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シナリオ詳細

<悪性ゲノム>それは秋だからと君は言った

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 宵色の羽に瑠璃の紋を描いて。
 それは誰が見たってルリタテハ。美しい蝶々でしょうと君は言う。
 そうだ、きっと美しい。
 宵の羽は空に映えるし、何処までだって飛んでいける気さえする。

 けれど。
 けれど、それじゃあ。
 これはあんまりだとは言わないのだろうか。


 人の気配を感じると飛んで行ってしまうその姿。
 宵に瑠璃の紋を描いたルリタテハと呼ばれる蝶々をご存じだろうか。
 図鑑を手にした『サブカルチャー』山田・雪風(p3n000024)は成虫の姿で越冬するそれらの事はよく知らない。
 けれど、だ。
「巨大すぎるのも考え物というか、パンデミック感ありますよねェ――……」
 なんて――言いたくもなってしまう。
「サブカル分野で時々ある、昆虫が襲ってくるヤベー! 的なの。
 俺は女児アニメ中心なんであんまり見ないにゃ見ないんスけど、あるあるネタでしょう」
 やけに饒舌に彼は持ち得る知識をひけらかす様にそう言った後、目を逸らした。
「あんまり、詳しくないんで。昆虫とか」
 引き籠りなんで、とぼそぼそと呟いて。
 彼はある雑木林に巨大化したルリタテハの姿が目撃されたのだと告げた。
 その数、おおよそ三体。
 雑木林に足を踏み入れようものなら、村人たちに被害は一気に広がっていく。
 それだからこそ、村有志の討伐隊が出動したのだが――
「結果はご覧のあり様だよ」
 そう言いたくもなってしまうというもので。
 雑木林は立ち入り禁止。巨大なルリタテハの討伐は晴れてギルド・ローレットに任されたのだ。
 美しい宵に瑠璃の紋。人の気配を感じれば逃げてしまう彼らがどうしたことか人の気配を感じて姿を見せる。
「いかんともしがたいもので。どうにか倒してほしいっす。
 あー……最近同じようにいろんな獣や昆虫が大暴れしてるんだけど、それも繋がり、あるんだろか……なんて」
 頬を掻きながら、ぽそり、と小さく。彼は呟いた。

GMコメント

 菖蒲です。美しい蝶々は心躍りますが、大きいとどうしてでしょう、怖く感じますね。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ルリタテハ(巨大)
 三体。その姿は正しくルリタテハ。雑木林にひらひらと。
 侮るなかれ、とても強い存在です。その薄翅からは想像つかぬ力強さを感じさせます。
 また、強化されているのかEXFがあります。倒れにくいのは何かの影響でしょうか……?

●雑木林
 薄ら昏さを感じさせる雑木林です。
 少しばかり足場が湿って感じられます。また泥濘なども感じられる場所です。
 空気は清々しさを感じる雰囲気。秋らしさを全身で感じる事が出来ます。

●周辺住民対応、その他。
 雑木林に近づくなかれ、とお達しが出ていますので必要はありません。
 最近頻発する事件との関連性も疑われますが、どうなのでしょう。


どうぞ、よろしくおねがいします。

  • <悪性ゲノム>それは秋だからと君は言った完了
  • GM名日下部あやめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月03日 21時46分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

如月 ユウ(p3p000205)
浄謐たるセルリアン・ブルー
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い
刀根・白盾・灰(p3p001260)
煙草二十本男
セシリア・アーデット(p3p002242)
治癒士
空木・遥(p3p006507)
接待作戦の立案者

