PandoraPartyProject

シナリオ詳細

空の上のゲレンデで

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 今年も冬が到来する。
 イレギュラーズは年末年始も忙しく各地を回る者もちらほら。
 そんな彼らも、のんびり遊びたいと考えて様々な休暇のプランを立てる。
「ううむ……」
 『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)もその一人。
 折角なら、楽しく遊べるところがいいのだが……。
 と、そこで彼女はスキーをしたいなと思い立つ。
 なぜスキーかといえば、丁度辺りに雪が降ってきたからである。
 雪を使った遊びは雪合戦やかまくら、雪だるまづくりなどが定番だが、それらは幻想などでも十分可能だ。
 ならば、程よい傾斜のある比較的高い山がないとできないスキーなど、やってみたいとニャンタルはたい焼きなど頬張りつつ考える。
「やはり、鉄帝か覇竜かのう」
 高い山といって思いつくのはその辺りの地域。
 険しい山々が連なる覇竜は確かにスキーこそできそうだが、さすがに亜竜やモンスターの質を考えれば休暇を取るには厳しいか。
 現実的なプランとしては、やはり鉄帝だろう。
 北東部ヴィーザルまで行けば、高地なのでスキーには絶好のポイント……だが、さすがにノーザンキングスに目を付けられると厄介か。
「むうう……」
 そこそこ傾斜があり、高い場所。
 かつ比較的厄介ごとに巻き込まれぬ安全な場所……。
 しばらく考え込んでいたニャンタルはそうだと思い立つ。
 鉄帝に浮かぶ伝説の浮遊島アーカーシュ。
 そこには山があったはずだ。
 高空に浮かぶ島からなら、眺めもさぞよいことだろう。
「早速、プランを練らねばの!」
 ニャンタルは猫の目を輝かせ、ローレットを目指す。


 しばらくして。
 ローレットに集まっていた者達に呼びかけ、ニャンタルはスキー旅行をとワイヴァーンに跨ってはるばるアーカーシュまでやってきた。
 遺跡の村レリッカを拠点とし、イレギュラーズは雪積もるこの浮遊島の山を目指す。
 ニャンタルの集めた情報によれば、ここはスキーを楽しめる程よい坂になっているという。
 もっとも、この浮遊島自体が最近になってある程度全容が判明した場所。
 先に挙げた覇竜やヴィーザルに比べれば、場所より脅威は小さいのは間違いない。
 しかし、思わぬ事態というのはやはりあるもので……。

 まさに自然のゲレンデとも言える雪積もる傾斜へとイレギュラーズは至る。
「ここなら楽しく遊べそうじゃのう」
 ニャンタルに同意したメンバー達は手早く張ったロッジテント内に荷物を置き、手早くスキーウェアに着替えてから滑ろうと傾斜を見上げると……。
 グアアアアアアアアッ!!
 脇の草むらから飛び出すクマ2体。
 クマが狙っていたのは、跳びはねて逃げるウサギ……3体のアルミラージだ。
 それだけならただ追い払うだけでよかったかもしれない。
 しかし、ゆらりと坂の上から黒い影が下りてくれば話は変わる。
 巨大な人の足の姿をした終焉獣……蹂躙の足が左右2対で合わせて4体が下りたとうとしていたのだ。
 そいつらは強く雪を踏みしめ、地響きを起こそうとしている。
 このままでは、雪崩が起きてしまい、皆ただでは済まないだろう。
 クマもウサギも、近づけばこちらを敵とみなすはず。
 それらを撃退しつつ、イレギュラーズは終焉獣の討伐を目指すのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 のんびりと休暇を取っていただきたいところですが、その前に面倒な敵を撃退していただきますよう願います。

●目的
 安全を確保してスキーを楽しむ!

