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シナリオ詳細

ホーンテッド・ヴィレッジへようこそ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ホーンテッド・ヴィレッジ
 幻想の西部、些か薄暗さを感じる森の奥に、その『村』は存在する。
 陰気、といえばそうであろうか。深い森故に、今一つ陽の光も届かないがゆえの重苦しさかもしれない。とはいえ、そこの住人たちは、そんな薄暗い村でも健気に暮らしていた。
 視てみよう。村のあちこちでは、些か顔色の悪いゾンビの少年と少女が、あははうふふと健康的にかけっこをしている。足が取れた。まぁ、ぐってすればくっつくので問題はない。
 隣の方では、スケルトン犬を散歩しているスケルトン娘が、ゴーストおじさんのパン屋で買い物をしていた。空には人魂がふよふよと飛び交って井戸端会議をしている。
 死者の村、という印象が全く正しいだろう。ここには、スケルトンや、ゴースト、ゾンビの様な、まさにアンデッドの見た目をしたものたちが多く暮らしているようだった。
 さて、そんな村に、カタカタと、何かが音を立てて近づいてきていた。森のおくから姿を見せたのは、スケルトンやゴースト、ゾンビといった、アンデッドたちである。おや、村の仲間でしょうか。やってきたアンデッドたちは、村の入り口から入り込むと、ごうごうと吠えた。すると、村のアンデッドたちが、そんなアンデッドたちを見つけて、一斉にこう叫んだのである。
「わーーーー!! アンデッドモンスター! 怖い!!!!」
 そう言って叫んでみるやいなや、住民たちは散り散りに、家の中に立てこもってしまった。そうすると、やってきたアンデッドモンスターたちも、なにがなにやら、とカタカタと骨を鳴らすわけである――。

「すでにお分かりの事と思いますが、私たち、旅人(ウォーカー)とか、精霊種なのです」
 と、スケルトン娘のカナちゃんがカタカタとそう声を上げた。
 幻想は、ローレットの支部の一つである。
 依頼があるぞ、とあつめられたあなた達ローレット・イレギュラーズが依頼人と会ってみれば、そこにいたのは、ゾンビちゃんとかスケルトンちゃんとかゴーストちゃんとかのか弱いアンデッドである。
 まぁ、イレギュラーズである――というか、この混沌世界の人間ならば、彼らがその言葉通り『旅人(ウォーカー)』や『精霊種』であることは一発で分かるものである。つまり、アンデッド的な世界からやってきた旅人や、闇などの属性を持ち、アンデッドに近しい見た目をした精霊種たちだ。まぁ、夜道であったらぎょっとするかもしれないが、普通の人に会ってもぎょっとするときはぎょっとするのでそういうものである。
「私たちは、練達のように、見た目の近い旅人(ウォーカー)たちと集まって、幻想国に村を作ったのです。あ、ちゃんと許可とかはとってるので、不法占拠とかじゃないんですよ。
 ホーンテッド・ヴィレッジというのが、私たちの村の名前で。
 すっごくじめじめして過ごしやすくていい村なんですよ」
「それって過ごしやすいのかな……?」
 イレギュラーズの仲間の一人がそういうので、ゴースト娘ちゃんがうんうんとうなづいた。
「たまに外部の方が遊びに来てくれるのですが、毒々しい色合いに、胸に熱いものがこみあげてくるって言ってくれました。感動的っていみですよね?」
「吐き気では?」
 困惑気味に、別のイレギュラーズがそういった。まぁ、さておき。
「でも、魔物たちには、この見た目でも見分けがつかないっぽくて。
 なんだか、アンデッド・モンスターたちが、たまにつられてやってきてしまうんですよね。村も過ごしやすいみたいですから」
 なるほど。まぁ、アンデッド・モンスターには気づかれないのかもしれない。見た目には、彼女たちも完全にアンデッドなので。
「それで……なんだか、最近騎士団の掃討で住処を潰されたアンデッドモンスターたちが大挙して押し寄せてきちゃって……」
「仲良くできませんか」
 思わずイレギュラーズの一人がそう言ってしまうのへ、ゾンビちゃんがむー、と声を上げた。
「むりですよ! こわいですし! だって、腐ってるんですよ! あいつら!」
「そっか……」
 勢いが凄かったので、思わず頷いてしまう。
「そんなわけで、住民たちは何とか家の中に避難してるんですけど。アンデッドモンスターたちが、なんかわがもの顔で村で生活を始めちゃってぇ……困ってるんです……」
 しゅん、とスケルトンちゃんがそういった。まぁ、少々コミカルな気もするが、言ってみれば、魔物に村を占拠された哀れな村人という事である。立派に実害が出ているわけで、助けてやらねばなるまい。
「解りました。では、依頼を受けましょう」
 そういうイレギュラーズの言葉に、あなたも力強くうなづいた。アンデットたちに罪はないのだ。アンデッドモンスターたちこそが敵であるのだから。
「たすかります~! あ、村をとり返したら、是非是非観光していってくださいね!
 村の特産品の発酵食品を、いっぱい御馳走しますから」
「発酵……ああ、そうだろうね……なんかそんな気がしてた」
 苦笑する仲間の言葉に、あなたもなんか遠い目をした。
 さておき。
 ホーンテッド・ヴィレッジでのたたかいである――。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 ちょっと不思議な、ホーンテッド・ヴィレッジを救いましょう!