リプレイ


 宵の翅に瑠璃の紋。鮮やかなれと美しい――その蝶々はルリタテハと呼ばれるそうだ。
 人の気配を感じれば、畏れる様に逃げてゆく美しい蝶々は、今は『その気配』もなくどしりと林の中に構えている。
「比喩に限らず蝶よ花よってなぁ嫌いじゃないが、いくら何でも限度があるぜ?」
 青の瞳に、戦場の花としての権威を揺らして『隣に侍る伊達男』空木・遥(p3p006507)は頬を掻く。噂に名高い伊達男、旅先でのアバンチュールを楽しむにしても華の如きレイディも蝶々が『巨大』過ぎては踵を返してしまうではないか。
 端整な顔立ちを曇らせた彼の傍らで、やけに単調な声音で「バイオハザード……」と呟いたのは『BS<死の宣告>』刀根・白盾・灰(p3p001260)。最近、世相を騒がしている害虫や害獣事変――その一端を担っているであろう蝶々を見遣り『マッシブな蝶』と称したのはあながち間違いではないのだろう。
「蝶のあの細い口がそっと差し込まれて中身を吸い取ったりするのでしょうか……むごい! 怖い!」
「えっ!?」
 灰の言葉に表情がさ、と蒼褪めていく。その柔らかそうな白磁の肌にあからさまに映し出された恐怖は『サイネリア』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)の想像している美しく嫋やかや蝶々像からは大きくかけ離れていたのだろう。
「巨大化して、しかも襲ってくるなんて……ううん、今回は蝶々で良かったって考えるべきなのかな……?」
 虫の中にも様々ある。元来であれば『虫が苦手』な『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)にとって、一連の事件は気が進まないものではあるが――結は「噂通りなら綺麗なんだろうけど……」とローレットで雪風が見ていた図鑑のルリタテハを思い返していた。
「巨大、と聞くと少し恐怖を感じるわよね。仕方ないけれど、仕事は仕事だもの……」
「まァ、瑠璃立羽……。宵闇の翅に瑠璃の紋を描くってのは美しいが、な。
 巨大になっちゃァその美しさも影を潜める上に、この手の案件が連発してる――突然変異、にしちゃァキナくさい」
 どうしたものか、近寄る人々を襲うという異常事態だ。『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は林の奥まで見通す様にじぃ、と目を凝らす。秋風が銀糸の髪をさらりと揺らす中、彼女の告げた『キナくさい』という言葉を反復するように『黒キ幻影』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)はゆるゆると頷いた。
「最近、確かに頻発している。奇形の鼠を始めにして、蟻や鹿、はたまた蛭なんてのまでもいた。
 流石に『偶然この時期に起こった奇怪な変異』だと片付ける訳にもいかないだろうな――何かが動いている」
 シュバルツは何かの気配がする、と小さく呟く。姿を変容させて襲い来る獣や虫たちへの具体的な調査は目の前の事象をクリアしてからか、と首筋揺れた魔性の首飾りの感覚を確かめる。
 木々の中を歩めば心は落ち着く。『浄謐たるセルリアン・ブルー』如月 ユウ(p3p000205)にとってそれは当たり前の事だった。ルリタテハを見た事があるというユウにとってそれが討伐対象になるというのは余りに想像がつかない事で。
「普段はおとなしいのにね……。悪いけど、被害が出る前に確り倒させてもらうわよ」
「何かと物騒だし、この手のこは強くなってる事とか特殊な能力があるから注意しなくちゃだね。
 ユウ、また一緒の依頼だね~! 今回も私がみんなを支えるからね! 一緒に頑張ろう~」
 気合十分に『治癒士』セシリア・アーデット(p3p002242)はきらりと瑠璃色の瞳を輝かせる。華奢な少女は頑張るぞ、と共に戦うセシリアに笑みを浮かべるが。
「あ~、セシリア。いい? 張り切りすぎちゃだめよ? 今回の森は足場も悪いみたいだし慎重にね」
 まるで保護者の様に口を酸っぱくしたユウにセシリアは可愛らしい輪郭を少しばかり膨らまして「そんなに子供じゃないよ」と目を逸らす。くすくすと口元に指先宛てて、唇から紡いだのはいつも通りの言葉――彼女が支えるならば、ユウが行うのはただ一つ。
「最悪、何かあれば守ってあげるわ。安心しなさいな」


