」
バグホールによるとつぜんの空間干渉。けれどもユーフォニーは屈しない。
「伏見さんを袋叩きになんてさせない。むしろ終焉獣を袋叩きにして見せる!」
「そうそう、ボクたち無敵だし。魔物なんか蹴散らしちゃえるだけの力を持ってる。バンバンいくよー!」
リコリスは明るく笑ったのち、フードを被った。フードのもたらす影の下、リコリスの目が怪しく輝く。
「語る価値もない怪談、驕る価値もない祭壇、猛る価値もない懇願、万物に見捨てられてもうごめく残穢。終説、説く必要もない論。それでもなおと声を上げるなら、濁流のごとく押し流せ」
リコリスが放った呪いが四足を消し飛ばす。さらにリコリスは片足を高く上げ、体を捻って利き手を振り下ろした。軌跡を焔が染め上げる。月下ではなく烈火、それでもって四足と化した獣を張り飛ばす。
いくつもの四足が空へ舞い、地へ落ちる。ぐしゃと耳障りな音がした。そのなかから、ひとつだけ、大きく伸び上がった個体がいた。
「きたね」
リコリスは短くつぶやく。
その個体は女の姿をしていた。ぶよぶよした肌は醜く、蛙のように突き出た腹をふくらませ、人型となって首をひねりわめきちらす。呪の歌が聞こえる。聞いたものを魅了し、見たものを石化させる終焉獣。が、リコリスは不敵に笑った。
「あんなのに魅了されるわけないよね。ね、暦衆のおにーさん。されたとしてもボクが治してあげるけどさ」
じゃあ一気に行くよ。
リコリスが天へ両手を差し伸べた。ぞりぞりと天が削れていく。巨大なるが姿を表す。
「行人さん、みんな、下がって。あのブサイクに、ボクの本気をぶつけてやるから」
星が落ちる。召喚された大質量が、天から地へと落ちる。あまりの巨大さゆえに、その動きはゆっくりとしてみえた。
「着弾注意だよ、なぎはらえーっ!」
リコリスが叫ぶ。フードを跳ね上げて。勝利を確信した瞳だ。幼い顔が笑みに彩られている。そして、クレーターができた。大地が弾け、大量の土砂がリコリスたちへ降りかかる。やがて静寂。すべての終焉獣は、消滅していた。
●避難・2
馬車が進む。猛スピードで森の中を。急な曲道を駆け抜け、多少の段差も物ともせず、小石を蹴散らしながら。御者、リースヒースは冥府をも越えてみせるのだ。多少の荒れた道など気にもとめない。そのリースヒースの耳に、奇声が届いた。鳥の鳴き声にしてはずいぶんと低い。羽ばたきの音にも、異音が混じっている。
「星界獣だな」
リースヒースはスピードを緩めず、森を抜けた。美しい花畑が視界いっぱいに広がる。だがリースヒースは後ろを振り向いた。奇怪な生物が空から舞い降りてくる。大鷲に甲殻類の殻をごてごてと貼り付けたような姿の魔獣だ。すさまじいスピードで追いすがってくる。
「弾正! アーマデル!」
「まかせろ、リースヒース殿!」
「同じく」
馬車の扉を開け、弾正とアーマデルが飛び降りた。つづいて達郎と円香、そしてベネラーとシスターが。開け放した馬車の扉からは、師走が険しい顔のまま魔獣を見据えている。弾正は達郎へ肩越しに声をかけた。
「本当にすまない、達郎。郷長として少々恥ずかしいところを見せることになるかも知れないが、今は子どもたちを守るため、一人でも多くかばい役が必要だ」
「こころえたでござる。某については心配ご無用」
「そうか、ならば行くぞ! アンタッチャブルで頼む! 魔法少女は見た目で決まるものではない、指先にやどり、魂に応えるもの。いざ尋常に……きゅるんっ♡」
ある意味で異形創神だった。音の因子もつ精霊種として、弾正は光り輝く存在となったのだ。
