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シナリオ詳細

<英雄譚の始まり>きのこの森探険 ~ユグムときのこ狩り~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●きのこの森
 プーレルジールの外れにある森は、豊かな自然と種類豊富なきのこで有名だ。
 木々が色付く実りの秋は勿論のことながら、冬も春も夏も、年中きのこ狩りが行える。

「ようこそ、ギャルリ・ド・プリエへ」
 ギャルリ・ド・プリエに足を運ぶ度、ゼロ・クール『Guide05』――ギーコがそう挨拶をしてくる。
 ギーコは、マスターと呼ぶ魔法使い(創造主)に「イレギュラーズのサポートをするように」と命令されているゼロ・クール(しもべ人形)だ。マスターの命令に応えるため、プーレルジールの窓口となってくれている。
「こんにちは、ギーコ。今日は何か『おつかい』はあるかな?」
「こんにちは、来訪者様。今ですと、先程丁度……」
 イレギュラーズの問いに、ギーコはちょうど纏めていた手元の資料をめくった。
「ゼロ・クール『ユグム』を連れ、森へきのこ狩りのお願いをマスターが受けております」
 依頼人は料理人で、ユグムという名のゼロ・クールは魔法使いジュゼッペ製とのことだ。
「ジュゼッペ様は『人に寄り添う』ゼロ・クールを作られる魔法使いです」
 彼が手掛ける人形は基本的に、誰かの生活を助けたり、友達や家族のように過ごすために作られる。主の料理人は調理補助をしてくれる人形をと、ジュゼッペに依頼したとのことだ。
「秋に向けてきのこ料理を扱いたい依頼主様が、きのこの知識をお求めです。ユグムを連れていき、人間が食べられるか否か、美味しいか不味いか、等をお教えください」
「つまり、きのこ狩りをして、きのこ料理を味わえばいいんだな?」
「はい。ただ、ユグムは……私たちゼロ・クールの多くの個体がそうかもしれませんが、人の感じる感覚が解りません」
「なるほど……オーバーリアクションになってもいいから、ユグムが解るように口にする必要があるということかな」
「はい、そのとおりでございます」
 お安い御用だと請け負ったあなたへ、ギーコはお願いしますと頭を下げた。

「オッス、初めまして! オレはユグム。見習い料理人だ!」
 ユグムは『ジュゼッペのアトリエ』で待っていると告げられて迎えに行ったあなたたちは、燃えるような赤髪の少年(のように見える)ゼロ・クールと出会った。
「ああ、『お手伝いさん』。早く連れて行ってくれないか?」
 うるさくてかなわん。そう顔に描かれた青銀髪の男性がシッシと手を振り、早々にアトリエから追い出された。
 どうやらユグムの主である料理人は活発なタイプを好むらしく、ユグムの性格もそうインプットされているようだ。作業の続きをしたいジュゼッペは「なあジュゼッペ様、飯は食べてるか?」「まだなら作るから何が食べたい?」「ダメだぞ、食べないと」等と言われて辟易していたようだ。
 しかしユグムはまったく気にしておらず、よろしくな! とあなたたちへ笑いかけた。

GMコメント

 ごきげんよう、壱花です。
 プーレルジールできのこ狩りをしましょう。

●シナリオについて
 場所はプーレルジール内の森ですが、『許可バッジ』を持っている方は「あれ?」と思うことでしょう。混沌世界における王都メフ・メフィートから確かコレくらいの距離に似たような森が合ったぞ、と感じられます。
 混沌世界と違うところは、柵等がなく、レンジャーたちがいないことです。探索すると森はイレギュラーズたちにとっては然程危険ではないことが解ります。(きのこの胞子毒や襲いかかってくるきのこくらいです。)
 巨大なきのこ等が生えている森を探索し、まずは色んなきのこを採りましょう。森の中は胞子が多いため火気厳禁なので、きのこを採り終えたら森から出て調理します。みんなできのこパーティです。
 ユグムは大きなリュックを背負っており、リュックの中には調理器具や調味料が入っています。石を積んで竈を作れば、調理が行なえます。その他必要素材はギャルリ・ド・プリエで購入してからむかえます。

