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シナリオ詳細

神秘なるミラギアナクロン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「この中に、古代文明の神秘に興味がある人はいるかしら!? 私に雇われて、一緒に冒険に出てみない!?」
 ラサのオアシス街。年中賑やかなその酒場において、周りのざわめきが止まるほどの大きな声で彼女は言った。
 彼女の名はエリナ・ストーン。知る人ぞ知る古代遺跡の研究者である。

 エリナ・ストーンの噂を、もしかしたらあなたは聞いたことがあるかもしれない。
 いくつかの古代遺跡の調査を行い、その謎を解いてきた人物としてその道では有名人だ。
 そんな彼女が酒場に現れるのは、決まって古代遺跡がらみである。
 つまり、あなたの力が求められているのだ。


 エリナの格好はどこまでも冒険指向だ。
 耐久性のある素材で作られたローブは、橙褐色の色調を持ち、エンブレムや細かい模様が織り込まれており、使い込まれた様子からは彼女の冒険者としての一面を感じさせる。
 金属の細工が施された帯がウエストを引き締め、丈の短いブーツはラサの土地を歩き回ったことを雄弁に語る。
 特徴的なのは彼女の被るヘッドギアで、薄い布に覆われたそれにはエメラルドグリーンの羽根飾りがつき彼女が動くたびに舞うのだ。
 エリナは誘いに応じたあなたを酒場の個室へ案内すると、まずはあなたにメニューブックを差し出した。
「好きなものを注文して。まずは奢るわ。依頼料とは別にね」
 ウィンクをして微笑むエリナ。あなたが注文を終えた頃に、エリナは自分の鞄から地図とスケッチ画を取り出していた。
「この場所を知っている? ミラギアナクロンといって、新しく発見された遺跡なの。
 発見者は勿論私。これから調査を行う所よ」
 ここまで話してしまえば事情は分かろうというものだ。
 調査にあたっての協力、及び護衛といったところだろう。
 あなたがそんなことを述べると、エリナはにこやかに頷いて見せた。
「主任務は護衛。あと興味があれば遺跡の謎解きも一緒にやってくれたら嬉しいわね。こういうのは知恵や技術が集まっていた方が成功率が高いもの」
 そう説明をすると、次に遺跡について説明を始めた。
「ミラギアナクロンはラサの南西部に見つかった古代遺跡よ。
 扉を開く鍵は見つけてあるけれど、そこから先に仕掛けられた謎については全くの未知。これからそれを調べて、探検しなくちゃいけないわ」
 つまりはどんな罠があるか不明。どんな仕掛けで閉ざされているか不明。どんなモンスターが現れるかも不明ということだ。
「ただ、類似した遺跡を探索した経験があるから、多少は予想がつくわ。
 例えば『サンドアーマー』。体表が砂の鎧に覆われた首のない人型のモンスターで、自己再生能力を持っているの。
 次にありそうなのは『サンドスウィープ』ね。砂の奔流を巻き起こす魔法を行使する魔物で、こちらの視界を奪う攻撃をしてくることが多いわ。
 他には、古代の亡霊が呪力を持って残っていて攻撃してくるパターンかしらね。アンデッド系のモンスターに遭遇することもそれなりにあったと思う」
 指折り数えていくエリナ。
「それと罠や仕掛けだけど、これは遺跡によってまちまちだわ。単純なワイヤートラップなんて可愛いほうで、古代の魔術を使った罠やこちらの知識の深さを試してくるような仕掛けも見たことがある。その時は同行者に助けられたわね」
 エリナは冒険知識は豊富で遺跡探索に対して全般的に適性を持っているが、戦闘に関してはさほどでもなく、そして知識関係は専門家には劣る。なので同行者がそういった技術や知識を持っているなら頼りたいということらしい。
「さあ、どうかしら? これからの冒険にワクワクしてこない?
 食事を終えたら、早速出発しましょ!」

GMコメント

●シチュエーション
 古代遺跡研究家のエリナ・ストーンを護衛し、古代文明の遺跡を探検しよう!

