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シナリオ詳細

<ラケシスの紡ぎ糸>革命の炎は今だ消えず

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●革命の炎
 砂煙と銃声。鳴り止まぬそれ。
 積んだ土嚢の脇から飛び出したのは、白い法衣に身を包んだ少女であった。
 そんな法衣と似つかわしくない、腰にさげて構えるのはアサルトライフル。
 彼女はライフルをフルオートで射撃すると、その対象をにらみ付けた。
 表面に分厚い装甲を纏ったそれは、ライフルの銃弾をいとも容易く弾くと自らの砲身を少女へ向ける。
 ハッとして走り出す少女。砲撃、爆発。間一髪で砲撃を逃れた少女はしかし衝撃で吹き飛び、地面を軽く転がった。
「――同志アミナ!」
 手を差し出され、それを掴む。
 引き上げられるように立ち上がる彼女に、頭にバンダナを巻いた男は叫んだ。
「後退だ、俺たちじゃ抑えられない!」
「しかし――」
「後退だ、アミナ。命を落としたいのか!」
「――ッ!」
 歯を食いしばり、煙幕弾を放って走り出す少女。
 彼女の名はアミナ。『ただのアミナ』。
 かつて革命の少女とも呼ばれ、聖女に憧れ、しかしなれず、自らの足で立つことを決めたひとりのちいさな少女である。

 クラースナヤズヴェズダー革命派。国難の折に派閥を拡大化させた結果力を付けたが、その力は目下、傾き欠けていた国の復興に充てられている。
 彼らは過激派でありながら穏健派であり、武装集団でありながら善人であったのだ。
 そんな彼らが、『不毀の軍勢』および全剣王の宣言を聞いたのはつい最近のこと。
 鉄帝南部に出現したという塔と、そこから現れ鉄帝へ侵略を仕掛けた軍勢への対処に、彼らは遅まきながらも乗り出したのだった。

●炎は今だ消えず
「お久しぶりです。我が同志――イレギュラーズ」
 簡易テントの中で、少女アミナは握手を求めるようにあなたへ手を差し出した。
「全剣王なる者によって建てられた塔、『コロッセウム=ドムス・アウレア』についてはもうご存じでしょうか。
 塔から現れた終焉獣を含む軍勢は、今この鉄帝国へと侵略を行っています。
 なんとか抵抗を図っていますが、一部の地域はやはり、その脅威にさらされてしまっているのが現状なのです。
 なにせ……かの災厄の折には鉄帝軍部すらも割れていましたから」
 人手不足。戦力不足。やむを得ぬは常である。
「ですがもう大丈夫ですわ。私たちが来ましたもの」
 こんなときにこそ世界を救うのが、誰有ろうローレット・イレギュラーズなのである。
 ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)はどんと胸をはって、その胸を叩いてみせる。
「早速、戦術の話をしましょう。あなたが対処している相手について教えてくださるかしら?」
「はい!」
 元気よく、アミナは敵戦力について話始めた。

 『不毀の軍勢』に属する戦士アーノルド。
 彼は軍服に身を包んだ人間のように見える異常な怪物である。
 圧倒的なタフネス、優れた回避能力、魔力を込めた弾丸をアサルトライフルから放つその戦闘方法は圧倒的に強く、悪魔のようにこちらの部隊を翻弄し、そして幾度もの撤退を強いられていた。
 それだけではない。アーノルドの率いる軍勢もまたやっかいだ。
 同じく魔導アサルトライフルで武装した歩兵部隊と、魔導砲を備えた多脚戦車型終焉獣の存在である。
「奴らは防衛網を食い破り、更なる侵略を続けています。奴らを倒せるのはおそらく……」
 そこまで言ってから、アミナは手にした銃を握りしめる。
「また、共に戦って下さい。この国の人々を守るために。何気ない彼らの日常を守るために」

GMコメント

●シチュエーション
 鉄帝国へ攻め込んだ『不毀の軍勢』を撃退すべく、アミナと共に戦いましょう!
 いざ、果てなき戦野へ。

●フィールド
 第018防衛陣地。革命派の主導のもと組み立てられた防衛陣地です。
 鉄帝軍の薄いところをおぎなう形で作られています。
 土嚢が壁のように積み上げられ、これらを利用しながら敵の攻撃をなんとかしのぎつつ戦ううことになるでしょう。