「聖女のハートは純愛無限! ピュア極彩色(ゲーミングカラー)、 弾正、降、臨! みんなのハートを、わしづかむぞっ☆」
「この37歳児め」
アーマデルは短く答えるにとどめた。達郎が、え? は? って顔をしている。その達郎へ、弾正は顔だけキリッとさせて視線をあわせる。
「永頼の前では格好つけていたが、俺は……仲間内でも特段、強くはない。ただ、皆の笑顔を守るために、無様でも泥臭くても、がむしゃらに喰らいつく根性だけは誰にも負けない」
「あ、はあ……」
「皆で生き抜いて祝杯をあげよう。約束だ、達郎」
「は、はい!」
達郎も力強く返事をした。勢いに流されているのではない。彼は自らの意志で、弾正についてくると決めたのだ。この程度の予想外にいちいち驚いていてもしかたがない。気合でねじ伏せる、というスキルを達郎は持っていた。
「円香殿」
「なんですの?」
「カジキマグロを片っ端から星界獣の口に特攻させて、ついばみを阻止してくれてもいいぞ」
「なるほど、いい案ですわ。あたくしもそう考えていましたの!」
どーん。召喚陣が光を放ち、カジキマグロが地面から打ち出される。それは魔獣の顔面へもろにあたった。
「でたとこ勝負で直撃させるなんて、やはりあたくし天才では?」
「大いに頼りにしている、円香殿」
アーマデルは一歩下がり、ベネラーの顔を見た。初めての実戦のせいか、べネラーは緊張のあまり滝のような汗を流している。
「ベネラー殿」
アーマデルは彼の肩を叩いてやった。おびえと興奮のいりまじった瞳は、真っ赤で血のようにギラギラしている。
「射撃のコツは焦らず、引き付けて撃つことだ。慣れぬうちは当てやすいところ、すなわち、体の中心を狙え……多少ズレても何処かには当たる」
「わかりました。あの、アーマデルさん」
「なんだ」
「発砲許可を」
それは呪文だ。人の善性を停止させ、トリガーを引く装置にする魔法だ。しかし、今求められているのは足手まといな弱気な少年ではない。戦場へ立つ意志を持つ者だ。アーマデルはふかくうなずき、口を開いた。
「撃て」
火薬の爆ぜる音がする。狙った結果ではないだろうが、その麻痺弾は一羽の星界獣の装甲の隙間へ命中した。
「ではまず一匹」
アーマデルはふらついている魔獣へ迫り、蛇剣で叩き落した。大地へ落ちた獣は、花を踏みにじりながらいびつな翼ではばたこうともがいている。アーマデルは飛び上がり、勢いを乗せて強襲した。銃剣が火を吹き、魔獣の甲殻がひび割れる。着地と同時に鞭剣が、頭部を破壊した。断末魔を残して、星界獣は煤に変じていく。
「今日の俺はシンプルだぞ? 殴る、回復、それだけだ」
それゆえに、味方の力を引き出す弾正とは相性がいい。
「♪真剣狩(まじか)るウィンクぎらぎらりーん★ 特別な力、あげちゃうぞっ」
弾正の足元から無数の音符が湧き出て仲間へ吸い込まれていく。皆へ力を配り終えたのを確認すると、弾正はアーマデルと並び立った。
「さあいくぞアーマデル、内なるハートは情熱マグマ! 歌声クラッシュ、伝説ファイア!」
「……つきあったほうがいいのか、秘めたハートは冷静ダーク、制圧スラッシュ、夜告ストリーム」
ふたりがかりの攻撃を食らった魔獣が破裂した。飛び散った汚液は空を染めんばかり。リースヒースは順調に数を減らす魔獣の姿に安堵の吐息を漏らした。
「よし、彼らが敵を引き付けてくれている。師走、万が一に備えてくれ」
「……わかっている」
リースヒースはさらに馬車を走らせ、花畑の奥へと消えていく。いくつかの星界獣がリースヒースを追おうとしたが、すべて弾正とアーマデルによって足止めされた。風を感じながら、リースヒースは後方を案じた。
