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シナリオ詳細

<神の門>平和だったあの頃のために

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●私は今、悪鬼となる
 『レテの回廊』の一角。イレギュラーズたちを待ち構えるように立ちはだかるのは、遂行者アッバース……またの名を、クローム。
 彼女は祈るように両手を合わせ、遠い遠い過去を思っていた。
 天義心臓教会に属していた彼女たちは、あるときは幸せだった。
 互いを支え合い、家族のように過ごしていた。
 それが壊れてしまったのは、誰のせいなのだろうか。
 ……いや、今更責任の所在を求めたところで何にもならない。
 なにしろあの日の穏やかな日常が戻るなら、意味の無いことなのだから。
「アッバース殿。準備は宜しいか?」
 影の兵団を集め、馬上より見つめる白騎士ボーツラフ。ルストの権能によって作られた預言の騎士である。
「ええ、問題ありませんよ」
 うっすらと目を開け、微笑みを向けるアッバース。
「ただ少し、なくしたもののことを考えていただけ」
 そしていずれ、取り戻せるであろうもののことを。

●前進という名の逃避
 探偵スモーキーと騎士アンバーはある目的のために同じ場所へと集まっていた。
「ローレットの皆さんが攫われたと……!?」
 アンバーの悲痛さすら感じる叫びに、スモーキーが小さく手を振る。
「一部は離反、一部はまだ奴らの根城に残ってる。勿論タダで返してくれるわけはねえよな」
 きっかけは預言者ツロによるイレギュラーズへの直接オファー。その結果二人のイレギュラーズは離反し、幾人かは神の国に残ることとなった。
 『神の国』の『聖女の薔薇庭園』で身柄は安全に保証されているとはいうが、無事に返してくれるなどという希望的観測はもてない。いずれ取り込まれるか、あるいは……。
「すぐにでも、助けに、いかなくては……!」
 アンバーと同じように身を乗り出したのはピリア(p3p010939)だった。
 それに応じるようにアーマデル・アル・アマル(p3p008599)もこくりと頷く。
「状況は最悪だ。時間をかければかけるほど悪くなっていく。すぐにでも出撃するべきだろう。それに……」
「それに、ここまで深部に迫ることができれば冠位傲慢が顔を出すチャンスかもしれない。だろ?」
 冬越 弾正(p3p007105)がにやりと笑った。
 そう、この作戦の成功は今現在無理にも招かれたイレギュラーズの安全なる帰還を求めるためのものであると同時に、ルスト・シファーを表に引き摺り出すための作戦にもなりえるのだ。
「スモーキー」
「ああ、調べてある。審判の門、レテの回廊は刻印を持たぬ者を焼き尽くす幻影竜の飛び交う回廊だ。ここを通りぬけることは並の連中にゃ無理だろう。だが、俺たち精鋭なら話は違ってくる」
 スモーキーがアンバーやピリア、アーマデルや弾正たちを見やる。
「ここで神の国への道を確かなものにすれば、奴が……ルスト・シファーを表舞台に引きずり出せるってわけだ」
「けれど、勿論『彼女』の邪魔も入る」
 アーマデルの言葉にスモーキーがうっと唸る。
 彼女、つまりは遂行者アッバースだ。
 刻印をもつ彼女は正しき歴史のために動き、と同時に星灯聖典のもたらす「失ったものを取り戻す」という希望のために動いている。
 当然こちらの動きも察知し、迎撃に出てくるだろう。
「それでも、私達は戦わなければなりません。このまま、ルスト派の思うようにさせ続けるわけにはいかないのですから」
 アンバーの言葉に頷くスモーキーたち。
「なら、作戦決行だ。クロームさん……いや、アッバースたちを倒し、道をこじ開ける!」

GMコメント

●シチュエーション
 神の国へと閉ざされたローレットの仲間たちを助け出すべく、そしてルストを表舞台に引きずり出すべく決行された『レテの回廊』への殴り込み。
 それは同時に、スモーキーとクロームの因縁の対決を呼ぶものでもありました。

