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シナリオ詳細

タイラントむきえび!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「俺の名はヴィータ・カワサキ! 一流のモンスター料理人!」
 ギラついた目と共に酒場に現れたその男を、君は知っているか。
 知っていなくても、この先の展開は――もう分かっているかもしれない!

 ここは海洋南部にある酒場。
 港町にあるこの酒場に、ヴィータ・カワサキは堂々とした様子で現れイレギュラーズたちを集めたのだった。
「俺はこの海洋を拠点として、食用に適したモンスターを研究している者だ。
 今回はタイラントむきえびの収穫を手伝ってもらいたい」
「「タイラントむきえび……!」」
 その響に、そして季節に、海洋モンスターグルメ学に詳しいあなたなら気付いたことであろう!
 大体八月半ばくらいになるとタイラントむきえびが旬であるということに。
 もし海洋モンスターグルメ学に詳しくない読者諸兄がいるなら解説しておこう。
 タイラントむきえびとはその名が示す通り非常に凶暴なむきえび状のモンスターである。
 全長はおよそ3~5m、巨体ゆえに力も強く、特殊なエサを海に撒くことで海面近くへと現れ船を襲うという特徴を持つ。
 引き締まった身とその美味さから海洋モンスターグルメ学者からは専門学が分岐するほどに有名であり、そして何度も言うが美味である。
「だがタイラントと名がつく通り漁は難しい。素人が手を出せば怪我では済むまい……」
 ヴィータはなにかいたましい事件を思い出してか目を瞑り、ゆっくりと首を振る。まるで思い出を振り払うかのように。
 そして、決意の籠もった眼差しを開いた。
「毎年この時期になると傭兵を雇ってタイラントむきえびの討伐を行うが……ここはひとつ、海洋の英雄でもあるローレット・イレギュラーズに依頼をしたい。
 勿論、研究目的ではあるがとったタイラントむきえびは皆で食することにしよう。
 料理の腕に覚えのある者も、是非参加して貰いたい!」
 そう、タイラントむきえびはあらゆる海老料理に適合した奇跡の海老としても知られる。
 刺身として食う海老は勿論のこと、ブロック状にカットして醤油とガーリックのソースで焼くタイラントガーリックシュリンプ。
 季節のナスとともに炒め、オイスターソースを絡めることで仕上げるタイラントオイスター炒め。
 変わったと頃では自家製マヨネーズを焼いたタイラントむきえびに塗りつけて食べるタイラントエビマヨも最近では有名だ。
 もし腕を振るいたいなら春巻きの皮に大葉と共に包んであげるタイラント春巻きや、スライスし特性タレに漬け込んでからご飯にのっけて卵黄をソッとのせたタイラント漬け丼、チリソースを絡めたタイラントエビチリ、麻婆ソースによるタイラント麻婆、行くところまで行けばトマトクリームソースと共に絡め焼き上げるタイラントトマトクリームパスタなどというメニューにも行き着くことだろう。
 和食洋食イタリアン中華に至るまで対応するポテンシャルの広さは、タイラントむきえびを専門たらしめる要素の一つと言えよう。
「さあ、タイラントむきえびとの戦いに――そして食に挑む者はいないか!?」

GMコメント

※こちらはライトシナリオです。短いプレイングと選択肢のみで進むアドリブいっぱいのライトな冒険をお楽しみください。

●シチュエーション
 海のモンスター『タイラントむきえび』を倒し、そして食いましょう!
 このシナリオはシンプルに海洋バトルパートと海老グルメパートの二つに分かれています。

●一口プレイング
 好きな海老料理はなんですか!?
 私はエビ天ぷらです!


●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。


バトルスタイル
 タイラントむきえびが現れたらどうやって戦う?

【1】船から攻撃!
船の上から攻撃します。タイラントむきえびは船を狙ってくるので射程も案外気になりません。

【2】海から攻撃!
海に潜ったり水上行動で攻撃します。船を守るにも適していますね!

【3】空から攻撃!
あえて空中からの攻撃を行います。
タイラントむきえびは空を飛べないので、結構昔からあるタイラントむきえび退治の手法の一つだそうです。
飛行戦闘手段を用意してご参加下さい。


料理を作るか、食うか!
どっちだ!