●成功条件
 すべてのアンデッド・モンスターたちの撃破。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●状況
 幻想国のとある地域に存在する、うっそうと広がる大森林。
 その中にある、なんかじめっとした地には、アンデッド系の旅人(ウォーカー)や、それに近い見た目や属性を持つ精霊種がすむ、ホーンテッド・ヴィレッジという村がありました。
 しかしこの村、どうにもアンデッド・モンスターたちにも住みやすい土地のようで。昨今、騎士団の作戦によって追いやられた別の地域のアンデッド・モンスターたちが、安息の地を求めてここにやってきて、村の中に住み着いてしまったようなのです。
 村人たちは、アンデッド・モンスターに怯えて家の中に閉じこもってしまいました。今や村中アンデッドだらけです。敵も味方も。
 そんなわけで、皆さんはホーンテッド・ヴィレッジに赴き、アンデッド・モンスターの方をすべて撃破してやってください。
 村自体はさほど広くなく、およそ数平方キロメートル程度の小さなものです。なので、割とサクッと回れるでしょう。
 また、モンスターとも、下記の総数すべてとぶつかるわけではなく、数体の群れと数回遭遇する形になります。
 索敵などもしっかりして、奇襲してやると楽に戦えるでしょう。逆に奇襲されてしまうことにご注意を。
 ちなみに、アンデッド・モンスターたちは、村人のアンデットを仲間だと思ってるので、村人たちに危害は加えません。敵を倒すことに注力できるでしょう。
 首尾よく敵を倒せれば、アンデッド村人たちが歓迎してくれます。発酵食品が名産らしいので、食べてみるのもいいでしょう。
 作戦決行タイミングは昼ですので、特に戦闘ペナルティなどは発生しません。

●エネミーデータ
 バガボンド・スケルトン ×13
  住処を追いやられて放浪するスケルトンです。放浪するうちに並のスケルトンより鍛えられているようです。
  骨をこん棒のように振るい、強烈な近接攻撃を行ってきます。また生命力もあるため、割とタフな盾役になっています。

 バガボンド・ゾンビ ×10
  住処を追いやられて放浪するゾンビです。放浪するうちに、何か鍛えられて強くなっています。
  腐った爪や、毒液を振るい、毒系列のBSを付与してくるでしょう。BSを扱うぶん、スケルトンよりは素の攻撃力などは低めですが、それでも侮れない近接アタッカーです。

 バガボンド・ゴースト ×7
  住処を追いやられて放浪するゴーストです。住処を追いやられた、ってことは昔は地縛霊だったんですかね。
  神秘属性の呪や魔法攻撃を行ってくるでしょう。多彩なBSにより、上記の弐種の攻撃をサポートする、サポーター・デバッファーといった立ち位置です。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングを、お待ちしております。

  • ホーンテッド・ヴィレッジへようこそ完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年10月07日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
遺言代行業
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ

●ホーンテッドな風景
 幻想のとある村――そこには、アンデッド系の旅人(ウォーカー)や、近しい属性の精霊種たちによる集落が存在する――。
「私などはたまたまこの世界の多数派と姿が似通っていましたが、召喚されてきた旅人の中にはそうでない方々も居られるわけですから。
 こうして安住の地を見つけるまでどれほど苦労があったことか」
 ふむ、と嘆息して見せるのは、『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)である。イレギュラーズたちが向かっているのは、その『アンデッド風の人間』たちのいる集落であり、なんでも、依頼主であるアンデッド風の人間たちの話によれば、本物のアンデッドたちが流れ着いてきて、村にいついてしまったのだという。
「まあ、皆さん、最初はびっくりされるんですけど。旅人(ウォーカー)や精霊種だとはすぐにわかってくれるので、なんとか」
 と、スケルトンの女の子が言う。骨だが女の子である。リボンつけてるし。
「でも、やっぱり夜道歩いてるときに早足で移動されるとちょっとショックうけるよね」
 ゾンビの女の子が言う。さもありあなん。
「まぁ、そう言うわけで、何とか楽しくやっております」
 と、ゴーストのおじさんが言った。ふむん、と瑠璃は苦笑する。
「それならよいのですが。しかし、やはり同じ姿をしたものや、出自の者が集まるのは、どの世界でも自然なことなのでしょうね」
「再現性東京みたいなものか。
 再現性ゴーストタウンって言う感じだけど……って、それじゃあなんか言い方が違うな……」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が困ったように言うのへ、ゴーストのおじさんが応えた。
「はっはっは、うまいことをおっしゃいますな。まぁ、さびれてはいますが、いい村ですよ、ええ」
「それは、そうだろうね。話していてわかるけれど、皆さんも明るくて、気風の良さを感じるよ」
 そういうイズマのいう通り、腐ってはいたが、いい人たちである。当然ながら、善良な市民たちであるのだ。
「でも、アンデッドの子たちにも、同情の余地はあるよ」
 と、そう言うのは『ネクロマンサー』マリカ・ハウ(p3p009233)である。
「住処を追われたのは、事実だし。きっと居心地よかっただけだと思うの」
「それは確かに、そうなのだけれど……」
 むー、と、『挫けぬ笑顔』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)がいう。
「村の中で、アンデッドさんたちがアンデッドさん達を攻撃しないで共存できているとはいえ、でもやっぱりアンデッドさん達も危ないから、アンデッドさん達を何とかしないと危ないんだよね、アンデッドさんたちが」
「言葉遊びみたくなってんな」
 『巨星の娘』紅花 牡丹(p3p010983)が肩を落とした。
「ったく、どういう状況なんだか。
 一応――つったら失礼だが。ほんとに住民票にちゃんと名前や人相書きが記載されてるんだな。
 ただ、その。直接会えばなんやかんや見分けがつくんだろうが、ぱっと見たときにこっちのスケルトンの人とこっちのスケルトンの人の見分けがつかない……」
「あー、微妙に違うんですよね、その二人。顎のヒビの所で簡単に見分けつきますよ」
 と、スケルトンの女の子が言うのへ、牡丹が目を細めた。
「間違い探しか?」
「あと、骨格の感じとかで……」
「間違い探しか?」
 牡丹がさらに目を細めた。スケルトンの女の子がくすくすと笑う。
「なんか新鮮な感じですねぇ、こういうの」