●エネミー
・白騎士ドンポルド
 特に高い能力をもった『予言の騎士』です。
 高い戦闘能力に加えて、周囲の味方にバフをもたらす能力を備えています。

・影の兵団×多数
 武装した影の天使たちです。
 特に白騎士による強化を受けているほか、武装も若干強化が成されています。
 頑丈な鎧に身を包み、武器も上等なものに代わっているようです。

・アッバース(クローム)
 聖痕をもつ遂行者アッバースです。星灯聖典から聖骸布を下賜されており高い戦闘能力を秘めています。
 一次的にEXAを凄まじく上昇させる能力が過去に確認されています。


●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <神の門>平和だったあの頃のために完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月25日 21時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
冬越 弾正(p3p007105)
終音
アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)
Le Chasseur.
一条 夢心地(p3p008344)
殿
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ピリア(p3p010939)
欠けない月

リプレイ

●正しき歴史とは
 神の国、レテの回廊。
 刻印なきものは焼き払われるというこの地を穿つため、イレギュラーズたちは突き進む。
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は細剣メロディア・コンダクターを握りしめ、前をじっと見据えていた。
「星灯聖典やルスト陣営の言う事は、狭い範囲ではきっと正しいのだろう。
 でもそれは周りを顧みなさすぎる考え方なんだ。
 周りを破滅させ、果てに自分が破滅に至る悪循環だ。
 だから、止めなくてはいけない」
 ああ、と蛇腹剣を手に取る『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)。
「彼らは「やり直したい」
 俺達は「やり直すべきではない」
 何故分かってくれない、と俺達が思うように、彼らも同じ事を思っているだろうさ。
 譲れないからこそ、退けない」
 止めることは、もうできない。戦うことしか、できないのだ。
 スモーキーは咥えていたたばこを携帯灰皿に突っ込むと、チッと舌打ちをした。
「やっぱり、戦う以外で止める方法はねえか……」
「ああ。それ以外にはない」
 ちらりと弾正をみやる。
(俺には迷いがあったのかもしれない。
 スモーキー殿の大切な人を殺してしまうかもしれない。その躊躇いがツメの甘さを露呈させてしまった。
 アーマデルが俺を庇って、あのまま死んでしまっていたら――)
 『君を全肯定』冬越 弾正(p3p007105)はぎゅっと拳を握りしめた。
「クローム殿……いや、アッバース!
 俺はもう迷わない。大切な人達と、平和な未来を切り拓く為に!」

 銀の鈴を振るような声で、『Le Chasseur.』アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)は弓を手に取った。
「此処で立ちはだかる相手としては、中々に手厳しい方が出てきてしまいましたね」
 弓はカシャッと音を立てて展開し、弓弦を強く張る。
「それでも構わぬ。殴り込みじゃ」
 『殿』一条 夢心地(p3p008344)は己の愛刀シン・東村山と長介に手をかけた。
 すらりと抜き放つ刀身に、己の顔が映り込む。
 一方で、『ポロキメン』ゴリョウ・クートン(p3p002081)はぽんと腹を叩いて豪快に笑って見せた。
「ぶはははッ、さぁ道を作りに行くとしますかねぇ!」
 どこからともなく現れた駆動泉鎧『牡丹・御神酒』が瞬間的に装着され、四海腕『八方祭』が、火焔盾『炎蕪焚』がそれぞれ彼の両腕へと装着されていく。
 準備は万端。あとはもう、進むだけだ。

「「神の国」とはね。
 学者の端くれとしてはこの場所を心ゆくまで調査したい所だけど、まずは仲間の救出だ。
 さて、手早く済ませるとしようか」
 相変わらずマイペースな『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)。
 その一方で、『欠けない月』ピリア(p3p010939)はアンバーとぎゅっとてを握りあっていた。
「さらわれちゃったひとたち、だいじょうぶかな……?」
「少なくとも、今のところは大丈夫……だと信じたいですね。『先輩方』も」
「みんな、ケガしたりくるしいおもいしないように、がんばってたすけにいくの! ね、アンバーさん!」
「はい、ピリアさん! 必ず助けにいきましょう!」
 手を取り合い、進む。
 道を切り開くそのために。


