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シナリオ詳細

<美徳の不幸/悪徳の栄え>映ろう闇の影と

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<美徳の不幸/悪徳の栄え>映ろう闇の影と
 イレギュラーズに対し発せられた、レオンの言葉。
『神託の無限にも思われた義務猶予(モラトリアム)が尽きた……つまりは、時間切れも間もなく、って事だ』
 その言葉を具体化するかの如く、混沌世界の各国において同時多発的に発生している『バグホール』と、その周りで起きる『次元崩壊』。
 当然のことながら、棲まう人達からすれば解決する事すら出来ぬ事件。
 その解決をイレギュラーズ達に請う事は至極当然であるし、事態解決に動く事がイレギュラーズの出来る責務で有るのは間違いない。
 ……だが、そんなイレギュラーズ達の動きを見越したのだろうか、新たな動き。
『ヒヒヒ……さぁ、『ルクレツィア』様の望む事を、始めるとしましょうかねぇ……』
 薄暗闇の中を蠢くのは……妖艶な雰囲気を纏いし者。
 明らかに人ではない、小さな黒き翼と黒き角。
 丁寧な口調ながら、明らかに人を見下した態度。
 ……そして、そんな彼女らに夜道で遭遇した、『幻想』の街を守りし『騎士達』は。
『……ぅ……』
『さぁ……『オトモダチ』になりましょう? 一緒に……この国を滅ぼすの』
『……ほろ……ぼす……?』
『そう……手始めに、『イレギュラーズ』達がいる場所を襲うの。大丈夫……貴方達は出来るわ』
『……』
 こくりと頷く、騎士達。
 街を守るべき者達は、ほぼ無抵抗の形で……その指示に従い動き始めるのであった。


「大変です……皆さん……!」
 『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)は、焦りの表情と共に、皆に声を掛ける。
 その焦り方に驚き、落ちつかせる様にするとルリアはこくりと頷いて。
『すいません……でも、大変な事が起きてしまいまして……『ギルド・ローレット』が、突然の襲撃に遭っているのです……!』
 イレギュラーズの拠点の一つでもある、幻想王国の『ギルド・ローレット』。
 その拠点を不意に砕くが如く襲撃事件の発生。
 更にその襲撃する者達は……幻想王国を守るべき『騎士達』や、『市民達』だと言う。
「街の方々が何故、襲撃をしてきたのかは解りません……ただ、このままではギルド・ローレットは壊滅しかねない状況です……」
「少なくとも……彼等が正気のままで、ローレットを遅うとは考えられません。恐らく……何者かに操られているのでしょう……。でも、それを今、調べている時間も在りません……どうか、ローレットを守って下さい……宜しくお願いします……」
 ルリアは深々と頭を下げる。
 全国各地に立て続けに起きる事件の傍らで、幻想王国に舞い込んだ非常事態……イレギュラーズ達は、急ぎローレットへと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 突然発生した幻想王国を揺るがす事件……解決には皆様のお力が必要です。

 ●成功条件
  『ギルド・ローレット』を襲い来る『脅威』を退ける事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はCです。
  情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 ●周りの状況
  皆様ご存じの『ギルド・ローレット』が舞台です。
  既に先手を取られており、多少敵陣がギルドの中へと食い込んでいる様な状況から始まります。
  幸い、ギルド・ローレットに居た冒険者達が、それ以上の侵略を食い止めていますが、長くは持たないでしょう。
  皆様の力を合わせて、『騎士団』及び『一般人』達を迎撃……そして、その背後で糸を引く『何か』を打ち砕くことです。

 ●討伐目標
 ・何者かにあやつられた『市民』達。
   幻想王国首都にいる市民達です。
   一部は街を護る為に武器を取り『騎士』となっています。
   ただ、彼等が何者かに操られており、『ギルド・ローレット』を叩き潰そうと動き始めています。
   幸い気絶させて無力化した後に、『操る者』を倒せばその効果は消えそうですが……。