 木々の合間を縫う様に、その翅は夜の帳を落とすが如く揺れている。
 呼吸をする様に――夜は嫋やかささえ感じさせてその場所で渦巻いていた。それを宵と称するには余りに不気味で、余りに無様であることを闇夜に溶ける漆黒のフードを揺らすレイチェルはよく知っている。
「瑠璃立羽」
 名を呼べば、長く伸びた触覚はゆら、と揺れる。巨大だからこそ見られた細かな動き。ぞろぞろと開く様に蠢く脚のグロテスクさに灰は内なる臓器まで吸い取られてしまうのではないかと背筋を震わせた。
「はっ、姿を視りゃ明らかに『自然発生』じゃないって分かるもんだな」
 シュバルツがくつくつと喉鳴らす。握りしめたドレイクの尻尾。そして、空いた掌はゆっくりと泥濘む地面に添えられて、一気に園距離を詰めた。
 狩人が得物を喰らう様に残像の影を生み出して、黒き幻影は宵の蝶を翻弄していく。可憐な程に翅広げたその姿を両眼映し込み、口許にスカーフを巻いていた遥が「いざ行かん」と号令掛ける。
 味方を鼓舞するその一声に誘われるが如く、後方で結へと祝福を囁くセシリアは願う様にゲーティア・レプリカを抱きしめる。
「蝶々だけれど毒や幻影の効果はなさそう……けれど、そもそも目晦ましにはなるのよね、鱗粉って」
「無論。吸い込んで咳き込んでいる内に畳み掛けられるというのもあり得ない話ではないからな」
 セシリアと遥。討伐隊の様子や話を聞いた二人は体調に気を付け、蝶々への対処に当たろうと仲間達へと伝達する。
 靭やかに伸ばされた宵の翅が大袈裟な程に羽ばたき、宙を覆う。木々の合間に落ちた影が夜の訪れを感じさせるように昏く感じられ、スティアは「小さければ綺麗なのに」と唇を尖らせた。
 守護の指輪の穏やかな温もりを首から揺らし、スティアは周囲に展開した術式の温もりを感じる。聖域の感覚がまるで指先まで温めるかのように秋風の冷たさに晒される少女の体を包み込んだ。
「巨大かさせるために何かの媒体を使ったとか、お薬とか? 何だろう、美味しい話はそうそうないかもだけど、見つけられたなら上々だよね?」
「上空飛んでる蝶々だけに気取られずに足元を見てりゃ何か見つかるかもしれねぇな」
 スティアの指先から伸びるは遠距離術式の魔術。その魔術を追い掛けるが如く、蝶々の眼前に踊りだしたシュバルツがにぃ、と笑う。
「あちらですよ!」
 飛翔する蝶々の位置を的確に指示する灰。その言葉は何処か司令官じみていて。少人数における戦術はその脳内に刻み込まれている。
 防御障壁を展開し、干からびる事無く頑強なる敵を相手にとるには長期戦が見込まれることを彼はよく知っている。
 スティアとセシリアの二人の回復を背に感じながら、彼は蝶々を受け止めて、強打ともとれる反撃を放った。
 酒の匂いを帯びた青年は守りの要として、前線へと立ち続ける。灰の言と、前線へと鼓舞する遥の声を聴きながらきらりと冷気をその身に纏わせたユウは指先より躍った魔素を刃へと変貌させた。
「ふふ、ユウ。いつ見ても綺麗ね? 透明な花が咲いて、ひらひらと雪が散るみたい」
「ええ、だから『雪華』――けれど、余所見はダメよ?」
 勿論、とゲーティアを抱きしめる白鳥の乙女にユウは指先より躍る氷の鎖へと氷の刃を纏わせる。
 凍て付く鋭いその気配は秋を切り裂き、その先の冬をも感じさせる。正しく氷精霊としての権能と呼ぶに相応しいそれを覆うは夜の気配。
 巨大なるルリタテハは翅をひらひらと揺らし血の通わぬ夜を纏わせるように一気に降下する。
「夜が降ってくる――なんてのはロマンスの欠片を感じる場面に言わせてくれよ、なァ?」
 右半身に刻まれた紋様は茫と光を帯びた。悪鬼の如き復習願望が血潮(いのち)一つも逃すまいと彼女に力を与え、朽ちる事なき月下美人を無作為に作り出された夜に咲かせる。
 ひらりと銀の髪揺らし、スティアは髪を飾ったリボンを宵に汚されぬように細かに立ち位置を調整していく。
 色違いの瞳が見据えるは、宵の翅。幾重もの攻撃に、蝶々の姿は元の美しさとは掛け離れ始めていた。
 上空に飛翔するその翅。宵に描く瑠璃の紋は敗れ、スティアの瞳には秋の穏やかな空が見える。
 風が刺激するように蝶々の翅を大袈裟に揺らす、その合間を縫う様に彼女のスカートがふわりと揺れた。
 ――ここで、畳み掛ける。
 賦活術を唱え、展開するそれを合図と灰と遥はゆるりと頷く。
 先ずはと、地面を踏み締めたのは結か。
「蝶のように舞い、蜂のように刺すってね!」
 ひらり、と。まるで舞姫の如く結の銀髪が大きく揺れる。宵の色を孕んだ髪先にさえ触れられぬ蝶々が大袈裟な翅音を立てて後退した刹那、追い求める様に結の腕が『意志を持つ』。
『イッヒヒヒ。まだ動くみたいだな! こうなったらアレを使ってトドメを刺さないとなぁ?』
 意地の悪い声音は何処までも静かに響く。自称にすれば『勝利の魔剣』。ズィーガーは結の神経系全ての支配を得た様にぱちりぱちりと電気信号を流す如く音たて蝶々へ狙い定める。
「奇遇ね」
『動かしたのだってアドバイスだぜ?』
 ジョーク交りのズィーガーの声に「知ってるわ」と鼻先で笑って結は色違いの瞳を細める。
「さあ、今です!」
 号令の声を聴けば、ひとたびその標的は定められる。
 灰の云う通り、美しい宵の蝶を畳み掛けるは未だ。明けない夜はないと口遊めばそれは何処か朧げに。ひらりと音立てる様に揺れ動いた翅を切り裂く如き氷は霧散し、音なく消えていく。
 氷の中にも密やかに感じさせる暖かさはセシリアがユウに与えたサポートか。
 苛烈なる勢いさえも感じさせる宵の気配はレイチェルが渇望する牙を感じさせ、美しい蝶々を喰らう様に開かれる。
「もうおしまいかしら?」
 結の言葉に『終わりだな』とズィーガーがからから笑う。負けじと飛翔していた蝶を掴む様に腕伸ばし、一気に地面に叩きつけたシュバルツが後退したその場所へ、遥は靭やかなる猫の様に連続攻撃を叩きつけた。
「わっ、」
 ぱち、と瞬くスティアの周りにひらりと揺れた白き翼。まるで天使のようだと称されるその魔道具はまだリミッターで制御されているのだろうか、乙女の背に翼を与えることはない。
 魔術込めて蝶々の一つ一つの動きを記入していたスティアの目に、ちら、と止まったのは『蝶々らしからぬ』僅かな手術痕。
(……どうして、あんなところに縫い目が……?)
 その疑問と共に、近寄らんと伸ばされた巨大な脚を遠距離魔法で払い上げ、後退した彼女の眼前に躍る結は勢いの儘、蝶々を跳ね飛ばした。