「ここより先は許しある者のみが立ち入ることのできる園である。戻られよ。さもなくば――」
 白騎士ドンポルドは剣を抜いて馬上より突きつけてきた。
 見回すイレギュラーズたちの表情。その全てを見て、こくりと頷く。
「去らんか。ならば、ここで死ぬがよい」
 白騎士の命令を受け、影の兵団が突撃を開始する。
 が、それに先手を打ったのはイズマ――厳密にいえばイズマの連鎖行動によって飛び出したゴリョウであった。
「さぁ来な陰気な鳥ども! この豚を仕留めれるもんならなぁ!」
「「――!?」」
 突如として影の兵団の隊列の中に突っ込んできたゴリョウが『招惹誘導』を発動。自らに注意を引き寄せる。
 おもわず注意を引き寄せされた影の兵団は防御姿勢のゴリョウめがけて剣や槍を叩きつけにかかった。
 斧の一撃を展開した盾によって受け止めるゴリョウ。
「ぶははっ! この程度じゃあ料理もできねえぜ。今だ、撃ち込め!」
 ゴリョウの声がけに応えたのはピリアやアンバーたちだ。
「おめめぐーるぐる! ピリアたちじゃなくて、じぶんのことみてて?」
 ワールドエンド・ルナティックを発動。ゴリョウを中心とした兵団はマトモに攻撃を食らって自らの首を絞め始める。
 そうして弱った所に、アンバーの剣が炸裂した。
 影の兵士を一体切り伏せ、さあ次にと狙いをつけたところでゴリョウの誘引にかかっていなかった兵士がアンバーへと襲いかかった。
「アンバーさん!」
「おっと」
 突如としてゼフィラの『聖王封魔』が発動剣に纏わせていた闇の力が失われ、びくりと身体を痙攣させる影の兵士。
「助かりました!」
「いやいや。手が空いていたものでね」
 ゼフィラが手をぱたぱたと振ってみせる。
 その間に白騎士を――と弾正が動き出したところで、彼の足元に逆ハート型の魔術砲撃が撃ち込まれた。
 咄嗟に飛び退き回避する弾正たち。
「この攻撃は……アッバース!」
 宙にふわりと浮いた状態でこちらに錫杖を突きつけるアッバース。
 その左右からは影の兵士たちが走り抜け、弾正へと遅いかかる。
「ドンポルドさんをそうそう落とされるわけにはいかないのですよ」
「だろうな」
 アーマデルが蛇銃剣アルファルドを乱射。いや、器用に弾正だけをよけて影の兵士だけに命中させている。
「そちらは白騎士を落とされればすぐにカタがつく。逆にこちらは白騎士を落とさなければじり貧だ。守るだろうとは思っていた。だが……」
「それ以上好きにはさせない、クロームさん!」
 スモーキーが煙を吹き出すと、アッバースの身体を囲みその身体を拘束した。
「これは……!」
「アンタに使うのは初めてだったな。本当は、こんなことはしたくなかったんだ。話し合って解決できれば、それがよかった。けど。そうはならなかった……!」
 今だ、行け! そう叫ぶ弾正たちに応えてイズマたちが白騎士に迫る。
「ぬう!」
 馬上から飛び降り、剣を防御の姿勢に構える白騎士ドンポルド。
 イズマの斬撃がまず白騎士をとらえた。
 細剣メロディア・コンダクターによって撃ち込まれる斬撃をドンポルドはすべて剣で受け止める。キキキンと鳴るはずのその音はまるで豪華なピアノ演奏のようなメロディに変わっていた。
 至近距離で斬り合いに持ち込むイズマ。
 が、それだけではない。
「白騎士相手となればやはり……この殿騎士の出番になるじゃろ。
 殿騎士は顔が白いので白騎士の要素も含まれておる。実質白騎士の上位互換じゃ」
 などといいながら背後に回り込んだ夢心地が長介の刀身でもって白騎士の背を切りつけた。
「ぐおお……!」
 鎧を通しても防げないほどの衝撃を受け、飛び退く白騎士。そこへ夢心地は指を額に当てての夢心地ビームを発射した。
 剣を翳しビームを防御する白騎士。
 バチバチと激しい火花が散り、防御しきれない衝撃によって白騎士の身体が徐々に押し込まれていく。
 そこへ飛び込んだのは――アッシュだった。
「少なくとも、此の場にいるのは怪異ばかり
 其れなら……今回はもう、加減は必要ありませんね?」
 『恩讐を灼き祓え、破邪の赫雷(マイ・スウィート・リベンジ)』――深層に秘された意志の燈火が赫々とした雷へ変わり、銀の剣が熱と光を纏って振るわれる。
 剣は白騎士の胴体へと突き刺さり、そして……その身体を貫いた。
「おのれ、ルスト様に刃向かう……傲慢なる……もの、ども……」
 ドンポルドはそれだけ言い残し、塵のように崩れて消えていった。