 ・市民達を操る『何か』
   小さな黒い翼、更には黒い角を持った、妖艶な雰囲気を持った人型の何か、です。
   市民達を操るという事から、魅了の能力に長けている様ですが、それ以上の能力は現時点では解りません。
   ただ……少なくともイレギュラーズ達の仲間でない事は間違いないでしょうし、戦闘能力も高い者であるのは間違い無いでしょう。
   舐めた形で掛かると、皆様も魅了されかねませんので、その点はご注意下さいませ。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <美徳の不幸/悪徳の栄え>映ろう闇の影と完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年01月26日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
優しい白子猫
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
Kyle・Ul・Vert(p3p011315)
風の旋律

リプレイ

●神の声を
 神託の義務猶予(モラトリアム)が尽きた、と言われし混沌世界。
 世界各国に於いて、それを具体化するかの如く現れた『バグホール』と『Case-D』。
 その対処に世界を飛び回るイレギュラーズ達……だが、侵略の手は、イレギュラーズ達の集まるここ、『幻想』の『ギルド・ローレット』にも伸び始めていて。
「ローレットが襲われるだなんて、よっぽどの事だね。事態は深刻だ」
 と『冬結』寒櫻院・史之(p3p002233)が息を吐くと、それにうんうんと頷きながら『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)も。
「そうねぇ……ローレットに騎士を含めて襲来するだなんて……てっきり今迄の悪事がバレたかと思っちゃった」
 戯けてみせるイーリン……それに『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)は。
「え……? ……イーリンさん……捕まる様な事を、やってしまったの?」
 純真無垢な祝音が、疑いの視線を向ける……それにイーリンはくすりと自嘲気味に笑いながら。
「ふふ……冗談よ。まぁ、色々やってるのはやってるけど、捕まるような事はやってないわ……多分、ね」
「そう……それなら良かった……でも……なんで……? 幻想の人達が操られて……こんな事、望んでないはずなのに……」
「全くだよ。一般市民や騎士の人達を洗脳して使うだなんて……」
「そうだね。万人の心を狂わすメロディが響いている。総てを滅亡に向かわせる音の数々……いけないな。こんな合奏は止めるべきだ……希望を砕く、所謂≪楽譜≫だなんて。だから、やってきた」
 『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)が憤り、『心踊る旋律』Kyle・Ul・Vert(p3p011315)も、静かに瞑目しながら、内なる気持ちを奏でる。
 ……突然の状況に、状況が整理出来て居る……とは言えない状況。
 ただ一つ……間違い無い事実がある……それは、拠点へと攻め込む者達を倒さない事には、イレギュラーズ達の今後の活動に大いなる影響が出てしまうだろう。
 今、イレギュラーズ達が混沌世界各国に『バグホール』と『Case-D』の事件解決のために動き回っている。
 故に……ギルド・ローレットは手薄だと踏んで仕掛けてきたのだろう。
「確かに対群を囮に、少数精鋭が本命へと攻め込む……というのは確かに基本だな」
「うん。冒険者の、イレギュラーズの拠点を攻めるだなんて、効果敵過ぎて困っちゃうね。それも、明らかに相手は操られている民、と来た物だ……これは流石に、速やかに『脅威』を排除しなければね!」
「そうだな。意図が見えすぎていて、逆利用されてしまっている様では、冠位色欲もメッキが剥がれたか、或いは……冷静な判断を欠く程に、ヒステリーでも起こした、という所だろうかな」
 『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)に『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)の言葉。
 そして、更に『天義の聖女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)も。
「うん。何が起きているかはわからないけれど、このまま手を拱いている訳にはいかない! 今は、守る事に全力を尽くすよ!!」
 と、強く拳を振り上げる。
 万が一にも、負ける訳には行かない!
 そんなスティアにオニキス、祝音、一嘉が。
「そうだね……やりづらいけど……敵の思い通りになんてさせない。一人の犠牲者も出さずに制圧する」
「うん……敵は許さない。操られた人達は、絶対助ける!」
「何れにせよ、此方は此方の為すべき事を為すとしよう」
 各々に去就する様々な思い……そうしていると、イレギュラーズの視界に……見慣れた拠点と、そこに襲い来る多くの市民達の姿を発見。
『グウウウ……!』
 呻き声を上げる者達は、防具をつけぬ極々普通の『一般人』の服装の者達や、質はあまり良く無いものの鎧に身を包んだ、街を守る『騎士』達の姿。
「あれのようね……本当に街の人達じゃない」
「ああ。だが、いつもとは様子が違う……操られているのは間違い無い様だ」
 イーリンに頷くカイン、そして史之が。
「まぁ、それじゃあパッパと蹴散らして、裏でほくそ笑んでる気に食わないヤツを炙り出すとしようか。なんだかんだで、ローレットは俺たちのねぐらなんだよな。絶対に護り切る。それと死傷者0だ。これはゆずれないや」
「そうね……ま、出来るかは解らないけれど、始めましょう……神がそれを望まれる」
 史之に頷くイーリン……そしてイレギュラーズ達は、襲撃されている『ギルド・ローレット』へと駆けつけるのであった。

