PandoraPartyProject

シナリオ詳細

井「地雷系美少女を捕まえる依頼なんですか!? 行きます!!!!」

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●地雷系美少女
 地雷系美少女。
 地雷系美少女とは、地雷系美少女の事です――。
 というわけにもいかないので簡単に解説すれば、『地雷系』と呼ばれるファッションに身を包んだ少女たちである。
 主にピンク、黒、白を基調とし、どこか『可愛らしさ』に振った衣装をそう呼ぶ。なぜこれを地雷系と呼ぶかといえば、諸説あるらしいので各々調べてみてほしい。
 というわけで地雷系である。なんでもラサに、地雷系少女がいて、悪さをしているらしい――。

「これは由々しき事態ではありませんか」
 と、井(p3n000292)がそういった。
 彼は紳士である。井の字のような体をしていた。
「地雷系美少女が悪さをしている――信じられません。
 確かに、地雷系美少女といえば地雷系。
 ちょっとあなたに迷惑かけちゃうかも♡ という所が魅力的です。
 ですが――官憲に追われるほど悪さをしてはいけません」
 と、真面目腐った様子でそういうので、あなたをはじめとするローレット・イレギュラーズたちは、「ああ、彼が出てくる時はどうせろくでもない話なのだ」と、半ばあきらめたような表情を浮かべていた。
「あなたの性癖はどうでもいいのだけれど」
 イレギュラーズの一人が言う。
「地雷系美少女が、何をしているの?」
「ゲリラ戦です」
 井がそう言うので、何を言っているんだこいつは、という表情を、言葉の主が浮かべる。
「何言ってるの?」
「ゲリラ戦らしいんですよ。なんでも、砂漠に潜み、キャラバンを襲う――。
 いや、これゲリラっていうか、日本の野伏みたいな? そう言う感じらしくて。
 可哀そうじゃないですか。地雷系美少女が、そう言うことするの……。
 地雷系衣装をまとって、ライフルとかもって、砂塵に塗れながら戦うの……。
 ちょっといいな……ロストアーカディアでそういうNPC作ろうかな……」
「何言ってるのかちょっとわからないですけど」
 イレギュラーズの一人が頷く。
「よくわからないですけど……いや、ほんとよくわからないんですけど……。
 とにかく、盗賊退治、みたいなものなんですよね?」
「ぶっちゃけるとそうです」
 井が回った。
「でもほら、傷つけないで上げてください。地雷系美少女たちにも、きっと事情があると思うんです。
 ネイルわれた~病む~~まぢむり、キャラバン襲お、みたいな」
「ネイルわれたから盗賊に身をやつすの、すっごい嫌なんだけど」
 心底嫌そうに、イレギュラーズの一人が言う。そんな日常的なことで反社会的行動を起こされてはたまったものではない。
「とにかく、僕は地雷系美少女を捕まえて、しっかり人生を歩みなおしてもらいたいのです。
 そして、清く正しく、地雷系美少女として、エナドリをストローで飲む真っ当な人生を送ってほしいのです」
 井が真面目そうにそういったので、「ああ、大体オチが見えてきたぞ、どうせこれは地雷系美少女ではなくて、単に地雷を敷設して攻撃してくるタイプの女野盗の群れと戦うだけのシナリオなのだ」と、半ばあきらめた様な表情を浮かべていた――。