 ずしん、と重たい音を立て落ちていくは鮮やかな翅。晴天の空とは対照的な宵色はだらりと生気を失った葉の上にしなだれかかる。
「なんとか生き延びれましたか、頑丈な敵でしたな! 私も見習わなきゃです!」
 快活に笑った灰の言葉に骨が折れたとでもいう様にうん、と一つ伸びをしてセシリアは「疲れたわねぇ」と小さく笑う。
「やれやれ、何が起こってるんだか。練達にでも持ち込んでみるか?」
 頬を掻いた遥は、それも無理かと小さくぼやく。巨大な蝶はその翅を陽に透かす様にすぅ、と色味を失ていく。
「何か情報が落ちてるかもしれないとは思ったが――……蝶々を観察しても」
 その美しい翅が目を引いていたが、ふと、遥は目を凝らす。悩まし気な顔をしていた彼に灰は「どうかしましたかな?」と首傾げ、宛てもないから鱗粉の採取でもしようかとルリタテハの近くに座り込んでいた顔を上げる。
「精霊たちは『誰か』がここに来てから、大きな蝶々を見たと言っていたわ」
 指先に侍らせた精霊の姿に視線を送っていたユウの言葉を受けて、スティアは「なんだか違和感は確かに……」と蝶々を見遣った。
 医学知識を有しているレイチェルにとって、その痕は余りに見慣れた物だった。だからこそ、見失う事もなく――そもそも『昆虫』にそのようなものが存在していることが可笑しいのだという様にレイチェルは「違和感にしちゃ上出来だなァ」と喉鳴らす。
「大きさもそうだが変だよなァ……性質が変わるなンてな。それで特別に『縫合』されてるってなりゃァ人為的か」
「人為的――そうね、精霊の言葉を信じれば」
 レイチェルの言葉にゆるゆるとユウは頷いた。周辺に変わったものはなかったというシュバルツの言を受けて。
 周囲を警戒するセシリアと結は緩やかに息を付く。何らかの異変が起こっている。
 美しい蝶々、宵に描くは瑠璃の紋。性質さえ変わってしまう程に、静かに訪れる変異の気配。
 君はそれを――秋だから、とは言わないだろう?

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 この度はご参加ありがとうございました。
 <悪性ゲノム>……様々な依頼が出ており、何かが動いている、とこの先を感じさせるドキドキ感を皆様と共有できたならばうれしく思います。

 それは秋だから、という訳でもないのかもしれませんが。
 またご縁がありましたら。

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