(いや、任せよう。彼らに。いまはできることを精一杯に。私にできること、それは、子どもたちの安全を確保することだ)
瞳に決意を込めて、リースヒースは前を向く。
●魔種・2
傭兵どもが襲いかかってくる。亡霊か、あるいはゾンビか。腐った肉のまとわりついた骨が鎧を着込んでいる姿は滑稽ですらあった。
「長月さんっ!」
「おう、飛べや!」
走り出したソアが長月の背を踏み台にし、跳躍する。
「この爪は喉をかききり、肺腑をえぐり、恐怖と死をもたらす。いまいちばんきみたちに必要だよね?」
落下、まっすぐに拳を振り下ろす。ざっくりと胴をえぐられた傭兵が二体に分裂した。だが得物をふりあげる前に、一陣の風が吹く。強烈なアッパーは光の如き速さで、音すらおきざりにして衝撃だけを敵へたたきつける。
「ふふん、ボクの爪からは逃げられない」
べつの傭兵がソアを狙おうとした。ソアは全身をたわませ、高くジャンプして傭兵を飛び越した。
「遅い遅い、止まって見えるよ。そんなのでボクへ傷をつけられると思っているの?」
ソアは天空から一瞬、戦場をみわたした。燃え盛る屋敷に心を痛める。
(鬼灯さん、悲しいよね、つらいよね。わかるよ。心の傷は、見ないふりをするほど深くなるのだし)
空中で一回転してラミリオンの後頭部へ目をやる。
(回復に頼って集まったところを一網打尽にされそう。厄介だね、この呼び声)
でも、とソアは着地する。着地の衝撃で体がきしむ。不調が彼女を疲弊させるが、かまってはいられない。もとより不調には強い体質。ソアは虎となって戦場を駆け回る。
イズマが鋼の細剣をかかげた。剣先が奏でるは交響曲第三番、英雄。魔術の波動は音楽と共にある。偉大なる志をその身におろし、細剣ですばやく十字を切れば、紙が破り取られるように傭兵たちは吹き飛ばされていく。
「戦線を崩してなるものか。数で勝るとはいえ、相手は魔種。油断をしたらそこから食い破られる」
次の手を、その次の手を、イズマは考え抜きチェス盤を前にするかのごとく攻めの手を重ねる。鳴り響くシンバルのような激しさで、嵐を指揮する。彼の前に雑魚は崩れ落ち、塵になっていく。一見して優勢。それでもイズマは相手を見くびらない。まばたきをした赤い瞳が、ラミリオンを映す。かの大敵である魔種を見る。脳裏に映し出されるのは、どす黒い渦巻き。狂った思考と、幻想種への下卑た執着。ねじまがった欲望。四肢をもがれた奴隷。売れ残った幻想種が熱湯をかけられ悶絶している。
「……ずいぶんと、無体を働いてきたんだな。幻想種へ」
反吐が出るような映像を、イズマは打ち切った。常に正しく誠実であろうとするイズマの心を、怒りが強くする。熱され、叩かれ、固くなる鋼のごとくに。
「寝ても覚めても幻想種幻想種、そこまで執心しているなら、これはどうだ?」
イズマが空いた腕を振るった。ラミリオンが目の色を変える。イズマのゆめまぼろしが作り出したのは、ひとりのハーモニアの姿。特徴的な長い耳、淡雪の如き白い肌。特にモデルが居るわけではない。顔はおぼろで誰なのかはわからない。しかし、狂った脳髄には充分だった。
「げんそおしゅうううううううう!」
ラミリオンが傭兵を踏み潰しながら突進する。イズマは横へ跳んでそれをかわした。
「隙をみせたな!」
イズマの剣先がラミリオンの側頭部へ突き刺さる。そこからどっと魔力が流れ込み、ラミリオンの中で爆発する。
「ごげゃーーーーーーああがーーーーー!」
技を封じられたラミリオンの禿頭へ、青筋が浮き出る。
「お前はもはや獣以下に成り果てたな。淘汰されたことに気づけ、そしてもう眠れ」
衝撃でちぎれた耳からだくだくと黒い血を流し、ラミリオンは吠える。
