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シナリオ詳細

<渦巻く因果>不浄の先

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<渦巻く因果>不浄の先
 果ての迷宮の先に拡がる世界、プーレルジール。
 混沌世界と似た姿をしていながらも、似て非なる光景の地に妙な感覚を覚えたイレギュラーズ。
 そんなイレギュラーズと偶然に遭遇したのは、『冒険者アイオン』らパーティーの一団。
 彼らは。
「この世界が滅びに面しているのは、誰だって分かるさ」
 と、憚る事無く言葉を紡ぐ。
 自分の棲まう国、世界を『滅びに面している』だなんて……嫌世主義か何かか。
 だが、彼らの言葉を証明するかの如く、プーレルジールは終焉獣が跋扈し、狂気を孕んだ者達は人々から病に狂いし者達だ、と知らぬ存ぜぬを決め込まれる。
 ……そんな歪な世界だが、それを変えようと動き出しているのが、アイオンら冒険者達。
 この世界を支配する『魔王イルドゼギア』を倒す為に活動を始めた彼らの目的は、イレギュラーズ達の目的とも合致する部分はあるだろう。
「魔王を斃すのに……協力してくれるのかい? ありがとう」
 そう、彼らと共に動き始めるイレギュラーズ。
 だが、その目的地を決めるよりも先に……魔王軍は動き始めるのであった。


『我は『獣王』ル=アディン。我々はこの世界を滅ぼし、混沌世界へと渡航する事に決めだ。選ばれた世界の住民達しか『混沌世界』に渡る事が出来ないのだ。滅びに抗えるお前達を捉え、混沌に渡る手助けをして貰おうか……!』
 プーレルジールの平原地帯を歩き、イレギュラーズ達が辿り着いたのは『フェルビリー』の街。
 街の人達に情報収集をしていた時……突如姿を表したのは、『魔王イルドゼギア』が配下四天王と名乗りし者。
 まだ、それが真実かどうかは確かめる手段は無いものの……少なくとも強力な力を持つ存在であるのは、その気配から十二分に窺い知る事が出来る。
 そして、四天王と名乗りし者は、その手を前方に掲げると共に……手足を地面に付けて、まるで獣の如く歩く『人』の様な者達を召喚する。
 ……その姿は、人だけど獣であるという……得体の知れない『気持ち悪さ』を感じさせる。
 勿論、突如の事態に街の人達は恐怖に叫び、逃げ惑う。
 そんな逃げる人々に、地面を跳ねて飛んで近づき、押し倒す『気持ち悪い』獣たち。
『や……やめてください……っ!!』
 と必死に抵抗する町の人達……君達が咄嗟の一撃を仕掛けると、直ぐにその獣は退避する。
 だが、多数の『気持ち悪い』獣たちは、街の人達に狙いを付けて……ニタァ、と笑みを浮かべる。
 それにアディンは。
『さぁ……お前達、行け。殺すのだ……全てをな……!』
 声高らかに宣言すると共に、己が身は霧と消え……そして獣共は、再び襲い掛かり始めるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 『境界』世界もまたきなくさくなりつつありますね……

 ●成功条件
  『フェルビリー』の街の人達の避難誘導と共に、アディンの配下である『気持ち悪い』獣たちを掃討する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   『フェルビリー』の街は、極普通の『幻想』の街並に似ています。
   ただ、突然現れた『気持ち悪い』獣たちで大混乱状態になっています。
   故に街の人達(十数人程)を救出するには、彼らを落ちつかせないと想定外の事態が起こる可能性もありますのでご注意下さい。

 ●討伐目標
 ・『気持ち悪い』獣 8体
    姿形自体は『人』の様ですが、手足を地面に付けて、まるで獣の様に蠢いている者達です。
    かなり手足が強化されているようで、大きく飛び跳ねたり、その強化された手で手刀を食らわせてきたり、とします。
    又、数匹程度ではありますが、電撃、炎など、特殊な能力に開花した者も居るようですが、だれがこれなのかは最初の時点では分かりません。
    不意を突かれないように注意しつつ、街の人々を救出し、彼らを倒す様にして下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <渦巻く因果>不浄の先完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年09月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
冬越 弾正(p3p007105)
終音
セレマ オード クロウリー(p3p007790)
性別:美少年
トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ
线(p3p011013)
運び手

