PandoraPartyProject

シナリオ詳細

錆銀トロイメライ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 女の子は何でできているの?
 それは私のだいすきなフェアリィテイルのしっぽのひとつ。
 答えは、砂糖にスパイス。
 それと――すてきなものばかり。
 すてきなものってなぁに?
 それは――――。
 呪いと、裏切りと、あとは醜い嫉妬(アルバニア)


 私には大好きなものがふたぁつある。
 ひとつは大好きな幼馴染の、まるで双子のようなあの子。
 もうひとつは羊飼いの少年。
 私が好きな少年は、大好きなあの子も同じように好きになって。
 半分こにはできない思いはつのるばかり。
 どっちも大好きな、宝物だから。
 
 そんなあるとき、私たちにキレイな女の人が苹果をくれたの。
 あの子には金色、私には銀色。
 女の人はいったわ。これは悪夢の果実(アンブロジア)。見たい未来(ゆめ)をみせてくれる魔法の実。
 だからあの子と私は二人で一緒に未来(ゆめ)を覗いてみたの。
 私たちの夢の味はシナモンが少し聞いたあまーいアップルパイの味。

 私の見た夢は羊飼いの少年との恋は叶わなかったゆめ。
 あのこの見た夢は羊飼いの少年との恋は叶ったけれど不幸になったゆめ。

 だから私たちは悲しくなった。
 悲しくなったから。その原因である『羊飼いの少年との恋』を二人で『叶える』ことにした。
 私たちは殺人鬼だから。
 恋のかなえ方は一つしかないから。


 「ってわけで、二十歳のオネショタ殺人鬼たちが羊飼いの12歳の少年を襲うという噂を聞きましたので、少年には気づかれないようにその殺人鬼をぶったおすのです。ほら怖いお姉さんに恋されてるって知ったら変なトラウマを植え付けちゃいそうじゃないですか。そもそも、そのおねえさんたちの『恋をかなえる』っていうのが、まっとうなわけないのです。つまりは未来のある少年をまもるのがイレギュラーなのです!」
 言って、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)がオレンジジュースをずずっと啜った。
「殺人鬼は二人います。もう一人は山田が担当してるのです。こちらは、仮称銀の殺人鬼の退治です。
 彼女は羊飼いの少年が羊飼いのお仕事をしているときに突っ込んでいくつもりのようです。なんでわかったですって? それはボクのすぺさるでぶりりあんとなじょうほうもうのおかげです。ってわけでメモに詳細かいておいたのでいい感じにぶったおしてくださいなのです! まかせたのです! イレギュラーズ!」
 ユリーカは飲み終えたジュースのカップをカウンターに戻すと、次の依頼の案内にいくのであった。

GMコメント

 鉄瓶ぬめぬめです。
 菖蒲GMとのやめぬめ連動依頼なのです。ぬめやめ。
 二人の殺人鬼のおねえさんから、12歳の羊飼いの少年を守ってあげてください。

 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ・羊飼いの少年にこの顛末は知らせないでください。人知れずイレギュラーの皆さんは少年を救うのです。
 ・少年は羊飼いの杖をもって羊の餌場まで羊を連れていきます。羊は臆病です。逃げても構いませんが少年がとっても困ります。
  
 ・殺人鬼のお姉さんは
  1、餌場にいくまでの道
  2、餌場
  3、餌場からのの帰り道
  のうちのどこかで少年にアプローチします。どこで待ち構えてもOKです。
  1>2>3の順番で少年に近づいていきます。メタ的には少年に気づかれるまでのターン数が大きくかわります。
  餌場に行くまでの道は獣道もあり、岩場もあるので戦闘時に適切なスキルがない場合はマイナス補正が働きます。(おねえさんにはマイナス補正はありません)
  餌場は広くて戦いやすいですが、お姉さんも同じく戦いやすいので大技を使ってきやすいです。
  餌場からの帰り道は行くまでの道とは違う少しなだらかな狭い道です。3人程度しか並べません。
  時間は夕刻になり、明るさは危うく、光源があると少年には気づかれやすくなります。おおよそ6ターン後には少年はあなた達と遭遇するくらいの時間しかありません。