武器商人は両手をあわせた。ぱんと軽い音がする。まるで花咲くように両手を開いていけば、そこにあるのは紫の光弾。
「ラミリオンの旦那、キミにはもうどこにも居場所はない。ラサにも、アルティオ=エルムにも、もちろんこのカムイグラにも」
手を暖めるかのように、武器商人は光弾へ息を吹きかける。紫の光が砕け、星の輝きとかしてラミリオンへむかい疾駆する。それは正義のきらめき、それは悪魔のささやき。着弾した衝撃でぐらついたラミリオンが武器商人へ体を向ける。
「が、がぎゃ、ぎ、ぃ? ぐうぅ?」
そのモノの衣は蒼く燃え盛っていた。煮え炎がやどり、武器商人の恐ろしいまでの美しさを際立たせている。魔種ですらとまどうほどに、可憐、たじろぐほどに、異端。武器商人は微笑んだ。その笑みは、優しいとすら言えた。
「あちこちで敗北してそれでも再起をくりかえして。そのしつこいところはね、じつに商人らしくって、我(アタシ)はすこぅし、気に入ってたけれど……」
ぞるぞると武器商人の背後に暗闇が立ちのぼる。異空間への扉がひらき、現れたるは少女。ほろほろと涙をこぼしながらも、武器商人と同じ目をしている。すなわち、対象を標的と定めた視線。
「おしまいだよ。キミはやりすぎた。我(アタシ)の逆鱗へ触れた。それだけさァ」
ラミリオンへ影が落ちる。顔を上げたときには、既に遅かった。蒼い焔の槍が、体を刺し貫き大地へ縫い止めた。
鼓膜が弾けそうな叫びがラミリオンから放たれる。なおも魔種は暴れている。げあげあと意味不明な音を発し、黒い血を吐き出しながら。ラミリオンは自由を求め、己の体を引きちぎりながら槍から離れようとする。まるで手負いの獣だ。
「章殿」
「うん、鬼灯くん」
やさしい人形は、くちびるを噛んだままラミリオンを見ていた。やさしいだけではない人形は、しずかに目を閉じて首を振った。
「おわかれのおうたを歌ってもいいかしら。あの魔種さんが迷うことなどないように」
「もちろんだとも」
ラの音が人形の口から響いた。きれいな、しっとりとした音だった。すべてを愛し、包み込むかのような歌だった。
ぶづりと聞き苦しい音を立ててラミリオンが槍を引き抜いた。噴水のように黒い血をたれながしながら、なおも立っている。
「時雨が降るは金青の月。心凪ぐは安寧の月。船は海に浮かび、波に遊ぶ。陸を忘れたまま」
鬼灯は左手で魔糸をたぐり、札に変化させる。そのわずかな隙を覆い隠すように、弥生が毒を撃ち込む。文月が死角からラミリオンの顎を蹴り上げ、葉月が踵落としを決める。まったく同時に上と下から衝撃を受け、ラミリオンが目と耳と鼻から、黒い血を吹き出す。
空気が裂けた。ラミリオンの額へ、クナイが突き刺さっていた。札を縫い留めるように。鬼灯が放った一撃は、たしかにラミリオンの動きを止めた。
「御自慢の脂肪の鎧も、無意味な代物とかしてしまったな。反撃は無駄だ。貴様の動きは見きった」
さらばだ、などと気取ったセリフは吐かない。鬼灯は影のようにラミリオンへ接近し、拳でクナイを殴りつけた。ラミリオンの額を割ったクナイが、札と共に脳へ叩き込まれる。豚のような悲鳴をあげて、狂王は倒れ伏した。あちこちを転移し、行く先々で悲劇を撒き散らかした魔種の、最後だった。無言のまま魔種を沈めた鬼灯は、かすかにためいきを吐いた。
「鬼灯くん」
「ああ」
「元気だして、なの」
「ふっ」
ちいさなおててが鬼灯の頬をぺちぺちする。嗚呼誰よりもつらいだろうに、嗚呼誰よりも悲しいだろうに、このいとしい妻はなおも周りを気にかける。
「章殿がいてくれてよかった。俺はいま改めてそう思う」
