PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

暖かな日々

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

誕生日の夜明けに
「俺の勝ちだったみたいだけど?」
「だって貴方最近手加減しないじゃないですかぁ……」
 か細い声で鳴いた星穹は現在姫抱きをされている最中である。のぼせたのだ。
 本当ならば浴衣も着れなかったところをなんとか着たところなのである。てごわい。
「ふふ。煽った星穹が悪いよ」
 混浴。酔っ払った相棒。うまい誘い文句。欲を抑えることを捨てたヴェルグリーズにためらいなどあるはずもなく。
 なんか最近そういうの多いのである。ご不満ではないけれど、やっぱり好きな人の新たな一面にはどきどきしてしまうものだ、と星穹は呟いた。
「でもじゃんけんとかゲームでだってよかったのに」
「俺だって男なんだけどなあ……都合よく解釈するよ」
「でも、でも……まだ負けてないかもしれませんわ?」
「本当? プレゼントも貰ったのに?」
「だって納得が……こう! 私だって勝ち目はあったはずですもの」
「ふふ、そっか。元々朝まで付き合ってもらうつもりだったけれど、それなら遠慮はいらなさそうだ」
「え?」
「星穹だって勝ちたいんだもんね? じゃあやっぱりリベンジの機会は必要だよね」
「ヴェルグリーズ、貴方、」
「そう焦らないで。大丈夫、まだ空も心結も寝てるから」
「そういうことではないのですが!!」
 あいしてる。その言葉には未だなれないらしい星穹は、ややシラフとも言える程度には回復していた。が、しかし。これ以上となると別である。
 酔わせるか。戦うか。あるいは先程の続きか。どちらにせよ姫抱きをとかせないかぎりは逃げられそうにもない。
 夜明け。温泉に行ったはずなのに二人してあまりにも疲弊している姿を見た空と心結が起こすのをやめたのは、未だ知る由もない。
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