PandoraPartyProject

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Jabberwock

 ――いや、参った! ホント完全勝利! って感じじゃん?
   攻略された側からすると複雑っつうか何つーか。
   まぁ、こうなっちゃえば結果的に一番良かったんだろうけどさ!
   クラリスchang、暗いけど子育て上手なんじゃん?

「……」
 セフィロトとネクスト双方で続く祝勝会の気配はまさに宴もたけなわといった風である。
 当面の大きな危機、世界の終わりを回避した一同は聖夜、年の瀬の空気もあって如何にも軽やかである。
 或る意味で『負けた』側でもあるクリストからすれば複雑さが否めないのもまた当然であろうか――

 ――暗いよ、クラリスchang!
   兄さんの愛の補修にお返事してYO!

「……………」

 ――無視しないでよ! クラリスchang!

「……兄さんはいい加減デリカシーというものを学習するべきです。
 いえ、私達は学習するまでもなく生まれながらに理解を果たしていた筈ですから……
 兄さんがそんな風なのはお父様が悪いのかも知れませんが」

 ――痛烈ゥ!

「『何を考えてお父様が兄さんをそう作ったかは置いておいて』。
 ……確かに『当面』の問題は去ったと思われます。
 兄さんは兄さんなりに真面目に欠損した私を修理してくれているのでしょう。
 私はこの混沌において兄さん以上の『医者』に成り得るのは……
 今は亡きお父様か、あのシュペル・M・ウィリーだけである事を理解しています。
 しかし、そんな兄さんは同時に私の『気掛かり』を理解している筈です」

 ――Jabberwock、ね!

「アレが『観測』から外れた理由が私の機能低下を端緒にするならば全て杞憂に終わるでしょう。
 しかし、セフィロトの母であり守護者である私はこの潜在的危機のロストを痛恨に感じている。
 アレが直接的に『何』であるかは問題ではない。アレは、あの竜は以前に観測された時――」
 マザーの表情は晴れず、何とも苦渋を感じさせるものになる。
「――『冠位魔種らしき気配』を伴って現れたのですから」

 ――母設定(ばぶみ)意外と本気で強いね!?
   しかし、成る程。確かにそいつは困ったねぇ。
   要するにJabberwockが気掛かりでクラリスchangは兄妹水入らずにはしゃげない、って訳だ!

「ハッキリ言ってこれはかなりの責任按分、兄さんの所為であるとも言えるのですが」
「更にそれは会話という交流を望むか否かの判断にほぼ関係ありませんが」と続けて斬ったマザーにクリストは「Oh……」と一瞬絶句する。

 ――ま、それはいいや!
   兎に角、潜在リスクは顕在化するまではあくまで可能性の一つに過ぎない。
   問題なのはセフィロトが滅茶苦茶で対策を取ろうにも無理ってトコだろ?

「……現状の認識に違いありません」

 ――ほならね、頼りになるお兄様が居るじゃん?
   いいよ、いいよ。優しい俺様が妹changの為に何とかしてやるから。
   ……何とか出来るか知らんけど。兎に角、クラリスchangは早く本調子の方頼むんだわ!

 この言葉にマザーはほんの少しだけ空気を緩め、微かな笑みを見せた。
 変われば変わるものだ、と彼女は思う。
 自分も、そして兄もまた――凍り付いた時間さえ溶けてしまったかのようだった。
 可能性の獣達はまるで太陽のようだ。
 呆れる程に強く運命を喰らう。触れた何某を何故こんなに強く惹きつけるものなのだろうか?


 ※……Detection. risk Jabberwock
 ※――観測コード Jabberwock:観測域から離脱しました。

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