●宝の声
『グウウウ……ガァア、ウグゥアアア!!』
 まるで獣の様に響きわたる、市民達の咆哮。
 その影はローレットに入り込もうと、一気阿世に押し寄せてきている。
 そんな市民達の所へ、後方から仕掛けるイレギュラーズ。
「早速だけど、初めから抑えないで行きましょうか、ね」
「ええ! 黒幕の尻尾を掴む為にも、こっちも全力で参りましょう!」
 イーリンに頷きながら、スティアは市民達に向けて神の光を煌々と輝かせる。
 当然後方の光に注目を集める……筈。
 だが、目の前に居る市民達の一部は引き付けられるが、半分以上はローレットへの侵略を止めようとしない。
「っ……?」
 予想外の動きに、スティアは驚きの表情を浮かべる……だが、イーリンはそれも予想済みだったかの如く振る舞い。
「そう……魅了されているというのは間違い無さそうね。精神的に干渉して、善悪の判断も消し去っている、とかかしら」
「かもしれないな……ならば」
 続けて動くのはKyle。
 彼等の呻き声に惑わされぬ様に気をしっかりと持ちつつも、そんな彼等を更に魅了するべく……希望を引き立たせる旋律を奏でる。
「……超感覚で良く聞け……その音を奏でる王はどこか……外か、或いは、その内痺れを切らして出てくるか……!?」
 目を凝らし、一般人達一人一人の表情で、違う所がないかを確認。
 ……少しでも違うならば、他とは違う……操る者である可能性がある、と。
 ……しかし見る限りに於いては、他と違う表情、動きをする者はおらず、どうやらここで襲い掛かっているのは、全部が全部操られているであろう。
「ここには居ない様だ」
「やっぱり。俺ね、なんとなく黒幕は高い所にいると思うんだ。全体が見渡せて、式が取り易い場所。自分の魅力が存分に披露出来る場所……となれば、地下じゃなくて上空だって思うんだよ。だから、俺はこっちの方を探ってみる。こっちは頼むよ
 当然操られている市民達を放っておけば、不殺の余裕も無く殺して仕舞う可能性がある。
「私も、手伝うよ!」
「……解った」
 史之に続くオニキス、祝音、そして一嘉が。
「お前達、こっちの方を向けっ!!」
 強い口調で、最大限目立ちながら敵のターゲットを引き付ける。
 そして引き付けられた者達に対しては祝音が。
「糸よ……操られた人達を止めてあげて!」
 と結界を張り巡らせた、人を絡める糸で以てその動きを制限。
 更にイーリンが呼び出した歯車兵で以て、その手足を縛り上げて完全に動きを制限し、縛り上げた人々の首元を掴み、二階にある窓付きの部屋へ投げ込む。
 そして投げ込んだ人々を、すぐに祝音が追いかけて、窓の無い内側の部屋へ押し込む。
 ……幸い気絶しているので抵抗することは無いものの、罪無き一般人を押し込むのは……やっぱり心に痛い。
 でも。
「メカ子ロリババアさん。念のために、暫く扉を押さえていて……!」
 出てくる可能性も考え、メカ子を配置してそこから逃げ出せないように細工する。
 そして取りあえず第一陣の市民達を押し込む間に、第二陣、第三陣……と、出来る限り素早く市民達を不殺で気絶させ、投げ込み、窓の無い部屋に閉じ込める……という行動を繰り返していく。
 数は多いものの、取りあえず此処に立つ者達は特段抵抗するような事も無くて……段々と押し寄せる敵陣の数は減っていく。
 その一方で、そんな仲間達の動きを横目に、史之とカインはここを見下ろすべく空の空間を索敵、調査。
 ぐるりと見渡す限りにおいては、何かが居る様な感じでもない……ただ平穏な空が拡がるだけ。
「いや……間違い無い。この空の中に……どこかに……」