 さて、砂漠である。井を連れたあなたたち一行は、件の地雷系美少女が潜伏していると思わしき地点までやってきたのだ!
「さて、地雷系美少女はどこかな~~~~」
 井がぐるぐる回りながら砂漠を進む――と、突然! 地面が土煙を上げた爆発したのだ! 井が爆発に巻き込まれ、七色に輝きながら回転して上昇していく!!!
「あ~~~~~~~~~~~!!!!」
 井が悲鳴をあげながら頂点に到達し、そのまま落ちてきた。ぺちん、と砂漠に落着すると、再び地面が爆発し、井が打ち上げられる。
「地雷だ」
 仲間の一人が言った。
「思った通りね」
 仲間の一人が言ったので、あなたはうなづいた。
 どうせこういうオチだと思っていたのだ。見れば、周りには、ごく普通にぼろ布に身を包んだ獣種の女性たちが、手に武器を持ち、こちらを包囲している。
「我々の狩場に入り込んだようだな」
 得意げにリーダーらしき兎獣種の女が言うので、イレギュラーズたちは一言一句違わずにこういった。
『しってた』
「……? 余裕の表れか? だが、貴様らの足元には地雷が仕掛けられ」
『しってた』
「……? 知ってるのにここまで来たの……?」
 困惑するリーダーへ、イレギュラーズたちは微妙な顔を浮かべた。確かに、相手からすれば奇妙な連中に違いない。が。わかっていても、やらなきゃいけないのである。ハイ・ルールなので。
「そんな~~~~~地雷系女子が地雷を使う女盗賊だったなんて~~~~~!
 これ絶対どこかでネタ被りしてるよ~~~~~!」
 井が地雷で打ち上げられながらそう叫んだ。
 なんにしても――。
 お仕事である!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 地雷系女子が最近のマイブームです。
 地雷系女子、見た目に反して家庭的だったりするともっとマイブームです。
 家庭的じゃなくてもいいです。ちょっと執着心強くてもいいです。
 執着してほしい。僕に。そして

●成功条件
 すべての敵を倒す

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●状況
 地雷系美少女の盗賊団が存在する――。
 得体の知れない情報のもと、現場にやってきた皆さんが遭遇したのは、狩場に地雷をまき、キャラバンを襲う女野盗たちでした……!
 しってた。
 そんなわけで、皆さんはこの状況のもと、野盗たちを倒さなければなりません。
 作戦結構エリアは砂漠。足下の状態が少々悪い他、地面には大量の地雷が設置されています。
 この地雷は、移動時にランダムで爆発し、皆さんにダメージを与えてくるでしょう。
 対策は必須です。低空飛行でそもそも踏まないようにする。範囲攻撃に巻き込んで誘爆を狙う。我慢する。スキルで見つけ出す……。
 などなど。色々試してみてください。

●エネミーデータ
 地雷系美少女野盗 ×19
  地雷系美少女の野盗たちです。見た目は普通に砂漠の盗賊って感じの女性たちです。
  全員が獣種で構成されています。性能的にはスピードファイターよりの性能で、耐久力よりも手数と命中、回避で有利をとるタイプ。
  武器はそれぞれ、曲刀やライフルで武装しています。数が多いため袋叩きにされないようにご注意を。前述したとおり、回避やEXAなどが高いため、その特異を殺してやると有利にふるまえるでしょう。

 地雷系美少女兎獣種リーダー ×1
  地雷系美少女の野盗のリーダーです。兎の獣種です。褐色です。この子に地雷系服きせてぇな。着せたくない? 褐色うさ耳地雷系美少女って良くない? みんながきてくれてもいいよ……?
  スナイパーライフルを装備した遠距離タイプです。上記の通常野盗を前に出し、後衛から強力な単体狙撃を行ってくるでしょう。
  フリーにしておくと、手痛い攻撃を受けてしまうかもしれません。タンク役で受けたり、釣り出したり、高機動のキャラで距離を詰めたりして、得手である遠距離狙撃を封じてしまいましょう。

●味方NPC
 井 ×1
  ずっと地雷を踏んで空中を漂っています。
  助ければ手伝ってくれますが、お仕置き代わりに放っておいてもいいと思います。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングを、お待ちしております。

  • 井「地雷系美少女を捕まえる依頼なんですか!? 行きます!!!!」完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年09月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
春色の砲撃
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
リドニア・アルフェーネ(p3p010574)
たったひとつの純愛
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

サポートNPC一覧(1人)