●兵団の意地
 肝心の白騎士を失ったとて、兵団が消えてなくなるわけではない。
 影の兵団はゴリョウと弾正に多少なりとも意識を奪われてこそいるが、それでもとばかりにゴリョウへの集中攻撃をしかけていった。
「あとはこいつらを片付けるだけだな!」
 闇を纏った剣を繰り出し、それをゴリョウが籠手によって受け流す。
 四方八方から撃ち込まれる攻撃に、しかし丸くなって防御するゴリョウは耐え忍んでいる。
「そろそろ回復が必要な頃合いかな?」
 そう呟き、ゼフィラはゴリョウの治癒を開始。
 その間に弾正とアーマデルそしてスモーキーは集まってきた影の兵団に対して反撃に出ていた。
 スモーキーが煙を吹いて兵団の動きを鈍らせると、アーマデルが得意のコンボを発動させて影の兵団を一人また一人と切り捨てていく。
「数が多い。手早く終わらせるぞ」
 アーマデルは蛇銃剣アルファルドにコイン状の弾をセットすると、群がる兵団めがけてぶっ放した。
 散弾銃のように散らばり、回転して飛ぶコイン状の弾丸。
 その衝撃に激しくのけぞったところで、弾正は平蜘蛛に銃のようなパーツを接続。兵団めがけて撃ちまくると光の弾が次々と撃ち出されて兵団の鎧や兜を撃ち抜いていった。
「任せろ、纏めて叩く!」
「またおめめぐるぐるにするの!」
 ピリアがワールドエンド・ルナティックを再発動。
 それを喰らった兵団がよろめき、或いは自傷行為を始める中、アンバーが剣を握って斬りかかっていく。
 一人また一人と兵団を打ち破るその姿は、まさに成長した騎士そのものといった所だろう。
 アッシュはそれならばと展開していた弓を天に向けて撃ち放つ。一発だけだった矢は天空で枝分かれし、大量の矢となって兵団へと降り注いだ。
 矢を受けた兵団が次々に膝をつき動きを鈍らせるのを確認すると、そこへ更に夢心地が突進。
「熱き想いが迸る――夢心地ビームじゃ!」
 刀にエネルギーを溜め込み、突きの姿勢から放つビームは兵団の鎧を貫き、そしたまたもう一人を貫き、そのまた後方の兵たちも貫いていく。
 そうして連鎖的に破壊したところで、イズマがとどめとばかりに『響奏撃・波』を発動。
「本来ならもっと早く撃ち込むはずだったんだが――これもこれで、だな!」
 広範囲を『叩く』この技は激しいメロディを奏でながらも兵団を一度に吹き飛ばし、回廊の壁へと激突させていく。

