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シナリオ詳細

<クロトの災禍>im Namen des Starksten

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●humanoides Monster
 横っ飛びになりながら銀の大口径リボルバーを連射する少女。その名はパドラ。
 彼女の銃弾の先にあるのは、青い鎧を纏った人型の怪物である。
 怪物は剣を抜刀。迫る銃弾をその剣でもってガキンと払いのけると、そのままパドラへと迫った。
「堅すぎ。弾が通らない」
 パドラは舌打ちをして転がると。腰から抜いた短剣で相手の剣を受け止める。今度は重い。しかしそらせないほどでは、ない。
 歯を食いしばったパドラは相手の剣をそらし隙を作ると、大きく距離をとりながらピストルをリロードした。放り出された空薬莢が地面を跳ねる。
 直後、パドラの腕へ紅蓮の矢が突き刺さった。
「――ッ! こっちはすごい命中精度」
 見れば、赤い鎧の怪物がこちらに弓を構えている。
 パドラは痛みをこらえながらも鞄からボール状の物体を取り出し放り投げる。
 カッと周囲に閃光を放ったそれは相手の目をくらませ、その間に……パドラはなんとか怪物たちから逃げ切ることに成功したのだった。

●滅びの足音
「そいつはおそらく、『不毀の軍勢』ってやつだな……」
 情報屋の言葉に、腕に包帯を巻きながらパドラは小さく首をかしげた。
「聞いたことない敵だね。あれは終焉獣じゃないの?」
「そいつらとは、ちょっと別……だな」

 コトの始まりは『終焉の監視者(クォ・ヴァディス)』がラサ内へと終焉獣が入り込んできたことを知らせたのが始まりであった。
 終焉獣の出現。それはイレギュラーズの誰もが聞いていた『世界がいずれ滅ぶ』とういう超終局型確定未来、通称<D>の存在が近づいていることを思わせるものだった。
 事実、プーレルジールという『滅びかけた世界』には世界中に終焉獣が現れていたのだから。
「こいつらは並の傭兵じゃ対処できない。だから……」
 パドラの肩越しに視線をやる情報屋。
 振り返ったパドラは、その表情をぱっと輝かせた。
 そこに、あなたが現れたためである。

「いいかい旦那。これはプリオという商人の護衛任務だが、その道中に『不毀の軍勢』と終焉獣が現れ立ち塞がっているという情報がある。
 パドラが一人で様子を見に行ったが、彼女一人だけじゃあ太刀打ちできないほどの戦力だったらしい」
 まず終焉獣。こちらは『不毀の軍勢』をサポートするかのように配置されたオオカミ型の終焉獣たちだ。これはパドラでも対処が可能な程度の戦闘力で、力を合わせて戦えばそう苦戦はしないだろう。
 だが注意すべきはこの『不毀の軍勢』たちだ。
「こいつは『全剣王』と呼ばれる何者かに付き従っている、強力な人型の怪物の軍勢だ。強さに対して強い拘りがあるらしく、パドラからの情報によれば青鎧は防御力に、赤鎧は命中精度に優れているということだった」
「鎧以外の……首から上はよくわからなかった。まるで陽炎みたいに揺らめいていて、正体が分からない感じ。凄く不気味だった」
 パドラが腕の包帯をそっと撫でながら言うと、情報屋はこくりと頷く。
「人型であるという共通点以外は結構バラバラな外見をしているらしいからな。少なくとも、怪物であることは間違いないだろう」
「今回はちょっとだけ厳しい戦いになるかもしれない。けど、私とアナタなら」
 きっとやれる。一緒にやろう。
 パドラはそう言葉にするかのように、あなたに拳を突き出してきたのだった。

GMコメント

●シチュエーション
 商人プリオの護衛任務のため、道中を塞いでいる『不毀の軍勢』と終焉獣の集団を撃破しましょう。

●フィールド
 赤色商路(レッドライン)と呼ばれる危険な谷のある地帯です。
 高低差がそこそこにありますが、戦いで不利になるほどのものではないでしょう。
 一般人もいないため、そこは安心して戦うことができます。

●エネミーデータ
・『不毀の軍勢』青鎧
 防御に優れた人型の怪物です。剣を武器に戦い、こちらのヘイトを稼ぐような動きもするでしょう。

・『不毀の軍勢』赤鎧
 命中精度に優れた怪物です。弓矢を武器に戦い、こちらの戦術の要になるような人物を狙い撃ちにしてくる可能性があります。

・終焉獣オオカミ型
 黒き闇に覆われたオオカミのような姿をした終焉獣たちです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <クロトの災禍>im Namen des Starksten完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年09月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
郷田 京(p3p009529)
ハイテンションガール
クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)
葡萄の沼の探求者