「あんまり気にしないのね?」
 『比翼連理・護』藤野 蛍(p3p003861)が言った。
「そりゃそうですよ。私だって、例えば双子の、人間種風の女の子の見分けなんかつきませんから。そういうものでしょ?」
 けらけらと笑うスケルトンの女の子に、蛍は苦笑した。
「確かに、そんなものなのかもね……」
「お心遣いに感謝します」
 『比翼連理・攻』桜咲 珠緒(p3p004426)がほほ笑んだ。
「さて、事前にご連絡しました通り、住民の方や、ペットや家畜などは建物中に避難していただいて、絶対に、こちらが合図をするまで外には出られませんように。
 えーと、念のため、お尋ねしますけれど、魔物の方のアンデッドは、中に入ってきたりは……?」
「ああ、入ってきていません。それは絶対です。やはり、野良の方は、生活感のある家の中はあまり好まないようで」
「野良の方……」
 そうゴーストのおじさんが言うのへ、『漂流者』アルム・カンフローレル(p3p007874)はコホンと咳払い。
「それは助かるよ。その、とっさに――判断できないかも、で」
「あっはっは、アルムさんは、私たちを見たときに盛大に驚いていましたからなぁ」
「それはその、ごめんね!」
 アルムが頭を下げるのへ、ゾンビの女の子が笑った。
「ま、慣れてるんで平気ですよ。次からは仲良くしてくれれば」
「それは、是非に。
 で、村の建物の方は、ちゃんと守る手立てもあるから、被害の方は心配しないでもらって大丈夫。
 絶対に、村を助けてあげるからね」
 アルムがそういうのへ、アンデッドさん達が頷いた。
「はい、じゃあ、よろしくお願いします! あ、そろそろ村ですよ。
 連絡はもうしてあるんで、ついたらすぐに、お仕事始めちゃって大丈夫です。
 私たちは念のため、入り口あたりで待機してますので、万が一何かがあったら、連絡をお願いします」
 ゴーストのおじさんがそういうのへ、イレギュラーズたちが頷いた。
 さて、村の入口へと立ってみれば、独特なにおいが鼻孔をくすぐる。
「あー、流石アンデッドの村なのですね。こう、腐臭……と言ったら失礼ですが、独特のにおいが」
 珠緒がそういうのへ、ゾンビの女の子が応える。
「あ、これたぶん、村の名産の発酵食品ですね。納豆とかチーズとか」
「ああ……」
 珠緒が苦笑する。
「名産が発酵食品、か。
 ……まさか、魚を缶詰にした奴とかはないだろうね?」
 イズマがそういうのへ、スケルトンの女の子が応えた。
「ありますよ。食べます?」
「あ、いや、ごめん、大丈夫。納豆とかを楽しみにしてるよ」
 と、慌てていうので、スケルトンの女の子がケタケタと笑う。
 さておき。村はいささかじめじめとしていて、前述したとおり独特な、癖になるにおいがある。入り口から見てみれば、なるほど、確かにアンデッドモンスターの姿が見えた。実際に見てみれば、これまで話していた旅人(ウォーカー)達と魔物たちが、まったく違う存在というのは、本能的というか、感覚的に、確信となってわかる。
「なるほど、咄嗟に、という事でなければ間違えようがないですね」
 瑠璃が言った。
「……とっさに、なので。本当に、村の人たちが急に出てこないことを祈るだけでして」
 本能的な確信があれど、急な登場によるミスショットが避けられるとは言っていない。まぁ、これは人間同士の戦いでも変わらないことだ。
「じゃあ、始めるか」
 牡丹が言った。
「さっさと片付けて、観光といくか」
「そうだね! チーズとか、気になるんだよね!」
 ヴェルーリアが言うのへ、仲間たちはうなづいた。
 そんなわけで――。
 おしごとの、始まりである!

