PandoraPartyProject

幕間

ストーリーの一部のみを抽出して表示しています。

よろずな日々

関連キャラクター:ヴェルグリーズ

今日はこんな放浪
 ラサでの騒動が終わり、ヴェルグリーズは久々に神殿を使って放浪していた。
 希望ヶ浜と迷って今日は豊穣で活気ある町並みをゆったり歩く。
 公園の一角では、子どもに紙芝居を見せる者がいた。
 物語はまだ序盤だったらしく、ヴェルグリーズも子どもの1番後ろに立って紙芝居を鑑賞する。
「やあ、お兄さん。俺の紙芝居はどうだったかな?」
「とても面白かったよ!」
 順番は前後したが、決まりだからと紙芝居代を払っておまけの駄菓子を貰う。
 貰った駄菓子は水飴で好みの固さになるまで公園のベンチでずっと練っていた。
 優しい甘さのそれはあっという間に食べ終えてしまって、ヴェルグリーズはまた歩き出した。
 しばらく歩くと、着物の古着屋が見えたので入ってみることにした。
「お兄さん、背が高くて男前だねえ。何か探し物かい?」
「いや、ふらっと入っただけなんだ。でも普段着として着れるものはある?」
 それならば羽織はどうだと、幾つかオススメして貰う。
 そのうちの裏地がカラフルな色使いのものを購入してそのまま着て店を出る。
 次はどうしようかと辺りを見渡すと子ども二人、固まって何やら話をしているようだった。
「どうしたんだい?」
「今日のおやつをキレイに分けたいの」
 外で食べてそのまま遊ぼうと思ったところまでは良かったが、なんとおやつは味が二種類あった。
 だから半分にして両方味わいたいらしい。
「それなら俺に任せて。お皿とテーブルはある?」
 うん、と野外のフリースペースへ連れて行って貰い、そこで紙皿の上に鎮座する獲物(おやつ)を見据える。
 離れたところから先ほどの子どもたちが心配そうに見つめている。
 それに笑って、一回、二回。本体のヴェルグリーズを振るう。
 どんなものでも切り分けると謳われた刀は、その通りにおやつだけをキレイに半分にした。
「すごいやお兄ちゃん! ありがとう!!」
「これで喧嘩しないですんだよ!」
 わあっと二人の子どもはヴェルグリーズを囲んで喜び、お礼を口にする。
 それにヴェルグリーズはどういたしましてと返して、また放浪を再開したのだった。
「さあ、次はどこに寄ろうかな?」


執筆:桜蝶 京嵐

PAGETOPPAGEBOTTOM