サポートNPC一覧(1人)

パドラ(p3n000322)

リプレイ

●商人プリオの災難と幸運
 ラサの商人プリオはごく一般的な商人だ。国家間を行き来しては需要のある品をモノに問わず取引する。ここでいうモノに問わずとは良識や常識の範囲内という意味だが。
 そんな彼にとって、大きな遠回りを強いられるモンスターの出現は損害以外の何物でも無く、多額の護衛を雇ってでも突破したい案件であった。
 幸運なことは、そうして雇った護衛がローレット・イレギュラーズであったことである。

「目につく端から襲うのではなく、意図的に商人……物流を潰しに来るとはね。ただの化物の動きじゃない」
 そう呟くのはラサでも名の知れた一族に所属する『灼けつく太陽』ラダ・ジグリ(p3p000271)。
「全剣王だ不毀の軍勢だというが、こりゃ普通に戦争しかけてきてるな。 少々ゲリラじみているけども」
「戦争……なんですかね」
「橋があったら落としてるところだな」
 『夜鏡』水月・鏡禍(p3p008354)の問いかけに、ラダは肩をすくめて答える。
「不毀の軍勢だなんて、大層な存在がまたなんで道中に……と思っていましたけど、そういう意図的な狙いがあったんですね。他にももっと情報を持ち帰れないでしょうか」
「あんまり功を焦ると取り逃すよ。今回は倒す事に集中しよ」
 そう呼びかけてきたのはパドラだった。そうですね、と苦笑する鏡禍。
「それにしても、またパドラさんとお仕事ができて嬉しいです」
「私も。来てくれて嬉しかった。来てくれるって信じてた……って言った方が正しいかな」
「パドラさん……」
 パドラはフッと笑い、鏡禍とこつんと拳をぶつけ合った。
「ところで、パドラさん。お怪我のほうは大丈夫なんですか?」
 『おいしいで満たされて』ニル(p3p009185)が心配そうに尋ねてくる。
「うん、もう大丈夫。心配してくれてるんだね」
 ありがと、といってウィンクするパドラ。ニルは安心したように頷いてみせた。
「それにしても――史上最強の皇帝の、配下……。
 でも。本当に強いひとは、こんなわるいことなんてしません。
 道を通せんぼするのは、よくないのです。
 商人のひとがお仕事できなくなるのは大変です。
 ちゃんと通れるように、ニルはがんばりますね!」
「その通り」
 『葡萄の沼の探求者』クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)がいかにもと言った様子で頷いた。
「商人達が脅かされるのであれば、サヨナキドリの支部長としても他人事ではないわ。
 パドラさんの様な実力のある傭兵が手傷を負わされたんですもの、油断せずに行きましょう。
 一般人を巻き込まずに済むのが不幸中の幸いね……」
 でしょう? と振り返ると商人のプリオが少し大きく出た腹を刺すって顔をしかめた。
「一般人に被害が及ぶと商品が売れなくなるからなあ」
「……」
「ああいや、コホン。いち商人として大切な客が傷付くことには忍びない」
 言ってることは大体同じだが、聞こえはだいぶ良くなった。
 『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)が小首をかしげる。
「そういえば、プリオさんはどういう商品を扱ってるの? ワタシの好きそうな品あるかな?」
「好きそうなというと……女の子が好みそうなぬいぐるみかなにかかね」
「んー、そうは限らないんだけど、色々?」
 えへへと笑うフラーゴラ。
「いいもの売ってくれるならもっともーっとがんばっちゃうよ……!」
「なあに、商人の売り物はみんな「いいもの」さ。頑張っとくれ!」