●エネミー
・『ワンマンアーミー』アーノルド
 極端に高い戦闘能力を持った『不毀の軍勢』のひとりです。
 特に目を見張るのは回避能力とHPの高さ。いつも彼を倒しきれずに撤退に追い込まれてしまっているようです。
 彼を倒すなら、多くの仲間と連携しながら囲んで叩くのが良いでしょう。

・歩兵団×複数
 アーノルドの配下の歩兵部隊です。
 かなりの人数を召喚しているらしく、今回も結構な数で攻め込んできます。
 範囲攻撃で吹き飛ばすか、引きつけて誘導しましょう。

・多脚戦車型終焉獣『ベヒーモス』×少数
 堅い装甲と高い攻撃力を持った戦車型の終焉獣です。
 防御を突破する攻撃を撃ち込むか、比較的防御の薄い側面などを狙うのが理想ですが、相手もまたこちらに対応してくるのでそれなりの戦術が必要になってくるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ラケシスの紡ぎ糸>革命の炎は今だ消えず完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年11月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
ルブラット・メルクライン(p3p009557)
61分目の針
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ


「アミナ、皆も!」
 『願いの星』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)は手を開き、集まっていた革命派の僧兵たちへと駆け寄った。
「戦力が少ない中、頑張ってくれてありがとう。
 私達が来たからには、もう大丈夫でしてよ!力を合わせて、私達の国から不届き者を追い出しましょう!」
「いえ、そんな……これでも一緒に戦った仲間ではありませんか」
 無骨なライフルを手に微笑むのは、革命の少女とかつては呼ばれたアミナ。
 その姿は革命の少女というより、どこかのレジスタンスのように見える。
 だがずっと、その目はいきいきとしていた。
「けど、実際皆さんが来てくれて頼もしいです。まだ戦える仲間も残っていますから、一緒にアーノルドたちを倒しましょう!」
 なかなかに前のめりな、しかし充実した様子のアミナ。
 『61分目の針』ルブラット・メルクライン(p3p009557)はマスクの下で苦笑を浮かべてしまった。
「一人の医師としては君が戦うことを厭うており、一人の友人としては君と共に戦えることを喜んでもいる……。
 私も大概困った人間だな、アミナ」
「ルブラットさん……」
「……戦う事も無理をする事も構わないのだが。
 ただ……死なないでくれ。
 いつか訪れる、我々の理想が叶った世界では、君も笑顔で立っていてほしいのだから」
「人はいずれ死にます。けれど、やるべきことを前に死に逃げるようなことはしません。大丈夫ですよ、ルブラットさん」
 きっぱりと言い切るアミナに対して、ルブラットはマスクの下で更に苦笑を深くした。
 君は随分と成長したものだ、と。
 その一方で、『無職』佐藤 美咲(p3p009818)がぱたぱたと手を振ってみせる。
「久しぶりっスね、アミナ氏。それこそ、内戦の時ぶりでしょうか」
「そうですね、美咲さん! あれからどうですか。おかわりありませんか?」
「変わりないというべきか変わりすぎたというべきか……あはは」
 空笑いを浮かべる美咲にアミナが首をかしげていると、それはそうとと話を横に置くジェスチャーをした。
「最近の革命派はどうでスか? あれから色々あったと思いまスが息災でしたか?」
「はい、皆元気にしていますよ。といっても……復興で手一杯ですけれど。生きてるだけでも充分だって思える時が、ときどきあります」
「生きてるだけで充分でスか……ま、それもそうでスね」
 こちとら本気で死にかけたのだ。言葉の重みがひどくのしかかる。
 そんな他愛のない会話の様子を、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)はじっとかぶとごしに眺めていた。
(子供が殺し合いに関わって欲しくない、というのは今更でしょうか。
 自分達大人が……言うほど大人でないにせよ……もう少ししっかりしていれば良かったのですけれど)
 背景を詳しく知っているわけではないが、子供が何かの象徴に担ぎ上げられる事態も、銃をとって先陣を切る事態も、きっと望ましいことではないのだろう。
 そうせざるをえない世界があって、時代があって、そして、今があるのだろうけれど。
 自分にできることはやろう、とオリーブは兜の緒を締める気持ちで頷いた。