リプレイ

●失われた時続く
 果ての迷宮の先に拡がる世界、プーレルジール。
 幻想に似た世界の光景はイレギュラーズ達の冒険心を刺激する地でもある。
 だが……そんなプーレルジールの地を『冒険』するイレギュラーズ達の元に齎されたのは、四天王の名乗りし者達が突如姿を表し、極平和な生活を送っていた筈の人々の下へ、人の姿をした『獣』を嗾ける事件であった訳で。
「ったく……何だったんだよ、この奇妙な姿をした奴等はよ」
 と、今まさに襲われている『フェルビリー』の街に辿り着いた『巨星の娘』紅花 牡丹(p3p010983)が、目の前で繰り広げられている惨状に舌打ちを打つ。
『ほう……どうやら早速邪魔者共がやって来た、と言う訳か』
 と『魔王イルドゼギア』の配下の四天王が一人、『獣王』ル=アディンはイレギュラーズ達の姿を一瞥。
 ……ただ、明らかに強力な瘴気を纏いしかの者に、ほんの僅かではあるが圧倒される。
 でも、大きく首を振って、自分を奮い立たせた『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)が。
「……こんな街中に魔獣を放つだなんて……魔王の配下なだけはあるわね。でも……私達が来たからには、これ以上勝手な真似はさせないわよ!」
 強い口調で言い放つアルテリアに牡丹も。
「ああ。勝手な真似しやがって! これ以上好き勝手はさせねぇぜ!」
 と強い口調で断じる。
 しかし、そんなイレギュラーズ達の言葉を歯牙にも掛けず。
『ふん……お前達に構って居る暇など無いのでな。お前達の相手はこいつらで充分だ……さぁ、牙を剥け、肉を裂け……!』
 そう言うと、彼の脚元に蔓延る、人の様で人ではない、『気持ち悪い』獣達が手を地面に突いて、むくりと立ち上がる。
 そして。
『ウグルゥゥゥアアアアアア……!!』
 人語とはかけ離れた唸り声を上げ、イレギュラーズ達を威嚇……その間にル=アディンはそのまま空の中に消え失せる。
「待ちなさい!」
 と『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)が叫ぶも、その声に足を止めることは無い。
 ……そして気持ち悪い獣共は、イレギュラーズと、その周りに立ち尽くしている街の住民達を品定めするかの様に見渡す。
 そして彼らのニタァ……と言う笑みに、ひぃっ、と竦む声を上げて、その場に座り込んでしまう人々。
「気持ち悪い……この感情の正体は、恐怖なのだわ」
「ああ。今迄もそうだが、どこに行っても敵のデザインセンスは最悪なのは変わらねぇ。芸術家としちゃ一言もの申したい所だが……奴は去っちまった後、と言う事か」
「そうなのだわね。でも、この恐怖に打ち勝って進んで行かないといけないのだわ」
「ええ。無辜の人々を狙うとは汚い所業です。わたくし達が、鉄槌を与えねばなりません」
 『蒼剣の秘書』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)と『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)、そして『運び手』线(p3p011013)の会話。
 だが、そうしている間にも、気持ち悪い獣共は獲物の品定めを進め……完全に腰を抜かしてしまい、動けなくなった街の人をターゲット。
『グギャァ!!』
 と、甲高い鳴き声と共に飛びかかる。
「ヒィィっ……!』
 顔を伏せ、死を覚悟する……が。
「させないわ!」
『ガルゥ!? グゥゥ……!!』
 咄嗟に間に割り込んで、身を呈して庇うアルテミア。
 それに気持ち悪い獣はギロリと、恨み辛みを全て込めて睨み付ける。
「この獣達……元は人間だったりしているのか?」
「確かに。今の動き、弱い獲物を優先する知能はある様だ。それにあの隊形で、四足での動きに卓越している上に、見た目が人に近いのも面倒な事この上ない……面倒だ。誤射は一度までなら許されたりしないだろうか?」
 と『黒響族ヘッド』冬越 弾正(p3p007105)に『性別:美少年』セレマ オード クロウリー(p3p007790)は肩を竦める。
 勿論、彼らが元に戻せるのならば、躊躇する事があったかもしれない。
 でも、最早目の前に居並ぶ彼らは人ではないし、突然の事態に戻す術は微塵も分からない。
 故に。
「疑問はあれど、今は目の前で逃げ惑う人々を蔑ろには出来ない。必ずや護り通そう」
「そうね。奴等を放置する訳にもいかないけれど、まずは住民達の避難が先決よ。このままパニック状態が続けば二次被害が起こりかねないわ」
「ええ、そしてこの世界の皆に、私達がこの恐怖を打ち払うのだと安心して貰わないとならないのだわ!」
 弾正、アルテミア、華蓮の言葉、そして。
(「……魔王軍、そして四天王か……どれも御伽噺などで往々にして名を聞く存在。そのような存在が、実際に僕等の前に障害として現れるとは……男として、いえ、世界を護る使命を持つ者として……張り切らねばなりませんね……!」)
 強い思いを心に抱くと共に、イレギュラーズ達は構えた。