【1】食う!
食います!

【2】作る!
作ります!

  • タイラントむきえび!完了
  • 海老料理が、食いたいか!!!!!
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別 通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月10日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談0日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
エリス(p3p007830)
呪い師
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
そんな予感
カトルカール(p3p010944)
苦い
ピエール(p3p011251)
ナマモノ候補

リプレイ

●バトルオブむきえび
 遠き豊かなる水平線よ。
 『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)はうまそうに煙草の煙を吐き出しながら、甲板に立ってその何もない光景を眺めている。
「やあ、もう甲板に出てるの? 暑くない?」
 手を額にかざし、日射がたまらないといった様子で船室から姿を現す『漂流者』アルム・カンフローレル(p3p007874)。
「海風にあたると意外と気にならんもんでね」
「そんなものかなあ」
 ややあって、『呪い師』エリス(p3p007830)も船室へと出てきた。こちらは日差しが気になるらしく、きっちり日傘を差して。
「いやあ、あっついですね……海老料理が食べられるからと参加したんですが、意外なところでへばりそうです」
「海老料理かあ。そういえばタイラントむきえびってモンスターは食用なんだったけね。いや、むきえび状のモンスターって意味わからないけど」
「タイラント鱒寿司もいるくらいだ、気にしてもしかたないだろ」
「もうそれは食用そのものじゃないの?」
 などと話していると、エリスが手を頬に当ててうっとりしはじめた。
「海老……いいですよねえ。お寿司にしても、焼いても茹でても。何をしても美味しいなんて狡い食材です。罪(ぎるてぃ)」
「確かに。あ、俺はエビチリが好きかなあ海老料理だと。君は?」
 話をふってみると、緑は肩をすくめてみせた。
「海産物は食べない主義でね」
「なんで参加したの!?」
「俺は食わなくても、嫁さんは食うんだ。土産になるかもしれんし、なにより料理も覚えられそうだろ?」
「た、たしかに……?」
 筋が通ったようなそうでないような、しかし突っ込むほどでもない理由を聞いてアルムは首をかしげる。
 一人を例にとるまでもなく、ローレットというのは変わり者揃いだ。いちいち気にしても仕方ないとも言える。(そして緑は相当普通の部類だ)
「おー! みんなそろってんなー!」
 暫くしたら、見た目からして変わり者の『生イカが好き』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)がのそっと船室から出てきた。ガトリングガンをかついだアザラシという謎すぎる生き物だ。
 かと思えば、青い兎の姿をした『苦い』カトルカール(p3p010944)がもそもそと船室に顔を出す。
「タイラントむきえびの話?」
「たぶん?」
「海老といえば、天麩羅」
 ヌゥっとオークが現れた。
 バックラーと斧を装備したオークである。体つきは屈強で、どこかの国の戦士と言われればしっくりくる風貌と目をしている。
 が、誰もその事実に違和を唱えなかった。さすがローレットである。
 彼はピエール(p3p011251)といい、最近ローレットに合流したウォーカーだ。あんまり綺麗な経歴を持っちゃいない彼だが、それも含めて『別にいいんじゃない?』と言えちゃうあたりがローレットなのである。
「海老天をごはんにのせてタレをかけると……良い」
 重々しく語るピエールに、カトルカールは軽く『わかる~』と言った。
「僕はフライかな。揚げたてをさ、こうさ、さくっとさ……」
「わかる~」
 ワモンが目をキラキラさせながらぴちぴちした。
「あ、でもオイラ今回はエビチリ食いたい気分」
「それもわかる~」
 迷うよね~という会話を交わしていると、甲板に『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)と『狙われた想い』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)も姿を見せた。
「これで全員?」
 顔ぶれを確認するメリーノ。チャロロは人数を数えてから自分を指さし、『だな』と頷いた。
「タイラントむきえびの出るエリアはこの辺なんだろ? まずどうすりゃいいんだ?」
