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シナリオ詳細

傀儡は林檎の薫りと去りぬ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 その手紙は本の半ばに、栞のように挟まっていた。
「それなぁに?」
 同僚の境界案内人に問われ、グリム=リーパーは珍しく困惑した様子を見せた。差出人はスヴァキア国陸軍司令官 ブライ=アルザード。恐らくこの本ーーライブノベルの世界の住人だろう。
 薫り箋の文化があるのか、仄かに林檎の香りがする。封蝋は盾を噛む獅子の紋章が印されており、宛先はーー
「直前まで、このライブノベルの管理はロベリアだったろう」
「えぇ。だから聞いたのよ。私が管理している間はそんなもの挟まっていなかったもの」
 同僚は性格こそ捻くれた部分が目立つが、仕事に対しては誠実だ。彼女がそう言うのなら、この手紙は今しがた突然、本の中から沸いた物なのだろう。

 宛先にもう一度、目を通す。
 『死神へ』。すなわち"物語の死神"を自称するグリムに宛てた物だろう。グリムは封を破り、手紙の中身に目を通す。しばしの黙読の後に、彼は席を立った。
「差出人に会ってくる。特異運命座標の中から何人か招集しておいて欲しい」
「構わないけれど、何を依頼するつもり?」
 グリムはロベリアに手紙を投げてよこし、死神の鎌を取り出した。廃滅の黒い炎が本を包み、異世界への扉をかたち作る。
「スヴァキア国軍の創立80年記念式典で、演説中の司令官を殺す。ターゲットの名はブライ=アルザード。
……手紙の差出人だ」


 その男は寝支度を済ませ、バスローブ姿でランタンの灯りを頼りに林檎を剥いていた。
 開け放ったままの窓から風が吹き、カーテンが揺れる。すると男は果物ナイフを動かす手を止め、現れた人影へと微笑みかけた。月のように穏やかで静かな笑みだった。
「この宿舎は軍の敷地内なのだがね。こうも簡単に外部から侵入してくるとは、さすが死神…といったところか」
 私は無言のままに仕事の依頼人を観察する。年齢は50を越えたところだろうか。金糸の髪と深い蒼の目を持ち、肉体は軍人らしく鍛えられ、体格もよい。五体満足で話し方も違和感はなく、司令官という地位もある。
 とてもじゃないが、明日を悲観して死を求めるような人物には見えなかった。
「それにしても、まさか死神が君の様な線の細いハンサムだとはね。予定日の記念式典はまだ先だが、何故ここに?」
「……知りたかった。自分の命を粗末にする奴が、どんな男なのか」
「ふふ。それなら少し話をしようか。此方に座りたまえ。スヴァキアの林檎は蜜が多くて絶品だ」
 私が示された椅子に座ると、ブライは剥いたばかりの林檎を切り分けて、私の方へ差し出した。一口食べると林檎の香りと共にみずみずしい甘味が口の中に広がる。
「確かに美味い」
「そうだろう。うちは農業が盛んな国でね。戦争のせいで大半が焼けてしまったが、めげずに農耕を続ける国民には頭が上がらない」
「……」
「死神くん。私はね、軍人としてスヴァキアに人生を捧げてきた。この国も、そこに住む人達も大好きなんだ」

 だからこそ、この国の内紛が許せなかった。妻を戦火で亡くしてからはいっそう、懸命に戦った。

ーーそれが仕組まれていた事だとも気付かずに。

 軍の頂点に上り詰め、司令官となった後の自分は、操り人形でしかなかった。
 尽くすべき国王とは謁見が許されず、与えられた職務を元に多くの兵を死地に送り続ける。
 不自然なほど長期化する内紛に信憑性の薄い調査資料。
 黒幕が誰かは分からない。奴は徹底して尻尾を掴ませない。何より、自分の周囲は奴の仲間で固められている。いまさら独りで出来る事など、何もない。

「記念式典でのスピーチですら、与えられた原稿を読むだけだ。そこに私の意思は挟み込めない」
「……だからといって、貴方が死んでも軍は何も変わらないんじゃないか?
 また違う傀儡が、貴方の地位にあてがわれるだけだ」
「分かっているとも。……死神君。私が死を望むのは、これ以上、奴らに踊らされるのが嫌だからさ。
 自分の人生を、自分の意思で終わらせたい。私の意思を奴らに示したいんだ」
「……」
「依頼を、受けてくれるかい?」

 周囲の監視をかい潜り、やっとの思いで綴った一通の手紙。それが境界を超えてグリムに届くという事は、この男の意思が本物だという証拠だ。
 受け取った時点で、断るという選択肢はなかった。