 遺跡内部にはどんなモンスターや仕掛け、罠が存在するか不明です。
 もてる技能を駆使して様々な局面を乗り越えましょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。


ポジション選択
以下の選択肢の中からポジションを選択してください。

【1】戦闘に集中する
護衛として戦闘に集中します。
これによって戦闘力にボーナスがかかります。

【2】謎解きに挑戦する
もてるスキルやギフトを使って謎解きに挑戦します。
これによってスキルにボーナスがかかります。

  • 神秘なるミラギアナクロン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年12月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
咲き誇る菫、友に抱かれ
ライ・ガネット(p3p008854)
カーバンクル(元人間)
ルナ・ファ・ディール(p3p009526)
ヴァルハラより帰還す
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ
オセロット(p3p011327)
譲れぬ宝を胸に秘め

リプレイ


「さあ、どうかしら? これからの冒険にワクワクしてこない?
 食事を終えたら、早速出発しましょ!」
 エリナ・ストーンのその言葉に、集まっていた『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)たちは乗り気だった。
「いいね、確かにワクワクするな! その話、のったあ!」
 パチンと指を鳴らし、運ばれてきていたパンとベーコンのサンドイッチにかじりつく。
「古代遺跡の探検ってのは何とも俺好みな話だ。まだ見ぬ謎が解き明かされるのを待っている……そう考えるとワクワクしてくるよな」
 実にわかりみがふかい、という様子で『カーバンクル(元人間)』ライ・ガネット(p3p008854)がうんうんと頷いている。
「二人とも冒険は好みって感じね」
「ま、『本業』だからな」
「オレの方はむしろ技能の問題だな。正直負ける気がしねえ」
 ライと牡丹がそれぞれにこやかに答える。
 『譲れぬ宝を胸に秘め』オセロット(p3p011327)はそんな彼らを横目に小さく笑った。
「いいね、親の居ないラサの悪ガキ達だって遺跡の冒険は憧れるもんだ。
 机に向かって書類仕事してるよりずっと俺の性分に合ってる。
 護衛は俺の支部の本分だしな。よろしく頼んだぜ、エリナ」
「ええ、よろしく! サヨナキドリのオセロットだったわね」
 金勘定より戦いの方が性に合うというのがオセロットの性格らしい。なのでこういう依頼は大歓迎なのだ。
 鶏のもも肉をはぐはぐと囓り取った『無尽虎爪』ソア(p3p007025)が、『ボクもボクも』と手を上げる。
「たくさんご馳走になったからしっかり働かないと」
 依頼料も当然もらえるが、それとは別にこうして食事を奢られるというのはローレットあるあるなのだが、ソア的にはご厚意に甘えすぎた気分なのである。
 そっちは? と視線を向けると、前金となるコインを受け取った『黄昏の影』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)がしずしずと頷いて同意を示していた。
(ワタクシは仕事を行うだけです。それが此処にいる理由です)

 どうせ暇してるし、年の瀬の酒代稼ぎくらいにゃなるだろ。
 そんな気持ちで同行してきた『駆ける黒影』ルナ・ファ・ディール(p3p009526)は、『灼けつく太陽』ラダ・ジグリ(p3p000271)と依頼内容について話し合っていた。
「ぶっちゃけ、いまさら過去のお宝なんざそこまで期待してねぇがよ。あぶねぇ仕掛けやらなんやらがあったら、そのまま放置しとくのもだろ。他の国にある分にゃ気にしねぇが、最近じゃただでさえ終焉やらで物騒だからな」
「ああ、特にラサ南部はな」
 世界の滅びが近いといって、終焉獣などが出没するエリアがラサの南部にはある。正直うろついてほしくないエリアなのだが、言って止められるタチではないだろう。
 ならばしっかりとついていって護衛するのが妥当というものだ。
「ふぅ、飲んだ飲んだ」
 『蛇喰らい』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)は満足げに笑うとミラギアナクロンへ続く道を進んでいく。
「迷宮探索の経験には自信があるが古代の魔術相手に何処まで通じるかだな」
「魔術は苦手か?」
「得意じゃあねえな。とはいえ、そういった罠の類が発動するには条件や仕掛けが必要だ。つまるところ見抜けない類のものじゃないはずだ」
「違いない。あとは実践有るのみって所だな」
 バクルドとルナはそんな風に話し合っていると、やがてミラギアナクロンの入り口が見えてきた。
「皆、到着したわよ!」
 エリナがローブの裾をぎゅっと掴んでいて、興奮を抑えているのがわかる。
 見れば、それは砂に埋もれていた古代遺跡の入り口であった。