井(p3n000292)
絶対紳士

リプレイ

●地雷・地雷・地雷
「あぁあぁぁ~~~~~~!!!」
 井が飛んだ。地雷を踏んだのだ。
 落ちた。ちょうどそこに地雷があったので、また井が吹き飛んだ。
「あぁあぁぁ~~~~~~!!!」
「まって?」
 地雷美少女……ではなく、普通に野盗の女性リーダーが思わず声を上げた。
「あれは何をしているんだ?」
「さぁ……?」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)が無表情で声を上げる。
「趣味では……?」
 と、淡々とそう告げた。「趣味なわけがあるか」とリーダーが声を上げる。
「だって……アレ……地雷だぞ……?」
「地雷ですね」
 と、瑠璃が頷く。
「趣味では?」
「えぇ……」
 淡々とそう告げる瑠璃に、リーダーはマジの困惑の顔を見せた。趣味では? と返した瑠璃も、ぶっちゃけよくわかっていない。というか、井からの依頼により、地雷美少女がラサで盗賊を働いている、というから来たのである。実際には、地雷を敷設して野盗を働く普通の野盗団がいただけなのだが。それはそれとして、この状況がすでに、よくわからない。瑠璃にとっては。ので、受け答えもどこか、上の空ではある。ちなみに、別に井は地雷で吹き飛ぶのは趣味ではない。でも、地雷で吹き飛んでいるところを小悪魔リトルレディに「ざぁこ♡ざぁこ♡」と言われるのは趣味であった。
「うーん。他のイレギュラーズから、井(アレ)がらみの依頼は色々とヤバイときいていたガ……」
 『惑わす怪猫』玄野 壱和(p3p010806)が困ったように言う。
「うん、予想以上だな色々ト……w」
「草をはやすほどに?」
 井がなんか言った。壱和は無視する。
「でも、まー、やることは盗賊退治だからナ。まともなのカ……」
「盗賊!? 地雷系女子では!?」
 なんか井がそういうのへ、『夜鏡』水月・鏡禍(p3p008354)もさすがにあきれた様子で言った。
「いや、もう、現実、見ましょ?」
 はう、と肩を落とす。
「……というか。井さんの依頼って時点で、僕嫌な予感がしてたんです。
 でも、妻がね、渡してくるんです、依頼書。
 行ってらっしゃいって笑顔で言うんです。
 もう男として行くしかないじゃないですか!!!
 井め! おぼえてろ!!!」
「そんなこと僕に言われても! でもね、鏡禍さんが困ってることでしか得られない栄養があるのは僕もわかります」
「盗賊団さん、今から協力して井さんをやっつけません?」
 割と真顔で鏡禍がそういうので、盗賊リーダーも困った顔をした。
「あ、うん。それはそれで……」
「というか! というか~~~~~~~~!」
 ふん、と鼻を鳴らし、ぐっ、と胸を張るのは『『蒼熾の魔導書』後継者』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)である。
「な~にが地雷仕掛けたから地雷系美少女だい!!!!
 そんな大人、修正してやる!!!」
「いや、別に地雷系とか名乗ってないし……」
 盗賊リーダーがそういう。まったくその通りである。自分たちで地雷系美少女と名乗った覚えは全くない。
「だまりなさい! 今から教育! そして討伐! 殴打! 指導! 修正! 私! 私が不死身のリドニアお嬢様じゃ~~~!!!!」
 がうるるる、と吠えるリドニアに、盗賊たちがガチの怯えの表情を見せる。カワイイ。
「ひええ、何なんですかアイツ……」
 モブ盗賊がそういうのへ、『春色の砲撃』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)が遠い目をしながら言った。
「あれが真の地雷系、ってコト?」
「地雷系女子も怒るんじゃないですか、それ……?」
 『航空猟兵』綾辻・愛奈(p3p010320)が遠い目をしながら答えた。
「しかし、ASMR依頼に居ないと思ったらここに居ましたか、井さん」
「え、なに? ASMR依頼って? 僕知らないよ? 僕の知らないところで、愛奈さんASMRしたの? ちょっと、話しとおして! 僕に!!!」
 井が爆発しながらぐるぐる回転しだしたので、愛奈はにっこり笑って、
「盗賊団さん。今から協力して井さんをやっつけませんか?」
 そういった。
「あ、うん……その、その人味方じゃないの?」
 リーダーがそう尋ねるのへ、ノアが遠い目をして答える。
「わからないわ……」
「わからないんだ……」
 わからない。井のことなど、もう誰にも分らないのだ。
「ぶはははッ! 相変わらず愉快な奴だねぇ、井は!」
 この状況でも「愉快な奴」で済ませることができる『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)。豪快である。
「まー、なんだ。とにかく状況としては――オメェさん方を退治しに来た。これは間違いねぇ」
「そうね。それに、砂漠を地雷原にするなんて人道の観点から見てあり得ないわ!
 地雷って中途半端な火力で生かさず殺さず、行軍の邪魔する為だけに作られた悪意の塊みたいな兵器なのに!」