●状況
 冬とあってスキーをしたいと考えていたメンバー達がより高い場所を求めた結果、浮遊島に行き着いたらしいです。
 アーカーシュにある雪山でスキーをするのですが、そこには邪魔な獣と共に佇む終焉獣の姿が……。
 雪積もる傾斜での戦いとなりますので、留意の上で臨んでくださいませ。

 これらの撃退後、心おきなくスキーを楽しんでくださいませ。
 リフトはないので、空中浮遊、ワイヴァーンなどで坂の上へと移動することになると思われます。
 また、スキーだけでなく、スノーボードもお楽しみいただけます。
 傾斜を滑ることができない方には、坂の麓でそりを使うこともできます。
 また、雪を使ってかまくらを作ったり、雪合戦で楽しむこともできます。

●敵
 スキーができそうな斜面にいる獣を追い払う必要があります。

〇獣:バグベアー×2体
 全長3mほど。獰猛なクマさんです。
 咆哮に剛腕の一撃は油断なりません。
 とはいえ野生のクマさんなので、撃退するだけでも問題ないでしょう。

〇獣:アルミラージ×3体
 全長40~50cmほど。狂暴な一角ウサギさんです。
 角を使った突撃や、首を狙った噛みつきなど注意は必要ですが、同じく撃退で問題ないでしょう。

〇終焉獣:蹂躙の足×4体
 全長2.5mほど。足首から下のみの姿をしています。右足と左足が2体ずついますが、実力として個体差はありません。
 跳躍して踏み潰す他、周囲の物体を蹴って叩き込むなど行います。左右一対で強力な攻撃を行うようです。
 空中を蹴って空間を裂き、周囲を浸食しようとすることもあります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 空の上のゲレンデで完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年01月20日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
鉱龍神
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
変わる切欠
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く
多次元世界 観測端末(p3p010858)
観測中

リプレイ


 鉄帝の空に浮かぶ浮遊島アーカーシュ。
 ここでの戦乱の後、久々に訪れた者もちらほらいたようで。
「やっぱ空の上はいいね」
 『天頂の鉱龍神』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)は澄んだ空気に心地よさを感じる。
「うひょー! スキーじゃ! スノボじゃ! ソリ滑りじゃー!」
「アーカーシュの雪山でスキー……とっても楽しみ!」
 このスキーのプランを皆へと持ち掛けた『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)も、ひっさしぶりのアーカーシュにウッキウキしており、『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)も心躍らせているのが見て取れる。
「雪国育ちですが、スキーやスノボーをした事はありませんでした」
 『冬を楽しむ知恵を貴方に』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)はリトルワイバーンから空を見下ろしつつ思い返す。
「わぁ、雪の坂だ。こんなに広い……!」
 自力で簡易飛行していた『無尽虎爪』ソア(p3p007025)もまた雪深い森の生まれだそうだが、眼下に広がるようなスキーに適した坂があまりなかったそうで、とても新鮮なのだとか。