 ミラギアナクロンの扉を開き中へ入ると、そこは狭い部屋だった。
 中央に石像が設置され、それ以外には何もない。通路らしきものも、扉すらもないようだ。
「これで終わり……なわけがないわよね」
「だな、古代文字が書いてある。解読は任せてくれ」
 ぴかっと宝石を発光させたライが、石像の足元に刻まれた古代文字を読み始める。
「ふむ、なるほどな……」
 そして石像を45度ほど回転させると、ゴゴゴと音をたてて部屋の奥にある道が開いた。
「簡単な仕掛けなんだが、その方法が古代文字で書かれてたみたいだ。俺を連れてきて正解だったな」
 ライはそう言いながら、石像と石版の様子を深く観察していた。
「何かわかったことがあった?」
 興味深そうに尋ねてくるソアに、小さく手をかざす。
「かなり古代に作られたのは間違い無いが……侵入者を拒む仕掛けを施してる。ってことは、中に入ってほしくない理由があるってことだ。道中は気をつけて進めよ」
「わかったー!」
 それから暫く通路を進んでいくが、あったのは無数の亡骸と壺。
 白骨化した亡骸はベッドのようなくぼみへと安置されており、それが動き出す様子はない。
「お墓、なのかな」
「おそらくはな」
 ソアの疑問にライが端的に答えた所で、先頭を進みエネミーサーチを働かせていたルナがぴたりと足を止めた。
 すわ敵襲かと構えた仲間たちだが、どうやらそうではないらしい。
 蛇や鹿、魚やフクロウと言った動物が彫り込まれた大きな石が並んでいる。
 通路はあるが、どうやらその仕掛けによって塞がっているらしい。
「解き方はどこかに書いてないのか?」
 オセロットが尋ねるが、ルナは首を振る。彼ほど五感に優れた者が見つけられないなら、それはないということだ。
「困ったわね。謎解きをしないと先に進めないってことかしら」
「いやまて、この辺りの伝承に同じモチーフのものがあったはずだぜ」
 ルナは暫し腕組みして考えた後、石を一つずつ丁寧に回転させ絵を左から順に並べていく。
「まあ荒唐無稽な物語なんだが、こいつを知ってるか否かは重要なのかもしれねえな。……よし、と」
 最後の回転を終え、台座の上に立つ。
 するとまたゴゴゴという音をたてて道が開いた。
「へえ、やるじゃねえか」
 オセロットがルナの背を軽く叩いて称賛を送る。
 ……と、すぐに肩から提げていた銃に手をかけた。
「おっと、早速敵のお出ましみたいだ。ここは俺に任せて貰うぜ」
 ルナたちにエリナの保護を任せると、オセロットは真っ先に部屋へと飛び込んだ。
 ズオオオと音を立て、周囲の砂が集まり鎧の姿を取る。エリナの話にあったサンドアーマーだ。それも数体纏めて現れる。
「戦闘はボクの役目!」
 ソアがバチッと紫電を走らせながら身構え、同じくヴァイオレットがカードを抜いて身構える。
「はじめから首なしなんてつまんない。刈りとってやるのが楽しいのに!」
 ソアはそう呟きながらもサンドアーマーへと突進。砂でできた剣で斬りかかるその動きをガキンと拳で弾くとその装甲へと紫電の走る爪を突き立てた。
 突き立てたそばから徐々に修復が始まる砂の装甲。
 だが、それならそれでやりようがある。
「それならばっ」
 紫電をより強力に走らせ、ガリガリとサンドアーマーの装甲を削り取るソア。
「いいぞ、致命攻撃は奴の弱点だ。そのまま全員の再生能力を奪え!」
 オセロットはそうソアに指示を出しながら、致命状態にあるサンドアーマーに特殊弾頭を叩き込む。
 猛毒の効果がある弾頭はサンドアーマーの組織を内側から破壊し、どろどろとその構造を崩れさせ始める。更に炎上効果をもつ魔法弾頭をセットし撃ち込むことで、サンドアーマーを激しく炎上させた。
「再生能力にはスリップダメージ、ってな。これで完璧だろ」
 あとは暴れるサンドアーマーたちを引きつける役目が必要だが、そこに関してはヴァイオレットが担当してくれるらしい。
 ここはワタクシがと呟き前に出ると、周囲のサンドアーマーたちを引きつけるように動き始めた。
 つい意識をもっていかれたサンドアーマーがヴァイオレットに斬りかかるも、それを短剣で軽やかにいなし舞うようにかわす。
 スッと短剣を突き出す構えをとったヴァイオレット。と同時に彼女の影がむくりと起き上がり、大量の槍となってサンドアーマーを貫いた。
 ほぼ時を同じくしてソアのミキサーがサンドアーマーを粉々にし、オセロットの零距離射撃がサンドアーマーの上半身を崩壊させ、どさりとその場に散らせる。
「ぺっぺっ、砂っぽいよ!」
「我慢だ我慢。ほら、未だ来るぞ」
 オセロットの言葉通り、部屋の奥から空飛ぶ蛇のような怪物が出現――したかと思うと大量の砂を纏ってこちらに叩きつけてくる。
「また砂ーー!?」
「サンドスウィープだ! 焼き払え!」
 ソアはぺっぺと砂を吐き出しつつ、紫電を燃え上がらせてサンドスウィープへと殴りかかった。
 同時にヴァイオレットが敵の引きつけを開始。『アムド・インベイジョン』を発動させ影の檻を展開すると、サンドスウィープによる噛みつきを防御する。
 オセロットがトドメとばかりに銃を乱射。サンドスウィープを撃墜する。
 どさりと地面に落ちたサンドスウィープと一緒に、周囲に舞い上がっていた砂もまた地面へと落ちた。
「さて……一仕事終えたって所だな」
「そのようですね」
 これ以上敵が出ないことを確認すると、オセロットとヴァイオレット、そしてソアは頷き合ってエリナたちを呼び寄せるのだった。