 暫くプリオと同行していたイレギュラーズたちだったが、ここからは危険地帯だということでプリオを残して『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)たちは先行することになった。
「不毀の軍勢ねぇ……また随分と大仰なだね。うん、そんな名乗り上げられるとさ……断ち斬りたくなるじゃないか?」
 刀の柄にそっと手をあて、撫でるようにするアイリス。
「不毀の軍勢どれ程のものか……図らせてもらうよ?」
 その横で、『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)がハハハッと声をあげて笑った。
「不毀の軍勢だかなんだか知らないけど、ずいぶん派手に暴れてくれてるじゃない。
 アタシって基本的にさ、自分より目立ってるヤツって気に食わないのよね〜?」
 いずれにせよの血の気の多い女達である。
 そんな中で、『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は一人考え事をしていた。
「『不毀の軍勢』…いわば死の騎士みたいな立ち位置だろうか。
 頭部が陽炎のように揺らめいているのにも何か理由が……?
 特定個体として自我を確立しておらず、故に頭部(顔)がモザイク(不鮮明)なのか。
 正体がバレると不味いから隠匿しているのか」
「さすがにそこまでの理由じゃないと思うけどねえ」
「正体を隠したいならそもそも名乗らないんじゃない?」
「まあ、倒せればわかること、所謂覆面剥ぎデスマッチだ」
「倒したら頭事忽然と消えちゃったら?」
「その時はその時でいい。『商人の護衛の仕事』が完遂しただけだ」
「あー、たしかに」
 暫し進んでいくと、赤と青の鎧を着た騎士と、それを囲むように布陣したオオカミ型終焉獣の姿がよく見えてくる。
 相手は低く唸り、今にも飛びかからんばかりの勢いだ。
 京もまた、獰猛に笑って言った。
「さあ、始めようか」

●戦いの定石
 戦いには大きく分けて二つの方法がある。
 厄介なものから潰す方法。
 潰しやすいほうがから潰す方法。
 概ねにしてこの二つは両立せず、そしてどちらを選んだとしても苦労はついてくる。