  
●銀の殺人鬼。
 銀の苹果を手にしたおねえさんです。
 銀のショートカットに、黒いローブの優しげでミステリアスなお姉さんですがまごうことなき殺人鬼です。
 武器は大きな鎌。愛を刈り取る死神のようなお姉さんです。
 誰から苹果をもらったのかはわかりません。聞いても答えは帰ってこないでしょう。
 だって、その誰かは――。

 遠距離攻撃も近距離攻撃もできます。クリティカルがとても出やすいです。

  • 錆銀トロイメライ完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月26日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ルアナ・テルフォード(p3p000291)
絶望を砕く者
サンディ・カルタ(p3p000438)
悪夢レベル1
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
シグルーン(p3p000945)
自称カオスシード
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
Briga=Crocuta(p3p002861)
戦好きのハイエナ
ルフト=Y=アルゼンタム(p3p004511)
アマリリス(p3p004731)
倖せ者の花束

リプレイ

●錆銀と朱金の苹果は謡う
 女の子は何でできているの?
 それはそれは素敵なもの。砂糖とスパイスと。そして――。

 風が吹き抜ける高原の餌場は羊でなくとも気持ちがいい。
 少々風は冷たいが、太陽の日差しは暖かい。

「シグ、前にもにたような相手と戦ったことはあるよ」
 でもそれは凄惨な結末だった。恋は成就はしなかった。だから――。
 今回も同じだ。殺人鬼の狂ったこいなど成就させてなるものか、と『自称カオスシード』シグルーン(p3p000945)は羊の餌場にあった柵に肘をつきながら思う。
「誰が誰を好きになっても構わないけど。どうして殺すっていう方向になるんだろうね」
 それは、少女だからこそ発想しうる疑問。 『遠き光』ルアナ・テルフォード(p3p000291)は、シグの隣で柵に腰をかけ足をプラプラさせながら誰にというわけでもなく呟いた。その答えは誰からも帰ってはこない。
 恋に答えなどはない。どのような形であれ、表現方法は正しくもあり間違ってもいる。
「……やっぱり恋愛はよくわからない」
 流石に今回はかなり特殊な例であることはわかる。恋愛のいろははわからなくても、それは純粋な「願いを成就させるため」の強い渇望であることは理解はできた。
 『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)には強い渇望がある。それは自らすら苛む昏く、深淵なる思い。そのために笑顔を捨てた。同じ年頃の少女であれば当たり前のように持っている尊いそれを。
「んなこた、かんけーねーよ! 恋だろうが故意だろうが鯉だろうが、子供を狙うなんてちびっこの味方のコータ様がだまってねーんだからな!」
 『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)は右拳を左の掌にうちつけ怒りを顕にする。この少年にも見える青年の性格を一言にするのであれば唐竹を割ったような性格。
 自らの正義を執行するためには考える前に体が動くタイプだ。その青年がきっ、っと前を見据え、構えた。
 「慈悲はありません、貴様の『恋』とやら。不正義と見受けました。必ずこのアマリリスが断罪します」
 己の正義の執行をなすべく動くのは、『銀凛の騎士』アマリリス(p3p004731)も同じだ。掲げた両手剣に口づけ、来たる戦への誓いを口に出し、ゆうらりと、真昼のやみのように歩いてくる女に大剣を向ける。