●やがて
ぽつりぽつりと、小雨が降り出した。すべての敵が倒され、鬼灯の屋敷はどうにか消火された。
「状態は?」
「半焼です。奥方の部屋は奇跡的に無事でした」
睦月の報告を受け、鬼灯はまあよしとうなずいた。
「黒影の旦那」
「ああ、武器商人殿」
「豊穣に腕のいい大工がいる。なんあら渡りをつけておくよ」
「お願いしてよろしいか」
「あァ、うけたまわった」
当面、暦と子どもたちは、サヨナキドリ豊穣支部で過ごすことになった。それを聞いたソアがうらやましそうに唇を突き出す。
「あそこ、おいしい甘味処が近くにあるんだよね? いいなあ」
「ヒヒ、ソアの方も来たかったらおいで」
「うん、遊びに行くかも」
花畑から馬車が戻ってくる。乾いた音をたてて、馬車が静止した。扉がひらき、いったいどこにいたのだと言いたくなるほど、たくさんの子どもたちが降りてくる。
「うわーん! うわーん、こわかったよお!」
「おいザス、うるさいって」
「だってあいつ、オレの村を襲ったやつだったんだもん!」
兄貴分のユリックに後ろからハグされながら、ザスが大泣きしている。ミョールからも頭を撫でくりまわされているが、安心して緊張の糸が切れたのか涙が止まらないようだった。ロロフォイとチナナも疲れた顔をしていた。
「そう、ラミリオンに故郷を……それは、おつらかったでしょう」
ザスから話を聞いたユーフォニーが、まだ小さなその体を抱きしめる。
「あおーん、あんまり泣くと、おおかみさんがきちゃうぞ?」
リコリスになだめられて、ようやくザスは泣くのをやめた。
行人が小雨を浴びながら、見るも無惨な鬼灯の屋敷へ目をやった。
「燃えたのが屋根中心だったのが、不幸中の幸いか。土台はしっかり残ってるし、復旧は早そうだ」
それよりも、と行人は子どもたちを見渡した。
「雨に濡れると風邪を引くぞ? もうしばらく馬車の中へ入っといで」
「うん、ありがとうでち」
口々にお礼をいいながら、子どもたちはまたリースヒースの馬車に乗る。
「このまま豊穣支部までつれていこうか? 私のアバンロラージュはまだまだ走れるからな」
「もうちょっと待ってやってくれ。ベネラーの坊っちゃんがおつかれだ」
空を見上げたリースヒースは、晴れ間が近いことを知った。
実戦で疲れきったのか、ベネラーは地面へ腰を下ろしたままだった。弾正が隣へしゃがみこみ、その手を優しくさする。
「よくがんばったベネラー殿」
「……ありがとうございます」
ベネラーが弱々しい笑みをみせる。
「人場馴れする絶望を、俺は知らない。だが、どんな姿になろうと、どんな性質を持とうとも、心に一本、曲げない芯があれば生き様は貫ける」
弾正は思いを込めて言葉を紡ぐ。
「俺は大切な人を守りたい。そのためなら花も嵐も踏み越えてみせる。魔法少女に扮することなど、たいしたことではない」
言い切る弾正の横顔を、アーマデルはおだやかな笑みを口元へ浮かべたまま見つめている。
「そう、ですね。僕も。そうなりたい」
そうつぶやくベネラーの肩へ、イズマが手を置く。
「実は、俺も血の味にひかれて正気を失いかけた経験がある」
驚いたのか、べネラーはイズマを見上げた。
「あなたような立派な方でも?」
「そう言われるとくすぐったいな。……元凶を、滅するんだろう?」
「はい……」
「そのために手段を選べないのもわかる。でもできれば、その時は俺も呼んでほしい」
イズマはベネラーを立たせると、リースヒースの馬車へ乗るよう促した。ベネラーの、赤い、血のような髪が、雨を吸って色を深めていく。
鬼灯は彼の背を見つめながら思いにふけった。
