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シナリオ詳細

<伝承の旅路>ギヴォス野営地攻略作戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●魔王退治の旅へ
「魔王軍の野営地を叩けるチャンスだと? 乗らない手は無いな」
 三鬼 昴(p3p010722)がノリノリで上腕二頭筋をみなぎらせたのにはワケがある。
 まずは、現状をふりかえってみることにしよう。

 IFの異世界プーレルジール。
 魔王をはじめ四天王は終焉獣が寄生した存在であった。それぞれの名は混沌でも耳にしたことのあるものだったが、大きく違った存在だったのだ。
 それは勇者たちも然り。旅人の直接召喚されないこの世界においては、登場人物こそ同じでも出自や存在が大きく異なっているのである。
 彼ら魔王たちの目的は混沌へと渡ること。
 そして終焉獣である以上はこの世界を踏み台にして混沌へと至り更なる滅びを齎すことだろう。より率直に言えば、滅びのアーク大量流入、はたまた魔王軍の混沌侵攻という異常事態を招いてしまうのだ。
 この世界の魔王軍を叩くと言うことは、それ即ちプーレルジールの平和を守るだけでなく、自分たちの住まう混沌世界をも救うことに繋がるというわけだ。
 魔王たちが混沌側を知っているというのは、何らかのアプローチあってのことだろう。そうでなければ混沌を、ましてやローレットを知っているはずが無いのだから。
 ……と、そんな中での、魔王城への旅路。
 なんでも勇者が『勇者っていうのは冒険に出るらしいよ』と言ったらしい。
 旅路の果ては魔王城サハイェル。
 つまりは魔王退治の旅が、始まったのである。

●ギヴォス野営地
 さて、話を戻そう。
「斥候の話によれば、この先のギヴォスという遺跡が魔王軍の野営地として利用されているというハナシだ」
 情報屋は手書きの地図にマークをつけながらそのように話した。
 場所は『サハイェル砂漠』の一角。古代遺跡が時折姿を見せるこのエリアに、魔王軍の一部隊が集まっているということだ。
「おそらくは『骸騎将』ダルギーズの部隊だろう。スケルトン系のモンスターが多く見られたらしいからな。まあ、スケルトンに野営が必要なのかと言われれば疑問なのだが、戦力を一次的に駐屯しておくのはそこを通りかかった俺たちみたいな連中を叩くには丁度良いんじゃないか?」
「だが、それを逆に私達が見つけてしまった……と」
 昴は拳を作ってマップのマーク部分をごつんと叩いて見せた。
「ここを潰すことができれば、魔王軍による邪魔を減らすことができるな?」
「ああ、勿論。なにせここに戦力を集めてるわけだからな。
 逆に言うが、集まっているだけの戦力はあるから、挑むには注意が必要だ。
 それなりの損耗は覚悟していったほうがいい」
「損耗か……敵の戦力は分かるか?」
 昴が問いかけると、情報屋は渋い顔をした。
「スケルトン系が主だとしか言えないな。なにせ野営地の仲間で入っていくわけにはいかない。以前に遭遇したアシュラスケルトンのような格闘戦にすぐれたタイプや、特殊なアンデッドモンスターなども存在すると考えて挑んだほうがいいだろう」
「なるほど、よくわかった。つまり――『出てきた敵を力尽くで』ということだな? 任せておけ、得意分野だ」
 グッと筋肉をみなぎらせてみせる昴に情報屋は『たしかにな』と笑った。
「ま、アドバンテージはこっちにあるんだ。野営地落としの作戦だって無限にあると思うぜ。潜入は……さすがにできないとは思うが、陽動をたてて裏からこっそり入り込んで戦力を削っていくとか、あー、だが一応ファミリアーを使うのは注意しておけ。バレれば敵が近づいてることも同時にバレることになる。それを織り込み済みってことであれば、使っても問題無いと思うぜ」
 情報屋はそこまで解説するとマップをくるくると巻いて昴たちへと手渡した。
「ちょいとキツイがやり応えはある。野営地落としは戦の醍醐味、だぜ!」

GMコメント

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●シチュエーション
 魔王軍の一部隊が集まっている野営地を発見しました。
 落とし方は無限大。作戦をたてて野営地を攻略し駐屯している部隊を撃滅しましょう!