●アンデッド・スイーパー
 さて、上空には三羽の使い魔が飛んでいる。それは、瑠璃と、珠緒のファミリアーだ。上空から視界を共通してみてみれば、村そのものは、ごくごく一般的な、『普通の良くある村』の姿をしている。木製の建物があって、広場や農場、家畜置き場があって、という、牧歌的なものを想像してもらえればいいだろう。
 ファミリアーたちの視線から見れば、村はなんとも薄暗いのである。これは高い木々に囲まれた森の中であるのだから、陽の光が入りにくいという事に所以している。もちろん、何らかの困ったペナルティが発生することはないが、なんかじめじめしている、という印象になるわけだ。
「……暗ぇな、おい」
 地上からみても、牡丹がそういう。
「まぁ、困りはしないが、気がめいりそうだな……」
「確かに、お酒やチーズを保存しておくにはちょうどよさそうなんだけれどね……」
 イズマが言った。一長一短である。
「とにかく、行くわよ、皆。
 珠緒さん、瑠璃さん、引き続き空から確認お願いね。
 俯瞰視点できる人たちも、サポートしてくれると助かるわ!」
「まかせて!」
 ヴェルーリアが頷く。果たしてしばし時間がたてば、町の広場には大きな『陣地』が出来上がっていた。防御陣地である。瑠璃の作ったそこで待機し、やってきたアンデットを次々撃退する……という策だ。
「さて、うまく来てくれるといいのですけれど」
 そう言う瑠璃に応えるように、第一村人……ではなくて、最初の敵の群れがやってきた。見てみれば、なるほどこの風景にはよく似合ったものだ。ボロボロのいで立ちだが、どこか強敵のオーラを放っている、スケルトンとゾンビ、ゴーストだ。
「うーん、見た通り、アタッカー、盾役、サポート役、って感じだ。それに、なんだか強そうにも感じる」
 アルムが言う。
「そうですね。アンデッドが何をどう鍛えられたのかよくわかりませんが、並のそれよりは強力なのでしょう。生意気にも、戦術を理解しているようですし」
 瑠璃が頷いた。アルム、そして瑠璃が推察したとおり、『それなり』に動けそうである。
「さて、迎撃を開始しましょう」
 珠緒がそう言う。敵がガチャガチャとこっちへと向かってくるのへ、一行も身構える。が、一歩、前に出てきたのは、マリカだった。
「お願い、わがままなのはわかってるけど、一度だけ、お話しさせて」
「お話し?」
 アルムが尋ねる。
「相手は魔物だよ。きっと――」
「それでも、迷惑は、かけないから」
 マリカが真摯にそう言ってみせるのへ、仲間たちはうなづいた。どうせ、このまま正面衝突するだけのタイミングだ。今なら、多少の事なら問題はない。
「お願い――話を聞いて。
 そうしてくれるなら、私たちは、攻撃しないから」
 声を届ける。反応はない。
「あなたたちが、現世にとどまるエネルギーも、私が提供し続ける。
 あなたたちが、とどまれる場所も。
 あなたたちの未練を、求める救いを、遂げるための行動を、私に手伝わせて」
 そう、心から告げる。
 だが、もはや長いこと現世にとどまり続け、ただよを呪うだけの存在となってしまった魔物たちに、その言葉は届かないのだろう。反応が返ってこないことに、マリカは気づく。辛そうに唇をかんだ。
「……仕方ないことだ」
 慰めるように、イズマが言った。誰が悪いわけでもあるまい。
「いくぞ! 村の人たちは離れていてくれ!」
 万が一でも村人を巻き込まないように、イズマが叫んだ。同時に、仲間たちが保護の結界を形成する。
「すぐ近くに別の群れがいるから、多分連戦になると思う!」
 ヴェルーリアが叫ぶのへ、蛍が頷いた。
「皆は、息切れしないように気をつけてね!」
「任せて、陣地もみんなも、この村も、僕が護るよ!」
 アルムがさっそく、回復の術式を編み始める。一方で、陣地から顔を出しながら、瑠璃が放った鉛の奏撃が、ゾンビの頭を吹っ飛ばす。
「まさにゾンビ映画のようになってきましたね」
「……間違っても、村人さんには出てきてほしくないですね」
 珠緒が言った。
「その、やっぱり。とっさに、間違えてしまいそうですので……」
「うん、まぁ、しょうがねぇよな……」
 牡丹がそう言って苦笑した。
「さて、薄暗い分、オレが光って目立ってやるか。
 しゃぼんスプレーも持ってきた、汚れても綺麗にはなるぜ?」
「汚れないようには心がけるよ」
 イズマがそう言って、細剣を指揮棒のように振るってみせた。すると、その刃から放たれた夜空の色が、堕天の輝きをもってアンデットたちを包み込む。まるで石化したように動きを鈍らせたアンデットたちに、ヴェルーリアの神聖なる裁きの光が降り注ぎ、その未練と憎悪を断ち切った。
「このままのペースで行こう!」
 ヴェルーリアがそういうのへ、仲間たちはうなづく。果たして村の一角で、激しい戦いが繰り広げられた。その渦中で、決して手を抜くことはなくとも、マリカは少しだけ辛そうな顔で、「ごめんね」とつぶやくのであった。