 手早くロッジテントを張り、荷物を置いたメンバー達は改めてその斜面を見上げて。
「それにとても広いね、これがゲレンデ! 楽しそう!」
 降り立って見上げれば、それだけでも楽しみがいがあると頷くソアだが。
「その前に色々とどいてもらわなくちゃだけれど」
「おっと! その前にひと仕事じゃな!」
 ソアと合わせ、ニャンタルもそれらに気づいたようだ。
 草むらから飛び込んできたウサギ……一角獣アルミラージ3体と、それを捕食しようと追いかけてきた剛腕の獰猛クマ……バグベアー2体と、いずれも危険な獣だ。
「クマさんが普通にうろうろしてるゲレンデで遊べるなんて、ボクたちくらいじゃないかしら」
 悠長に構えるソアだが、ェクセレリァスは警戒を強める。
 一般人に危害を加えないなら追い払うだけにしたいのだが。
「こんな時期にいる熊とか冬眠失敗してそうだし、凶暴だよなぁ……?」
 その危険性を考慮し、戦闘は避けられないとも判断していたのだ。
 加えて、ゆらりと坂の上に現れた複数の影。
「見て……足!」
 ソアが言うように、それは足としか表現のしようもない姿をしていた。
「あの終焉獣……プーレルジールにいた、体の部位の終焉獣!?」
 見覚えのある終焉獣の姿に、ヨゾラが叫ぶ。
「大本は倒したと思ってたけど……こっちにもいたんだね」
「肌で感じる、これは退治しないといけないやつだ」
 最優先で撃破すべき相手と呟く彼の横で、ソアもそれらの存在自体を許してはならないモノだと実感する。
 その存在自体が異質なこともそうだが、左右一対で2組、計4体の足……蹂躙の足は雪を踏みしめて地響きを起こそうとしていたのだ。
「久しぶりにアーカーシュにも行きたくて参加してみたものの、この状況……」
「のんびりと休暇を過ごす予定だったが、何事にも下準備は必要ということか……」
 ジョシュア、『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)は折角のアーカーシュでの休暇と思ったものの、トラブルは避けられぬと割り切って対処に当たる。
 ェクセレリァスはこの近辺に保護結界を張り、雪崩の対策を講じていた。
「ともあれ、まずは邪魔なのを片付けねばな」
「動物類は追い払うのでいいけど、終焉獣は倒さないと……!」
 昴に同意したヨゾラは50センチほど浮遊してファミリアーを飛ばし、五感を研ぎ澄まして視野を広く持ち、何かが起こった時に備える。
「うーん、熊と兎の肉は食べれそうだわね。終焉獣は……」
 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)はジビエとして使えそうかななどと考えつつも、さすがに終焉獣はと唸って。
「いや、煮込めば出汁として……止めておきましょうか」
 とはいえ、ジビエ用と考えているのはイナリくらいのようで、他は追い払う構えだ。
「終焉獣は普通の獣より危険ですし、後の為に退治しておきましょう」
 ジョシュアもまた仲間と同じく戦意を高め、リトルワイバーンを駆っての戦いに臨む。
「ェクアリゥム、いくよ」
 ェクセレリァスに呼びかけられた『観測中』多次元世界 観測端末(p3p010858)も同意したらしく、相方と共に坂を登って行くのだった。


 獣の集団をゲレンデから追い払わんと戦闘態勢をとるイレギュラーズ。
 繰り返すように、終焉獣だけは別だ。
「うーん、左右お揃いになると危ない感じなのかな?」
 ソアはすでに地響きを起こそうと足踏みする2組の蹂躙の足を見て呟くと、ニャンタルが前に出て。
「雪崩に注意しヨーソロー!」
 ならば、左右どちらかに攻撃集中と、ニャンタルは右側2体から相手取ることにして。
「おっにさんこっちら! 手の鳴る方へー!」
 名乗りを上げたニャンタルはそのまま左右の足の引き離しにかかる。
(逃さず確実に仕留める)
 敵から十分に距離を保って浮遊するェクセレリァスもなんとなくニャンタルが決めたのに合わせ、右の足を中心に球状力場を形成する。
 魔力を収束させた直後、力場を開放したェクセレリァスは金色のビームを放ち、右足2体を撃ち貫く。
 光が止まぬうちに、摂理の視で全てを見通そうとしていたジョシュアは左足へと素早く矢を放つ。
 それらに合体攻撃させぬよう、ジョシュアは足止めを続ける。
 直後、ソアも仕掛けて。
(皆が右から倒すなら……)
 ソアもまた戦闘途中で合流せぬよう、左足を反対側へと引き離しにかかる。
 敵陣へと移動する慣性を斬撃とし、彼女は左足の片方を切り裂き、そのまま咆哮を上げて強く敵の気を引く。
 ただ、その戦いを、獲物に飢えている獣らが傍観などしない。
 素早いウサギが角を突き出して突進し、クマは剛腕を振り下ろしてこちらを引き裂こうとしてくる。
(やはり、障害になるわね)
 直観で判断したイナリは双方の獣を相手取る。
 一度コイントスして運命を勝ち取ったイナリは、殺意の一撃で獣を貫いていく。
「呑み込め、泥よ……終焉獣は飲み干せ!」
 ヨゾラは終焉獣を中心に獣達も巻き込み、かつ仲間を避けるように星空の泥を浴びせかけていく。
 巨大眼球に多数の触手という姿をした観測端末は、その見た目を活かして立ち回る。
 用意したのは、毒の小瓶。
 それをクマやウサギに投げつけることで、観測端末は自身が毒持ちの生物だと野生動物の本能で判断し、去ってくれないかと期待する。
 実際、それだけでウサギは警戒心を強めていたようだが、悶えるクマは一層激しく怒り狂っているようにも見えた。
 そんな野生動物に対し、領域を侵していることを再認識する昴は、一方的に狩るわけにはいかないと判断する。
(そちらは穏便に済ませたいところだが……)
 昴はすぐに終焉獣へと視線を走らせて。
「ただし終焉獣、お前はダメだ」
 仲間達が引き離そうとする中、昴は蹂躙の足を纏めて闘氣を纏わせた拳で乱撃を叩き込む。
 仲間を巻き込まぬよう気を払い、敵だけを殴りつける昴。
 漆黒の体からどす黒い血が流れ出るのを視認した昴は態勢を整え直し、次なる攻撃に備える。
 蹂躙の足も一方的にやられているばかりではない。
 足踏みを止めたそいつらは本格的な攻撃をと、個別に動いて強くメンバーを踏みつけ、または素早く蹴りつけた雪をこちらへと叩きつけてくるのだった。