「そうだ。俺たちの革命は未だ終わらない。
 革命の乙女は、後光の乙女はもう眠りについたが、俺の中の炎は未だに収まってはいない。
戦い続けてやる。
 ――この革命の名の膝元で!」
 『死神の足音』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)が手を顔の前にかざして呟いている。
「同志ブランシュは……ずいぶん雰囲気が変わりましたね?」
「アミナ先輩。俺はやってみせるよ。あのグロースの様な強さを。皆に与えるんだ」
「グロース……そうですか、それで……」
 何かしらを納得したらしいアミナがこくこくと頷いた。
「――クラースナヤ・ズヴェズダーの美徳を知れ。 我ら全ての人を兄弟とし、幸福を掲げる葦なり。 葦の成長を阻む悪鬼の群れ、その殲滅を良しとせよ。
 ――聞こえる、聞こえている!救済を執行せよ――救済の執行だ!」
 ギラリと目を光らせ、勢いづくブランシュ。
 その後ろから、『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)がぱたぱたと手を振って見せた。
「弱者救済の革命派だっけか。
 あんたらのことはかーさんから聞いてるよ。
 ブランシュが後光の乙女として名を馳せてたっつうしな。
 なら、守ってやるよ。
 かーさんとブランシュとあんたらが守った人々をな!」
「はい! どうぞよろしくおねがいします!」
 牡丹とアミナは握手を交わし、そして互いに微笑みあったのだった。

 一方。資料を開いて敵の情報を見ていた『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は小さく唸って腕組みをした。
「何ともまぁ、大層な部隊を引き連れてやってきたものだ。
 調子に乗って進撃してくるのも頷ける」
 充分な練度の歩兵部隊。分厚い正面装甲と大砲を備えた終焉獣。そしてワンマンアーミーとすら言われるアーノルド。
 並の兵力では押し返されるだけだったろう。
「だが――それもここまでだ」
「破壊を楽しんでいるだけなら、許さない、です……。
 そんな悪い人に、私達は負けないの、です!」
 キッと決意に満ちた眼差しで、『volley』Lily Aileen Lane(p3p002187)は棺桶型のコンテナボックスを背に担いだ。
 二つの棺桶を担ぐ姿は葬儀屋のごとしだが、内蔵しているのは大量の弾薬である。
「さあ、行きましょう」
 歩き出すLily。そして仲間たち。
 未だ消えぬ革命の炎が、再び燃え上がろうとしている。
 民の明日を守るために。