「ナイフをお借りしても?」

 ブライから果物ナイフを受け取り、グリムは流れるような手つきで林檎を剥く。あっという間に出来上がった可愛らしい林檎のウサギを、グリムはブライに差し出した。

「……ひとつでも」
「?」
「死ぬ前にひとつでも、貴方が触れた善意の数を増やしたいと思った」

 不器用な気遣いに、ブライはフッと口元を綻ばせて林檎のウサギを受け取った。

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! NMの芳董です。
 物語の死神グリムが、暗殺の依頼を皆様に託しました。

●目標
・ブライ=アルザードの暗殺
・無事に式典会場から脱出する

●場所・シチュエーション
 スヴァキア国の軍事施設内。
 施設の中央にある式典会場には、スピーチ用のお立ち台と式典参加者の軍人たちや、パレードにかり出された戦車隊の戦車や、式典の様子を中継するための記者達が並び、ブライのスピーチを聞く予定となっている。
 周囲には武器庫や軍人達の宿舎などの建物が並び、身を隠す場地はいくらでもある。

 周囲を銃器で武装した軍人達が見張り警戒態勢を敷いてはいるが、軍の創立記念日という事もあり、お祭りムードで気が緩んでいる軍人ばかり。

 潜入は簡単だが、堂々とターゲットを殺害すれば軍と派手にドンパチやる事になる。暗殺するか襲撃するかは、特異運命座標たちの選択次第となるだろう。

 なおグリムが軍服を人数分回収して来ているので、式典の数日前から潜入する事も可能。

●エネミー
・司令官 ブライ=アルザード
  今回の暗殺の依頼人であり、暗殺対象。
  当日は要人として周囲をボディガードがガッチリ守っているが、式典のステージでスピーチを行う時は警備も薄れて周りに誰もいなくなる。
  非武装で自ら特異運命座標を害する事はしない。

・ガードマン×4
  ブライのボディガード。日本刀を扱い、近距離での物理攻撃を得意とする。攻撃には【出血】を伴うほか、刀身に炎を纏わせ【火炎】攻撃を中距離に飛ばしてくる事もある。

・戦車×10
 戦車部隊の戦車。式典用にほとんどの砲弾を外に運び出してしまっているため、重い車体でこちらを轢き倒しにくる。防御力が固く攻撃力は低めだが、
 ごくたまに遠範に威力高めの砲撃をしてくる。

・軍人×いっぱい
 本拠地なのでわんさかいる。一人一人は大した力はないが、囲まれると厄介。ナイフや銃で攻撃してくる。

●味方
『境界案内人』グリム=リーパー
 利害の一致から特異運命座標のサポートをしている案内人。本業は死神で、大鎌を使った攻撃が得意。
 呼び出されなければ戦わずに施設の外で待つつもりだが、声をかけられれば協力してくれる。
 ライブノベルの世界から境界図書館に特異運命座標を戻すには集中力が要るため、施設の外に出ないと図書館に帰す事ができない。

●その他
 この依頼の情報精度はBです。依頼人の言葉に嘘はありませんが、不明な点もあります。

 説明は以上となります。それでは、よい旅路を。


事前に潜入を行うか
 記念式典まであと数日。事前調査や罠の準備をするなら事前に先入をするのもいいだろう。

【1】事前に潜入する
数日前から軍事施設に潜入します。どんな身分で潜入し、何をするかは貴方次第。

【2】事前に潜入しない
記念式典の当日に軍事施設に向かいます。

  • 傀儡は林檎の薫りと去りぬ完了
  • 誰かの言いなりになり続けた男の、最後の足掻き。/案内人:グリム
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年09月21日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
春宮・日向(p3p007910)
春雷の
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切

リプレイ


「貴様らそれでも軍人か? 皇帝陛下の威光をふりかざし戦場におままごとでもしに来たのかッ!」
「No,Sir!」
「技術部の貴様らには初めから戦力としての期待はしておらん! だが絶望はさせてくれるな。以上だ!」

 鬼教官の罵声が飛び、その日の訓練も終わりを迎えた。訓練場から人が出ていきはじめた頃、教官は立ち去ろうとする軍人のうち、ある人物を呼び止める。

「貴様、名前と所属は?」
「はっ! 第三陸軍技術支援部隊所属、回言 世界技術少尉であります!」

 灰色のカッチリした詰襟の軍服に身を包み、見事な敬礼で答えた『狂言回し』回言 世界(p3p007315)だったが、その心の内は冷や汗が止まらない。
(潜入早々、経歴詐称がバレたか? 訓練中も手を抜いて、有象無象に紛れたつもりだったが……)