 割とシリアスなことを言いだすノアに、盗賊リーダーが、うっ、って顔をした。
「それは、その……」
「あやまりなさい!」
「えっ」
「危ないことしてすみませんってあやまりなさい! 今まで大きな被害が出なかったのは、井さんみたいなギャグキャラがその責務をおっていたからに違いないわ!」
「そんな」
「あやまりなさい!」
「その」
「あやまりなさい!」
「でも」
「あやまりなさい!」
「あ、はい……ごめんなさい……」
 盗賊団一同が頭を下げる。
「よし!」
 ノアが満足げにうなづいた。
「なんだ、コレ?」
 壱和もさすがに困惑を隠せない。
「いいのか? コレ? 戦闘依頼じゃなくテ?」
「これが井空間かぁ……」
 『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)が感心したような表情で声を上げる。
「いやあ、井さんの噂はかねがね聞いてたけどさ……。
 実際に目の当たりにするとこう、何か……凄いね?
 これまでずっとあんな感じでホイホイ敵地に向かっては打ち上げられてたの??
 よく生きてこれたね?????」
 ド直球でそういう雲雀に、井はぐるぐる回りながら答えた。
「あんまり打ち上げられたことはないです!」
「あんまりなんだ……」
 どうリアクションをとっていいかわからない雲雀が苦笑を浮かべる。
「あ、井さんの依頼は初めてですか? 力抜いた方がいいですよ」
 愛奈があきらめたような表情で言うのへ、瑠璃が肩をすくめた。
「井さんのプロはさすがですね」
「違いますーーーーーー! プロになった記憶はないですーーーーーー!」
 愛奈が本当に嫌そうな顔をする。
「いいのか? ローレットイレギュラーズ」
 心底何もかも理解できないといった表情で、盗賊リーダーが言った。
「そろそろリプレイ文字数2660字超えたけど?」
「おっ、本当ですわね」
 リドニアが指折り数えながら言った。
「じゃあ、そろそろ真面目にやるかぁ」
 こきこき、とゴリョウが肩を鳴らしつつ、言う。
「さて。改めて言うが、俺達の目的は、オメェさんがたの捕縛だ。
 だが、ここには地雷が埋まっている。真正面から戦っちゃあ、確かに、俺たちの不利だ」
「ですよね!」
 ようやく真面目な反応が返ってきたので、盗賊リーダーがうれしそうな顔をした。それから、こほん、と咳払い一つ。
「そうだ! お前たちはまさに袋のネズミ……このまま一歩も動けないままここで死ぬさだめなのだ!」
 胸を張ってそう言うリーダーに、鏡禍が可哀そうなものを見るような眼をむけた。
「可哀そうに……これからどんな目に合うか、まだわからないんですね……?」
「どういう意味だ……?」
 ガチ目の困惑を見せる盗賊リーダーに、ゴリョウがぶははっ、と笑った。
「おう! 井をこのまま遊ばせておくのは持ったいねぇ。活躍の場くらいやらねぇとな!」
 と、ゴリョウが井を捕まえた。盗賊リーダーが笑う。
「何を言う! いまさらそんな変態が一人増えたくらいでその、何してるの?」
 しかし、その笑いは途中から困惑へと変わっていった。見てみると、ゴリョウが井を、無言で、盾に、縛り付けていた。
「みてわからねぇか? 井を、盾に、縛り付けている」
「あの、真面目にやるんですよね? もうリプレイ文字数3250字超えてますけど?」
 ぶはははっ、とゴリョウは笑った。
「おう、こちとら大まじめだ。
 いいか? こうやって、盾に井を括り付けてだな。
 で、他のメンツは、俺の後ろに、そう、一列に。並んでもらってな?」
「うん」
「『このまま一直線に、オメェさん達の所へ向かう』」
「はい?」
 盗賊リーダーが、もう何度かいたかわからないが、本当に、まったく、ガチ目の困惑の表情を浮かべる!
「でも、地雷が」
「大丈夫だ」
 ゴリョウが笑った。
「俺は対策を施してある。俺は痛くない」
「僕は?」
 井が尋ねた。ゴリョウは笑った。
「俺は対策を施してある。俺は痛くない」
「僕は!?!?!?!?!」
 井がぐるぐると回転した(盾に縛り付けられているのにどうやって回転しているのかは聞かないでほしい)。ゴリョウが豪快に笑う。
「よぉし! 超特急ラクーントレ井ン、出発侵攻ってなぁッ!」
「まいりますわよ~~~!!」
 リドニアが心底楽しそうに片手をあげる。そして――一行は、まったく一直線に! 真っすぐに! 敵陣に向けて侵攻を開始したのだ!
「ああああああああああ~~~~~~~~!」
 絶叫する井! 当然のことながら、ゴリョウは地雷をふむ。が、それは盾やルーンシールドとかで防ぐ。なので、ゴリョウはノーダメージである。井は、まぁ、当然のことながら地雷の爆風をもろに浴びることになる!
「ひ、ひぃっ! リーダー! アイツら何してるんですか!?」
 盗賊の一人が叫ぶのへ、リーダーも叫び返した!
「わ、わかんない! 怖いよーーーーっ!!」
 怖かった。こうなれば半狂乱に、まっすぐつっこんでくる恐ろしい何かに一斉攻撃をするしかないわけだが、そこはさすがのゴリョウである。強力な盾であるゴリョウにとってみれば、豆鉄砲の様なもの。
「あふん!!!」
 井にも流れ弾が直撃するが、まぁ豆鉄砲みたいなものだろう。