 第018防衛陣地。積み上げられた土嚢が敵の射撃を受け止める。
「牡丹、汰磨羈、お願いしますわね。作戦の成否は、貴方達に掛かっていましてよ!」
 ヴァレーリヤの叫びに応じて、牡丹は土嚢の壁から飛び出した。
 当然と言うべきか歩兵たちの銃口が牡丹へと向く。一斉の発砲――を、牡丹は片翼を羽ばたかせた独特なマニューバで回避した。
「何――!?」
 目を剥くアーノルド。それだけの回避性能を予期していなかったのか、それとも……。
「奴の狙いは引きつけだ! 防御しろ!」
 アーノルドが叫ぶも、遅い。凄まじい反応速度でベヒーモスの注意を引いた牡丹は、ベヒーモスの放つ砲撃を次々に回避していく。
 防御と攻撃にそのスペックをさいたベヒーモスの命中精度では牡丹に当てることは――。
「っつ!」
 片翼を僅かにかすっていく砲弾。
「敵も雑魚じゃねえってことか。なら……!」
 より回避に集中し、牡丹は次の砲弾を見事に回避する。
 となると……。
「まだ注意をひけていない歩兵が邪魔になる、か。ならば片付けよう」
 ルブラットは懐に手を入れつつも土嚢から飛び出し、なにかをばらまいた。
 歩兵たちに突き刺さったのは暗殺針。通称『コキュートスの楔』というこの暗殺術は、生きながらにして身を焼かれ、同時に氷河の底で溺れ死ぬ錯覚を齎すという。
 歩兵の銃撃にルブラットもまた晒されるが、短剣を繰り出し払うことで銃弾を防御。防ぎきれなかった銃弾の数発が命中し赤い染みをその白衣に作るが、すぐさま土嚢の裏から治癒魔法を展開した美咲が治癒にとりかかる。
 治癒の片手間、懐から取り出す小型爆弾。
「それこそ『昔とった杵柄』っスねこれは」
 放り投げ、伏せる。爆発が歩兵たちを纏めて吹き飛ばし、大きくよろめかせる。
 巻き込む形となったベヒーモスの正面装甲にも、どうやらこいつは効いているらしい。
「なんとかアーノルドに近づきたいんでスけど、歩兵連中をどうにかできませんかねえ!」
「どうにかしたいのか?」
「やってもらえます?」
 汰磨羈と目が合い、汰磨羈はこくりと頷いて見せる。
「少々手荒になる、が……」
 汰磨羈は『グラビティ・ゲート』を発動。妖刀『愛染童子餓慈郎』を抜刀すると、土嚢から飛び出し強烈な斬撃を放った。
 斬撃はそのまま飛んで行き、ブラビティ・ゲートの効果を伴って派手にベヒーモス側へと歩兵たちを吹き飛ばしていく。
 未だフリーのベヒーモスがそれ以上はやらせまいと砲撃を放ってくる――が、汰磨羈は刀を砲弾に叩きつけることで強引にはねのけた。
 魔力の奔流が渦を巻き、汰磨羈の髪を強引になびかせる。
 その調子でぽんぽんと歩兵たちをベヒーモスにぶつけるかの如く集めていく汰磨羈。
 狙いがどこにあるかと言えば、勿論味方の範囲攻撃である。
「今こそ――」
 ブランシュは土嚢からぴょんと飛び出すと、イグニスト補助ブースターを起動。リミッターを解除。心の中に燃え上がる焔。
 急速な反応速度の上昇と共に接近を仕掛けると、『アイコノクラズム』をぶっ放した。
 とんでもない衝撃が歩兵とベヒーモスたちを襲い、多脚戦車型であるベヒーモスをも転倒させる。
「革命の戦士たち、今だ!」
「アミナ、皆、今でしてよ!」
 ブランシュとヴァレーリヤが叫ぶのは同時だった。
 土嚢の裏に隠れていた僧兵たち、そしてアミナが飛び出しベヒーモスへの側面攻撃を開始。
 集中して放たれた射撃がベヒーモスに小爆発を起こさせる。
 そこへ更なる射撃を加えるのがオリーブである。
 クロスボウによる範囲攻撃『掃射撃』によって集まった歩兵もろとも巻き込んで転倒したベヒーモスにトドメの射撃を浴びせていく。
「今回の敵は、生け捕りにする必要もなさそうですね」
「はい。敵は倒せば消える『不毀の軍勢』。遠慮無く倒してください!」
 アミナの言葉にこくりと頷き、オリーブは土嚢に身を隠しながら油断なくクロスボウでの射撃を行うのだった。
(有用性を示し、次の依頼へ繋げる機会に出来れば良かったのですけれど……)
 などと考えつつ、敵の砲弾を予期して隠れる土嚢を変えるオリーブ。直後に、オリーブが隠れていた土嚢がアーノルドの放つロケットランチャーの砲撃によって吹き飛んだ。
「皆気をつけて! 敵は土嚢を破壊できますわよ!」
 ヴァレーリヤは側面に回り込み、ベヒーモスの薄い側面装甲をメイスでもって思い切り殴りつけた。
「どっせえーーい!!!」
 おなじみのかけ声である。
 べっこんとへこんだベヒーモス。そこへ更なるもう一発を叩き込み小爆発を起こさせた。
「トドメですわ!」
 と言いつつもその場から大きく飛び退くヴァレーリヤ。
 なぜならば――。
「ここから先には、行かせない、です」
 ゴウッとブースターの炎によって飛び上がったLilyが、背負っていた二つの棺桶から四連装ガトリング砲を展開。さらにガパッと開いたマイクロミサイルランチャーから一斉にすべての弾をぶっ放した。
「裁きの雨、受けなさいです!」
 ベヒーモスを瞬く間にスクラップに変えていく弾幕の雨。そして爆発の嵐。
 Lilyはそのまま低空飛行状態を続けると、残るベヒーモスめがけ弾幕の雨嵐をお見舞いしていった。