●きのこ!
 色々な不思議なきのこが生えています。
 ぐるぐると迷わすきのこ、白く光るきのこ、うさぎのような耳の生えたきのこ、お菓子のような香りの水で溶けるきのこ、採取しようとするとポンっと跳んで足が生えてワーッと逃げ出してしまうきのこ……等等、どれも採って大丈夫です。食べ切れる範囲で採りましょう。
 ユグムにはきのこの違いが解りません。どれが食べたら安全なのか、ダメなものを食べると人はどうなるのか、等を見て覚えさえせてください。ニコニコ美味しそうに食べていたら、笑顔になるくらい美味しいきのこなのかなと思います。……ワライダケなのかもしれませんが。
 できるだけリアルな反応が望ましいですが、毒性のものを無理に食べる必要もありません。

ex)腹痛になるきのこを口にする『フリ』をし、腹を抑えて地面を転げ回る。
  その後他の人が水を飲ませることにより中毒等が緩和できる。

 等、フリでも大丈夫です。それが正しくユグムに伝わるのであれば。

●『ゼロ・クール』ユグム
 魔法使いと呼ばれている職人達の手で作られたしもべ人形です。
 ジュゼッペ製。多くの場合戦士として利用されることが多いのですが、ジュゼッペは『人に寄り添うもの』を好みます。彼は元は999を意味する識別名をつけられていましたが、主人が決まり、今は『ユグム』という名です。
 主は料理人で、ユグムは調理補助をしています。きのこは種類も多く毒性等もあるので、主人はユグムに覚えてもらいたいと思っています。
 おいしい、あまい、にがい、ピリピリする……等のことが解りません。人間の反応を見て覚えるしかありません。食んでみて弾力等の食感の違いは解ります。

●EXプレイング
 開放してあります。文字数が欲しい時に活用ください。

 それではアトリエ・コンフィーのお手伝いさん、宜しくお願い致します。

  • <英雄譚の始まり>きのこの森探険 ~ユグムときのこ狩り~完了
  • GM名壱花
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
武器商人(p3p001107)
闇之雲
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
物部 支佐手(p3p009422)
黒蛇
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者

リプレイ

●きのこづくし
 きのこの森は、キノコたちの楽園だ。
 昼間でも大きなキノコの傘が陽を遮るため光は届かず、ジメジメとキノコたちには丁度よい湿度を保っている。
「おおー、ここがきのこの森かぁ!」
 人であれば陰鬱とも捉えられるような環境で、ゼロ・クール・ユグムは口を大きく開けてキノコを見上げた。
「ヒヒ、楽しそうだねぇ」
「おう! オレ、初めてこんなに遠くまで来たんだ」
 インプットされた通りの表情なのかも知れないが、ユグムは表情豊かに明るく笑う。そんな彼の姿ににんまりと笑みを浮かべた『闇之雲』武器商人(p3p001107)はいいねぇと口にした。
 仲良くしてくれるかと問わずとも眼前の彼がそのつもりであることは見るだけで感ぜられるから、「我(アタシ)はここにいるからね」と丁度よい弾力のキノコの笠へと腰掛け、ノートと色鉛筆を取り出した。良い子には素敵な贈り物をしよう、と。
「課外活動みたいで楽しいですよね!」
 大樹ファルカウのとある書庫の書架守であった『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172)はインドア派であったから、ユグムの言葉に同調するように微笑んだ。
 さすがにきのこの森内の地図は無かった――構成しているのが全てキノコであるため記載しても次に来るときには形が変わっているらしい――が、ここまでの地図を入手することが叶い、一行は途中であまり強くない魔物と遭遇するくらいで安全にたどり着けていた。
(以前、レンジャーの方から依頼で訪れた幻想近くの森と同じ感じですね)
 きのこの海と呼んでも良さそうな笠の波をぐるりと見渡し、そして見上げ、ドラマはそんな事を思った。ドラマたちが住まう混沌世界にはギャルリ・ド・プリエはないし、プーレルジールには幻想王国ないが、こうして同じような場所があるのはとても不思議な感覚だった。
「これは食べられるキノコですよ」
 ギャルリ・ド・プリエ周辺では一般的に見られるキノコを記した図鑑を開いて確認し、手袋を装着したドラマがキノコを採る。
「手袋は必要なのか?」
「ええ。触れるだけでかぶれてしまうものもあるのです」
 人形であるユグムはかぶれないかもしれないが、そう告げて行動することによって『人はそう』なのだとユグムに教えることができる。
「キノコはしっかりと気を付けたほうがいいぞ」
 そう告げた『あの子の生きる未来』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)は実際、放浪――度の最中ではキノコを採取することはあまりないのだとユグムに教えた。
「生えてるのを見つけても?」
「そうだ。危険性の割にカロリーが摂れん」
「ヘルシーな食材ですよね」
 うんうんと頷く『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)は深緑の森に住まう者だから知っているキノコの採取はするが、それ以外には手を出さない。
「安易にキノコ狩りするより栽培された茸を買うほうが安上がりで旨いってことも往々にしてある」
 自然のものよりは栽培したものがいいと口にするバクルドに、エルシアは「栄養価の高い森のでした……まあ環境によりますね」と告げていた。
 ふたりの手と視線は、辺りのキノコへと向けられており、時折「これは食べられるか?」と悩むような声をバクルドが零し、エルシアは「貴方は私達が食べられるキノコ?」と何やらキノコへと話しかけている。
「エルシア様はキノコと話せるのか?」
「ええそうなんです。私の自然への愛がそうさせているのです」
「へー、すげー。オレも話せるようになれば楽なのかなー」
「それは……」
 どうでしょう。
 食べるということは命を奪うということだ。
 現にエルシアが話しかけたキノコは『食べられないよー』と告げていた。すっごく美味しそうな見た目なのに……食べられたく無いということなのだろう。しかし彼等が食べられると告げたところで、食べた後に倒れる……ということも在り得るだろう。摘んだ生き物が『食べた』という事実までしか、彼等はきっとわからない。食べた人が転がったところで、森に還るのだから。