 終焉獣にコンビプレーをさせじと引き離すイレギュラーズに対し、終焉獣は攻撃しながらも合流をはかろうとするのが厄介だ。
 加えて、クマやウサギも獲物を仕留めようと瞳を光らせ、依然として襲ってくる。
 いきり立つ獣が襲ってくる中でも、イレギュラーズは冷静に蹂躙の足の右足へと攻撃を集中させて。
「ぐぉおおお!! 慣れとらんからめっちゃしんどい!!!!」
 右足に猪、鹿、蝶の三撃を見舞っていたニャンタルは、合間を見てクマやウサギを纏めて捉える。
 ここぞと初披露するのは、ワイルドキングストリーム……通称『ボッ』とも呼ばれる野生の技。
 全ての障害を破壊する強烈なタックルを、ニャンタルは近場の敵全てへと叩きつけていく。
「………………」
 横倒しになった右足の片方がついに横倒しになり、黒い体躯が爆ぜ飛び、消えていった。
「気力をゴリゴリ削られとる感半端ないぞー!!
 1体を倒したが、ニャンタルは思った以上に疲労感を感じていたようである。
 同時に、クマやウサギを追い払おうとするメンバー達。
 中でも、ソアやヨゾラは極力交戦せずに追い払うよう働きかけていた。
「がーおー!」
 左足を引きつけつつ、ソアは獣達の前で仁王立ちし、両手を広げて肉体言語で強さをアピールする。
「だって戦ったらボクたちが勝つし、無駄に血を流したくないでしょう?」
 コミカルな演出ではあるが、ソアは現実を獣らへと突きつけて退散させようとした。
 先程の観測端末が振りまく毒と合わせ、ェクセレリァスが火焔の大扇をちらつかたり慈悲と無慈悲の一撃で牽制したりと働きかける。
 それらもあって、徐々にアルミラージは逃げ腰になり、一目散にゲレンデから退避していく。
 グアアアアアアアアッ!!
 だが、クマは咆哮を上げ、抵抗する構えを崩さない。
「ここから去って。僕等や島の人達を狙わないなら追撃はしないから」
 ヨゾラは動物疎通で警告する。
 何せ、イレギュラーズが交戦せずとも終焉獣が襲う可能性もあるのだ。
 だが、クマは抵抗を止めず、立ち向かってくる。
「あーあ、来ちゃった」
 向かってくるなら仕方なし。
 ソアは少し痛い目を見てもらおうと、雷の衝撃を叩き込んで吹き飛ばす。
「これでも襲って来るならもう……」
 後はやっつけて、後で鍋の具に。
 そんなことをソアが考えている間にも、クマ2体は我を忘れて襲い掛かってくる。
「どうしても襲って来るなら倒すしかないですね……」
 ジョシュアも終焉獣討伐の障害になると判断して毒紛を散布していた。
 ただ、牽制にはあまりなっていないようで、ジョシュアも討伐すべきかと割り切りかけていたのだが。
 抑えていたはずの両足一組が近づき、じたばたと足踏みを始める。
 メンバーは左を抑え、残る右1体の撃破を急ぐが、巻き起こる雪崩は止められず。
「雪崩が来るよ!」
「手を貸すのじゃ!」
 ヨゾラの呼びかけを受け、ニャンタルがメンバーへと手を差し伸べる。
 アオオオォォォ……!
 残りは、ワイバーンで飛翔する傍らで、クマ達もさすがに危険と判断したのか退避することにしたようだ。


