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幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

よろずな日々

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

星の行方を探して
 凍える夜、ひとりの影が人気のない山道を歩く。
 一際高い場所に出れば、足を止めてそれまで大切に抱えていた鞘を置く。
 そして、祈った。生きていてくれ、と今は遠い相棒を想って。
 星を冠なする名を相棒へ祈る。生きて帰ってさえくれば、後は何も要らない。
 何も求めない。だって帰ってから日々を積み重ねたって、良いのだから。
 だから、生きて、帰ってきて。大事なひと。

「待ってるから、俺たち」
 祈りを捧げていたヴェルグリーズは息子の鞘を大事に抱え直すと、立ち上がって来た道を降る。
 冬の夜空は星が良く見えて。そしてその星たちはなんとなく寂しそうで。
「きみに、似てる気がするんだ」
 途中の坂道で星空を見上げてヴェルグリーズは手を伸ばす。
 まるで星を掴みたがる幼子みたいに。
 もう一度、やり直したい。そんな未来を待ちながら。
執筆:桜蝶 京嵐

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