PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

派遣会社ルンペルシュティルツ

関連キャラクター:キドー・ルンペルシュティルツ

切れない領収書
「これ、経費で落としてくんねーっスカ?」
「見せな」
 アリアンヌが普段通り事務仕事をしていた時のこと。チャラっとした非正規雇用スタッフが一枚の領収書を持ち込んできた。内心仕事を増やしやがったな、などとは思いつつその紙切れを奪い取って確認する。
──
宛名  神  様
金額: 1000GOLD
但し:社内交際費として
上の金額正に受領しました
──
「やぁ、昨日社長と飲みィ行きましてね?そんで『俺は寝る、代わりに領収書切っといてくれ』とか言われちゃんたんですよォ。んじゃ後はよろしくで──」
「待ちなあんた。こんなふざけた領収書が切れると思ってんのかい」
 確かに領収書に書かれている日付は昨日だ。金額も常識の範囲。但し書きに関してはこいつの話す経緯としては間違ってはないが……そんなことは些事。何よりも問題なのは。
「宛名が『神(カミ)』様ってなんだい!そこは『上(ウエ)』様って書くんだよ!」
 どう見たって通る訳のない宛名の間違い。店員もなぜそこを間違ったのだと突っ込みたい。
「ん、ェ〜…?そこって『上(カミ)』様ッて書くんじャあ?」
「っはァ〜〜……」
 俺、何かやっちゃいました?と笑うコイツにモノを教えた『酔っ払い』をシバいてやると、アリアンヌは改めて決意した。
「あんた、今すぐその店に戻ってキチンと『派遣会社ルンペルシュティルツ 』様って書き直してもらうんだよ。嫌ならあんたの給料からその分サッ引くからね」
「ひッ、すすっすぐ行って来まァ〜〜ッス!」
 ドスを効かせギロリ流し目で睨んでやればこの通り。ヘラヘラとした口調は消え必死な顔で事務室を飛び出していった。そしてドタドタ足音が去った後、未だ残る書類の山を見て一つ伸びをするアリアンヌ。
「こうやって簡単に言うことを聞いてくれるのなら、あたしの仕事が楽になるのにねぇ」
 そんな叶わぬ願いを溢しながら、彼女は仕事に戻るのだった。

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