「えっと……」
 メリーノが船室から保ってきた袋を開いてみせる。
 なんかよく分からない半透明なキューブ状の物体が大量に入っている。香りだけで説明するならデカいナタデココだ。
「これを蒔いたらいいって」
「ヴィータ・カワサキが言ってたな、そういえば!」
 チャロロはキューブを手に取ると試しにぽいっと海に投げ込んでみた。
 反応は……ない。
「もっとかな?」
「かも」
 メリーノは袋から一抱えのナタデココ(?)を取り出すと、海に向かってえいっと放り投げた。
 投げた、その瞬間。
 ざっぱんと音を立てて巨大なむきえびが海面から顔をだし、撒き餌(?)に食らいついたのだった。
「うお、出た!?」
「やるよ!」
 カトルカールは指笛を吹いて竜宮イルカを呼び出すと、海めがけてぴょんと飛び込んでいく。
 同じく自ら海へ飛び込むワモン。
 彼らの役目は海面まで出てきたタイラントむきえびを攻撃して海底へ逃げることを防ぐことだ。
「よっしゃー、いくぜいくぜー!」
 ワモンは海中へと潜り込むと背負ったガトリングガンを唸らせる。ヴーンという僅かな音の後に吐き出される大量のイクラ弾が毎秒何十発とタイラントむきえびにぶつかりぷちちちちっと小気味よい破裂音を鳴らす。タイラントむきえびのほうも多少は回避を試みていたようだが、ワモンの広範囲に薙ぐように放つイクラ弾から逃れることはどうやらできなかったらしい。ついでに言えば、ここまでの連撃をくらったことで体勢が大きく崩れる。
「そこだっ! アロード!」
 カトルカールは竜宮イルカにしがみついたまま思い切り体当たりをぶちかます。
 体当たりによってロールしたタイラントむきえび。イルカからぴょんとタイラントむきえびの上へと飛び乗ったカトルカールは、その兎足でもってタンッと強烈なラビットキックを叩き込んでやった。
 くるんくるんと空中を回転するカトルカール。それを竜宮イルカのアロードは華麗な海上ジャンプで受け止め、ライドオン状態へと戻った。
「海面に近づけたよ! 攻撃よろしく!」
 カトルカールが叫ぶと、ピエールが『応!』と叫んで甲板を走った。
 フンとオーク頭で鼻息を荒く噴き出すと、勢いをつけて跳躍。
 手すりをゆうに越えたそれは海面にあがったタイラントむきえびの上へと着地――とみせかけて身体を上下反転。手にした斧を叩き込む。
 タイラントむきえびの体力をその斧の一撃が完全に断ち切ったらしく。ぷかあっと浮きあがったままタイラントむきえびは動かなくなった。
「よし! こいつを船に引き上げれば完了だな! 残りは任せていいか!?」
 ピエールが船から降ろされた縄をタイラントむきえびに結びつけてぎゅっと縛っていると、船上のチャロロが『まかせてー』と手を振った。
「それっ!」
 空中にまき散らすように撒き餌を放ると、別のタイラントむきえびが船めがけて物凄いジャンプをかました。
「向こうから来てくれるたぁ、楽でいいねえ」
 縁はにやりと笑って刀の柄に手をかける。
 アルムもまた、杖にてをかけて魔法を短く詠唱した。
「切り裂き払え――神気閃光!」
 杖を突き出した先に光が解き放たれ、飛び込んできたタイラントむきえびへと直撃。
 光の爆発はタイラントむきえびの身体に激しい痺れを起こさせ、船めがけての体当たりのつもりがその狙いをブレさせる。
 ブレた所に斬り込むのが、縁のカウンター斬撃であった。
 相手の飛び込んでくる力をそのまま利用しての鋭い斬撃がタイラントむきえびを派手に切り裂いて行った。
 二人の攻撃をモロにくらったタイラントむきえびが海面へと落下。そのまま潜る力もなく船から逃れようと泳ぎ始める――が、それを逃すエリスたちではない。
「追います!」
 精霊に呼びかけ空中に浮遊したエリス。彼女はまるで妖精のように空を飛ぶとタイラントむきえびを追って短剣を構えた。
 まるで魔法の杖を構えるようなその動きは、ピッと小さく彼女の腕に傷を走らせ血を流させる。彼女自身の血を呪いの矢に変換して放つというエリスを象徴するかのような技、『カース・アロー』である。
「そこですっ!」
 短剣を振り抜くことで飛んでいった矢がタイラントむきえびへと命中。
 それを追ってメリーノとチャロロも結構な速さで海面すれすれを飛行していった。
「お刺身、生春巻き――エビマヨ!」
 メリーノの食欲に溢れた上空からの斬撃。カタバミちゃんと呼ばれる大太刀によって繰り出されたそれは、見事にタイラントむきえびの神経を切断した。神経どこにあるのか正直よくわかんないけど、確かに切断したらしい。
「とどめだ!」
 チャロロは拡張フライトユニットを操作して上空からの急降下突撃を仕掛けると、『機煌宝剣・二式』を両手でしっかり握り込んだ。
 ゴオッと炎があがり、タイラントむきえびの身体にその刀身が突き刺さる。
 それはまさに、トドメの一撃であった。