●フィールド
・ギヴォス遺跡
 石造りの建物が並ぶタイプの古代遺跡です。
 小さな建物がいくつも並んでいる構造から丁度良いので野営地として活用されています。
 そういう構造なこともあって視界を遮る物が多く、魔物たちも一応警備の兵をぐるっと巡回させていますが少数であるようです。
 もしどこかで騒ぎが起これば警備の魔物たちはそちらへと集中していくことでしょう。

●エネミー
 登場するエネミーは不明です。スケルトン系の魔物が目撃されてるため、アンデッド系が主だと思われます。

  • <伝承の旅路>ギヴォス野営地攻略作戦完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月22日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く
トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス
多次元世界 観測端末(p3p010858)
観測中
芍灼(p3p011289)
忍者人形

リプレイ


 双眼鏡を使って遺跡を眺める『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)。
 興味深そうに寄ってくるポチを何気なく撫でてやりながら、潮は双眼鏡からめを話した。
「遺跡の中はモンスターだらけじゃのう。遺跡もこんなことに使われたくないじゃろうに」
 やれやれと首を振る潮。
 その一方で、『芽生え』アルム・カンフローレル(p3p007874)は緊張した面持ちで杖を握りしめていた。
「野営地攻略作戦だって……! ちょっと緊張しちゃうなぁ。
 魔王軍が攻め入ってくる前に戦力を減らせれば有利を取れるだろうし、この地自体もこちらから攻める足がかりになるかも……!
 今ステラ君もサハイェルの遺跡で頑張ってるところだし、ギヴォスの攻略も頑張るぞ……!」
「うむ、その意気じゃ」
 こうしたことに関してはもうベテランの潮は豪快に笑ってぽんとアルムの肩を叩いてやる。
 そんなやりとりをよそに、『愛を知った者よ』グリーフ・ロス(p3p008615)はひとり物思いにふけっていた。
(私は、勇者でも、英雄でもありません。私は私です。
 ですから、この世界やここに生きる人々、ゼロ・クールのためなどと、大きなことは言いません。ただ、魔王イルドゼギアに、彼と一緒にいるだろう、ドクターに会う必要があるから。私は、西へ向かわなければなりません。
 その障害を排せるならば。
 それに、私たちが西へ向かうために手薄になるプーレルジールの安全。少しでもその一助となるならば。
 全てを救うことはできなくても。手の届く範囲の隣人まで目を背けることを、私はしたくありません。
 あの日、ラトラナジュが私たちを守ったように)
 一度だけ目を閉じ、当時の事を思い出すグリーフ。
 この『旅路』は、どうやらグリーフに大きな意味をもたせているらしい。
 そのまた一方の『狂言回し』回言 世界(p3p007315)。
 こちらは野営地の遺跡を眺めながらなにやら考え事をしているようだ。
「野営地の強襲……大なり小なり相手の懐に飛び込む必要があるわけで、余程の奇策でもないかぎりこちらの不利は免れないだろう。
 奇襲が有効な事も多いが、スケルトン系が主力なら敵の動揺を誘うのは難しそうだ。加えて敵の情報が少ないので博奕要素が大きい。
 さてどうするべきか……」
「そのまま飛び込んではだめなのか」
 『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)が考えを促進するように話しかけてみる。世界は首を横に振った。
「だめということはないが……利点を生かさせたくないな」
「相手の利点を殺せばいいということか?」
「そういうことだな」
「ふむ…………」
 頭を使うのは苦手な昴である。いかにも頭の良さそうな世界がアイデアを思いつくまで待ってみようと黙っていると、『観測中』多次元世界 観測端末(p3p010858)がふよふよと空から降りてきた。
 どうやら俯瞰情報を調べてきてくれたららしい。
「今回ハ少数精鋭ニヨル、敵軍事拠点ノ攻略デスネ。
 取ルベキ戦術、戦略ハ多岐ニ渡ルデショウガ……マズハ、ヨリ正確ナ敵側ノ情報ヲ集メ。
 不謹慎カモデスガ、チョットシタ偵察ドローン気分デスネ。
 ドローンアタックハ、流石ニシマセンガ」
「で、状況は?」
 尋ねてみると、観測端末は『二人が潜入に成功したらしい』ということを教えてくれた。
「なるほど……では、予定通り『出てきて貰う』ことにしよう」

