PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

Interlude

関連キャラクター:チック・シュテル

langsam

「……ふぁ、ふ」
 大きくこぼれた欠伸は両の手で塞ぎ、うん、と伸びをして。
 カーテンの隙間から差し込む陽光をその身で受け止めんと、カーテンの爪先をそっと壁へと連れていく。
 お行儀よく爪先を揃えたカーテンは、リボンでくるりと一纏めにして。青い空がチックの瞳の太陽を照らした。
「ん……寝すぎた、かも」
 ちく、たく、ちく、たく。秒針の音が聞こえる。ゆるやかにリズムを刻む拍動は秒針なんかお構いなしにマイペースだ。
「朝御飯、何にしよう、かな……」
 昨日買ってきたフランスパンにベーコンエッグを添えても良いし、大きく切り込みをいれてお手軽サンドイッチにしてもいい。甘く味付けたたまごのシロップで浸してフレンチトーストなんかも良いだろう。
(まずは……冷蔵庫と相談、しなきゃ……)
 もう一度ぐぐっと空に手を伸ばし。今日を始める支度のその最初に、朝御飯を作ることにしよう。
 ちょっぴり冷えた床に揃えたスリッパを引き寄せて、寝ぼけ眼を擦りながら。チックはキッチンへと足を進めた。
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