 残り少ないベヒーモスがとった戦法。それは『歩兵を盾にする』である。
 牡丹の影響下からかろうじて逃れた歩兵が飛び出し、砲撃や打撃をベヒーモスの代わりに受ける。その間にベヒーモスは守りの薄い所を、特にヒーラーを狙って砲撃を浴びせていくという戦法だ。
「ひい!?」
 隠れていた土嚢が吹き飛び、己もまた吹き飛んだ美咲が転がる一方で、ブランシュはベヒーモスへと急接近。
「歩兵が邪魔だ。退けられるか」
「まかせろ、得意だ」
 汰磨羈がマナを凝縮させた脚部に力を込め、歩兵の一人を派手に蹴り飛ばした。
 その先にいた歩兵も纏めて『砲撃』範囲にいれ、いっぺんに吹き飛ばしていく。
 こうなると盾を失ったベヒーモスは丸裸だ。超反応のブランシュから逃れることは勿論できない。
「終わりだ。革命の炎に焼き尽くされるがいい」
 剣を取り出し、ソードビットを呼び出すブランシュ。
 連結されたソードビットが大剣の形を成し、振り下ろした斬撃は凄まじい衝撃波を伴ってベヒーモスを打ち砕いた。
「なら、残りは自分が片付けましょう」
 オリーブは土嚢の裏から油断なくクロスボウで射撃を行うと、ロングソードを抜いてベヒーモスへと急接近。比較的弱い側面装甲へと剣を突き刺すと、引き抜き大きく飛び退いた。
 背を向け伏せるオリーブのうしろで大爆発を起こすベヒーモス。
「残りのベヒーモスは自分が片付けます。そちらはアーノルドを」
「了解っ」
 牡丹は軽快に速度を上げると、身を退こうとしていたアーノルドの後方へと回り込んでいた。
「どこ行こうってんだ、おい! 聞こえるだろ、死神の足音がよ!」
「チッ――!」
 ナイフを抜き、牡丹へ斬りかかるアーノルド。
 丸太のような腕から繰り出されるナイフ。サイズも人の首を容易に切り落とせそうなデカいナイフだ。
 牡丹はそれをギリギリのところで回避。
 腕を僅かに斬られ、血を流しながらも焔を燃え上がらせる。
「ワンマンアーミーってだけはあるな、おっさん」
「喧嘩売った先が悪かったスねー。革命派は鉄帝で慈善事業やろうって程度にはキまってる連中なんスよ」
 そう言いながら立ち上がった美咲は手にした拳銃を撃ちまくりながらアーノルドに接近。
 急速な回し蹴りを叩き込み、それをアーノルドはギリギリのタイミングでキャッチ――したかと思ったらその足を軸にした跳び蹴りがコンボで叩き込まれアーノルドの側頭部がぐわんと揺れた。
「この――!」
 握った足を振り回し、美咲を地面に叩きつけるアーノルド。
 素早くライフルを構え美咲の脳天を狙う――が、直後にLilyによるガトリング砲撃がアーノルドを襲った。
 具体的にはアーノルドの持っていたライフルを狙ったのだが、四連装ガトリング砲でそれをやれば人体ごと吹き飛ぶのが道理である。
 アーノルドは砲撃をまともにうけ……しかし、健在であった。
 だが砲撃をぶちかました甲斐はあったようで、アーノルドの手からライフルが吹き飛んでいる。
 ライフルをとりに走ろうとしたところで、ルブラットがその間に割り込んでミゼリコルディアを突きつけた。
「問わずとも答えは分かっているが――それでも最期には訊いておくよ。降伏をする気は?」
「無論、無い!」
 再び抜かれるナイフ。ルブラットとの間で激しいナイフの攻防が繰り広げられた。
 火花が散り、互いの顔をその瞬間ごとに赤く照らす。
 果たして、その攻防に勝利したのは――ルブラットの方であった。
 アーノルドの手首が切りつけられ、それによって弱った持ち手のナイフがルブラットによって跳ね上げられる。
 素手になってもまだ戦おうとするアーノルドはしかして勇敢であったが……。
「よくもアミナ達に手を出してくれましたわね! 悔い改めなさい!!」
 ヴァレーリヤのメイスが派手にアーノルドの顔面を殴りつける。
 よろめいた隙に、ヴァレーリヤとアミナは共に聖句を口にしていた。
「「――『主よ、慈悲深き天の王よ。彼の者を破滅の毒より救い給え。毒の名は激情。毒の名は狂乱。どうか彼の者に一時の安息を。永き眠りのその前に』!」」
 ヴァレーリヤの放つ衝撃とアミナの放つ銃撃が合わさり、アーノルドを派手に吹き飛ばす。
 アーノルドはそのままごろごろと地面を転がった後、僅かに顔をあげ……。
「見事だった……戦士、たちよ……」
 そうとだけ呟き、塵となって消えていったのだった。


 戦場に祈りを捧げるLilyの姿がある。
「どうか、彼らの天への旅路が安らかでありますように」
 仲間たちは各々に戦場を去り、次なる戦場へと旅立っていく。
 そう、戦場はここだけではない。
 この世界に滅びが近づいている。それゆえの、戦いが。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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