「忘れないように強そうな奴には名前をつけとこう。あっちは骨スケ、向こうのはボン太……よし!」
 ひときわ強そうなスケルトンウォリアーに名前を付けて覚えておこうとする『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)。
 その隣で『忍者人形』芍灼(p3p011289)はなんだかうきうきしていた。
「野営地攻略作戦! なんとなく忍者の仕事がありそうな響きだと思っていたでござるよ!
 それはそれとして駐屯している部隊を叩くというのは敵の戦力を削ぐ重要な仕事でござる。張り切って頑張るでござるよ!」
 滅茶苦茶張り切って声をあげているが、これでも小声。なぜならここが敵地のど真ん中だからである。
 作戦は簡単。二人が大きな音を出して敵をおびき寄せ、ダッシュで逃げることでちょっとした罠をしかけた自陣(?)へとおびき寄せるという作戦である。
「通じるのはせいぜい一度か二度。思い切っていきましょう」
「御意!」
 そしてトールは、マイケルくん人形を、芍灼はアシカールパンツァーをそれぞれ握りしめた。


 ギヴォス野営地はモンスターたちにとって貴重な中継地点である。
 基本的にはあちこちに戦力を点在させている魔王軍のモンスター部隊をある程度束ねて運用できるポイントでもあり、場合によっては戦力をどこかに偏らせることも可能。しかし陥落させれば野営地としての機能を失うだけでなく、この付近を通る他のイレギュラーズたちの安全も確保することができるポイントなのだ。
 そんな野営地で、激しい音が鳴り響いた。
「!?」
 モンスターたちはその音に対して敏感に反応。即座に武装し動き出す。
 音の発生源はトールと芍灼だ。ふたりは猛スピードで走り出し、野営地を出て北側のポイントへと急ぐ。
「矢が! 矢がものすごい勢いで!」
「もうすぐです! 耐えて!」
 トールと芍灼があるラインを越えた直後、岩陰に隠れていた潮と世界は同時にロープを引っ張った。
 すぐ後ろに追いすがっていたスケルトンが張られたロープに足を躓かせ、派手に転倒する。
 転倒した仲間につまづき更に転倒という事故が数人単位で起こり、そこへトールと芍灼がついに反撃に出る。
「今です!」
「でござるな!」
 ぴょんと跳躍し身体をスピン。陸上でクイックターンをキメた芍灼は忍者刀を抜いてまだ倒れていないスケルトンへととびかかる。
 咄嗟に剣を翳すスケルトンだが、彼らの野営地にあった地の利はもはやここにはない。
 ただの平野の、ただの野戦だ。芍灼の繰り出す剣がスケルトンの剣をぬらりとよけて相手の腕を切り落とす。
 と同時に、トールは剣を抜いて斬撃を飛ばした。
 灰色の衝撃が走り、転倒したスケルトンたちが纏めて吹き飛んでいく。
「どうでしょうか、全員つり出せたと思いますか?」
「この場合、少数だけに追わせるのは……まあアリと言えばアリか。相手の指揮官がどう出るかだな」
 世界が腕組みをすると、向こうから更なるスケルトンの集団が走ってくるのが見えた。
「地の利を捨てて総出で来るつもりか。こちらには好都合だな」
「骨スケとボン太が来ます! 気を付けてください、たぶん手強いです!」
「誰が来るって?」