「と、止めろ! あのおかしい奴らをこっちに近づけるな!!!!」
 リーダーが絶叫する。盗賊たちも半狂乱で攻撃を仕掛ける。雲雀が心底悲しそうな顔をした。
「可哀そうに……」
「きっと、まともな戦いなると思ってたんだろうナ……」
 壱和が言うのへ、鏡禍が応えた。
「二人とも、井さんの依頼は初めてですか? 力抜いた方がいいですよ?」
 瑠璃が肩をすくめる。
「井さんのプロはさすがですね」
「違いますーーーーーー! プロになった記憶はないですーーーーーー!」
 鏡禍が心底嫌そうな顔をした。まぁ、それはさておき、気づけばすでに敵陣ただなか。敵もさすがにこのような狂人じみた攻略方法で突破してくるとは思っていなかったわけで、何なら洗井落雲も思ってなかったわけで、相談卓覗いたときに「この人たち天才か?」ってちょっと本気で悩んだ。君たちの勝ちだ。
「ひいっ! 突っ込んできた!!」
「怖いよーーーッ!!!」
 半狂乱の盗賊たち。もうこうなっては、EXAが高いとか回避能力が高いとか、もうそれがどうしたって状況である。
「よし! 散開だ! 各個攻撃!」
 ゴリョウが叫んだ瞬間、超特急ラクーントレ井ンが各車分離して行動を開始しした。井は盾から外されて、その辺にべって投げ捨てられた。
「いやあああああ!!! 分離した!!!!」
「落ち着け! 普通に分散しただけよ!」
 もう地雷美少女たちも泣いてもいいだろう。これは確実絶対に、相手が悪かった。
「おーっほっほほっほ!!
 教育ですわ! 教育ですわ!!! そして物理! 修正! 私!!!!!」
 べっこんべっこんリドニアが盗賊たちをぶんなぐって回る。もうその姿はバーサーカーである。もう魔導書の魔法がどうのこうのじゃなくて、ずっと魔導書の角みたいなところで殴っている。物理。
「うーん、これはとんでもないことになってしまいましたね」
 瑠璃が遠い目をする。もうこうなっては、戦術も糞もあったものではない。相手の方もすでに崩壊気味なのだ。もはや目の前にいるやつを片っ端から殴って黙らせるのが一番楽だろう。
「まぁ、いいですね。楽なお仕事、大歓迎なので」
 と、適当にワイヤーを振るってみれば、まるで入れ食いの魚のように盗賊たちがばったんばったんと転倒していく。
「ひえぇぇえっ、リーダー! 助けて!!」
 野盗の一人が悲鳴を上げて逃げ惑うのを、鏡禍がブロックして足止めした。いるのかなぁ、ブロック……。
「なんかもう……どうすればいいんでしょうね……?」
 可哀そうなものを見るような眼で、鏡禍がリーダーへと視線を移した。
「私に聞くなよ、泣きたいのはこっちなんだぞ?
 私が何をしたっていうんだ?」
「野盗……ですかねぇ……?」
 鏡禍が悲しいものを見るような眼で言った。
 さて、一方で、壱和も盗賊相手に大立ち回りを演じている。
「術式起動! 罪状:危険物設置、略奪行為、その他諸々!
 今必殺のォ……、[すろうとーる]! 制裁執行!!!」
 と、上空より打ち放たれた『棘』が、次々と盗賊相手に突き刺さる。嘘だ。棘はいい感じに盗賊たちにダメージを与えつつ、服を片っ端から破いていった。そうやってプレイングに書いてあったから、僕は悪くないです。ありがとうございます。MVPいる?
「いや……これでMVPってデジタルタトゥーじゃなイ……?」
 そうだよ?
 というわけで、MVP・壱和の力で裸の地雷系美少女が量産されていく中、とうとうリーダーにも年貢の納め時が訪れたわけである。
「かわいそうに」
 雲雀が心底憐れんだ様子でそういう。憐れんでいるが、さっきから裸になった盗賊たちに、とんでもない冷気をぶつけているのはこの人である。
「前世で何をしたらこんなことになるんだろうね……?」
「解んないよぅ……」
 リーダーがぐすぐす泣いている。ちょっと野盗しただけなのに、どうしてこんなひどい目に合うのだろう。きっと井が悪いに違いない。
「でも、ほら……えっと、今からでもやり直せるっていうかさ……。
 俺たちも別に、こんな依頼で命のやり取りしようなんて思ってなくて。
 ちょっとみんなには、反省してもらって。
 立派な地雷系美少女になってもらいたいっていうか……」
「何言ってるかわかんないよぅ……」
 リーダーがぐすぐす泣いている。そりゃそうだろう。なんで地雷系美少女にならないといけないのだろう。この世は残酷だ。
「えーと、その。戦意喪失、という事でいいのではないでしょうか」
 愛奈がそういう。
「あー、そうだな。なんか俺達がいじめっ子みたいな感じになってきてしまった」
 ゴリョウが頭を描く。こんな明確に、力量差のあった戦いってそうそうあっただろうか? 許さないぞ、ゴリョウ・クートン。
「じゃあ、ええと、その。これで危ないことはおしまいという事で。
 それでは、これからは戦後処理といいますか。後処理で」
「はい……」
 ぐずぐずとないているリーダーに、愛奈は、ぽん、と肩を叩いてやった。
「地雷の撤去の手伝いと」
「はい、手伝いますぅ……」
「地雷系美少女になってもらうという事で」
「やだーーーーーーーーー!!!!!」
 リーダーはギャン泣きした。