●風牙剥きし
「安心しな、てめぇら! アトリエ・コンフィーだ。助けに来たぜ! あいつらの討伐は俺達に任せな!」
 威勢良く、声高らかに宣言する牡丹、そしてそれに呼応するようにベルナルド、アルテミアと華蓮、弾正が。
「俺達はアトリエ・コンフィーの者だ。ここは俺達に任せて、大人しく避難してくれ」
「私達が来たからには、皆様を全力でお守りします。安心してください」
「そうなのだわ。大丈夫……私の仲間達は皆強者揃いなのだわ!」
「何があっても君達を多差受ける。必ずだ! だから今は、避難する事を優先してくれ!」
 と各々のやり方で声を掛けつつ、街の人々を、気持ち悪い獣の方が飼うから遠ざけるように避難誘導を開始する。
 勿論何もなければ意味も分からずおろおろとするばかりだったであろう……でも、アルテミアが庇う姿を見たのもあり、街の人々はわかった、と大人しく指示に従い、避難を開始する。
 とは言え流石に人数が多く、避難誘導には少なからず時間が掛かる。
 更に老若男女、様々な人々が居る故に、急かす訳にも行かない状況。
 そしてそんな状況を、気持ち悪い獣達は……鋭く察知した様で。
『グギャウゥ!!』
 と甲高い叫び声を上げて、一番動きが遅くて、手薄そうな所を狙い済まして飛びかかる。
 だが……それを一歩後ろから広い視野で以て監視していたセレマが。
「……左側、トールの所に行くぞ」
「了解……!」
 セレマから素早い思念転送を受けたトールが素早く戦場を駆けて……住民との間に割り込んで行く。
 重い一撃を食らうが、苦しい表情をおくびにも出さない。
「あ……」
 と声を失う住人に、トールは優しい口調を変えず。
「大丈夫、必ず助けます。まずは落ちついて、一度深呼吸を……はい。それではそのままあちらの誘導にしたがって下さい」
 と深呼吸させ落ちついたところで、仲間に引き渡して避難を継続。
 更に別の方向にも、別の獣が……8体の獣達は弱い所を的確に突く様に飛び回り、住人を狙う。
「ちっ……ふざけやがってよ!」
「ええ……状況察知能力だけで言えば、彼らの方が優れている……という事の様ですね」
「かもしれねぇな……でもよ、させてたまるかっ!!」
 线の言葉に舌打ちを挟みながらも、彼女も獣を追い立てるように戦場を素早く駆け抜ける。
 そして相手の目をしっかりと見据えて。
「今はとにかく逃げろ。命を大事にだ。資産とか置いてくのはあんたら気になるだろうけどよ、そっちも守ってやっからよ!」
 と翳らぬ力強い言葉で、街の人達を安心させるように声掛け。
 そんなイレギュラーズ達の住民を守る行動は、敵にさほどダメージを与えられる事と引き替えに、住民達を的確に守る。
 ……そして街中の住人を、ある程度の範囲内まで避難させれば、アルテミア、ベルナルド、華蓮、弾正の四人が四方守る体制へと切り替える。
 そして残るセレマ、トール、牡丹、线の四人で以て、対峙する獣達への反撃の狼煙を上げる。
「そろそろ頃合いだな。さぁ、それじゃ始めるとするか!」
 笑みを浮かべながら牡丹は地面に拳一閃を叩きつけ、土埃を巻き上げると共に。
「これ以上、住民達の所には向かわせないぜ! どうしてもって言うなら俺を倒して行くんだな!」
 と戦線布告。
『グギャウウ……!!』
 獣8体は唸り声を上げると共に、牡丹に視線を集中。
 ニヤリ笑みを浮かべた牡丹が先鋒で切り込み、取りあえず一番手前に居た獣に渾身の一撃を深々と叩きつける。
 更にそこから下がる事はせず、敵陣ど真ん中の位置を維持。
「グガアゥウ!」
 全く人語とは違う不明瞭な言語を口走る獣の群れは、取りあえず近い所に居るから殺す……そんな考えで以て攻撃してくる。