●遂行者アッバース
「ドンポルドさん……」
 アッバースは塵となって消えた白騎士を見やり、そしてはあとため息をついた。
 イズマやアッシュたちの攻撃によって影の兵団がみるみるうちに殲滅されていく。白騎士の加護がなければこんなものということだろうか。
「次はそなたじゃ」
 夢心地が夢心地ビームを発射。
 剣に力を込め振り抜くことで放たれたそれと、アッバースは魔術障壁によってギリギリもちこたえた。
 これでもかなりの聖骸布を下賜され強化された遂行者だ。並の攻撃では倒れまい。
 ならばと次の攻撃に移ろうとしたところで、アッバースの背後に巨大な時計が出現した。
「あれは――!」
「ここだ皆の衆ッ!」
 反応と対応は早かった。ゴリョウの叫びに応じて仲間たちは一斉に彼の回りへと集まり、そしてゴリョウは『アトラスの守護』を発動。
 超高速で動くアッバースの魔術砲撃の全てを自分の身で受け止めたのだった。
 その間にもゼフィラとピリアが全力でゴリョウの体力を回復。
「事前情報があれば対策はある程度立てられるさ。今回は仲間の働きに感謝だね」
「ピリアもいっぱいケガして、誰かをまもるのってすごいたいへんなのわかったの……だから、まもろうとするひとがたおれないように、ピリアもがんばってささえたいの!」
 そして、猛攻が止む。
「……っつう!」
 倒しきれなかったことに、あるいはゴリョウ一人しか相手にできなかったことに悔しげな表情を浮かべるアッバース。
 あのおっとりとした女性の姿からは想像しがたい表情の変化に、これがどれほど相手にとってキツイことだったのかがわかる。
「今度はこちらの番です!」
 アンバーの剣が星のきらめきのごとく走り、アッバースへと斬りかかる。
 と同時に、イズマの剣もまた素早く走った。
「二発目は打たせない――!」
 ドドドッと強烈な連続の突きが繰り出され、撃ち込まれた不思議な力によってアッバースの身体が封殺される。
「失ったものを取り戻したい
 其のはじまりは、ささやかで切実なものであったのかもしれません
 仮に戻れたとして……其の手を多くの血に染めたという事実は、
 決して無かったことにはなりませんよ」
 封殺が成功してしまえばこちらのものだ。
 アッシュは再びマイ・スウィート・リベンジを発動させると光を纏った剣でもってアッバースへと斬りかかる。
 その剣はアッバースの張った魔導障壁を切裂き、そのまま身体を派手に切りつける。血しぶきが上がり、アッバースは痛みに呻いた。
 ならば、ここまでだ。
 スモーキーが再び煙を吐き出し、ダメ押しとばかりにアッバースを拘束しにかかる。
 弾正は光の剣を、アーマデルは蛇腹剣をそれぞれ構えて飛びかかった。
「この一撃はスモーキー殿の……貴方を想う「今」を生きる人達からの一撃だ!」
 交差した斬撃が、アッバースを斬り付ける。
「う、あああっ……!」
 痛みに声を上げるアッバース。
 そして――空から飛んできた幻影竜が彼女を掴んで飛び去っていった。
「なっ……!」
 彼女の姿はみるみる見えなくなり、消えてしまう。
 追撃をしかけようと構えていたアーマデルはその動きをとめ、剣を下ろす。
「連中にとって、まだ彼女には利用価値がある……ということか」
「かも、しれないな」
 だが、いまはそれでもいい。
 まずは仲間たちを助け出すべく、進むのだ。

「さて、仲間たちはまだ無事かねえ」
 ゴリョウが心配そうに呟くと。イズマが大丈夫さと答えた。
「あくまで相手の招待。呼びつけておいてすぐに殺すということはないだろう。……ないと信じたいが」
「いずれにせよ、興味深い事態なのは変わらないかな」
 と、ゼフィラ。
 弾正はそれどころではないとばかりに回廊を突き進んでいく。
「アーマデル、スモーキー殿。連中はまだ俺たちの仲間に手出しをしていないと思うか?」
「さあ、な……しかし攫うということは少なくとも害すること事態が目的ではない筈だ」
「ああ、確かに。攫っておいてすぐに殺したんじゃ、先に殺しておけってハナシになる。ある程度時間をかけてなにかするつもりだろうさ」
「だったら、助けに行かなくちゃ! 先輩方だっているんです!」
「うん。ピリアも、がんばるの、むん!」
 攫われた仲間たちの中には、深く世話になった者もいる。アンバーが『先輩方』と呼ぶ者も。
 それを無碍にはできまい。
 一方でアッシュと夢心地は、あまりよい表情はしていなかった。
 というより表情自体が動いていないのだが、淡々と……しかし切実に、この状況が『何かしら悪い方向』に向かってもいることを察していた。
「オファーを受けて帰ってきた人もいれば、帰らなかった人もいる。そして二人の離反者……」
「コトは簡単には収まらぬ。それだけは、確かじゃな」

成否

成功

MVP

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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