「っと」
 ――斬!
 突然襲いかかってきた極彩色のキノコをサックリと切ってやった『黒蛇』物部 支佐手(p3p009422)は背中に「すげー!」というユグムの声を浴びながらしおしおと枯れていくのを見下ろした。
「他所の茸は獰猛ですの」
 足の生えていたキノコは、豊穣で一般的に食べられているキノコとは大いに違った。
「何というか。文字通りにキノコを狩ってるよな、私達」
 キノコ狩り。その言葉は基本的にはキノコを収穫して美味しく頂こう! 的な言葉である。だがしかし、この状況。切った張ったをしているのだから、文字通り『狩り』であった。相手がキノコだから斬りごたえはないが。
 ファミリアーの鳥を飛ばして食べられそうなキノコの群生を見つけて支佐手と来たはずが、『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は何故だかふたりは極彩色のキノコに囲まれていた。キノコ界にも弱肉強食なのか、汰磨羈が見つけた松茸のような見た目の美味しそうなキノコを極彩色のキノコたちが「自分たちのご飯ー!」と言わんばかりに現れたのだ。
「それだけあの茸が美味ということでしょう」
 しおしと萎んでしまった如何にも毒がありそうなキノコも少しだけ採取した支佐手がそう口にすれば、「確かに」と顎を引いた。
 騒ぎを聞きつけたのだろう。ふたりの視界の端には駆けつけてきた『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)と、ユグムを後方へと下げようとする『航空猟兵』綾辻・愛奈(p3p010320)の姿が入った。ユグムと群生しているキノコは任せても大丈夫だろう。
 極彩色のキノコを斬る――その時。
「は? 茸が飛ん……!?」
「支佐手、追いかけるぞ!」
 新たな白いキノコが乱入し、そしてひらりと飛んでいく。まるで鳥か天使のように美しいキノコは美味に違いない!
 ふたりは追い込む形で追いかけようとするが――如何せん相手は空を飛んでいる。
「あのっ! そこのキノコ、捕まえて頂けると助かるんですがっ!」
 ぜえぜえと息を弾ませて救援を要請すれば、「任されました!」とエルシア。
「皆さん、あのキノコを燃や……すのはいけませんね。捕まえてください!」
 エルシアに命じられた契約精霊たちがピュンっと飛んで空飛ぶキノコを追いかけた。