●おわりに
「うーん、絶景ですね。
 僕は褐色うさ耳ケモノっ子地雷系美少女を見るために生きてきたんだなぁ……って。
 そう思えます」
 井がなんか言った。
 そういうわけで、戦いの後。
 一行は、盗賊たちの手も借りて、さっさと地雷を除去することにした。
 この時は、さすがのゴリョウも普通に罠を撤去していたし、瑠璃も持ち前の知識と能力で地雷の特性を見切り、さっさと撤去を終えてしまっていた。
「まぁ、地雷の撤去は良いのですけれど」
 瑠璃が言う。
「彼女たちを地雷系美少女にする理由はありますか?」
 瑠璃がそう首をかしげるのへ、リドニアが大声をあげて頷いた。
「もちの! ろん!
 教育! 地雷! 着衣! エナドリ! ストロー! 全員黒のツインテにして派手色のメッシュを入れなさい。リュックサックは小さ目で!
 それで片手にエナドリストローと来れば、良い感じにスタイリング出来たんじゃないですか私~~!!
 偶にエナドリが缶チューハイだと更にクズ度が高いですわ~~!」
「コイツラ全員獣種って事は獣扱いでいいって事だよナァ?」
 壱和が悪い笑みを浮かべる。
 丁度ここに動物用の躾本があってナァ……。
 オラァ! 正しい地雷系に調教してやるヨォ!!
 …………正しい地雷系ってなんダァ!!!」
「オメェさんたちは何を作り出そうとしているんだ?」
 ゴリョウが首をかしげる。
「まぁ、その、何だ。あとは心を入れ替えて働いてくれっていうかさ。
 なんなら、俺の店で雇うから。地雷系従業員として頑張ってくれな」
 うんうんとゴリョウが頷いた。
「そうしたら、井もほら、うちの従業員に地雷接待してもらえれば、なんかもう、丸く解決したような気持になるだろ?」
「あのへんな生き物の接待するの嫌です……」
 リーダーがぐずぐず泣きながら言った。
「あれ? 僕振られてます?」
 井がグルんと回った。
「なんで受け入れてもらえると思ったんですか????」
 鏡禍が首をかしげる。
「……というか、井さん。ちゃんと聞いてね?」
 雲雀が真面目な顔で言う。
「地雷系女子は愛情重いそうだけど。
 俺も愛情重いタイプの自覚あるから言うけどね?