 仲間達が戦っている限りにおいて、その集団の中で他と違うような動きをする者は居ないとの事……つまり、糸を引く者は、それを高みの見物しているだろう、という予想。
 感覚を研ぎ澄まさせて周囲をぐるりと観察すると共に、怪しい所は史之と連携して、空と地上の両面から確認に走り回る。
 ……そんな二人の調査をしている最中……市民達と戦うオニキスが。
「……?」
 目の前で戦っている敵とは違う方向から、こちらへの敵対心を仄かに出して居る気配。
「もしかして……」
 と、オニキスは視線をその方向に向けると共に、牽制の一射を撃ち抜く。
『っ……!』
 僅かに聞こえた、くぐもった声……それと共に、僅かに影が動いたような気がする。
 すぐに上空を飛ぶ史之、更にカインへ合図を出して、その方向を指示して追跡を開始……すると。
『くっ……!』
 地上から、魔力蠢く弾丸が、上方に向けて次々と放たれる。
 警戒為ていなければ、不意を突かれて撃墜されていたかもしれないが……事前に予想していたのもあり、その攻撃を回避しながら、地上に向けて降下。
 距離が詰まれば詰まるほど、その影は具現化し……美しい顔立ちと、怪しい芳香が漂い始める。
「間違いない……あいつだ!」
 大声で叫ぶと共に、カインと場所を連携し、史之は先へと回り込む。
 一方カインは地上から。前方へ……両面に降り立つことで、敵の包囲網を即座に築く。
「君が黒幕か?」
 と、カインが問い掛けるが……応えはしない。
 ただ、その強い芳香とその耳に黒い角……更には黒い翼。
 そして黒い翼をふぁさっ、とはためかせて芳香を漂わせる事で、この包囲網を抜けようという作戦。
 だが……二人はそれに惑わされる事は無い。
 寧ろ……彼……いや、彼女が黒幕であると確定付けて。
「間違いないね……サキュバスだろう? となると、冠位色欲の手下……って事かな?」
『死ね……っ!』
 応えず、応戦する彼女。
 どうやら敵は、彼女一人の様である……とは言えあの大人数の人々を惑わせた其の実力は本物なのは間違いない。
 先ずは倒すよりも、彼女をこの場に維持する事が重要……そう信じつつ、交戦を続ける二人。
 少し経過し……一般人達を対応していた一嘉とオニキスが戦列に加わる。
「待たせたな……取りあえず一般人達は、ある程度落ち着いてきた。ただ次から次へと敵が出てきている状態の様だ」
「うん。だから、彼女を早々に倒さないと……。急いで行こう」
 気合い十分……だが、それに彼女は、再び翼を大きくはためかせる事で、浮力を得る。
 飛行して逃げようというのだろうか?
 だが、すぐさまオニキスがその動きに反応し。
「逃がさないよ。ここで確実に叩く。マジカル☆アハトアハト・インフィニティ……発射!」
 狙い済ました無限の魔力で、その翼を射抜く。
 流石に片翼に穴が開けば、飛行体制を維持する事は難しい……そのまま地上に向けて落下し、地面へと叩きつけられてしまう。
 そして落下地点にカインが魔神の力を借りて重い一撃を叩き込み、更には史之も斥力を発生刺せて地面へと縛り付ける。
『ふざけ……やがって……!』
 怒りの声と共に、その重圧に耐えて立ち上がる彼女……いや、サキュバス。
 再び飛び上がる前に、更にもう一つの翼に一閃を喰らわせて、飛行能力を削ぐ……そして。
「話して貰えるかな? 何を企んでいる……?」
 史之が問う……だが、やはり答える事は無い。
「そう……なら、仕方ないな」
 と呟くと共に……その旨へと剣を穿つカイン。
 断末魔の悲鳴が、その場に響きわたるのであった。