 しばし、戦いは中断。
 流れ落ちる雪が収まり、イレギュラーズが戦地へと降り立つと、終焉獣は悠然とメンバーを待っていた。
 雪崩で倒せぬと分かった以上、敵は直接叩いてくるだろうが、メンバーも2度合体攻撃などさせず。
(できれば、その力を封じたいところ)
 ワイバーンに乗ったままジョシュアは再度摂理の視で戦場を見通し、ラフィングショットを撃ち込んでいく。
 残る右足はまださほど傷んでおらず、それだけにジョシュアもそうだが、メンバーも全力でそいつを叩く。
 ヨゾラが巻き起こす星空の泥が敵陣へと浴びせかける間に、観測端末が打ちから出る炎で左足を引き付ける。
「……その親指、貰い受ける! ゲイ・ボルク!!」
 仲間が他の敵を抑える間に、イナリが右足目掛けてフェイクを織り交ぜた斬撃で右足を切り刻んでいく。
 イナリの攻撃によって満足に動けなくなったそいつへ、ェクセレリァスが発生させた複数出現させたワームホールから伸ばす触手を叩きつける。
 一通り攻撃した後、ェクセレリァスはワームホールを崩壊させて爆発させた。
「…………!」
 怯んだ相手へ、昴は竜撃の一手で攻め込む。
 それだけで終わらず、彼は続けざまに対城技で敵を逆に蹂躙する。
 昴が掴んだ栄光の一手。
 屈した右足はなすすべなくその場で塵と化していく。

 相手が左足のみとなれば、メンバーもその殲滅に注力するのみ。
 ニャンタルもかなり消耗していたが、気力を振り絞って敵を引き付け、雷撃を浴びせかけていく。
 この段になれば、観測端末やヨゾラは仲間の回復に専念する。
 広域には、慈愛の息吹による癒しも与える観測端末は前線で消耗するニャンタルやソア、昴らに対して福音をもたらし、光輪による恩寵を与えて支えていた。
「誰も倒れさせないよ……!」
 歌声を響かせて仲間に活力を与えるヨゾラも、愛を持って仲間達へと個別に活力を与える。
 彼らの援護もあり、終焉獣討伐は加速して。
 ジョシュアの矢が確実に左足を射抜いたところで、ソアが妖華の如き斬閃で苛烈に攻め立てる。
「クリティカルしか能が無い基地外って言ったわね!!」
 そこで、イナリがおそらくは誰も言っていないことで逆切れしつつ攻め入る。
「全てのっけて微塵切りにして、グラム100円以下のばら肉として肉屋に売りつけてやるわ!!」
 些かメタいセリフと共に、イナリは五閃を浴びせかけた。
 左足も空間を裂くなどして抵抗していたが、ソアに捩じ伏せられて爆ぜ飛んでしまう。
 残るもう片方の左足は自分だけとなったことで退き始める。
 ェクセレリァスはすかさず追撃してまたも触手とワームホール起爆……リープシージアタックで攻め立てる。
 だが、まだ体力を残していると判断した昴が一気に闘氣の拳を突き入れ、防御を切り崩した無防備な相手に必殺の一撃を叩き込む。
 …………!
 ダメージが深いのか、満足に動けぬようになってきていた蹂躙の足へ、ヨゾラが迫って。
「蹂躙の足、無限の光の彼方に消え去れ……!」
 強く本体……魔術紋を輝かせたヨゾラが光る拳で殴りつけると、最後の左足はその箇所から霧散していったのだった。