●海老料理
「さぁて、まずはどんなもんかね」
 縁は刺身状にスライスされたタイラントむきえびの身を菜箸でつかむと、大きな昆布が沈んだ鍋へと滑り落とした。
「しかしなんでまた昆布なんか沈めてんだ?」
「ただの湯で茹でたら味がしまらんだろう」
 そう応えたのはヴィータ・カワサキ。彼は粗塩を鍋にぱぱっと振り入れてかき混ぜると、続けて他のスライスもボイルするようにジェスチャーする。
 言われたとおりにやってみる縁だが……。
「もういいぞ」
「早くねえかい」
「知らねえかい。海老しゃぶつってな」
 自分は食えないからというんでチャロロに手招きする緑。なんだなんだとやってきたチャロロは湯からあげた海老をぱくりと一口……にしてから、目を見開いた。
 それはいわば刺身とボイルのいいとこ取り。温かく心を落ち着けるような熱と共に舌に乗った海老はすぐさまにとろけ、身体のなかへ染みこむかのように広がっていく。
 かといえば身がしっかり残っており、かみしめると昆布のだしが海老の旨味と合わさってしみ出してくるという二度の美味しさ。
「うおー! やっべーな! タイラントむきえびってこんなにうまかったのか!」
「素の状態でうめえからできる料理だな。他にも試して見るかい?」
 ヴィータが言うと、緑は『やるだけやってみるかね』と包丁を手に取った。
 料理を覚える良い機会である。
 ヴィータは包丁を手にレクチャーを初めてくれた。
「モンスター料理は動物のそれと違ってこっちが合わせていかなきゃならん。食うに適した改良がなされた牛や鶏とは違うってこったな。
 けどタイラントむきえびみてえな『そのまんま』のやつは気をつけることが少ねえ。初心者向けのモンスター料理と言えるだろうな」
 そう言って可食部にあたる部分を包丁でさくさくと切り取っていく。
「食感を気にするなら筋にそってブロックを取り出していくべきだ。よぉく見てみな。肉の筋が通ってるだろう? こいつがすぐ見えるようになれば、戦闘でも役に立つぜ」
「へえ、料理が戦闘の役にねえ」
 意外そうにしながらもマネをして包丁をいれていく緑。
 ヴィータがまずやって見せてくれたのは『海老ステーキ』というタイラントむきえびならではの料理だ。
 先ほどレクチャーした通りに海老をブロック状に取り出した後、それをステーキ一枚分の大きさに切り分ける。
 その後で細く鋭い包丁を使って丁寧に切り込みを入れていく。食感の上では硬くなりがちな筋も丁寧に取り除き、最後に塩をはじめ調合したスパイスを表面に塗り込んでいく。
 その後で……焼く。ただ丁寧に。ヴィータ・カワサキはこの『焼き』の作業の際まるでそれが神聖な儀式であるかのように真剣に炎と海老を見つめ、じっくりとその変化を観察する。
「こいつを作るコツは単純にして難解だ。『丁寧に焼く』――それだけ」
 ヴィータ・カワサキは焼き上がったそれをワモンへと差し出してくる。
「お、おお……」
 焼き上がった海老というより、海老の香りが立ち上るステーキ、だ。
 ブロック状のそれにナイフとフォークで挑むワモンは、まず切り分けた一口を頬張り、その食感に『オオオ』と声を上げた。
「マジだぜ。マジでステーキだ。肉汁が溢れてがっつりしてる。そのくせ柔らけえ。かむほど旨味が出てきて……これが海老なのか!?」
 突然グルメレポーターと化したワモンに若干驚きつつも、自分も海老ステーキをご馳走になってみるチャロロ。
「そうだ。海老といえば甘エビ寿司なんだ。そういうのってできるのかな」