「しかし、それにしても――砂に沈んだ遺跡が多いな、ラサは。昔はこれほど砂漠もなくて、それなりに豊かだったりしたんだろうか」
「さあ、ね。けれど砂に沈んだってことは、元々はそうじゃなかったってことだもの。古代のラサはもっと緑が豊かだったのかもしれないわね」
 ラダとエリナのラサ談義は尽きない。そんな風に会話をしながら歩いていると、ラダはぴたりと足を止めて何かに気付いたように手をかざした。
 エリナも慣れたもので、すぐに足を止めて周囲の警戒を始める。
「何かあるな。罠……か?」
「おお、よく気付いたな」
 その言葉に返したのは牡丹だった。
「この辺りの霊魂がやけに騒がしいんで色々透視してみたんだが……かなり大がかりな罠が仕掛けてあるな。遺跡の奥まで進んだ奴をそのまま行動不能にして殺すって罠だぜ」
 わかるか? と視線で合図を送ると、バクルドも頷いてメンバーの前へと出た。
「ここは協力して解こうぜ。おそらく動力源が魔術系だ。しかも複数の罠が連鎖して発動する仕組みになってる。一人で解くとその過程でやられそうだ」
「たしかに」
 バクルドは物理的な罠に対して圧倒的に強いスキルを兼ね備えており、牡丹はそれに加えて幅広い知識を持っている。
 そんな二人にかかればミラギアナクロンの罠など大した障害ではない。
 たとえば、通行する瞬間に棘のついた壁が高速で迫るダメージトラップや、空から降ってくる檻。壁から飛び出す槍や、炎を噴き出す仕掛けなど……様々な罠を着々と解いて進んでいく。
 が、そんな二人にもピンチが訪れる。
 二人がかりで罠の解除を行っていた最中のことだ。
 危険な装置に触れてしまわないために仲間と離れて行動しているのだが、そこへ複数のアンデッドが近づいてきたのだ。
「おいおい、こいつら動かないんじゃなかったのかよ!」
 バクルドと牡丹がぼやく中、動き出したのはラダだった。
 ライフルを構え、罠解除中に襲いかかろうとするアンデッドの腕めがけて発砲。見事にそれを吹き飛ばす。
「そちらの対処は任せろ。罠の解除に集中してくれ」
「おお、助かるぜ!」
 素早くリロードして更に発砲。今度は駆け寄ろうとするアンデッドの足を吹き飛ばして転倒させる。
 そうしているうちに罠の解除は着々と進み、二人を狙っていたアンデッドもラダの銃撃によってすべて倒す事ができたのだった。

