幕間
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よろずな日々
よろずな日々
関連キャラクター:ヴェルグリーズ
- 月夜空に乾杯を
- 月が美しい夜だった。
冴えた空気は冷たく、防寒をしっかりしなくては凍えて一歩も動けない寒さだったが、だからこそ月が綺麗だった。
山の上のコテージだから、近くにあると錯覚するほどの大きさなのもある。
ホットワインで体を暖めつつ、暖炉の中で薪が弾ける音が心地よい。
遠くではフクロウらしき生き物の鳴き声がしていて、不思議と寂しさがなかった。
「仕事で来ただけのはずなのに、なんだか登山キャンプに来た気分だな」
そう、仕事で来ていたに過ぎないのだが、依頼人に宿として案内された先がここだった。
こんな立派なコテージ、普通に泊まったらそれなりの値段がしそうである。
なにせ一面の月と星を堪能しつつ、食事とお風呂サウナ付き。
ベッドもふかふかのものだったので、一泊だけなのが惜しいと思ったくらいだ。
「この仕事が終わって落ち着いたら、改まって予約しようかな……」
大きな月と咲き誇る星をホットワインで堪能しながら、ヴェルグリーズは心地よい夜を過ごした。 - 執筆:桜蝶 京嵐