「あなたたちはだぁれ?」
 美しい銀の髪の髪を高原の風にたなびかせた黒いローブの殺人鬼(おんな)は幽幻の笑みを浮かべイレギュラーズに問いかけた。大鎌を引きずりながらもつその様は不釣り合いだ。
「折角の美人なのにこう、勿体ねえよな。いやまあ、世の中そんなもんか」
 『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438) はつま先で二度地面をたたき、三度目の踏み込みによって一気に女に近接戦を仕掛ける。
「ありがとう。女にとってそれは褒め言葉だわ」
 女は踏み込みが甘いとでもいうように、ふうわりとステップを踏むようにサンディの一撃を回避した。
「見事なほどに気持ちの押しつけだなぁ?」
  『戦好きのハイエナ』Briga=Crocuta(p3p002861)が、サンディとは逆の方向から、女が足を地面につけた瞬間を狙って捨て身の攻撃を仕掛ける。
 キィン!!
 捨て身の攻撃は女の持つ大鎌によって弾かれ、Brigaはたたらを踏む。
「それも褒め言葉のつもりかしら?」
「褒めてねェよ! ガキを困らせてンじゃねぇよ!」
 ぐるるっ、っと喉をならしながらBrigaは威嚇する。
「ううん、あのこがどう思っても構わないわ。だって、私は恋を叶えるだけだもの」
 女は微笑む。幸せそうに。今、誰よりも幸せな恋をしているのだと言わんがばかりに。
「押し付けではどのみち幸せにはなれまい。
 恋に浮かれ不幸な結末にひたり悲劇のヒロイン。そんな自分たちに自己憐憫と陶酔」
 機械駆動の動物を少年のもとに送った ルフト=Y=アルゼンタム(p3p004511)は氷華薄刃を構え、雷神を女に向かって走らせる。機械の驢馬がうまく少年のもとに届くことを願いながら。
「だって、女はいつだって悲劇のヒロインだもの。そのほうが、素敵だわ」
 コロコロと笑いながらうそぶく女はルフトの雷を受けダメージを受けている様子はあるが、しびれる様子はない。
 次いで、ルアナのオーラキャノンが矢継ぎ早に飛んでくるのを大鎌で弾く。
「ごめんね、おねーさん。ルアナたちと少し遊ぼ。相手が死んじゃったらお話もなにもできないと思うんだけど」
「お話をして嫌われたら悲しくなるでしょう? そんなのいやだもの。それにね、私たちの恋はあなた達とは違うわ」
「金と銀の殺人鬼。一緒に恋を叶えたいと謳いつつ、然しバラバラの時間で別行動
 実はそんなに仲が良くないのでははありませんか?」
 女のココロのスキマを狙うかのようにアマリリスが、言葉を紡ぎ、己の抵抗力を火力に転じ仕掛ける。
「恋のライバルを出し抜くのは、作戦の一つよ。仲がいいから最大の努力でもって自分のできることをする。
 それが恋のライバルに対する敬意だわ? それともあなたは違うの? あなたは友人に恋を譲るの?」
 少女の言の葉と攻撃をいなしつつ、女は逆に問いかけた。一瞬アマリリスは言葉をつまらせるが、正直に答えた。
「そのようなことになったことがないので……アマリリスにはわかりません。でも、一つわかることがあります」
「なぁに?」
「女の子は素敵なもので出来ている。甘い物や恋や笑顔。そして心動かされるすべてのもの」
 恋をしった聖女は紡ぐ。自らの愛を。自分の少女としての理想を。たいせつな誰かによって与えられた笑顔を。
 恋をしったからこそわかる。その恋はいつかゆっくりと暖かい愛に変わるのだと。
 女の恋はそこで完結しているものだ。きっと其の先に自分の感じた暖かいものはない。だから哀しいと。少女はそう思う。
「なぜ貴方たちはそうも壊れてしまったの?」
 だから疑問を投げかける。
「そうね、教えてあげるわ。でもみんなの前でいうのは恥ずかしいの。だからね。あなただけに。だから耳をかしてちょうだい」
 幽明の色の笑みで女は大鎌を降ろし恋する少女に近づく。
「なんか、やっべー気がするっ!」
 その動きに反応したのは洸汰だ。女は大鎌を降ろしたのではない。下段に構えたのだ。
「!!」
 踊るように軽やかに女はステップを踏み、大鎌をくるりと回転させる。すると女を中心に竜巻が発生し、攻撃するために近接していた、サンディとBriga、アマリリスと洸汰がその奔流に巻き込まれる。ミニュイは範囲攻撃を警戒して、彼らと距離を開けていたこともあり、逃れることができたが巻き込まれた者たちは一気に体力を半減させられてしまう。とっさに防御した洸汰はダメージはこそ抑えられたが、残りの三人同様、流血が止まらない。
「あなた達が噂のローレットのイレギュラー? これで死なないなんて、驚きだわ」
「卑怯なっ!」
 アマリリスが唇を噛む。
「クハハッ!こンなモンかてめェの恋ってヤツはよォ!?」
 裂けた額からまぶたを通り頬を伝う流血を拭いながらBrigaが強がる。痛みが体を苛む。しかし殺人鬼に弱みなど見せるつもりなど到底ない。
 シャドウステップを踏みながらシグは先に封印をなすべきであったと舌打ちをしたがしかたない。あの攻撃は厄介だ封じなければならないと強く思う。