「ユグムさん、良いですか? ああいう色鮮やかなキノコは気をつけるべきです」
「襲ってきたりするからか?」
「……今回のはまあそうですが……、基本的には毒があることが多いです」
「へー、そうなんだ」
 こくこくと素直に頷くユグムを見て、愛奈は穏やかに微笑む。年の離れた弟が居たら、こんな感じなのかもしれない。
「そのキノコが守ろうとしてたキノコは、きっと食べれるキノコですね」
「そういえば、さっきドラマ様に見せてもらった図鑑に似たようなのがあったかも!」
 そうですねぇと微笑むエルシアもユグムの側で、汰磨羈たちの切った張ったの害がユグムにまで及ばぬよう視線は暴れる極彩色のキノコへと向けたままユグムを守っている。
 暫くすれば支佐手たちは駆けていき、要請に応じてエルシアは契約精霊を飛ばし――また少しすると木製のザルに松茸に似た見た目のキノコを沢山載せたゲオルグが戻ってきた。
 彼が手にしているザルには、それ以外のキノコも載っている。赤紫の薩摩芋のようなキノコや、紫の笠がビラビラとしているキノコ。白くて細いキノコに、薄っすらと仄光る美しいキノコに、ウサギの耳みたいなのが生えたキノコに、ふわふわの菌糸が羊のようなキノコ――と、とても沢山だ。
「全部食べられるキノコか?」
「いや、まだ解らない」
 キノコはゲオルグの得意分野ではないし、種類も多い。また未知のキノコも、この世界特有のキノコもあるだろう。一応食べられそう……と、ちょっと見た目が可愛い、と言う判断で採取してきたキノコたちだ。選別する必要がある。
「ああ、いたいた」
 ノートと色鉛筆を手にひとりで行動していた武器商人が戻ってきた。
「キミにあげよう。友好の証としてね」
「いいの? わ、すごい。色もついてる! 武器商人様、ありがとう!」
「いいかい、キノコは食用そっくりな毒性の強いキノコっていうのがいっぱいあるからね。料理人ならまずは人にとって無害なキノコと有害なキノコを見分けられる様にならないとね」
 勿論記されているのは武器商人が知っている範囲での記載だ。
 しっかりと食べられるキノコの採取もしてきた武器商人は、そろそろ採取は切り上げて料理の時間にしようと皆を誘った。

●おいしいきのこにご用心!?
「食えるやつ、食えないやつ、不明で分けてみろ」
「ちょっとでも悩んだら不明でいい?」
「ああ」
(毒性のあるキノコは美味だと聞いたこともあるな)
 選別した上で、毒キノコを食べるとどうなるかを教える必要がある。ひとりの時に森でキノコに当たりました! ではお話にならないが、幸いにして今日は仲間たちが居るため大事に至る可能性が低いだろう……と、チラとゲオルグは鮮やかな色をしたキノコを見た。
(なれば試してみたいと思うものだろう)
 甘味でなくとも未知の旨味には興味があるゲオルグは紙とペンとを用意する。
「ああ、いいな。舌が痺れちまうと喋れないからな」
 ひょいとキノコを覗き込んだバクルドがひとつ摘む。
「ちなみにこれは触ると皮膚が爛れ、口にすると激しい辛味とともに内臓が腐る、キクラゲみたいな食感だったそうだ」
 手袋をしている者も多いが、素手の者は気をつけろとと横に除けた。
「ついでにこいつも駄目だ」
 通称『殺しの天使』と呼ばれるキノコも流石にヤバいので除ける。
「失敗しても私が居ます。任せてくださいね」
 ドラマもしっかりと資料に纏めるつもりのようで、彼女の手にもしっかりとノートとペンが用意されている。食べた人の症例も確りと記載して、また医療的処置も素早く試みるつもりだ。
 早速羊のようなキノコを軽く火で炙ったゲオルグがぱくりといった。火を入れると焦げ目をつけたメレンゲのように愛らしく、一切の躊躇がなかった。その意気やよし。
 ――バタン!
「わあ! ゲオルグ様!?」
「症状はどうですか? 呼吸はできますか?」
「次は私がいきますね。うーん、これとか良さそうですね」
 良さそう(良くはない)。
 ――ぱたり。
「あー! 愛奈様ー!?」
 ゲオルグと違い、愛奈は食べるフリと昏倒したフリだ。事前に告げられていたドラマに助け起こされ「……ね?」と彼女は笑った。
「ええですか、ユグム殿。煮て食って、全員食中毒……という自体もあります」
 極彩色のキノコをぼとぼとと鍋へと放り込んだ支佐手がこれは悪い手本ですと告げたが――口にする前にお玉が溶けていて思わず二度見をした。
「ま、まあ。こういったもんもあります。色が危険なのは避けた方がいい、良い手本となったでしょう。やはりこのような地味な茸が……」
 香りが良いから肉と魚と和えると更にいい。なんて笑いながら口にした支佐手が前のめりに倒れ込んでゴツンと盛大に地面と口づけた。
「ひ、ひえ……」
「……ぐっ、うう、ユグム殿……助、けを……」
「流石に刺激が強すぎぬか?」
 ユグムが退いておるぞと告げた汰磨羈はドラマや立て直したゲオルグが処置に当たるのを見てから、次はこのキノコにしようとキノコを選んだ。
「このキノコは……まず、こう、吐き気と悪寒がだな……?」
 うぷっと気分が悪そうに震えだした汰磨羈はキノコを飲み込んではいないが口の中には入れているから半分くらいは本当かも知れない。
「よっ、と」
 バクルドが汰磨羈の背を叩き、予め用意されていた紙袋へと吐き出させる。すぐに吐き出せば軽症で済む可能性もあるという手本だ。
「キノコの毒って大変なんだな……」
 もしユグムがゼロ・クールでなかったら、きっとその顔は真っ青になっていただろう。
 キノコの危険性をしっかりと記憶回路に刻み混み、ユグムはキノコの選別をしていく。
「うーん、とりあえずこんな感じかな。バクルド様、見てくれ!」
「お、案外いい感じに分けられてるな」
 実際に症状も見たからか、危険なものは特にしっかりと選り分けられている。
「分からなかったら基本捨てていい、専門家でも分からんことが多い」
 危ない橋を渡らずに済む状況ならば、渡らないほうがいいだろう。
「あ、それ、私も先程いただきました!」
 可食側に混ざっていた毒キノコをさり気なくバクルドが避けるとエルシアが、まだクラクラしますと頭を押さえた。