「よう赤いの。頭はないが見えてるんなら聞こえているだろう、ひとつ勝負といこうじゃないか」
 ラダはライフルのスコープを覗き込むと、赤い鎧の騎士めがけて『アンガーコール』の射撃を放った。
 ギリギリでいなす形で攻撃を処理する赤鎧。
「赤い鎧だから赤鎧か。パドラの率直なネーミングセンスに感謝だな」
「感謝のポイントそこ?」
「悪くないだろう?」
 パドラは肩をすくめ、そしてラダの肩をぽんと叩いた。
「赤鎧は放っておくとかなり厄介になる。引きつけ、頼んだよ。ラダの腕は信用してる」
「そう言われると、やらないわけにいかないな」
 いずれにせよそのつもりだけど、とラダは二発目を放つべくリロード。
 その間に赤鎧めがけてアイリスが遅いかかった。
「一人じゃ荷が重いでしょ。こっちからも攻めさせて貰うよ」
 アイリスの急速な接近――に、大して終焉獣が素早く動いた。
 魔導機刀『八葉蓮華』による魔力収斂圧縮加速機構から放たれる超高速の抜刀は、しかし赤鎧ではなくそれを庇った終焉獣がその身で受ける。
「――庇った!?」
 直後、赤鎧の銃口がアイリスをとらえる。急速に後退しながらアイリスを狙い撃ちにするつもりだ。
 が、そうはさせない。
「伏せて!」
 フラーゴラがアイリスに注意を促しながら彼女を庇う位置に陣取った。赤鎧の命中精度ならアイリスの回避能力を抜くだろうと判断してだ。こういうときは、純粋な防御能力がモノを言う。
「――ッ!」
 ライオットシールドで射撃を受け、ガクンと身体が傾く。いや、逆に言えば傾いただけだ。
 なんとか赤鎧の攻撃をしのげている。
「ワタシが攻撃を引きつけてる間に、【怒り】の付与をやっちゃって!」
「それには終焉獣が邪魔すぎるんだよねえ」
 と、言っている間に青鎧がオオオオオと地の底から響くような声をあげた。
「あっ、まずい……!」
 それが何を意味するのか、フラーゴラは直感した。
 広範囲に対する【怒り】の付与を相手の青鎧も行ってきたのだ。
 すぐさまフラーゴラは『百花号令』を発動。青鎧に注意を引きつけられそうになっていた仲間の治癒にかかる。
 青鎧に通常攻撃しかしなくなること。その間に終焉獣の群れと赤鎧によって各個撃破をうけること。それはこちらの負けルートだ。
「せめてこっちの手を打てる状態にしないと……」
「終焉獣だ。先にこいつらを片付けておいてくれ」
 ラダの呼びかけに応じて動き出したのは鏡禍だった。
「なら、僕の出番ですね!」
 鏡の妖術を発動させ終焉獣たちに幻を見せ始める鏡禍。
 それをうけた終焉獣はまるで狂ったように鏡禍へと集まり、遅いかかり始めた。
「――ッ!」
 腕に強烈な噛みつきを喰らう鏡禍。
 そのまま押し倒そうとする終焉獣だが、直後に銃声が数発鳴り響き終焉獣が崩れ落ちた。
 振り向けば、パドラだ。
「パドラさん、ありがとうっ」
「気をつけて。集中砲火を受ければそれだけ危険になる。シールドを破られないようにね」
 パドラは赤鎧を睨んでから言った。
 なるほど、ブレイク手段を相手も持っている可能性があるということか。鏡禍はこくりと頷いて、自らに張ったルーンシールドで終焉獣たちの攻撃を引き受けた。
「それに、突出はこの場合危険だ」
 アーマデルがぽつりと呟いた。
「形態には意味がある……場合もまあ、ある。
 狼型であれば複数体連携しての『狩り』に長けるかもしれん。
 元より突出はしないが、迂闊に近づきすぎれば集団でぼてくり回される危険を考慮しよう。
 他の警戒事項は足が速そうなあたりか」
 実際終焉獣は複数体での集中攻撃によって鏡禍のシールドを破ろうと試みている。赤鎧の銃口もそちらに向きつつある状態だ。
 そうはさせまいとラダが牽制の射撃を打ち続けているおかげでそうはなっていないのだが。
「とにかく終焉獣が邪魔! 蹴散らせない?」
 パドラがリロードをかけながらそう叫ぶと、クアトロがぱたぱたと手を振った。
「それなら任せてもらおうからしら」
 彼女がどこからともなく取り出したのは一枚のピザボックスだ。しかも真っ黒で何も書いていない、まがまがしさすら感じる箱。
 それをフリスビーのように終焉獣の群れの中に放り投げた。
 回転して飛んでいった箱は仕掛け箱の如く解放され、中に封じ込められていた魔術体を爆発させる。
「ダークムーンピザ、ってところかしら。相手の攻撃が不発になればそれだけ連携も取りづらくなるでしょ?」
「ナイスだ。そのまま撃ち続けろ」
 アーマデルはダークムーンの効果によって動けなくなった終焉獣『以外』を狙って蛇鞭剣ダナブトゥバンによる斬撃を次々に叩き込んでいった。
「掃討なら任せてください!」
 ニルが『ミラベル・ワンド』をぎゅっと強く握りしめる。コアの部分が淡く優しく光り始め、それはニルの祈りを通じて暴力的な魔法へと転じる。『アンジュ・デシュ』と『ケイオスタイド』のミックスだ。
 杖の先端からドンッと砲弾のほうに放たれた禍々しい力の塊が終焉獣の集団に着弾。それは拡散し、鏡禍やクアトロだけを避ける形で終焉獣たちの身体に突き刺さっては重々しいBSを浴びせていく。【呪い】状態のおまけ付きでだ。
「これで連携を崩せたはずです! そこから離れてください!」
 ニルがなぜそんなことを言ったのかは、高く跳躍した京の姿をみてすぐに分かった。
「リコシェット――フルバースト!」
 京の蹴りは衝撃波となって飛び、まるで砲弾の如く終焉獣たちへと着弾、爆発した。
 これによって鏡禍とクアトロが巻き込まれることになるのだが、実はこれは織り込み済みだ。なぜなら無効化シールドを展開した鏡禍がクアトロを庇うことで、この二人だけはノーダメージという状況が出来上がっているからだ。
「歯ぁ食いしばって並びな、アタシがビンタくれてやるからさ?
 まったく、徒党組んでえらそーに威張ってんじゃねーわよこの玉無しども!」
 ギラギラと獰猛に笑う京。彼女の『砲撃』によって、終焉獣たちは纏めて消し飛んでしまったのだった。