「回言技術少尉。貴様、白兵戦での回避センスは大したものだ。機械弄りに飽きたら私の元で使ってやる」


「…という事があってだな」
「良かったじゃないですか、昇進チャンスですよ世界さん!」
「いい訳あるか! あの鬼教官の直属部隊っつったら間違いなく最前線だろ」

 冗談じゃねぇと配給の固いパンをかじり、世界は魂の抜けそうな溜息をついた。確かに受ける攻撃はえり好みしたが、そこまで見抜かれていたとは。
 向かいの席で薄いコーンスープを口にしている『秋縛』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)も、特異運命座標としての技量を考えれば軍人相手でも無双できる実力者だ。あえて軍人ではなく"宗教関係のセラピスト"として施設に潜入したのは、内乱で心を病ませた軍人たちの悩みを聞き、一人でも多くの心を救いたいと願ったから。

「苦労はあると思いますが、頑張っていれば、きっと世界さんにも皇帝の加護が与えられますよ」
「皇帝の加護、ねぇ」

 胡散臭い慰めの言葉に眉間へ皺が刻まれる。
――スヴァキア皇帝ジゼル。
 この国で最も権力を持つ者であり、この地の開拓者の末裔なのだという。この国の宗教には、必ず人ならざる皇帝の偉業があった。胡散臭いことこの上ないが、国から出た事がない人々には皇帝が絶対だ。ゆえに、嘘に気づいた者との内乱が続いており、軍は手を焼いているのだという。

「何を信じていいか分からなくなったと相談しに来る軍人さんもいらっしゃいまして」
「おいおい。皇帝直下の勢力でさえそんな状況かよ。地盤ゆるゆるだな」

 二人の間に重い沈黙が訪れる――と、その沈黙を破ったのは隣の席からの明るい声だった。

「新人の日向でっす、どうぞよろしくお願いいたします♪」
「!? ひな…」
「あぁーっと!本…睦月センセどーもぉ!」

 若干うわずった声で『春雷の』春宮・日向(p3p007910)が睦月の声を遮り、フリルいっぱいのメイド服のスカートを押さえながら"皆まで言うな"と言いたげな空気を滲ませる。……が、しかし。

「春宮、どうしたんだその妙ちきりんな格好は」
「ねぇ世界っち、今あーし深くツッコミ入れられない空気出したよね!?」
「僕は日向のそういう姿、見れて嬉しいけど」
「睦月せんせー…」

 気遣いめいた優しい言葉が心に塩を刷り込んだ。本家様もとい睦月のシスター姿はとてもよく似合ってる。手に職ついているというか。
(確かに家事料理系のポジションで潜入したいって言ったけどさー、制服がこんなに可愛いとか予想外すぎるっしょ!?)
 もっと事前に軍を調べてから潜入すればよかった。後悔をしても時既に遅し。施設内でついてしまったファンに幻滅されるのも気が引けて。

「メイドさーん! ファンサしてー!」
「新人の日向でっす、どうぞよろしくお願いいたします♪」

 うわ、言っててサブイボたったわー(-_-;)

 日向が寒気を感じて腕をさすりながら厨房に戻ると、明日の下ごしらえにジャガイモの皮むきをしていた手を止めて、新人コックもといグリムが顔を上げた。

「世界と睦月には会えたか?」
「ばっちし! …てか、ダンディなおじさまの暗殺かー。またこういう辛気臭い感じの依頼担当なんだね、グリムっち」
「死神の元に届く仕事なんてのはそんな物さ。アンタが引き受けてくれたのは意外だったが」

 自分と対局にある――グリムが日向に抱いていたのは、太陽のような温かさと希望の光というイメージ。
 罪なき人を殺める後味の悪い仕事を受けてくれた事に驚いた、というのが正直な感想だった。

「だって特異運命座標が手伝わないとグリムっち困るんでしょ?」

 それにね、と日向は窓の外へ視線を投げる。夜空を飛ぶ一羽の鳥の影を目で追いながら、彼女は続けた。

「おじさまは、自由を手にしたいんねー。青い鳥が見つからないから、自分がそれになりたいんだって。
 それなら、あーしはおじさまの意思を尊重するよん」

 そうだ。これはただの暗殺じゃない。心を身体という枷から解き放つ為の手助けなのだ。

 日向はエプロンのポケットから小さく畳んだ手紙を取り出す。食堂で仲間とコンタクトを取ったのは偶然ではない。睦月が滑り込ませてくれた手がかりを読み込み、彼女はうんと頷いた。

「だから当日までに、やるべき事を全力でやる」
「……そうか」

 グリムはそれ以上語る事はなかった。ただ、こうして仕事で協力しあえる相手がいるうちは、自分が真人間になった気がして嬉しかった。

「それにしても」
「んー?」
「その格好、よく似合っているぞ」


 空へいくつもの空砲が撃ちあがり、戦車が街の大通りを行く。
 祝宴に沸き立つ軍部の光景を見下ろしたブライは、側近の軍人へと振り向いた。

(この若さで司令官の側近とは…努力を重ねたのだろう。なのに私は今日、君の前で殺される事になる)

