PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

暖かな日々

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

膝上抱っこは良い文明
 現在。膝の上に座らされた星穹は逃げ場がない。
 否。腹に腕を回されて逃げられないという方が適切である。
(流石にいろいろとこう……まずい気がするのですが)
 昨晩の睦言だとか、甘ったるい声だとか。よくよく見れば逞しい身体だとか。自分を真っ直ぐに見つめる目だとか。そういうのを思い出さないでいられるほど、星穹は大人ではない。ので、非常に困っている。
 だというのに当の本人は知ってか知らずか背中から離れるつもりはないようで。
「星穹」
「はい」
「愛してる」
「はい……」
 本日何度目かのやりとりを交わしているというわけだ。耳まで赤くなっているのがわかるが、こうも包み隠さず好意を向けられると恥ずかしくなってしまう。両手で顔を覆う星穹のその手をやんわりと外しながら、ヴェルグリーズはからかうように笑った。
「どうして逃げるの?」
「あのですね、急にこう……甘くなられるとですね、こちらとしても困るというか」
「でも俺のこと、好きだろう?」
「それはまあ、そうですけども……」
「じゃあ何を恥ずかしがる必要があるんだろう。もしかしてまだ愛情表現が足りなかったのかな」
「いえ、あの、そんなことは」
「ううん。キミは控えめというか、我慢しすぎるきらいがあるからね。俺もしっかり愛情表現をしなくちゃね」
 ぐるりと視界が動く。何が起こったのかと理解するころには視界はヴェルグリーズと天井で埋め尽くされていた。
「ああもう、お好きになさったら良いんじゃないですか……」
「ふふ、可愛いね。愛してるよ」
「もう勘弁してくださいませんか」
「どうして?」
「どうしても、です」
「じゃあ星穹からキスしてくれたら考えようかな」
「貴方ねえ……!」
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