 次手、もっとも早い攻撃はルアナだ。前衛に踏み込み攻撃に専念し剣に乗せた膂力が女をローブごと断ち切る。
「ルアナみたいな未来のゆーしゃと戦えて、おねーさん幸せでしょ?」
 ゆーしゃがどうしたらなれるのかはわからないままだが、少女は自らをそう名乗る。
 彼女の耐久力は高くはない。故に少女は思う。倒れるまでの間この女(あくま)は逃さないと。
 少女の周りには仲間がいる。もし自分が倒れても彼らがそのあとをフォローしてくれる。そう信じている。
 誰かを信じて戦うことができる。それこそが勇者の心得であるのだと、彼女はまだ知らない。
「しあわせ? ふふ、あなたは可愛らしいのね。私はいつだって幸せよ。大事なお友達に素敵な哀しい恋。女の子が欲しいものはもう手にしているのだもの」 
「あんたも普通に恋ができりゃ、もっと幸せになれるはずだと思うんだけどな!」
 流れる血もそのままに人を狩る狩人、サンディが火炎を伴う攻撃を仕掛ける。近所の不良から教わった炎術を攻撃転用できるよう研鑽したそのスキルは派手な炎光をあげながら女に炸裂する。
「これ以上は大技を使わせないよ」
 シグが封印の術式を女に刻み込む。
「まあ」
 それほど驚いた様子もなく女は自分が特殊なスキルを使えなくなったことに気づき、みじかい声をあげた。
(やっぱり、こいつのことはわからないな)
 ミニュイはサンディに重ねるように自らも炎撃を女に向ければ女のローブが赤く燃え上がった。
「うふふ、うふ」
 女はそれが仕立てられたドレスをまとったのだと言うかのように笑みを浮かべ、最も火力をもつものと断じたアマリリスに大鎌を構えて攻撃をしかける。
 大振りな鎌の攻撃はわかりやすい軌跡を持ってアマリリスに降りかかる。
 避けれる。そう思った。なのにその瞬間急所を穿ち、鎌刃がアマリリスの体を貫く。
「ぐっ」
 それはスキルではない。女の殺人鬼としての技。
 アマリリスはこほり吐血を大地に落とし膝を付き、パンドラに願い倒れることだけは防ぐ。そして知った。その刃に愛はない。
「愛を知らぬ悲しき殺人鬼、貴方はからっぽです」
「アマリリスっ! ……他に、他に方法を知らないからで終わらせる」
 ルフトは義憤に燃えていた。アマリリスにまずはライトヒールを施す。
「知らないからで思考を止めるな。お前たちは人並みの幸せを知れ。お前と友人と少年の3人の幸せがなんなのか! 考えろ!」
 ルフトは続ける。
「それが人間としてのスタート地点だとしれ!」
「にんげん? ふふ、おかしなことをいうのね。ひとをころすことしか知らない私たちにひとのしあわせは不相応だわ。そうね、例えばあなたの言うようにそれを知って、わるいことをしていたと、泣いて謝ったら私たちはゆるされるの? ひとのしあわせを知れば、なかったことにできる? 知ってる? わたしたちは今まで恋を叶えるために。たぁくさんの子を殺したわ。
 それがごめんなさいで許されるの? なら、ひとは『やさしい』のね」
 きゃははと狂った笑い声をあげる女は洸汰の連撃を受け、笑を増していく。
 洸汰は其の笑みに心がささくれていくことを感じる。これは違う。気持ちがわるい。この感覚が深い憎悪であることを青年はまだ気づくことはできないのだろう。だから思うのだ。気持ちが悪い、と。
「殺される覚悟があるのかって聞いてみたかったが、じゅーぶん覚悟はできてるようだな」
 Brigaは眼の前の女が『あちら側』だと認識する。彼女ら殺人鬼にとって殺し殺されるが日常なのだ。その刹那の快楽に生きているからこそ踏み外した。
 自分が殺されることすらもその刹那の快楽の一つなのだ。
「絶対に叶えさせないよ。叶えさせたりするもんか」
 シグは自分に言い聞かせるように呟く。
 彼らの戦いは次にステージを進ませる。満身創痍の彼らは少しでも早くと最大攻撃を重ねるが、女はそれを避け、自らの刃は彼らの真芯を穿つように放たれる。
 数人が膝をつき、パンドラに願った。
 高原に血の匂いの混じった風が吹く。
 無勢に多勢。イレギュラーズの連携は女を追い詰めていく。
「なあ、あんたに苹果を渡したのは誰だ」
 洸汰は息も絶え絶えに、同じくボロ雑巾のようなローブを纏った殺されかけた女に問いかける。
「女の子は何でできているとおもう? 砂糖とスパイスと」
「答えろよ」
「とってもとってもとっても、とっても」
 欠けた大鎌が三日月の軌跡を描く。
「とっても醜い、アルバニア」
 だん、と踏み込んだBriga牙とミニュイの翼刃が十字に煌めいた。
「いつかあなたたちもわかるはず。ふふ、たのしみね。ああ、でも。あのこが羊飼いのあのこと恋に落ちるのかしら? だとしたら、すこしだけ羨ましいわ」
 こほり。
 暗色の女は吐血すると其の場に崩れ落ちる。もう女はうごかない。その唇から恋を唱うこともない。
「愛をしらない哀しき殺人鬼。今ここに眠れ」
 聖女の祈りが一層強くなった風に吹き消された。

