PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

派遣会社ルンペルシュティルツ

関連キャラクター:キドー・ルンペルシュティルツ

『清掃事業』
「まさか本当に掃除をやらされるとはね」
 スフェーンは退屈そうにモップを掛ける。
 薄汚れた廃ビルの一室。派遣会社ルンペルシュティルツに勤める彼女らは、清掃事業という名目でここへやってきていた。
「普通、『清掃』って言ったら邪魔な奴らと殴り合うことなのに」
「あのお客様、絶対何か勘違いしてるよね」
 マーコールもはたきを動かす手を止め、うんうんと頷く。たまにはいいかと始めた掃除も、もうとっくに飽き切っていた。
 親しい友人から同意を得られ、気を良くしたのか、スフェーンはもう一人の仕事仲間へも声を掛けた。
「チビもそう思うよな?」
「……俺?」
 黙々と掃除に集中していたセムは、ちらりと振り向いた。元オンネリネン所属のこの少年は、二人とは違う。彼女たちの闘争を好む気質はてんで理解できなかった。汚れた雑巾を絞りながら、呆れ気味に疑問をつぶやく。
「さっきチンピラをボコしたのは?」
「あんなのノーカウント。埃を払ったのとおんなじだよ」
「あ、そう……」
 二人の会話をよそに、マーコールはいいことを思いついたと手を叩く。
「戻ったら社長を詰めて、特別手当で酒盛りするかぁ!」
「お、いいねぇ! ――チビも来る? 社長には内緒でエールでも飲ませてあげるよ」
 いかにも愉快そうに企みを広げる二人に、セムは適当に相槌を返した。
 内心、「外の大人ってこんなのしか居ねぇの?」と、悪態を吐きながら――。
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