 世界はスケルトンウォリアーの接近を受けて軽く散開。添術で作り出した武具をスケルトンウォリアーへと発射する。
 ただの幻影。ダメージなどないとわかって突っ込んでくるスケルトンウォリアー――の身体がガクンと傾き、激しい炎と毒によって苛まれる。
 飛ばしたのはただの幻術ではない。幻術に込めた呪念である。
 それをまともにくらったのだ。ただではすむまい。
「罠は品切れだ。というよりこれ以上は警戒される。こちらから打って出るぞ」
 世界が更なる攻撃を仕掛けるその横で、潮はスケルトンの矢をくらいまくってヒーヒーいっていた芍灼たちの治療にあたっていた。
「よし、こんなもんで充分じゃろう。そろそろこっちからも攻撃せんとな」
 潮は腕まくりをすると横薙ぎの手刀を繰り出した。
 サメの幻影が群れを成して飛んで行き、スケルトンウォリアーたちへと食らいつく。
 集団に対する攻撃と乱戦対策ということであればこちらにかなりの分がある。敵味方入り交じってしまえば、むしろ一方的に範囲攻撃をたたき込めるのだ。
 スケルトンアーチャーが弓を構え、矢を次々に発射してくる。
 防御の弱い仲間を狙ってのことだろうが……こちらにはそれへの備えもバッチリ組まれている。
 具体的にはグリーフが間に割り込んで矢をパシリとキャッチ。更に飛んでくる矢を自らの身体で受け止める。
 いや、よくみれば身体の表面に展開されたルーンシールドがダメージを無効化し、矢をぽろぽろと落としているのが見えた。
「混沌世界へと渡航するのに、イレギュラーズが必要なのでしょう? さあ」
 狙いなさいとばかりに自らの存在感をアピールするグリーフ。それに対してスケルトンたちは近接武器へと持ち替えて襲いかかっていく。
 ルーンシールドとこの【怒り】付与の相性はばっちりのようだ。
「回復はもう済んでるし、俺も攻撃に移ろうかな」
 グリーフに敵を集めさせ、密集した所にむけてアルムは杖を振り込んだ。
 巨大な魔方陣が出現し、光の弾が放物線を描いて飛ぶ。
 着弾したと同時に、光の爆発が敵だけを選んで焼いていった。
「このまま撃ち続けてればいいなら楽かも……ってうわ!」
 そうして閃光魔術を連発していると、それに気付いたスケルトンウォリアーがアルムめがけて飛びかかり剣を繰り出してきた。
 直接狙われれば流石につらい。
 咄嗟に杖を翳して剣の攻撃を受け止めると、じぃんと手にしびれが走る。
 直後、スケルトンウォリアーの顔面にラリアットが炸裂した。
 そう、昴の攻撃が始まったのである。
 防御をまるきり捨てた昴の攻撃は苛烈も苛烈。スケルトンウォリアーの首をラリアットで吹き飛ばしたかと思うと、そのままダブルラリアットの動きでスケルトンたちを蹴散らしていく。
 こういうとき、防御役と組んでおくのが常識だ。
 スケルトンが反撃の剣を繰り出した瞬間、すぐそばに張り付いていた観測端末がその無数の触手でガシリと剣をつかみ取った。
 防御と回復はお任せ下さいとばかりに相手をがちがちに拘束すると、そこへ昴の膝蹴りが炸裂。スケルトンの背骨がへし折られる。
 崩れ落ちたスケルトンを一度見下ろして、観測端末は触手をビウッと全方向へと向けた。
「放電ヲ開始シマス」
 あちこちへと放つ雷撃の魔術。叩き込まれた雷撃がスケルトンの集団を焼き焦がしていく。