(思い出してしまうな、どうしても。我らのただ一度の過ちを。幼かったあの子を、死なせてしまった。魔種となったあの子に、激痛を与えその生命を終わらせた)
頭領と呼ばれる男は機械ではない。生きている、命がある、心がある。
(章殿も、イザベラ殿も、子どもらも。暦も深く傷ついて、悲しみへと沈みこんだ。あのような思いは二度とごめんだ。血も涙もない忍とは言えど、心は在る。情も在る。もう二度と。二度と喪ってたまるか)
しとしとと雨が降っている。鬼灯は左手の拳を握りしめた。
「覚えておけ名無しの魔種。俺はお前に負けず劣らず強欲だ。何も奪わせやしない」
●リリコ・2
「ただいま、リリコ」
「……おかえりなさい、私の銀の月」
武器商人がローレット豊穣支部へ戻ると、待ちかねた様子のリリコが走ってきた。ぼすんと受け止め、抱き上げて踊るようにターンする。武器商人の魔術礼装と、リリコのスカートの裾がふんわりと円を描く。
「……よかった。よかったわ、あなたが無事で。他の方たちも無事よね? そうよね?」
「もちろんさァ、無傷とはいかないけれど、みんな元気だとも。リリコも我(アタシ)の言いつけをよく聞いて、いい子で待っていたね。合格だ」
「……私、なにもしてないわ」
「いいや、ひとつの未来を回避したのさ。嫌な未来をね。だから合格だ、上出来だ、リリコ、よくやった」
「……もしそうなのなら、銀の月のおかげだわ」
武器商人が喉を鳴らして笑う。
「視えたのさァ。もしもおまえを放っておいたのなら、あの名無しの魔種が手を出してくるとね」
だけど、と武器商人が言葉を区切る。
「そうはならなかった。そうはならなかったんだよ、おい、見てるか名無し。我(アタシ)のお気に入りへ目をつけるなんて、八つ裂きにしても余りあるぜ」
武器商人はリリコを抱きしめたまま上を見上げた。暗い天井の向こう、空の彼方にいるだろう名無しの魔種へ向かって。それがたしかに舌打ちしたのを感じ取り、武器商人はにんまりした。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
ブラヴォー。全勝利条件を満たし、隠しフラグを回収しました。
MVPは、隠しフラグへダイレクトに働きかけたあなたへ。お見事でした。
またのご利用をお待ちしております。
GMコメント
●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。
やること
1)全戦場での勝利条件を満たす
●戦場【1】ラミリオン討伐
エネミー
傲慢の魔種『狂王』ラミリオン
元奴隷商人の魔種。深緑で失踪、豊穣へ転移していたようです。気が触れており、目に映るものすべてを破壊し殺戮せんとしています。
防技・抵抗の高いタンク型、防御力の高さ、タフネスを、攻撃力へ変えているようです。自域へ物理の【ブレイク】【疫病】【怒り】衝撃波を飛ばしてきます。また至近距離では高火力の【防無】単体攻撃をしてきます、この攻撃には【攻勢BS回復】がのっています。さらに【紅焔】【魅了】を付与する神秘属性の超貫攻撃も持ち合わせているようです。鬼灯さんのお屋敷も、もー、バリンバリン壊します。
傭兵の亡霊 開始6体
ラミリオンの権能が姿を取ったもので、必殺攻撃がないと倒せません。また、一度だけ復活し、そのときに2体へ分裂します。【恍惚】【魔凶】を付与してくるようで、連携してラミリオンと同じ対象を狙う傾向があります。
戦場効果
狂王の呼び声:ターン開始時【重圧】【塔】を付与、この判定はターンが進むに連れて強くなっていく。