 さらに攻撃をしてくる敵の二体は、それぞれ炎と雷を口の中から放ち、悪影響を及ぼす。
 だが牡丹は決して退く事は無い、寧ろその敵を引っつかみ。
「あんたが特殊能力持ちか。みんな、こいつを優先的に倒すぞ!」
 と仲間達に向けて叫び、そして続くトールと线、更にセレマが続く。
「人の形をした敵を使役、ですか……本当に獣王も悪趣味ですね」
「全くだ。それに加え姿形も醜悪すぎる。この世に居させてはならない、滅ぼすべき存在なのは間違い無いだろう。さぁ、さっさと逝け」
「……そうですね。先ずは集中攻撃で、一匹ずつ確実に仕留めて行くとしましょう」
 トールとセレマが言葉を交わし、城をも破壊する渾身の一閃と、その力を押さえつける更なる力で抑圧。
 流石にその一刻だけで倒す……という事には至らない。
 深手を負った仲間を……他の獣達は守る様な仕草は見せず、ただただ単純に相対する目前のイレギュラーズを殺すべく動く。
「よしよし。いい具合に引き付けられている様だ。後は……避難誘導している仲間達が来る迄逃さずに耐えきる事だな」
「そうですね……ええ、絶対に逃しません!」
 セレマに頷くトール……そして、更に十数刻が経過した頃。
「お待たせしました……! 住民の方達はもう大丈夫です!」
 と、住民達の避難誘導を担っていた四人が合流。
 勿論彼らの遥か後方には住民達が身を寄せ合っており、穴を開けるわけにはいかないが……。
「残りは……後6体か」
「その様だわね。皆の体力回復と、この場は私に任せて欲しいのだわ」
「了解……アルテミア、それじゃあ俺達は斬り込んでいくとしよう」
「ええ、分かったわ」
 華蓮がここを受け持つ覚悟と共に、弾正の言葉に短く頷くアルテミア、そして二人も又、獣の群れへと突撃。
 先んじて倒したのは特殊能力持ちの獣達で、残るはただただ単純に牙を剥く気持ち悪い獣共のみ。
 奇っ怪な鳴き声をシャーシャー上げつつ、左へ、右へと飛び回る獣共は……まるで猿が威嚇しているかの如く。
「シャーシャーうっせえんだよ! さっさと堕ちろ!」
「全くだな……だからこそ『気持ち悪い』獣、といわれる所以なのかもしれないがな」
 と辛辣な言葉で断じる牡丹とベルナルド。
 それに更に、きしゃああと咆哮を上げて威嚇、攻撃。
「ちょこまかと動き回らないで貰えますかね」
 とトールの凶手の御手がその影を掴み、その動きを地面に縛り上げたところへ、弾正の一閃が心臓を貫き通し、一思いに死を与える。
 更にアルテミアも別の相手に一気に距離を詰めて肉薄した上で、炎と氷結の狭間に敵を叩き落とし、更に命を刻む。
 そんなイレギュラーズ達の総攻撃を後方からセレマと華蓮が確実にサポートし、敵の動きも一切見逃す事も無くトレースしていく。
 そして、最初に対峙した時から、二十刻ほど経過した頃には、とうとう残る獣は後1匹に。
『ウウウ……』
 流石に自分一体のみとなれば、命の危険を感じた様であり……ジリジリとイレギュラーズ達から距離を取ろうとする。
 ……でも、その退路に回り込んだ弾正が。
「自分は往々にして逃げ果せるだなんて思うなよ? ……まぁ、お前達も被害者なのかもしれないが……」
 と背後から鉛の楽団を奏で、容赦無く頭を貫き通す。
 そのまま前傾姿勢に、地面へと倒れ根だ獣……それでもまだ息はあるようで、地面の上をのたうちまわる。
「弾正の言う通りだ。だがキミが被害者であろうと、街の住民達を襲う賭した事実は揺るがない……その罪を抱えて、大人しく眠るがいい」
 とのセレマが翻した光刃を展開……その光は闇たる獣を幾重にも切り刻み、その息の根を容赦無く奪い去るのであった。