●ホーンテッド・ヴィレッジの救済
「珠緒さん、こっちに敵を引き付けるよ!」
 蛍が叫び、戦場を駆ける。ぐお、と襲い掛かってきたスケルトンを蹴っ飛ばして、後方へ跳躍。その瞬間に、珠緒の放った桜花のごとき光より堕ちる堕天の輝きが、スケルトンを貫き、操り意図を切ったかのようにばらばらと落下させる。
「ふふ、ナイス!」
 蛍が嬉しそうに手をあげるのへ、珠緒も笑って手を振る。阿吽の呼吸、とはこういうことを言うのだろう。
 さて、イレギュラーズたちの陣地構築防衛線であるが、多少の被害をイレギュラーズたちは被ったものの、問題なく迎撃を続けられているといえた。敵は何体かのグループに分かれていて、それを片付ければまたすぐに次のが来る。休憩をとりづらいことくらいが難点であったが、奇襲を受ける可能性とトレードオフであっただろうか。
「……っ!」
 マリカが振るった鎌の先から、『お友達』が手を伸ばす。お友達になれなかった彼らを、そのまま無へと還すように食らいついた。
「ごめんね……」
 何度かつぶやいた言葉は、大地にしみこむようだった。なんにしても、彼らは話を聞かなかった。悲しい存在だったといえる。
「最後の群れだよ!」
 ヴェルーリアが叫んだ。
「こっち! 私が護る! 全部!」
 強がりの、絶対守護宣言。残っていたスケルトン、ゾンビ、ゴーストのそれぞれ一体ずつが、ヴェルーリアに襲い掛かる。怨念の一撃をその身に受けながら、ヴェルーリアは果敢に立ち続けた。
「理由はあっても、人に迷惑かけちゃダメなんだから!」
 ヴェルーリアが、小盾で敵を押し返した。同時に、瑠璃の銃弾が、スケルトンの脛骨を貫いて砕いた。足下から崩れたスケルトンが、そのままガシャンと砕けて落ちる。
「足を止めずに、このままの勢いで」
 瑠璃がそういうのへ、
「追い出されて来たところ悪いが、ここには先に住んでる者達がいるんでな。住処は成仏した先で探してくれ!」
 イズマが叫び、突き出した細剣がゴーストを霧散させる。その隣では、アルムの放った裁きの神気が、ゾンビの肉体を浄化し、消滅させていた。
「おわった……」
 アルムがそう声をあげて、座り込んだ瞬間、
「あ、終わりましたか」
 ぬっ、とゴーストおじさんが顔を出したので、アルムは飛び上がった!
「うわ、まだいた!? あ、いや、おじさんか! ごめん! でも驚かさないで!」
 どきどきとする胸を押さえながら言うのへ、ゴーストおじさんが笑った。
「すみません。性分の様なもので。
 いや、お見事ですね。村への被害もなく、よくあの凶暴なアンデッドを」
 そう言う通り、村の敵アンデッドはすべて消滅していた。
「いや、お疲れ様です! お約束通り、村の発酵食品で、皆さんをおもてなし致したく!」
 そういうのへ、ヴェルーリアが両手をあげる。
「やったー! チーズ! チーズフォンデュが食べたい!」
「味噌やヨーグルトもあるって聞いたよ。あ、魚の缶詰は抜きでね?」
 イズマが苦笑して答える。
「その前に、アンデッドの死体を片付けてしまいましょう」
 瑠璃が言った。
「それから……汚れを落とせる場所も、お借りできれば」
「そうだなぁ。なぁ、こいつらを墓場に入れてやってもいいか?」
 牡丹がそういうのへ、ゴーストのおじさんが頷く。
「もちろんですとも」
「だ、そうだ。
 あんたも来いよ。もしかしたら、気まぐれな奴の一人もいるかもしれねぇ」
 そういう牡丹へ、マリカは頷いた。
「ん……」
「それじゃあ、皆でお片づけをしてから、観光を楽しませてもらいましょ!」
 蛍が言うのへ、珠緒が頷く。
「ええ。チーズやお酒……納豆や味噌、等でしょうか?
 それに、発酵食品に関するお料理なども、興味深いところです」
「お、そうだよな。オレも、そう言う料理教えてもらいたいんだよなぁ。
 見た目は……やっぱり、食べやすいようにアレンジした方がいいのかな?」
「癖がありますからね、発酵食品は」
 くすり、と瑠璃が笑う。
「それより、お酒とチーズってだけでも、俺は充分だよ」
 アルムが笑った。
「いやぁ、いい村じゃない? 呪とか、そう言うのがなければ、俺は全然大丈夫だよ。
 ふふ、通ったっていいくらいだ」
「おや、ほんとですか?」
 ぬっ、とゴーストおじさんがアルムの眼前に突然現れたので、アルムが再び飛びあがった。
「そう言うのは禁止で!」
 慌てるアルムの様子に、仲間たちは楽し気な笑い声をあげた。
 村の彼方此方から、すぐにアンデッド系の住民たちが現れて、村の平和が訪れたことを感じていた。骨の犬がカタカタと顎を鳴らして、わおんわおんと吠えた。
 死者のような姿をした者たちによる、奇妙な村は、イレギュラーズたちの活躍により平和を取り戻し、
 その奇妙な風景を、これからも描き、そこで生き続けるのだろう。
 あなたも気が向いたら、覗いてみるといい。
 不思議で奇妙な、ホーンテッド・ヴィレッジを。

成否

成功

MVP

志屍 志(p3p000416)
遺言代行業

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 皆様の活躍により、村は救われました。
 今も、賑やかで楽しい、アンデッド人たちが、ここには暮らしています。

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