げんそうしゅへの執着:種族が幻想種である場合、ラミリオンから優先的にタゲられます。この行動は怒りよりも先に判定されます。
●戦場【2】終焉獣対処
裏のお山のバグホール近辺に終焉獣が発生しました。すでに命令を受けた暦さんたちが先に行って戦っていますが、足止めがせいいっぱいのようです。
エネミー
終焉獣・スライム ✕20
青白くってぷるんぷるんしたスライム状のなにか。よく見るとかわいいかもしれない。単純な物理攻撃しかしてきません。
終焉獣・四足 ✕20
スライムを倒すと、この四足に進化します。【暗闇】と【致命】をもたらす牙での物理攻撃をメインに使ってきます。
終焉獣・人型 ✕1
四足を倒すと、あるタイミングである個体だけが、人型に変化します。人語を操るように見えますが、理解しているようではないようです。自域での【魅了】【石化】神秘攻撃を得意とします。
戦場効果
バグホールの拡大
空間が歪んでおり、その影響はターンが進むに連れて強烈になっていきます。
ターン開始時にPCはランダムな方向へ、吹き【飛】ばされます。
●戦場【3】子どもたちの避難
あなたが炎に包まれる鬼灯邸から孤児院の子どもたちを花畑へ逃がしたところ、星界獣が襲ってきます。数は少ないですが、後述の陰湿な攻撃方法をもっています。また、怒りが付与されていない状態だと、子どもたちを優先的に狙うようです。
エネミー
星界獣・大鷲 10体
空を飛びまわる甲殻類とでも形容すべき異形です。まず至単物理の「ついばみ」で攻撃し、攻撃されたPCからスキルを最大1つラーニングします。そのスキルでもって攻撃してくるようです。攻撃スキルがラーニングできない場合は、引き続き「ついばみ」を使用してきます。孤児院の子どもたちをついばんだ場合、若干HPが回復するようです。
戦場効果 特になし
●友軍NPC『暦』
黒影鬼灯さんの関係者のみなさんです。
皆さんの指示へ従います。特に何も触れられてなくても、オートで動きます。初対面でも、あなたのことを、共に戦うべき仲間だとすぐに理解します。
●要救助NPC『孤児院の子どもたち』
鬼灯さんちに居候している、イレギュラーズが大好きな孤児院のお子様たちです。
あなたは「だれ?」って思ってても大丈夫です。
シスターイザベラと、ベネラーのみ、友軍NPCとして動きます。
行動場所
以下の選択肢の中から行動する場所を選択して下さい。戦場間の行き来はできません。
【1】ラミリオン討伐
成功条件
ラミリオン討伐
エネミー:魔種『狂王』ラミリオン
戦場:黒影鬼灯邸 戦場ペナルティ有り
友軍NPC
睦月 自域BS回復50
弥生 ラミリオンへ毒によるBSダメージ
文月葉月 反応200代程度の連鎖行動可能
長月 2体までの傭兵の相手
【2】終焉獣対処
成功条件
終焉獣の全滅
エネミー:終焉獣A 20体+追加でさらに19体+ボス格1体
戦場:裏手のお山 戦場ペナルティ有り
友軍NPC
如月 3体までの終焉獣の相手
水無月&ナナシ 広域俯瞰
霜月 必中による単体ダメージ
皐月 2体までの終焉獣の相手
卯月 2体までの「かばう」
神無月 自域HP回復
【3】子どもたちの避難
成功条件
孤児院の子どもたちの生存
エネミー:星界獣 10体 追加なし
戦場:章姫の庭園 戦場ペナルティ 無し
友軍NPC
師走 2体までの「かばう」
シスターイザベラ 自域HP回復
ベネラー 神秘遠単攻撃による麻痺
護衛対象
孤児院の子どもたち(ユリック・ザス・ミョール・ロロフォイ・チナナ)
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