●処擬
 そして……。
「……ふぅ。どうにか終わった様だな……」
 汗を拭い、息を吐くベルナルド。
 不穏な呻き声は絶え、気持ち悪い獣はボロボロの骸の姿と成り果てしまう。
『……』
 そして……そんなイレギュラーズ達の様子を、遠くからチラチラと隠れる用に眺めてくるのは、避難した街の住民達。
「取りあえず……敵はもういないよな? 全部ぶっ倒れたよな?」
「ええ……本当に皆さん、まずはお疲れ様でした。そして……避難に協力して頂いた皆様も、ありがとうございます」
 そうアルテミアは、隠れている街の人々に振り返ると、優しく微笑み声を掛ける。
 それに隠れていた街の人達は、改めて安堵の表情を浮かべると共に……嬉しそうな声を上げて、表に出てくる。
『本当に、ありがとうございます……突然の事で、私達も何が何やらで……』
「いえ……混乱するのは仕方ありません。怪我はありませんか?」
 と心配そうにトールが優しく声を掛ける。
 流石にあの混乱で、怪我なく避難した……という事はないだろう。
 そうした街の人々の状況を目の当たりにしたイレギュラーズ達は……それぞれに動く。
 獣共に壊された街の建物は、牡丹と弾正が中心となって補修し、更に周囲の環境を踏まえた上で、必要と思われる所には、自分達の知識をフル活用し防御のための壁を伸ばしてみたり、返しを入れる事で、容易に侵入出来ない様な細工を施してみたり。
 勿論、プーレルジールの人達からすれば、今迄に無い方法を取るイレギュラーズ達の手法に興味津々。
 そんな設備面の直接的な対応をする一方で、ベルナルドは……。
「……さて……と」
 と言いながら、キャンバスを組み立てて絵筆を取る。
『……おじちゃん。何をしてるのー?』
 と、興味津々にキャンバスを見上げる子供達。
 そんな子供達の頭を軽く撫でながら、その視線は緑拡がる外の風景へ。
「……まぁ、見てなって」
 そう言うとベルナルドの絵筆は緑色を軸に、キャンバスの上を走る。
 淡い色使いの中に描かれるのは、プーレルジールの大自然。
『うわぁ……綺麗……』
 と眼をキラキラ輝かせる子供にふふ、と笑いながら。
「緑色は人の心に安らぎを与えてくれるものだからな……ほら、落ちついてくるだろう?」
 ベルナルドの言葉にうんうんと頷く子供達。
 そしてそれを彩るように、弾正は力強く……皆を励ます歌を。
「魔王や四天王が出て来て皆も不安だろう。でも……大丈夫、俺達がいるから、安心してくれ」
 と、その歌声にその思いを込めて、歌い上げるのであった。

成否

成功

MVP

紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂き、ありがとうございました。
不穏な獣の影は撃退出来ましたが、四天王の素性は依然として良く分かりませんね……、

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