 残ったのはいくつかの疑問と女の遺体と血痕。シグは指先を噛み切り、自らの血でもって浄化していく。
 あとにはなにも残らない。
 血臭までは消えないが、風がすぐに吹き飛ばすだろう。
 ルアナはやけに耳にのこった言葉を反芻する。
「とっても醜いアルバニア。――嫉妬(アルバニア)」
 少年が餌場にたどり着くにはもう少し時間がかかりそうだ。彼らは女の死骸を持ち上げ、見えないところに埋める。
 木の枝や石で土を掘りながらサンディはもういちどもったいない。そう思った。
  

 羊をつれてきた少年は見知らぬ機械仕掛けの驢馬に食いつかれどうにも困惑していた。
 ルフトは少年に走りより、ペットが済まないと謝り機械の驢馬に命令をかけ、其の場をあとにする。
 今日もことはなし。
 少年はいつもどおりに羊に餌を与える。
 ああ、なにもない一日だ。誰かと恋に堕ちるなんてドラマがあればいいのに――。
 そう、思った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

参加ありがとうございました。
銀と金の苹果は転がっていきます。音もなく。
いつか貴方の手の中にその苹果はあるかもしれません。

今回深淵に手が届いた貴方に称号を。

これにて悪魔の絵本(ピルグリムテイル)の第一幕は終わります。
第二幕の公演をお待ち下さいませ。
悪夢のトロイメライを貴方に。

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