 チャロロが言うと、エリスがピッと親指を立てて見せた。
「さっきヴィータさんに教わったんですが、タイラントむきえびは『甘エビ部』という部位があるそうです。その部分を細くスライスすれば……」
 エリスが丁寧な手付きで海老をスライスしていくと、すっかりカラなしの甘エビができあがった。
 試しに一本食べてみると、確かにそれは甘エビのちゅるんとした食感。
 エリスはこくりと頷いてから、予め用意していた酢飯の上に甘エビ部のスライスを載せ、お皿にそっと並べて見せた。
「うおー! 甘エビ寿司だー!」
 チャロロがテンションを爆上げする。
「オイラエビチリ! エビチリー!」
 ばたばたとするワモンに、エリスが微笑んで中華鍋に目を移した。
「あ、俺も食べたいなあ。エビチリ、絶対美味しいよね」
 甘エビ寿司を一緒に堪能していたアルムが興味深そうにそちらを向く。
 エビチリの作り方は……詳しく言うまでもないだろう。専用のソースと絡める形で海老ブロックを炒めるのだ。
 ヴィータ曰く、タイラントむきえびは甘エビ部、車エビ部、伊勢エビ部という部位にわかれているらしい。ゆえに海老は海老でも異なる海老料理が作れるという。今使っているのは車海老部だ。
「わぁ~、ごはんがほしくなるぅ~」
 アルムがにこにこしながら言うと、カトルカールがそっとおひつの蓋を開いて見せた。
「炊きたて、あるよ」
「ナイスすぎる」
「できましたよ~」
 エリスがエビチリを仕上げてきたところで、カトルカールはコツロツ油というこの辺りでは有名な油に衣をつけた海老を滑らせる。
 作ろうとしているのは海老フライ……と、天麩羅だ。まさかのダブル揚げ物である。
 ぱちぱちと異なる音をだす海老を注意深く観察し、丁度良いタイミングで油からあげるカトルカール。
「海老天……食うしかねえ!」
 ピエールがご飯をしっかりと用意し、そこに海老天をのっけて貰う。
 早速カッ喰らおうとしたピエールに、しかしカトルカールは待ったをかける。
「タレがまだだね」
 そういって作ったのは簡単な天丼用のタレである。
 醤油とみりんと砂糖。これを加えて火を付け軽くぷくぷくしてきたところで火を直接鍋につけてタレを燃え上がらせるというなんかダイナミックなアルコール除去処理をしてから、海老天ののったご飯にタレをそそぎかける。
「う、う、うおおおおおお!」
 箸を手にがつがつと喰らうピエール。それは間違いなく海老天をつかった天丼である。
 一方でメリーノはわーいえびふらいーと言いながらサクサクやっていたが……その後でカトルカールに注文をつけてみた。
「ねえ、生春巻きできるかな。それにエビマヨとピラフ!」
「できるよ」
「やった!」
 メリーノが両手をあげて喜ぶ姿に、カトルカールは微笑みながら生春巻きを作り始める。
 この辺りは簡単だ。用意した野菜と甘エビ部を細く並べて生春巻き用の生地に包むだけ。
 しゃきっとした食感と口の中に広がるバリエーション豊かな味わい。メリーノはこれをひとしきり楽しみながら、海老ピラフが目の前でじゃっかじゃっか炒められている様子を眺めていた。
 今日はとびきりの海老パーティーになりそうだ。
 誰もが、そう思ったのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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