 マジで、相っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ当、重いよ?

 満足する程与えられる自信があるなら大丈夫だと思うけど。
 200回以上世界をループしてでも貴女を見つけます救いますっていう覚悟、いるよ?
 むしろそれでも満足しないかもしれないヤバいのもいると思うよ??
 貢ぐ時はよ―――――く考えて貢ぐんだよ???」
「そうですね。愛って重いんです」
 鏡禍が頷く。
「というより――愛は重くて当然だと思うのですよね。
 だってそうじゃないですか、じゃなかったら愛する妻の頼みで僕この依頼に来てませんもん。
 お願いされたら応えたくなるものなんですよ、愛って」
 うんうんとうなづいた。
 そう。愛とは重く、尊いものだ。だから、一人では背負わずに、二人で背負うもの。二人で背負うから、愛を背負える――。
「つまり、僕は雲雀さんにそれくらい重く愛してもらえているという事ですか?」
 井がそういったので、雲雀が心底嫌そうな顔をした。
「この人の脳内変換装置って壊れてない?」
「雲雀さん、井さんの依頼初めてですか? 力抜いた方がいいですよ?」
 鏡禍がそういった。
 さて、そんな大騒ぎの中心から外れて、こそこそとお話しする二人の姿。
「……ところでノア、地雷系とは男性受けが良いのですか?
 回答によっては私のファッション選定の基準が変わってくるのですが」
 と、愛奈が尋ねれば、ノアが、「んー」と首をかしげる。
「愛奈ちゃん……地雷系が男受けするかって?
 人の趣味によると思うけど……試しに着て迫ってみたら良いんじゃないかしら?」
「……一度着て、迫ってみたら反応でわかる……なるほど……うーん……」
 などと、恋の華を咲かせつつ。
 物語はひとまず、めでたしめでたし、である。

成否

成功

MVP

玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

状態異常

なし

あとがき

 井の地雷系美少女を探す旅は続きます。
 うそです。続きませんでした。

PAGETOPPAGEBOTTOM