 この先でもバクルドと牡丹は謎解きで大いに活躍していた。
 小さな隠し部屋を見つけたり、リドルを解いたり、方向感覚を惑わせる魔術トラップを看破したりと大忙しであった。
 そして――。


「これが、最後の部屋……か」
 牡丹がついそんな言葉を漏らしたのは無理からぬことだろう。
 並んでいるのは無数の棺。石で出来た棺にはそれぞれ彫刻がなされ、丁重に弔われている様子がうかがえる。
 中でも目につくのは、黒い石で作られた棺だ。それは部屋の最奥に鎮座し、今も誰かの到来を待っているようにすら見えた。
「ここは、墓場なのね……」
「墓場、か」
 エリナの言葉に小さく返すラダ。
 しかしこの雰囲気は、静謐さとは逆のものに思える。
「だが、連中はこのまま静かに眠るつもりはなさそうだぞ」
 スッとライフルを構えるラダ。
 と同時にか無数の棺が開き、中からアンデッドスケルトンが出現した。
 それぞれが剣や弓を持ち、こちらに攻撃をしかけてくる。
「あぶねえっ!」
 エリナを庇うように前に出た牡丹が飛来する矢をたたき落とす。
「エリナを守る役目は任せとけ。その代わり連中を頼む!」
 そんな牡丹に更なる攻撃を仕掛けようと、黒い剣を装備したアンデッドたちが次々に斬撃を放ってきた。
 片翼を靡かせ、炎を燃やし次々と放たれる攻撃を撃ち払っていく牡丹。
 流石に攻撃が集中しすぎると思ったのだろう。オセロットが間に入り二人のアンデッドをブロックする。
「この辺の連中は任せろ。奥のやつを倒せ!」
 オセロットは斬撃を受けながらも至近距離から銃撃を連射。
 アンデッドたちを撃退する。
「ではワタクシが」
 ヴァイオレットはこの部屋に入った時点で不審な状態を察知していたらしく、既に完璧な位置取りで『名乗り口上』をあげていた。
 ヴァイオレットに引き寄せられるように無数のアンデッドが群がっていく。
 攻撃は多少なりとかすりはするものの、それをライが額の宝石から溢れる治癒の光で治療していく。
「やっぱり、戦いをサボるわけにはいかないよな。ここは俺たちが抑えておく。誰か一人手伝ってくれ!」
「てことは、俺の出番だな」
 ニッと笑みを浮かべるバクルド。その息には酒精の香りが混じっていたが、動きに一切のブレはない。 
 構えたライフルから連射をかけ、オセロットのブロックするアンデッドの頭を正確に撃ち抜いていく。
 そして最奥へと向かうラダ、ルナ、ソア。
 待ち構えているのは漆黒の鎧に身を包んだアンデッドだった。
 まるでこの瞬間を待ち焦がれていたかのように両手に剣を構え、飛びかかってくる。
「せいっ!」
 剣に拳で対抗し、紫電をバチッと走らせるソア。
 幾度もソアの爪とアンデッドの剣がぶつかり合い火花が散る中、ルナとラダは全く同じタイミングでライフルを発砲。
 アンデッドの頭部へ見事に命中させる。
 首が吹き飛び、それでも動こうとする胴体にソアの爪が突き刺さり、鎧の装甲を貫通して拳がめりこむ。
「――――」
 瞬間、アンデッドが『よきかな』と呟いたように牡丹には思えた。

「この遺跡は、古代の武将を埋葬するものだったようね。
 それも知恵と力、そして勇気のある者を『招き入れる』ための」
「招き入れる?」
 ラダの問いかけに、微笑みで返すエリナ。
「死してなお、まだ真の強者と戦いたかった……って所かしら。その願いは、どうやら満たされたみたいだけれど」
 遺跡を出たエリナは振り返り、そしてイレギュラーズたちに頭を下げた。
「今日は本当にありがとう。また縁があったら、よろしくね!」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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