 エリート街道に傷をつけてしまうなと、ブライは溜息をついた。これだけが心残りだと言わんばかりに。

「ブライ=アルザード司令。演説のお時間です」
「嗚呼。では参ろう」

 演説台に立ったブライは高らかに叫び、拳を天へと突き出す。

『諸君、スヴァキア軍はついに創立200周年を迎えた! これもひとえに皇帝陛下のご加護によるものである!』

 皇帝陛下万歳! 皇帝陛下万歳!
 鳴り止まない歓声と拍手に睦月は頭がクラクラした。勢いのある弁舌。しかしブライの口から紡がれる言葉は全て、彼の意思による物ではない。スピーチは何者かの指示で用意されたもの。かつて『言祝ぎの祭具』として信仰の道具になっていた過去の記憶が呼び覚まされる。

(僕としてはなんであれ生きていてほしいけれど、それはブライさんの本意ではないのですよね。悲しいけれど)
 傀儡の人生しかしらないで世を去るのは辛いものだろう。だが、それが彼なりの結論なのであれば。
(準備は整いました。後は彼が――)

 この熱狂すら他人が意図的に作り上げられたものだと思うと、ブライの心は冷めていく一方だ。

ーー頼む。もう、終わらせてくれ。

 心に反して口からあふれ出す言葉は止まらない。熱と気迫で軍人達を焚きつけるーーその視界に、黒い影が躍り出た。
 ブライは最初、それが兎のように見えた。驚異的な跳躍力。一般の軍人とは違い、目を引く漆黒の軍服。
 己の側近――『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)と目が合った瞬間、ブライは全てを悟った。
 彼が"雇われた人間"であるなら、心残りになる事など何もなかったのだ。

(よかった。これが、私の…)

 蛇鞭剣が銀の光の筋となり、鋭くブライの首を穿つ。死の間際、彼の口元は笑っていた。

 しん…と辺りが静寂に包まれる中、アーマデルは演説台の上に立つ。
(まだだ。ブライ殿の魂を行くべきところに導かなければ)
 霊魂疎通でブライの魂へ呼びかける。だが騒然としていた現場も、司令官を殺したふとどき者を放置するほど馬鹿じゃない。奴を捉えろ、と誰かが叫んだのをきっかけに、群がる軍人達。だが、そこへ立ちはだかる様に両手を広げたのは睦月だった。

「あなたがたはこの戦争が不自然だとは思わないのですか?」
「どいてくれ先生、俺はアンタを手にかけたくない!」

 銃を睦月に向けた軍人は、睦月が軍にきて初めてセラピーを施した男だった。彼の悲痛な叫びを聞いても睦月は退かない。しかし心へ歩み寄ろうと、武器を持たずに両手を差し伸べた。

「戦争は終わらせることができる。ひとりひとりの力は小さくとも、束ねれば大きな流れとなる。どうかそれを忘れないでください!」
「だからって要人だけ殺せば済むと思ってるのか?!こんな…くっ、うぅ……」

 男は唇を噛み、睦月へ背を向け――彼女を守る様に立ち、武器をその場に捨てる。一人、また一人と男に賛同するかつての患者達が集まり、睦月を守るように陣を固めた。

「皆、もう止めよう。この戦争が何かおかしい事ぐらい、皆も気づいている筈だ」

 賛同する者が次々と武器を落としていく中、抗おうとする者もゼロではない。銃を構え、反逆者達を撃ち殺そうと彼らは構える。が――

 ドウン!ドウン!!

「な、何が起こった!?」
「爆発です! 施設のあちこちで爆弾が…ぐあっ!?」

 報告をしていた軍人が雷撃の一閃で倒れ伏す。混乱の中で演説台を日向は見上げ、満足そうに頷いた。

「世界っち、本家様とあまでるっちは抜け道から逃げ出せたみたい」
「そうか」
「本家様のメッセージもイケてたけど、世界っちの精霊爆弾も効いてるんじゃ、って何の準備してんの?」
「マイクだよ、見ての通り」

 爆弾を施設に巡らせるのには苦労したが、それだけでは勿体ないと世界は改造リモコンのボタンを押した。施設じゅうの音声機器からノイズが走り、彼の手にしているマイクの音を拾う。

「大将が死んだのに鎮魂歌の一つでも無いと寂しいだろ?」

――さぁ、俺の歌を聞けっー!!

 地を揺るがす程の派手なシャウトに日向はニッと笑みを浮かべる。陽動としては既に十分。それでも飛び立つ鳥を想い、ひと暴れするのも悪くない。

「おっけー、セッションいってみよっかー♪」

成否

成功

状態異常

なし

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