●赤鎧と青鎧
 終焉獣を倒されたことに、赤鎧たちは少なからず焦りを見せている様子だった。
 だが、退く様子もまたない。青鎧が突進をしかけ、それを鏡禍が突進によって対抗する。
 バキャンというガラスがたたき割られるような音がしたのは、鏡禍のルーンシールドが破壊されたためだろう。
 だが、ここまでくればあとは根性の勝負だ。
 鏡禍は青鎧の繰り出す剣を妖力で作り出した障壁でギリギリ防御し、叫ぶ。
「パドラさん、今です! 青鎧を!」
「そっちから先にってことね。了解」
 パドラは銀の大口径リボルバーを構えると青鎧めがけてぶっ放しまくった。
「あとは時間との勝負。一気にカタをつけるよ」
「わかった、任せて――!」
 フラーゴラがばっと両手を振りかざした。
「ミニペリオン様、いっけぇー!」
 召喚に応じた大量のミニペリオン(多少ゴラぐるみ要素を含む)が一斉に飛び出し、ミサイルのように青鎧へと突っ込んでいく。
 僅かに残り青鎧を庇おうと接近していた終焉獣もまとめてだ。
「それに加えて……!」
 『Code Red』の力を込めた特殊弾頭を単発式のピストルに装填すると、それをフラーゴラは青鎧にぶっ放した。
 いくら防御が高くても、呪殺攻撃までは防御できない。
 そこへアーマデルの蛇銃剣アルファルドが突きつけられる。
「信頼と実績のコンボだ、全部受け取れ」
 英霊残響:逡巡、蛇巫女の後悔、英霊残響:怨嗟、デッドリースカイというアーマデルお得意のコンボを全て叩き込み、相手の装甲をボロボロにしていく。
 そして、既に倒れかけている青鎧の頭を見つめ目を細めた。
「顔を隠すためではなく、もとからそのように作られた……と言ったところか。覆面をはげなくて残念だが、それはそれで得るものがあったな」
 派手にぐらついた青鎧に、一気に畳みかけるべくニルと京が動き出した。
「ニルのありったけ全部を注いで、ぶつけます!」
 気合いを入れたニルは杖に自らの魔力を流し込み、カッと太陽の如くコアが熱く光ったのを確認すると青鎧めがけてとびかかった。
 大上段から杖による一撃を叩き込む。
 ただの打撃ではない。打撃によって流し込まれた大量の魔力が爆発を起こし、青鎧にぶつけられたのだ。
 かなりの防御をもつ青鎧もこれをくらってはタダではすまないらしい。流石にがくりと膝をついた。
「不毀だかなんだか知らないけど、いいわよ、試してやるわよ、このアタシが。
 決して破れないってんなら、そこ動くんじゃねーわよ?
 その名前……マジか騙りか、証明してみな?」
 そこへトドメの一撃を叩き込んだのは京だった。
 片膝をついた状態の青鎧の顔面めがけ、強烈な回し蹴りを繰り出したのである。
 陽炎のようにぼやけていても頭はどうやらあったらしく、ドッという人体に出してはいけないような音を出して吹き飛んだ青鎧はそのままがくりと脱力し動かなくなる。
「――!」
 ことこうなってしまえば赤鎧は不利以外の何物でも無い。
 逃げるという選択肢を、どうやらとりはじめたらしい。
 しかしそれを許すクアトロたちではない。
「逃がさないわよ」
 真っ赤な箱のピザボックスをまたもフリスビーのように投擲するクアトロ。
「ソウルストライクピザ、ってとこかしら」
 直撃した瞬間に爆発を起こしたボックス。それによって赤鎧の纏っていた装甲部分が剥げ落ち、陽炎めいた肉体が露わとなる。
「邪魔者もいなくなったし、もう斬り放題だよね」
 フッと笑って走り出すアイリス。
 その動きは一陣の風のようで、吹いたと思ったときには既に彼女の刀は抜かれ、そして斬られている。
 実際赤鎧の腕は切断され、持っていた銃もまた地面に転げ落ちた。
 ならばと残った腕で殴りかかろうとするが、アイリスはその拳を刀でガチンと受け止める。
 銃の腕はかなりのものだが、拳でまではそうはいかなかったらしい。
 アイリスは笑みを浮かべたまま、「最後はどうぞ」と肩越しに振り返る。
 そう、ラダに向けてだ。
「お前、目も耳もないくせしてあれだけの射撃をやれたんだ。口がなくても話せやしないか?
 お前らの主とかいう全剣王――鉄帝人名乗るくせしてラサに何の用事だ」
 脅すように問いかけるラダ。
 しかし赤鎧はゆっくりと首を横に振った。
 語るくらいなら死を選ぶ。ということだろう。
 ならばよし。ラダは引き金にかけていた指を……ひいた。
 よく手入れされたライフルはその動作を一ミリたりとも誤らずに銃弾を発射。回転して飛ぶ弾丸は赤鎧の顔面を打ち抜き、そして何かのしぶきを上げたかとおもうとその場にどさりと崩れ落ちたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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