●穿つ音
 そして……暫くの後に、ローレットに襲い来る影は一先ずは落ちつく。
「取りあえず……終わった、のかな……?」
 周りを見渡す祝音……ローレットに繋がる前後左右の道を見回すが、それ以上の影は見受けられない。
 そして……黒い翼、黒い角の『女性』。
「やっぱりこいつは……色欲の配下、サキュバスなんだろうね。こいつにみんな、魅了されてしまった、って訳の様だな」
 眼鏡のツルをくいっと引き揚げながら、冷静に状況を分析する史之。
「取りあえず、調べられる部分は調べるとしよう。市民達については、頼めるかな?」
「あ、うん……」
 頷く祝音は、ギリギリではあるが……不殺で気絶させた一般市民達を押し込んだ場所へと駆けつけ、状況を確認。
 傷の程度に応じて応急処置を施しつつ、彼等彼女らが目を覚ますのを……待つ。
 ……その間、史之やイーリンらは、倒れたサキュバスの元へ。
 どうやら……まだ呼吸はある。
 ほぼ死に貧しているのははまず間違い無い……だが、惑わす芳香は、ほんの僅かに……感じ取る事がまだ出来るような状態。
 万が一、回復されるような事があれば、再び復活する可能性すらあるだろう。
「……あいにくと、俺の心には妻さんが燃えているんだ。ダカラ、お前なんかに魅了されたりなんてしないよ」
 だが……その一言と共に……完全なる止めを刺す史之。
 更に、息絶えたサキュバスの表情を、伺う。
「さて……罪なき人々の後ろに隠れていたお前は、どんな顔をしているんだろうな?」
 苛烈な言葉。
 ただその思いは、これ以上の被害が及ばないように願うと共に、この様な巫山戯た真似をした者が、どういう者なのかを再確認するが為。
 そして、サキュバスが完全に命を失った結果なのか……惑わされた表情を浮かべていた街の人々は、途端に……変わり始め、毒気が抜かれたような……優しい表情になる。
 更に暫くすると……身体を僅かに身じろかせる。
「……もうちょっと……かな……」
 更に、彼等を癒していく祝音。
 そして……。
『……?』
 うっすらと目を開く、街の人々。
 程なくすると……はっ、と目を見開き。
『あれ……ボクは……何を……』
「……目が覚めたみたい……あ、慌てて立ち上がらない方がいいよ? まだ……完全に傷は癒えていないから……」
 申し訳無さそうな、祝音の言葉……そこに、更にKyleが癒しの効果を持った旋律の響きを奏でる。
「……これで少しでも、君たちを助けられたら……それが良い」
 癒しの力と、癒しの魔法の二重奏。
「痛かったよね……部屋に閉じ込めたりもしたし。本当にごめんなさい」
「い……いえ……そんな……誤らないで下さいませ……」
 自分達が操られていたことを……漠然とは覚えている様で。
 そんな、彼等の言葉に励まされつつ……取りあえず、不殺で気絶させ、押し込んだ人達一人一人の無事を確認。
「うん……もう大丈夫かな……? みんな……後は僕達に任せて……気をつけて、ね」
 と、心配する祝音の言葉に市民達は頷くのであった。

成否

成功

MVP

祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
優しい白子猫

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂きまして、ありがとうございました!
今回の依頼はローレットが襲われるというものでしたが……拠点襲撃を仕掛けてくるとは、その背後関係は切羽詰まっているのかもしれませんね……。

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