「こっちは醤油で煮たもので、こっちはクリーム煮だよ」
 毒キノコの実演も済ませれば、ちゃんと食べられるキノコの調理もする。調理前のキノコをしっかりと見せてから調理を済ませた武器商人があれやこれやと並べていく。
「む。この土瓶蒸しは美味いな」
「これはわし等が見つけた松茸のような茸ですかの?」
 イレギュラーズたちの言葉や反応を、ユグムはしっかりと見ている。
「土瓶蒸しが美味い……っていうのは、どんな感じなんだ?」
「旨味が強いって感じだね。因みにこれは熱いよ」
「ふんふん。熱いと火傷するかもしれないから、提供する時は一言必要だな」
「これはグラタンにしてみた。……これも熱い」
 ゲオルグは回廊で牛乳やチーズ、小麦粉等を予め購入しており、キノコグラタンを作成したようだ。……彼は猫舌だから冷まさねば食べられぬが、それでもキノコグラタンは魅力的なのだ。猫舌でもふうふうしながら食べたい一品だ。
「やはりこの茸は無毒でしたか」
 ひどい目にあってげっそりしてたことをもう忘れたのか、支佐手はふんふんと鼻歌でも歌い出しそうな顔で茸を焼いている。こういうものは焼いて塩を振ったり醤油を垂らすだけでも美味いのだ。
「よし、ユグム。食べ頃だぞ!」
 支佐手とともに茸を追いかけた汰磨羈が嬉々として、羽の生えた茸を手に取った。ふわりと良い香りがするし、先刻少し齧った分にはなんとも無かった。支佐手の言う通り無毒なのだろう。
「ちなみに。美味いからと言って毒性が無い訳ではないからな?」
 一応忠告だけして、がぶり。
「本当に美味ですの」
 その茸の味はとても美味しくて、ひとつまたひとつと汰磨羈と支佐手は食べ――。

 ₍₍₆('ω')⁹⁾⁾ ₍₍₆('ω')⁹⁾⁾

 何だか陽気な気分となってふたりは踊りだす。
 ――一定以上摂取することで効果の出るオドリダケであったことに、ふたりは気付かぬまま、楽しいきのこパーティの一日となったのだった。

成否

成功

MVP

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式

状態異常

なし

あとがき

きのこの危険性だったり、皆さんの美味しく食べる姿をユグムはしっかりと記録しました!
お疲れ様でした、イレギュラーズ!

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