 ばたばたと倒れていくスケルトンたち。
 全てのスケルトンを倒し終えた一行はこれで終わりかと周囲を見回し……そして、ズズンという地鳴りに身を固くした。
「強敵が、どうやら残っていたらしいな」
 顔を上げる昴。野営地の真ん中から、あまりにも巨大なスケルトン――ギガスケルトンが立ち上がった。


 ギガスケルトン。全長10mはあろうかという巨体はこちらを悠然と見下ろし、大きな一歩をずしんずしんと響かせて歩いてくる。巨大さゆえに動きが鈍くあってくれれば嬉しいが、そうではないことを感覚が教えてくれる。
 なぜなら、ギガスケルトンの放つ最初の一撃はダッシュからの強烈なシュートだったからだ。

 仲間を庇って前に出る。これをやっておかなかったら、今頃酷い被害になっていただろう。
 グリーフはギガスケルトンに蹴飛ばされながらそう実感した。
 派手に吹き飛び、地面をバウンドする。
 サッカーボールと違うのは、地面を掴んでブレーキをかけることでバウンドを軽減できることだ。
「とんでもないものが隠れていたものですね。野営地と聞いていましたが……」
「おそらくあれを『置いておく』場所だったんだろうね。コンパクトに畳んでたのかな? それとも地下室でもあったとか」
 アルムが治癒魔法を飛ばしてくれる。グリーフは結界を割られたと同時に二段階のインパクトを受けていたので、ここでの回復はかなり助かる。再びルーンシールドを張り直し、ギガスケルトンへと走った。
「弱点はやはり足……でしょうか?」
「かもね。とりあえず撃ってみようか!」
 アルムは杖を翳し、魔方陣を小さく鋭いものへと変更。バシュンという衝撃の音と共に強烈な攻撃魔法がギガスケルトンの足を削った。
 がくりと身体を傾かせるギガスケルトン。
「やっぱり! 足だ、足を狙って!」
 アルムが叫ぶと、昴が小さく『わかった』と返してきた。
 鍛え上げられた筋肉で走り、飛び、そして蹴りを繰り出す。
 ギガスケルトンのすねにあたる部分へと繰り出されたその蹴りは、確かにギガスケルトンの巨大な骨にヒビをいれた。
「もう一発だ」
 蹴りを打ち込んだ姿勢から身体を捻り、拳を思い切り叩き込む昴。
 それによってギガスケルトンの足は完全にへし折れた。
 がくりとバランスを崩し、転倒するギガスケルトン。
 だがその巨大は健在であるようで、腕によって昴をなぎ払いにかかる。素早く防御に入る観測端末。
 昴を突き飛ばして代わりに攻撃を受けると、観測端末は触手を靡かせながら派手に吹き飛んでいった。
 が、それも途中でぴたりととまる。飛行能力によって空中でブレーキをかけていたのだ。
 カッと見開いた目がギガスケルトンを見据え、魔術を放出。
 激しい雷撃が鋭い槍のような形状となってギガスケルトンへと叩き込まれた。
「今が攻めどきじゃ、ガンガン行くぞ!」
 潮が手刀の構えをとる。
 通称「サメ手刀」。彼が放つ手刀からはサメの幻影が飛び出し、相手に食らいつくのだ。
 今回でてきたサメはラッキーなことにレインボー鮫。振り回されるギガスケルトンの腕に食らいつくと、その骨をクリティカルに削り取っていった。
 ゴオオオオ、とギガスケルトンがうなりを上げる。
「骨の身体でも叫べるんじゃのう」
 などと暢気なことを考えつつ更に第二のサメ手刀。
 その攻撃に被せる形で、世界は『ネイリング・ディザスター』の術式を発動させた。
 手の中に作り出すナイフの幻影。投げるのに適した、カーブした形状のナイフだ。
 それを世界は大きく振りかぶると、ギガスケルトンめがけて思い切り投擲した。
 カツン――とぶつかったかと思うと幻術は解け、激しい呪力の炎となって燃え上がる。
 ギガスケルトンの腕を呪力の炎が包み込み、それを振り払おうとギガスケルトンは暴れた。
「そう簡単には解けないぞ。それに……」
 解けた頃にはもう終わりだ。
 芍灼とトールが、腕をついてなんとか体勢を維持しようとしているギガスケルトンへと走り出す。
 二人を叩き潰そうと拳を振り下ろすギガスケルトンだが、それを跳躍によって回避した二人はギガスケルトンの腕へと飛び乗った。
「行きますよ!」
「はい!」
 二人揃ってギガスケルトンの腕を駆け上がっていき、その顔面めがけて忍者刀と灰色の剣が繰り出された。
 交差した斬撃はギガスケルトンの顔面を破壊――粉砕した。
「ガッ――」
 最後の叫びをあげたギガスケルトンは仰向けに転倒し、そして……ついに動かなくなったのだった。

「野営地には……もう敵は残っていないでしょうか」
「見たところは大丈夫そうですが、一応様子を見ておいたほうがよいでござるな」
 トールと芍灼はすたっと地面に着地してから、顔を見合わせて『また潜入を?』とという顔をする。
「皆デ行キマショウ」
 観測端末がふわりと浮かび上がり、触手をうねうねさせて自分も行くぞとアピールする。
「まあ、そうだな……ここまで戦力を削っておいてまだ強敵が残っているということもあるまい」
 世界がそう言うと、なら決まりだなと昴が歩き出す。
 グリーフとアルムも顔を見合わせ、頷いて歩き出した。
「さて……これで、このあたりも少しは安全になったかのう」
 潮はやれやれと首を振り、そして仲間に続いて歩き出したのだった。

成否

成功

MVP

トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス

状態異常

なし

あとがき

 ――ギヴォス野営地の掃討に成功しました!

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