 全ての獣を撃退したメンバー達は傷の回復へと当たった後、改めて休暇モードに。
「後は楽しませてもらうとしよう」
「わーい、雪だ雪! たっぷり遊ぶよー!」
 一息つく昴に合わせ、ヨゾラがはしゃぐようにワイバーンへと乗り込む。
 真っ先にスキー用具を装着して坂を滑り始めたヨゾラ。
 傍にはいつの間にか観測端末の姿もある。
「ナルホド、コレガスノーボード」
 本来の姿のまま、初体験のスノーボードで滑る観測端末。
 ……ところが。
「あ、ああっ!」
 途中で転がったヨゾラ、観測端末の2人は雪だるまのようになって斜面を転がっていく。
「……疾走感トグルグル回転スル景色ガ楽シイデスネ」
 豪快に転がった後、観測端末は平然とそう語る。
 ヨゾラも苦笑いしつつ、それでもしばらくスキーを楽しむ。
「ゲレンデの女神とは我の事よ!」
 今回のツアーを企画したニャンタルは自身ありげに語り、山の頂上へ。
 飛行でひとっ飛び出来るのは実に楽だと上機嫌のニャンタルは軽やかに坂を滑る。
 知識こそあるが経験はないらしいェクセレリァスは、そもそも龍であるため、歩くことも稀とのこと。
 ただ、姿勢制御に高速移動が得意とあって、それなりに滑れていた。
 ェクセレリァスに限らず、スキーは初めてというメンバーもちらほら。
 ジョシュアも初心者ならスノボよりバランスがとりやすいと聞いたスキーの練習を。
 転がる仲間を見ていたからか、昴も比較的安全そうに滑れる個所を選ぶ。
 周りに危険がないよう注意しつつ、2人は同じ場所でゆっくりと滑って楽しむ。
 なお、慣れた後は、リフト要因としてニャンタルが動いてくれる。
「ついでじゃからな♪」
 楽して楽しむのは多いほうがと、ニャンタルも嬉しそうに仲間を運んでいた。
 なお、その頃にはギフトによって人型となった観測端末もスキーを始めていて。
 しばらくうまく滑れず、苦慮していた観測端末だったが、少し見ないうちにそつなく滑れるようになっており、ェクセレリァスが近づくと……。
 どうやら、スキー板が雪に触れる位の極低空飛行で滑るふりをしていたようで。
「ふふ、バレてしまいましたか。では、ここからは真面目に滑りましょう」
 そこからはェクセレリァス、観測端末は一緒に滑り出していた。
「ィやっほ~~ぅ!!」
 その横を、ソアが大きなソリに乗って滑っていく。
 加速するスピードを、彼女は満喫していたようだ。

 その後、坂の下でそりで滑っていたヨゾラの提案で、入れ替わりで麓にて雪だるまやかまくらを作る。
 また、昴提案でしばし雪合戦も。
 昴は圧倒的パワーで超圧縮した超硬雪玉を全力投球してバリケードを軽々粉砕し、メンバーを驚かせた。
 さて、休暇モードになってからこれまで姿を見せていなかったイナリだが、なぜか焼肉を焼いていて。
「さあさ、ジビエで新鮮な代物よ」
 スキーで疲れた仲間達はさぞお腹が減っているだろうと腕を振るうイナリ。
 ただ、先程交戦した獣との状況もあってか、イナリの料理に手を出すのを躊躇うメンバーも。
 とはいえ、自然の恵みを享受するべきという主張もあり、ありがたくジビエ料理をいただく者もいたようだ。
(アーカーシュにも終焉獣……たまに見回りに来よう)
 これから何かあっても対処できるように。
 そう考え、ヨゾラは今、この瞬間を存分に楽しむのである。

成否

成功

MVP

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは獣撃退と合わせ、スキーなど存分に楽しんでいたあなたへ。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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